JP2001089272A - 鶏糞含有肥料 - Google Patents

鶏糞含有肥料

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JP2001089272A
JP2001089272A JP26646699A JP26646699A JP2001089272A JP 2001089272 A JP2001089272 A JP 2001089272A JP 26646699 A JP26646699 A JP 26646699A JP 26646699 A JP26646699 A JP 26646699A JP 2001089272 A JP2001089272 A JP 2001089272A
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chicken
acid
oil
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佐藤  寛
Masakazu Hori
雅和 堀
Kiichi Machitani
喜市 町谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 臭気が完全に抑制されており、かつ
肥料成分が安定していて、実質的に普通肥料として扱え
る鶏糞含有肥料を提供する。 【解決手段】 鶏糞に無機系の普通肥料成分を配合し
て成分含量を調整し、所望により酸性物質や芳香剤を配
合し成型して鶏糞含有肥料のペレットとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鶏糞を含有する肥
料(以下、鶏糞含有肥料と云う。)に関し、より詳しく
は、肥料成分が安定化し、成型されてペレット状あるい
はブリケット状等となっているため取扱いが容易で、か
つ臭気が抑えられた鶏糞含有肥料に関する。
【0002】
【従来の技術】養鶏に関する畜産統計によれば、現在日
本には、飼養羽数10,000羽以上の大規模な養鶏場
が約5,000戸強あり、そこで飼養されている鶏は、
採卵鶏(所謂レイヤー)として合計約2億羽、ブロイラ
ーとして1億羽にのぼるとされ、各養鶏場から日々排出
される鶏糞量は膨大な量となっている。
【0003】畜産糞尿のなかでもとりわけ悪臭の強い鶏
糞の処理は、環境問題ともからんで養鶏場にとっても極
めて頭の痛い問題となっている。鶏糞のうち、生鶏糞
は、含水率が高く(70〜80重量%)、取扱いが不便
であり、土壌に施用した場合、土中で醗酵することによ
り、メタンガスやアンモニア等の有害ガスや中間代謝物
の発生により作物の生育障害を引起しやすいので、通常
乾燥鶏糞とし、さらに醗酵鶏糞の形で肥料や土壌改良材
としての利用が試みられている。
【0004】もともと鶏糞は、肥料要素の含量では、リ
ンが比較的高く、窒素、カリはやや少ないものの、カル
シウムに富み、各種植物の育成に有益な有機肥料となり
うるものであるが、従来、本格的には使用されていなか
った。
【0005】これは上記したように、鶏糞は、醗酵鶏糞
とした場合であっても、依然として臭気が強烈であり、
農家が取り扱ったり販売店の店頭に置く際、この臭気の
ため取扱いが嫌われていること、及び肥料成分含量が不
安定なため、その成分保証の問題があったからである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、鶏糞
を主体とする肥料でありながら、臭気が完全に抑制され
ており、かつ肥料成分が安定していて、実質的に普通肥
料として扱える鶏糞含有肥料を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を達成
するためになされたもので、本発明に従えば、以下の発
明が提供される。
【0008】(1) 鶏糞に無機系の普通肥料成分を配合
して成分含量を調整し、成型してなることを特徴とする
鶏糞含有肥料。
【0009】(2) 鶏糞の含有量が30〜90重量%で
ある (1) 記載の肥料。
【0010】(3) 酸性物質が配合されている (1) 又
は (2) 記載の肥料。
