JP2010513190A - 有機肥料およびその施肥システム - Google Patents
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Abstract
液体栄養組成物を植物に施す送達システムであって、少なくとも約70重量%の乾燥アルファルファを含む肥料組成物を収容する透水性容器を備え、前記容器が水と接触すると前記組成物から栄養分が水中に放出されるシステムである。
【選択図】なし
【選択図】なし
Description
本発明は、有機肥料組成物および該組成物から調製される液肥を生成するシステムに関し、特に、屋内植物、盆栽および実生の様に極少量の肥料しか要しない、もしくは無機肥料に敏感な植物に用いられる肥料の調製システムに関する。
有機肥料は農業および一般家庭におけるガーデニング用に普及が進んでいる。本技術分野では、有機肥料とは植物および動物残渣および天然鉱物に由来する肥料のことである。有機肥料は固形状または液状のものが利用できる。
固形肥料としては、堆肥、天然形状またはペレット状の動物および鳥類の肥やし、血液および骨、魚粉すなわちフィッシュ・ミールが例示される。有機肥料は通常、栄養分を比較的ゆっくりと放出する。それは、根から吸収され得る様になる前に、微生物による分解を経て水溶性のイオンに変化する必要があるからである。このため、有機肥料は直ぐに使える状態とはならず、したがって植物の塩焼けを起こす虞れも少ない。しかし、植物の成長を早めるために固形有機肥料の用量を高めると、問題が生ずる場合がある。この肥料を湿潤土壌または培地に埋設すると、栄養分を放出するのに必要な微生物プロセスを維持するための酸素が不足する虞がある。かかる嫌気的条件下では、植物に有害なアルコール等の化合物が生成する可能性がある。この問題は、 固形有機肥料を培地の表面に施肥することで回避することができる。しかし、これらの肥料は悪臭を放つ上に昆虫をおびき寄せるので、この様な方法は一般に歓迎されない。この様な場合には、液体有機肥料が用いられる場合がある。
液体肥料は通常、魚や動物の廃棄物の水抽出物から製造され、また植物ホルモンや微量元素の供給源と考えられる海草を共通に含んでいる。植物廃棄物を用いて製造されるものは「コンポスト・ティー」の名で知られている。コンポスト・ティーは堆肥の発酵生成物である。通常は、1週間程度の間、堆肥を水に浸し、この混合物を発酵させる。コンポスト・ティーは、土壌の活力を向上させ、植物病原体を抑制する効果があるとされる様々な微生物を供給する。しかし、これらの製品の栄養価値は非常に低く、最終製品の実際の組成は堆肥の基質、発酵時間、発酵温度等の多くの変数に依存する。コンポスト・ティーの効能に関しては、裏付けに乏しい報告が数多く存在する一方で、栄養供給源としてのそれらの栄養価値を支持する科学的データは少ない。
植物または動物由来の有機肥料のすべてに共通する欠点として、不快臭が挙げられる。このために、一般家庭の庭や、特に屋内で使用するには有機肥料は極めて魅力が薄い。無臭ペレット化した有機肥料の提供も試みられてきた。しかし、実際にはこれらのペレットにも残留臭気があるか、または水や湿潤環境と接触することにより時間の経過と共に臭気が増すか、あるいはその双方である。
そこで本発明は、上述の欠点の少なくとも部分的に克服した有機肥料を提供すること、あるいは、有用な、または市販品として選択に値する有機肥料を提供することを目的とする。
本発明の第1の広義の態様によれば、液体有機肥料を生成するシステムであって、少なくとも約70重量%の乾燥アルファルファからなる肥料組成物を収容する透水性容器を備え、前記容器が水と接触すると前記組成物から栄養分その他の有用化合物が水中に放出されるシステムが提供される。
アルファルファは高タンパク作物として家畜の飼料用に、また土壌の有機物を増強したり窒素を供給するための緑肥作物として伝統的に用いられている。緑肥作物は、収穫により栽培地から抜き取られて終わるのではなく、育った土壌中に取り込まれる。アルファルファはその成長の段階で比較的高い窒素含量と水分量を有し、土壌微生物およびミミズ等の他の生物の理想的な食物供給源となる。好適な条件下で、これらの生物は緑肥作物を適度な速さで分解する。この過程で有機物や栄養分が土壌中に放出され、作物を含む他の生物に利用されるようになる。
本発明者らは、驚いたことに、乾燥状態のアルファルファを水に接触させると、良好な栄養バランスが達成され、不快臭も生じないことを偶然に見出した。アルファルファは粉末状であることが好ましい。
