JP6077501B2 - 一粒型配合肥料およびその製造方法 - Google Patents
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Description
また、肥料は、植物栄養分以外にも、土壌環境を改善させる成分(例えば、アルカリ分)を含有している場合は、例えば、酸性土壌に対して、土壌pHを調整することにより、植物の生育について促進することができる。
この被覆肥料では、肥料の表面を、水の浸透が遅い被膜で被覆し、肥料の成分の溶出をコントロールすることで肥料の効能について長期化を目指している。
また、被覆肥料の被覆層としては、硫黄、ポリオレフィン樹脂、アルキッド樹脂、ワックス、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が用いられている。
例えば、環境への負荷の小さい被覆材料として、樹脂の生分解性が期待できることから、エステル結合を有するヒマシ油やヒマシ油誘導体を原料とポリイソシアネートとを反応させたポリウレタン樹脂を被膜として用いることが提案されている(特許文献1)。
しかし、容易に分解される被覆材料を用いると、被覆層が早期に分解される。そのために肥料の溶出が終わるまでの一定期間において被覆層の分解が抑制されるように被覆層の表面に保護層を備えた、被覆肥料が提案されている(特許文献2)。
特許文献1および2に記載の被覆肥料は、被覆層内に水分が侵入して内部の肥料を溶かし、肥料溶液となったものが外部に染み出ることによって、肥料の成分を土壌へ溶出している(図1参照)。
従って、被覆肥料は、構造上、ある一定の肥料成分が、ある一定の濃度で溶出し続けるものであり、複数の問題を抱える土壌に関する土壌環境の改善や、植物における生育ステージごとの栄養吸収量に見合った栄養供給を行う場合には、何種類もの被覆肥料を施肥する必要性があった。従って、肥料の効能の長期化及び効能発現パターンの制御について十分とはいえない。
ここで、上記肥料は、けい酸質肥料又はけい酸加里肥料であり、また上記コーティング層は、石灰成分を含んでいる。
また、一般的に作物の増収を獲得するためには、施肥する土壌環境によっても変わるので、特に限定しないが、多くの場合、初めに土壌pH改善等を行い植物等の生育環境を整えてから植物等を植え、その後植物等が成長するとともに、土壌中の栄養成分が減少していくので、それを補うために栄養成分供給用肥料等を施肥するのが、効率的である。
そのため、一般的な肥料を用いる場合では、数種または数回に分けて施肥しなければならなく、大変手間である。例えば、2種類以上の肥料を、単に混ぜ合わせた混合肥料の場合、一定の成分が溶出するだけで、肥料における成分溶出など制御できず、肥料の効能発現パターンを制御することは困難である。
また、数種類の公知の被覆肥料を用いたとしても、被覆肥料の構造上、肥料粒の表面を、水の浸透が遅い被膜で被覆することにより、成分の溶出をコントロールしているので、施肥する土壌環境(水分含有量や温度)によって、それぞれの被覆肥料における成分の溶出が左右され、肥料の効能発現パターンを制御することは、困難である。
一方、本実施形態の一粒型配合肥料は、土壌などへ施肥した場合、石灰成分を含むコーティング層の成分の方が、コーティングされたけい酸質肥料又はけい酸加里肥料の成分より、速く溶出する傾向にある(図2参照)。すなわち、本実施形態の一粒型配合肥料を施肥した場合、例えば、コーティング層の石灰成分によって、土壌pHを整え、その後、コーティングされたけい酸質肥料又はけい酸加里肥料における効能の遅延化によって、植物の成長するための栄養分を必要とするときに、けい酸質肥料又はけい酸加里肥料の成分の溶出が増え、植物等の成長に必要な栄養分を供給することができる。
従って、一粒型配合肥料において、植物における生育ステージごとに合った植物の生育に関する効能発現パターンを制御することができる。
本実施形態の一粒型配合肥料において、けい酸質肥料は、特に限定しないが、けい灰石肥料、鉱さいけい酸質肥料、軽量気泡コンクリート粉末肥料等が挙げられる。好ましいのは、鉱さいけい酸質肥料である。鉱さいけい酸質肥料は、アルカリ分が高いので、酸性化土壌の改良について有効的であり、また、石灰やマグネシウムや鉄分などの植物の栄養成分を供給することができる。