【0011】(4) 酸性物質が有機酸または無機酸であ
る (3) 記載の肥料。
【0012】(5) 酸性物質が過リン酸石灰または第一
リン酸カルシウムである (3) 記載の肥料。
【0013】(6) 芳香剤が配合されている (1) 〜
(5) の何れかに記載の肥料。
【0014】(7) 芳香剤がリモネン、ピネン、メント
ール、シトラール、カンファー、ゲラニオール、アセト
フェノン及びアセト酢酸エチルから選択されるものであ
る (6) 記載の肥料。
【0015】(8) 鶏糞が醗酵鶏糞である (1) 〜 (7)
の何れかに記載の肥料。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0017】本発明の肥料は、鶏糞を主体とし、これに
無機系の普通肥料成分を配合して肥料成分含量を調整
し、成型するものである。
【0018】本発明で使用する鶏糞としては、乾燥鶏糞
も使用可能であるが、好ましくは醗酵鶏糞である。以
下、醗酵鶏糞を使用する場合を例に取って説明する。
【0019】醗酵鶏糞を製造するためには、種々の醗酵
方法があり得るが、例えば、撹拌装置を有する醗酵槽中
に水分含量60〜80重量%程度の生鶏糞を投入し、空
気を供給しながら、温度50〜80℃で数日〜数拾日か
けて原料中の好気的微生物の働きにより鶏糞中の有機物
を分解するものである。醗酵中に温度が上昇するため鶏
糞中の水分も蒸散し、得られた醗酵鶏糞中の水分は10
〜30重量%程度と乾燥鶏糞と同程度になっている。な
お醗酵を促進させるため、醗酵菌、廃糖蜜、醗酵廃液そ
の他の栄養源を添加することも可能である。
【0020】以上のごとくして得られる醗酵鶏糞の組成
は、例えば全窒素(T−N):1〜5重量%、リン酸
(T−P25 ):4〜8重量%、カリウム(T−K2
O):1〜4重量%である。
【0021】本発明においては、醗酵鶏糞に、無機系の
普通肥料成分、例えば所謂三要素肥料等を、鶏糞の肥料
混合物に対する含有量が30〜90重量%、好ましくは
40〜90重量%、さらに好ましくは50〜90重量%
程度になるように配合し、鶏糞を含む肥料混合物とす
る。鶏糞にこれら肥料成分を配合することにより、肥効
成分、特に三要素成分のバランスを調整したり、または
後記する造粒工程における造粒性を向上させることがで
きる。
【0022】配合しうる無機系の肥料としては、硫酸ア
ンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝
酸ソーダ、硝酸石灰、尿素、アセトアルデヒド縮合尿
素、イソブチルアルデヒド縮合尿素、硫酸グアニル尿
素、オキサミド、石灰窒素等の窒素質肥料;過リン酸石
灰、重過リン酸石灰、熔成リン肥、焼成リン肥、リン酸
アンモニウム、リン酸カリウム等のリン酸質肥料;硫酸
カリ、塩化カリ、硫酸カリ苦土、重炭酸カリ等のカリ肥
料;生石灰、消石灰、炭酸カルシウム肥料等の石灰質肥
料;鉱さいケイ酸質肥料、ケイ灰石肥料等のケイ酸質肥
料;硫酸苦土肥料、水酸化苦土肥料等の苦土肥料;硫酸
マンガン肥料等のマンガン質肥料;ホウ酸塩肥料、ホウ
酸肥料、ほう砂等のホウ酸質肥料;熔成微量要素複合肥
料、液体微量要素複合肥料、混合微量要素肥料等の微量
要素複合肥料等が挙げられる。
【0023】これら無機系の普通肥料成分は、鶏糞の成
分の種類や目的とする鶏糞含有肥料の成分設計に応じて
その一種類または二種類以上を配合する。
【0024】かくして肥料成分含量が調整された鶏糞を
含む肥料混合物中の成分組成は、例えば全窒素(T−
N):5〜10重量%、リン酸(T−P25 ):5〜
8重量%、カリウム(T−K2 O):3〜5重量%であ
る。
【0025】なお、無機系の普通肥料成分の一部、例え
ばその50重量%以下であれば、さらに有機質肥料を併
用してもよい。
【0026】有機質肥料とは、主として植物性及び動物
性の天然有機質肥料を主体とする肥料であって、植物性
有機質肥料としては、例えば大豆油粕及びその粉末、菜
種油粕及びその粉末、綿実油粕及びその粉末、落花生油
粕及びその粉末、あまに油粕及びその粉末、胡麻油粕及
びその粉末、ひまし油粕及びその粉末、米糠油粕及びそ
