JP2007238888A - アゾ化合物及び該化合物を含有する偏光膜 - Google Patents

アゾ化合物及び該化合物を含有する偏光膜 Download PDF

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Abstract

【課題】偏光度が一層向上した偏光膜及び偏光膜を与える偏光膜用の染料化合物の提供。
【解決手段】下式で示されるアゾ化合物。(式中、Xは、置換フェニル、ナフチルを表す。R、Rは水素、アルキル又はアルコキシを表す。nは0又は1を表す。Yはアルキレン、−CH=CH−を表す。Rはスルホなど極性基を表す。)
Figure 2007238888

【選択図】なし

Description

本発明は、車載用カーナビゲーション、液晶プロジェクターなどの液晶表示装置(LCD)、プロジェクションテレビなどのフラットパネル表示装置(FPD)に用いられる偏光膜に関する。
車載用カーナビゲーションや液晶プロジェクターなどの液晶表示装置(LCD)、プロジェクションテレビなどのフラットパネル表示装置(FPD)は、光量の増加や屋外で使用されるようになった。このような装置に用いられる偏光膜は、高い偏光度を有することはもとより、高温下にて長時間、光を照射しても透過率が低下しないという耐光性が求められている。
耐光性のある偏光膜としては、延伸配向したポリビニルアルコール又はその誘導体のフィルムなどの偏光膜基材に、偏光材料としてのヨウ素や二色性染料を含有された偏光膜や、ポリ塩化ビニルフィルムの脱塩酸又はポリビニルアルコール系フィルムの脱水によりポリエンを生成して、配向された偏光膜などが用いられている。
そして、特許文献1においては、偏光材料として下記式で表されるアゾ化合物又はその塩を二色性染料として用いる染料系偏光膜が耐光性を有し、かつ、高い偏光度を有していることが具体的に開示されている。
Figure 2007238888
(Zは水素、アミノ、水酸基を表す。)
特開平9−302249号公報(実施例1、実施例6番号1及び3)
本発明の目的は、偏光度が一層、向上した偏光膜及び該偏光膜を与える偏光膜用の染料化合物を提供することである。
本発明は、式(I)又は(II)で示されるアゾ化合物;アゾ化合物に含まれるスルホ及びカルボキシの少なくとも1個が、アルカリ金属、アンモニウム及び有機アミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の塩であるアゾ化合物;該アゾ化合物を偏光膜基材に含有してなる偏光膜;該偏光膜を有する液晶表示装置である。
Figure 2007238888
(式中、Xは、スルホ若しくはカルボキシを有するフェニル、又は、X内に1〜3個のスルホを有するナフチルを表す。該フェニルは低級アルキル若しくは低級アルコキシを有していてもよい。R及びR2はそれぞれ独立に水素、低級アルキル又は低級アルコキシを表す。nは0又は1を表す。Yは炭素数1〜4のアルキレン、又は−CH=CH−を表す。R3はスルホ、カルボキシ又は低級アルコキシカルボニルを表す。)
本発明のアゾ化合物又はその塩は、高い偏光度を与えていた従来のアゾ化合物よりも、一層、偏光度が向上した偏光膜を与える。
以下、本発明を詳細に説明する。
式(I)又は(II)におけるXは、ナフチル又はフェニルであり、該ナフチルは1〜3個のスルホを有する。また、該フェニルは、スルホ若しくはカルボキシを有し、更に低級アルキル又は低級アルコキシを有していてもよい。該低級アルキル及び低級アルコキシとしては、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐状の基が好ましい。低級アルキルの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル等が挙げられる。低級アルコキシの具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ等が挙げられる。
Xにおけるスルホ若しくはカルボキシを有するフェニルとしては、スルホ及びカルボキシを合計1〜2個有するフェニルが好ましい。このようなフェニルとしては、例えば、2−スルホフェニル、3−スルホフェニル、4−スルホフェニル、2−カルボキシフェニル、3−カルボキシフェニル、4−カルボキシフェニル、2,4−ジスルホフェニル、2,5−ジスルホフェニル、3,5−ジカルボキシフェニル、2−カルボキシ−4−スルホフェニル、2−カルボキシ−5−スルホフェニル、2−メチル−4−スルホフェニル又は3−メチル−4−スルホフェニル等が挙げられる。これらのフェニルのうち、染色性の観点からは、スルホを有するフェニルが好ましく、4−スルホフェニルが特に好ましい。
上記Xにおける1〜3個のスルホを有するナフチルの具体例としては、5−スルホ−2−ナフチル、6−スルホ−2−ナフチル、7−スルホ−2−ナフチル、8−スルホ−2−ナフチル、4−スルホ−1−ナフチル、5−スルホ−1−ナフチル、6−スルホ−1−ナフチル、7−スルホ−1−ナフチル、1,5−ジスルホ−2−ナフチル、6,8−ジスルホ−2−ナフチル、4,8−ジスルホ−2−ナフチル、5,7−ジスルホ−2−ナフチル、3,6−ジスルホ−2−ナフチル、3,6−ジスルホ−1−ナフチル、4,6−ジスルホ−1−ナフチル、1,5,7−トリスルホ−2−ナフチル、3,6,8−トリスルホ−2−ナフチル、4,6,8−トリスルホ−2−ナフチル等が挙げられる。これらのナフチルのうち、染色性の観点からは、スルホを2〜3個有するナフチルが好ましく、1,5−ジスルホ−2−ナフチル、6,8−ジスルホ−2−ナフチル、4,8−ジスルホ−2−ナフチル、5,7−ジスルホ−2−ナフチル、3,6−ジスルホ−2−ナフチル等のジスルホ−2−ナフチルが特に好ましい。
