JP3476188B2 - カキ殻を含んだ肥料 - Google Patents

カキ殻を含んだ肥料

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JP3476188B2 JP2000230523A JP2000230523A JP3476188B2 JP 3476188 B2 JP3476188 B2 JP 3476188B2 JP 2000230523 A JP2000230523 A JP 2000230523A JP 2000230523 A JP2000230523 A JP 2000230523A JP 3476188 B2 JP3476188 B2 JP 3476188B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カキ殻を含んだ肥
料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の肥料について概説すると、肥料は
ずっと以前においては粉末状のものが使用されていた
が、施肥時に飛散しやすい欠点がある上、施肥後の雨水
で流失したり、あるいは肥料が地表を被覆して土壌の通
水性、通気性を阻害したりする等の問題点があった。そ
こで、これらの問題点を改善するために肥料を適当な大
きさの粒子に造粒する方法が提案され、現在実際に行わ
れてもいる。
【0003】肥料を造粒化するためにはまず造粒化しや
すいことが要望され、また造粒する上で大事なことは、
肥料の製造中はもちろんのこと、それ以降の流通から施
肥までの取り扱い中に破壊しない堅さを有し、しかも取
り扱いやすい大きさに造粒することである。また水分に
よる崩壊性が良好で、施肥後に、雨や土中等の水分で適
度な速度で崩壊して、成分を速やかに土中に分散するこ
とも必要である。これらの条件を満たすため、今までに
粒子状肥料の成分や作物の種類に応じて、種々のものが
提案されてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】発明者は、天然物であ
るカキ殻を土壌中和用の石灰分として用いた粒子状肥料
について数多くの発明をしてきたが、カキ殻は多孔質で
あって粉末どうしが粘っこく、接着力が強いので、かか
るカキ殻を使用した粒子状の肥料は、本質的に水分によ
る崩壊性が低くなる傾向にあった。このため、例えばカ
キ殻と組み合わせる苦土分として軽焼マグネシアを使用
すると、この軽焼マグネシアは、造粒過程等において加
水することで急激に反応して固くなりやすいために、製
造された粒子状肥料が、その製造当初から、水分による
崩壊性を全く有しないものになるという問題があった。
【0005】また海水などから合成される高純度の水酸
化マグネシウムをカキ殻と組み合わせると、製造当初の
粒子状肥料は水分による崩壊性が良好であるものの、水
酸化マグネシウムが空気中の二酸化炭素と反応して炭酸
マグネシウムに経時変化することで、比較的短期間に崩
壊性を失ってしまうという問題があった。本発明の目的
は、特に水分による崩壊性にすぐれるとともに、かかる
崩壊性を比較的長期にわたって維持することのできる、
新規なカキ殻を含んだ肥料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】発明者
は先に、カキ殻と組み合わせる苦土分について種々、検
討した結果、従来の高純度の水酸化マグネシウムに代え
て、天然鉱物としてのブルース石(ブルーサイト)を使
用すると、このブルース石に含有される不純物の作用に
よって、その主成分である水酸化マグネシウムの、二酸
化炭素との反応が抑制されるため、製造された粒子状肥
料は経時変化を起こしにくく、比較的長期にわたって水
