JP2007237537A - 印刷機のインキ壷装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 操作部の操作性を向上させるとともに、保守点検等の作業性の向上を図る。
【解決手段】 壷キー支持台3は、第1の支持ピン8を回動中心として壷キー支持台3が印刷可能位置とメンテナンス可能位置との間を回動する。レバー41は第2の支持ピン40を回動中心として回動可能に支持され、第2のピン51を介して壷キー支持台3に連結されている。操作部55は、レバー41の貫通孔41fに矢印D−E方向に摺動自在に支持されている。操作部55の第1の係合溝55aをボールプランジャー56に係合させることにより、操作部55は印刷ユニット57内に収納される。操作部55の第2の係合溝55bをボールプランジャー56に係合させることにより、操作部55はインキ壷25から引き出され操作位置に位置付けられる。この操作位置から操作部55を押し下げることにより壷キー支持台3がメンテナンス可能位置に位置付けられる。
【選択図】 図1
【解決手段】 壷キー支持台3は、第1の支持ピン8を回動中心として壷キー支持台3が印刷可能位置とメンテナンス可能位置との間を回動する。レバー41は第2の支持ピン40を回動中心として回動可能に支持され、第2のピン51を介して壷キー支持台3に連結されている。操作部55は、レバー41の貫通孔41fに矢印D−E方向に摺動自在に支持されている。操作部55の第1の係合溝55aをボールプランジャー56に係合させることにより、操作部55は印刷ユニット57内に収納される。操作部55の第2の係合溝55bをボールプランジャー56に係合させることにより、操作部55はインキ壷25から引き出され操作位置に位置付けられる。この操作位置から操作部55を押し下げることにより壷キー支持台3がメンテナンス可能位置に位置付けられる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、インキ壷を開閉させるための操作部を備えた印刷機のインキ壷装置に関するものである。
従来の印刷機のインキ壷装置は、左右の機台フレーム間に回動自在に支持されたブレード台と、このブレード台のU字溝に係合し固定ブラケットに螺合する操作部と、この操作部と反対方向から固定ブラケットに螺合され先端がブレード台の裏面に当接したボルトとを備え、操作部とボルトとによってブレード台を挟持するようにしてブレード台を固定している。この印刷機のインキ壷装置においては、インキ壷を清掃するときは、操作部の螺合を緩めブレード台を回動させることにより行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
実公平2−34035号公報(明細書2頁右欄8〜22行、第1図および第2図)
上述した従来の印刷機のインキ壷装置は、インキ壷を開くために螺合を緩め、ブレード台のU字溝から外した操作部をインキ壷の上方へ回動させる構造としている。このため、インキ壷が印刷機の最下部に設けられた構造の場合、インキ壷の上方にインキローラ等が設けられているため、操作部を操作するための空間が狭くなり操作部の操作性が悪いという問題があった。また、保守点検のためにインキローラ等の部品を交換する場合に、交換部品を操作部に当てないようにする必要があるため作業性が悪いという問題もあった。一方、インキ壷が印刷機の最上部に設けられた構造の場合、操作部の操作空間を充分に確保することができない位、印刷機の最上部が工場の天井等に接近していると、操作部の操作性が悪くなってしまう。
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、操作部の操作性を向上させるとともに、保守点検等の作業性の向上を図った印刷機のインキ壷装置を提供するところにある。
