JP2007237794A - ハイブリッド車両の排気浄化システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 DPFが過温度と判定されたとき、バッテリ充電量SOCに応じ、SOCが高レベルの場合は、モータの出力を増加させて、モータによりエンジンを所定回転速度以上で連れ回すように制御する(M=3)。SOCが低レベルの場合は、エンジンの空燃比をリッチ化すると共に、エンジンの出力を低負荷領域を脱するように増加させ、余剰出力でモータを駆動して発電を行わせるように制御する(M=2)。
【選択図】 図11
Description
また、前記機関の出力を増加させる制御(バッテリに充電する制御)の実施には、バッテリの充電量が低いことが望ましく、前記モータの出力を増加させる制御の実施には、バッテリの充電量が高いことが望ましいので、バッテリ充電量に応じて、切換えることで、最適な制御を実施できる。
図1は本発明の一実施形態を示すハイブリッド車両のシステム図である。
ハイブリッド車両では、車両の駆動源として、内燃機関(以下「エンジン」という)1と、発電機を兼ねる電気モータ(モータジェネレータともいう)2とを備える。モータ2はインバータ3を介してバッテリ4と電気的に接続されている。
エンジン1は、例えばディーゼルエンジンで、燃料噴射量等を制御することで任意のトルクを発生させることができる。また、燃料噴射時期の遅角(膨張行程又は排気行程でのポスト噴射を含む)により、排気温度を上昇させることができる。
エンジン1及びモータ2は、それぞれのクラッチ6e、6mにより、各々単独で、又は両者共同して、車両を駆動可能である。
車両の減速時においては、エンジン1によるエンジンブレーキが可能である一方、モータ2は発電機として機能し、モータ2による回生制動が可能であり、回生制動時に生じる発電電力をインバータ3経由でバッテリ4に充電可能としている。また、エンジン1による駆動中にクラッチ6m及び変速機5mを経由してモータ2を駆動、すなわち、エンジン1により車両とモータ2とを駆動することで、モータ2による発電電力をインバータ3経由でバッテリ4に充電可能としている。
酸化触媒9は、排気中のHC、COを酸化処理する。
NOx吸着触媒10は、排気中のNOxを吸着するもので、リッチ雰囲気にてNOxを脱離浄化可能である。
ここにおいて、DPF11については、捕集したPMの堆積により、目詰まりを起こして、排気抵抗の増加による運転性の悪化を招くことから、PM堆積量を推定し、これが所定値以上となったときに、再生時期と判断し、DPFの温度を上昇させる再生処理を行って、DPFに堆積しているPMを燃焼除去することにより、DPFを再生する。
本発明では、排気浄化装置(DPF11、NOx吸着触媒10)の再生中に、過温度となった場合、(1)エンジン1の空燃比をリッチ化すると共に、エンジン1の出力を低負荷領域を脱するように増加させ、余剰出力でモータ2を駆動して発電を行わせる制御、又は、(2)モータ2の出力を増加させて、モータ2によりエンジンを所定回転速度以上で連れ回す制御(望ましくは、エンジン1への燃料供給を停止し、モータ2のみで出力を得るモータ走行)のいずれかを実施する構成とする。尚、ここでいう所定回転速度とは、排気浄化装置を温度低下させることができる回転速度である。
また、上記(2)の制御を実施することにより、エンジン1を低負荷(無負荷)高回転状態として、排気浄化装置に冷却用のガス(空気)を供給することで、排気浄化装置を速やかに温度低下できる。
かかる制御について、DPF11の再生の例で、以下に詳細に説明する。
図2はハイブリッド車両の制御ブロック図である。
その一方、前記運転点決定手段B2は、DPFの再生制御との関係で、運転モード変更手段B5により指令される運転モードに応じて、運転点を変更するように構成されており、運転モード変更手段B5には、DPF温度検出手段B6、充電量検出手段B7から各情報が入力されている。
