以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、弾球遊技機の一種であるパチンコ機を例に用いて、次のような順序に従って実施例の説明を行う。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.制御回路の構成:
B.遊技の概要:
C.演出制御処理:
C−1.第1実施例のデモ演出制御処理:
C−2.第2実施例のデモ演出制御処理:
C−3.第3実施例のデモ演出制御処理:
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、遊技機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は、中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には、円形状の開口部4aが形成されている。この開口部4aにはガラス板等の透明板がはめ込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種ランプ類4b〜4fが設けられている。
前面枠4の下方には、上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13(CRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図5参照)に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。さらに、上皿部5の略中央部には複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1スピーカ5yが設けられている。更に、上皿部5の手前側(遊技者側)には、2つの操作スイッチSW1,SW2が設けられており、遊技者は、このスイッチを押すことによって、遊技中に遊技条件を変更するなど、遊技の進行に介入することが可能となっている。
下皿部6には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。また、下皿部6の下面の左右には、第2スピーカ6cが設けられている。
下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられており、また、遊技領域11の下方部分には変動入賞装置18が設けられ、そして、中央装置26と変動入賞装置18との間には始動口(普通電動役物)17が設けられている。始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口である。始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する始動口(普通電動役物)スイッチ17s(図5参照)と、翼片部を作動させるための普通電動役物(始動口)ソレノイド17m(図5参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開口状態となり、一対の翼片部が直立して、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
中央装置26のほぼ中央には、変動表示装置27が設けられている。変動表示装置27は、液晶画面を搭載しており、キャラクタ図柄や背景図柄などの種々の演出用図柄を変動停止表示することが可能となっている。変動表示装置27の画面上で表示される各種図柄については後述する。
中央装置26の左下には、図柄表示装置28が設けられている。詳細な構成については後述するが、図柄表示装置28では普通図柄や特別図柄などを変動停止表示することが可能となっている。
遊技領域11の左端には、普通図柄作動ゲート36が設けられており、このゲートの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36sが設けられている。更に、普通図柄作動ゲート36と中央装置26との間には、ランプ風車24が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
中央装置26の下方に設けられた変動入賞装置18には、ほぼ中央に大入賞装置31が設けられている。この大入賞装置31は、略長方形状に大きく開口する大入賞口31dと、大入賞口31dを開閉するための大入賞口ソレノイド31m(図5参照)などから構成されている。大入賞口31dは、後述する所定の条件が成立すると開口状態となり、この結果、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球することとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である大当り遊技状態が開始される。また、大入賞口31dの内部には、大入賞口スイッチ31sが設けられており、大入賞口31dに入賞した遊技球を検出することが可能となっている。
遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。
図3は、本実施例の遊技機1に搭載された図柄表示装置28の構成を示す説明図である。本実施例の図柄表示装置28は、大きくは、普通図柄表示部29と、特別図柄表示部30とから構成されている。普通図柄表示部29は、左普通図柄表示部29aと右普通図柄表示部29bとから構成されており、特別図柄表示部30は、左特別図柄表示部30aと右特別図柄表示部30bとから構成されている。2つの普通図柄表示部29a,29bは、発光ダイオード(LED)を用いて構成されており、左普通図柄表示部29aは赤色の光を点灯し、右普通図柄表示部29bは緑色の光を点灯することが可能となっている。また、特別図柄表示部30には、いわゆる7セグメントLEDが用いられており、このうちの7セグメント部分が左特別図柄表示部30aを構成し、コンマ部分が右特別図柄表示部30bを構成している。この7セグメント部分およびコンマ部分は、赤色、橙色、緑色のいずれかの光を点灯可能となっている。また、図柄表示装置28には、普通図柄保留表示部29c、および特別図柄保留表示部30cも設けられている。これらは、それぞれ4つのLEDで構成されている。このような構成を有する図柄表示装置28の表示内容については後述する。
