JP2007237794A - ハイブリッド車両の排気浄化システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 エンジンとモータとを備えるハイブリッド車両において、排気浄化装置(DPF)の再生中に、DPFが過温度となった場合、DPF温度を速やかに低下させる。
【解決手段】 DPFが過温度と判定されたとき、バッテリ充電量SOCに応じ、SOCが高レベルの場合は、モータの出力を増加させて、モータによりエンジンを所定回転速度以上で連れ回すように制御する(M=3)。SOCが低レベルの場合は、エンジンの空燃比をリッチ化すると共に、エンジンの出力を低負荷領域を脱するように増加させ、余剰出力でモータを駆動して発電を行わせるように制御する(M=2)。
【選択図】 図11

Description

本発明は、車両の駆動源として、内燃機関と、発電機を兼ねる電気モータとを備えるハイブリッド車両に関し、特にその内燃機関の排気浄化装置(PM捕集用フィルタ、NOx吸着触媒等)の再生技術に関する。
特許文献1に記載の車両では、内燃機関の排気通路に設けられる排気浄化装置(NOx吸着触媒)に堆積する堆積物(硫黄)の堆積量が所定値を超えて、再生時期になると、排気浄化装置(NOx吸着触媒)の温度を上昇させて、これに堆積する堆積物(硫黄)を燃焼除去することにより、排気浄化装置(NOx吸着触媒)を再生(被毒解除)している。
特開2002−097939号公報
ところで、排気浄化装置の再生中に、何らかの理由で急激な燃焼が起こると、発熱により燃焼速度が更に大きくなり、過温度となることがある。かかる場合には、排気浄化装置の温度を低下させる必要があるが、機関の低回転低負荷領域では、空燃比の低下(リッチ化)しか、温度抑制の得策がない。しかし、低回転低負荷領域でのリッチ化は、燃焼不安定を招いて、排気(HC)や燃費の大幅な悪化が懸念される。
本発明は、このような実状に鑑み、ハイブリッド車両であることを前提に、排気浄化装置の再生中の過温度を排気や燃費の悪化を招くことなく抑制できるようにすることを目的とする。
このため、本発明は、排気浄化装置の再生中に、排気浄化装置が過温度と判定されたときに、機関の空燃比をリッチ化すると共に、機関の出力を低負荷領域を脱するように増加させ、余剰出力でモータを駆動して発電を行わせる制御、又は、モータの出力を増加させて、モータにより機関を所定回転速度以上で連れ回す制御のいずれかを実施する構成とする。
より具体的には、排気浄化装置の再生中に、排気浄化装置が過温度と判定されたときに、バッテリの充電状態に応じ、前記機関の出力を増加させる制御と、前記モータの出力を増加させる制御と、を選択的に切換える構成とする。
本発明によれば、機関の空燃比をリッチ化すると共に、機関の出力を低負荷領域を脱するように増加させ、余剰出力でモータを駆動して発電を行わせる制御を実施することにより、排気や燃費の悪化を招く機関の低負荷領域での空燃比リッチ化を回避しつつ、高負荷領域でのリッチ化により、排気浄化装置の温度低下を図ることができ、また余剰出力は発電に回して、バッテリに充電することにより、後刻に利用できることから、燃費も向上できる。
また、モータの出力を増加させて、モータにより機関を所定回転速度以上で連れ回す制御を実施することにより、機関を低負荷(無負荷)高回転状態として、排気浄化装置に冷却用のガス(空気)を供給することで、排気浄化装置を速やかに温度低下できる。
また、前記機関の出力を増加させる制御(バッテリに充電する制御)の実施には、バッテリの充電量が低いことが望ましく、前記モータの出力を増加させる制御の実施には、バッテリの充電量が高いことが望ましいので、バッテリ充電量に応じて、切換えることで、最適な制御を実施できる。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示すハイブリッド車両のシステム図である。
