JP7294863B2 - 空中散布用肥料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)窒素成分と、カリウム成分とを含む空中散布用肥料であって、
窒素成分が尿素であり、
カリウム成分がケイ酸カリウムであり、
ケイ酸カリウムがコーティング剤で被覆されており、
尿素の濃度が、空中散布用肥料の総重量に対して、10重量%~90重量%であり、
コーティング剤被覆ケイ酸カリウムの濃度が、空中散布用肥料の総重量に対して、90重量%~10重量%である、
前記空中散布用肥料。
(2)コーティング剤が、焼酎粕加工物、糖蜜アルコール廃液、アミノ酸発酵廃液、及びビート糖製造副産液からなる群から選択される1種以上である、(1)に記載の空中散布用肥料。
(3)コーティング剤の濃度が、ケイ酸カリウムの重量に対して外割りで、1.0重量%超~10重量%である、(1)又は(2)に記載の空中散布用肥料。
(4)窒素成分と、カリウム成分とを含む空中散布用肥料を製造する方法であって、
カリウム成分としてのケイ酸カリウムにコーティング剤を被覆することによってコーティング剤被覆ケイ酸カリウムを調製するステップ、及び
窒素成分としての尿素と、コーティング剤被覆ケイ酸カリウムとを混合するステップ、ここで、尿素の濃度は、空中散布用肥料の総重量に対して、10重量%~90重量%であり、コーティング剤被覆ケイ酸カリウムの濃度は、空中散布用肥料の総重量に対して、90重量%~10重量%である、
を含む前記方法。
(5)コーティング剤が、焼酎粕加工物、糖蜜アルコール廃液、アミノ酸発酵廃液、及びビート糖製造副産液からなる群から選択される1種以上である、(4)に記載の方法。
(6)コーティング剤の濃度が、ケイ酸カリウムの重量に対して外割りで、1.0重量%超~10重量%である、(4)又は(5)に記載の方法。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。図面では、明確化のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の寸法及び形状を正確に描写してはいない。それ故、本発明の技術的範囲は、これら図面に表された各部の寸法及び形状に限定されるものではない。なお、本発明の空中散布用肥料及びその製造方法は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
本発明の空中散布用肥料は、窒素成分と、カリウム成分とを含む。
ここで、窒素成分は尿素であり、尿素の濃度は、空中散布用肥料の総重量に対して、10重量%~90重量%である。尿素の濃度の上限値は、空中散布用肥料の総重量に対して、90重量%、好ましくは80重量%、より好ましくは70重量%である。尿素の濃度の下限値は、空中散布用肥料の総重量に対して、10重量%、好ましくは20重量%、より好ましくは30重量%、さらにより好ましくは40重量%、特に50重量%である。例えば、尿素の濃度は、空中散布用肥料の総重量に対して、好ましくは40重量%~90重量%、より好ましくは50重量%~80重量%、さらにより好ましくは50重量%~70重量%である。
本発明の空中散布用肥料の製造方法は、カリウム成分としてのケイ酸カリウムにコーティング剤を被覆することによってコーティング剤被覆ケイ酸カリウムを調製するステップ、及び窒素成分としての尿素と、コーティング剤被覆ケイ酸カリウムとを混合するステップを含む。
コーティング剤として焼酎粕加工物(ソイルサプリエキス(商標)、片倉コープアグリ株式会社製)を使用し、ソイルサプリエキスをケイ酸カリウム(粒度:2.0mm~4.0mm、硬度:4kg~7kg)の重量に対して外割りで所定の割合添加し、混合してから風乾した。
無人ヘリコプター又はドローンによる肥料の空中散布の際には、視認性の高さが求められる。そこで、コーティング剤が視認性に与える影響を調査した。
(1)尿素(粒度:2.0mm~4.0mm)
(2)ソイルサプリエキス被覆ケイ酸カリウム(ソイルサプリエキスの濃度はケイ酸カリウム(粒度:2.0mm~4.0mm、硬度:4kg~7kg)の重量に対して外割りで3重量%)(以下、「処理品」)
(3)ケイ酸カリウム(以下、「無処理品」)
事前に撮影した「青空」の写真の上に、試験サンプルを置いてデジタル画像を撮影した。画像処理ソフトであるImageJを用いて、撮影した写真を加工した。すなわち、ImageJにおいて、Image→Type→HSB Stackを実行し、画像を色相、彩度、明度の情報に分離した。明るさの程度を示す明度の画像について、背景の空、尿素、処理品及び無処理品の明度を調査した。ここで、明度とは、色の明るさを表す指標であり、人間は明度の差が大きいほど、視認しやすいとされている(黒0~白255)。なお、測定は、肥料10粒、空の部分は同程度の面積で10か所を撮影して平均値を求めた。
図2に、各サンプルを空の写真の上に並べた画像における明度の画像を示し、図3に、空及び各サンプルの明度を示す。図2及び3より、空及び各サンプルの明度は、尿素>空>無処理品>処理品の順となった。空の明度が192.7であり、無処理品の明度が187.5であるので、明度の差は5.2であった。一方で、処理品の明度は156.1であったことから、空の明度との差は36.6となり、無処理品と比較して、処理品の方が視認性が高いことがわかった。