1及びR2は、それぞれ独立に水素、低級アルキル又は低級アルコキシを表す。該低級アルキル及び低級アルコキシとしては、炭素数1〜4の基であり、低級アルキルの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル等が挙げられる。低級アルコキシの具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ等が挙げられる。R1、R2としては、中でも、水素、メチル又はメトキシが好ましい。
3はスルホ、カルボキシ又は低級アルコキシカルボニルであるが、低級アルコキシカルボニルが好ましい。上記の低級アルコキシカルボニルにおける低級アルコキシとしては、炭素数1〜4の基であり、具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ等が挙げられる。
3としては、メトキシカルボニル(−C(=O)OCH)又はエトキシカルボニル(−C(=O)OC)が好ましく、特にメトキシカルボニルが好ましい。
Yは、メチレン、エチレン、プロピレンなどの炭素数1〜4のアルキレン[−(CH−、pは1〜4を表す。]、式(A)で表されるフェニレン又は[−CH=CH−]である。Yとしては、メチレン又はエチレンが好ましく、エチレンが特に好ましい。
Figure 2007238888
前記式(I)又は(II)で表される化合物に含まれるスルホ及びカルボキシの少なくとも1個が、リチウム、ナトリウム並びにカリウムのようなアルカリ金属の塩、アンモニウムの塩、エタノールアミン並びにアルキルアミンのような有機アミンの塩等であるものも本発明のアゾ化合物である。
アゾ化合物(I)又は(II)に含まれるスルホ及びカルボキシがナトリウム塩であると、偏光膜基材に含有させやすい傾向があることから好ましい。
アゾ化合物(I)をナトリウム塩として表すと、例えば、下記式が例示される。
Figure 2007238888
アゾ化合物(II)のナトリウム塩としては、例えば、下記式が例示される。
Figure 2007238888
アゾ化合物(I)若しくは(II)又はその塩は、例えば、下記方法によって製造することができる。
即ち、アゾ化合物(I)は、下記式(III)
Figure 2007238888
(式中、R3、Y及びnは前記と同じ意味を表す。)
で示されるアミド化合物と、下記式(VI)
Figure 2007238888
(式中、R1、R2、Xは前記と同じ意味を表す。)
で示される化合物を酸性の水性媒体中において5〜40℃の温度範囲で亜硝酸ナトリウムと反応させて得たジアゾ化合物とを、反応させることによって製造することができる。
また、アミド化合物(III)は、下式(V)
Figure 2007238888
(式中、nは前記と同じ意味を表す。)
で示されるナフトール化合物を、該ナフトール化合物(V)における−NHに−CO−Y−R3(Y及びR3は前記と同じ意味である)を導入し得るような酸無水物又は酸ハロゲン化合物と反応させることによって、製造することができる。
更に、アゾ化合物(II)はR2がメトキシであるアゾ化合物(I)を常法により錯銅化することによって製造することができる。
アゾ化合物(I)又は(II)、及びそれらの塩を偏光膜基材に含有させて偏光膜とする場合は、他の有機染料と併用することにより、色相を補正し、偏光性能を向上させることができる。この場合に用いられる有機染料としては、二色性の高いものであればいかなる染料でもよいが、特に耐光性に優れる染料を選択することにより、液晶プロジェクター用途に適した偏光膜とすることができる。
かかる有機染料の具体例としては、カラー・インデックス・ジェネリック・ネーム(Color Index Generic Name)で表して、以下のものが例示される。
シー・アイ・ダイレクト・イエロー 12
シー・アイ・ダイレクト・イエロー 28
シー・アイ・ダイレクト・イエロー 44
シー・アイ・ダイレクト・オレンジ 26
シー・アイ・ダイレクト・オレンジ 39
シー・アイ・ダイレクト・オレンジ 107
シー・アイ・ダイレクト・レッド 2
シー・アイ・ダイレクト・レッド 31
シー・アイ・ダイレクト・レッド 79
シー・アイ・ダイレクト・レッド 81
シー・アイ・ダイレクト・レッド 117
シー・アイ・ダイレクト・レッド 247
本発明の偏光膜は、アゾ化合物(I)、アゾ化合物(I)の塩、アゾ化合物(II)及びアゾ化合物(II)の塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、必要に応じて、さらに他の有機染料とを含んでなる二色性染料を、偏光膜基材である高分子フィルムに公知の方法で含有させることによって、製造することができる。この高分子フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール系の樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル(EVA)樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂等からなるものが利用される。ここでいうポリビニルアルコール系の樹脂には、ポリ酢酸ビニルの部分又は完全ケン化物であるポリビニルアルコール自体の他、ケン化EVA樹脂のような、酢酸ビニルと他の共重合可能な単量体、例えば、エチレンやプロピレンのようなオレフィン類、クロトン酸やアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸のような不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、ビニルエーテル類等との共重合体のケン化物、さらにはポリビニルアルコールをアルデヒドで変性したポリビニルホルマールやポリビニルアセタール等も包含される。偏光膜基材としては、ポリビニルアルコール系のフィルム、特にポリビニルアルコールフィルムが、染料の吸着性及び配向性の点から好適に用いられる。
