JP2007238427A - 被覆粒状有機肥料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】化学合成緩効性窒素肥料を含有する粒子を芯とし、そのまわりを有機系肥料で被覆し成形してなる被覆粒状有機肥料であり、化学合成緩効性窒素肥料を含有する粒子の粒径が0.5〜4.5mmである被覆粒状有機肥料。
【選択図】 なし
Description
(1)化学合成緩効性窒素肥料粒子(化学合成緩効性窒素肥料を含有する粒子)を芯とし、そのまわりを有機系肥料で被覆し成形してなる被覆粒状有機肥料であり、化学合成緩効性窒素肥料粒子の粒径が0.5〜4.5mmである被覆粒状有機肥料。
(2)化学合成緩効性窒素肥料が、脂肪族アルデヒド縮合尿素である前記(1)記載の被覆粒状有機肥料。
(3)脂肪族アルデヒド縮合尿素が、アセトアルデヒド縮合尿素、イソブチルアルデヒド縮合尿素、メチロール尿素重合肥料、グリオキサール縮合尿素、及びホルムアルデヒド加工尿素肥料の群から選ばれた少なくとも1種である前記(1)または(2)記載の被覆粒状有機肥料。
(4)脂肪族アルデヒド縮合尿素が、アセトアルデヒド縮合尿素である前記(2)記載の被覆粒状有機肥料。
(5)被覆粒状有機肥料が、全リン酸をP2O5換算で、被覆粒状有機肥料に対して0.01〜5重量%含有する前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の被覆粒状有機肥料。
(6)化学合成緩効性窒素肥料粒子が、含有する化学合成緩効性窒素肥料100重量部に対して、難水溶性リン酸質肥料をP2O5換算で0.01〜5重量部含有する前記(1)〜(5)のいずれか1項記載の被覆粒状有機肥料。
(7)難水溶性リン酸質肥料が、リン鉱石、熔成リン肥、及び焼成リン肥から選ばれた1種以上である前記(6)記載の被覆粒状有機肥料。
(8)化学合成緩効性窒素肥料100重量部に対する水溶性リン酸含有割合が、P2O5換算で0.5重量部以下である前記(1)〜(7)のいずれか1項記載の被覆粒状有機肥料。
(9)被覆粒状有機肥料が、撥水性物質を被覆粒状有機肥料に対して0.1〜20重量%含有する前記(1)〜(8)のいずれか1項記載の被覆粒状有機肥料。
(10)化学合成緩効性窒素肥料粒子が、撥水性物質を化学合成緩効性窒素肥料粒子に対して0.1〜20重量%含有する前記(1)〜(8)のいずれか1項記載の被覆粒状有機肥料。
(11)被覆粒状有機肥料の平均粒径が、2〜15mmである前記(1)〜(10)のいずれか1項記載の被覆粒状有機肥料。
(12)粒径が0.5〜4.5mmである化学合成緩効性窒素肥料粒子の表面に、転動造粒法または攪拌型混合造粒法によって、有機系肥料を被覆することを特徴とする前記(1)〜(11)のいずれか1項記載の被覆粒状有機肥料の製造方法。
尚、全リン酸含有量はキノリン重量法(第2改訂詳解肥料分析法、(株)養賢堂発行、に記載の方法)で測定することができる。
式:難水溶性リン酸質肥料/2重量%クエン酸水溶液(重量比)=0.013
また、本発明の被覆粒状有機肥料1粒の中に、化学合成緩効性窒素肥料粒子は1粒以上入っていればよく、好ましくは1〜10粒である。
有機質肥料とは、例えば魚かす粉末、干魚肥料粉末、魚節煮かす、甲殻類質肥料粉末、蒸製魚鱗及びその粉末、肉かす粉末、肉骨粉、蒸製てい角粉、蒸製てい角骨粉、蒸製毛粉、乾血及びその粉末、生骨粉、蒸製骨粉、蒸製鶏骨粉、蒸製皮革粉、干蚕蛹粉末、絹紡蚕蛹くず等の動物性のもの、大豆油粕及びその粉末、菜種油粕及びその粉末、わたみ油粕及びその粉末、落花生油粕及びその粉末、ごま油粕及びその粉末、米ぬか油粕及びその粉末、その他の草本性植物油粕及びその粉末、とうもろこし胚芽油粕及びその粉末、たばこくず肥料粉末、豆腐かす乾燥肥料、乾燥菌体肥料等の植物性のもの、魚廃物加工肥料、副産動物質肥料、副産植物質肥料、加工家きんふん肥料、混合有機質肥料である。