分による崩壊性を維持できることを見出した。
【0007】そこで今般、上記ブルース石中の不純物の
働きによって崩壊性が維持されている間のできるだけ早
期に、例えば施肥後の最初の雨などで、わずかな量の水
分でも容易に崩壊しうるように、早期の崩壊性にも優れ
た粒子状の肥料を得るべくさらに検討した。その結果、
上記カキ殻とブルース石との組み合わせにさらに、天然
鉱物としてのパーライトまたはバーミキュライトの熱膨
張物を添加すればよいことを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0008】 すなわち本願請求項1記載の発明は、粉
砕されたカキ殻94.9〜40.0重量%に、 (1) 粉砕されたブルース石5.0〜50.0重量%
と、 (2) パーライトおよびバーミキュライトのうち少な
くとも一方の熱膨張物0.1〜10.0重量%とを配合
し、かつ (3) 水溶性バインダーを、上記3者の配合物の総量
に対する固形分の量で表して1.5〜8.0重量%とな
るように加えて、全体を混練して造粒してあることを特
徴とするカキ殻を含んだ肥料に関するものである。
【0009】上記した請求項1記載の発明によると、粉
砕されたブルース石は造粒化に何らの影響を及ぼさない
上、前記のように不純物の作用によって、従来の高純度
の水酸化マグネシウムに比べて、空気中の二酸化炭素と
の反応を起こしにくいため、これまでよりも長期間にわ
たって良好な崩壊性を維持することができる。またパー
ライトおよび/またはバーミキュライトの熱膨張物も造
粒化に何らの影響を及ぼさない上、これらの成分は造粒
化後の肥料を粗にして、水分が粒子中に吸収されるのを
助ける働きをする。このため、前記のようにブルース石
中の不純物の働きによって崩壊性が維持されている間の
できるだけ早期に、例えば施肥後の最初の雨など、わず
かな量の水分でも水溶性バインダーを効率的に溶かし去
って、肥料を簡単に崩壊させることが可能となり、これ
までよりも早期の崩壊性にすぐれた、施肥効果の良い粒
子状の肥料が得られる。
【0010】しかも上記各成分は、カキ殻を含めていず
れも天然起源の成分であるため、化学合成肥料を用いな
いいわゆる有機農法(または完全有機農法)に好適であ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明を説明する。 《カキ殻》カキが、水中で蛋白質と石灰の結合したもの
を体外に分泌すると、そのうち石灰分が水中の炭酸ガス
と化合して、炭酸石灰の結晶からなるカキ殻が合成され
る。その大部分はチョーク層とよばれているきわめて脆
い物質でできている。この部分は極めて薄い板状の方解
石の結晶が組み合わされた、空隙の多い多孔質の構造
で、カードハウス構造ともいう。カキ殻はおもにこのチ
ョーク層と、それをつつみ込んでいる、葉状層とよばれ
る薄いが丈夫な層でできている。葉状層は方解石の短冊
状の結晶が密に配列し、積み重なった構造を有してお
り、結晶はそれぞれがごく薄い有機物の膜につつまれて
いて、粘っこく曲げに対して強い。
【0012】このように多孔質の空隙をもったカキ殻
は、鉱物起源の石灰分に比べて比表面積が大きく、造粒
した場合の結合力が強いため、造粒肥料として運搬、施
肥に適している。また多孔質のため浸水性にすぐれてお
り、造粒バインダーの水溶解排出は早いが、上記のよう
に粉末どうしが粘っこくもあるため、単独では接着力が
強く崩壊性が悪い。しかしながらパーライトおよび/ま
たはバーミキュライトの熱膨張物を混入することにより
崩壊が促進される。
【0013】またカキ殻は、前記のように単に石灰分の
供給源であるだけでなく、海水中の豊富なミネラル分を
も含んでおり、施肥後にはこれらミネラル分の供給源と