けい酸質肥料又はけい酸加里肥料の粒子径D50は、例えば、0.05、0.1、0.5、1.0、1.1、2.0、3.0、3.5、3.9、4.0、4.5、5.0、6.0、7.0mm以下であり、ここで例示した数値の何れか2つの値の間の範囲内であってもよい。
けい酸質肥料又はけい酸加里肥料の粒子径D50が7.0mmより大きいと、溶出しきれずに、土中に残る可能性がある。そのため、土壌中の養分過剰が起こる場合がある。また、けい酸質肥料又はけい酸加里肥料の粒子径D50が0.05mmより小さいと、石灰成分を含むコーティング材がうまく付着せずにコーティングできない場合がある。
粒子径分布の測定(D50)は特に限定しないが、粒子径解析−画像解析法−第1部:静止画像解析法(JISZ8827-1)や粒子径解析−レーザー回折法−第1部:測定原理(JIS Z 8825-1)を基にして行うことができる。
なお、硬度試験は、公知の方法を用いることができ、特に限定しないが、一例として、肥料から無作為に20粒ずつ選び、簡易粒体硬度計〔FUJIWARA HARDNESS TESTER,CAP20kg,GRAD50g〕を用いて測定した測定値の平均値を求めて、硬度(kg)を測定することができる。
本実施形態の一粒型配合肥料において、コーティング層は、少なくとも石灰成分を含んでいる。
上記石灰成分によって、例えば、中・長期的な土壌pH維持をすることができる。そうすることで、けい酸質肥料又はけい酸加里肥料の利用率向上と作物の増収効果が向上する。
また、石灰成分によって、植物の成長に関する栄養成分等を供給することが可能となる。
コーティング層における石灰成分の含有比率が、1.0%未満の場合、土壌pHを整えることができない場合がある。また、二種類以上の石灰成分を併用しても良い。
また、上記バインダーとして、特に限定しないが、水溶性バインダーが好ましい。水溶性バインダーとして、例えば、廃糖蜜、ステフェン廃水濃縮液、アルコール発酵廃液、ポリビニルアルコール、可溶性澱粉、リグニン、リグニン酸塩、カルボキシメチルセルローズ、サルファイトパルプ副生物等があげられる。
コーティング層の組成を変更することによって、コーティングされるけい酸質肥料又はけい酸加里肥料の成分の溶出を調整することができる。さらに、コーティング層における成分の溶出も調整することができる。
例えば、一粒型配合肥料における体積を100%として、コーティング層が石灰成分(体積比25%)とけい酸質肥料(体積比25%)とし、コーティングされる肥料をけい酸質肥料(体積比50%)とした場合、初めに、コーティング層の成分(石灰成分およびけい酸質肥料)が溶出し始める。その後、コーティングされたけい酸質肥料が溶出する。つまり、コーティング層の溶出後に、けい酸質肥料の成分溶出が約2倍に増えることになる。
従って、上記のようにコーティング層におけるけい酸質肥料の配合を調整することで、一粒型配合肥料が全て溶出する間に、けい酸質肥料の成分溶出量を調節することができる。
つまり、本実施形態の一粒型配合肥料において、所望する成分溶出量について強弱をつけることが可能となる。従って、植物における生育ステージごとの栄養吸収量に見合った栄養供給をすることが可能となる。
本実施形態の一粒型配合肥料におけるコーティング層の石灰成分は、特に限定しないが、例えば、酸化カルシウムや水酸化カルシウムや貝の殻の破砕物または石灰質肥料が挙げられる。好ましくは、貝の殻の破砕物または石灰質肥料である。そうすることで、貝の殻の破砕物または石灰質肥料の成分によって、植物等を生育させるための土壌環境を整えることができる。
なお、石灰質肥料の原料は、特に限定しないが、例えば、貝の殻の破砕物が好ましい。そうすることで、肥料取締法に基づく公定規格をクリアできる貝の殻の破砕物を用いることができるので、より植物の生育に関する成分が優れており、またその効能が期待できる。また、貝の殻の破砕物は、単独で使用しても、二種類以上併用しても良い。また、石灰質肥料の原料として、貝の殻の破砕物以外のものを含んでいてもよい。
