以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.制御回路の構成:
B.遊技の概要:
C.中央装置の構成:
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機(以下、遊技機と呼ぶ)の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、遊技機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は、中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には、円形状の開口部4aが形成されている。この開口部4aにはガラス板等の透明板がはめ込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種LED4b〜4fが設けられている。
前面枠4の上部には、エラーLED表示部4hが設けられている。本実施例のエラーLED表示部4hは、重度のエラー発生の場合は赤色に、軽度のエラー発生の場合はオレンジ色に点灯あるいは点滅する。ここで、重度のエラーとは、例えば復旧のために前面枠4を開放して作業を行う必要があったり、あるいは部品を交換したりする必要があるような場合のエラーであり、軽度のエラーとは、それ以外のエラーである。
前面枠4の下方には、上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13(CRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図5参照)に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。さらに、上皿部5の略中央部には複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1スピーカ5yが設けられている。
下皿部6には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。下皿部6に貯まった遊技球を排出するために、下皿部6の底面には、下皿部6内から遊技球を排出するための図示しない球技き穴が設けられており、下皿部6の略中央手前側には、球抜き穴を開閉させる排出ノブ6bが設けられている。排出ノブ6bは通常時は直立状態であるが、下端を奥側に押圧すると上端を回転軸として回転し、球抜き穴が開放状態となって、下皿部6に貯まった遊技球を排出することが可能となっている。また、排出ノブ6bの左右には、第2スピーカ6cが設けられている。
下皿部6の左端には灰皿7が設けられており、下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられており、また、遊技領域11の下方部分には変動入賞装置18が設けられ、そして、中央装置26と変動入賞装置18との間には始動口(普通電動役物)17が設けられている。始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口である。始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する始動口(普通電動役物)スイッチ17s(図5参照)と、翼片部を作動させるための普通電動役物(始動口)ソレノイド17m(図5参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球が入球し易くなる開放状態となり、一対の翼片部が直立すると、遊技球が入球し難くなる通常状態となる。
中央装置26のほぼ中央には、演出表示装置27が設けられている。本実施例の演出表示装置27は液晶画面によって構成されており、キャラクタ図柄や背景図柄などの種々の演出用図柄を変動停止表示することが可能となっている。また、本実施例の中央装置26には、2つの可動役物26a,26bが設けられている。これら可動役物26a,26bは、通常の状態では、中央装置26内に収納されて遊技者からは見えない状態となっているが、遊技の進行状況に応じて、液晶画面の外側から画面上(画面の前面側)に出現するような動きをすることが可能となっている。図2では、2つの可動役物26a,26bが液晶画面の前面側に出現した状態が表示されている。
中央装置26の左下には、図柄表示装置28が設けられている。詳細な構成については後述するが、図柄表示装置28では普通図柄や特別図柄などを変動停止表示することが可能となっている。
遊技領域11の左端および右端には、それぞれ左普通図柄作動ゲート36および右普通図柄作動ゲート37が設けられており、これらゲートの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36s,37sがそれぞれ設けられている。更に、左普通図柄作動ゲート36と中央装置26との間には、左ランプ風車24が設けられており、右普通図柄作動ゲート37と中央装置26との間には、右ランプ風車25が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