しても作用するため、鉱物起源の高純度の石灰分に比べ
て、作物の生育に特に良好である。カキ殻は、造粒肥料
をきれいな球形にするため、請求項3に記載したように
2mm以下に微粉砕してあることが好ましい。粉砕粒度
が2mmを超えるものが入ると肥料が球形になりにく
く、形状の悪いものとなって、施肥などの作業性の良い
良好な製品になり難い。
【0014】また0.1mm未満の微粉のみで造粒する
と形状は美しいが、前記のようにカキ殻は多孔質で蛋白
質を含むため、水溶性バインダーによる固化をいっそう
進め、肥料の崩壊性を低下させるおそれがある。数々の
テストの結果、2mm以下で、微粉までを等分に含むカ
キ殻の微粉砕物で造粒した場合が最も形状、崩壊性とも
に良好な結果が得られた。 《ブルース石》苦土分として最適な原料であるブルース
石はマグネシウム鉱石の一種であって、工場で生産され
た高純度の水酸化マグネシウムとは異なり天然石(中国
産、北朝鮮産等)のためMg(OH)2、MgOの他
に、SiO2、CaO、Fe23、Al23、P25
TiO2、MnO2等の田畑に必要な微量要素を含み、ま
たそれが、不純物として二酸化炭素の反応を遅らせる働
きをする。
【0015】ブルース石には、その原産地等によって、
「肥料分析法(1992年版)」〔農林水産省農業環境
研究所著、財団法人日本肥料検定協会刊、平成4年12
月25日発行〕所載のク溶性苦土の測定(EDTA法に
よる)で求められる苦土分の含有割合が45〜65重量
%程度の、種々のグレードのものがあるが、本発明では
このいずれを使用することもできる。但しその施肥効果
や、あるいは不純物による、二酸化炭素の反応を遅らせ
る効果等を一定に維持するためには、種々のグレードの
ブルース石をブレンドするなどして、上記苦土分の含有
割合を、例えば55重量%等の一定値に調整したもの
を、原料として使用するのが好ましい。
【0016】二酸化炭素の反応、すなわち経時変化によ
る固化を遅らせるためには、ブルース石の比表面積が小
さいほうが、すなわち粒径が大きいほうが良いが、肥料
成分としての土中溶解を考えると、粒径は小さく粉砕選
別されたものが、土中および水中崩壊、土中崩壊を合わ
せた最適な肥料成分であり、特に請求項4に記載したよ
うに2mm以下に微粉砕されたものを用いるのが好まし
い。なおブルース石は硬度2.5、比重2.38〜2.
40であり、処理利用としては焼成し易い特徴がある。 《パーライト》ケイ酸分の多い火山系岩石に属する火山
ガラス、またはこれが変性されたものであって、真珠
(pearl)光沢があることからこう呼ばれている。
その組成はケイ酸分(SiO2)とアルミナ(Al
23)で80%以上を占め、その他に微量成分としてN
2O、K2Oなどを含む。真比重は2.2〜2.5であ
る。加熱して軟化させると、含有する水分が水蒸気とな
って脱出する際に膨張する性質を有しており、本発明で
はこのパーライトを熱膨張させて、見かけ比重0.15
程度の熱膨張物として使用することで、前記のように肥
料に良好な崩壊性を付与している。 《バーミキュライト》含水ケイ酸塩鉱物のうち、ウンモ
群鉱物に良く似たフィロケイ酸塩であって、その種類に
は、カンラン岩が熱水変性により変質して生じたもの
や、ウンモ群鉱物の崩壊により生じた二次成鉱物などが
含まれる。組成は (Mg,Fe)3(Si,Al,Fe)410(OH)2
・4H2O で、化学成分にはかなりの幅があるが、いずれも10〜
20%の水分を含んでいる。真比重は2.2〜2.5で
ある。およそ800〜1000℃で急激に加熱してやる
と加熱脱水を起こして、層構造と直角方向におよそ10
〜30倍程度、膨張する性質を有している。本発明では
このバーミキュライトを熱膨張させて、見かけ比重0.