図4は、本実施例の遊技機1に搭載された変動表示装置27の画面構成を示す説明図である。前述したように、変動表示装置27は、主に液晶表示画面を用いて構成されており、液晶画面上には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cと、その背景の背景図柄27dが表示されている。このうち、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cは、図3に示した特別図柄30の表示に合わせて種々の態様で変動表示され、遊技を演出することが可能となっている。変動表示装置27で行われる演出については後述する。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例の遊技機1における制御回路の構成について説明する。図5は、本実施例の遊技機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように遊技機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、図柄やランプや効果音を用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御の下で変動表示装置27の具体的な制御を行う演出制御基板230と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)、更には予め設定された一定周期で同期出力を発生させたり経過時間を計時する機能を有するタイマー(TMR)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。また、図5中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。尚、図5では、主制御基板200に搭載されたCPU201や、サブ制御基板220に搭載されたCPU221、RAM223、TMR(タイマー)224のみが図示されている。また、図5に図示されているROMやRAMは、CPU内蔵のものであってもよい。
尚、以下に説明する実施例では、サブ制御基板220に搭載されたタイマーが同期信号を発生させて、CPU221に同期信号を出力するものとして説明する。しかし、タイマーのような外部回路からCPU221に向かって同期信号を出力するのではなく、タイマーの内部で経過時間を計測することによって、あるいはクロックが発生するパルス数などをカウントすることによって、同期出力を発生させ、この同期出力の値を必要に応じてCPU221から参照することによっても、同様な処理を実現することが可能である。更には、CPU221の内部でソフトウェア的に(プログラムで構成されるタイマによって)同期出力を発生させて、必要に応じて同期出力の値を参照するようにしても良い。このようにした場合には、同期出力を発生させるための回路(タイマーなど)をサブ制御基板220に追加して搭載する必要が無く、装置の構成を更に簡素なものとすることが可能となる。
図示されているように主制御基板200は、始動口スイッチ17sや、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36sなどから遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御基板220や、演出制御基板230、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって、各種の動作を指令するコマンドを出力する。また、主制御基板200には、始動口17に設けられた一対の翼片部を開閉させるための普通電動役物ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、普通図柄や特別図柄の変動停止表示を行う図柄表示装置28などが中継端子板を介して接続されており、これら各種ソレノイド17m,31m、および図柄表示装置28に向かって信号を出力することにより、動作の制御も行っている。
サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、前述した変動表示装置27の表示制御を行う演出制御基板230に対して表示内容を指定するコマンドを出力したり、各種のスピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板227、装飾用の各種LEDやランプを駆動する装飾駆動基板226に駆動信号を出力することにより、遊技の演出を行う。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、この信号は、球貸表示基板242から中継端子板を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータをやり取りしながら、貸球の払出を行う。また、主制御基板200が賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御基板240が受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。
B.遊技の概要 :
次に、上述した構成を有する本実施例の遊技機1で行われる遊技の概要について簡単に説明しておく。
本実施例の遊技機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
発射した遊技球が、遊技領域11の左側に設けられた普通図柄作動ゲート36を通過すると、図柄表示装置28において普通図柄の変動表示が開始される。図3を用いて前述したように、図柄表示装置28には左普通図柄表示部28aと、右普通図柄表示部28bとが設けられている。左普通図柄表示部28aは赤色の光を点灯可能に構成されており、右普通図柄表示部28bは緑色の光を点灯可能に構成されている。普通図柄の変動表示が開始されると、左右の普通図柄表示部28a,28bが点滅表示を行う。
図6は、普通図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。変動表示中の普通図柄は、図示されている4つの状態を取ることができる。先ず、図6(a)に示した状態は、左普通図柄表示部29aが点灯して、右普通図柄表示部29bが消灯している状態を表している。図6(b)は、左普通図柄表示部29aおよび右普通図柄表示部29bがいずれも点灯した状態を表している。図6(c)は、左普通図柄表示部29aが消灯し、右普通図柄表示部29bが点灯した状態を表しており、図6(d)は、左普通図柄表示部29aおよび右普通図柄表示部29bがいずれも消灯した状態を表している。普通図柄の変動表示中は、これら4つの表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、そして、所定時間が経過すると、4つの表示状態のいずれかの状態で停止表示される。このとき、所定の表示状態で停止表示されると、いわゆる普通図柄の当りとなって、始動口17が所定時間(例えば0.5秒間)だけ開口状態となる。本実施例では、図6(c)に示した表示状態、すなわち、左普通図柄表示部29aが消灯して右普通図柄表示部29bが点灯している状態が、普通図柄の当りに設定されている。
尚、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過した場合は、この遊技球の通過が保留数として蓄えられて、現在の普通図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。普通図柄の保留は最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている普通図柄の保留数は、普通図柄保留表示部29c(図3参照)に表示される。
次いで、開口状態となった始動口17に遊技球が入球すると、今度は、特別図柄の変動表示が開始される。特別図柄は、図3を用いて説明したように特別図柄表示部30によって表示される。尚、前述したように、本実施例の特別図柄表示部30は、7セグメントLEDからなる左特別図柄表示部30aと、コンマ部分の右特別図柄表示部30bから構成されており、これら左右の特別図柄表示部30a,30bは、赤色、橙色、緑色のいずれかで点灯可能となっている。
