JP2007236067A - 回転電機及びその固定子鉄心 - Google Patents

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英二 霜村
Sukeyasu Mochizuki
資康 望月
Wataru Ito
伊藤  渉
Takashi Araki
貴志 荒木
Toyonobu Yamada
豊信 山田
Yasuo Wada
康夫 和田
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Abstract

【課題】積層固定子鉄心の結束方法を改善してうず電流損失を減少させる。
【解決手段】回転電機用に所定形状に形成した固定子鉄心片を所望の厚さに積層し、パイプかしめ、クランプ等により結束して外面円筒状の固定子鉄心を形成する場合に、固定子鉄心の結束部位を固定子鉄心の周方向に等間隔で、且つ隣り合う結束部位間のなす中心角が組み合わせる回転子の2磁極分のなす中心角の整数倍となるように配置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁鋼板を打ち抜いて形成した固定子鉄心片を積層して製造する回転電機の固定子鉄心に関し、特には積層する固定子鉄心片をうず電流損失が少なくなるように結束する技術に関する。
一般的な回転電機の固定子鉄心は、薄い電磁鋼板を主にプレスによって所望の形状に打ち抜き、打ち抜きでできた固定子鉄心片を所望の厚さに積層して製造される。その際、積層した鉄心片がバラけないように、鉄心片どうしは結束して一体化される。結束方法としては、溶接、クランプ、かしめなどがある。
ところで、固定子鉄心片の材料に薄い鋼板を使用する理由は、固定子鉄心内を通る交番磁束により固定子鉄心の積層方向に誘起されるうず電流を遮断するためである。そのうず電流遮断のために、固定子鉄心片を積層して鉄心片間の接触抵抗を利用したり、あるいは、より積極的に鉄心片表面に絶縁層をコーティングしたりしている。
しかしながら鉄心片を一体化するための結束は、鉄心片どうしを局所的ながら導通させる。このため結束個所が2つ以上存在すると、その結束部位と鉄心片素材とにより閉ループの電流経路が形成され、うず電流が流れる得ることになる。図17は従来の回転電機の断面の一例である。この回転電機100は、内側に永久磁石101を備えた4極の回転子102を、外側に固定子鉄心103を有する内転型回転電機である。固定子鉄心103は、図に示す断面と同じ形状に打ち抜いた固定子鉄心片104を積層し、4個所の結束部位105にパイプかしめを施して結束してある。固定子鉄心103の内側寄りには軸方向に貫通する12個のスロット106が形成されており、内部には固定子コイルの巻線が通されている。
パイプかしめは、積層した固定子鉄心片104に設けたかしめ用孔にパイプを挿入し、そのパイプの内側にピンを圧入してパイプを拡管して行なわれる。孔の内面とパイプとが当接し、その摩擦力で積層した固定子鉄心片104を束ねる結束力が生まれる。固定子鉄心片104に設けた孔とパイプを当接させるため、積層した固定子鉄心片104はパイプにより電気的に短絡される。結束部位105以外の部分では、固定子鉄心片104は接触抵抗や絶縁コーティングにより相互に絶縁されている。こうした構造から固定子鉄心103には、積層した固定子鉄心片104の結束部位105以外の部分と4本の結束用パイプからなる多数の閉ループ状電流経路が存在する。
図17には、回転子102に取り付けた永久磁石101の作る磁束が点線と矢印で示してある。永久磁石101の作る磁束は固定子鉄心103に入り、スロット106の周りを回って再び回転子102に戻る閉曲線を描く。その磁束の一部は、図中の結束部位105近くに描いた太線矢印107が示すように、結束部位105と固定子鉄心103の外周面との間を通る。この結束部位105の外側を通って回転子102に戻る磁束は、隣り合う2つの結束部位105に通したパイプと、固定子鉄心片104のその間の部位とで構成される閉ループ状電流経路に鎖交する。
うず電流は、この閉ループ電流経路の断面方向に鎖交する磁束鎖交数が変化すると閉ループに電流を流す起電力が発生することで生ずる。図17に示した従来の回転電機100では、回転子102が回転するとその磁束鎖交数が変化する。そのため回転子102が回転すると固定子鉄心103内部にうず電流が流れる。
