以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.遊技機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.制御回路の構成:
B.遊技の概要:
C.遊技制御の概要:
D.本実施例の演出制御処理:
E.変形例:
A.遊技機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿5、下皿6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、遊技機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は、中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には、円形状の開口部4aが形成されている。この開口部4aにはガラス板等の透明板がはめ込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、各種ランプ類4b〜4f(発光部材)が設けられている。この各種ランプ類4b〜4fは、遊技の進行状況に応じて所定の発光動作パターンに従って点灯したり点滅したりすることによって遊技者の注意を引き付ける演出(遊技演出)を行うとともに、必要に応じて、その後の遊技の展開を遊技者に予感させる演出も実行可能となっている。従って、これらの各種ランプ類4b〜4fは、本発明における「視覚演出手段」の一態様となっている。
前面枠4の下方には、上皿5が設けられており、上皿5の下方には下皿6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13(CRユニット)が設けられている。
上皿5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図5参照)に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。さらに、上皿5の略中央部には複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1スピーカー5yが設けられている。また、上皿5の前面側には、2つの操作スイッチSW1,SW2が設けられている。遊技者は、これらの操作スイッチSW1,SW2を押すことによって、遊技の演出に登場するキャラクタや遊技条件を選択するなど、遊技の進行に介入することが可能となっている。
下皿6には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿6内に貯留される。また、下皿6には、下皿満杯スイッチ6sが設けられており(図5参照)、下皿6が遊技球で一杯になると、これを検出して遊技球の払い出しが中断されるようになっている。下皿6に貯まった遊技球を排出するために、下皿6の底面には、下皿6内から遊技球を排出するための図示しない球抜き穴が設けられており、下皿6の略中央手前側には、球抜き穴を開閉させる排出ノブ6bが設けられている。排出ノブ6bは通常時は直立状態であるが、下端を奥側に押圧すると上端を回転軸として回転し、球抜き穴が開放状態となって、下皿6に貯まった遊技球を排出することが可能となっている。更に、排出ノブ6bの左右には、第2スピーカー6cが設けられている。上皿5に設けられた第1スピーカー5y、および下皿6に設けられた第2スピーカー6cからは、遊技者の遊技に対する興味を掻き立てるために、遊技の進行状況に応じて種々の効果音が出力される。更には、必要に応じて、遊技者にその後の遊技の展開を予感させる演出も実行可能となっている。従って、これら第1スピーカー5yや第2スピーカー6cは、本発明における「聴覚演出手段」の一態様となっている。
下皿6の左端には灰皿7が設けられており、下皿6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータ8mが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられており、また、遊技領域11の下方部分には変動入賞装置18が設けられている。そして、中央装置26と変動入賞装置18との間には始動口(普通電動役物)17が設けられている。始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口である。始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する始動口(普通電動役物)スイッチ17s(図5参照)と、翼片部を作動させるための普通電動役物(始動口)ソレノイド17m(図5参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となり、一対の翼片部が直立すると、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
中央装置26には、演出表示装置27が設けられている。演出表示装置27は、液晶画面を搭載しており、遊技の進行に合わせて、液晶画面上で当否判定結果を示す識別図柄や背景図柄、キャラクタ図柄、予告図柄などの種々の演出用図柄を変動表示させることによって、遊技に対する遊技者の興味を引き付ける演出を実行することが可能となっている。また、液晶画面の右側には、演出用の模型が搭載されている。この模型は、一部が可動式に構成されたいわゆる可動役物25(可動演出装置)となっており、遊技の進行に応じて可動部分(可動部材)が所定の動作を行うことによって、遊技者の注意を強く引き付ける演出を行うことが可能となっている。従って、これら演出表示装置27や可動役物25は、本発明における「視覚演出手段」の一態様となっている。尚、図示した例では、可動役物25としては、演出表示装置27での演出に登場するキャラクタの上半身部分の模型が搭載されており、キャラクタの首から上の部分(図中で斜線を付した部分)を可動部分(可動部材)として、この部位を左右に回すような動作が可能となっている。
また、中央装置26の左下には、図柄表示装置28が設けられており、図柄表示装置28では普通図柄や特別図柄などを変動停止表示することが可能となっている。
遊技領域11の左端には、普通図柄作動ゲート36が設けられており、このゲートの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36s(図5参照)が設けられている。更に、普通図柄作動ゲート36と中央装置26との間には、ランプ風車24が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
変動入賞装置18のほぼ中央には、大入賞口31dが設けられている。この大入賞口31dは、横長の長方形状に形成されて開閉可能に取り付けられた開閉板31eと、その開閉板31eを開閉するための大入賞口ソレノイド31m(図5参照)などから構成されている。大入賞口31dは、通常の状態では遊技球が入球し得ない閉鎖状態となっているが、所定の条件が成立すると開放状態となって遊技球が高い確率で入球するようになり、遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技が開始される。尚、大入賞口31dの内部には、大入賞口スイッチ31s(図5参照)が設けられており、大入賞口31dに入賞した遊技球を検出することが可能となっている。
遊技盤10(遊技領域11)の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。一方、内レール15の先端部には、図示しないファール球防止部材が取り付けられ、ファール球防止部材と略正反対側(遊技盤10の右半分側)には、図示しない返しゴムが外レール14に沿って嵌合状に取り付けられている。