図7は、特別図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。特別図柄の変動表示中は、左特別図柄表示部30aでは、「A」または「Y」のいずれかの図柄が表示され、右特別図柄表示部30bではコンマ「.」が表示される。また、左特別図柄表示部30aの「A」および「Y」、右特別図柄表示部30bのコンマ「.」は、赤色、橙色、緑色の3つの状態を取ることができる。本実施例の特別図柄表示部30では、これらの表示状態が組み合わされて、図7に示す12種類の状態を表示することが可能となっている。図中で7セグメントLEDあるいはコンマ部分に細かいハッチングが付されているのは、赤色の状態で点灯されていることを表している。また、少し粗いハッチングが付されているのは橙色の状態で点灯表示されていることを表しており、粗いハッチングが付されているのは緑色の状態で点灯表示されていることを表している。特別図柄の変動表示が開始されると、これら12種類の表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、所定時間が経過すると、いずれかの状態で停止表示される。
停止表示された図柄が「−」である場合は、特別図柄は外れとなるが、それ以外の図柄の組合せが停止表示された場合は特別図柄の当りとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技状態が開始される。すなわち、特別図柄が当りとなる図柄の組合せとしては、図7に示した12種類の図柄から、「−」を除いた10種類の組合せが存在することになる。また、本実施例の特別遊技状態は、大入賞口31dが開放状態となる遊技状態(ラウンド)が、所定ラウンドだけ繰り返されるように構成されている。大入賞口31dは大きく開口するために、遊技球が高い確率で入球する。その結果、所定回数のラウンドが繰り返される間に遊技者は多くの賞球を獲得することが可能となっている。
尚、特別図柄の変動表示中に遊技球が始動口17に入球した場合は、この遊技球の入球が特別図柄の保留数として蓄えられて、現在の特別図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。特別図柄の保留も最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている特別図柄の保留数は、特別図柄保留表示部30c(図3参照)に表示される。
また、図7に示した特別図柄が当りとなる10種類の組合せのうち、実線で囲った5種類の組合せは、いわゆる「確変当り図柄」と呼ばれる組合せであり、変動表示された特別図柄が、これら確変当り図柄の組合せのいずれかで停止すると、特別遊技が終了してから次の特別遊技が開始されるまでの間、当り図柄で停止表示される確率が通常の状態よりも高くなる。このように、当り図柄で停止表示される確率が高くなっている遊技状態は、確変遊技状態(若しくは、単に確変状態)と呼ばれる。
更に、図7に示した特別図柄が当りとなる10種類の組合せのうち、破線で囲った5種類の組合せは、いわゆる「通常当り図柄」と呼ばれる組合せであり、変動表示された特別図柄が、これら通常当り図柄の組合せのいずれかで停止すると、特別遊技の終了後、特別図柄が所定回数(本実施例では100回)変動表示されるか、若しくは次回の特別遊技状態が開始されるまでの間、特別図柄の変動時間が短くなるとともに、始動口17の開放時間が長くなるように設定されている。このような遊技状態は、変動時間短縮状態(若しくは、時短状態)と呼ばれる。尚、本実施例の遊技機1においては、こうした時短機能は、通常当り図柄で停止表示された場合だけでなく、確変当り図柄で停止表示された場合にも作動するようになっている。結局、特別図柄が、図7に示した10種類の当り図柄のいずれかで停止表示された場合は、特別遊技状態の終了後、必ず時短機能が作動することになる。
上述した特別図柄の変動停止表示に合わせて、変動表示装置27では演出用図柄を用いた各種の演出が行われる。図8は、変動表示装置27で行われる演出の一態様を例示した説明図である。図4を用いて前述したように、変動表示装置27を構成する液晶表示画面には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが表示されている。前述した図柄表示装置28で特別図柄の変動表示が開始されると、変動表示装置27においても、これら3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示を開始する。本実施例では、キャラクタ図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄が用意されている。
図8(a)には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左キャラクタ図柄27aが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次いで、右キャラクタ図柄27cが停止表示され、最後に中キャラクタ図柄27bが停止表示される。
これら変動表示装置27で停止表示される3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cの組合せは、前述した図柄表示装置28で停止表示される特別図柄の組合せと連動するように構成されている。たとえば、図柄表示装置28の特別図柄が当り図柄で停止する場合は、変動表示装置27の3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが同じ図柄で停止表示される。特に、図柄表示装置28の特別図柄が、前述した確変当り図柄で停止する場合は、変動表示装置27の3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが、奇数を表す同じ図柄で停止表示される。一方、図柄表示装置28の特別図柄が外れ図柄で停止する場合は、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cは同じ図柄で揃わない任意の組合せで停止表示される。
このように、図柄表示装置28で表示される特別図柄と、変動表示装置27で表示される3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cとは、表示内容が互いに対応しており、それぞれの表示図柄が確定する(停止表示される)タイミングも同じに設定されている。しかも、図2に示すように、図柄表示装置28よりも変動表示装置27の方が目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は変動表示装置27の画面を見ながら遊技を行うことが通常である。従って、変動表示装置27の表示画面上で初めに停止表示される左キャラクタ図柄27aと、続いて停止表示される右キャラクタ図柄27cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中キャラクタ図柄27bも同じ図柄で停止して、いわゆる大当り遊技状態になるのではないかと、遊技者は図柄の変動を注視することになる。このように、2つのキャラクタ図柄を同じ図柄で停止した状態で、最後の図柄を変動表示させる演出は、リーチ演出と呼ばれており、リーチ演出を行うことで遊技者の興趣を高めることが可能となっている。