08〜0.145程度の熱膨張物として使用すること
で、前記のように肥料に良好な崩壊性を付与している。
【0017】上記パーライトおよび/またはバーミキュ
ライトの熱膨張物は、他の成分との混練時に、混練のエ
ネルギーによって容易に粉砕されるため、配合時の粒径
は限定されない。 《水溶性バインダー》造粒に使用できる水溶性バインダ
ーとしては、一般的にはリグニン酸およびその塩などの
リグニン化合物、ステフェン廃水濃縮液、廃糖蜜発酵廃
液(アルコール発酵廃液など)、ポリビニルアルコー
ル、可溶性澱粉、カルボキシメチルセルローズ、サルフ
ァイトパルプ副生物等、多数があげられるが、本発明の
目的には請求項5に記載したようにリグニン化合物およ
び廃糖蜜発酵廃液のうちの少なくとも一方が、造粒のし
やすさと水中および土中崩壊性の点で最良である。ま
た、いずれも天然物起源であるため有機農法にも好適で
ある。
【0018】 上記各成分は、施肥効果を考慮して、肥
料全量中に5〜31重量%の苦土分が含まれるように、
しかも崩壊性が損なわれないように、その配合割合を調
整するすなわち前記のように苦土分の含有割合が55
重量%に調整された、粉砕されたブルース石を使用する
ために、粉砕されたブルース石と、パーライトおよびバ
ーミキュライトのうち少なくとも一方の熱膨張物と、粉
砕されたカキ殻とを、粉砕されたブルース石5.0〜5
0.0重量%、パーライトおよびバーミキュライトのう
ち少なくとも一方の熱膨張物0.1〜10.0重量%、
粉砕されたカキ殻94.9〜40.0重量%(残量)の
割合で配合す
【0019】 ブルース石の配合割合が5.0重量%未
満では、当該ブルース石の、苦土分としての施肥効果が
不十分にな。また逆に、ブルース石の配合が50.0
重量%を超えた場合には、相対的に他のいずれかの成分
の配合割合が少なくなって、それぞれの成分が不足した
場合の問題を生じ。特にカキ殻による接着力が低下し
て、粒子状の肥料が、製造中や施肥前の取り扱い時に破
壊し易くなる。
【0020】 なおブルース石の配合割合は、上記の範
囲内でも特に10.0〜30.0重量%程度であるのが
さらに好ましい
【0021】 またパーライトおよび/またはバーミキ
ュライトの熱膨張物の配合割合が0.1重量%未満で
は、当該熱膨張物を加えたことによる、前述した早期の
崩壊性を向上する効果が得られな。また逆に、熱膨張
物の配合割合が10.0重量%を超えた場合には、相対
的に他のいずれかの成分の含有割合が少なくなって、そ
れぞれの成分が不足した場合の問題を生じ。特にカキ
殻による接着力が低下して、粒子状の肥料が、製造中や
施肥前の取り扱い時に破壊し易くなる。
【0022】 なお上記熱膨張物の配合割合は、上記の
範囲内でも特に1.0〜5.0重量%程度であるのがさ
らに好ましい。また水溶性バインダーは、上記3者の配
合物の総量に対する固形分の量で表して1.5〜8.0
重量%となるように添加す。例えば水溶性バインダー
のうちリグニン化合物は水溶液の状態で添加され、その
添加量は、水溶液中の固形分(リグニン化合物)の量が
上記の範囲内となるように調整される。また廃糖蜜発酵
廃液は、やはり液中の固形分の量が上記の範囲内となる
ように、その添加量が調整される。
【0023】 水溶性バインダー起源の固形分の添加量
が1.5重量%未満では、接着力が低下して、粒子状の
肥料が、製造中や施肥前の取り扱い時に破壊し易くな
けでなく、粒子状に造粒できない場合も生じる。また
逆に、固形分の添加量が8.0重量%を超えた場合に
は、パーライトおよび/またはバーミキュライトの熱膨
張物を加えたことによる、肥料の崩壊性を向上する効果
が低下す
【0024】なお水溶性バインダー起源の固形分の添加
量は、リグニン化合物の場合、上記の範囲内でも特に
2.0〜6.0重量%程度であるのがさらに好ましい。
また廃糖蜜発酵廃液の場合は、上記の範囲内でも特に
2.0〜8.0重量%程度であるのがさらに好ましい。
上記各成分から本発明のカキ殻を含んだ肥料を製造する
には、カキ殻と、ブルース石と、パーライトおよび/ま