上記肥料組成物は100重量%のアルファルファで構成されていてもよいが、植物の栄養分となり得る他の成分をさらに含んでいることが好ましい。かかる他の成分としては、有機カリウム供給源であるグリーンサンドまたは植物灰等、およびこれに加えて用いられる有機窒素およびリン供給源であるグアノ等、微量元素および微量栄養素の天然の供給源である海草や岩石粉等、が例示される。
本発明の別の広義の態様によれば、乾燥形態の肥料組成物であって、約2〜約10重量%、好ましくは約4〜約8重量%のグアノ;約0〜約6重量%、好ましくは約2〜約4重量%の岩石粉;約0〜約4重量%、好ましくは約1〜約3重量%のヤシ灰;約0〜約10重量%、好ましくは約2〜約6重量%の海草;および残余のアルファルファからなる組成物が提供される。
上記組成物は、NPK比が約2.8〜3.2:0.8〜1.2:1.8〜2.5であることが好ましい。
上記透水性容器は封筒状あるいは袋状等、いかなる適切な形態であってもよい。例えば、上記容器は綿、紙、または澱粉系ポリマーのような生分解性材料から作られる。かかる容器は、使用後に簡単に廃棄できるか、または庭土に戻すことができる。あるいは、上記容器を再利用可能とし、目の細かいメッシュ等としてもよい。この場合、上記容器の中身を廃棄し、該容器を再利用する。
上記容器は、栄養分を放出するに十分な時間をかけて水と接触される。上記栄養分は水に可溶な形態、あるいはエマルジョン、懸濁物、分散物といった水に不溶な形態をとる。上記肥料は、周囲温度より高い温度の水と接触させることが好ましい。水を上記容器と接触させる時間は、水温に依存する場合がある。好ましくは、上記容器を少なくとも約70℃、より好ましくは沸点寸前または沸点温度の水と接触させる。上記容器は、通常少なくとも約10分間、水と接触させるが、より短時間であっても許容できる場合もあり得る。上記の水は、周囲温度まで自然放冷するか、または冷水と混合する。得られた水抽出物を土壌または葉に施す。
上記容器は、水と接触させている時間帯の少なくとも一部で揺動されることが好ましい。これにより、栄養分の水中への放出、水に不溶の微粒子または化合物の分散、またはその両方が促進され、上記栄養液の効力が増す。上記容器は、分散中にユーザーが該容器を揺動させる手段をさらに備えていることが好ましく、該手段は例えばハンドルや紐等とすることができる。
上記容器に収容される肥料の量は、上記栄養組成物の最終所要量によって異なる可能性がある。例えば、少数の屋内植物への施肥用であれば、菜園に用いる場合よりも少量でよい。一方、必要に応じて2個以上の容器を一度に用いることもできる。通常、屋内使用の場合、上記容器は約5g〜約20g、好ましくは約8〜約15gの肥料組成物を収容する。典型的には、1gの肥料で約10〜約100ml、好ましくは約20〜約60mlの栄養水が供給される。
アルファルファは、植物のクチクラ層のロウに見られる化学式C30H62Oで表される脂肪族アルコールの一種、トリアコンタノールを含む。トリアコンタノールは植物の成長促進物質であり、植物の肥料に対する応答性を説明するのに役に立つ。即座に理論付けることは差し控えたいが、アルファルファが水と接触することにより、その水が供給される植物の成長に好影響をもらたすに十分な量のトリアコンタノールが水中へ放出されるものと、本発明者らは考えている。
本発明のさらに別の広義の態様によれば、液体栄養組成物を植物に施す方法であって、少なくとも約70重量%の乾燥アルファルファからなる肥料組成物を収容する透水性容器を、栄養分が該組成物から水中へ放出されるに十分な時間をかけて水と接触させ、結果として生ずる混合物を植物へ、またはその近傍へ施す方法が提供される。
以下、本発明を専ら実施例にもとづいて説明する。
実施例1
下記の処方を有する組成物を調製した。
アルファルファ粉末(一級品、タンパク含量>20%、20〜25%の範囲で変動)
85重量%
グアノ(未化石化グアノ) 6%
岩石粉 (Hall Rock Minerals社製) 3%
ヤシ灰(マレーシア産) 2%
海草(タスマニアン・ブル・ケルプ) 4%
上記処方のNPK比は、3.0:1.0:2.1である。
下記の処方を有する組成物を調製した。
アルファルファ粉末(一級品、タンパク含量>20%、20〜25%の範囲で変動)
85重量%
グアノ(未化石化グアノ) 6%
岩石粉 (Hall Rock Minerals社製) 3%
ヤシ灰(マレーシア産) 2%
海草(タスマニアン・ブル・ケルプ) 4%
上記処方のNPK比は、3.0:1.0:2.1である。
実施例2
アルファルファ 90%
グアノ 6%
海草 4%
アルファルファ 90%
グアノ 6%
海草 4%
栽培実験
下記の5種類の液体に対するハツカダイコン実生の成長応答を評価する実験を行った。
1.水のみ(対照用)。