また、遊技領域11に配置される変動入賞装置18や中央装置26やサイド飾り部材50等には、図示しない盤面装飾ランプ・LED(以下、盤面装飾ランプ類という)が設けられている。この盤面装飾ランプ類(発光部材)は、遊技の進行状況に応じて所定の発光動作パターンに従って点灯したり点滅したりすることによって、遊技者の注意を引き付ける演出(遊技演出)を行うとともに、必要に応じて、その後の遊技の展開を遊技者に予感させる演出も実行可能となっている。従って、盤面装飾ランプ類は、本発明における「視覚演出手段」の一態様となっている。なお、本実施例では、盤面装飾ランプ類および前面枠4に設けられる各種ランプ類4b〜4f(発光部材)によって「発光演出装置」を構成している。
図3は、本実施例の遊技機1に搭載された図柄表示装置28の構成を示す説明図である。図示されているように、本実施例の図柄表示装置28は、略矩形の領域内に12個の小さな発光ダイオード(LED)が組み込まれて構成されている。これら12個のLEDのうちの、3個のLEDは普通図柄表示部29を構成しており、残りの9個のLEDは特別図柄表示部30を構成している。更に、普通図柄表示部29は、普通図柄を表示するための1個のLED(以下、普通図柄LED29aと呼ぶ)と、普通図柄の保留数を表示するための2個のLED(以下、普図保留表示LED29bと呼ぶ)とから構成されている。また、特別図柄表示部30は、特別図柄を表示するための7個のLED(以下、特別図柄LED30aと呼ぶ)と、特別図柄の保留数(以下、特図保留数と呼ぶ)を表示するための2個のLED(以下、特図保留表示LED30bと呼ぶ)とから構成されている。本実施例の図柄表示装置28が、これら12個のLEDを用いて、普通図柄や、特別図柄、特図保留数を表示する様子については後述する。
図4は、本実施例の遊技機1に搭載された演出表示装置27の画面構成を示す説明図である。前述したように、演出表示装置27は、主に液晶表示画面を用いて構成されており、液晶画面上には、3つの識別図柄27a,27b,27cと、その背景の背景図柄27dが表示されている。このうち、3つの識別図柄27a,27b,27cは、図3に示した特別図柄30の表示に合わせて種々の態様で変動表示され、また、背景図柄27dでは、キャラクタが登場する画像が表示されるなどによって、遊技を演出することが可能となっている。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例の遊技機1の制御回路の構成について説明する。図5は、本実施例の遊技機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように遊技機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板などから構成されている。このうち主制御基板200は、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司っている。また、サブ制御基板220は、演出表示装置27や発光演出装置(各種ランプ類4b〜4fおよび盤面装飾ランプ類)、可動役物25、各種スピーカー5y,6cなどを用いて行われる各種の演出(遊技演出)についての制御を司っている。また、演出表示制御基板230は、サブ制御基板220の制御の下で、実際に演出表示装置27を駆動する制御を行う。更に、払出制御基板240は、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司っており、発射制御基板260は、遊技球の発射に関する制御を司っている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータを記憶しているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。尚、図5中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。
図示されているように主制御基板200は、始動口スイッチ17sや、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36sなどから遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって、遊技の進行に関する各種の遊技コマンド(遊技情報)を出力する。ここで、遊技コマンドとは、主制御基板200が遊技の進行に関して行う各種の動作、例えば、図柄表示装置28で行われる図柄変動や、いわゆる大当り遊技、賞球の払い出しなどに関する情報を伝達するために、主制御基板200から、サブ制御基板220を始めとする各種の制御基板に出力される各種のコマンドである。また、主制御基板200は、始動口17に設けられた一対の翼片部を開閉させるための普通電動役物ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、普通図柄や特別図柄の変動停止表示を行う図柄表示装置28にそれぞれ信号を出力することにより、これらの動作を直接制御している。
サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種遊技コマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、主制御基板200から受け取った各種遊技コマンドに基づいて、前述した演出表示装置27での具体的な表示内容(表示パターン)や、各種スピーカー5y,6cで出力する効果音、更には、各種ランプ類4b〜4fや盤面装飾用ランプ類の点灯もしくは点滅(発光部材の発光動作パターン)や、可動役物25の駆動形態(可動部分の動作パターン)などの具体的な態様を決定した後、演出表示装置27を駆動する演出表示制御基板230、各種スピーカー5y、6cを駆動するアンプ基板226、可動役物25を駆動する役物駆動基板227、装飾用の各種LEDやランプを駆動する装飾駆動基板228に向けてそれぞれ駆動信号を出力することにより、遊技の演出を行う。また、前述した操作スイッチSW1,SW2からの操作信号は、演出ボタン基板229を介してサブ制御基板220に入力される。尚、上述したように、主制御基板200は遊技の進行に関する制御を司っており、サブ制御基板220は主制御基板200から、遊技に進行に関する遊技コマンド(遊技情報)を受け取ることによって、各種の演出を行っている。従って、本実施例の主制御基板200は、本発明における「遊技進行制御手段」に対応している。
また、遊技機1の背面側には、音量設定スイッチ300が設けられており、音量設定スイッチ300の設定を変更することによって、各種スピーカー5y,6cから出力される効果音の音量を、全体的に大きくしたり、あるいは小さくしたり、更には、効果音が出力されないようにすることが可能となっている。この音量設定スイッチ300はサブ制御基板220に接続されており、サブ制御基板220は、音量設定スイッチ300の設定に応じて効果音の出力音量を変更する制御も司っている。また、本実施例の遊技機1では、音量設定スイッチ300の設定を、単に効果音の出力音量に反映させるだけでなく、演出表示装置27や発光演出装置、可動役物25などによる演出にも反映させることにより、遊技の進行に関連して行われる各種の演出(遊技演出)を適切に実行することが可能となっている。この点については、後ほど詳しく説明する。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、この信号は払出制御基板240を介して球貸装置13に伝達され、そして球貸装置13は、払出制御基板240とデータをやり取りしながら、所定個数ずつ貸球の払出を行う。
また、主制御基板200が賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御基板240が受け取って、遊技球払出装置109に内蔵された払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。払い出された賞球は、払出スイッチ109jによって検出され、払出制御基板240に入力される。
また、払出制御基板240は、主制御基板200からの制御の下で、遊技球の発射を許可する信号(発射許可信号)を発射制御基板260に向かって出力しており、発射制御基板260は、この発射許可信号を受けて、遊技球を発射するための各種制御を行っている。
B.遊技の概要 :