以上に説明した遊技は、主制御基板200やサブ制御基板220を初めとして、図5に示した各種の制御基板が協働しながら、各種装置を制御することによって実現されている。特に、主制御基板200は、遊技の進行に拘わる部分の制御を司り、サブ制御基板220を初めとする各種の制御基板に向けて、動作の指示を行うために各種コマンドを出力する。また、サブ制御基板220は、主制御基板200から出力されるコマンドに基づいて、変動表示装置27や各種ランプ類を用いた演出の制御を行う。更に、遊技者による遊技の進行が停滞している間は、遊技者の注意を引き付けるために、いわゆるデモ演出を行う。以下では、こうした処理を行うために、サブ制御基板220で行われる演出制御処理について説明する。
C.演出制御処理 :
図9は、本実施例のサブ制御基板220で行われる演出制御処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、サブ制御基板220に搭載されたCPU221によって実行される処理であり、遊技機1に電源が供給されて、CPU221が起動すると開始される処理である。
演出制御処理を開始すると、先ず初めに、電源投入時初期化処理を開始する(S100)。すなわち、図9に示した演出制御処理は、遊技機1に電源が投入されて、サブ制御基板220に搭載されたCPU221への電力供給が開始されると、最初に開始される処理であり、このことに対応して、CPU221の初期化や、サブ制御基板220に搭載されているRAM223などの初期化を行う。また、図5を用いて前述したように、本実施例のサブ制御基板220には、予め設定された一定周期で同期信号を出力したり経過時間を出力する機能を有するタイマー(TMR)224も搭載されており、かかるタイマー224の初期化も、電源投入時初期化処理(S100)で行われる。電源投入時に行われるこうした一連の処理は、毎回同じ手順で行われ、電源投入後、毎回ほぼ同じ時間の経過後にタイマー224が同期信号を出力する。もちろん、遊技機の機種が同じで、電源投入後に同期信号が出力されるまでに要する時間もほぼ同じとなる。
尚、前述したように、タイマー224から同期信号を外部に出力する代わりに、タイマー224の内部で、若しくはCPU221の内部で、一定周期の同期出力を発生させておき、必要に応じてCPU221が同期出力の値を参照するようにすることも可能である。この場合は、電源投入時初期化処理(S100)では、タイマー224またはCPU221の内部で発生させる同期出力の値が初期化されることになる。
電源投入時初期化処理の終了後は、デモ演出制御処理を開始する(S200)。かかる処理では、後述する所定条件を満足しているか否かを判断して、所定条件が満たされていればデモ演出を開始する処理を行う。詳細には後述するが、かかる処理では、デモ演出の開始タイミングは、タイマー224から出力される同期信号に基づいて決定されており、このため、複数台の遊技機が配置されている場合でもホールコンピュータから制御することなく、同じタイミングでデモ演出を開始することが可能となっている。デモ演出制御処理の詳細については後述する。
尚、本実施例のサブ制御基板220に搭載されたタイマー224は、デモ演出の開始タイミングを決定するための同期信号を出力していることから、本発明における「同期出力発生手段」に対応するものとなっている。尚、上述したように、タイマー224あるいはCPU221の内部で一定周期の同期出力を発生させ、必要に応じて出力値を参照する場合には、同期出力を発生させるタイマー224、あるいはCPU221内部のモジュールなどが、本発明における「同期出力発生手段」に対応することとなる。また、電源投入後からほぼ一定時間の経過後にタイマー224を起動させて、同期信号を発生させる動作は、サブ制御基板220に搭載されたサブ制御基板220が、電源投入時初期化処理を実行することによって行われている。従って、本実施例のサブ制御基板220に搭載されたCPU221は、本発明の「起動手段」に対応するものとなっている。
デモ演出制御処理(S200)では、後述する処理条件が満足されていなければ、直ちに処理を抜けて、主制御基板200から変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断する(S102)。ここで、変動パターン指定コマンドとは、遊技者によって遊技が開始され、始動口17に遊技球が入球すると、変動表示装置27での変動表示を開始するべく、主制御基板200からサブ制御基板220に向かって出力されるコマンドである。変動表示装置27での変動表示の態様には種々の態様が設定されており、主制御基板200のCPU201は、始動口17に遊技球が入球すると、何れの態様の変動表示を行うかを決定した後、決定した変動パターンをコマンドによってサブ制御基板220に出力するようになっている。S102では、このようにして主制御基板200から出力された変動パターン指定コマンドを、受け取ったか否かを判断するのである。
そして、未だ受け取っていないと判断された場合は(S102:no)、再びデモ演出制御処理(S200)に戻って、デモ演出の開始に関わる所定条件が満足されたか否かを判断し、満足されていなければ直ちにデモ演出制御処理を抜け、満足されていた場合には所定時間だけ所定のデモ演出を行った後、デモ演出制御処理を抜けて、変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断する(S102)。遊技者によって遊技が開始されるまでの間は、このような処理を繰り返す。尚、デモ演出の実行中でも、遊技者によって遊技が開始されたことが検出されたら、割り込みを発生させて直ちにデモ演出が中止されるようになっている。
遊技者によって遊技が開始されると、ほどなく始動口17に遊技球が入球して、主制御基板200からサブ制御基板220に向かって変動パターン指定コマンドが出力される。サブ制御基板220のCPU221は、変動パターン指定コマンドを受け取ると(S102:yes)、デモ演出フラグをオフにする(S104)。ここで、デモ演出フラグとは、後述するデモ演出制御処理の中で、デモ演出を開始するための所定の前提条件が満足さたと判断されると、オンに設定されるフラグである。主制御基板200から変動パターン指定コマンドを受け取った場合には(S102:yes)、変動表示装置27で図柄の変動表示が行われ、従って、デモ演出を行わないことが明らかなので、デモ演出フラグをオフに戻しておくのである(S104)。
続いて、サブ制御基板220のCPU221は、特別図柄停止情報指定コマンドを受け取ったか否かを判断する(S106)。ここで、特別図柄停止情報指定コマンドとは、図柄表示装置28で変動表示される特別図柄を、何れの図柄で停止表示させるかを指定するコマンドである。図7を用いて前述したように、特別図柄の停止図柄は、特別図柄の当否判定結果を表しているから、サブ制御基板220は特別図柄停止情報指定コマンドを受け取ることにより、特別図柄の当否判定結果、すなわち、変動表示装置27上で3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cを何れの図柄組合せで停止させればよいかを決定することができる。
