JP2021001096A - 硫化水素吸着・固定化能に優れる副産石灰肥料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】安価に製造可能であり硫化水素の吸着能・固定化能に優れる副産石灰肥料及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の副産石灰肥料は、鉱さい粉末と牡蠣殻粉末とを含む一粒型副産石灰肥料であって、前記鉱さい粉末は、1.7mmの篩を全通し、600μmの篩を85%以上通過する粒度を有し、鉱さい粉末と牡蠣殻粉末との重量比が、鉱さい粉末/牡蠣殻粉末=15/85〜50/50であり硫化水素吸着・固定化能に優れる。このような副産石灰肥料は、所定量の鉱さいと乾燥した牡蠣殻とを一緒に粉砕する粉砕工程(ステップS1)と、粉砕工程で得られる粉砕物にバインダーを添加し造粒する造粒工程(ステップS2)と、造粒物を乾燥する乾燥工程(ステップS3)とを経て得ることができる。【選択図】図1
Description
本発明は、硫化水素吸着・固定化能に優れる副産石灰肥料及びその製造方法に関する。
稲作の障害として「秋落ち」が知られている。秋落ちとは、穂が出るころから急に生育状態が悪くなり、実入りが少なくなることをいう。水田土壌が高温でたん水状態で還元が進むとき硫酸イオンが還元されて硫化水素が発生する。土壌中に鉄、マンガン等が十分にあれば、硫化水素はこれらと結合して不溶化し無害化されるが、鉄、マンガン等が不足すると硫化水素は遊離状態で存在する。この硫化水素が根の呼吸障害、栄養凋落などを引き起こすことで「秋落ち」が発生する。
秋落ち対策として、鉄鋼スラグ系肥料を施用することが知られている。一方で従来の鉄鋼スラグを原料とした肥料は、意図的に鉄の供給を促進させること、さらには意図的に鉄の溶出を制御することができないとして、高い鉄イオン供給能力を有する、鉄鋼スラグを原料とした肥料及びその製造方法が開発されている(例えば特許文献1参照)。
上記のとおり、これまでにも秋落ち対策用の肥料は開発されているが、より安価で性能に優れた肥料の開発が期待されている。
本発明の目的は、安価に製造可能であり硫化水素の吸着能・固定化能に優れる副産石灰肥料及びその製造方法を提供することである。
本発明は、鉱さい粉末と牡蠣殻粉末とを含む一粒型副産石灰肥料であって、鉱さい粉末は、1.7mmの篩を全通し、600μmの篩を85%以上通過する粒度を有し、鉱さい粉末と牡蠣殻粉末との重量比が、鉱さい粉末/牡蠣殻粉末=15/85〜50/50である硫化水素吸着・固定化能に優れる副産石灰肥料である。
本発明の副産石灰肥料において、前記鉱さいが転炉さいであり、鉱さい粉末と牡蠣殻粉末との重量比が、鉱さい粉末/牡蠣殻粉末=50/50であることを特徴とする。
本発明の副産石灰肥料において、前記牡蠣殻粉末は、熱風乾燥により、牡蠣殻の各層の硬タンパク質を収縮させ、間隙をつくる処理がなされた牡蠣殻粉末であることを特徴とする。
本発明は、前記副産石灰肥料の製造方法であって、粉砕機を用いて、所定量の鉱さいと乾燥した牡蠣殻を一緒に粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程で得られる粉砕物にバインダーを添加し造粒する造粒工程と、造粒物を乾燥する乾燥工程と、を含むことを特徴とする副産石灰肥料の製造方法である。
本発明によれば、安価に製造可能であり硫化水素の吸着能・固定化能に優れる副産石灰肥料及びその製造方法を提供することができる。
本発明の副産石灰肥料は、鉱さい粉末と牡蠣殻粉末とを主成分とする一粒型副産石灰肥料であり、鉱さい粉末と牡蠣殻粉末とに造粒用のバインダーを添加し造粒・乾燥することで得られる硫化水素吸着・固定化能に優れる副産石灰肥料である。
原料である鉱さいは、特定の鉱さいに限定されるものではなく高炉さい、転炉さい、それらの混合物を使用することができ、中でも転炉さいが好ましい。鉱さいには、肥料規格外の鉱さいを使用することができる。この点については、後の本発明の副産石灰肥料の製造方法のところで詳述する。本発明の副産石灰肥料に含まれる鉱さい粉末の粒度は、1.7mmの篩を全通し、600μmの篩を85%以上通過する粒度を有する。