パイプかしめによる結束は、固定子鉄心103の外周面より内側に入った位置に施される。これに対して溶接、クランプによる結束は、固定子鉄心103の外周面でなされる。外周面で結束した場合は、その外側には鉄心部位が存在しないため磁束が通らずうず電流は発生しないように思われる。しかし実際の回転電機では、固定子鉄心103は鉄のフレームに固定されるため、固定子鉄心103の外周側にも磁束を通しやすい構造物が存在する。そのため溶接、クランプによる結束の場合でも、うず電流は少なからず発生する。
うず電流はその流路に沿った抵抗による発熱を伴い、鉄心の損失を増加させる。最近の回転電機は、小型、高速回転が求められる機種が増えている。うず電流損失は回転数の2乗で増加する。このため、高速回転の機種ではうず電流損失が桁違いに増加して効率、熱的に許容できない状況が生じる。こうしたことから積層固定子鉄心のうず電流損失を大幅に減少させることのできる結束方法が求められている。
本発明は、こうした従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その課題は、積層固定子鉄心の結束方法を改善してうず電流損失を大幅に減少させた固定子鉄心、及びそれを使用した回転電機を提供することにある。
前記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、回転電機用に所定形状に形成した固定子鉄心片を所望の厚さに積層し、パイプかしめ、外周溶接、クランプ等により結束して構成した外面円筒状の固定子鉄心において、固定子鉄心の結束部位を、固定子鉄心の周方向に等間隔で、且つ隣り合う結束部位間のなす中心角が組み合わせる回転子の2磁極分のなす中心角の整数倍となるように配置したことを特徴とする固定子鉄心である。
このような構成によれば、固定子鉄心の隣り合う結束部位間における磁束分布が同じとなり、隣り合う結束部位とそれら結束部位間の鉄心部分により形成される閉ループ電流経路に鎖交する磁束鎖交数が時間的に変化しなくなる。このためその閉ループを流れるうず電流の発生を抑えることができる。
また、請求項2に記載の発明は、回転電機用に所定形状に形成した固定子鉄心片を所望の厚さに積層し、パイプかしめ、外周溶接、クランプ等により結束して構成した外面円筒状の固定子鉄心において、組み合わせる回転子の磁極数が10である場合には、固定子巻線を通すスロットの数を30とし、固定子鉄心の結束部位は固定子鉄心の周方向に等間隔でその数を6としたことを特徴とする固定子鉄心である。
このような構成によれば、結束部位に一番近いスロットに巻かれるU相、V相、W相のコイル数が同じとなることから、各相コイルのインダクタンスは同じ値となり不平衡が生じなくなる。また、隣り合う結束部位間がなす中心角内に存在する回転子磁極数が2に近い数値となることから、固定子鉄心の隣り合う結束部位間における磁束分布が類似したものとなる。このため隣り合う結束部位とそれら結束部位間の鉄心部分により形成される閉ループ電流経路に鎖交する磁束鎖交数の時間的変化が小さくなり、その閉ループを流れるうず電流の発生が少なくなる効果を奏する。
また、請求項3に記載の発明は、回転電機用に所定形状に形成した固定子鉄心片を所望の厚さに積層し、パイプかしめ、外周溶接、クランプ等により結束して構成した外面円筒状の固定子鉄心において、組み合わせる回転子の磁極数が20である場合には、固定子巻線を通すスロットの数を60とし、固定子鉄心の結束部位は固定子鉄心の周方向に等間隔でその数を12としたことを特徴とする固定子鉄心である。
このような構成の固定子鉄心の場合も、請求項2に記載の固定子鉄心と同様の作用により同様の効果を奏する。
また、請求項4に記載の発明は、回転電機用に所定形状に形成した固定子鉄心片を所望の厚さに積層し、パイプかしめ、外周溶接、クランプ等により結束して構成した外面円筒状の固定子鉄心において、組み合わせる回転子の磁極数が14である場合には、固定子巻線を通すスロットの数を42とし、固定子鉄心の結束部位は固定子鉄心の周方向に等間隔でその数を6としたことを特徴とする固定子鉄心である。
このような構成の固定子鉄心の場合も、請求項2に記載の固定子鉄心と同様の作用により同様の効果を奏する。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の固定子鉄心において、前記結束部位の隣り合う結束部位の中間位置に、周方向に延びる周方向スリットを軸方向に貫通して設け、該周方向スリットに磁性を有する剛体板を軸方向に貫通して圧入したことを特徴とする固定子鉄心である。
このような構成の固定子鉄心は、対応する請求項に記載の固定子鉄心と同様の効果を奏する。加えて、うず電流を増加させることなく固定子鉄心の結束力を一層高めることができる。