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、フレーム側に揺動自在に支持したインキ壷と、このインキ壷を印刷可能位置とメンテナンス可能位置との間で移動させるための操作部を備えた印刷機のインキ壷装置において、フレーム側とインキ壷側に支持されたレバーと、記操作部を、この操作部を収納する収納位置と、この収納位置から引き出しインキ壷を移動可能とする操作位置との間を水平方向に移動可能となるように前記レバーに支持したものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記インキ壷は、フレームに揺動自在に支持された壷本体と、この壷本体を回動させる前記レバーとによって構成し、前記操作部に2つの係合溝を設け、前記レバーに、前記操作部を水平方向に移動自在に支持する支持部と、前記係合溝に係合し前記操作部を前記収納位置と前記操作位置とに位置付ける保持手段とを設けたものである。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記操作部は前記操作位置において下方に回動されるものである。
請求項4に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記壷本体に設けられ前記レバーを回動させることにより壷本体を揺動させる支軸と、前記フレームに設けられ前記レバーを揺動自在に支持する枢軸と、この枢軸に一端部が回動自在に支持され他端部が揺動部材を介して前記レバーに連結されたシャフト部材と、このシャフト部材に巻回され前記揺動部材を前記枢軸と反対方向に付勢するとともに前記シャフト部材を前記枢軸側に付勢するばねと、前記枢軸に当接することにより前記壷本体の揺動を規制しインキ壷を印刷可能位置に位置付けるストッパ部材と、このストッパ部材によって壷本体の揺動が規制されることにより前記揺動部材の回動中心を前記枢軸から前記支軸に切り替え、前記ばねの弾発力によって死点越えする前記レバーを保持するものである。
請求項5に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記収納位置は印刷ユニットの中である。
本発明によれば、操作部を収納位置から引き出した操作位置でインキ壷の印刷可能位置とメンテナンス可能位置との間を移動させることができるため操作性が向上する。特に、インキ壷が印刷機の最下部に設けられている場合、インキ壷の上方にインキローラ等が設けられていたとしても、操作部の操作性が悪くなるようなことがない。一方、インキ壷が印刷機の最上部に設けられている場合であって、操作部の操作空間を充分に確保することができない位、印刷機の最上部が工場の天井等に接近していたとしても、操作部の操作性が悪くなるようなことがない。また、通常操作部がインキ壷の上側に収納されていることにより、操作部がインキ壷から突出していないため、保守点検時にインキローラ等の部品を交換する場合に、交換部品を操作部に当てないようにする必要がないため作業性が向上する。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係る印刷機のインキ壷装置の側面図、図2は同じく一部を示す平面図、図3は同じく側断面図、図4は同じく要部を示す断面図、図5は同じく壷キー開閉用ねじ棒の駆動部を示す断面図、図6は同じくインキ壷ローラに対して壷本体を接近・離間させる動作を説明するためのモデル図であって、同図(A)はインキ壷ローラに対して壷本体が接近した印刷可能位置と、インキ壷ローラに対して壷本体を離間させたメンテナンス可能位置との間の移動動作を示し、同図(B)はインキ壷ローラに対して壷本体を接近させた状態を保持する動作を示し、図7は同じく要部を拡大して示す側面図である。
図1ないし図3に符号1で示すインキ壷ローラは、左右の機台フレーム2,2(一方の機台フレーム2は図示を省略)間に軸架されており、運転中は図1中反時計方向(矢印A方向)に回転する。3はインキ壷ローラ1の後方に設けられた壷本体としての壷キー支持台であって、インキ壷ローラ1の胴長よりもやや長く形成されており、図2に示すように両端面からステー4,4(一方のステー4は図示を省略)が一体に突設されている。このステー4には非貫通孔状に形成された軸受孔5を有する筒体6が一体に設けられている。