次に、上述した構成を有する本実施例の遊技機1で行われる制御の内容について説明するが、その準備として、先ず初めに、遊技の概要について簡単に説明しておく。
本実施例の遊技機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が上皿5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に向けて発射される。遊技球が打ち出される強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
発射した遊技球が、遊技領域11の左側に設けられた普通図柄作動ゲート36を通過すると、図柄表示装置28において普通図柄の変動表示が開始される。図3を用いて前述したように、図柄表示装置28には普通図柄表示部29が設けられており、普通図柄表示部29には、普通図柄LED29aおよび普図保留表示LED29bが搭載されている。このうち、普通図柄LED29aを用いて普通図柄の変動表示を行う。
図6(a)は、普通図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。本実施例の遊技機1では、普通図柄LED29aの点滅を繰り返すことによって、普通図柄の変動表示を行う。図では、普通図柄LED29aが点灯している状態を放射状の実線で表し、消灯している状態を破線で表している。そして、点滅している普通図柄LED29aが点灯状態で停止した場合には、普通図柄の当りとなって、始動口17が所定時間(例えば0.5秒間)だけ開口状態となる。逆に、消灯状態で停止した場合には普通図柄の外れとなって、始動口17が開口することはない。
また、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過した場合は、この遊技球の通過が保留数として蓄えられて、現在の普通図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。普通図柄の保留は最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている普通図柄の保留数は、普図保留表示LED29bによって表示される。
図6(b)は、図柄表示装置28に設けられた普図保留表示LED29bによって普通図柄の保留数が表示される様子を示した説明図である。普通図柄の保留が無い場合(すなわち、保留が0個の場合)は、2個の普図保留表示LED29bは何れも消灯している。保留が1個の場合は、向かって左側の普図保留表示LED29bは消灯したままで、右側の普図保留表示LED29bが点灯する。保留が2個になると、今度は、右側の普図保留表示LED29bに加えて左側の普図保留表示LED29bが点灯する。次いで、保留が3個になると、右側の普図保留表示LED29bが点滅し、左側の普図保留表示LED29bが点灯する。更に保留が増加して上限値である4個になると、左右の普図保留表示LED29bが点滅した状態となる。このように普通図柄表示部29では、2個の普図保留表示LED29bを点灯、消灯、あるいは点滅させることによって、0個から4個までの保留数を表示することが可能となっている。
また、図3を用いて前述したように、図柄表示装置28には、特別図柄表示部30が設けられており、始動口17に遊技球が入球すると、特別図柄の変動表示を開始した後、以下に説明する何れかの図柄で停止表示するようになっている。
図7は、特別図柄の停止表示態様を概念的に示した説明図である。図3を用いて前述したように、特別図柄表示部30は7個のLEDによって構成されており、これらを点灯させることによって特別図柄を表示する。図7に示されているように、本実施例の遊技機1では、8通りの特別図柄の停止表示態様が設けられており、それぞれの停止表示態様に固有の点灯状態が設定されている。また、これら8種類の特別図柄の停止表示態様は、大きく3つの図柄に分類されている。先ず、図中の上段に示した3つの特別図柄の停止表示態様は「通常大当り図柄」に分類されており、中段に示した3つの特別図柄の停止表示態様は「確変大当り図柄」に分類され、下段に示した2つの特別図柄の停止表示態様は「外れ図柄」に分類されている。特別図柄表示部30では、7個のLED(特別図柄LED30a)を所定時間にわたって点滅させることによって特別図柄の変動表示を行い、所定時間が経過すると、いずれかの停止表示態様に従って停止表示される。そして、「通常大当り図柄」または「確変大当り図柄」の何れかの図柄(いわゆる大当り図柄)が停止表示されると、大入賞口31dが開口状態となる大当り遊技が開始される。本実施例の大当り遊技は、大入賞口31dが開口状態となるラウンド遊技が、複数回繰り返されるように構成されている。大入賞口31dが開口状態になると遊技球が入球し易くなるので、大当り遊技は遊技者にとって大変に有利な遊技状態と言うことができる。
また、変動表示していた特別図柄が、図7の中段に示した確変大当り図柄で停止表示した場合には、所定の条件が成立するまで(例えば、次の大当り遊技が発生するまで、あるいは特別図柄の変動表示が所定回数行われるまで等)、特別図柄が大当り図柄で停止表示する確率が高確率に設定された状態(いわゆる、確率変動状態、あるいは単に確変状態)となる。
尚、始動口17に遊技球が入球したにも拘わらず、特別図柄の変動表示を開始できない場合(例えば、特別図柄が変動表示中であった場合、あるいは大当り遊技中であった場合など)であっても、始動口17に遊技球が入球したことは特別図柄の保留数(特図保留数)として蓄えられている。このため、特別図柄の変動表示が可能になった時点で、蓄えられていた保留数を使って、変動表示を行うことが可能となっている。尚、蓄えられている特図保留数については特図保留表示LED30bによって表示されるようになっている。特図保留表示LED30bを用いて特別図柄の保留数を表示する態様は、図6(b)に示した普図保留表示LED29bの場合と全く同様であるため、ここでは説明は省略する。
上述した特別図柄の変動表示および停止表示に合わせて、演出表示装置27では演出用図柄を用いた各種の演出が行われる。図8は、演出表示装置27で行われる演出の一態様を例示した説明図である。図4を用いて前述したように、演出表示装置27を構成する液晶表示画面には、3つの識別図柄27a,27b,27cが表示されている。前述した図柄表示装置28で特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置27においても、これら3つの識別図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示を開始する。本実施例では、識別図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄が用意されている。
図8(a)には、3つの識別図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左識別図柄27aが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次いで、右識別図柄27cが停止表示され、最後に中識別図柄27bが停止表示される。これら演出表示装置27で停止表示される3つの識別図柄27a,27b,27cの組合せは、前述した図柄表示装置28で停止表示される特別図柄の組合せと連動するように構成されている。たとえば、図柄表示装置28の特別図柄が当り図柄で停止する場合は、演出表示装置27の3つの識別図柄27a,27b,27cが同じ図柄で停止表示される。特に、図柄表示装置28の特別図柄が、前述した確変当り図柄で停止する場合は、演出表示装置27の3つの識別図柄27a,27b,27cが、奇数を表す同じ図柄で停止表示される。一方、図柄表示装置28の特別図柄が外れ図柄で停止する場合は、3つの識別図柄27a,27b,27cは同じ図柄で揃わない任意の組合せで停止表示される。