ハイブリッド車両では、車両の駆動源として、内燃機関(以下「エンジン」という)1と、発電機を兼ねる電気モータ(モータジェネレータともいう)2とを備える。モータ2はインバータ3を介してバッテリ4と電気的に接続されている。
エンジン1及びモータ2の出力軸は、それぞれ変速機(ベルト式無段変速機;CVT)5e、5m、クラッチ6e、6mを介して、終減速ギア装置7の入力軸に連結されている。そして、終減速ギア装置7の出力軸(車軸)8に駆動輪が取付けられている。
エンジン1は、例えばディーゼルエンジンで、燃料噴射量等を制御することで任意のトルクを発生させることができる。また、燃料噴射時期の遅角(膨張行程又は排気行程でのポスト噴射を含む)により、排気温度を上昇させることができる。
モータ2は、バッテリ4の電力を消費して任意のトルクを発生させることができる。
エンジン1及びモータ2は、それぞれのクラッチ6e、6mにより、各々単独で、又は両者共同して、車両を駆動可能である。
車両の減速時においては、エンジン1によるエンジンブレーキが可能である一方、モータ2は発電機として機能し、モータ2による回生制動が可能であり、回生制動時に生じる発電電力をインバータ3経由でバッテリ4に充電可能としている。また、エンジン1による駆動中にクラッチ6m及び変速機5mを経由してモータ2を駆動、すなわち、エンジン1により車両とモータ2とを駆動することで、モータ2による発電電力をインバータ3経由でバッテリ4に充電可能としている。
ここにおいて、ディーゼルエンジン1の排気通路には、排気浄化装置として、酸化触媒9、NOx吸着触媒10、ディーゼル・パティキュレート・フィルタ(以下「DPF」という)11を設けてある。
酸化触媒9は、排気中のHC、COを酸化処理する。
NOx吸着触媒10は、排気中のNOxを吸着するもので、リッチ雰囲気にてNOxを脱離浄化可能である。
DPF11は、排気中のPM(粒子状物質;Particulate Matter)を捕集するもので、再生時のPMの燃焼を促進するために触媒が担持されている。
ここにおいて、DPF11については、捕集したPMの堆積により、目詰まりを起こして、排気抵抗の増加による運転性の悪化を招くことから、PM堆積量を推定し、これが所定値以上となったときに、再生時期と判断し、DPFの温度を上昇させる再生処理を行って、DPFに堆積しているPMを燃焼除去することにより、DPFを再生する。
また、NOx吸着触媒10については、長期の使用により、硫黄(S)被毒を起こし、NOx吸着効率の悪化を招くことから、硫黄堆積量(硫黄被毒量)を推定し、これが所定値以上となったときに、再生時期(被毒解除時期)と判断し、NOx吸着触媒の温度を上昇させる再生処理(被毒解除処理)を行って、NOx吸着触媒に堆積している硫黄を燃焼除去することにより、NOx吸着触媒を再生(被毒解除)する。
排気浄化装置(DPF11、NOx吸着触媒10)の再生は、エンジン1での燃料噴射時期を遅角することにより、及び/又は、エンジン1の出力を増加させて、要求出力に対する余剰出力によりモータ2を駆動して発電させることで、エンジン1の高負荷発電運転を行うことにより、排気温度を上昇させ、排気浄化装置の温度をその堆積物の燃焼温度以上にすることによって、開始させる。
しかし、排気浄化装置(DPF11、NOx吸着触媒10)の再生中に、過大な燃焼を生じて、過温度となった場合には、温度を低下させる必要がある。
本発明では、排気浄化装置(DPF11、NOx吸着触媒10)の再生中に、過温度となった場合、(1)エンジン1の空燃比をリッチ化すると共に、エンジン1の出力を低負荷領域を脱するように増加させ、余剰出力でモータ2を駆動して発電を行わせる制御、又は、(2)モータ2の出力を増加させて、モータ2によりエンジンを所定回転速度以上で連れ回す制御(望ましくは、エンジン1への燃料供給を停止し、モータ2のみで出力を得るモータ走行)のいずれかを実施する構成とする。尚、ここでいう所定回転速度とは、排気浄化装置を温度低下させることができる回転速度である。