尿素60gを水60mLに溶解し、濃塩酸8.5mLを加え、氷冷下にアセトアルデヒド30gを滴下し、50℃で4時間攪拌しながら反応させ析出した結晶を濾過し、水で洗浄した後に減圧乾燥してCDU(純度99.9%以上)を得た。得られたCDUを篩い、目開き150μmの篩いの目をパスした粉粒体を以下の試験に用いた。
窒素(N):農林水産省農業環境技術研究所「肥料分析法(一九九二年版)」((財)日本肥糧検定協会、1992年12月発行)に従い、全窒素含有量は硫酸法等で測定した。また、CDU窒素含有量は、ジメチルアミノベンズアルデヒド法(「改訂詳解肥料分析法」、養賢堂、1973年1月発行、p.69−p.72に記載の方法)で測定した。
リン酸(P2O5):農林水産省農業環境技術研究所「肥料分析法(一九九二年版)」((財)日本肥糧検定協会、1992年12月発行)に従い、全リン酸含有量はキノリン重量法で測定した。同様に、難水溶性リン酸はク溶性リン酸として抽出、測定した。
(1)化学合成緩効性窒素肥料粒子(芯)の製造
前記のCDU粉体89%、尿素(関東化学(株)製、試薬特級)5%、熔成リン肥(南九州化学工業(株)製、くみあい熔リン20−15−20(商品名)の篩分品(180μmの篩いを通り、150μmの篩いを通らないもの))1%、撥水性物質(カスターワックスFP(商品名)、小倉合成工業(株)製、硬化ひまし油、融点81℃)5%の割合で投入量の合計が20kgとなるように、容量50Lの球形混合機に投入し、内容物温度が50℃になるように加温しながら5分間混合して、混合物を得た。
ついで、該混合物1kgを直径120cmの回転皿型パン造粒機に入れ、40rpmの回転速度で該混合物を転動させながら水及び混合物を少量ずつ添加し、平均粒径が1.3mm程度になるまで造粒した。その際、内容物温度が50℃になるようにドライヤーで加温した。造粒後、熱風循環乾燥機を用い120℃の条件下で6時間乾燥し、更に、振動篩で分級して粒径が1.18〜1.40mmの化学合成緩効性窒素肥料粒子を得た。ここで、難水溶性リン酸質肥料の含有割合は、CDU100重量部に対してP2O5換算で0.22重量部であった。また、水溶性リン酸の含有割合は、CDU100重量部に対してP2O5換算で0.01重量部以下(検出限界以下)であった。
実施例1
篩(目開き0.5mm)通過の有機系肥料(蒸製毛粉(羽毛)、南国興産(株)製)75%と前記化学合成緩効性窒素肥料粒子(粒径1.18〜1.40mm、窒素成分31%)25%を均一になるように混合し、造粒水としてポリビニルアルコール(商品名:PVA−117 重合度:1700 ケン化度:98〜99%、クラレ(株)製)3%水溶液を適宜供給しながら転動造粒機で造粒し、熱風循環乾燥機を用い120℃の条件下で6時間乾燥した。乾燥後、篩い分けして、粒径2.0〜4.0mmの被覆粒状有機肥料を得た。肥料成分含有率は全窒素17.3%、全リン酸0.09%であった。
篩(目開き0.5mm)通過の有機系肥料(菜種油かす、全農製)74%、結合材としてリグニンスルホン酸カルシウム(サンエキスP201(商品名)、日本製紙製)1%、前記化学合成緩効性窒素肥料粒子(粒径1.18〜1.40mm、窒素成分31%)25%を均一になるように混合し、水を適宜供給しながら転動造粒機で造粒し、熱風循環乾燥機を用い120℃の条件下で6時間乾燥した。乾燥後、篩い分けして、粒径2.0〜4.0mmの被覆粒状有機肥料を得た。肥料成分含有率は全窒素11.5%、全リン酸1.7%であった。