このように、図柄表示装置28で表示される特別図柄と、演出表示装置27で表示される3つの識別図柄27a,27b,27cとは、表示内容が互いに対応しており、それぞれの表示図柄が確定する(停止表示される)タイミングも同じに設定されている。しかも、図2に示すように、図柄表示装置28よりも演出表示装置27の方が目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置27の画面を見ながら遊技を行うことが通常である。従って、演出表示装置27の表示画面上で初めに停止表示される左識別図柄27aと、続いて停止表示される右識別図柄27cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中識別図柄27bも同じ図柄で停止して、いわゆる大当り遊技状態になるのではないかと、遊技者は図柄の変動を注視することになる。このように、2つの識別図柄を同じ図柄で停止した状態で、最後の識別図柄を変動表示させる演出は、リーチ演出と呼ばれており、リーチ演出を行うことで遊技者の興趣を高めることが可能となっている。
C.遊技制御の概要 :
以上に説明した遊技は、主制御基板200に搭載されたCPU201が次のような制御を行うことによって実現されている。以下では、主制御基板200が行う遊技制御処理について説明する。
図9は、主制御基板200が、遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。図示されているように、遊技制御処理では、賞球関連処理、普通図柄遊技処理、始動口閉鎖処理、特別図柄遊技処理、特別電動役物遊技処理などの各処理が繰り返し実行されている。一周の処理に要する時間は、ほぼ4msecとなっており、従って、これら各種の処理は約4msec毎に繰り返し実行されることになる。そして、これら各処理中で、サブ制御基板220や払出制御基板240などの各種制御基板に向けて各種の遊技コマンドを送信する。こうすることにより、遊技機1全体の遊技が進行するとともに、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われ、また、払出制御基板240では、賞球あるいは貸球の払い出しが行われることになる。以下、フローチャートに従って、主制御基板200が行う遊技制御処理について説明する。
主制御基板200は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S100)。かかる処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチの中で、各入賞口内に設けられた遊技球スイッチ(始動口スイッチ17sや大入賞口スイッチ31sなど)について、遊技球が入球したか否かを検出する。賞球として払い出される遊技球の個数は、入賞口に応じて定められており、何れの入賞口に何個の遊技球が入球したかに応じて、賞球として払い出すべき遊技球数は異なってくる。そこで、遊技球の入球が検出された場合には、賞球として払い出すべき遊技球数を決定した後、遊技球数を示すコマンドを払出制御基板240に向かって出力する処理を行う。尚、主制御基板200から遊技球数を示すコマンドを受け取ると、払出制御基板240はコマンドの内容を解釈して、遊技球払出装置109に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力することにより、実際に賞球を払い出す処理を行う。
主制御基板200は、遊技球数を示すコマンドを出力すると(S100)、今度は、普通図柄遊技処理を行うか否か、すなわち普通図柄の変動停止表示を行うか否かを判断する(S102)。かかる判断は、始動口17が開口中であるか否かを検出することによって行う。そして、始動口17が開口中でない場合には普通図柄遊技処理を行うものと判断して(S102:yes)、以下に説明する普通図柄遊技処理を行う(S104)。一方、始動口17が開口中であれば普通図柄遊技処理は行わないものと判断して(S102:no)、普通図柄遊技処理(S104)はスキップする。
普通図柄遊技処理(S104)では、主に次のような処理を行う。先ず、普通図柄の保留数が存在するか否か(「0」であるか否か)を判定し、保留数が存在する場合には普通図柄の当否判定を行う。ここで、普通図柄の保留数は遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過することにより設定されるものであり、本実施例では、その保留数の上限値を「4」としている。普通図柄の当否判定を行ったら、普通図柄の変動表示時間を設定して、普通図柄の変動表示を開始する。そして、変動表示時間が経過すると、普通図柄の当否判定結果に応じた図柄で普通図柄を停止表示させる。このときに、普通図柄の当り図柄が停止表示された場合には、所定時間(例えば、0.5秒間)だけ始動口17を開口させる。
以上のようにして普通図柄遊技処理を終了したら、始動口17が開口中か否かを判断する(S106)。そして、開口中である場合は(S106:yes)、始動口17を開口状態から通常状態に復帰させるための処理(始動口復帰処理)を行う(S108)。一方、始動口17が開口していない場合は(S106:no)、始動口復帰処理(S108)を行う必要はないのでスキップする。
始動口復帰処理(S108)では、次のような処理を行う。先ず初めに、始動口17の開口状態を終了する条件が成立したか否かを判断する。ここで、開口状態を終了するための条件としては、普通電動役物作動時間(すなわち、始動口17の開口時間)が経過するか、開口中の始動口17に規定数の遊技球が入球するかの2つの条件が設定されている。そして、何れかの条件が成立すると、始動口17の開口状態を終了させるための条件が成立したものと判断して、始動口17を開口状態から通常状態に復帰させる。これに対して、普通電動役物作動時間が経過しておらず、開口中の始動口17に規定数の遊技球も入球していない場合は、始動口17の開口状態を終了する条件は成立していないものと判断して、始動口17を開口させたまま、始動口復帰処理を終了する。図9中の始動口復帰処理(S108)では、以上のような処理を行う。尚、普通電動役物作動時間(すなわち、始動口17の開口時間)は、通常の遊技状態では約0.5秒間に設定されているが、前述した開放延長機能が作動すると約5秒間に延長される。
遊技制御処理では、始動口復帰処理に続いて、特別図柄遊技処理を開始するか否かを判断する(S110)。かかる判断は、大当り遊技フラグがセットされているか否かを検出することによって行う。ここで大当り遊技フラグとは、後述する大当り遊技になるとセットされるフラグである。そして、大当り遊技フラグがセットされていない場合は特別図柄遊技処理を行うものと判断して(S110:yes)、以下に説明する特別図柄遊技処理を行う(S112)。これに対して、大当り遊技フラグがセットされている場合には、特別図柄遊技処理は行わないものと判断して(S110:no)、特別図柄遊技処理(S112)はスキップする。
特別図柄遊技処理では、主に次のような処理が行われる。先ず、特別図柄の当否判定を行うとともに、図柄表示装置28で特別図柄を変動表示させる時間を決定する。次いで、決定した内容に関する各種の遊技コマンドを、サブ制御基板220に向かって出力する。例えば、特別図柄の当否判定結果を示すコマンドや、特別図柄を変動表示させる時間を示すコマンド(変動パターン指定コマンド)を出力する。また、変動パターン指定コマンドの出力と同時に、図柄表示装置28の特別図柄表示部30において特別図柄の変動表示を開始する。従って、変動パターン指定コマンドは、図柄表示装置28における変動表示の開始タイミングをサブ制御基板220に伝える遊技コマンドともなっている。尚、特別図柄の保留数が「0」である場合には、上述した処理、すなわち、特別図柄の当否判定や変動時間を決定するとともに、関連する各種の遊技コマンドを出力する処理は行わない。ここで、特別図柄の保留数は、遊技球が始動口17に入球すると設定されるものであり、図3の特別図柄保留表示部30cに示したように、上限値「4」に達するまで設定可能となっている。この保留数は、特別図柄の変動表示が行われる度に、1ずつ消化されていく。また、上述したように、主制御基板200からは、特別図柄の当否判定結果や、変動表示時間などに関する各種のコマンドがサブ制御基板220に向かって出力され、このコマンドに基づいて、サブ制御基板220が、より詳しい演出内容を決定することにより、各種の演出が行われている。