また、上記貝の殻として、好ましくは、カキ殻を用いることができる。カキ殻は、大量かつ容易に入手することができるので、コストを軽減することができる。さらに、カキ殻には、天然のミネラル分を多く含んでいる傾向があり、その天然のミネラル分によって、土壌中の有用微生物等を増殖させることができる。貝の殻は、単独で使用しても、二種類以上併用しても良い。
本実施形態の一粒型配合肥料において、コーティング層の平均厚さは、特に限定しないが、0.1mm以上5.0mm以下が好ましい。より好ましいのは、0.5mm以上2.0mm以下である。
コーティング層の平均厚さは、例えば、0.1、0.5、1.0、1.1、2.0、3.0、3.5、3.9、4.0、4.5、5.0mm以下であり、ここで例示した数値の何れか2つの値の間の範囲内であってもよい。
コーティング層の平均厚さが、0.1mm未満の場合、土壌pHを中・長期的に整えることができない場合がある。また、コーティング層の厚さが5.0mmより大きい場合、土壌中の養分過剰が起こる場合がある。
コーティング層の平均厚さの測定については、特に限定しないが、例えば、無作為に本実施形態の一粒型配合肥料10個を選び、一粒型配合肥料に対して垂直に切断をして、コーティング層の厚さの測定後、平均値を求める。
本実施形態において、一粒型配合肥料の形状は、一粒型であれば特に限定しないが、より好ましいのは、一粒型配合肥料の平均アスペクト比が、0.7以上1以下である。平均アスペクト比が、0.7以上1以下である真円形または真円形に近い粒子であれば、一粒型配合肥料の表面における成分が均等に土壌へ溶出することができる。
一粒型配合肥料の粒子径D50は、0.1、0.5、1.0、1.1、2.0、3.0、3.5、3.9、4.0、4.5、5.0、6.0、7.0、8.0mm以下であり、ここで例示した数値の何れか2つの値の間の範囲内であってもよい。
一粒型配合肥料の粒子径D50が8.0mmより大きいと、一粒型配合肥料が溶出しきれずに、土中に残る可能性がある。そのため、土壌中において養分過剰が起こる場合がある。また、一粒型配合肥料の粒子径D50が0.1mmより小さいと、一粒型配合肥料成分の溶出効果が短くなる場合がある。
また、一粒型配合肥料の粒子径D50が、1.0mm以上4.0mm以下であると、機械散布がスムーズにできて、一粒型配合肥料成分の溶出効果が所望する長さに持続する傾向になる。
一粒型配合肥料におけるアルカリ分は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22%以上であり、ここで例示した数値の何れか2つの値の間の範囲内であってもよい。なお、一粒型配合肥料のけい酸含有率は、肥料等試験法の可溶性けい酸・ふっ化カリウム法により分析した分析値を示す。
なお、肥料における可溶性けい酸含有量の測定方法は、肥料分析法で定められた0.5mol/L塩酸抽出法にて測定される。
なお、けい酸を例えば、水稲に吸収させると、水稲の受光態勢が改善され、根痛みも少なくなり、光合成が盛んになる傾向が見られる。
しかし、一般的にけい酸は、水に溶解しにくい物質であるため、植物に吸収されにくいとされている。そこで、肥料の公的規格においては、肥料分析法で定められた0.5mol/L塩酸抽出法を用いて、可溶性けい酸量を求める。可溶性けい酸量を測定することで、肥料が含有する植物が吸収できるけい酸量を評価することができる。
ただし、求めた可溶性けい酸量が、実際の植物におけるけい酸吸収量を反映しない場合があり、特に鉱さいけい酸質肥料においては、顕著に反映されない場合がある。そのため、肥料における植物が吸収できるけい酸量を評価するためには、特に限定しないが、可給態けい酸量を測定するのが好ましい。可給態けい酸量の測定方法は、強酸性下で抽出を行う可溶性けい酸量測定方法とは異なり、pH6−7付近で行うのが主流とされている。そのため、より土壌のpHに近い状態でけい酸を抽出し測定するために、より植物が吸収できるけい酸量を評価することができると言われている。
一粒型配合肥料における可給態けい酸含有率が多いほど、土壌へのけい酸成分溶出量が増し、そのため、植物等のけい酸成分吸収量が増え、植物等の生育がよくなる傾向になる。なお、可給態けい酸は、可溶性けい酸より、土壌へのけい酸成分の溶出量が高い傾向にある。