充電量検出手段B7は、例えば、バッテリの充放電電流を検出する電流センサを用い、充放電電流を積算することで、バッテリの充電量SOCを検出する。尚、充電量SOCは、通常、満充電量に対する割合(%)として求める。
運転モードには、通常モード(M=1)、エンジン出力増加モード(M=2)、モータ出力増加モード(M=3)があるので、それぞれについて説明する。
通常モード(M=1)は、DPF再生中を含む通常の運転モードであり、運転状態検出手段からの運転状態情報に基づき、車両に要求される総合出力Ptを算出し、図3のハイブリッド出力(エンジン/モータ出力)配分テーブルに基づいて、総合出力Ptからエンジン出力Pe及びモータ出力Pmを決定し、エンジン制御手段及びモータ制御手段に指令する。
モータ制御手段では、決定されたモータ出力Pmに基づいて、図5のモータ運転点テーブルより運転点を決定する。この運転点テーブルは、各モータ出力値(Pm0、Pm1、・・・)に対して、燃費が最適となるトルク(Tm0、Tm1、・・・)及び回転速度(Nm0、Nm1、・・・)の組合わせを設定したものである。
図6のハイブリッド出力分配テーブルでは、図3のハイブリッド出力分配テーブルに対し、低出力域でのエンジン出力を増加させる(モータ出力を0とする)ことにより、低出力域にて、要求総合出力Ptに対するエンジン出力の余剰分(Pes−Pt)をモータ発電分とする。
モータ出力増加モード(M=3)は、DPFが過温度で温度低下させる必要があるときで、かつ、バッテリ充電量が高いときの運転モードであり、モータ出力(割合)を増加させ、少なくとも低中出力域ではモータのみで出力を得る(モータ出力100%)。そして、モータのみで出力を得る際は、エンジンへの燃料供給は停止するが、クラッチを接続したまま、必要によっては変速パターンを変更し、モータによりエンジンを所定回転速度以上(無負荷高回転)で連れ回して、DPFに冷却用の空気を供給する。ここでの所定回転速度は、DPFの温度を低下させることが可能な量の空気を供給できる回転速度とする。DPF内のPM燃焼熱発生よりも空気による冷却効果が上回るように制御して効果的に温度低下させる。
図8のハイブリッド出力分配テーブルでは、高出力域以外の低中出力域でエンジン出力を0にして、モータ出力割合を100%としている。
次に、制御の流れを、図10のフローチャートによって説明する。
A1では、DPFが過温度状態か否かを判定する。過温度状態とは、例えば、DPF温度Tが過温度判定用の所定値Te(例えば750℃)に達した後、適正温度判定用の所定値Ts(例えば600℃)に戻るまでとする。
過温度である場合は、A3へ進み、過温度となって初回か否かを、M=1か否かによって、判定する。
初回の場合は、S4へ進み、バッテリ充電量SOCを低側の第1レベルEsLと比較し、SOC≦EsLか否かを判定する。
エンジン出力増加モード(M=2)では、エンジンの空燃比をリッチ化すると共に、エンジン出力を低負荷領域を脱するように増加させることで、DPFの温度低下を図ることができる。また、エンジンの余剰出力でモータを駆動して、発電を行わせることで、バッテリに充電し、モータ走行に備えることができる。
モータ出力増加モード(M=3)では、特に低中出力域にて、エンジンへの燃料供給を停止し、モータ出力を増加させて、モータ走行に切換える一方、このとき、モータによりエンジンを高回転で連れ回して、DPFに冷却用の空気を供給することで、DPFを冷却することができる。
過温度となって2回目以降で、エンジン出力増加モード(M=2)又はモータ出力増加モード(M=3)に設定されているときは、A3からA7へ進む。
先ずエンジン出力増加モード(M=2)に設定されている場合のA8〜A14の処理について説明する。
A8では、目標移行モード値Mm=3か否かを判定する。M=2であれば、最初はMm=2となっているので、A9へ進む。
SOC<EsHの場合は、A10へ進んで、エンジン出力増加モード(M=2)を維持する。
A12では、エンジン出力増加モード(M=2)からモータ出力増加モード(M=3)への切換えに際し、高回転・高負荷領域を経由して遷移させるため、図6のハイブリッド出力配分テーブル(M=2用)を用いたまま、エンジン運転点テーブルのみを図7(M=2用)から図9(M=3用)に切換える。