変動入賞装置18のほぼ中央には、大入賞装置31が設けられている。この大入賞装置31は、略長方形状に大きく開口する大入賞口31dと、大入賞口31dを開閉するための大入賞口ソレノイド31m(図5参照)などから構成されている。大入賞口31dは、後述する所定の条件が成立すると開放状態となり、この結果、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球することとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技状態が開始される。尚、大入賞口31dの内部には、大入賞口スイッチ31sが設けられており、大入賞口31dに入賞した遊技球を検出することが可能となっている。
遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。一方、内レール15の先端部には、図示しないファール球防止部材が取り付けられ、ファール球防止部材と略正反対側(遊技盤10の右半分側)には、図示しない返しゴムが外レール14に沿って嵌合状に取り付けられている。
図3は、本実施例の遊技機1に搭載された図柄表示装置28の構成を示す説明図である。本実施例の図柄表示装置28は、大きくは、普通図柄表示部29と、特別図柄表示部30とから構成されている。普通図柄表示部29は、左普通図柄表示部29aと右普通図柄表示部29bとから構成されており、特別図柄表示部30は、左特別図柄表示部30aと右特別図柄表示部30bとから構成されている。2つの普通図柄表示部29a,29bは、発光ダイオード(LED)を用いて構成されており、左普通図柄表示部29aは赤色の光を点灯し、右普通図柄表示部29bは緑色の光を点灯することが可能となっている。また、特別図柄表示部30には、いわゆる7セグメントLEDが用いられており、このうちの7セグメント部分が左特別図柄表示部30aを構成し、コンマ部分が右特別図柄表示部30bを構成している。この7セグメント部分およびコンマ部分は、赤色、橙色、緑色のいずれかの光を点灯可能となっている。また、図柄表示装置28には、普通図柄保留表示部29c、および特別図柄保留表示部30cも設けられている。これらは、それぞれ4つのLEDで構成されている。このような構成を有する図柄表示装置28の表示内容については後述する。
図4は、本実施例の遊技機1に搭載された演出表示装置27の画面構成を示す説明図である。前述したように、演出表示装置27は、液晶画面によって構成されており、画面上には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cと、その背景に表示される背景図柄27dとが表示されている。このうち、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cは、図3に示した特別図柄30の表示に合わせて種々の態様で変動表示され、遊技を演出することが可能となっている。詳細な演出内容については後述する。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例の遊技機1の制御回路の構成について説明する。図5は、本実施例の遊技機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように遊技機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、図柄やLEDや効果音を用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
図示されているように主制御基板200は、始動口スイッチ17sや、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36s,37sなどから遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって、各種の動作を指令するコマンドを出力する。また、主制御基板200には、始動口17に設けられた一対の翼片部を開閉させるための普通電動役物ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、普通図柄や特別図柄の変動停止表示を行う図柄表示装置28などが中継端子板を介して接続されており、これら各種ソレノイド17m,31m、および図柄表示装置28に向かって信号を出力することにより、始動口17や大入賞口31d、図柄表示装置28などの制御も行っている。
サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析し、その結果に応じて、演出制御基板230に各種のコマンドを出力することにより、演出表示装置27の液晶画面上に種々の図柄を表示させるとともに、中央装置26に搭載されている可動役物26a,26bの駆動機構360を制御する。更には、各種のスピーカ5y,6cを駆動するアンプ基板224、装飾用の各種LED4b〜4gを駆動する駆動信号を装飾駆動基板226から出力することにより、遊技の演出を行う。また、装飾駆動基板226からの出力信号により、エラーLED表示部4hがエラー発生のレベルに応じて赤色またはオレンジ色で点灯または点滅する。さらに、装飾駆動基板226からの出力信号により、装飾LED4i〜4kが点灯または点滅する。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、この信号は、球貸表示基板242から中継端子板を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータをやり取りしながら、貸球の払出を行う。また、主制御基板200が賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御基板240が受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。