こうして特別図柄の変動表示を開始した後、決定しておいた変動表示時間が経過すると、特別図柄を停止表示させるとともに、特別図柄を停止表示させることを示す遊技コマンド(図柄停止コマンド)をサブ制御基板220に出力する。また、このとき停止表示される特別図柄は、先に決定した当否判定結果に応じた図柄となっており、当否判定結果が「当り」であれば、図7に示した「通常当り図柄」または「確変当り図柄」の何れかの図柄が停止表示され、当否判定結果が「外れ」であれば、図7に示した「外れ図柄」が停止表示される。そして、「通常当り図柄」または「確変当り図柄」の何れかの図柄(当り図柄)が停止表示された場合には、大当り遊技フラグがセットされて、大当り遊技が開始される。また、大当り遊技の開始に先立って、大当り遊技が開始されることを示す遊技コマンド(大当り遊技開始コマンド)が、サブ制御基板220に向かって出力される。こうして大当り遊技が開始されると、大入賞口31dが開口した状態から一旦閉鎖した後、再び開口する動作が複数回繰り返される。大入賞口31dの開口中は、高い確率で遊技球を入球させることが可能となるので、遊技者にとって有利な遊技状態となる。なお、大当り遊技が開始されることを示す遊技コマンド(大当り遊技開始コマンド)が、主制御基板200からサブ制御基板220に向かって出力されることで、演出表示装置27や発光演出装置、可動役物25、各種スピーカー5y,6cなどを用いた「大当り遊技演出」が開始される。以後、大当り遊技の進行に合わせて、主制御基板200からサブ制御基板220に向けて遊技コマンド(ラウンド回数指定コマンド、ラウンド間演出指定コマンド、大当り遊技終了コマンドなど)が出力され、これにより、大当り遊技の進行に合わせた「大当り遊技演出」が実行される。
特別図柄遊技処理(図9のS112)では、以上に説明したように、特別図柄の当否判定結果に基づいて、特別図柄の変動表示および停止表示を行うとともに、当り図柄が停止表示された場合は、大当り遊技を開始する処理を行う。尚、本実施例の遊技機1では、遊技者にとって有利な遊技状態には、大当り遊技だけではなく、当り図柄が停止表示される確率が高くなっている状態(いわゆる確変状態)や、特別図柄や普通図柄の変動時間が短くなっている状態(いわゆる時短状態)、更には、始動口17の開口時間が延長されている状態(いわゆる開放延長状態)なども設けられている。そして、大当り遊技中は、確変状態を初めとする遊技者にとって有利な遊技状態は、一旦、中断されるようになっている。従って、本実施例の特別図柄遊技処理では、大当り遊技を開始する際に、確変状態や時短状態、開放延長状態を一旦、中断させる処理も行われる。
図9に示すように遊技制御処理では、上述した特別図柄遊技処理(S112)に続いて、大当り遊技フラグがセットされているか否かを判断する(S114)。そして、大当り遊技フラグがセットされていれば(S114:yes)、以下に説明する特別電動役物遊技処理を行うことにより、大当り遊技を実施する(S116)。これに対して、大当り遊技フラグがセットされていない場合は(S114:no)、特別電動役物遊技処理を行うことなく、遊技制御処理の先頭に戻って、前述した賞球関連処理(S100)以降の一連の処理を繰り返す。
特別電動役物遊技処理では、大入賞口31dを開口させる動作と、閉鎖させる動作とを所定回数だけ繰り返す処理が行われる。一般に、大入賞口31dが開口してから閉鎖されるまでの遊技は「ラウンド遊技」と呼ばれる。1回のラウンド遊技は、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達するか、若しくは開口中の大入賞口31dに規定数の遊技球が入球するまで継続される。主制御基板200は、これらの条件が成立したか否かを監視しており、何れかの条件が成立したら、大入賞口31dを閉鎖させて1回のラウンド遊技を終了させるとともに、ラウンド遊技回数が所定回数に達したか否かを判断し、所定回数に達していない場合は、再び大入賞口31dを開口させて、新たなラウンド遊技を開始する。このように、ラウンド遊技の開始あるいは終了タイミングに関しても、主制御基板200が制御しており、ラウンド遊技を開始するに際しては、ラウンド遊技の回数を示す遊技コマンド(ラウンド回数指定コマンド)が、主制御基板200からサブ制御基板220に向かって出力されている。
また、特別電動役物遊技処理では、所定回数のラウンド遊技が終了したら、大当り遊技を終了させる処理も行われる。大当り遊技の終了に際しては、大当り遊技を開始する契機となった当り図柄に応じて、大当り遊技終了後の遊技状態を設定する処理も行う。すなわち、大当り遊技の開始契機となった特別図柄が、図7に示した「確変当り図柄」であった場合は、確変状態であり、時短状態であり、尚且つ、開放延長状態である遊技状態に設定する。一方、大当り遊技の開始契機となった特別図柄が「通常当り図柄」であった場合は、確変状態ではないが、時短状態であり、且つ、開放延長状態である遊技状態に設定する。
以上に説明したように、特別電動役物遊技処理(図9のS116)では、いわゆる大当り遊技を開始して、所定回数のラウンドを消化するまで大当り遊技を継続し、大当り遊技の終了後は、その大当り遊技の開始契機となった特別図柄に応じて、大当り遊技終了後の遊技状態を設定する処理を行う。そして、特別電動役物遊技処理の終了後は、再び先頭に戻って、賞球関連処理(S100)以降の一連の処理を繰り返す。
主制御基板200は、以上のような遊技制御処理を繰り返しながら、賞球として払い出す遊技球数を決定して払出制御基板240に賞球コマンドを出力したり、普通図柄の当否判定や、特別図柄の当否判定を行って、遊技状態を大当り遊技状態や、確変状態、時短状態などの各種の遊技状態に変化させながら、遊技を進行させる制御を行う。その結果、遊技機1では、前述したような遊技を行うことが可能となっている。
図10は、本実施例の遊技機1が遊技の進行に伴って種々の遊技演出を実行する様子を概念的に示したブロック図である。前述したように、主制御基板200が遊技制御処理を実行すると、主制御基板200からは、サブ制御基板220に向かって各種の遊技コマンド(例えば、変動パターン指定コマンドや、図柄停止コマンド、大当り遊技開始コマンド、ラウンド回数指定コマンドなど)が出力される。サブ制御基板220は、主制御基板200からの遊技コマンドを受け取ると、遊技コマンドが表す遊技の状況に応じて演出表示装置27や、各種スピーカー5y,6c、可動役物25、発光演出装置などで実行する演出の内容を決定する。そして、演出表示制御基板230に対して、演出表示装置27で行う演出を指定するコマンド(演出指定コマンド)を出力すると、演出表示制御基板230では、演出指定コマンドに対応付けて予め記憶されている画像データ(識別図柄、背景図柄、キャラクタ図柄などの演出用図柄の画像データ)を読み出して、演出表示装置27に表示することにより、指定された内容の演出を実行する。
また、サブ制御基板220は、演出表示制御基板230に演出指定コマンドを出力するとともに、アンプ基板226や役物駆動基板227、装飾駆動基板228に対して、それぞれ駆動信号を出力することで、各種の効果音や、可動役物25、発光演出装置を用いた演出を実行する。その結果、遊技の進行状況に合わせて、演出表示装置27や、各種スピーカー5y,6c、可動役物25、発光演出装置などが一体となった演出が行われるようになっている。尚、本実施例のサブ制御基板220は、主制御基板200が遊技を進行させることに合わせて、演出表示装置27や、可動役物25、発光演出装置などによる視覚に働きかける演出や、各種スピーカー5y,6cによる聴覚に働きかける演出の制御を行っている。従って、本実施例のサブ制御基板220は、本発明における「演出制御手段」を構成するものとなっている。
ここで、前述したように、遊技機1の背面側には音量設定スイッチ300が設けられており、音量設定スイッチ300の設定を変更することで、効果音の出力音量の大きさを変更することが可能となっている。すなわち、図10に示されるように、音量設定スイッチ300からの信号はサブ制御基板220に入力されており、サブ制御基板220は音量設定スイッチ300の設定を検出すると、その内容をアンプ基板226への駆動信号に反映させて出力する。その結果、各種スピーカー5y,6cからは、音量設定スイッチ300に設定した出力音量で効果音が出力されるようになっている。