7は後述するボルト59の頭部63に係合する係合片であって、筒体6の下側周面に一体に突設されている。8は機台フレーム2,2に植設された第1の支持ピンであって、この第1の支持ピン8は軸受孔5に係入されており、壷キー支持台3はこの第1の支持ピン8を回動中心として図1中時計・反時計方向(矢印B−C方向)に回動可能に構成されている。ここで、壷キー支持台3を機台フレーム2に揺動自在に支持するということは、ここでの実施の形態で示すように、壷キー支持台3を機台フレームに第1の支持ピン8を介して間接的に揺動自在に支持する状態も含むことを意味する。
図3において、10は壷キー支持台3の前端側の上端部に設けた溝11に、インキ壷ローラ1の軸線方向に延在するように取り付けられた保持バーであって、インキ壷ローラ1の胴長と略同じ長さに形成されている。この保持バー10には、図4に示すように大径孔12とこれと連通する小径孔13とが前後方向に貫通するように形成されており、これら大径孔12と小径孔13とは、後述する複数のインキ壷キー16に対応してインキ壷ローラ1の軸線方向に複数対設けられている。
15は細長い略円柱状で保持バー10と同じ長さに形成された支点ピンである。16は角柱状に形成されたインキ壷キーであって、インキ壷ローラ1の周面に近接するようにインキ壷ローラ1の軸線方向に複数設けられており、これら複数のインキ壷キー16の全体の幅方向の長さは、インキ壷ローラ1の胴長と同じ長さに形成されている。このインキ壷キー16には、上記した保持バー10の小径孔13と同じ径に形成された貫通孔17が設けられており、この貫通孔17の一方の開口縁には、図4に示すように略半球状に形成された凹部17aが設けられている。
20は保持バー10の小径孔13とインキ壷キー16の貫通孔17とに遊挿された壷キー開き用ピンであって、一端部に頭部20aが設けられ、他端部にインキ壷キー16の凹部17aに係合する略半球状に形成された膨出部20bが設けられている。21は壷キー開き用ピン20の頭部20aと、保持バー10の大径部12の底部12aとの間に圧縮状態で介装された皿ばねである。この皿ばね21の弾発力によって、インキ壷キー16は支点ピン15を介して保持バー10に揺動自在となるように弾持される。この状態で、壷キー開き用ピン20は、皿ばね21の弾発力によって、インキ壷キー16をインキ壷ローラ1の周面から離間させる方向、すなわち支点ピン15を回動中心としてインキ壷キー16を図中時計方向に付勢している。
図3において、22は壷キー支持台3の上面に固定され、インキ壷キー16の上面と共にインキ壷の底面を形成する底板である。図1および図2において、23はインキ壷キー16の両端に設けられ(一方は図示を省略)、保持バー10に取り付けられた固定壷キーである。24は側面視で三角形に形成されたインキせきであって、壷キー支持台3の幅方向の両端部に互いに対向するように(一方のインキせき24は図示を省略)立設されている。このインキせき24,24と底板22、インキ壷キー16、固定壷キー23およびインキ壷ローラ1の周面とで囲まれて形成されたインキ壷25内には図3に示すようにインキ26が蓄えられている。
壷キー支持台3の下部には、図3に示すように背面側に開口を有する凹部27が壷キー支持台3の両端部間に延在するように設けられている。この凹部27と連通され壷キー支持台3の前端部を貫通する貫通孔28が上記した複数のインキ壷キー16と対応して複数設けられている。29は凹部27に収納され複数のインキ壷キー16と対応して複数設けられたモータであって、凹部27の開口縁に取り付けられた支持板30に支持されている。
このモータ29の出力軸には、図5に示すようにモータギア31が軸着されており、このモータギア31には伝達ギア32が噛合している。33は支持板30に取り付けられたねじ棒支持ブロックであって、中央部にねじ孔33aが設けられている。34はインキ壷キー16に対応して設けられた複数の壷キー開閉用ねじ棒であって、中央部に設けたねじ部34aがねじ棒支持ブロック33のねじ部33aに螺合している。この壷キー開閉用ねじ棒34の支持板30から突出した一端部には、伝達ギア32に噛合するギア35が軸着されている。また、この壷キー開閉用ねじ棒34の他端部には押圧子36が設けられており、この押圧子36は、図3に示すように壷キー支持台3の貫通孔28に嵌挿され、先端がインキ壷キー16の下端部に当接している。