の粉末、カポック油粕及びその粉末、豆腐粕乾燥肥料、
玉蜀黍胚芽油粕及びその粉末等、醤油粕及びその粉末等
が挙げられ、また動物性有機質肥料としては、例えば魚
粕粉末、魚荒粉末、干魚肥料粉末、カニ殻粉末、エビ殻
粉末等の甲殻類質肥料粉末、肉粕粉末、肉骨粉末、生骨
粉末、蒸製骨粉末、乾血(血粉)、蒸製蹄角粉末、蒸製
皮革粉末、窒素質グアノ等の肥料取締法(昭和25年法
律第127号、以下同じ。)に規定する普通肥料の範疇
に属するものが挙げられる。
【0027】さらにその他、醗酵/乾燥牛糞、乾燥/醗
酵豚糞、乾燥菌体肥料、アミノ酸粕、コーヒー粕、くず
大豆及びその粉末、たばこくず肥料及びその粉末、よも
ぎ粕、草木灰、くん炭肥料、セラック粕、にかわ粕、貝
殻粉末、貝灰、鉱さい、微粉炭燃焼灰、カルシウム肥
料、塵芥灰、汚泥肥料、焼成汚泥、堆肥等の肥料取締法
に規定する特殊肥料に属するものであっても構わない。
【0028】なお有機質肥料として大豆油粕や菜種油粕
等の油脂成分を含むものは、造粒助剤としても働き、鶏
糞の造粒性を向上させるので、好ましいものとして挙げ
られる。
【0029】醗酵鶏糞は、組成として一般的に窒素含量
が比較的低く、リン酸含量が高いので、成分バランスの
よい肥料とするためには、特に無機系の肥料成分の一つ
として、硫酸アンモニウムや塩化アンモニウム等の窒素
系の肥料を配合することが好ましい場合が多い。しかし
て醗酵の程度により変わりうるが、醗酵鶏糞は、通常p
H8〜10程度の比較的高いアルカリ性を示す(pH
は、鶏糞を10%水溶液として測定した値)。従って、
鶏糞に窒素系肥料を配合した場合は、アンモニアやアミ
ン類等の悪臭ガスの発生が極めて顕著になるという問題
がある。
【0030】また、重炭酸カリ等のカリ成分や生石灰、
消石灰、炭酸カルシウム等のカルシウム成分を配合した
場合もアンモニア等の発生が促進される。
【0031】本発明においては、鶏糞を含む肥料混合物
に酸性物質を配合して、好ましくはpH5.0〜7.
5、さらに好ましくはpH6〜7程度に低下させて、ア
ンモニアやアミン類を固定し、その揮散を抑制すること
が望ましい。
【0032】酸性物質としては、特に限定するものでは
ないが、例えば有機酸や無機酸が挙げられる。有機酸と
しては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、
吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ラウリン酸、ミリスチ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シュウ酸、マロン
酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、
クロトン酸、イソクロトン酸、オレイン酸、フマル酸、
マレイン酸、グルコール酸、乳酸、グリセル酸、リンゴ
酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、没食子酸、ベンジ
ル酸、アニス酸、グリオキシル酸、ピルビン酸、アセト
酢酸、オキサロ酢酸等が挙げられ、無機酸としては、リ
ン酸、硫酸、塩酸、硝酸等が挙げられる。これらは、そ
のまま使用することができるが、所望により水等により
適当な濃度に希釈して使用することが好ましい。
【0033】また、酸性物質としては、重過リン酸石
灰、過リン酸石灰、第一リン酸カルシウム、第二リン酸
カルシウム、第一リン酸マグネシウム、第二リン酸マグ
ネシウム等の塩であってもよい。これらは、肥料成分で
もあるため、同時に肥料効果が期待できるので好まし
い。
【0034】なお、酸性物質として、腐植やピートモス
等を配合することも可能である。酸性物質の配合量は、
鶏糞の性状、発酵度、配合無機肥料成分の種類、量、及
び配合する酸性物質の種類によっても異なるうるが、通
常鶏糞を含む肥料混合物に対し、0.1〜30重量%、
好ましくは0.5〜20重量%程度である。
【0035】なお、アンモニア等の揮散をさらに抑制す
るため、これら酸性物質とともに、シリカゲル、ゼオラ
イト、バーミキュライト、パーライト、ベントナイトの