従って、遊技の進行に合わせて、演出表示装置27や、各種スピーカー5y,6c、可動役物25、発光演出装置で行われる演出は、基本的にはサブ制御基板220によって制御されているものの、各種スピーカー5y,6cからの効果音の出力音量に関しては、音量設定スイッチ300の設定内容に応じて変化する。このため、音量設定スイッチ300の設定内容によっては、サブ制御基板220が意図したとおりの適切な演出を実行できない場合も生じ得る。こうした点に鑑みて、本実施例の遊技機1に搭載されたサブ制御基板220では、以下のような演出制御処理を行うことによって、音量設定スイッチ300の設定内容に拘わらず、適切に遊技を演出することが可能となっている。
D.本実施例の演出制御処理 :
図11は、遊技の進行に合わせた演出を行うために、本実施例の遊技機1に搭載されたサブ制御基板220が実行する演出制御処理の流れを示したフローチャートである。図示されているように、演出制御処理(S500)を開始すると、サブ制御基板220は、先ず始めに、主制御基板200から遊技コマンドを受信したか否かを判断する(S502)。そして、遊技コマンドを受け取っていない場合は(S502:no)、かかる判断を繰り返しながら、遊技コマンドを受け取るまで待機状態となる。
図9を用いて前述したように、主制御基板200で遊技制御処理が実行されると、主制御基板200からは、遊技の進行に合わせて各種の遊技コマンド(例えば、変動パターン指定コマンドや、図柄停止コマンド、大当り遊技開始コマンド、ラウンド回数指定コマンドなど)が出力される。従って、サブ制御基板220は、図11のS502の判断を繰り返しているうちに、やがて遊技コマンドを受け取ったと判断する(S502:yes)。
そして遊技コマンドを受け取ったと判断したら(S502:yes)、遊技コマンドに応じた演出を行うべく、以下のような処理を行う。先ず、音量設定スイッチ300の設定が、音量「中」の設定となっているか否かを判断する(S504)。
図12は、本実施例の遊技機1に設けられている音量設定スイッチ300を用いて、出力音量を設定する様子を示した説明図である。図12(a)に示されているように、本実施例の音量設定スイッチ300には、段階的にスライド可能な突起部300aが設けられており、突起部300aの位置を左右に移動させることによって、出力音量の設定を4つの段階に切り換えることが可能となっている。
図12(b)には、突起部300aの設定位置に対する出力音量の設定内容が示されている。図示されているように、突起部300aを、図12(a)中の「0」の位置に設定すると、出力音量は「消音」(効果音が出力されない状態)に設定され、突起部300aを「1」の位置に設定すると音量「小」(効果音が標準よりも小さな音量で出力される状態)に設定される。同様に、突起部300aを「2」の位置に設定した場合には、音量「中」(効果音が標準の音量で出力される状態)に設定され、「3」の位置に設定した場合には、音量「大」(効果音が標準よりも大きな音量で出力される状態)に設定される。尚、音量設定スイッチ300の形態は、図12に示す形態に限られず、例えば、突起部300aを連続的にスライドさせて、出力音量を連続的に変更可能なものであっても良く、あるいは回転式のスイッチや、ボタンを押して切り換えるタイプのスイッチとすることも可能である。
また、本実施例の音量設定スイッチ300は、各種スピーカー5y,6cから出力される各種効果音の出力音量を設定する機能を有していることから、本実施例の音量設定スイッチ300は、本発明における「出力音量設定手段」に対応するものとなっている。
図11に示した演出制御処理のS504では、音量設定スイッチ300に設定されている出力音量が、音量「中」(標準の出力音量)に設定されているか否かを判断する。そして、音量設定スイッチ300の設定が音量「中」であると判断された場合(S504:yes)は、標準の演出内容を選択する(S506)。ここで、演出内容とは、演出表示装置27や、可動役物25、発光演出装置、各種スピーカー5y,6cで行う演出の内容である。サブ制御基板220には図示しないROMが搭載されており、ROMには遊技コマンドに対応付けて、これらの演出の内容を示すデータが予め記憶されている。また、後述するように、本実施例では、1つの遊技コマンドに対して、標準の演出内容を含む複数の演出内容が記憶されている。そこで、音量設定スイッチ300が音量「中」に設定されていると判断された場合(S504:yes)には、遊技コマンドに対して記憶されている複数の演出内容の中から、標準として設定されている演出内容を選択するのである。
これに対して、音量設定スイッチ300の設定が音量「中」ではないと判断された場合(S504:no)は、音量「大」に設定されているか否かを判断する(S508)。そして、音量「大」に設定されていると判断された場合(S508:yes)は、標準の演出内容よりも、視覚演出が抑制された演出内容を選択する(S510)。ここで視覚演出とは、遊技者の視覚に主に働きかける演出であり、本実施例では、演出表示装置27の画面上で行われる表示演出、可動役物25による可動演出、発光演出装置による発光演出などが対応する。また、「視覚演出が抑制された演出内容」とは、演出表示装置27の画面の表示や可動役物25の動き、更には発光演出装置での点灯・点滅が、標準の演出よりも控えめに設定された演出内容である。「視覚演出が抑制された演出内容」も、サブ制御基板220に搭載されたROM上に、遊技コマンドに対応付けて予め記憶されている。
一方、音量設定スイッチ300が音量「大」に設定されていないと判断された場合(S508:no)は、音量設定スイッチ300は音量「小」以下(音量「小」または「消音」)に設定されていることになるので、視覚演出を強調した演出内容を選択する(S512)。ここで「視覚演出を強調した演出内容」とは、演出表示装置27の画面の表示や可動役物25の動き、更には発光演出装置4b〜4fでの点灯・点滅が、標準の演出よりも派手に設定された演出内容である。この「視覚演出が強調された演出内容」も、サブ制御基板220に搭載されたROM上に、遊技コマンドに対応付けて予め記憶されている。
尚、音量設定スイッチ300の設定内容を検出する処理は、サブ制御基板220が図11に示した演出制御処理を実行する中で行われている。従って、本実施例のサブ制御基板220は、本発明における「設定内容検出手段」に対応している。
図13は、サブ制御基板220のROMに記憶されている複数の演出内容を示した説明図である。本実施例では、主制御基板200から出力される遊技コマンドの1つ1つに対して、図13に示すような複数の演出内容が記憶されている。例えば、音量設定スイッチ300の出力音量の設定が、音量「中」の場合に対しては、標準の演出内容が記憶されている。すなわち、音量「中」は、効果音の出力音量が標準の音量に設定されている状態であるから、この場合には、標準の演出内容で演出を行うのである。また、音量設定スイッチ300の出力音量の設定が、「消音」または音量「小」の場合に対しては、視覚演出を強調した演出内容が記憶されている。「消音」は効果音が出力されない状態であり、音量「小」は効果音の出力音量が小さな音量に絞られている状態であり、何れも効果音による演出効果が期待できないので、これを補うべく、視覚演出を強調した演出内容で演出を行うのである。更に、音量設定スイッチ300の出力音量の設定が、音量「大」の場合に対しては、視覚演出を抑制した演出内容が記憶されている。音量「大」は大きな音量で効果音が出力される状態である。このような状態で、演出表示装置27の画面上や、可動役物25、発光演出装置で、更に派手な演出を行ったのでは、遊技者には演出が過剰に感じられることがある。そこで、こうしたことを避けるため、視覚演出を抑制した内容で演出を行うのである。