上記(1)の制御を実施することにより、排気や燃費の悪化を招くエンジン1の低負荷領域での空燃比リッチ化を回避しつつ、高負荷領域でのリッチ化により、排気浄化装置の温度低下を図ることができ、また余剰出力は発電に回して、バッテリ4に充電することにより、後刻に利用できる。
また、上記(2)の制御を実施することにより、エンジン1を低負荷(無負荷)高回転状態として、排気浄化装置に冷却用のガス(空気)を供給することで、排気浄化装置を速やかに温度低下できる。
より具体的には、排気浄化装置の再生中に、排気浄化装置が過温度と判定されたときに、バッテリ4の充電状態に応じ、上記(1)の制御と上記(2)の制御とを選択的に切換える。
かかる制御について、DPF11の再生の例で、以下に詳細に説明する。
図2はハイブリッド車両の制御ブロック図である。
車両の運転状態を検出する運転状態検出手段B1と、その検出結果に従ってエンジン及びモータの各運転点を決定する運転点決定手段B2と、決定されたエンジン運転点に従ってエンジンを制御するエンジン制御手段B3と、決定されたモータ運転点に従ってモータを制御するモータ制御手段B4とを備える。
その一方、前記運転点決定手段B2は、DPFの再生制御との関係で、運転モード変更手段B5により指令される運転モードに応じて、運転点を変更するように構成されており、運転モード変更手段B5には、DPF温度検出手段B6、充電量検出手段B7から各情報が入力されている。
DPF温度検出手段B6は、例えば、DPFの担体温度、又はDPF下流側及び/又は上流側の排気温度を検出するセンサを用い、DPF温度Tを検出する。
充電量検出手段B7は、例えば、バッテリの充放電電流を検出する電流センサを用い、充放電電流を積算することで、バッテリの充電量SOCを検出する。尚、充電量SOCは、通常、満充電量に対する割合(%)として求める。
次に、DPF温度やバッテリ充電量に応じて運転モード変更手段5により指令される運転モードについて、説明する。
運転モードには、通常モード(M=1)、エンジン出力増加モード(M=2)、モータ出力増加モード(M=3)があるので、それぞれについて説明する。
通常モード(M=1)は、DPF再生中を含む通常の運転モードであり、運転状態検出手段からの運転状態情報に基づき、車両に要求される総合出力Ptを算出し、図3のハイブリッド出力(エンジン/モータ出力)配分テーブルに基づいて、総合出力Ptからエンジン出力Pe及びモータ出力Pmを決定し、エンジン制御手段及びモータ制御手段に指令する。
エンジン制御手段では、決定されたエンジン出力Peに基づいて、図4のエンジン運転点テーブルより運転点を決定する。この運転点テーブルは、各エンジン出力値(Pe0、Pe1、・・・)に対して、燃費が最適となるトルク(Te0、Te1、・・・)及び回転速度(Ne0、Ne1、・・・)の組合わせを設定したものである。
モータ制御手段では、決定されたモータ出力Pmに基づいて、図5のモータ運転点テーブルより運転点を決定する。この運転点テーブルは、各モータ出力値(Pm0、Pm1、・・・)に対して、燃費が最適となるトルク(Tm0、Tm1、・・・)及び回転速度(Nm0、Nm1、・・・)の組合わせを設定したものである。
エンジン出力増加モード(M=2)は、DPFが過温度で温度低下させる必要があるときで、かつ、バッテリ充電量が低いときの運転モードであり、エンジンの空燃比のリッチ化と共に実施し、エンジン出力(割合)を低負荷領域(排気中の酸素濃度を通常時よりも低減しなければ温度上昇が抑えられず、かつ、酸素濃度低下により排気悪化が懸念される領域)を脱するように増加させ、余剰出力でモータを駆動して発電を行わせる。
このため、図6のハイブリッド出力配分テーブルを用いて、要求総合出力Ptからエンジン出力Pe及びモータ出力Pmを決定し、エンジン制御手段及びモータ制御手段に指令する。
図6のハイブリッド出力分配テーブルでは、図3のハイブリッド出力分配テーブルに対し、低出力域でのエンジン出力を増加させる(モータ出力を0とする)ことにより、低出力域にて、要求総合出力Ptに対するエンジン出力の余剰分(Pes−Pt)をモータ発電分とする。