B.遊技の概要 :
次に、上述した構成を有する本実施例の遊技機1で行われる遊技の概要について簡単に説明しておく。
本実施例の遊技機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
発射した遊技球が、遊技領域11に設けられた左普通図柄作動ゲート36または右普通図柄作動ゲート37の何れかを通過すると、図柄表示装置28において普通図柄の変動表示が開始される。図3を用いて前述したように、図柄表示装置28には左普通図柄表示部29aと、右普通図柄表示部29bとが設けられている。左普通図柄表示部29aは赤色の光を点灯可能に構成されており、右普通図柄表示部29bは緑色の光を点灯可能に構成されている。普通図柄の変動表示が開始されると、左右の普通図柄表示部29a,29bが点滅表示を行う。
図6は、普通図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。変動表示中の普通図柄は、図示されている4つの状態を取ることができる。先ず、図6(a)に示した状態は、左普通図柄表示部29aが点灯して、右普通図柄表示部29bが消灯している状態を表している。図6(b)は、左普通図柄表示部29aおよび右普通図柄表示部29bがいずれも点灯した状態を表している。図6(c)は、左普通図柄表示部29aが消灯し、右普通図柄表示部29bが点灯した状態を表しており、図6(d)は、左普通図柄表示部29aおよび右普通図柄表示部29bがいずれも消灯した状態を表している。普通図柄の変動表示中は、これら4つの表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、そして、所定時間が経過すると、4つの表示状態のいずれかの状態で停止表示される。このとき、所定の表示状態で停止表示されると、いわゆる普通図柄の当りとなって、始動口17が所定時間(例えば0.5秒間)だけ開放状態となる。本実施例では、図6(c)に示した表示状態、すなわち、左普通図柄表示部29aが消灯して右普通図柄表示部29bが点灯している状態が、普通図柄の当りに設定されている。
尚、普通図柄の変動表示中に遊技球が左普通図柄作動ゲート36あるいは右普通図柄作動ゲート37を通過した場合は、この遊技球の通過が保留数として蓄えられて、現在の普通図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。普通図柄の保留は最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている普通図柄の保留数は、普通図柄保留表示部29c(図3参照)に表示される。
次いで、開放状態となった始動口17に遊技球が入球すると、今度は、特別図柄の変動表示が開始される。特別図柄は、図3を用いて説明したように特別図柄表示部30によって表示される。尚、前述したように、本実施例の特別図柄表示部30は、7セグメントLEDからなる左特別図柄表示部30aと、コンマ部分の右特別図柄表示部30bから構成されており、これら左右の特別図柄表示部30a,30bは、赤色、橙色、緑色のいずれかで点灯可能となっている。
図7は、特別図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。特別図柄の変動表示中は、左特別図柄表示部30aでは、「A」、「Y」、「−」のいずれかの図柄が表示され、右特別図柄表示部30bではコンマ「.」が表示される。また、左特別図柄表示部30aの「A」および「Y」、右特別図柄表示部30bのコンマ「.」は、赤色、橙色、緑色の3つの状態を取ることができ、左特別図柄表示部30aの「−」は、赤色または緑色のいずれかの状態を取ることができる。本実施例の特別図柄表示部30では、これらの表示状態が組み合わされて、図7に示す12種類の状態を表示することができる。図中で7セグメントLEDあるいはコンマ部分に細かいハッチングが付されているのは、赤色の状態で点灯されていることを表している。また、少し粗いハッチングが付されているのは橙色の状態で点灯表示されていることを表しており、粗いハッチングが付されているのは緑色の状態で点灯表示されていることを表している。特別図柄の変動表示が開始されると、これら12種類の表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、所定時間が経過すると、いずれかの状態で停止表示される。
停止表示された図柄が「−」である場合は、特別図柄は外れとなるが、それ以外の図柄の組合せが停止表示された場合は特別図柄の当りとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技状態が開始される。すなわち、特別図柄が当りとなる図柄の組合せは、図7に示した12種類の図柄から、「−」を除いた10種類の組合せが存在することになる。また、本実施例の特別遊技状態は、大入賞口31dが開放状態となる遊技状態(ラウンド)が、所定回数だけ繰り返されるように構成されている。大入賞口31dは大きく開口するために、遊技球が高い確率で入球することとなる。その結果、所定回数のラウンドが繰り返される間に遊技者は多くの賞球を獲得することが可能となっている。