篩(目開き0.5mm)通過の有機系肥料(菜種油かす、全農製)70%、撥水性物質(カスターワックスFP(商品名)、小倉合成工業(株)製、硬化ひまし油、融点81℃)5%、前記化学合成緩効性窒素肥料粒子(粒径1.18〜1.40mm、窒素成分31%)25%を均一になるように混合し、造粒水としてポリビニルアルコール(商品名:PVA−117 重合度:1700 ケン化度:98〜99%、クラレ(株)製)3%水溶液を適宜供給しながら転動造粒機で造粒した。その際、物温が50℃になるようにドライヤーで加温した。造粒後、熱風循環乾燥機を用い120℃の条件下で6時間乾燥した。乾燥後、篩い分けして、粒径2.0〜4.0mmの被覆粒状有機肥料を得た。肥料成分含有率は全窒素11.3%、全リン酸1.6%であった。
篩(目開き0.5mm)通過の有機系肥料(菜種油かす、全農製)60%、リン酸二アンモニウム(DAP、関東化学製、試薬特級)20%、結合材としてリグニンスルホン酸カルシウム(サンエキスP201(商品名)、日本製紙製)1%と前記化学合成緩効性窒素肥料粒子(粒径1.18〜1.40mm、窒素成分31%)19%を均一になるように混合し、水を適宜供給しながら転動造粒機で造粒し、熱風循環乾燥機を用い120℃の条件下で6時間乾燥した。乾燥後、篩い分けして、粒径2.0〜4.0mmの被覆粒状有機肥料を得た。肥料成分含有率は全窒素13.1%、全リン酸12.1%であった。
篩(目開き0.5mm)通過の有機系肥料(菜種油かす、全農製)74%、結合材としてリグニンスルホン酸カルシウム(サンエキスP201(商品名)、日本製紙製)1%、前記化学合成緩効性窒素肥料粒子の粉砕品(篩(目開き0.425mm)通過品、窒素成分31%)25%の配合割合で混合した後、水分を添加し混練物を得た。次に、該混練物を押出式造粒機(ダイス径3.0mmφ、不二パウダル製)を用いて押出造粒し粒状肥料を得た。該粒状肥料を回転円盤式整粒機(マルメライザーQJ400(商品名)、不二パウダル製)に2.5kg供給し、平滑化処理を行った。処理後、熱風循環乾燥機を用い120℃の条件下で6時間乾燥し、更に、振動篩で分級して粒径2.0〜4.0mmの被覆粒状有機肥料を得た。肥料成分含有率は全窒素11.5%、全リン酸1.7%であった。
篩(目開き0.5mm)通過の有機系肥料(堆肥(牛ふん、鹿児島県いずみ農業協同組合製、JAいずみ有機1号(商品名)粉砕品))60%、リン酸二アンモニウム(DAP、関東化学製、試薬特級)20%、結合材としてリグニンスルホン酸カルシウム(サンエキスP201(商品名)、日本製紙製)1%と前記化学合成緩効性窒素肥料粒子の粉砕品(篩(目開き0.425mm)通過品、窒素成分31%)19%の配合割合で混合した後、水分を添加し混練物を得た。次に、該混練物を押出式造粒機(ダイス径3.0mmφ、不二パウダル製)を用いて押出造粒し粒状肥料を得た。該粒状肥料を回転円盤式整粒機(マルメライザーQJ400(商品名)、不二パウダル製)に2.5kg供給し、平滑化処理を行った。処理後、熱風循環乾燥機を用い120℃の条件下で6時間乾燥し、更に、振動篩で分級して粒径2.0〜4.0mmの被覆粒状有機肥料を得た。肥料成分含有率は全窒素10.5%、全リン酸12.0%であった。
2L容の容器に2mmの篩いを通った風乾土壌(熊本県植木町で採取した黒ボク土)を1kg入れ、そこに実施例1〜4、比較例1〜2の複合肥料を全窒素で1.0g相当量、水を最大容水量の60%になるように入れ混合し無機化土壌サンプルを作成した。