移行が完了した場合は、A14へ進み、モータ出力増加モード(M=3)に切換える。すなわち、ハイブリッド出力配分テーブルを図6(M=2用)から図8(M=3用)に切換える。
A15では、目標移行モード値Mm=2か否かを判定する。M=3であれば、最初はMm=3となっているので、A16へ進む。
A16では、バッテリ充電量SOCが低側の第1レベルEsL以下になったか否かを判定する。すなわち、バッテリを消費するモータ出力増加モード(M=3)により、バッテリ充電量SOCが第1レベルEsLまで低下したか否かを判定する。
SOC≦EsLとなった場合は、A18へ進んで、モード切換えの準備のため、目標移行モード値Mm=2として、A19へ進む。また、Mm=2設定後は、次回より、A15からA19へ進む。
次のA20では、移行が完了したか否かを時間経過などから判定し、移行が完了するのを待つ。
次に、制御の流れを、図11のタイムチャートによって説明する。
図11のタイムチャートは、DPFの再生時期と判断され、燃料噴射時期の遅角などにより排気温度を上昇させて、再生処理を開始した後、DPF温度Tが何らかの理由で過度に上昇して、t0の時点で、過温度判定用の所定値Te(例えば750℃)に達した場合の制御の様子を示している。
t0の時点で、DPF温度T≧Teとなって、過温度と判定されると、バッテリ充電量SOCが低側の第1レベルEsLと高側の第2レベルEsHとの間にある場合、DPF冷却を優先するため、モータ出力増加モード(M=3)に設定される。
モータ出力増加モード(M=3)により、バッテリ充電量SOCが低下して、t2の時点で、低側の第1レベルEsLより低下すると、エンジン出力増加モード(M=2)への切換えを開始する。
そして、t2からt3、t4を経て、t5の時点で、移行が完了し、エンジン出力増加モード(M=2)に切換えられる。
エンジン出力増加モード(M=2)では、エンジンの空燃比をリッチ化すると共に、エンジン出力を低負荷領域を脱するように増加させることで、DPFの温度低下を図る。また、エンジンの余剰出力でモータを駆動して、発電を行わせることで、バッテリに充電し、モータ走行に備える。
このとき、t6の時点では、エンジン出力増加モード(M=2)のまま、目標移行モード値Mm=3に切換えられ、移行中は高回転・高負荷領域を経由して遷移する。
その後、t10の時点で、DPF温度Tが適正温度判定用の所定値Ts(例えば600℃)まで低下すると、過温度状態を脱したとみなし、その時点より、通常モード(M=1)に戻る。
また、本実施形態によれば、バッテリ充電量について低側の第1レベルEsLと高側の第2レベルEsHとを有し、前記エンジンの出力を増加させる制御は、バッテリ充電量が前記第1レベルEsLより低下した後、前記第2レベルEsHへ増大するまで、行うことにより、バッテリ充電量に余裕がない場合に、モータ電力収支を正の状態にして、過放電を防ぎながら、DPF過温度を抑制することができる。
上記の実施形態では、パラレル型のハイブリッド車両(図1)について説明したが、シリーズ型のハイブリッド車両にも適用可能である。
このシステムでは、エンジン1の出力軸とモータ2の出力軸とを同軸にして直結してあり、この1つの出力軸が、変速機(ベルト式無段変速機;CVT)5、クラッチ6を介して、終減速ギア装置7の入力軸に連結されている。
尚、前記モータ出力増加モード(M=3)にて、システム構成や走行条件の影響により、エンジンを十分高い回転速度で連れ回すことができない場合は、エンジンの回転を停止することで、排気浄化装置への酸素供給を遮断し、この状態でモータ走行を行うようにしてもよい。又は、スロットル弁全閉やEGR弁全開により、排気浄化装置への酸素供給を遮断し、この状態でモータ走行を行うようにしてもよい。
2 モータ
3 インバータ
4 バッテリ
5e、5m、5 変速機
6e、6m、6 クラッチ
7 終減速ギア装置
8 車軸
9 酸化触媒
10 NOx吸着触媒
11 DPF