このような高分子フィルムに上記染料を含有させるにあたっては、通常、高分子フィルムを染色する方法が採用される。染色は、例えば次のようにして行うことができる。先ず、前記染料を水に溶解して染浴を調製する。染浴中の染料濃度は特に制限されないが、通常は0.0001〜10重量%の範囲から選択される。又、必要により染色助剤を用いてもよく、例えば、芒硝を染浴中で0.1〜10重量%用いるのが好適である。このようにして調製した染浴に高分子フィルムを浸漬し、染色を行う。染色温度は、好ましくは40〜80℃である。染料の配向は、高分子フィルムを延伸することによって行われる。延伸する方法としては、例えば湿式法や乾式法等のいずれの方法を採用してもよい。高分子フィルムの延伸は、染色の前に行っても、染色の後に行ってもよい。
染料を含有させ、配向させた高分子フィルムは、必要に応じて、公知の方法によりホウ酸処理等の後処理が施される。このような後処理は、偏光膜の光線透過率、偏光度及び耐久性を向上させる目的で行われる。ホウ酸処理は、用いる高分子フィルムの種類や用いる染料の種類によって異なるが、一般的には1〜15重量%、好ましくは5〜10重量%の範囲の濃度のホウ酸水溶液を用いて、30〜80℃、好ましくは50〜80℃の温度範囲で行われる。更に必要に応じて、カチオン系高分子化合物を含む水溶液でフィックス処理を併せて行ってもよい。
このようにして得られる染料系偏光膜は、その片面又は両面に、光学的透明性及び機械的強度に優れる保護膜を貼合して、偏光板とすることができる。保護膜を形成する材料は、従来から使用されているものでよく、例えば、セルロースアセテート系フィルムやアクリル系フィルムのほか、四フッ化エチレン/六フッ化プロピレン共重合体のようなフッ素樹脂系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリアミド系フィルム等が用いられる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例により、何ら限定されるものではない。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、重量%及び重量部である。
実施例1
<アゾ化合物(I−1)の製造例>
式(V-1)
Figure 2007238888
で示されるナフトール化合物358部を、水3500部とN−メチル−2−ピロリジノン3500部の混合液に加え、10℃で攪拌した。苛性水でpHを5.5に維持しながら無水コハク酸300部を2時間半かけて添加し、添加終了後、更に1時間攪拌し、式(III-1)
Figure 2007238888
で示されるナフトール化合物を得た。
別途、式(IV-1)
Figure 2007238888
で示される化合物320部と亜硝酸ナトリウム30部を水1500部に加えた後、常温で35%塩酸120部を加えて2時間攪拌し、ジアゾ化合物の反応液を得た。
一方、先に得たナフトール化合物(III-1)の230部を水700部とN−メチル−2−ピロリジノン700部の混合液に加えた後、10℃で攪拌した。この反応液に、先に得たジアゾ化合物の反応液を1時間かけて、炭酸ナトリウム水溶液で反応液のpHを7で維持しつつ、添加し、添加終了後、更に1時間攪拌してカップリング反応を行い、前記式(I-1)で示されるアゾ化合物を得た。
<アゾ化合物(II−1)の製造例>
式(I-1)で示される化合物8部を水500部に加え、無水硫酸銅6部、モノエタノールアミン8部を加えて95℃に加熱し、12時間反応させた。次いで、30℃までに冷却した後、35%塩酸を加えて、pH7とし、ついで塩化ナトリウムを用いて塩析し、析出した結晶を濾過し、式(II-1)で示されるアゾ化合物を得た。
<偏光膜の製造例>
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム[クラレビニロン#7500、(株)クラレ製品]を縦一軸に5倍延伸して、偏光膜基材とした。このポリビニルアルコールフィルムを緊張状態に保ったまま、<アゾ化合物(II−1)の製造例>で得たアゾ化合物(II-1)を0.025%、芒硝(染色助剤)を0.2%の濃度とした70℃の水溶液に浸漬した。次に78℃の7.5%ホウ酸水溶液に5分間浸漬後、取出し、20℃の水で20秒間洗浄し、50℃で乾燥して偏光膜を得た。得られた偏光膜のλmax (膜の延伸方向の透過率が最小となる波長)は550nmであった。
得られた偏光膜の偏光度を測定した結果、単体透過率41%における偏光度は、99.95%であった。
(比較例1)
アゾ化合物(I-1)を含む偏光膜の代わりに、特許文献1の実施例6の番号3に記載されている化合物を用いて、実施例1と同様にして偏光膜を得た。得られた偏光膜のλmax (膜の延伸方向の透過率が最小となる波長)は440nmであった。得られた偏光膜の偏光度を測定した結果、単体透過率41%における偏光度は、99.56%であり、本発明の偏光膜より偏光度が及ばなかった。
本発明の偏光膜は、高い偏光性能に加え、耐光性に優れることから、カーナビゲーション、液晶プロジェクター、プロジェクション用テレビなどの液晶表示装置等に用いられる。