肥料から可給態けい酸を抽出した抽出液を、比色法や発光分析法などにて、けい酸濃度を測定することで、肥料における可給態けい酸含有率を測定することができる。
肥料から可給態けい酸を抽出した抽出液を、特に限定しないが、分光光度計や発光分光分析装置(例えば、ICP光源など)等を用いて吸光度を求めることによって、肥料における可給態けい酸含有率を測定することができる。
マグネシウム成分は、葉緑素の主要構成要素であるので、植物にマグネシウムが供給されると、植物中の葉緑素が増え、光合成を高めて生育を促進する。またマグネシウム成分は、根においてけい酸の吸収を助けるために、植物の生育が促進される。
鉄成分またはマンガン成分は、特に夏場の高温期の土壌において発生する硫化水素と結合し、硫化鉄や硫化マンガンとなる。そのために、土壌中の硫化水素を低減し、無害化するために、植物の根が傷むのを防ぐ効果がある。
また、本実施形態の一粒型配合肥料におけるマグネシウム成分含有率は、特に限定しないが、一粒型配合肥料における全ての成分を100%とした場合、0.5%以上が好ましい。一粒型配合肥料におけるマグネシウム成分含有率は、0.5、1、2、3、4、5、6、7%以上であり、ここで例示した数値の何れか2つの値の間の範囲内であってもよい。
また、本実施形態の一粒型配合肥料における鉄成分含有率は、特に限定しないが、一粒型配合肥料における全ての成分を100%とした場合、2%以上が好ましい。より好ましくは、5%以上である。一粒型配合肥料における鉄成分含有率は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18%以上であり、ここで例示した数値の何れか2つの値の間の範囲内であってもよい。
また、本実施形態の一粒型配合肥料におけるマンガン成分含有率は、特に限定しないが、一粒型配合肥料における全ての成分を100%とした場合、0.1%以上が好ましい。
一粒型配合肥料におけるマンガン成分含有率は、0.1、0.5、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、10%以上であり、ここで例示した数値の何れか2つの値の間の範囲内であってもよい。
本実施形態に係る一粒型配合肥料の製造方法は、粒状のけい酸質肥料又はけい酸加里肥料の表面に、石灰成分を含むコーティング材をコーティングする工程を含む。以下、本実施形態の一粒型配合肥料の製造方法について詳細に説明する。
けい酸資材は、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどの副資材が含まれており、特に、けい酸資材に含まれる遊離石灰は、土壌へ即効的なカルシウム供給効果を有する。
なお、鉱さいとして、例えば、高炉さいや転炉さい等が挙げられる。鉱さいは、植物の成長を助ける鉄分やマグネシウム等を含んでおり、けい酸質肥料とした場合、植物成長促進効果が期待できるからである。
また、転炉さいは、遊離石灰による即効的なアルカリ供給と、ケイ酸カルシウムによる緩効的で持続的なアルカリ供給という2段階の作用を有している傾向にあるので、例えば、酸性雨が降る地域などで土壌pHが低くなる土壌において用いることで、土壌pH維持がより効果的になる。
好ましくは、けい酸質肥料の原料は、粉末状である。また、粒子径D50が大きいものは、造粒する際に、きれいな形状の粒子ができにくいので、微粉砕したものの方が望ましい。けい酸質肥料の原料の粒子径D50は、特に限定しないが、1.0mm以下が好ましい。けい酸質肥料の原料の粒子径D50は、0.001、0.01、0.05、0.1、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、0.9、1.0mm以下であり、ここで例示した数値の何れか2つの値の間の範囲内であってもよい。
また、粒状のけい酸質肥料又はけい酸加里肥料の原料の平均アスペクト比は、例えば、0.7、0.71、0.75、0.8、0.85、0.89、0.9、0.91、0.95、0.99、1以下であり、ここで例示した数値の何れか2つの値の間の範囲内であってもよい。