また、特別図柄停止情報指定コマンドは、主制御基板200がサブ制御基板220に向かって、特別図柄の変動パターン指定コマンドを出力すると、直ぐに続いて出力される。従って、サブ制御基板220のCPU221は、特別図柄の変動パターン指定コマンドを受け取って(S102:yes)、デモ演出フラグをオフにすると(S106)、続いて、特別図柄停止情報指定コマンドを受け取ったか否かを判断し(S106)、未だ受け取っていない場合は(S106:no)、そのまま待機状態となる。そして、特別図柄停止情報指定コマンドを受け取ったら(S106:yes)、変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドに基づいて決定した態様で、変動表示装置27でのキャラクタ図柄27a,27b,27cを変動表示させることによって演出を行う(S108)。かかる演出に要する時間は、指定された変動パターンに応じて定められている。
そして変動表示装置27上での演出を終了したら、大当りが発生したか否かを判断する(S110)。大当りが発生したか否かは、先に主制御基板200から受け取った特別図柄停止情報指定コマンドに基づいて容易に判断することができる。その結果、大当りが発生していないと判断された場合は(S110:no)、再びS200に戻って、後述するデモ演出制御処理を開始する。一方、大当りが発生したと判断された場合は、大当りの発生に伴って行われる所定の大当り演出を行った後(S112)、S200に戻って、デモ演出制御処理を行う。
後述するようにデモ演出制御処理(S200)は、所定の条件が満足されていなければ直ちに処理を抜けてしまうので、遊技者によって遊技が行われている間は、デモ演出が行われることはない。しかし、遊技者が遊技を終了して暫くすると、デモ演出制御処理の中で所定の条件が成立したと判断され、変動表示装置27でデモ演出が開始される。ここで本実施例のデモ演出制御処理では、サブ制御基板220に搭載されたタイマー224から出力される同期信号に基づいて、デモ演出の開始タイミングを決定しているため、複数台の遊技機が存在する場合でも、同期を取ってデモ演出を行うことが可能となっている。以下、こうしたことを実現するために本実施例の遊技機1で行われているデモ演出制御処理について、詳細に説明する。
C−1.第1実施例のデモ演出制御処理 :
図10は、第1実施例のデモ演出制御処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理は、図9の演出制御処理の中で、サブ制御基板220に搭載されたCPU221によって実行される処理である。
第1実施例のデモ演出制御処理では、先ず初めに、主制御基板200からデモ画面指定コマンドを受け取ったか否かを判断する(S202)。ここで、デモ画面指定コマンドとは、特別図柄の保留数が「0」の状態で、且つ、特別図柄の変動表示が停止すると、主制御基板200からサブ制御基板220に向かって出力されるコマンドである。そして、デモ画面指定コマンドを受け取ったと判断された場合は(S202:yes)、デモ演出フラグをオンに設定する(S204)。デモ演出フラグは、サブ制御基板220に搭載されたRAM223の所定アドレスに割り当てられている。これに対して、デモ画面指定コマンドを受け取っていなければ(S202:no)、デモ演出フラグをオンに設定する処理(S204)は行わない。
次いで、デモ演出フラグがオンに設定されているか否かを判断する(S206)。先に、デモ画面指定コマンドを受け取ったと判断された場合は(S202:yes)、デモ演出フラグがオンに設定されているので(S204)、S206では「yes」と判断されるので、続いて、タイマー224が同期信号を発生したか否かを判断する(S208)。そして、同期信号が発生していない場合は(S208:no)、デモ演出を行うことなく、そのままデモ演出制御処理を抜けて、図9の演出制御処理に復帰する。
尚、本実施例ではタイマー224は、外部に向かって同期信号を出力するものとして説明しているが、前述したように、タイマー224から外部に同期信号を出力するのではなく、タイマー224の内部、あるいはCPU221の内部で一定周期の同期出力を発生させておき、必要に応じて同期出力の値を参照することによっても同様な処理を行うことが可能である。このような態様で実施する場合には、S208においては、タイマー224の内部で、あるいはCPU221の内部で発生している同期出力の値を参照し、その値が所定値に達したか否かを判断する処理を行う。そして、参照した同期出力の値が所定値に達していなければ「S208:no」と判断し、逆に、参照した同期出力の値が所定値に達していれば(若しくは、同期出力に等しければ)「S208:yes」と判断すればよい。
一方、デモ画面指定コマンドを受け取っていないと判断され(S202:no)、デモ演出フラグがオンではないと判断された場合にも(S206:no)、デモ演出を行うことなく、そのままデモ演出制御処理を抜けて、図9の演出制御処理に復帰する。
前述したように、演出制御処理では、デモ演出制御処理(S200)から復帰すると、変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断して、受信していない場合は(図9のS102:no)、再びデモ演出制御処理に復帰する。
こうした処理を繰り返しているうちに、やがて、主制御基板200からデモ画面指定コマンドが出力されるので、これを受けて、図10のデモ演出制御処理では、デモ演出フラグがオンに設定され(S204)、デモ演出フラグがオンに設定されていると判断されるようになる(S206:yes)。次いで、タイマー224が同期信号を発生したか否かを判断し(S208)、同期信号が発生したと判断されたら(S208:yes)、所定のデモ演出を実行した後(S210)、デモ演出制御処理を終了して、図9の演出制御処理に復帰する。
図11は、第1実施例のデモ演出制御処理によってデモ演出が実行される様子を、概念的に示した説明図である。図11では、遊技機Aおよび遊技機Bの2つの遊技機でデモ演出が行われる様子が示されているが、先ず、遊技機Aについて説明する。
第1実施例では、タイマー224は、一定の周期でパルス状の同期信号を発生する。ここで、タイマー224が同期信号(同期出力)を発生する周期としては、特別図柄の保留数が「0」で、かつ特別図柄の変動が開始されない状態(図柄変動停止状態)となってから、1回のデモ演出終了までに要する時間が予め設定される。例えば、演出時間が30秒とされたデモ演出を120秒間隔で実行する場合には、タイマー224が同期信号を発生する周期として150秒が設定される。これにより、タイマー224による同期信号は150秒毎に発生され、150秒毎にデモ演出の開始タイミングが訪れることとなる。