尚、特別図柄の変動表示中に遊技球が始動口17に入球した場合は、この遊技球の入球が特別図柄の保留数として蓄えられて、現在の特別図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。特別図柄の保留も最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている特別図柄の保留数は、特別図柄保留表示部30c(図3参照)に表示される。
図7に示した特別図柄が当りとなる10種類の組合せのうち、実線で囲った5種類の組合せは、いわゆる「確変図柄」と呼ばれる組合せであり、変動表示された特別図柄が、これら確変図柄の組合せのいずれかで停止すると、特別遊技が終了してから次の特別遊技が開始されるまでの間、当り図柄で停止表示される確率が通常の状態よりも高くなる。このように、当り図柄で停止表示される確率が高くなっている遊技状態は、確率変動状態(若しくは、確変状態)と呼ばれる。
更に、図7に示した特別図柄が当りとなる10種類の組合せのうち、破線で囲った5種類の組合せは、いわゆる「通常図柄」と呼ばれる組合せであり、変動表示された特別図柄が、これら通常図柄の組合せのいずれかで停止すると、特別遊技の終了後、特別図柄が所定回数(本実施例では100回)変動表示されるか、若しくは次回の特別遊技状態が開始されるまでの間、特別図柄の変動時間が短くなるとともに、始動口17の開放時間が若干長くなるように設定されている。このような遊技状態は、変動時間短縮状態(若しくは、時短状態)と呼ばれる。
また、特別図柄を当り図柄で停止させるか否か、更には、確変図柄または通常図柄の何れの図柄で停止させるかは、主制御基板200によって決定されている。
尚、本実施例の遊技機1においては、時短機能は、通常図柄で停止表示された場合だけでなく、確変図柄で停止表示された場合にも作動するようになっている。結局、特別図柄が、図7に示した10種類の当り図柄のいずれかで停止表示された場合は、特別遊技状態の終了後、必ず時短機能が作動することになる。
上述した特別図柄の変動停止表示に合わせて、演出表示装置27では演出用図柄を用いた各種の演出が行われる。図8は、演出表示装置27で行われる演出の一態様を例示した説明図である。図4を用いて前述したように、演出表示装置27を構成する液晶画面には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが表示されている。前述した図柄表示装置28で特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置27においても、これら3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示を開始する。本実施例では、キャラクタ図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄が用意されている。
図8(a)には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左キャラクタ図柄27aが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次いで、右キャラクタ図柄27cが停止表示され、最後に中キャラクタ図柄27bが停止表示される。
これら演出表示装置27で停止表示される3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cの組合せは、前述した図柄表示装置28で停止表示される特別図柄の組合せと連動するように構成されている。たとえば、図柄表示装置28の特別図柄が当り図柄で停止する場合は、演出表示装置27の3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが同じ図柄で停止表示される。特に、図柄表示装置28の特別図柄が、前述した確変図柄で停止する場合は、演出表示装置27の3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが、奇数を表す同じ図柄で停止表示される。一方、図柄表示装置28の特別図柄が外れ図柄で停止する場合は、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cは同じ図柄で揃わない任意の組合せで停止表示される。
このように、図柄表示装置28で表示される特別図柄と、演出表示装置27で表示される3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cとは、表示内容が互いに対応しており、それぞれの表示図柄が確定するタイミングも同じに設定されているため、どちらの表示を見ながら遊技をすることも可能である。しかし、図2に示すように、図柄表示装置28よりも演出表示装置27の方が目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、更に表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置27の画面を見ながら遊技を行うことが通常である。従って、演出表示装置27の表示画面上で初めに停止表示される左キャラクタ図柄27aと、続いて停止表示される右キャラクタ図柄27cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中キャラクタ図柄27bも同じ図柄で停止して、いわゆる大当り状態になるのではないかと、遊技者は図柄の変動を注視することになる。このように、2つのキャラクタ図柄を同じ図柄で停止した状態で、最後の図柄を変動表示させる演出は、リーチ演出と呼ばれており、リーチ演出を行うことで遊技者の興趣を高めることが可能となっている。