たはバーミキュライトの熱膨張物とを上記所定の割合で
配合するとともに、液状の水溶性バインダーを、その固
形分濃度を考慮して、当該水溶性バインダー中の固形分
が上記所定の添加量となるように配合し、全体を混練し
たのち、公知の方法によって造粒し、乾燥すればよい。
【0025】かくして製造された肥料の形状は、請求項
6に記載のように直径1〜6mmの球形であるのが、機
械散布がスムースにできて取り扱いが容易である上、施
肥後の崩壊性も良好であるため好ましい。
【0026】
【実施例】以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて
説明する。 実施例1〜6、比較例1 粉砕機を用いてカキ殻を微粉砕したのち、2mmを超え
るものを選別、除去してカキ殻の微粉砕物を得た。得ら
れた微粉砕物は、2mm以下で、微粉までを等分に含む
ものであった。
【0027】またブルース石を微粉砕し、2mmを超え
るものを選別、除去してブルース石の微粉砕物を得た。
さらにパーライトの熱膨張物としては、パーライト(真
比重2.2〜2.5)をあらかじめ熱膨張させて製造さ
れた、見かけ比重0.15のものを使用した。そしてカ
キ殻の微粉砕物Aと、ブルース石の微粉砕物Bと、パー
ライトの熱膨張物C1とを、表1に示す割合(重量比)
で、ブレンダーに仕込んでよく混合したところへ、3者
の総量に対して7重量%の、水溶性バインダーとしての
リグニン酸ソーダの水溶液(固形分濃度50重量%、固
形分量で表したリグニン酸ソーダの添加量は3.5重量
%)を添加してさらによく混練した。
【0028】次にこの混練物を造粒機に仕込んで、水を
少量噴霧しながら造粒し、乾燥させて、直径1〜6mm
のほぼ真球形をした肥料を製造した。 比較例2、3 ブルース石に代えて、同量の、海水から合成された高純
度の水酸化マグネシウムを使用したこと以外は実施例
2、4と同様にして、直径1〜6mmのほぼ真球形をし
た肥料を製造した。
【0029】上記各実施例、比較例で得た粒子状の肥料
について、下記の各試験を行って、その特性を評価し
た。 水分含量測定 各実施例、比較例で作製した粒子状の肥料から無作為に
約10gを秤量し、水分計〔SEISHIN ENTE
RPRIZE社製のOM−70〕を用いて、175℃、
12分間の条件で、水分含量を測定した。
【0030】硬度試験 各実施例、比較例で作製した粒子状の肥料から無作為に
20粒ずつ選び、簡易粒体硬度計〔FUJIWARA
HARDNESS TESTER,CAP20kg,G
RAD50g〕を用いて測定した測定値の平均値を求め
て硬度(kg)とした。 水中崩壊性試験(1) 各実施例、比較例で作製した粒子状の肥料から無作為に
20粒ずつ選び、それを、あらかじめビーカー中に注ぎ
入れて水流がなくなるまで静置した、室温(20℃)の
水200cc中に静かに加えた。
【0031】そして時間の経過に伴う粒子形状の変化を
目視にて観察し、粒の形が消えて原料の粉状に戻ったも
のを崩壊したものと見なして、20粒全ての粒子が崩壊
するのに要した時間を測定し、その長短でもって水中崩
壊性を評価した。なお60分間、経過しても20粒全て
の粒子が崩壊しなかったものについては早期水中崩壊不
可(×)として、下記式: 崩壊率(%)=崩壊した個数(個)/20(個)×10
0 によって求められる粒子の崩壊率を記録した。
【0032】崩壊性維持試験 各実施例、比較例で作製した粒子状の肥料を圧力容器内
に入れ、二酸化炭素を封入して24時間、放置する高湿
度下での二酸化炭素促進テストを行った後、取り出して
再び上記水中崩壊性試験(1)を行い、その長短でもって
水中崩壊性の変化を評価した。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】表より明らかなように、ブルース石に代え
て水酸化マグネシウムを使用した比較例2、3の肥料
は、二酸化炭素促進テストの結果、二酸化炭素との反応
による炭酸マグネシウム化が進行して、水中崩壊性が不