図11中の上方には、パルス状の同期信号が一定周期で発生している様子が示されている。また、同期信号の下方には、特別図柄が変動表示する様子が概念的に示されている。図11に示した遊技機Aでは、保留数を1つ消化して(すなわち、保留1になった状態で)特別図柄の図柄変動が所定時間だけ行われ、次いで、最後の保留数を消化して(すなわち、保留0の状態で)所定時間の図柄変動が行われる。そして、保留0の状態で図柄変動が停止すると、主制御基板200からサブ制御基板220に向かって、デモ画面指定コマンドが出力される。図11では、主制御基板200からサブ制御基板220に向かって、デモ画面指定コマンドが出力される様子が、破線の矢印によって表されている。こうしてデモ画面指定コマンドが出力されると、デモ演出フラグがオンに設定される(図10のS204参照)。そして、デモ演出フラグがオンに設定された状態で、タイマー224からパルス状の同期信号が出力されると、そのタイミングでデモ演出が開始される(図10のS210参照)。
尚、図11に示されているように、特別図柄の保留数が「0」でなければ、直ぐに特別図柄の変動表示が開始されるからデモ演出を行うことはできない。また、特別図柄の保留数が「0」であっても、特別図柄の変動表示中であれば、デモ演出を行うことはできない。すなわち、特別図柄の保留数が「0」の状態で、且つ、特別図柄の変動表示が停止しているということは、デモ演出を開始するための前提条件ということができる。従って、デモ画面指定コマンドを受け取るとデモ演出フラグをオンに設定し、デモ演出フラグがオンに設定されているか否かを判断するということは、デモ演出を行うための前提条件が成立しているか否かを判断していることに他ならない。このことから、こうした判断を行う本実施例のサブ制御基板220に搭載されたCPU221は、本発明における「前提条件成立判断手段」に対応するものとなっている。また、前提条件が成立している場合に、同期信号に基づいてデモ演出を開始する処理も、サブ制御基板220のCPU221が図10に示したデモ演出制御処理を実行することによって行われている。従って、本実施例のCPU221は、本発明における「開始タイミング決定手段」および「デモ演出開始手段」に対応するものとなっている。
以上では、遊技機Aでデモ演出が開始される様子について説明した。もちろん、複数台の遊技機が設置されている場合は、遊技が行われる期間もまちまちである。しかし、本実施例のデモ演出制御処理では、このような場合でも、複数台の遊技機で同期させてデモ演出を行うことが可能である。例えば、図11に示した遊技機Bでは、遊技機Aで図柄変動が終了した場合でも、未だ図柄変動が続いており、遊技機Aでデモ演出が開始された後にようやく図柄変動が停止して、主制御基板200からサブ制御基板220に向かってデモ画面指定コマンドが出力される。その後、遊技機Bに搭載されているタイマー224が同期信号を出力すると、そのタイミングでデモ演出が開始される。
ここで、図9に示した演出制御処理の電源投入時初期化処理において説明したように、タイマー224は電源投入後に同期信号の発生を開始し、遊技機Aと遊技機Bとは、同時に電源投入された後、ほぼ同じタイミングで同期信号の発生を開始するようになっている。図11では、遊技機Aの同期信号と遊技機Bの同期信号とがほぼ同じタイミングで発生している様子が示されている。このように、遊技機Aおよび遊技機Bでほぼ同じタイミングで同期信号を出力しておき、デモ演出を開始するための前提となる条件が成立すると(デモ演出フラグがオンになると)、各遊技機内で同期信号が発生したタイミングでデモ演出を開始する。こうすれば、それぞれの遊技機で勝手に(すなわち、遊技機同士で通信を行ったり、あるいは外部のコンピュータと通信を行わずに)デモ演出を開始しているにも拘わらず、複数台の遊技機で同期してデモ演出を実行することが可能となる。
尚、以上の説明では、タイマー224が出力する同期信号は、パルス状の信号であるものとして説明した。しかし、同期信号は、一定の周期を有する信号であればどのような信号であっても良い。例えば、図12に示すように、例えば「0」から上限値に向かって一定時間間隔でカウントアップしていくタイマー出力を同期信号として用い、同期信号が上限値に達したタイミングで、デモ演出を開始するようにしても良い。あるいは、逆に、上限値から「0」に向かってカウントダウンするようなタイマー出力を同期信号として使用し、同期信号が「0」に達したタイミングでデモ演出を開始することも可能である。
また、以上の説明では、遊技機Aと遊技機Bとは同じ機種であるものとして説明した。しかし、電源投入後にタイマー224が起動して同期信号を発生させるまでに要する時間を合わせておき、更に、同期信号の発生周期を合わせておけば、異なる機種の遊技機であっても、同期を取ってデモ演出を実行することが可能である。
更には、以上の説明では、同期信号が発生したら直ちにデモ演出を開始するものとして説明したが、デモ演出を開始するタイミングを、同期信号に基づいて決定するのであれば良く、必ずしも同期信号の発生と同時にデモ演出を開始する必要はない。例えば、同期信号が発生した後、所要時間が一定の所定の処理を行ってからデモ演出を開始しても良いし、あるいは同期信号の発生後、一定時間が経過してからデモ演出を開始することとしても良い。
C−2.第2実施例のデモ演出制御処理 :
以上に説明した第1実施例のデモ演出制御処理では、デモ演出フラグがオンの設定された状態(特別図柄の保留が「0」の状態で特別図柄の変動が停止した状態)で、同期信号が出力された場合には、必ずデモ演出が開始されるものとして説明した。しかし、デモ演出フラグがオンになっても、所定時間の間は、同期信号が発生してもデモ演出を行わずに、次の同期信号が発生した時にデモ演出を行うようにしても良い。以下、このような第2実施例のデモ演出制御処理について説明する。
図13は、第2実施例のデモ演出制御処理の流れを示す説明図である。かかる処理は、図10を用いて前述した第1実施例のデモ演出制御処理に対して、デモ演出フラグがオンに設定された後の所定時間は、同期信号が発生してもデモ演出が開始されないようになっている点が大きく異なっている。以下では、かかる相違点に焦点をあてて、第2実施例のデモ演出制御処理について簡単に説明する。
第2実施例のデモ演出制御処理でも、処理を開始すると先ず初めに、主制御基板200からデモ画面指定コマンドを受け取ったか否かを判断する(S302)。そして、デモ画面指定コマンドを受け取ったと判断された場合は(S302:yes)、デモ演出フラグをオンに設定する(S304)。次いで、第2実施例のデモ演出制御処理では、所定時間の計時を開始する(S306)。所定時間の計時を行う方法には、種々の方法を適用することができるが、ここでは、サブ制御基板220に専用のタイマー(以下、サブタイマー225と呼ぶ)を搭載していて(図示は省略)、サブタイマー225を用いて計時を行うこととする。これに対して、デモ画面指定コマンドを受け取っていなければ(S302:no)、デモ演出フラグをオンにする処理、および所定時間の計時を開始する処理(S304、S306)は行わない。ここで、サブタイマー225が計時する所定時間としては、特別図柄の保留数が「0」で、かつ特別図柄の変動が開始されない状態(図柄変動停止状態)となってから、デモ演出が開始されるまでの間隔として最低限必要な時間を任意に設定することができる。
尚、第2実施例のサブタイマー225においても、前述した第1実施例のタイマー224と同様に、計時した値を外部に出力することとしても良いが、内部で計時を行い、必要に応じてCPU221から計時している値を参照するようにしても良い。また、サブタイマー225についても、タイマー224と同様に、CPU221の内部でソフトウェア的なタイマ(プログラムで構成されるタイマ)を用いて実現することも可能である。