このような構成において、モータ29を一方向に駆動することにより、モータ29の出力軸の回転がモータギア31から伝達ギア32を介してギア35に伝達され、ギア35が図3において時計方向に回転する。このギア35の時計方向の回転によって、ねじ棒支持ブロック33のねじ孔33aにねじ部34aが螺合している壷キー開閉用ねじ棒34が、図4中矢印D方向に移動するため、押圧子36が貫通孔28から前進する。この押圧子36の前進によって、インキ壷キー16が支点ピン15を揺動支点として図4中実線で示すように皿ばね21の弾発力に抗して反時計方向に揺動するため、インキ壷ローラ1の周面とインキ壷キー16の角部16aとの間の隙間が狭くなり、インキ壷25からのインキ出し量が少なくなるように調整される。
一方、モータ29を一方向と反対方向の他方向に駆動することにより、モータ29の出力軸の回転がモータギア31から伝達ギア32を介してギア35に伝達され、ギア35が図3において反時計方向に回転する。このギア35の反時計方向の回転によって、ねじ棒支持ブロック33のねじ孔33aにねじ部34aが螺合している壷キー開閉用ねじ棒34が、図5中矢印E方向に移動するため、押圧子36が貫通孔28内に後退する。この押圧子36の後退によって、インキ壷キー16が支点ピン15を揺動支点として図4中二点鎖線で示すように皿ばね21の弾発力によって時計方向に揺動するため、インキ壷ローラ1の周面とインキ壷キー16の角部16aとの間の隙間が拡がり、インキ壷25からのインキ出し量が多くなるように調整される。
図1および図2において、40,40は左右の機台フレーム2,2に植設された枢軸としての第2の支持ピン(一方の第2の支持ピン40は図示せず)であって、先端部に小径部40aが設けられている。41は下方が開口した断面コ字状に形成されたレバーであって、両側部41a,41aのそれぞれの一端部に設けた孔41b,41bには、揺動部材としての第1のピン43の両端部が嵌挿されている。この第1のピン43の中央部には、図7に示すように半径方向を貫通する挿通孔43aが設けられており、この挿通孔43aの開口端縁には平坦部43b,43cが形成されている。44は第1のピン43の挿通孔43aに挿通されたシャフト部材としてのボルトであって、挿通孔43aから突出した一端部にはダブルナット45が螺合されている。
また、このボルト44の他端部には偏平な直方体に形成された軸受部44aが一体に設けられており、この軸受部44aに形成された孔44bには上記した第2の支持ピン40の小径部40が係入されている。したがって、レバー41の第2のピン51側は上記した第1の支持ピン8を回動中心としては図1中時計・反時計方向に回動し、レバー41の第1のピン43側は第2の支持ピン40の小径部40aを回動中心として図1中時計・反時計方向に回動自在に支持されている。すなわち、レバー41は第1の支持ピン8が植設された機台フレーム2側と第1の支持ピン8の周りを回動する壷キー支持台3側とに支持されている。ボルト44の他端側にはダブルナット46が螺合されており、このダブルナット46と第1のピン43の平坦部43bとの間には、図7に示すように、座金46a,46bを介して複数枚からなる第2の付勢手段としての皿ばね47が介装されている。
図1および図2において、48はステー4に取り付けられた支持ブロックであって、この支持ブロック48のねじ孔にはストッパとして機能するボルト49が螺合されており、その先端は第2の支持ピン40の周面に選択的に当接する。このボルト49の先端が第2の支持ピン40の周面に当接することにより、壷キー支持台3の揺動が規制されて壷キー支持台3がインキ壷ローラ1に接近し、印刷可能位置に位置付けられる。したがって、これらボルト49と第2の支持ピン40とが揺動規制手段50を形成している。51は支持ブロック48の孔に嵌合固定された支軸としての第2のピンであって、この第2のピン51の支持ブロック48から突出した両端部は、レバー41の両側部41a,41aの孔41c,41cに嵌挿されている。