Claims (8)
- 車両の駆動源として、内燃機関と、電気モータとを備え、前記モータは、車両又は機関により駆動されることで発電機としてバッテリに充電可能なハイブリッド車両であって、
前記機関の排気通路に排気浄化触媒を備える一方、所定の再生条件にて前記排気浄化装置に堆積している堆積物を燃焼除去することにより前記排気浄化装置を再生する再生手段を備えるものにおいて、
前記排気浄化装置の再生中に、前記排気浄化装置の温度状態を判定する手段を備え、
前記排気浄化装置が過温度と判定されたときに、前記機関の空燃比をリッチ化すると共に、前記機関の出力を低負荷領域を脱するように増加させ、余剰出力で前記モータを駆動して発電を行わせるように制御することを特徴とするハイブリッド車両の排気浄化システム。 - 車両の駆動源として、内燃機関と、電気モータとを備え、前記モータは、車両又は機関により駆動されることで発電機としてバッテリに充電可能なハイブリッド車両であって、
前記機関の排気通路に排気浄化触媒を備える一方、所定の再生条件にて前記排気浄化装置に堆積している堆積物を燃焼除去することにより前記排気浄化装置を再生する再生手段を備えるものにおいて、
前記排気浄化装置の再生中に、前記排気浄化装置の温度状態を判定する手段を備え、
前記排気浄化装置が過温度と判定されたときに、前記モータの出力を増加させて、前記モータにより前記機関を所定回転速度以上で連れ回すように制御することを特徴とするハイブリッド車両の排気浄化システム。 - 車両の駆動源として、内燃機関と、電気モータとを備え、前記モータは、車両又は機関により駆動されることで発電機としてバッテリに充電可能なハイブリッド車両であって、
前記機関の排気通路に排気浄化触媒を備える一方、所定の再生条件にて前記排気浄化装置に堆積している堆積物を燃焼除去することにより前記排気浄化装置を再生する再生手段を備えるものにおいて、
前記排気浄化装置の再生中に、前記排気浄化装置の温度状態を判定する手段と、前記バッテリの充電状態を判定する手段とを備え、
前記排気浄化装置が過温度と判定されたときに、前記バッテリの充電状態に応じ、前記機関の空燃比をリッチ化すると共に、前記機関の出力を低負荷領域を脱するように増加させ、余剰出力で前記モータを駆動して発電を行わせる制御と、前記モータの出力を増加させて、前記モータにより前記機関を所定回転速度以上で連れ回す制御と、を選択的に切換えることを特徴とするハイブリッド車両の排気浄化システム。 - 前記機関の出力を増加させる制御と、前記モータの出力を増加させる制御との切換時は、前記機関の高回転・高負荷領域を経由して遷移させることを特徴とする請求項3記載のハイブリッド車両の排気浄化システム。
- バッテリ充電量について低側の第1レベルと高側の第2レベルとを有し、
前記機関の出力を増加させる制御は、バッテリ充電量が前記第1レベルより低下した後、前記第2レベルへ増大するまで、行うことを特徴とする請求項3又は請求項4記載のハイブリッド車両の排気浄化システム。 - バッテリ充電量について低側の第1レベルと高側の第2レベルとを有し、
前記モータの出力を増加させる制御は、バッテリ充電量が前記第2レベルより増大した後、前記第1レベルへ低下するまで、行うことを特徴とする請求項3又は請求項4記載のハイブリッド車両の排気浄化システム。 - 前記排気浄化装置の過温度の最初の判定時に、バッテリ充電量が前記第1レベルと前記第2レベルとの間にあるときは、前記機関の出力を増加させる制御に優先して、前記モータの出力を増加させる制御を実施することを特徴とする請求項5又は請求項6記載のハイブリッド車両の排気浄化システム。
- 前記排気浄化装置が過温度と判定されたときに、前記排気浄化装置の温度が高いほど、前記第1及び第2レベルを低く設定することを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか1つに記載のハイブリッド車両の排気浄化システム。
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