該無機化土壌サンプルが入った容器の上縁をポリエチレンフィルムで覆い25℃の恒温室に静置した。20日または40日経過後に土壌を全て回収し、よく混合した後、そのうち10gを採取した。
採取した土壌中の無機態窒素量をアンモニア態、亜硝酸態、硝酸態窒素の同時浸出測定法(養賢堂 土壌養分測定法 p.197〜p.200に記載の方法)で測定した。
試験は全て3反復制とし、供試土壌に元来含まれていた無機態窒素量を測定するために、肥料を施用していない無肥料区も設けた。各サンプリング日の土壌中のアンモニア態窒素量と硝酸態窒素量を表2に示した。また、これらの値の合計値(無機態窒素合計量、単位:mg/100g風乾土壌)から、下記式に従って無機化率を算出した。
無機化率(%)=(20日または40日培養後の施用土壌に含まれる無機態窒素合計量−20日または40日培養後の無肥料区土壌に含まれる無機態窒素合計量)/施用前の肥料に含まれる全窒素量×100
結果を表3に示した。尚、表中に示した(40日目の無機化率(%)−20日目の無機化率(%))は緩効性の指標であり、20日目の無機化率(%)に比べこの値が著しく少ない場合は緩効性と見なされない。
Claims (12)
- 化学合成緩効性窒素肥料を含有する粒子(以下、化学合成緩効性窒素肥料粒子という)を芯とし、そのまわりを有機系肥料で被覆し成形してなる被覆粒状有機肥料であり、化学合成緩効性窒素肥料粒子の粒径が0.5〜4.5mmである被覆粒状有機肥料。
- 化学合成緩効性窒素肥料が、脂肪族アルデヒド縮合尿素である請求項1記載の被覆粒状有機肥料。
- 脂肪族アルデヒド縮合尿素が、アセトアルデヒド縮合尿素、イソブチルアルデヒド縮合尿素、メチロール尿素重合肥料、グリオキサール縮合尿素、及びホルムアルデヒド加工尿素肥料の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2記載の被覆粒状有機肥料。
- 脂肪族アルデヒド縮合尿素が、アセトアルデヒド縮合尿素である請求項2記載の被覆粒状有機肥料。
- 被覆粒状有機肥料が、全リン酸をP2O5換算で、被覆粒状有機肥料に対して0.01〜5重量%含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の被覆粒状有機肥料。
- 化学合成緩効性窒素肥料粒子が、含有する化学合成緩効性窒素肥料100重量部に対して、難水溶性リン酸質肥料をP2O5換算で0.01〜5重量部含有する請求項1〜5のいずれか1項記載の被覆粒状有機肥料。
- 難水溶性リン酸質肥料が、リン鉱石、熔成リン肥、及び焼成リン肥から選ばれた1種以上である請求項6記載の被覆粒状有機肥料。
- 化学合成緩効性窒素肥料100重量部に対する水溶性リン酸含有割合が、P2O5換算で0.5重量部以下である請求項1〜7のいずれか1項記載の被覆粒状有機肥料。
- 被覆粒状有機肥料が、撥水性物質を被覆粒状有機肥料に対して0.1〜20重量%含有する請求項1〜8のいずれか1項記載の被覆粒状有機肥料。
- 化学合成緩効性窒素肥料粒子が、撥水性物質を化学合成緩効性窒素肥料粒子に対して0.1〜20重量%含有する請求項1〜8のいずれか1項記載の被覆粒状有機肥料。
- 被覆粒状有機肥料の平均粒径が、2〜15mmである請求項1〜10のいずれか1項記載の被覆粒状有機肥料。
- 粒径が0.5〜4.5mmである化学合成緩効性窒素肥料粒子の表面に、転動造粒法または攪拌型混合造粒法によって、有機系肥料を被覆することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載の被覆粒状有機肥料の製造方法。
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