図13には、各演出内容に設定されている項目も示されている。本実施例では、演出内容として、演出指定コマンドや、可動役物25の駆動量、発光演出装置(発光部材)を点灯(または点滅)させる明るさ(光量、輝度)、各種スピーカー5y,6cの出力音量といった各項目が設定されている。ここで演出指定コマンドとは、前述したように、演出表示装置27で行う演出を指定するコマンドである。例えば、図中の中段に示した「標準の演出内容」に対しては、演出指定コマンドとしては、コマンドBが設定されており、可動役物25の駆動量や、発光演出装置(発光部材)を点灯させる明るさ、各種スピーカー5y,6cの出力音量については、何れも標準の設定となっている。これに対して、図中の上段に示した「視覚演出を強調した演出内容」に対しては、演出指定コマンドとしては、コマンドBとは別のコマンドAが設定されており、可動役物25の駆動量や、発光演出装置の明るさは、標準よりも大きく(あるいは明るく)なるように設定されている。また、図中の下段の「視覚演出を抑制した演出内容」に対しては、演出指定コマンドとしては、コマンドCが設定されており、可動役物25の駆動量や、発光演出装置の明るさは、標準よりも小さく(暗く)なるように設定されている。尚、効果音による演出は、視覚演出ではないので、「視覚演出を強調した演出内容」あるいは「視覚演出を抑制した演出内容」の何れについても、各種スピーカー5y,6cの出力音量については標準の設定となっている。
本実施例のサブ制御基板220に搭載されているROMには、このような演出内容が遊技コマンドに対応づけて記憶されている。そして、図11に示した本実施例の演出制御処理では、遊技コマンドを受け取ると(S502:yes)、音量設定スイッチ300の設定を確認して(S504、S508)、ROMに記憶されている複数の演出内容の中から対応する演出内容を選択する処理を行うのである(S506、S510、S512)。
こうして演出内容を選択したら、選択した演出内容に記憶されている演出指定コマンドを読み出して、演出表示制御基板230に出力する(S514)。演出表示制御基板230では、演出指定コマンドに対応付けて予め記憶されている画像データを読み出して、演出表示装置27に表示する。図13に示したように、音量設定スイッチ300の設定に応じて異なる演出指定コマンドが出力されるから、演出表示装置27でも、音量設定スイッチ300の設定に応じて異なった演出が実行されることになる。
サブ制御基板220は、演出表示制御基板230に演出指定コマンドを出力して、演出表示装置27上での演出を開始させると(S514)、続いて、音量設定スイッチ300の設定に応じて選択した演出内容で、可動役物25や発光演出装置、各種スピーカー5y,6cを用いた演出を開始する(S516)。可動役物25や発光演出装置、各種スピーカー5y,6cで行う具体的な演出の内容、すなわち、どのタイミングで可動役物25を動かし、発光演出装置をどのようなパターンで点灯(または点滅)させ、どのような効果音を出力するかといった内容は、演出表示制御基板230に指定する演出の内容(すなわち、演出指定コマンド)に応じて、予め設定されている。そして、それらの演出を実行するに際しては、図13の演出内容に設定されている可動役物25の駆動量や、発光演出装置(発光部材)の明るさ、各種スピーカー5y,6cの出力音量に従って、役物駆動基板227や、アンプ基板226、装飾駆動基板228に駆動信号を出力する。その結果、演出表示装置27の画面上で行われる演出に合わせて、可動役物25や発光演出装置、各種スピーカー5y,6cが一体となった演出が行われることになる。
そして、主制御基板200からの遊技コマンドに対応する一連の演出が終了したら、再び先頭の処理に戻って、主制御基板200から新たな遊技コマンドを受け取ったか否かを判断する(S502)。
以上に説明したように、本実施例の演出制御処理では、主制御基板200が図9に示す遊技制御処理を実行しながらサブ制御基板220に出力する遊技コマンドを受け取ると、音量設定スイッチの設定に応じた演出内容で、演出表示装置27の画面上で演出が行われ、この演出に合わせて、可動役物25や発光演出装置、各種スピーカー5y,6cによる演出が行われる。そして、音量設定スイッチ300の設定が「消音」あるいは音量「小」に設定されていて、効果音による演出効果が期待できない場合には、視覚演出が強調された演出内容、すなわち、演出表示装置27や可動役物25、発光演出装置などで派手な演出が行われ、その結果、これらによる演出効果によって、効果音による演出効果の不足を補って、全体として適切な演出を行うことが可能となる。
また、逆に、音量設定スイッチ300の設定が音量「大」に設定されていて、効果音による演出効果が十分に期待できる場合には、その上、更に、演出表示装置27や可動役物25、発光演出装置などで派手な演出を行ったのでは、遊技者には演出が過剰に感じられる虞がある。そこで、このような場合には、視覚演出が抑制された演出内容、すなわち、演出表示装置27や可動役物25、発光演出装置などでは控えめな演出を行う。その結果、全体として過剰な感じを与えることのない、適切な演出を行うことが可能となる。
E.変形例 :
以上に説明した実施例では、サブ制御基板220が音量設定スイッチ300の設定内容を検出して、音量設定スイッチ300の設定内容に応じた演出指定コマンドを演出表示制御基板230に出力するものとして説明した。従って、演出表示制御基板230では、単にサブ制御基板220から指定された演出を行っているだけであった。しかし、演出表示制御基板230が、より主体的に、音量設定スイッチ300の設定に応じて演出表示装置27上での演出内容を変更するようにしても良い。以下では、このような変形例について説明する。
変形例においても、サブ制御基板220が実行する演出制御処理の内容は、図11を用いて前述した処理と同様である。図11を参照しながら簡単に説明すると、主制御基板200から遊技コマンドを受信したか否かを判断し(S502相当)、遊技コマンドを受信したら(S502:yes相当)、音量設定スイッチ300の設定を検出して、音量「中」に設定されていれば(S504:yes相当)、「標準の演出内容」を選択する(S506相当)。また、音量「大」に設定されている場合は(S508:yes相当)、「視覚演出を抑制した演出内容」を選択し(S510相当)、音量「大」に設定されていない場合は(S508:no相当)、「視覚演出を強調した演出内容」を選択する(S512相当)。次いで、演出表示制御基板230に向かって演出指定コマンドを出力した後(S514相当)、選択した演出内容に従って、可動役物25や発光演出装置、各種スピーカー類5y,6cでの演出を実行する(S516相当)。
ここで、前述した実施例では、演出内容に応じて、異なる演出指定コマンドが記憶されており、従って、音量設定スイッチ300の設定に応じて演出表示制御基板230には異なる演出指定コマンドが出力されていた。これに対して、変形例では、異なる演出内容に対しても、記憶されている演出指定コマンドは、標準用のコマンドだけであり、従って、音量設定スイッチ300の設定が変わっても、演出表示制御基板230には同じ演出指定コマンドが出力される点が異なっている。
図14は、変形例のサブ制御基板220のROMに記憶されている演出内容を示した説明図である。図13を用いて前述した演出内容と同様に、変形例においても、音量設定スイッチ300の出力音量の設定に応じて、「標準の演出内容」、「視覚演出を強調した演出内容」、「視覚演出を抑制した演出内容」が設定されており、それぞれに対して、演出指定コマンドや、可動役物25の駆動量、発光演出装置(発光部材)の明るさ、効果音の出力音量などが設定されているが、演出指定コマンドについては、何れの演出内容に対しても同じコマンドが設定されている。そして変形例では、音量設定スイッチ300の信号は演出表示制御基板230にも入力されており、演出表示制御基板230は演出指定コマンドを受け取ると、音量設定スイッチ300の設定に応じて、演出表示装置27上での演出内容を切り換えて表示している。
図15は、変形例の演出表示制御基板230が、演出指定コマンドを受け取って演出表示装置27上で演出を行うための演出表示制御処理の流れを示す説明図である。図15に示されているように、演出表示制御処理(S600)を開始すると、演出表示制御基板230は、先ず始めに、サブ制御基板220から演出指定コマンドを受け取ったか否かの判断を行う(S602)。演出指定コマンドを受け取っていなければ(S602:no)、演出表示装置27で演出を行う必要はないので、演出指定コマンドを受け取ったか否かを監視しながら、そのまま待機状態となる。