可(×)となってしまった。またブルース石を使用して
いるもののパーライトの熱膨張物を加えなかった比較例
1の肥料は、二酸化炭素促進テストを行っても水中崩壊
性を維持しうるものの、初期から既に水中崩壊時間が長
くかかってしまった。
【0035】これに対し、ブルース石を使用するととも
にパーライトの熱膨張物を加えた実施例1〜6の肥料
は、上記比較例1に比べて初期の水中崩壊時間が短く、
しかもそれが、比較例2、3のように失われることな
く、二酸化炭素促進テストを行っても維持されることが
確認された。また各実施例を比較すると、ブルース石の
配合割合が多いほど硬度が上昇して、施肥などの作業時
に崩れにくくなるとともに、相対的にカキ殻の配合割合
が少なくなるため初期の水中崩壊時間が短くなり、逆に
ブルース石の配合割合が少ないほど、二酸化炭素促進テ
スト後の、水中崩壊時間の長期化が抑えられることが判
った。
【0036】実施例7〜9 表2に示すようにブルース石の配合割合を固定し、代わ
ってパーライトの熱膨張物C1の配合割合を変化させた
こと以外は実施例2と同様にして、直径1〜6mmのほ
ぼ真球形をした肥料を製造した。上記各実施例で得た粒
子状の肥料について、前記の各試験を行って、その特性
を評価した。結果を、実施例2の結果と併せて表2に示
す。
【0037】
【表2】
【0038】表より、パーライトの熱膨張物の配合割合
が多いほど、相対的にカキ殻の配合割合が少なくなるこ
とと相まって、初期、および二酸化炭素促進テスト後の
水中崩壊時間が短くなり、逆にパーライトの熱膨張物の
配合割合が少ないほど、相対的にカキ殻の配合割合が多
くなるため硬度が上昇して、施肥などの作業時に崩れに
くくなることが判った。 実施例10〜13 パーライトの熱膨張物に代えて、同量の、バーミキュラ
イトの熱膨張物C2〔バーミキュライト(真比重2.2
〜2.5)をあらかじめ熱膨張させて製造されたもの、
見かけ比重0.1〕を配合したこと以外は上記実施例2
および実施例7〜9と同様にして、直径1〜6mmのほ
ぼ真球形をした肥料を製造した。
【0039】上記各実施例で得た粒子状の肥料につい
て、前記の各試験を行って、その特性を評価した。結果
を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】表より、パーライトの熱膨張物に代えてバ
ーミキュライトの熱膨張物を使用した場合にも、同様の
傾向が見られることが判明した。すなわちバーミキュラ
イトの熱膨張物の配合割合が多いほど、相対的にカキ殻
の配合割合が少なくなることと相まって、初期、および
二酸化炭素促進テスト後の水中崩壊時間が短くなり、逆
にバーミキュライトの熱膨張物の配合割合が少ないほ
ど、相対的にカキ殻の配合割合が多くなるため硬度が上
昇して、施肥などの作業時に崩れにくくなることが判っ
た。
【0042】また表2と表3との比較から、同じ配合割
合であれば、パーライトの熱膨張物よりバーミキュライ
トの熱膨張物の方が、二酸化炭素促進テスト後の水中崩
壊時間を短くできることも確認された。 実施例14〜実施例17 表4に示すようにリグニン酸ソーダの水溶液(固形分濃
度50重量%)の添加量を変化させたこと以外は実施例
2と同様にして、直径1〜6mmのほぼ真球形をした肥
料を製造した。
【0043】上記各実施例で得た粒子状の肥料につい
て、前記の各試験を行って、その特性を評価した。結果
を、実施例2の結果と併せて表4に示す。
【0044】
【表4】
【0045】表より、リグニン酸ソーダの水溶液の添加
量が多くなるほど、硬度が上昇して、施肥などの作業時
に崩れにくくなり、逆にリグニン酸ソーダの水溶液の添
加量が少なくなるほど、水中崩壊性が良好になることが
判った。 実施例18〜21 リグニン酸ソーダの水溶液に代えて、アルコール発酵廃
液(固形分濃度50重量%)を、表5に示す添加量で添
加したこと以外は実施例2と同様にして、直径1〜6m
mのほぼ真球形をした肥料を製造した。
【0046】上記各実施例で得た粒子状の肥料につい