原料である牡蠣殻は、特定のものに限定されるものではなく、従来から肥料等に使用されている牡蠣殻を使用することができ、中でも熱風乾燥処理がなされた牡蠣殻が好ましい。熱風乾燥処理を施し、殻層の硬タンパク質を収縮させ、間隙をつくることにより接触面積が増加し、硫化水素の吸着能が高まる。牡蠣殻からタンパク質を消失させるとき、必ずしも硬タンパク質を完全に消失させる必要はない。
牡蠣殻から硬タンパク質以外を消失させる方法としては、牡蠣殻に対する熱風乾燥に先立ち、長期間の海水堆積(保管)、海水堆積後に陸上堆積(保管)を行えば、少ないエネルギーで効率的に貝柱等のタンパク質を消失させることができる。牡蠣殻粉末の粒度は、肥料規格内となる粒度である。
本発明の副産石灰肥料において、鉱さい粉末と牡蠣殻粉末との重量比は、鉱さい粉末/牡蠣殻粉末=15/85〜50/50の範囲内であり、鉱さい粉末と牡蠣殻粉末との重量比が1:1のものが好ましい。
次に本発明の副産石灰肥料の製造手順を図1を参照しつつ説明する。図1は、本発明の副産石灰肥料の製造手順を示すフローチャートである。
本発明の副産石灰肥料の原料である牡蠣殻は、長期間に渡り海水堆積し、海水堆積後に陸上堆積し、その後に熱風乾燥させたものが好ましい。牡蠣から食用部が取り除かれた牡蠣殻には、貝柱等が残っているが、数か月間海中保管することで貝柱等は分解される。この後、陸上堆積、熱風乾燥処理を経て得られる牡蠣殻は、硬タンパク質を収縮させ、間隙をつくることにより接触面積を増加している。このため臭いも殆どなく、粉砕し易く、また硫化水素の吸着能に優れる。
本発明の副産石灰肥料の原料である鉱さいは、粗く破砕されたものを使用する。このような鉱さいは、肥料規格外であり安価である。
製造手順の第1ステップは、原料である牡蠣殻と鉱さいとを所定の重量比となるように粉砕機に投入し、牡蠣殻と鉱さいとを同時に粉砕機で所定の粒度まで粉砕する粉砕工程である。この粉砕工程では、肥料規格内となるように粉砕する。ここで使用する粉砕機は、牡蠣殻と鉱さいとの混合物を肥料規格内となる粒度まで粉砕することが可能で、牡蠣殻粉末と鉱さい粉末とを十分に混合できるものであればよい。このような粉砕機としてボールミルを好適に使用することができる。
本発明の副産石灰肥料の製造方法において、ポイントは原料である牡蠣殻と鉱さいとを一緒に粉砕することである。原料段階で牡蠣殻と鉱さいとを混合し、これを粉砕し即時粒状化することで、牡蠣殻に含まれるタンパク質が鉱さいのアルカリ成分と反応し、アンモニア等の臭気発生が抑制される。また牡蠣殻粉末と鉱さい粉末とが十分に混合され、造粒操作も容易となる。
牡蠣殻と鉱さいとは、比重、硬さも大きく異なるのでこれを別々に粉砕し、その後に混合、造粒すると、比重差等から混合が不均一となり易く、また造粒も難しい。これに対して本発明の副産石灰肥料の製造方法においては、原料である牡蠣殻と鉱さいとを一緒に粉砕するので、牡蠣殻粉末と鉱さい粉末とが十分に混合され、造粒操作も容易となる。
第2ステップは、粉砕工程を経て得られる粉末(粉砕物)に造粒用のバインダーを添加し、造粒装置で粒状化させる造粒工程である。バインダーは、粒状肥料の製造に使用されるリグニンスルホン酸など公知の造粒用のバインダーを使用することができる。造粒装置は、特に限定されるものではなく、傾斜回転パン型転動造粒装置などを使用することができる。粒状物の大きさは、特に限定されるものではないが、後述の実施例に示すように直径が2〜6mmの粒状物とすることができる。
なお造粒工程に先立ち、必要に応じて粉砕工程後に粉砕物を分級する分級工程、さらには粉砕物に水あるいはバインダーを添加し、これを混合する混合/混練工程を設けてもよい。
第3ステップは、造粒工程を経て得られる粒状物を乾燥させる乾燥工程である。乾燥装置、乾燥条件は、特に限定されるものではなく、従来の一粒型肥料と同様に考えればよい。
以上からなる本発明の副産石灰肥料は、鉱さいに含まれる鉄が硫化水素を固定化し、さらに牡蠣殻が硫化水素を吸着するので硫化水素吸着・固定化能に優れる。このような硫化水素吸着・固定化能に優れる肥料は、水稲の硫化水素過剰に起因する生育不良・秋落ち対策として効果的である。