上記したレバー41の上部には、後述する操作部55を矢印F−G方向に摺動自在に支持する貫通孔41eと、この貫通孔41eに連通されたねじ孔41fとが設けられている。操作部55は細長い棒状に形成されており、中央部の周面には環状の第1の係合溝55aが設けられ、一端部の周面には環状の第2の係合溝55bが設けられ、他端部には把持部55cが設けられている。56は保持手段としてのボールプランジャーであって、先端のボール部が貫通孔41eに臨むように、レバー41のねじ孔41fに螺合されている。
貫通孔41eに支持された操作部55は、ボールプランジャー56のボール部に第1の係合溝55aを係合させることにより、図1中実線で示すように印刷ユニット57の内側に収納された収納位置に位置付けられる。この収納位置から、把持部55cを把持し、操作部55を矢印G方向に移動させ、ボールプランジャー56のボール部に第2の係合溝55bを係合させることにより、図1中一点鎖線で示すようにインキ壷25から引き出され、壷キー支持台3をインキ壷ローラ1に接近・離間可能とする操作位置に位置付けられる。
この操作位置において、操作部55を図1中矢印G方向に操作し二点鎖線で示す位置まで押し下げることにより、レバー41に支持された第1のピン43(ボルト44)は、図6(A)において、後述するように最初第2のピン51を回動中心としてα′だけ回動する。次いで第2の支持ピン40の小径部40aを回動中心として角度αだけ反時計方向に回動すると同時に、支持ブロック48を介して壷キー支持台3に支持された第2のピン51が、第1の支持ピン8を回動中心として角度βだけ反時計方向(矢印C方向)に回動する。したがって、壷キー支持台3も図1中二点鎖線で示すように角度βだけ反時計方向(矢印C方向)に回動し、壷キー支持台3がインキ壷ローラ1から離間し、メンテナンス可能位置に位置付けられる。
一方、壷キー支持台3をインキ壷ローラ1から離間させたメンテナンス可能位置に位置付けられた状態から、壷キー支持台3をインキ壷ローラ1に接近させ印刷可能位置に位置付けるには、図1中二点鎖線で示した押し下げられた操作部55を矢印F方向に押し上げ、一点鎖線で示す操作位置に位置付ける。この操作部55の押し上げ動作によって、第1のピン43が第2の支持ピン40の小径部40aを回動中心として角度αだけ時計方向に回動する。同時に、支持ブロック48を介して壷キー支持台3に支持された第2のピン51が、第1の支持ピン8を回動中心として角度βだけ時計方向に回動し、壷キー支持台3も図1中実線で示すように角度βだけ時計方向に回動しインキ壷ローラ1に接近し、印刷可能位置に位置付けられ、ボルト49の先端が第2の支持ピン40の周面に当接する。ボルト49の先端が第2の支持ピン40の周面に当接すると、第1のピン43は第2のピン51を回動中心としてα′だけ時計方向に回動できるように構成されている。
図1において、58は機台フレーム2に植設されたボルトの頭部に設けられたばね受けであって、図示を省略した挿通孔が設けられている。このばね受け58の挿通孔には、ボルト59が挿通され、このボルト59の両端側にダブルナット60,61が螺合しており、一方のダブルナット61とばね受け58との間には、複数枚からなる皿ばね62が圧縮状態で介装されている。ボルト59の頭部63は、上記した壷キー支持台3のステー4に突設された係合片7に選択的に当接する。
次に、このように構成された印刷機のインキ壷装置において、図1において二点鎖線で示す壷キー支持台3がインキ壷ローラ1から離間したメンテナンス可能位置に位置付けられている状態から実線で示す印刷可能位置に移動させる操作について説明する。先ず、図1において、二点鎖線で示す位置に位置している操作部55を矢印F方向に押し上げることによって、壷キー支持台3を第1の支持ピン8を回動中心として時計方向に回動させる。インキ壷キー16がインキ壷ローラ1の周面に接近すると、壷キー支持台3の係合片7がボルト59の頭部63に当接する。さらに、壷キー支持台3を時計方向にわずかに回動させることにより、皿ばね62の弾発力によって壷キー支持台3が第1の支持ピン8を回動中心として反時計方向に付勢される。同時に、ボルト49の先端が第2の支持ピン40の周面に当接する。この状態で、壷キー支持台3がインキ壷ローラ1に接近する状態となるように、予め支持ブロック48のねじ孔に螺合されているボルト49の螺合量が調整されている。