そして、演出指定コマンドを受け取ったら(S602:yes)、そのコマンドに指定された内容の演出を開始する(S604)。すなわち、演出表示制御基板230には図示しないROMおよびフレームメモリが搭載されており、このROMには、演出指定コマンドに対応付けて、演出表示装置27の画面上に表示すべき一連の画像データが記憶されている。そして、ROMから読み出した画像データを、フレームメモリに書き込むと、その内容が演出表示装置27の画面上に表示されるようになっている。S604では、サブ制御基板220から受け取った演出指定コマンドに応じて記憶されている一連の画像データを順番に読み出して、フレームメモリに書き込むことによって、演出表示装置27上で一連の演出を開始する。
次いで、演出表示制御基板230は、音量設定スイッチ300の設定が音量「小」以下(すなわち、音量「小」または「消音」の設定)であるか否かを判断する(S606)。前述したように、変形例では、音量設定スイッチ300の信号は、サブ制御基板220だけでなく演出表示制御基板230にも入力されており、演出表示制御基板230は、音量設定スイッチ300の設定を検出することが可能である。尚、音量設定スイッチ300の信号を演出表示制御基板230に直接入力する代わりに、サブ制御基板220を介して、音量設定スイッチ300の設定内容を演出表示制御基板230に伝達するようにしても良い。こうすれば、音量設定スイッチ300と演出表示制御基板230との間に配線が不要となるので、遊技機1の構成を簡素にすることができる。
そして、音量設定スイッチ300の設定が音量「小」以下ではないと判断された場合は(S606:no)、そのまま先頭の処理に戻って、次の演出指定コマンドを受け取ったか否かの判断を繰り返す。その結果、音量設定スイッチ300が音量「中」あるいは音量「大」に設定されている場合は、演出表示装置27の画面上では、サブ制御基板220からの演出指定コマンドに指定された内容の演出が実行されることになる。
図16は、サブ制御基板220からの演出指定コマンドに従って、演出表示装置27の画面上で行われる演出を例示した説明図である。この例は、識別図柄27a,27b,27cの変動表示が開始されてから所定時間経過したとき(例えば、3つの識別図柄27a,27b,27cの変動表示開始後、1つの識別図柄の停止表示が行われるまでの間)に行われる予告図柄を用いた予告演出の一態様を示すもので、演出表示制御基板230が、演出表示装置27の画面上に、このような画像(演出用図柄)を表示することに合わせて、サブ制御基板220は、可動役物25を所定のタイミングで動かしたり、発光演出装置を点灯・点滅させたり、あるいは、各種スピーカー類5y,6cで効果音を出力しながら、演出が進行していく。
これに対して、図15のS606で、音量設定スイッチ300の設定が音量「小」以下であると判断された場合は(S606:yes)、吹き出し(予告図柄、演出用図柄の一種)を表示するタイミングか否かを判断する(S608)。すなわち、効果音による演出は、図柄変動音などのメロディが流れるだけではなく、サブ制御基板220が決定した演出の内容によっては、台詞が読み上げられたり、あるいは擬態音(例えば、「ドカーン」とか「ダダダッ」など)が出力される場合もある。しかし、音量設定スイッチ300の設定が音量「小」あるいは「消音」になっている場合は、台詞を読み上げたり、あるいは擬態音を出力しても、遊技者には聞こえない可能性が高いので、台詞や擬態音を吹き出しによって演出表示装置27の画面上に表示するのである。
吹き出しを表示するタイミングは、演出指定コマンドに対応付けて記憶されている画像データに、付属データとして予め記憶しておき、ROMから画像データを読み出す際に付属データの有無を確認することによって判断することができる。あるいは、サブ制御基板220が台詞を読み上げる演出や擬態音を出力する演出を行う際に、演出表示制御基板230に対して、そのタイミングを出力することとして、演出表示制御基板230で、その出力を受け取ることによって、吹き出しを表示するタイミングか否かを判断することも可能である。
吹き出しを表示するタイミングに達していなければ(S608:no)、表示タイミングになるまで、そのまま待機状態となる。そして、吹き出しの表示タイミングに達したと判断されたら(S608)、演出表示装置27の画面に表示されている画像の上に、吹き出しの画像を重ねて表示する(S610)。
図17は、演出表示装置27に表示されている画像の上に、吹き出しの画像が重ねて表示された様子を示した説明図である。図示した例では、演出表示装置27に表示されたキャラクタの台詞が、吹き出し画像27e(予告図柄)として、画面の上に重ねて表示されている。表示する吹き出し画像27eは、演出表示制御基板230のROMに予め記憶しておき、吹き出し表示タイミングと判断されたら(S608:yes)、その時にフレームメモリに書き込まれている画像データの上に、吹き出し画像27eを上書きすることで、図17に示すような画像を演出表示装置27に表示させることができる。
こうして吹き出し画像27eを演出表示装置27の画面上に重ねて表示させたら(S610)、演出表示装置27での演出が終了したか否か、換言すれば、演出指定コマンドに対応して記憶されていた画像データを全て表示したか否かを判断する(S612)。そして、演出指定コマンドで指定された演出が終了していない場合は(S612:no)、再びS608に戻って、吹き出し表示タイミングが来るまで待機状態となる。一方、指定された演出が終了したと判断された場合は(S612:yes)、先頭に戻って、新たな演出指定コマンドを受け取ったか否かの判断を繰り返す(S602)。
以上に説明した変形例においては、演出表示制御基板230が、受け取った演出指定コマンドに対して行う演出内容を、音量設定スイッチ300の設定に応じて変更することによって、演出表示装置27上で行う演出を切り換えることが可能である。このため、音量設定スイッチ300の設定に応じて、適切な演出を行うことが可能となる。例えば、音量設定スイッチ300の設定が「消音」あるいは音量「小」となっていて、効果音による演出効果が期待できない場合には、演出表示装置27の画面上に吹き出し画像27eを表示させることで、効果音による演出の不足を補うことが可能である。また、音量設定スイッチ300が音量「中」あるいは音量「大」に設定されていて、効果音による演出効果を十分に期待できる場合には、演出表示装置27の画面上に吹き出し画像27eを表示させることは無駄であり、演出が過剰な印象を遊技者に与えてしまう虞もある。これに対して、上述した変形例においては、音量設定スイッチ300が音量「中」あるいは音量「大」に設定されている場合には、演出表示装置27の画面上に吹き出し画像27eが表示されないので、演出が過剰な印象を遊技者に与えてしまう虞もなく、適切な演出を行うことが可能となる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した実施例あるいは変形例では、弾球遊技機に対して本発明を適用した場合について説明した。しかし、弾球遊技機に限られるものではなく、例えば、回胴式遊技機やアレンジボール遊技機などの他の遊技機に対しても、本発明を好適に適用することが可能である。
また、上述した実施例あるいは変形例では、「視覚演出手段」として「発光演出装置」と「演出表示装置27」と「可動役物25」とを兼ね備えた弾球遊技機に、本発明を適用した場合について説明した。しかし、本発明は、「聴覚演出手段(例えば、各種スピーカー類5y,6c等)」と、少なくとも一種の「視覚演出手段」とを備える遊技機であれば、何れの遊技機にも適用することができる。例えば、「各種スピーカー類5y,6c」と「発光演出装置」とを備える遊技機、「各種スピーカー類5y,6c」と「演出表示装置27」とを備える遊技機、「各種スピーカー類5y,6c」と「可動役物25」とを備える遊技機の何れに対しても、本発明を好適に適用することができる。