例えば、けい酸質肥料又はけい酸加里肥料の表面に石灰成分を含むコーティング層を備え、さらに上記石灰成分を含むコーティング層の表面にけい酸質肥料又はけい酸加里肥料を備えて、3層の一粒型配合肥料としても良い。そうすることで、肥料の効能発現パターンを制御することができる。
コーティング層とコーティングされる肥料の組成が同じである場合は、それぞれの物性(例えば、水分含有量や硬度等)を変更することによって、成分溶出の遅延効果を制御できるので、上記一粒型配合肥料における成分溶出量に対して強弱をつけることが可能となる。例えば、上記一粒型配合肥料が二層の場合は、二段階の成分溶出量を提供することができる。即ち、植物における生育ステージごとの栄養吸収量に見合った栄養供給をすることが可能となる。
けい酸質肥料の原料として、鉱さいを適度な大きさに粉砕した。その後、JIS Z 8801における目開き1mmの篩を通過した粉末のけい酸質肥料の原料を得た。この粉末のけい酸質肥料の原料と廃糖蜜とを、重量比で96.5:3.5の割合で、ブレンダーに仕込んでよく混練した。
次にこの混練物を造粒機に仕込んで、水を少量噴霧しながら造粒した。次に、JIS Z 8801における目開き2.1mmの篩を通過しJIS Z 8801における目開き1.9mm篩を通過できなかったほぼ真球形の鉱さいけい酸肥料を得た。
作製された鉱さいけい酸肥料とコーティング材としてカキ殻粉砕物(粒子径D50が0.05mm)とを、重量比で80:20の割合で造粒機に入れて、水を少量ずつ噴霧しながら、鉱さいけい酸肥料をカキ殻粉砕物にてコーティングし造粒した。その後、乾燥させて、JIS Z 8801における目開き3.1mmの篩を通過しJIS Z 8801における目開き2.9mm篩を通過できなかったほぼ真円形の粒子(平均アスペクト比が0.9)を得た。なお、作製された一粒型配合肥料のコーティング層の平均厚さは、0.5mmであった。
このような造粒により、鉱さいけい酸肥料にカキ殻粉末をコーティングした作物に最適な施肥しやすい一粒型配合肥料が得られた。
なお、粒状のけい酸質肥料又はけい酸加里肥料の原料における平均アスペクト比の測定については、一粒型配合肥料の代わりに粒状のけい酸質肥料又はけい酸加里肥料の原料を用いる以外は、一粒型配合肥料の平均アスペクト比の測定と同様に行った。
作製された一粒型配合肥料の可給態けい酸含有率は、5.0%であった。
なお、作製された一粒型配合肥料を作物に施肥した場合、施肥しやすく、作物の生育が良好であった。(表1に示す。)
けい酸質肥料の原料として、可給態ケイ酸の多い鉱さいを用いる以外は、実施例1と同様に行った。
作製された一粒型配合肥料の可給態けい酸含有率は、7.0%であった。
なお、作製された一粒型配合肥料を作物に施肥した場合、施肥しやすく、作物の生育が極めて良好であった。(表1に示す。)
カキ殻粉砕物の代わりに、うらべ粉状石灰質肥料(卜部産業株式会社製)を用いる以外は、実施例2と同様に行った。
作製された一粒型配合肥料の可給態けい酸含有率は、7.0%であった。
なお、作製された一粒型配合肥料を作物に施肥した場合、施肥しやすく、作物の生育が極めて良好であった。(表1に示す。)
実施例1の一粒型配合肥料を、JIS Z 8801における目開き4mmの篩を通過し、かつJIS Z 8801における目開き1mmの篩を通過できなかった一粒型配合肥料を取得し、施肥した。
施肥しやすく、作物の生育が極めて良好であった。(表1に示す。)
総量に対して13重量%のく溶性加里、30重量%の可溶性けい酸、5重量%のく溶性苦土になるように、
微粉炭燃焼と水酸化カリウム及び水酸化マグネシウムを混合した。次に、その混合物と廃糖蜜とを、重量比で96.5:3.5の割合で、ブレンダーに仕込んでよく混合後、造粒機に投入し、造粒した。
造粒後は、約900°Cで焼成し、けい酸加里肥料を作製した。その後、作製されたけい酸加里肥料とうらべ粉状石灰質肥料(卜部産業株式会社製)とを、重量比で80:20の割合で造粒機に仕込み、水を少量ずつ噴霧しながら、けい酸加里肥料をうらべ粉状石灰質肥料にてコーティングし造粒した。その後、乾燥させて、粒子径D50が2mmのほぼ真円形の粒子(平均アスペクト比が0.9)を得た。なお、作製された一粒型配合肥料のコーティング層の平均厚さは、0.5mmであった。