他、活性炭( 椰子殻系、木材系、石炭系、石油系各由来
のもの )、アルミナゲル等の悪臭ガス吸着機能を有する
多孔性物質を配合することも可能である。
【0036】以上の手段により、大部分の臭気は抑制さ
れるが、本発明においては、鶏糞を含む肥料混合物にさ
らに芳香剤を配合し、臭気を完全にマスキングすること
が好ましい。
【0037】芳香剤としては、主としてテルペン類に属
する化合物であることが好ましく、例えばリモネン、ミ
ルセン、カジネン、α−ピネン、メントール、メント
ン、シネオール、オイゲノール、イソオイゲノール、サ
ビネン、ツヨン、ツヤン、ピネン、カンファー、ゲラニ
オール、ネロール、シトラール、シトロネラール、シト
ロネロール、ヒドロキシシトロネラール、テルピネオー
ル、バニリン、ボルネオール、ピペロナール、リナロー
ル、α−ヨノン、βーヨノン、セスキテルペン、ファル
ネソール、アニソール、アネトール、ネロリン、サフロ
ール、シトロネラ、レモングラス、サイクラメン、カジ
ネン、イソカジネン、サントニン、チモール、フィトー
ル、スクワレン、ジャスモン、ムスコン、サポゲニン、
クマリン等が挙げられる。またこれらを含有する精油と
して使用することもでき、例えばハッカ油、ジャスミン
油、ショウノウ油、ヒノキ油、トウヒ油、リュウ油、テ
レピン油、ケイ皮油、ベルガモット油、ミカン油、ショ
ウブ油、パイン油、ラベンダー油、ベイ油、クローブ
油、ヒバ油、バラ油、ユーカリ油、レモン油、タイム
油、ペパーミント油、ローズ油、セージ油、オリーブ
油、ミンク油等が好ましいものとして挙げられる。
【0038】また、食品添加物として常用されているエ
ステル類等であってもよい。例えば、アセト酢酸エチ
ル、アセトフェノン、アニスアルデヒド、ジャスミナー
ル、アンスラニル酸メチル、イソ吉草酸イソアミル、イ
ソ吉草酸エチル、イソチオシアン酸アリル、γ−ウンデ
カラクトン、エチルバニリン、カプリル酸エチル、カプ
ロン酸アリル、カプロン酸エチル、ギ酸イソアミル、ギ
酸ゲラニル、ギ酸シトロネリル、ケイ皮酸、ケイ皮酸エ
チル、ケイ皮酸メチル、酢酸イソアミル、酢酸ゲラニ
ル、酢酸シトロネリル、酢酸シンナミル、酢酸テルピニ
ル、酢酸ベンジル、酢酸リナリル、酢酸メチル、ノナラ
クトン、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸イソアミ
ル、プロピオン酸エチル、ヘリオトロピン、ベンジルア
ルコール、p−メチルアセトフェノン、N−メチルアン
スラニル酸メチル、酪酸イソアミル、酪酸メチル、酪酸
ブチル等が挙げられる。
【0039】なお、場合によっては、これらを含む植物
(例えば蜜柑やオレンジの皮)等を裁断・乾燥したもの
を芳香剤として配合することも可能である。
【0040】添加芳香剤の配合量は、マスクすべき残留
悪臭の程度や芳香剤の種類によっても異なるうるが、通
常鶏糞を含む肥料混合物に対し、0.01〜10重量
%、好ましくは0.05〜5重量%程度である。
【0041】本発明において、鶏糞と無機肥料成分との
混合、さらにこれと酸性物質や芳香剤との混合は、スク
リューミキサー、パンミキサー、パグミキサー等の粉体
混合機もしくはニーダにより混練して行うことが好まし
い。
【0042】これらを混合する順序は特に限定するもの
でなく、例えば鶏糞、無機肥料成分、酸性物質および芳
香剤を同時にミキサーに仕込んで混合してもよいし、ま
ず鶏糞と無機肥料成分の混合を行い、これに酸性物質や
芳香剤を後で添加して混合する等の工程をとってもよ
い。
【0043】以上のごとくして得られた成分が調整され
た鶏糞を含む肥料混合物(以下、鶏糞肥料混合物又は鶏
糞プレミックスと称することがある。)を成型してペレ
ット状、ブリケット状または粒子状等の鶏糞含有肥料と
する。
【0044】成型は、肥料の成型において常用されてい
るそれ自身公知の成型(以下、造粒とも云う。)操作に
より行うことができる。
【0045】代表的な成型方法としては、例えば (1)
押出し造粒、 (2) 圧縮造粒、 (3) 転動造粒が挙げら
れるが、いずれも好適に本発明に適用することができ
る。
【0046】(1) 押出し造粒は、ペレッターと称する