尚、エンジン出力増加モード(M=2)で用いるエンジン運転点テーブルは、図4と同じでもよいが、図7に示すように、空燃比リッチ化によりHCが悪化する低負荷領域での運転を回避できる。
モータ出力増加モード(M=3)は、DPFが過温度で温度低下させる必要があるときで、かつ、バッテリ充電量が高いときの運転モードであり、モータ出力(割合)を増加させ、少なくとも低中出力域ではモータのみで出力を得る(モータ出力100%)。そして、モータのみで出力を得る際は、エンジンへの燃料供給は停止するが、クラッチを接続したまま、必要によっては変速パターンを変更し、モータによりエンジンを所定回転速度以上(無負荷高回転)で連れ回して、DPFに冷却用の空気を供給する。ここでの所定回転速度は、DPFの温度を低下させることが可能な量の空気を供給できる回転速度とする。DPF内のPM燃焼熱発生よりも空気による冷却効果が上回るように制御して効果的に温度低下させる。
このため、図8のハイブリッド出力配分テーブルを用いて、要求総合出力Ptからエンジン出力Pe及びモータ出力Pmを決定し、エンジン制御手段及びモータ制御手段に指令する。
図8のハイブリッド出力分配テーブルでは、高出力域以外の低中出力域でエンジン出力を0にして、モータ出力割合を100%としている。
尚、モータ出力増加モード(M=3)で用いるエンジン運転点テーブルは、図9に示すようであり、低回転領域での運転が無くなる。
次に、制御の流れを、図10のフローチャートによって説明する。
A1では、DPFが過温度状態か否かを判定する。過温度状態とは、例えば、DPF温度Tが過温度判定用の所定値Te(例えば750℃)に達した後、適正温度判定用の所定値Ts(例えば600℃)に戻るまでとする。
過温度でない場合は、A2へ進み、通常モード(M=1)に設定し、同時に目標移行モード値Mm=1とする。
過温度である場合は、A3へ進み、過温度となって初回か否かを、M=1か否かによって、判定する。
初回の場合は、S4へ進み、バッテリ充電量SOCを低側の第1レベルEsLと比較し、SOC≦EsLか否かを判定する。
SOC≦EsLの場合は、S5へ進み、通常モード(M=1)から、エンジン出力増加モード(M=2)に設定し、同時に目標移行モード値Mm=2とする。
エンジン出力増加モード(M=2)では、エンジンの空燃比をリッチ化すると共に、エンジン出力を低負荷領域を脱するように増加させることで、DPFの温度低下を図ることができる。また、エンジンの余剰出力でモータを駆動して、発電を行わせることで、バッテリに充電し、モータ走行に備えることができる。
SOC>EsLの場合は、S6へ進み、モータ出力増加モード(M=3)に設定し、同時に目標移行モード値Mm=3とする。
モータ出力増加モード(M=3)では、特に低中出力域にて、エンジンへの燃料供給を停止し、モータ出力を増加させて、モータ走行に切換える一方、このとき、モータによりエンジンを高回転で連れ回して、DPFに冷却用の空気を供給することで、DPFを冷却することができる。
尚、バッテリ充電量SOCが高側の第2レベルEsHを超えているときに、モータ出力増加モード(M=3)に設定するのは、当然であるが、過温度検出の初回は、バッテリ充電量SOCが第1レベルEsLと第2レベルEsHとの間にあるときも、モータ出力増加モード(M=3)に設定している。モータ出力増加モード(M=3)の方が冷却効果が大きいので、より早く温度低下させることができるからである。
また、DPFが過温度と判定されたときに、DPF温度が高いほど、前記第1及び第2レベルEsL、EsHを低く設定する。これにより、DPF温度が高いときに、冷却効率の高いモータ出力増加モード(M=3)の機会を増やして、より早く温度低下させることができる。
過温度となって2回目以降で、エンジン出力増加モード(M=2)又はモータ出力増加モード(M=3)に設定されているときは、A3からA7へ進む。