したがって、操作部55を矢印F方向に回動操作することにより、この回動操作に抗するように皿ばね62の弾発力F1(図6(B)参照)によって、壷キー支持台3が第1の支持ピン8を回動中心として一定方向、すなわち反時計方向に付勢される。
この状態で、さらに操作部42を矢印G方向にわずかに回動操作すると、第2の支持ピン40の周面にボルト49の先端が当接し、第2のピン51の移動が規制されているため、第2の支持ピン40の小径部40aを回動支点として回動していた第1のピン43が第2のピン51を回動中心として回動するように切り替わる。したがって、第1のピン43が図6(A)に示すように角度α′だけ回動するとき、第1のピン43の回動軌跡が替わり、第2のピン51と第2の支持ピン40の小径部40aと第1のピン43とが一直線状に位置付けられる。このとき、第1のピン43と小径部40aとの間隔よりも、第1のピン43と第2のピン51との間隔の方が長く、かつ小径部40aが第1のピン43と第2のピン51との間に位置しているため、第1のピン43の回動軌跡が替わることにより、この第1のピン43の角度α′の回動時に、図7に示すように第1のピン43が矢印E方向にわずかに移動する。この移動により、第1のピン43の平坦部43bが皿ばね46bを矢印E方向に押圧するため、皿ばね47がさらに圧縮された状態になる。したがって、第1のピン43が角度αの範囲で回動しているときには、他方の平坦部43cと座金46cとの間に隙間が発生しないが、皿ばね47がさらに圧縮されることにより、他方の平坦部43cと座金46cとの間に隙間δが形成される。
このとき、レバー41の両側部41a,41aの下面41d,41dが第2の支持ピン40の周面に当接し、これら下面41d,41dがレバー41の時計方向への回動を規制するストッパとして機能するから、皿ばね47の弾発力によって、第2のピン51と第2の支持ピン40の小径部40aと第1のピン43とが略一直線状に位置付けられる状態が保持される。すなわち、第1のピン43は、図6(B)に示すように、第2のピン51と第2の支持ピン40の小径部40aと第1のピン43とを結ぶ線Kを、いわゆる死点越えして二点鎖線で示す位置に位置付けられ、この状態は皿ばね47の付勢力F2によって保持される。
この状態では、壷キー支持台3が皿ばね62の弾発力によって一定方向に付勢されていることにより、第1の支持ピン8と軸受孔5とは常に同じP点において対接し、かつ壷キー支持台3の軸受孔5は第1の支持ピン8にクリアランスのない状態で支持されている。また、上述したように皿ばね47が圧縮された状態となっていることにより、第1のピン43が図10中矢印D方向に付勢されるため、第1のピン43が孔41bにQ点において対接し、第1のピン43は孔41bにクリアランスのない状態で支持されている。
さらに、皿ばね47の弾発力によってボルト44が矢印E方向に付勢されているため、ボルト44の孔44bが第2の支持ピン40の小径部40aとR点において対接しており、小径部40aは孔44bにクリアランスのない状態で支持されている。また、第1のピン43が皿ばね47の弾発力によって矢印D方向に付勢されているため、レバー41も矢印D方向に付勢されている。したがって、第2のピン51とレバー41の孔41cとはS点において対接しており、第2のピン51は孔41cにクリアランスのない状態で支持されている。