次いで、デモ演出フラグがオンに設定されているか否かを判断し(S308)、デモ演出フラグがオンに設定されていない場合は(S308:no)、前述した第1実施例のデモ演出制御処理と同様に、そのまま処理を抜けて、図9の演出制御処理に復帰する。
また、デモ演出フラグがオンに設定されている場合は(S308:yes)、今度は、デモ演出フラグがオンに設定されてから所定時間が経過したか否かを判断する(S310)。そして、デモ演出フラグがオンに設定されてから所定時間が経過していない場合にも(S308:no)、第2実施例のデモ演出制御処理を終了して、図9の演出制御処理に復帰する。一方、所定時間が経過したと判断された場合には(S310:yes)、同期信号が発生したか否かを判断する(S312)。すなわち、第2実施例のデモ演出制御処理では、デモ演出フラグがオンに設定されても、所定時間が経過するまでは、同期信号が発生したか否かの判断は行わずに処理を抜けてしまい、所定時間が経過した場合にだけ、同期信号が発生したか否かを判断するのである。
その後の処理は、図10を用いて前述した第1実施例のデモ演出制御処理と同様である。すなわち、タイマー224が同期信号を発生していなければ(S312:no)、デモ演出制御処理を終了して図9の演出制御処理に復帰する。これに対して、同期信号が発生されたと判断されたら(S312:yes)、所定のデモ演出を実行した後(S314)、デモ演出制御処理を終了して、図9の演出制御処理に復帰する。
図14は、第2実施例のデモ演出制御処理によってデモ演出が実行される様子を、概念的に示した説明図である。図14においても、遊技機Aおよび遊技機Bの2つの遊技機でデモ演出が行われる様子が示されているが、先ず、遊技機Aについて説明する。
遊技機Aについては、図11を用いて前述した第1実施例の場合とほぼ同様である。すなわち、保留0の状態で特別図柄の変動表示が停止すると、主制御基板200からサブ制御基板220に向かって、デモ画面指定コマンドが出力される。次いで、第2実施例の場合には所定時間の計時が開始され(図13のS306およびS310を参照)、所定時間の経過後に、同期信号が出力されると、そのタイミングでデモ演出が開始される。
これに対して遊技機Bについては、図11を用いて前述した第1実施例とは若干相違する。先ず、保留0の状態で特別図柄の変動表示が停止して、主制御基板200からサブ制御基板220に向かってデモ画面指定コマンドが出力される。そして、図14に示されるように、デモ画面指定コマンドが出力されてから程なくして、同期信号が発生している。第1実施例のデモ演出制御処理では、このタイミングでデモ演出が開始されるが、第2実施例のデモ演出制御処理では、デモ画面指定コマンドを受け取ってデモ演出フラグがオンにされると、所定時間の計時が開始され(図13のS306参照)、所定時間が経過するまでは同期信号が発生したか否かは判断されることはない(図13のS310参照)。これに対応して、図14の遊技機Bに示したように、デモ画面指定コマンドが出力されて、最初に発生した同期信号ではデモ演出は開始されず、次に同期信号が発生したタイミングでデモ演出が開始されるようになっている。
このようにしても、遊技機Aと遊技機Bとで、同期した状態でデモ演出を開始することが可能となっている。加えて、デモ画面指定コマンドを受け取ってデモ演出フラグがオンになってから所定時間の間は、同期信号が発生してもデモ演出を開始しないようにすることで、サブタイマー225によってデモ演出の開始タイミングを適切なタイミングに調整することが可能となる。その結果、変動表示装置27での図柄変動が終了して、直ぐにデモ演出が開始されるといった不自然なデモ演出が実行されることを回避することが可能となる。
尚、以上では、デモ演出フラグがオンに設定されると、サブタイマー225を用いて、所定時間の計時を開始するものとして説明した。しかし、デモ演出フラグがオンになってから、同期信号が発生するまでに、所定時間が経過するか否かを判断することができれば、必ずしもサブタイマー225を用いて計時を行う必要はない。例えば、図12を用いて前述したように、タイマー224が発生する同期信号を、上限値までカウントアップしていく出力としておき、デモ演出フラグがオンになったときの出力値と、上限値との差を求め、この値が所定値よりも少なければ、所定時間が経過する前に同期信号が発生するものと判断してもよい。あるいは、逆に、タイマー224が発生する同期信号を、上限値からカウントダウンしていく出力として、デモ演出フラグがオンになったときの出力値と、上限値との差が所定値よりも少なければ、所定時間が経過する前に同期信号が発生するものと判断してもよい。
C−3.第3実施例のデモ演出制御処理 :
また、タイマー224が出力する同期信号が、パルス信号ではなく、上限値までカウントアップ(あるいは上限値からカウントダウン)する信号であり、更にサブタイマー225を備えることを前提とすると、次のようにしてデモ演出の開始時期を決定することも可能である。以下では、かかる第3実施例のデモ演出制御処理について説明する。
図15は、第3実施例のデモ演出制御処理の流れを示す説明図である。かかる処理は、図13を用いて前述した第2実施例のデモ演出制御処理に対して、デモ演出フラグがオンに設定されたことを受けて、サブタイマー225を用いて所定時間の計時を開始する点では共通しているが、タイマー224でも計時を行い、二つのタイマーで計時した値が一致した場合に、デモ演出が開始されるようになっている点が大きく異なっている。以下では、こうした相違点を中心として、第3実施例のデモ演出制御処理について説明する。
第3実施例のデモ演出制御処理でも、処理を開始すると先ず初めに、主制御基板200からデモ画面指定コマンドを受け取ったか否かを判断する(S402)。そして、デモ画面指定コマンドを受け取ったと判断された場合は(S402:yes)、デモ演出フラグをオンに設定した後(S404)、サブタイマー225を作動させて上限時間までのカウントアップを開始する(S406)。これに対して、デモ画面指定コマンドを受け取っていない場合は(S402:no)、デモ演出フラグをオンにして、サブタイマー225を用いてカウントアップを開始する処理(S404、S406)は行わない。
尚、第3実施例のサブタイマー225においても、前述した第1実施例のタイマー224と同様に、計時した値を外部に出力することとしても良いが、内部で計時を行い、必要に応じてCPU221から、計時している値を参照するようにしても良い。また、サブタイマー225を、CPU221の内部でソフトウェアタイマ(プログラムで構成されるタイマ)を用いて実現してもよい。
次いで、デモ演出フラグがオンに設定されているか否かを判断し(S408)、デモ演出フラグがオンに設定されていない場合は(S408:no)、前述した第2実施例のデモ演出制御処理と同様に、そのまま処理を抜けて、図9の演出制御処理に復帰する。
また、デモ演出フラグがオンに設定されている場合は(S408:yes)、今度は、サブタイマー225によるカウントアップが終了したか否かを判断する(S410)。サブタイマー225は、上限時間までのカウントアップを終了すると、そのまま上限時間の値を保持するようになっているので、サブ制御基板220のCPU221は、サブタイマー225のカウントアップが終了したか否かを容易に判断することができる。そして、サブタイマー225によるカウントアップが終了していないと判断された場合にも(S410:no)、第3実施例のデモ演出制御処理を終了して、図9の演出制御処理に復帰する。