A7では、M=2か否かを判定し、M=2の場合は、A8へ進む。M=2でない場合(すなわちM=3の場合)は、A15へ進む。
先ずエンジン出力増加モード(M=2)に設定されている場合のA8〜A14の処理について説明する。
A8では、目標移行モード値Mm=3か否かを判定する。M=2であれば、最初はMm=2となっているので、A9へ進む。
A9では、バッテリ充電量SOCが高側の第2レベルEsH以上になったか否かを判定する。すなわち、発電を行わせるエンジン出力増加モード(M=2)により、バッテリ充電量SOCが十分に上昇したか否かを判定する。
SOC<EsHの場合は、A10へ進んで、エンジン出力増加モード(M=2)を維持する。
SOC≧EsHとなった場合は、A11へ進んで、モード切換えの準備のため、目標移行モード値Mm=3として、A12へ進む。また、Mm=3設定後は、次回より、A8からA12へ進む。
A12では、エンジン出力増加モード(M=2)からモータ出力増加モード(M=3)への切換えに際し、高回転・高負荷領域を経由して遷移させるため、図6のハイブリッド出力配分テーブル(M=2用)を用いたまま、エンジン運転点テーブルのみを図7(M=2用)から図9(M=3用)に切換える。
次のA13では、移行が完了したか否かを時間経過などから判定し、移行が完了するのを待つ。
移行が完了した場合は、A14へ進み、モータ出力増加モード(M=3)に切換える。すなわち、ハイブリッド出力配分テーブルを図6(M=2用)から図8(M=3用)に切換える。
次にモータ出力増加モード(M=3)に設定されている場合のA15〜A21の処理について説明する。
A15では、目標移行モード値Mm=2か否かを判定する。M=3であれば、最初はMm=3となっているので、A16へ進む。
A16では、バッテリ充電量SOCが低側の第1レベルEsL以下になったか否かを判定する。すなわち、バッテリを消費するモータ出力増加モード(M=3)により、バッテリ充電量SOCが第1レベルEsLまで低下したか否かを判定する。
SOC>EsLの場合は、A17へ進んで、モータ出力増加モード(M=3)を維持する。
SOC≦EsLとなった場合は、A18へ進んで、モード切換えの準備のため、目標移行モード値Mm=2として、A19へ進む。また、Mm=2設定後は、次回より、A15からA19へ進む。
A19では、モータ出力増加モード(M=3)からエンジン出力増加モード(M=2)への切換えに際し、高回転・高負荷領域を経由して遷移させるため、図9のエンジン運転点テーブル(M=3用)を用いたまま、ハイブリッド出力配分テーブルのみを図8(M=3用)から図6(M=2用)に切換える。
次のA20では、移行が完了したか否かを時間経過などから判定し、移行が完了するのを待つ。
移行が完了した場合は、A21へ進み、エンジン出力増加モード(M=2)に切換える。すなわち、エンジン運転点テーブルを図9(M=3用)から図7(M=2用)に切換える。
次に、制御の流れを、図11のタイムチャートによって説明する。
図11のタイムチャートは、DPFの再生時期と判断され、燃料噴射時期の遅角などにより排気温度を上昇させて、再生処理を開始した後、DPF温度Tが何らかの理由で過度に上昇して、t0の時点で、過温度判定用の所定値Te(例えば750℃)に達した場合の制御の様子を示している。
再生中も、過温度と判定される前(t0以前)は、通常モード(M=1)で運転されている。
t0の時点で、DPF温度T≧Teとなって、過温度と判定されると、バッテリ充電量SOCが低側の第1レベルEsLと高側の第2レベルEsHとの間にある場合、DPF冷却を優先するため、モータ出力増加モード(M=3)に設定される。
モータ出力増加モード(M=3)では、特に低中出力域にて、エンジンへの燃料供給を停止し、モータ出力を増加させて、モータ走行に切換える一方、このとき、モータによりエンジンを高回転で連れ回して、DPFに冷却用の空気を供給することで、DPFを冷却する。但し、バッテリを消費するため、バッテリ充電量SOCは次第に低下する。