このリーチ演出を初めとして、演出表示装置27の液晶画面上で行われる各種の演出は、遊技の演出において大きな位置を占めている。このため、遊技者の興趣をより一層盛り上げることを可能とするために、今日では液晶画面が大型化する傾向にあり、それにつれて中央装置26も大型化している。一方、図2を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では、中央装置26の左右には遊技球が流下する通路が設けられており、ここには、左右の普通図柄作動ゲート36,37および左右のランプ風車24,25や、多数の障害釘23が設けられている。しかし、図2を見れば明らかなように、液晶画面の大型化によって中央装置26が大きくなると、中央装置26の左側および右側に遊技球の流下通路を確保することが困難となる。
更に、液晶画面が大きくなると、中央装置26に設けられる可動役物も大型化する傾向にあり、中央装置26は益々大きくなる。更に、可動役物を液晶画面の外側に収納可能とした場合には、可動役物を収納するスペースも設けなければならないので、中央装置26は益々大きなものとなってしまう。その結果、中央装置26の設計が困難となるだけでなく、十分な広さの遊技領域11を確保することができなくなり、たとえば中央装置26の左右の何れか一方にしか遊技球の流下通路を確保することができなくなってしまう。
こうした点に鑑みて、本実施例の遊技機1では、中央装置26の構造を変更することにより、たとえ中央装置26に大型の液晶画面と、大型で収納可能な可動役物とを搭載した場合でも、中央装置26の設計が容易で、尚且つ、遊技領域11が小さくなることも回避可能としている。以下では、こうしたことを可能とした本実施例の中央装置26の構成について詳しく説明する。
C.中央装置の構成 :
図9は、遊技盤10の遊技領域11内に中央装置26が搭載されている部分を拡大して示した説明図である。後ほど別図を用いて詳しく説明するように、本実施例の中央装置26は、本体部とフロントパネルとに分割された構造となっており、遊技盤面の手前側(遊技者側)にはフロントパネルが取り付けられ、本体部は遊技盤面の向こう側(遊技盤10の裏側)に取り付けられている。このため遊技者の側からは、図9(a)に示されているように、遊技盤面上に設けられた中央装置26のフロントパネル26fと、フロントパネル26fの中央奥側に設けられた演出表示装置27の液晶画面とを確認することができるようになっている。尚、本実施例では、フロントパネル26fが、本発明における「前面部材」に対応している。
また、図2を用いて前述したように、本実施例の中央装置26には2つの可動役物26a,26bも搭載されている。これら可動役物26a,26bは、通常の遊技状態では液晶画面の外側に収納されているが、遊技中に所定の条件が成立すると液晶画面の上まで移動するようになっている。図9(b)は、液晶画面の手前側(すなわち前面側)に2つの可動役物26a,26bが出現する様子が概念的に示されている。また、図9(a)には、これら可動役物26a,26bが液晶画面の外側に収納されている様子が破線によって示されている。液晶画面上で行われる各種の演出に加えて、収納されていた可動役物26a,26bを画面の外側から突然出現させることで、大きな演出効果を得ることが可能である。
ここで、可動役物26a,26bを収納するためには、液晶画面の周囲に大きなスペースが必要となる。このため、図9(a)を見れば明らかなように、可動役物26a,26bを収納するためのスペースは、フロントパネル26fの外側にはみ出してしまう。しかし、本実施例の中央装置26では、これらの可動役物26a,26bは中央装置26の本体部27e内に搭載されており、本体部27eは遊技盤10の裏面側に取り付けられている(後述する図10を参照のこと)。このためフロントパネル26fの外側を、遊技領域11のまま残しておき、ここに普通図柄作動ゲート36,37や、ランプ風車24,25、障害釘23などを設けることが可能となっている。
図10は、本実施例の中央装置26の断面構造を概念的に示した説明図である。図示されているように本実施例の中央装置26は、大きくはフロントパネル26fと本体部26eとで構成されており、このフロントパネル26fと本体部26eとで遊技盤10を挟み込むようにして取り付けられる構造となっている。可動役物26a,26bや、これら可動役物26a,26bを駆動するための駆動機構360は、本体部26eに搭載されている。更に、本体部26eの背面側には、液晶画面を備えた演出表示装置27が取り付けられるようになっている。そして、このような本体部26eを遊技盤10の裏面側から取り付けるとともに、遊技盤10の前面側からはフロントパネル26fを取り付けるようになっている。中央装置26をこのような構造としておけば、液晶画面に加えて可動役物を搭載し、且つ、その可動役物を液晶画面の外側に収納するようにした場合でも、フロントパネル26fの大きさは液晶画面よりも若干大きめに設定しておくことだけでよい。このため、液晶画面が大型化しても、フロントパネル26fの外側に十分な広さの遊技領域11を確保しておくことが可能となる。