一方、サブタイマー225によるカウントアップが終了したと判断された場合は(S410:yes)、サブタイマー225の出力時間が上限時間で保持されている。そこで、タイマー224によって同期信号として出力されるカウント時間が、保持されている上限時間に等しいか否かを判断する(S412)。サブタイマー225のカウント値は上限時間で保持されており、これに対してタイマー224の同期信号は、所定の周期で繰り返しカウントアップされるので、何れは、サブタイマー225の保持されている上限時間に等しくなる。そこで、タイマー224のカウント時間とサブタイマー225で保持されている上限時間とを比較して、両者が等しくなければ(S412:no)、デモ演出を行うことなく、図15に示した第3実施例のデモ演出制御処理をそのまま終了する。これに対して、タイマー224のカウント時間とサブタイマー225で保持されている上限時間とが一致したら(S412:yes)、所定のデモ演出を実行した後(S414)、デモ演出制御処理を終了して、図9の演出制御処理に復帰する。
図16は、第3実施例のデモ演出制御処理によってデモ演出が実行される様子を、概念的に示した説明図である。図16においても、遊技機Aおよび遊技機Bの2つの遊技機でデモ演出が行われる様子が示されているが、先ず、遊技機Aについて説明する。
第3実施例のデモ演出制御処理では、タイマー224は、値「0」から所定の周期で、繰り返しカウントアップするような同期信号を出力する。図16では、タイマー224から出力される同期信号を実線によって表している。
また、特別図柄の保留が「0」の状態で、特別図柄の変動表示が停止すると、主制御基板200からサブ制御基板220に向かって、デモ画面指定コマンドが出力される。そして、このデモ画面指定コマンドを受け取ると、サブ制御基板220のサブタイマー225は、値「0」から上限時間に向かってカウントアップを開始し、上限時間に達すると、その上限時間を、そのまま保持した状態となる。図16では、デモ画面指定コマンドを受け取って、サブタイマー225がカウントアップを開始して、上限時間に達したら、そのまま上限時間を保持する様子が、一点鎖線によって示されている。尚、上限時間に達するまでカウントアップを行って、上限時間に達したらそのまま保持する機能は、サブタイマー225の機能として組み込まれている。従って、本実施例のサブタイマー225は、本発明における「計測時間保持手段」に対応するものとなっている。
遊技機Bについても同様に、保留0の状態で特別図柄の変動表示が停止すると、主制御基板200からデモ画面指定コマンドが出力され、これを受けて、サブ制御基板220に搭載されたサブタイマー225が、値「0」からカウントアップを開始する。そして、遊技機Aと同様に、上限時間に達したら、図16中に一点鎖線で示されているように、上限時間が保持される。一方、こうした動作が行われている間も、図16中に実線で示されているように、タイマー224では一定周期で同期信号が出力されている。そして、タイマー224によって出力される同期信号が、サブタイマー225によって保持されているカウント値と一致すると、そのタイミングでデモ演出が開始される。遊技機Aおよび遊技機Bの何れにおいても、サブタイマー225は同じカウント値で保持されており、また、遊技機Aおよび遊技機Bにそれぞれ搭載されているタイマー224は、前述したように、ほぼ同じタイミングで同期信号の発生を開始する。このため、それぞれの遊技機で、同期信号のカウント値が、サブタイマー225で保持されているカウント値に達するタイミングもほぼ同時となって、同期したタイミングでデモ演出を開始することが可能となる。
以上に説明した第3実施例では、タイマー224およびサブタイマー225は、何れも値「0」からカウントアップするものとして説明した。しかし、タイマー224は所定周期の同期信号を出力可能であれば、カウントダウンする態様の同期信号を出力することも可能であり、また、サブタイマー225は、上限値から所定時間だけカウントダウンする態様の信号を出力することも可能である。
図17は、こうした第3実施例の変形例の遊技機において、同期したタイミングでデモ演出が行われる様子を示した説明図である。図17においてもタイマー224が出力する同期信号は実線で表されており、サブタイマー225が出力する信号は一点鎖線で表されている。図示されているように、特別図柄の変動表示が停止されると、サブ制御基板220からサブ制御基板220に向かってデモ画面指定コマンドが出力され、このコマンドを受けて、サブタイマー225が上限時間から値「0」になるまでカウントダウンを行い、値「0」に達したら、そのままの値で出力を保持した状態となる。
一方で、タイマー224は、一定の周期で上限値から値「0」までカウントダウンする同期信号の出力を繰り返す。ここで、サブタイマー225の出力は値「0」で保持されているから、同期信号の出力が値「0」となった時点で、2つのタイマーのカウント値が一致して、デモ演出が開始される。前述したように、遊技機Aおよび遊技機Bの何れについても、タイマー224は、ほぼ同じタイミングで作動を開始して、位相が揃った同期信号を出力している。このため、同期信号の出力が値「0」となるタイミングはほぼ同じタイミングとなり、遊技機間で同期を取った状態でデモ演出を開始することが可能となる。もちろん、デモ演出の同期を取るために、複数の遊技機間で通信を行ったり、あるいはホールコンピュータとの間で通信を行う必要はないので、装置や制御などが複雑になることもない。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、以上に説明した各種の実施例では、遊技機は弾球遊技機であるものとして説明した。しかし、いわゆる回胴式遊技機に対しても、本発明を適用することで、複数の遊技機で同期した状態でデモ演出を行うことができる。例えば、図17に例示したように、複数台の弾球遊技機1aと、複数台の回胴式遊技機1bとを1つの電源スイッチに接続しておき、電源スイッチをオンにすることで、これら弾球遊技機1aおよび回胴式遊技機1bに、同時に電力の供給を開始可能としておく。こうすれば、これら複数台の弾球遊技機1a、および複数台の回胴式遊技機1bで、同期した状態でデモ演出を開始することが可能となる。
また、以上に説明した各種の実施例では、複数台の遊技機は、電力の供給後、ほぼ同じタイミングで同期信号の発生を開始するものとして説明した。しかし、電力が供給されてから同期信号の発生を開始するまでの時間を少しずつずらしておくこととしてもよい。例えば、図17に示した例を用いて説明すると、電力の供給が開始されてから同期信号の発生が開始されるまでに要する時間を、左側の遊技機から右側の遊技機になるほど、少しずつ長くなるように調整しておく。こうすれば、これら複数台の遊技機でデモ演出が開始される際には、少しずつの時間差で、次々とデモ演出が開始されるようにすることができる。あるいは、所定台数ずつの遊技機が同期してデモ演出を開始するようにすることもできる。このような演出も、本実施例の遊技機によれば、簡単に実現することが可能となる。