モータ出力増加モード(M=3)により、バッテリ充電量SOCが低下して、t2の時点で、低側の第1レベルEsLより低下すると、エンジン出力増加モード(M=2)への切換えを開始する。
このとき、t2の時点では、モータ出力増加モード(M=3)のまま、目標移行モード値Mm=2に切換えられ、移行中は高回転・高負荷領域を経由して遷移する。
そして、t2からt3、t4を経て、t5の時点で、移行が完了し、エンジン出力増加モード(M=2)に切換えられる。
エンジン出力増加モード(M=2)では、エンジンの空燃比をリッチ化すると共に、エンジン出力を低負荷領域を脱するように増加させることで、DPFの温度低下を図る。また、エンジンの余剰出力でモータを駆動して、発電を行わせることで、バッテリに充電し、モータ走行に備える。
エンジン出力増加モード(M=2)により、バッテリ充電量SOCが上昇して、t6の時点で、高側の第2レベルEsHを超えると、モータ出力増加モード(M=3)への切換えを開始する。
このとき、t6の時点では、エンジン出力増加モード(M=2)のまま、目標移行モード値Mm=3に切換えられ、移行中は高回転・高負荷領域を経由して遷移する。
そして、t6からt7、t8を経て、t9の時点で、移行が完了し、モータ出力増加モード(M=3)に切換えられる。
その後、t10の時点で、DPF温度Tが適正温度判定用の所定値Ts(例えば600℃)まで低下すると、過温度状態を脱したとみなし、その時点より、通常モード(M=1)に戻る。
本実施形態によれば、排気浄化装置(DPF)の再生中に、排気浄化装置(DPF)の温度状態を判定する手段を備え、排気浄化装置(DPF)が過温度と判定されたときに、エンジンの空燃比をリッチ化すると共に、エンジンの出力を低負荷領域を脱するように増加させ、余剰出力でモータを駆動して発電を行わせるように制御することにより、排気や燃費の悪化を招くエンジンの低負荷領域での空燃比リッチ化を回避しつつ、高負荷領域でのリッチ化により、排気浄化装置(DPF)の温度低下を図ることができ、また余剰出力は発電に回して、バッテリに充電することにより、後刻に利用できることから、燃費も向上できる。
また、本実施形態によれば、排気浄化装置(DPF)の再生中に、排気浄化装置(DPF)の温度状態を判定する手段を備え、排気浄化装置(DPF)が過温度と判定されたときに、モータの出力を増加させて、モータによりエンジンを所定回転速度以上で連れ回すように制御することにより、エンジンを低負荷(無負荷)高回転状態として、排気浄化装置(DPF)に十分な量の冷却用のガス(空気)を供給することで、排気浄化装置(DPF)を速やかに温度低下できる。
また、本実施形態によれば、排気浄化装置(DPF)の再生中に、排気浄化装置(DPF)の温度状態を判定する手段と、バッテリの充電状態を判定する手段とを備え、排気浄化装置(DPF)が過温度と判定されたときに、バッテリの充電状態に応じ、前記エンジンの出力を増加させる制御と、前記モータの出力を増加させる制御と、を選択的に切換えることにより、最適な制御を選択できる。
また、本実施形態によれば、前記エンジンの出力を増加させる制御と、前記モータの出力を増加させる制御との切換時は、エンジンの高回転・高負荷領域を経由して遷移させることにより、DPF温度の発散や空燃比リッチ化によるHC悪化が起こる領域を確実に避けて、制御を切換えることができる。
また、本実施形態によれば、バッテリ充電量について低側の第1レベルEsLと高側の第2レベルEsHとを有し、前記エンジンの出力を増加させる制御は、バッテリ充電量が前記第1レベルEsLより低下した後、前記第2レベルEsHへ増大するまで、行うことにより、バッテリ充電量に余裕がない場合に、モータ電力収支を正の状態にして、過放電を防ぎながら、DPF過温度を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、バッテリ充電量について低側の第1レベルEsLと高側の第2レベルEsHとを有し、前記モータの出力を増加させる制御は、バッテリ充電量が前記第2レベルEsHより増大した後、前記第1レベルEsLへ低下するまで、行うことにより、バッテリ充電量に余裕がある場合に、モータの電力収支を負の状態にして、エンジンの連れ回しによる強制冷却により、DPF過温度を確実に抑制することができる。