装置を使用するもので、鶏糞肥料混合物をダイス(又は
金網)から押出し、円筒状あるいは顆粒状のペレットに
成型する。肥料混合物の水分含量等の物性に応じて、粉
体を押し出す方式を選択し、プランジャー(スクリュ
ー)押出しのエクストルーダーか、ロール押出しのデ
ィスクペレッターの何れかを採用する。
【0047】エクストルーダーを使用する場合、その成
形性は、鶏糞肥料混合物の水分含量により影響される。
成形圧力によっても変わりうるが、一般的には鶏糞肥料
混合物の水分含量は、5〜20重量%程度に調整する。
【0048】この水分含量の肥料混合物をバレル内に供
給しスクリューにより加圧圧送して先端のダイスから押
し出してペレット化する。また、ディスクペレッター使
用の場合は、鶏糞肥料混合物の水分含量を上記含量より
低い低水分含量とし、この肥料混合物をロールの回転に
より円筒形状または平板形状のダイスから加圧下に押し
出してペレットとする。なお、一組の円筒形状のダイス
(ローラリングダイ)を互いにかみ合わせることによ
り、鶏糞肥料混合物を圧縮する方式とすることもでき
る。
【0049】(2) 圧縮成型は、ブリケッターと称する
装置を使用するもので、ペレットに対応する溝(ポケッ
ト)が形成された二個のロールを互いにかみ合わせて回
転させ、当該ロール間に鶏糞肥料混合物粉体を連続的に
供給して、当該ポケット中に圧縮充填して成型し所謂ブ
リケット形状とするものである。この場合も肥料混合物
中の水分量が比較的低い場合に好適に適用できる。
【0050】(3) 転動造粒は、転動造粒装置を使用す
るもので、傾けて配置された回転する皿(パン)または
円筒(ドラム)の上部から、鶏糞肥料混合物粉体を供給
するとともに、水(及び澱粉、PVA、CMC、ゼラチ
ン等の水溶性高分子からなるバインダーを含んでいても
よい)を当該転動する粉体上に噴霧することにより、粉
体を毛管吸引力により付着・凝集・成長せしめて、球状
の粒子に成型させるものである。この場合は、粒子は転
動しながら成長するので、球形の粒子が得られる特徴が
ある。
【0051】なお、その他の造粒方法として、鶏糞肥料
混合物をニーダー中で混練して塊状物とし、これを粉砕
することによってもよい。この場合は、成型粒子は、不
定形状となる。
【0052】なお、成型された造粒品は、必要に応じ
て、50〜100℃で1〜20時間程度乾燥することも
できる。
【0053】以上のごとくして成型された鶏糞肥料混合
物の形状は、粒状であればよく、その形状は特に限定す
るものではない。ペレット(円柱)状、球状、不定形
状、角型状、柱状、平板状、鱗片状等その形状は問わな
いが、取扱い性や、機械播種性を考慮すると、ベレット
状か球状が特に好ましい。ペレット状の場合は、直径1
〜10mm、長さ2〜20mm程度、好ましくは直径3
〜6mm、長さ4〜15mmのものが望ましく、球状の
場合は、粒径1〜15mm、好ましくは3〜10mmの
ものが望ましい。なお、球状とは略球状のラクビーボー
ルのごとき形状のものをも包含する。
【0054】
【作用】本発明の鶏糞含有肥料は、鶏糞に無機系の普通
肥料成分が配合されてその肥料成分含量が調整されてい
るので、従来肥料成分が変動し安定していないため成分
保証できなかった鶏糞肥料の問題が解消されている。
【0055】本発明の鶏糞含有肥料は、また、鶏糞に無
機系の普通肥料成分が配合されてから成型・ペレット化
されているので、鶏糞を単独で成型する場合に比較して
その成型性が容易になる。
【0056】また、本発明の鶏糞含有肥料は、酸性物質
が配合されているので、鶏糞に無機系の普通肥料成分が
配合された場合に揮散しやすくなるアンモニア等が固定
されて悪臭の発生が防止されている。
【0057】さらに本発明の鶏糞含有肥料においては、
芳香剤が配合され残存する異臭も完全にマスクされてい
るので、一般の園芸愛好家にも極めて使用し易い肥料で
あると言える。
【0058】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。ただ
し、これらは単なる実施の態様の一例であり、本発明の
技術的範囲が、これらによってなんら制限的に解釈され
るものではない。