2.市販の化成肥料(Scotts Australia社製、商品名Peters Complete liquid feed、濃度2g/L)
3.実施例1の組成物(ペレット状、ティーバッグ入り、10g/バッグ)
4.実施例1の組成物(粉末状、ティーバッグ入り、10g/バッグ)
5.実施例1の組成物(粉末状)
下記の5種類の液体に対するハツカダイコン実生の成長応答を評価する実験を行った。
1.水のみ(対照用)。
2.市販の化成肥料(Scotts Australia社製、商品名Peters Complete liquid feed、濃度2g/L)
3.実施例1の組成物(ペレット状、ティーバッグ入り、10g/バッグ)
4.実施例1の組成物(粉末状、ティーバッグ入り、10g/バッグ)
5.実施例1の組成物(粉末状)
上記組成物3、4および5をそれぞれ100mlの沸騰水に投入し、揺動しながら5〜10分間保った。上記組成物3および4については、この時点でティーバッグを廃棄した。得られた溶液に水道水を加えて300mlとし、調製から1時間以内に実生に施した。
施肥は種子が発芽した直後に開始した。5通りの施肥は実験期間中を通じて行った。
収穫時に各植物の写真を撮影し、食用とする根の部分の重量を測定した。結果を図1に示す。根の重量は施肥5において最大であり、5>2>4>3>1の順に減少した。よって、本発明の効果が確認された。
図2は左から右に向かってそれぞれ施肥5、4、2および1を行った実生の写真である。
図3および図4はそれぞれ、左から右に向かって施肥5、1および2を行った実生の写真である。
図5は 左から右に向かってそれぞれ5および4を行った実生の写真である。
図3および図4はそれぞれ、左から右に向かって施肥5、1および2を行った実生の写真である。
図5は 左から右に向かってそれぞれ5および4を行った実生の写真である。
本発明の方法により栄養組成物を施すと、化成肥料と同等であって、かつ対照例より明らかに優れた結果が得られることが解る。これらの結果は、本発明の方法および組成物が、バランス良く栄養分を実生に供給できることを示している。これは、アルファルファの様な有機植物製品がいくつかの栄養分をゆっくりと放出する用途にしか適さないとされてきた事実を考えると、驚くべき結果である。
なお、本明細書において「〜を含む」という表現は、網羅的というより包括的に解釈されるべきであり、したがって言及された特徴や数値に限定されるものではなく、言及されていない特徴や数値も包含するものと解釈すべきである。
また、本明細書および特許請求の範囲に述べた本発明に対し、本発明の主旨や範囲を逸脱しない限りにおいて種々の変更や改変を行うことができる。
また、本明細書および特許請求の範囲に述べた本発明に対し、本発明の主旨や範囲を逸脱しない限りにおいて種々の変更や改変を行うことができる。
Claims (13)
- 液体栄養組成物を植物に施す送達システムであって、
少なくとも約70重量%の乾燥アルファルファを含む肥料組成物を収容する透水性容器を備え、前記容器が水と接触すると前記組成物から栄養分が水中に放出されるシステム。 - 前記組成物が100重量%のアルファルファからなる、請求項1に記載のシステム。
- 前記組成物が有機窒素供給源および有機カリウム供給源を含む、請求項1に記載のシステム。
- 前記組成物が有機リン供給源を含む、請求項1に記載のシステム。
- 前記窒素供給源がグアノであり、前記カリウム供給源が灰である、請求項3に記載のシステム。
- トリアコンタノールが水中に放出される、請求項1に記載のシステム。
- 乾燥形態の肥料組成物であって、約2〜約10重量%のグアノ、約6重量%以下の岩石粉、約4%以下のヤシ灰、約10重量%以下の海草、および残余のアルファルファからなる組成物。
- NPK比が約2.8〜3.2:0.8〜1.2:1.8〜2.5である、請求項6に記載の組成物。
- 液体栄養組成物を植物に施す方法であって、少なくとも約70重量%の乾燥アルファルファを含む肥料組成物を収容する透水性容器を、栄養分が該組成物から水中へ放出されるに十分な時間をかけて水と接触させ、結果として生ずる液体を植物へ、またはその近傍へ施す方法。
- 前記水の温度が周囲温度以上である、請求項9に記載の方法。
- 前記容器が生分解性の透水性容器である、請求項9に記載の方法。
- 前記肥料組成物を水と少なくとも約10分間接触させ、かつその時間帯の少なくとも一部で前記肥料を揺動させる、請求項9に記載の方法。
- 水中にトリアコンタノールが放出される、請求項9に記載の方法。
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