図11は、本実施例の中央装置26を遊技盤10に取り付ける様子を示した斜視図である。図示されているように、遊技盤10のほぼ中央には、中央装置26の本体部26eが取り付けられる取付穴10hが設けられている。そして、この位置に合わせて、裏面側(図11では遊技盤10の手前側)からは本体部26eを取り付け、前面側(図11では遊技盤10の向こう側)からはフロントパネル26fを取り付ける。また、本体部26eの背面側(図11では手前側)には、演出表示装置27を取り付けるための取付面26gが設けられており、ここに演出表示装置27を組み付ける。もちろん、本体部26eに予め演出表示装置27を組み付けておき、これらを遊技盤10に取り付けることとしても良い。
また、遊技盤10に設けられた取付穴10hに本体部26eを取り付けるに際しては、本体部26eに突起26t(図10を参照のこと)を設けておき、この突起26tを取付穴10hに差し込んで位置決めしながら取り付ければ、本体部26eを正確に且つ簡単に位置決めしながら取り付けることができる。あるいは、取付穴10hとは別に、位置決め用の穴を遊技盤10に設けておき、本体部26eに設けた突起を、この位置決め用の穴に合わせるようにして取り付けることとしても良い。
更には、本体部26eおよびフロントパネル26fは、ネジ止めなどによって、それぞれを遊技盤10に固定することとしても良いが、本体部26eとフロントパネル26fとを互いにネジ止めなどによって固定して、遊技盤10を挟み込むことによって固定することとしても良い。こうすれば、本体部26eの大きさに対して、遊技盤10の厚さが十分では無い場合でも、本体部26eとフロントパネル26fとを直接固定して、中央装置26を遊技盤10に取り付けることが可能となる。
参考として、従来の構造を有する中央装置26を遊技盤10に取り付ける場合について簡単に説明する。図12は、従来の構造を有する中央装置を遊技盤10に取り付ける様子を示した説明図である。従来の中央装置は、本体部26eとフロントパネル26fとが一体に構成されている。このため遊技盤10の前面側(図12では手前側)から中央装置を取り付ける必要があり、このことに対応して、遊技盤10には、少なくとも本体部26eが通過し得る大きさの取付穴10hを設けておく必要がある。前述したように、液晶画面の大型化に伴って本体部26eも大きくなるので、取付穴10hはたいへんに大きなものとなる。そしてフロントパネル26fは、この大きな取付穴10hを覆い隠すために益々、大きなものとなってしまい、その結果、遊技領域11を確保することが困難となってしまう。
図13は、フロントパネル26fと本体部26eとが一体に構成された中央装置26を搭載した盤面構成を例示した説明図である。図12を用いて上述したように、フロントパネル26fと本体部26eとを一体にして中央装置26を構成すると、遊技盤10には、中央装置26を取り付けるための大きな取付穴10hが開いてしまい、これを隠すためにフロントパネル26fがたいへんに大きなものとなってしまう。図13では、フロントパネル26fに斜線を付して表示している。図示されているように、右側の遊技領域11はフロントパネル26fによって潰されてしまい、右普通図柄作動ゲート37や右ランプ風車25は取り払われている。これに対して、本実施例の中央装置26では、フロントパネル26fと本体部26eとを別体に構成し、本体部26eは遊技盤10の裏面側から取り付ける構造を採用している。このため、遊技盤10に設ける取付穴10hは、演出表示装置27の液晶画面が確認できるだけの大きさに抑制することが可能であり、フロントパネル26fが大型化することがない。その結果、図2に示したように、フロントパネル26fの左右に十分な遊技領域11を確保しておくことが可能となるのである。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した実施例の中央装置26では、遊技盤10の前面側からフロントパネル26fを取り付けることにより、中央装置26の本体部26eと取付穴10hとの隙間が遊技者の側から見えないようにしている。しかし、本体部26eと取付穴10hとの隙間ができるだけ小さくすることで、フロントパネル26fが不要な構成とすることも可能である。すなわち、本体部26eの前面側にちょうど取付穴10hと同じ大きさの凸部を設けておき、この凸部を取付穴10hに嵌め込むようにして、遊技盤10の裏面側から本体部26eを取り付ける。このとき、本体部26eに設けた凸部の先端が、遊技盤10の前面側(遊技者側)と面位置になるか、もしくは面位置から少し突き出すようにしておけば、フロントパネル26fで覆わなくても、本体部26eと取付穴10hとの隙間に遊技者がほとんど気付かないようにすることも可能である。こうすれば、中央装置26の構成を簡素なものとすることができるとともに、より広い遊技領域11を確保することが可能となる。もっとも、フロントパネル26fを有する場合には、各種のランプや、クルーンなどの振り分け機構、更には遊技球のワープ通路などをフロントパネル26fに組み込むことができるので、液晶画面や可動役物による演出と合わせて、より大きな演出効果を発揮させることが可能となる。