【0059】A.評価用鶏糞含有肥料粒子の調製 〔実施例1〕
【0060】(1)鶏糞肥料混合物の調整 表1に示す組成を有する原料醗酵鶏糞500部に対し、
過リン酸石灰180部、硫酸アンモニウム220部、硫
酸カリ60部にリモネン1部を加えてミキサーでよく混
合し鶏糞肥料混合物(プレミックス)を得た。なお、過
リン酸石灰は酸性物質であり、リモネンは芳香剤であ
る。
【0061】(2) ペレットの製造 造粒装置としては、スクリュー押出しのエクストルーダ
ーを使用した。造粒性を付与するため鶏糞肥料混合物の
水分含量を15〜20%に調整し、造粒温度50〜70
℃においてバレル先端のダイス(直径4mmφ)から押
し出し、直径4mm、長さ4mmのペレットを得た。こ
のペレットを70℃の恒温箱型乾燥機にいれ10時間乾
燥して製品とした。製品鶏糞含有ペレットの分析値を表
1に示した。
【0062】〔実施例2〕過リン酸石灰の代わりに第一
リン酸カルシウム180部を酸性物質として使用し、芳
香剤としてメントールを使用した他は、実施例1と同様
にして鶏糞肥料混合物を得、同様に造粒して製品鶏糞含
有ペレットを得た。製品ペレットの分析値を表1に示し
た。
【0063】〔実施例3〕 (1)鶏糞肥料混合物の調整 表1に示す組成を有する原料醗酵鶏糞500部に対し、
過リン酸石灰90部、硫酸アンモニウム280部、硫酸
カリ90部にリモネン1部を加えてミキサーでよく混合
し鶏糞肥料混合物(プレミックス)を得た。なお、過リ
ン酸石灰は酸性物質であり、リモネンは芳香剤である。
【0064】(2) ペレットの製造 上記鶏糞肥料混合物を実施例1で使用したエクストルー
ダーのバレルに供給し、同様に処理して製品鶏糞含有ペ
レットを得た。製品ペレットの分析値を表1に示した。
【0065】〔実施例4〕過リン酸石灰の代わりに第一
リン酸カルシウム90部を酸性物質として使用し、芳香
剤としてオイゲノールを使用した他は、実施例3と同様
にして鶏糞肥料混合物を得、同様に造粒して製品鶏糞含
有ペレットを得た。製品ペレットの分析値を表1に示し
た。
【0066】〔比較例1〕実施例1で使用した醗酵鶏糞
をそのままエクストルーダーに供給し、実施例1と同様
に処理して鶏糞のみからなるペレットを得た。造粒した
鶏糞ペレットの分析値を表1に示した。
【0067】〔比較例2〕実施例3で使用した醗酵鶏糞
をそのままエクストルーダーに供給し、実施例3と同様
に処理して鶏糞のみからなるペレットを得た。造粒した
鶏糞ペレットの分析値を表1に示した。
【0068】B.評価試験 実施例1〜4の鶏糞含有ペレット、比較例1〜2の鶏糞
ペレットについて以下のごとくして臭気を評価した。
【0069】すなわち、容量500ccの密栓付のガラ
ス瓶を6個用意し、それぞれに実施例1〜4、比較例1
〜2で得られたペレットを200gづつ挿入し、放置し
た。10日毎に密栓をあけて臭気の状態を測定し、直ち
に密栓を閉じて10回測定を行った。臭気の状態は5人
の専門パネラーが行った。
【0070】この結果、実施例1〜4の粒状肥料は、何
れの測定時においても臭気が全くないか極めて弱い臭気
のものであるのに対し、比較例1〜2の粒状肥料は、い
ずれもはじめから終始強いアンモニアやアミンによる鶏
糞特有の不快臭を有するものであり歴然たる差があるこ
とがわかった。
【0071】
【表1】
【0072】表1において、肥料成分の分析は、肥料分
析法により行った。またpHは10%水溶液(スラリ
ー)として測定した値である。鶏糞含有ペレット等の硬
度は木屋式硬度計で、4mmφの粒子20粒の平均値で
示した。
【0073】C.植生試験 実施例1〜4の鶏糞含有ペレット及び比較例1〜2の鶏
糞ペレットを用いて圃場にて植生試験を実施した。試供
作物は、ホウレンソウ、品種は、アトラスを用いて収量
調査を行い評価した。
【0074】圃場は、半年間何も栽培していない荒川沖
積土の圃場とし、10m2 を一区として実施例、比較例
について各三連(No.1、No.2、No.3)で実
施した。
【0075】栽培密度は、畦幅60cm、5畦/10m
2 、間引いて150本/畦とした。深さ20cmに耕起
する際に、鶏糞含有ペレットまたは鶏糞ペレットを2.