また、本実施形態によれば、排気浄化装置(DPF)の過温度の最初の判定時に、バッテリ充電量が前記第1レベルEsLと前記第2レベルEsHとの間にあるときは、前記エンジンの出力を増加させる制御に優先して、前記モータの出力を増加させる制御を実施することにより、冷却効率の高い制御の方を優先して、排気浄化装置(DPF)の温度を早期に低下させることができる。
また、本実施形態によれば、排気浄化装置(DPF)が過温度と判定されたときに、排気浄化装置(DPF)の温度が高いほど、前記第1及び第2レベルEsL、EsHを低く設定することにより、冷却効率の高い制御の機会を増やして、排気浄化装置(DPF)の温度を早期に低下させることができる。
上記の実施形態では、パラレル型のハイブリッド車両(図1)について説明したが、シリーズ型のハイブリッド車両にも適用可能である。
図12は本発明の他の実施形態を示すシリーズ型のハイブリッド車両のシステム図である。
このシステムでは、エンジン1の出力軸とモータ2の出力軸とを同軸にして直結してあり、この1つの出力軸が、変速機(ベルト式無段変速機;CVT)5、クラッチ6を介して、終減速ギア装置7の入力軸に連結されている。
このような形式のハイブリッド車両にも適用可能である。但し、この場合は、エンジン1とモータ2の回転速度は同一となるので、エンジン制御手段は、図4のエンジン運転点テーブルを用いて、要求エンジン出力Pe0、Pe1から、エンジン運転点(回転速度Ne0、Ne1及びトルクTe0、Te1)を決定するが、モータ制御手段は、図5のモータ運転点テーブルに代え、図13のモータ運転点テーブルを用いる。エンジンとモータの回転速度は同一となるので、回転速度をNe0、Ne1とすると、要求モータ出力がPm0、Pm1の場合、モータトルクは、図13に示すように、Tm0=Pm0/Ne0、Tm1=Pm1/Ne1として決まる。
上記の実施形態では、排気浄化装置がDPFで、所定の再生条件にて、これに堆積しているPMを燃焼除去する場合について説明したが、排気浄化装置がNOx吸着触媒で、所定の再生条件にて、これに堆積している硫黄を燃焼除去する場合にも適用することができる。
尚、前記モータ出力増加モード(M=3)にて、システム構成や走行条件の影響により、エンジンを十分高い回転速度で連れ回すことができない場合は、エンジンの回転を停止することで、排気浄化装置への酸素供給を遮断し、この状態でモータ走行を行うようにしてもよい。又は、スロットル弁全閉やEGR弁全開により、排気浄化装置への酸素供給を遮断し、この状態でモータ走行を行うようにしてもよい。
本発明の一実施形態を示すハイブリッド車両のシステム図 ハイブリッド車両の制御ブロック図 通常モード(M=1)での出力配分テーブルを示す図 エンジン運転点テーブルを示す図 モータ運転点テーブルを示す図 エンジン出力増加モード(M=2)での出力配分テーブルを示す図 エンジン出力増加モード(M=2)でのエンジン運転点テーブルを示す図 モータ出力増加モード(M=3)での出力分配テーブルを示す図 モータ出力増加モード(M=3)でのエンジン運転点テーブルを示す図 制御の流れを示すフローチャート 制御の流れを示すタイムチャート シリーズ型のハイブリッド車両のシステム図 シリーズ型のハイブリッド車両でのモータ運転点テーブルを示す図
符号の説明
1 エンジン
2 モータ
3 インバータ
4 バッテリ
5e、5m、5 変速機
6e、6m、6 クラッチ
7 終減速ギア装置
8 車軸
9 酸化触媒
10 NOx吸着触媒
11 DPF

Claims (8)

  1. 車両の駆動源として、内燃機関と、電気モータとを備え、前記モータは、車両又は機関により駆動されることで発電機としてバッテリに充電可能なハイブリッド車両であって、