このような造粒により、けい酸加里肥料にカキ殻粉末をコーティングした、作物に最適な施肥しやすい一粒型配合肥料が得られた。
作製された一粒型配合肥料の可給態けい酸含有率は、4.5%であった。
なお、作製された一粒型肥料を作物に施肥した場合、施肥しやすく、作物の生育が良好であった。(表1に示す。)
けい酸質肥料の原料として、ケイ酸資材(鉱さい)を適度な大きさに粉砕した。その後、1mmを超えるものを選別し除去して、粉末のけい酸質肥料の原料を得た。次に、粉末のけい酸質肥料の原料と廃糖蜜とを重量比で96.5:3.5の割合で、ブレンダーに仕込んでよく混練した。
この混練物とカキ殻粉砕物(粒子径D50が0.05mm)とを、重量比で80:20の割合でよく混練した。 次に造粒機に仕込んで、水を少量噴霧しながら造粒し、その後、乾燥させて、JIS Z 8801における目開き3.1mmの篩を通過しJIS Z 8801における目開き2.9mm篩を通過できなかったほぼ真円形(平均アスペクト比が0.9)の一粒型混合肥料を得た。
作製された一粒型混合肥料の可給態けい酸含有率は、5.0%であった。
作製された一粒型混合肥料を作物に施肥した場合、実施例1−4における一粒型配合肥料に比べ、作物の生育が劣った。(表1に示す。)
鉱さいを適度な大きさに粉砕し、JIS Z 8801における目開き1mmの篩を通過した粉末の鉱さいけい酸質肥料を得た。次に、粉末の鉱さいけい酸質肥料と廃糖蜜とを、重量比で96.5:3.5の割合で、ブレンダーに仕込んでよく混練した。
この混練物を造粒機に仕込んで、水を少量噴霧しながら造粒した。そして、篩を用いてJIS Z 8801における目開き3.4mmの篩を通過しJIS Z 8801における目開き3.2mm篩を通過できなかった鉱さいけい酸肥料を選別した。
選別した鉱さいけい酸肥料とコーティング材として有機石灰セルカ(卜部産業株式会社製)とを、重量比で70:30の割合で造粒機に入れて、水を少量ずつ噴霧しながら、鉱さいけい酸肥料を有機石灰セルカ(副産石灰肥料)にてコーティングし造粒した。
その後、乾燥させてJIS Z 8801における目開き4.1mmの篩を通過しJIS Z 8801における目開き3.9mm篩を通過できなかった一粒型配合肥料を選別した。
なお、作製された一粒型配合肥料は、ほぼ真球形であった。また作製された一粒型配合肥料のコーティング層の平均厚さは、0.7mmであり、可給態ケイ酸含有率は、9.2%であった。
実施例6と同様に、粉末の鉱さいけい酸質肥料を作製した。次に、粉末の鉱さいけい酸質肥料と有機石灰セルカとを、重量比で7:3の割合で、ブレンダーに仕込んでよく混練した。この混練物を造粒機に仕込んで、水を少量噴霧しながら造粒した。篩を用いてJIS Z 8801における目開き4.1mmの篩を通過しJIS Z 8801における目開き3.9mm篩を通過できなかった一粒型混合肥料を選別した。また、作製された一粒型混合肥料は、ほぼ真球形であり、可給態ケイ酸含有率は、8.6%であった。
JIS Z 8801における目開き4.1mmの篩を通過しJIS Z 8801における目開き3.9mm篩を通過できなかったものを選別した以外は、実施例6と同様に行い一粒型鉱さいけい酸質肥料を作製した。また、作製された一粒型鉱さいけい酸質肥料の可給態ケイ酸含有率は、12.1%であった。
次に、有機石灰セルカと廃糖蜜とを、重量比で96.5:3.5の割合で、ブレンダーに仕込んでよく混練した。この混練物を造粒機に仕込んで、水を少量噴霧しながら造粒した。次に、篩を用いてJIS Z 8801における目開き4.1mmの篩を通過しJIS Z 8801における目開き3.9mm篩を通過できなかった有機石灰セルカを選別して、一粒型副産石灰肥料を作製した。
上記一粒型鉱さいけい酸質肥料と上記一粒型副産石灰肥料とを重量比で7:3の割合で混合した肥料を作製した。