5Kg/10m2 施用し、耕起、整地した。施用後20
日目に播種し、播種後16日目に間引き、翌17日目に
中耕、土寄せした。収穫は、播種後45日目に実施し茎
葉新鮮重の収量調査を行った。なお、育成期間中、元肥
の鶏糞以外の追肥は施用しなかった。
【0076】茎葉新鮮重の収量調査結果を表2に示し
た。表から明らかなように、本発明の鶏糞含有肥料は、
鶏糞をそのまま使用した場合に比較して、肥効性の点で
もむしろ高いことが認められた。
【0077】
【表2】
【0078】
【発明の効果】本発明の鶏糞含有肥料は、実施例から明
らかなように、鶏糞に無機系の普通肥料成分が配合され
てその肥料成分含量が調整されており、従来単独では肥
料成分が変動し安定していないため成分保証できなかっ
た鶏糞肥料の問題が解消されている。
【0079】また、本発明の鶏糞含有肥料は、そのpH
が過リン酸石灰や第一リン酸カルシウム等の酸性物質が
配合され、鶏糞のpHより低くなっているので、鶏糞に
無機系の普通肥料成分が配合された場合に揮散しやすく
なるアンモニア等が固定され悪臭の発生が防止されてい
る。
【0080】さらに本発明の鶏糞含有肥料においては、
リモネン等の芳香剤が配合され残存する異臭も完全にマ
スクされており、輸送や保管中にも悪臭を放つことがな
いので、農家だけでなく、園芸愛好家にとっても極めて
使用し易い肥料であると言える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C05F 3:00) C05F 3:00) (72)発明者 町谷 喜市 東京都中央区日本橋大伝馬町11番8号 三 井東圧肥料株式会社内 Fターム(参考) 4H061 AA01 BB01 BB21 BB22 BB23 BB51 CC01 CC11 CC21 CC38 DD20 EE04 EE05 EE07 EE22 EE24 EE26 EE27 FF12 GG25 GG26 HH28 HH42 LL25

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鶏糞に無機系の普通肥料成分を配合して
    成分含量を調整し、成型してなることを特徴とする鶏糞
    含有肥料。
  2. 【請求項2】 鶏糞の含有量が30〜90重量%である
    請求項1記載の肥料。
  3. 【請求項3】 酸性物質が配合されている請求項1又は
    2記載の肥料。
  4. 【請求項4】 酸性物質が有機酸または無機酸である請
    求項3記載の肥料。
  5. 【請求項5】 酸性物質が過リン酸石灰または第一リン
    酸カルシウムである請求項3記載の肥料。
  6. 【請求項6】 芳香剤が配合されている請求項1〜5の
    何れかに記載の肥料。
  7. 【請求項7】 芳香剤がリモネン、ピネン、メントー
    ル、シトラール、カンファー、ゲラニオール、アセトフ
    ェノン及びアセト酢酸エチルから選択されるものである
    請求項6記載の肥料。
  8. 【請求項8】 鶏糞が醗酵鶏糞である請求項1〜7の何
    れかに記載の肥料。
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