    前記機関の排気通路に排気浄化触媒を備える一方、所定の再生条件にて前記排気浄化装置に堆積している堆積物を燃焼除去することにより前記排気浄化装置を再生する再生手段を備えるものにおいて、
    前記排気浄化装置の再生中に、前記排気浄化装置の温度状態を判定する手段を備え、
    前記排気浄化装置が過温度と判定されたときに、前記機関の空燃比をリッチ化すると共に、前記機関の出力を低負荷領域を脱するように増加させ、余剰出力で前記モータを駆動して発電を行わせるように制御することを特徴とするハイブリッド車両の排気浄化システム。
  2. 車両の駆動源として、内燃機関と、電気モータとを備え、前記モータは、車両又は機関により駆動されることで発電機としてバッテリに充電可能なハイブリッド車両であって、
    前記機関の排気通路に排気浄化触媒を備える一方、所定の再生条件にて前記排気浄化装置に堆積している堆積物を燃焼除去することにより前記排気浄化装置を再生する再生手段を備えるものにおいて、
    前記排気浄化装置の再生中に、前記排気浄化装置の温度状態を判定する手段を備え、
    前記排気浄化装置が過温度と判定されたときに、前記モータの出力を増加させて、前記モータにより前記機関を所定回転速度以上で連れ回すように制御することを特徴とするハイブリッド車両の排気浄化システム。
  3. 車両の駆動源として、内燃機関と、電気モータとを備え、前記モータは、車両又は機関により駆動されることで発電機としてバッテリに充電可能なハイブリッド車両であって、
    前記機関の排気通路に排気浄化触媒を備える一方、所定の再生条件にて前記排気浄化装置に堆積している堆積物を燃焼除去することにより前記排気浄化装置を再生する再生手段を備えるものにおいて、
    前記排気浄化装置の再生中に、前記排気浄化装置の温度状態を判定する手段と、前記バッテリの充電状態を判定する手段とを備え、
    前記排気浄化装置が過温度と判定されたときに、前記バッテリの充電状態に応じ、前記機関の空燃比をリッチ化すると共に、前記機関の出力を低負荷領域を脱するように増加させ、余剰出力で前記モータを駆動して発電を行わせる制御と、前記モータの出力を増加させて、前記モータにより前記機関を所定回転速度以上で連れ回す制御と、を選択的に切換えることを特徴とするハイブリッド車両の排気浄化システム。
  4. 前記機関の出力を増加させる制御と、前記モータの出力を増加させる制御との切換時は、前記機関の高回転・高負荷領域を経由して遷移させることを特徴とする請求項3記載のハイブリッド車両の排気浄化システム。
  5. バッテリ充電量について低側の第1レベルと高側の第2レベルとを有し、
    前記機関の出力を増加させる制御は、バッテリ充電量が前記第1レベルより低下した後、前記第2レベルへ増大するまで、行うことを特徴とする請求項3又は請求項4記載のハイブリッド車両の排気浄化システム。
  6. バッテリ充電量について低側の第1レベルと高側の第2レベルとを有し、
    前記モータの出力を増加させる制御は、バッテリ充電量が前記第2レベルより増大した後、前記第1レベルへ低下するまで、行うことを特徴とする請求項3又は請求項4記載のハイブリッド車両の排気浄化システム。
  7. 前記排気浄化装置の過温度の最初の判定時に、バッテリ充電量が前記第1レベルと前記第2レベルとの間にあるときは、前記機関の出力を増加させる制御に優先して、前記モータの出力を増加させる制御を実施することを特徴とする請求項5又は請求項6記載のハイブリッド車両の排気浄化システム。
  8. 前記排気浄化装置が過温度と判定されたときに、前記排気浄化装置の温度が高いほど、前記第1及び第2レベルを低く設定することを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか1つに記載のハイブリッド車両の排気浄化システム。
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