このため、ボルト49の先端を第2の支持ピン40の周面に当接させてインキ壷25を形成するとき、常に第2のピン51が同じ位置に位置付けられるとともに、上述したように、キー支持台3の軸受孔5が常に同じ対接点Pにおいて第1の支持ピン8にクリアランスのない状態で支持されている。したがって、これら第2の支持ピン40と第1の支持ピン8とによって支持されているキー支持台3は、インキ壷25を形成したとき、常に同じ位置に位置付けられることになる。すなわち、壷キー支持台3をインキ壷ローラ1に対して接近・離間させるたびにインキ壷ローラ1の周面とインキ壷キー16との間の隙間が変動するようなことがないから、インキ出し量の精度が安定する。また、壷キー支持台3のインキ壷ローラ1に対する接近・離間操作とインキ壷25を形成した状態の保持操作とを操作部42の一連の回動操作のみによって行うことができるため使い勝手が向上する。
また、操作部55の第2の係合溝55bがボールプランジャー56のボール部に係合し、操作部55が図1中一点鎖線で示す操作位置に位置付けられる。次いで、操作部55を矢印D方向に水平に移動させ、操作部55の第1の係合溝55aがボールプランジャー56のボール部に係合することにより、操作部55が図1中実線で示す収納位置に位置付けられる。また、操作部55をインキ壷25から引き出した操作位置においてインキ壷25の開閉を行うことができるため操作性が向上する。特に、インキ壷25が印刷機の最下部に設けられている場合、インキ壷25の上方にインキローラ等が設けられていたとしても、操作部55の操作性が悪くなるというようなことがない。一方、インキ壷25が印刷機の最上部に設けられている場合であって、操作部55の操作空間を充分に確保することができない位、印刷機の最上部が工場の天井等に接近していたとしても、操作部55の操作性が悪くなるようなことがない。また、通常操作部55が印刷ユニット57内に収納され、操作部55がインキ壷25から突出していないため、保守点検時にインキローラ等の部品を交換する場合に、交換部品を操作部55に当てないようにする必要がないため作業性が向上する。
1…インキ壷ローラ、3…壷キー支持台、16…インキ壷キー、25…インキ壷、26…インキ、40…第2の支持ピン、41…レバー、41e…貫通孔、41f…ねじ孔、55…操作部、55a…第1の係合溝、55b…第2の係合溝、55c…把持部、56…ボールプランジャー(保持手段)、57…印刷ユニット。
Claims (5)
- フレーム側に揺動自在に支持したインキ壷と、このインキ壷を印刷可能位置とメンテナンス可能位置との間で移動させるための操作部を備えた印刷機のインキ壷装置において、
フレーム側とインキ壷側に支持されたレバーと、
前記操作部を、この操作部を収納する収納位置と、この収納位置から引き出しインキ壷を移動可能とする操作位置との間を水平方向に移動可能となるように前記レバーに支持したことを特徴とする印刷機のインキ壷装置。 - 前記インキ壷は、フレームに揺動自在に支持された壷本体と、この壷本体を回動させる前記レバーとによって構成し、
前記操作部に2つの係合溝を設け、
前記レバーに、前記操作部を水平方向に移動自在に支持する支持部と、前記係合溝に係合し前記操作部を前記収納位置と前記操作位置とに位置付ける保持手段とを設けたことを特徴とする請求項1記載の印刷機のインキ壷装置。 - 前記操作部は前記操作位置において下方に回動されることを特徴とする請求項1記載の印刷機のインキ壷装置。
- 前記壷本体に設けられ前記レバーを回動させることにより壷本体を揺動させる支軸と、前記フレームに設けられ前記レバーを揺動自在に支持する枢軸と、この枢軸に一端部が回動自在に支持され他端部が揺動部材を介して前記レバーに連結されたシャフト部材と、このシャフト部材に巻回され前記揺動部材を前記枢軸と反対方向に付勢するとともに前記シャフト部材を前記枢軸側に付勢するばねと、前記枢軸に当接することにより前記壷本体の揺動を規制しインキ壷を印刷可能位置に位置付けるストッパ部材と、このストッパ部材によって壷本体の揺動が規制されることにより前記揺動部材の回動中心を前記枢軸から前記支軸に切り替え、前記ばねの弾発力によって死点越えする前記レバーを保持することを特徴とする請求項2記載の印刷機のインキ壷装置。
- 前記収納位置は印刷ユニットの中であることを特徴とする請求項1記載の印刷機のインキ壷装置。
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