また本発明の副産石灰肥料は、上記製造方法に示すように牡蠣殻と鉱さいとを原料段階で混ぜることによって、1粒型のカルシウム、けい酸、鉄及び微量成分を含んだ肥料効果の高い副産石灰肥料(普通肥料)としての登録が可能となる。
また本発明の副産石灰肥料は、牡蠣殻と鉱さいに含まれる2つのカルシウムの溶出期間の違いによって、植物の生育初期から長期間にわたりカルシウムを供給することができる。
鉱さいのみを微粉砕し得た粉体にバインダーを添加し、これを造粒した粒状物は、水中崩壊性が低いが、本発明の副産石灰肥料は、粉体に牡蠣殻を含むため造粒した粒状物は、水中崩壊性に優れる。
以上のように本発明の副産石灰肥料は、特性・性能の異なる2つの原料を主成分として含むため、これらが互いに補完し、また相乗効果により優れた性能を発揮する。また本発明の副産石灰肥料は、副産物を原料とし、製造方法も簡便であるから安価に製造することができる。
原料には、粗く破砕された肥料規格外の転炉さいと、以下の要領で得た牡蠣殻とを用いた。食用部が取り除かれた牡蠣殻を半年以上海中保管し、その後陸揚げし、日光にさらした状態で約3月間陸上保管し天日乾燥を行った。その後、雑物を取り除き、クラッシャで粗粉砕し、その後、熱風乾燥を行い原料となる牡蠣殻を得た。
ボールミルに、原料である転炉さいと牡蠣殻を重量比で1:1の割合で投入し、肥料規格内となる粒度まで粉砕し粉砕物を得た。粉砕物に含まれる転炉さい粉末は、1.7mmの篩を全通し、600μmの篩を85%以上通過する粒度を有する。その後、リグニンスルホン酸を含む水溶液をバインダーとし、これを粉砕物に添加し、傾斜回転パン型転動造粒装置を用いて造粒し、粒状物を得た。ここで得られる粒状物は、手で強く押せば潰れるくらいの硬さである。その後、この粒状物を熱風乾燥し、直径が2〜6mmの一粒型副産石灰肥料を得た。
乾燥工程を経て得られる一粒型副産石灰肥料は、手で強く押しても潰れない強度を有していた。一方、ビーカーに水を入れ、ここに一粒型副産石灰肥料を投入しガラス棒で撹拌すると比較的短時間内に崩壊した。
Claims (4)
- 鉱さい粉末と牡蠣殻粉末とを含む一粒型副産石灰肥料であって、
鉱さい粉末は、1.7mmの篩を全通し、600μmの篩を85%以上通過する粒度を有し、
鉱さい粉末と牡蠣殻粉末との重量比が、鉱さい粉末/牡蠣殻粉末=15/85〜50/50である硫化水素吸着・固定化能に優れる副産石灰肥料。 - 前記鉱さいが転炉さいであり、
鉱さい粉末と牡蠣殻粉末との重量比が、鉱さい粉末/牡蠣殻粉末=50/50であることを特徴とする請求項1に記載の副産石灰肥料。 - 前記牡蠣殻粉末は、熱風乾燥により、牡蠣殻の各層の硬タンパク質を収縮させ、間隙をつくる処理がなされた牡蠣殻粉末であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の副産石灰肥料。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の副産石灰肥料の製造方法であって、
粉砕機を用いて、所定量の鉱さいと乾燥した牡蠣殻とを一緒に粉砕する粉砕工程と、
前記粉砕工程で得られる粉砕物にバインダーを添加し造粒する造粒工程と、
造粒物を乾燥する乾燥工程と、
を含むことを特徴とする副産石灰肥料の製造方法。
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JP2019116012A JP2021001096A (ja) | 2019-06-24 | 2019-06-24 | 硫化水素吸着・固定化能に優れる副産石灰肥料及びその製造方法 |
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JPH09208350A (ja) * | 1996-01-30 | 1997-08-12 | Urabe Sangyo Kk | けい酸質肥料又はけい酸加里肥料の一粒混合肥料 |
JP2015071528A (ja) * | 2013-09-05 | 2015-04-16 | 卜部産業株式会社 | 一粒型配合肥料およびその製造方法 |
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