実施例1
製法:ケイ酸カリウム(粒度:2.0mm~4.0mm、硬度:4kg~7kg)1000kgに対して、コーティング剤としてのソイルサプリエキスを30kg(ケイ酸カリウムの重量に対して外割りで3重量%)になるよう添加し、混合した。乾燥後、尿素(粒度:2.0mm~4.0mm)660kgと、ソイルサプリエキス被覆ケイ酸カリウム340kgとを混合し、サンプルを作製した。
実施例1において、ソイルサプリエキスを使用しない以外は、実施例1と同様にして、サンプルを作製した。
ソイルサプリエキスのコーティング効果を確認するために、3.サンプル作製において作製した実施例1と比較例1を密閉容器中に保存した場合における、アンモニア濃度の変化について試験した。
(1)500mlのポリプロピレン製の容器に、実施例1又は比較例1を200g分取した。
(2)パラフィルム及びラップにより密栓して、25℃のインキュベーター内で2時間保管した。
(3)2時間後に、検知管式気体測定器(GASTEC検知管)で、容器内空気中のアンモニアガス濃度を測定した。
アンモニア検知管:3M(測定範囲10ppm~1000ppm)及び3La(測定範囲2.5ppm~200ppm)。吸引量:100ml
市販品(窒素成分:リン酸成分:カリウム成分=14:14:14(市販品総重量中の重量%))並びに3.サンプル作製において作製した比較例1及び実施例1を使用して、無人ヘリコプターによる肥料散布試験を実施した。
場所:レイクサイドRCクラブ、滋賀県米原市入江(平日、YH&Aが試験飛行で使用)
観測位置を0mとして、50m奥から手前に肥料散布しながら飛行した。2回観測実施し、肥料散布目視評価基準に基づいた観測結果の2回の平均値を採用した。
(1)散布開始位置の決定について、肥料散布作業でオペレーターと補助員が圃場の両端に位置して作業する場合、大規模圃場では長辺が100mになる場合が多く、両作業員で散布の様子が確認できる距離が50mとなること。
(2)YH&Aの過去の実績から、天候の条件、肥料の種類に関わらず、25mの距離で肥料散布作業の確認ができる必要があること。
(3)肥料散布作業中において、散布作業が行われていること、施用量が適正であること(以上、機械の正常稼働)、散布の範囲が適当であることが確認できること。
5点:散布されている「肥料の粒までハッキリ」と確認できる。
4点:肥料の「散布範囲が確認」できる。
3点:散布機の「排出口で散布の様子が確認」できる。
2点:「微かに散布の様子が確認」できる。
1点:「散布の様子が確認できない。」
各モニターの評価点から、以下の式によって評価指標を算出した。
評価指標={[(5点×人数)+(4点×人数)+(3点×人数)+(2点×人数)+(1点×人数)]÷(5点×5人)}×100
Claims (6)
- 窒素成分と、カリウム成分とを含む空中散布用肥料であって、
窒素成分が尿素であり、
カリウム成分がケイ酸カリウムであり、
ケイ酸カリウムがコーティング剤で被覆されており、
コーティング剤が、焼酎粕加工物、糖蜜アルコール廃液、アミノ酸発酵廃液、及びビート糖製造副産液からなる群から選択される1種以上であり、
コーティング剤の濃度が、ケイ酸カリウムの重量に対して外割りで、2.0重量%~10重量%であり、
尿素の濃度が、空中散布用肥料の総重量に対して、10重量%~90重量%であり、
コーティング剤被覆ケイ酸カリウムの濃度が、空中散布用肥料の総重量に対して、10重量%~90重量%である、
前記空中散布用肥料。 - コーティング剤が、焼酎粕加工物である、請求項1に記載の空中散布用肥料。
- コーティング剤の濃度が、ケイ酸カリウムの重量に対して外割りで、2.5重量%~10重量%である、請求項1又は2に記載の空中散布用肥料。
- 窒素成分と、カリウム成分とを含む空中散布用肥料を製造する方法であって、
カリウム成分としてのケイ酸カリウムにコーティング剤を被覆することによってコーティング剤被覆ケイ酸カリウムを調製するステップ、
ここで、コーティング剤は、焼酎粕加工物、糖蜜アルコール廃液、アミノ酸発酵廃液、及びビート糖製造副産液からなる群から選択される1種以上であり、
コーティング剤の濃度は、ケイ酸カリウムの重量に対して外割りで、2.0重量%~10重量%である、
及び
窒素成分としての尿素と、コーティング剤被覆ケイ酸カリウムとを混合するステップ、ここで、尿素の濃度は、空中散布用肥料の総重量に対して、10重量%~90重量%であり、コーティング剤被覆ケイ酸カリウムの濃度は、空中散布用肥料の総重量に対して、10重量%~90重量%である、
を含む前記方法。 - コーティング剤が、焼酎粕加工物である、請求項4に記載の方法。
- コーティング剤の濃度が、ケイ酸カリウムの重量に対して外割りで、2.5重量%~10重量%である、請求項4又は5に記載の方法。
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