Claims (10)

  1. 式(I)又は(II)で示されるアゾ化合物。
    Figure 2007238888
    (式中、Xは、スルホ若しくはカルボキシを有するフェニル、又は、X内に1〜3個のスルホを有するナフチルを表す。該フェニルは低級アルキル若しくは低級アルコキシを有していてもよい。R及びR2はそれぞれ独立に水素、低級アルキル又は低級アルコキシを表す。nは0又は1を表す。Yは炭素数1〜4のアルキレン、又は−CH=CH−を表す。R3はスルホ、カルボキシ又は低級アルコキシカルボニルを表す。)
  2. Xが、スルホ及び/若しくはカルボキシを1若しくは2個有するフェニル、又は、2〜3個のスルホを有する2−ナフチルである、請求項1に記載のアゾ化合物。
  3. 1又はR2が、それぞれ独立に水素、メチル又はメトキシである、請求項1又は2に記載のアゾ化合物
  4. Yが、メチレン又はエチレンである、請求項1〜3のいずれかに記載のアゾ化合物。
  5. nが1である請求項1〜4のいずれかに記載のアゾ化合物。
  6. 3がメトキシカルボニル(−C(=O)−OCH)である請求項1〜5のいずれかに記載のアゾ化合物。
  7. 請求項1〜6に記載のアゾ化合物に含まれるスルホ及びカルボキシの少なくとも1個が、アルカリ金属、アンモニウム及び有機アミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の塩であるアゾ化合物。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載のアゾ化合物及び/又は請求項7の塩を偏光膜基材に含有してなる偏光膜。
  9. 偏光膜基材が、ポリビニルアルコール系の樹脂からなるフィルムである請求項8に記載の偏光膜。
  10. 請求項8又は9に記載の偏光膜を有する液晶表示装置。
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