て、前記の各試験を行って、その特性を評価した。結果
を表5に示す。
【0047】
【表5】
【0048】表より、リグニン酸ソーダの水溶液に代え
てアルコール発酵廃液を使用した場合にも、同様の傾向
が見られることが判明した。すなわちアルコール発酵廃
液の添加量が多くなるほど、硬度が上昇して、施肥など
の作業時に崩れにくくなり、逆にアルコール発酵廃液の
添加量が少なくなるほど、水中崩壊性が良好になること
が判った。次に、上記各実施例、比較例のうち実施例
1、2、5、6および11と、比較例2、3の肥料につ
いて、下記の測定を行って、その水中崩壊性をさらに評
価した。
【0049】〈崩壊性維持時間測定〉上記各実施例、比
較例の肥料を圧力容器内に入れ、二酸化炭素を封入し
て、高湿度下での二酸化炭素促進テストを行い、所定時
間毎に肥料を取り出して、下記水中崩壊性試験(2)によ
って、水中崩壊性の状況を確認した。 水中崩壊性試験(2) 促進テスト前(セット時)、および所定時間毎に圧力容
器から取り出した時点の各肥料から無作為に20粒ずつ
選び、それを、あらかじめビーカー中に注ぎ入れて水流
がなくなるまで静置した、室温(23±1℃)の水20
0cc中に静かに加えた。
【0050】そして60分間、経過後の粒子形状の変化
を目視にて観察し、粒の形が消えて原料の粉状に戻った
ものを崩壊したとみなして、前記式によって求められる
粒子の崩壊率が80%以上であったものを水中崩壊可
(○)、50%以上でかつ80%未満であったものを大
半水中崩壊不可(△)、50%未満であったものを水中
崩壊不可(×)として評価し、試験の結果が大半水中崩
壊不可(△)に至るのに要した時間でもって、肥料の、
水中崩壊性維持の特性を評価した。
【0051】結果を表6に示す。
【0052】
【表6】
【0053】表の、各実施例と比較例の結果より、水酸
化マグネシウムに代えてブルース石を使用することで、
二酸化炭素促進テストによる水中崩壊維持時間を長くで
きることが確認された。またブルース石の配合割合が異
なる実施例1、2、5、6の結果より、ブルース石の配
合割合が少ないほど、二酸化炭素促進テストによる水中
崩壊維持時間を長くできることが確認された。
【0054】さらにブルース石の配合割合が同じである
実施例2、11の結果より、パーライトの熱膨張物(実
施例2)に比べてバーミキュライトの熱膨張物(実施例
11)の方が、二酸化炭素促進テストによる水中崩壊維
持時間を長くできることが確認された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C05G 3/00 C05G 3/00 101 101 B09B 5/00 ZABE

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粉砕されたカキ殻94.9〜40.0重量
    に、 (1) 粉砕されたブルース石5.0〜50.0重量%
    と、 (2) パーライトおよびバーミキュライトのうち少な
    くとも一方の熱膨張物0.1〜10.0重量%とを配合
    し、かつ (3) 水溶性バインダーを、上記3者の配合物の総量
    に対する固形分の量で表して1.5〜8.0重量%とな
    るように加えて、 体を混練して造粒してあることを特徴とするカキ殻を
    含んだ肥料。
  2. 【請求項2】カキ殻は2mm以下に微粉砕してあること
    を特徴とする請求項1記載のカキ殻を含んだ肥料。
  3. 【請求項3】ブルース石は2mm以下に微粉砕してある
    ことを特徴とする請求項1記載のカキ殻を含んだ肥料。
  4. 【請求項4】水溶性バインダーがリグニン化合物および
    廃糖蜜発酵廃液のうちの少なくとも一方である請求項1
    記載のカキ殻を含んだ肥料。
  5. 【請求項5】造粒を直径1〜6mmの球形にする請求項
    1記載のカキ殻を含んだ肥料。
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