JIS Z 8801における目開き2mmの篩を通過した風乾土200gをタッパー容器に入れ、その土壌の水分含有量が60%になるように純水を加え調整した。実施例6、比較例2、比較例3の肥料200mgをそれぞれ3つずつタッパー容器の土壌に加え、各タッパー容器の蓋をして25℃で一定期間保存した。一定期間保存後、肉眼で確認できる肥料を取り除いた後にタッパー容器の土壌をよく攪拌し、土壌の全量をバットに広げ室内に放置し風乾した。風乾後、土壌を粉砕しJIS Z 8801における目開き2mmの篩を通過した風乾土を供試土壌とした。この供試土壌のpH、可給態ケイ酸含有量を測定し、平均値を求めた。それぞれの結果を表2、表3に示す。
なお、pH、可給態ケイ酸含有量については、ZAパーソナル(全国農業協同組合連合会)を用いて測定を行った。
一方、比較例2は、土壌pHの上昇とともに土壌中の可給態ケイ酸含有量が上昇している。従って、肥料の効能の遅延化及び効能発現パターンの制御を行えなかった。
また、比較例3においても肥料の効能の遅延化及び効能発現パターンの制御を行えなかった。
実施例7の肥料と比較例5の肥料について、加速試験を行った。実施例7の肥料または比較例5の肥料(約0.5g)を100mLビーカーに入れその後、塩酸(pH4)100g加えた。次にpHメーターをビーカー内の塩酸に浸し撹拌しながらpHを測定した。結果を表4および図4に示す。
鉱さいけい酸質肥料を適度な大きさに粉砕し、JIS Z 8801における目開き1mmの篩を通過した粉末を得た。次に、粉末の鉱さいけい酸質肥料と廃糖蜜とを、重量比で96.5:3.5の割合で、ブレンダーに仕込んでよく混練した。
この混練物を造粒機に仕込んで、水を少量噴霧しながら造粒し一粒型鉱さいけい酸肥料を作製した。
一粒型鉱さいけい酸肥料とコーティング材として有機石灰セルカ(卜部産業株式会社製)とを、重量比で70:30の割合で造粒機に入れて、水を少量ずつ噴霧しながら、鉱さいけい酸肥料を有機石灰セルカ(副産石灰肥料)にてコーティングし造粒した。また、作製された一粒型配合肥料の重さは、約0.5gであった。
実施例7と同様に、粉末の鉱さいけい酸質肥料を作製した。次に、粉末の鉱さいけい酸質肥料と有機石灰セルカとを、重量比で70:30の割合で、ブレンダーに仕込んでよく混練した。この混練物を造粒機に仕込んで、水を少量噴霧しながら造粒した。また、作製された一粒型混合肥料の重さは、約0.5gであった。
Claims (8)
- 肥料の表面にコーティング層を備える一粒型配合肥料であって、
前記肥料は、けい酸質肥料又はけい酸加里肥料であり、
前記コーティング層は、石灰成分を含み、
前記一粒型配合肥料の可給態けい酸含有率が、前記一粒型配合肥料の全成分を100%としたとき、3.0%以上である、
一粒型配合肥料。 - 請求項1に記載の一粒型配合肥料において、
前記石灰成分は、貝の殻の破砕物である、
一粒型配合肥料。 - 請求項2に記載の一粒型配合肥料において、
前記貝は、牡蠣である、
一粒型配合肥料。 - 請求項1に記載の一粒型配合肥料において、
前記石灰成分は、石灰質肥料である、
一粒型配合肥料。 - 請求項1〜4いずれか記載の一粒型配合肥料において、
前記けい酸質肥料は、鉱さいけい酸質肥料である、
一粒型配合肥料。 - 請求項1〜5いずれか記載の一粒型配合肥料の製造方法であって、
粒状の前記けい酸質肥料又はけい酸加里肥料の表面に、前記石灰成分を含むコーティング材をコーティングする工程を含む、
一粒型配合肥料の製造方法。 - 請求項6に記載の一粒型配合肥料の製造方法であって、
前記けい酸質肥料又はけい酸加里肥料の原料および水溶性バインダーを混合して、前記粒状のけい酸質肥料又はけい酸加里肥料を造粒する工程をさらに含む、
一粒型配合肥料の製造方法。 - 肥料の表面にコーティング層を備える一粒型配合肥料であって、
前記肥料は、けい酸質肥料又はけい酸加里肥料であり、
前記コーティング層は、石灰成分を含み、
前記コーティング層は、更に水溶性バインダーを含み、
前記水溶性バインダーが、廃糖蜜、ステフェン廃水濃縮液、アルコール発酵廃液、ポリビニルアルコール、リグニン、リグニン酸塩、カルボキシメチルセルローズ、サルファイトパルプ副生物から選択される少なくとも1つである、
一粒型配合肥料。
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