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の固定子鉄心において、前記周方向スリットに圧入する剛体板は、固定子鉄心の軸方向長さより長くして両端面よりはみ出させ、該はみ出させた部分を折り曲げて固定子鉄心の両端面に密着させたことを特徴とする固定子鉄心である。
このような構成の固定子鉄心は、請求項6に記載の固定子鉄心と同様の効果を奏する。加えて、剛体板の両端を折り曲げて面圧を積層方向に加えるようにしたため、固定子鉄心片が薄い場合においても十分な結束力を確保することができる。
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の固定子鉄心において、固定子鉄心の両端面位置に積層した前記固定子鉄心片は、他の層の固定子鉄心片より板厚を厚くしたことを特徴とする固定子鉄心である。
このような構成の固定子鉄心は、請求項6に記載の固定子鉄心と同様の効果を奏する。加えて、最外層の固定子鉄心片の板厚を厚くしたため結束力が更に強化される。また、中間層には極めて薄い固定子鉄心片を使用できることから、うず電流損失を一層減少させることができる。
また、請求項8に記載の発明は、回転電機用に所定形状に形成した固定子鉄心片を所望の厚さに積層し、パイプかしめ、クランプ等により結束して構成した外面円筒状の固定子鉄心において、前記各結束部位を固定子鉄心の外周面より内側に入った部分に設け、該結束部位と固定子鉄心の外周面との間部分に径方向に延びる径方向スリットを軸方向に貫通して設けたことを特徴とする固定子鉄心である。
このような構成にした場合、径方向スリット内の空隙は透磁率が低いため磁気抵抗が大きくなって磁束の通過を妨げる。これにより結束部位を一周する磁束は少なくなり、隣り合う結束部位間に形成される閉ループ電流経路に鎖交する磁束が減少してうず電流の発生が少なくなる効果を奏する。
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の固定子鉄心において、前記径方向スリットには、更に非磁性の剛体板を軸方向に貫通して圧入したことを特徴とする固定子鉄心である。
非磁性の剛体板を圧入した径方向スリットは透磁率が低いため磁気抵抗が大きくなって磁束の通過を妨げる。これにより結束部位を一周する磁束は少なくなり、隣り合う結束部位間に形成される閉ループ電流経路に鎖交する磁束が減少してうず電流の発生が少なくなる効果を奏する。また、剛体板を圧入するため、剛体板表面とスリット内面との摩擦により固定子鉄心の結束力が高まる効果を奏する。
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の固定子鉄心において、前記径方向スリットの断面形状は、固定子鉄心の外周面側を丸みを帯びた形状とし、前記非磁性の剛体板として長手方向幅が前記径方向スリットの矩形断面部の長手方向長さより長い板を使用したことを特徴とする固定子鉄心である。
このような構成の固定子鉄心は、請求項9に記載の固定子鉄心と同様の効果を奏する。加えて、径方向スリットと固定子鉄心の外周面間に残る鉄心部分(架橋部)が押し曲がってスリット幅を収縮させるため、剛体板と固定子鉄心とを密着度が向上する。そのため剛体板表面とスリット内面との摩擦力が高まり、固定子鉄心の結束力が一層強まる効果を奏する。
また、請求項11に記載の発明は、請求項8に記載の固定子鉄心において、前記径方向スリットは固定子鉄心の外周面に達する開放スリットに形成し、該開放スリットの開放部を塞ぐように開放部両側の鉄心部間に溶接を施したことを特徴とする固定子鉄心である。
このような構成の固定子鉄心は、請求項8に記載の固定子鉄心と同様の効果を奏する。加えて、溶接により径方向スリットの端部及びその周辺部の鉄心が溶融収縮するため、強度が向上するとともにメインの結束部位に収縮応力を発生させて結束力を強める効果を奏する。
また、請求項12に記載の発明は、請求項8に記載の固定子鉄心において、前記径方向スリットは固定子鉄心の外周面に達する開放スリットに形成し、該開放スリットに非磁性の剛体板を軸方向に貫通して装着し、該剛体板の固定子鉄心外周側端部と前記開放スリットの開放部両側の鉄心部とを一体に溶接したことを特徴とする固定子鉄心である。
このような構成の固定子鉄心は、請求項8に記載の固定子鉄心と同様の効果を奏する。加えて、溶接により径方向スリットの端部及びその周辺部の鉄心が溶融収縮するため、強度が向上するとともにメインの結束部位に収縮応力を発生させてその結束力を強める効果を奏する。
また、請求項13に記載の発明は、請求項1乃至12の何れかに記載の固定子鉄心を用いて構成したことを特徴とする回電機である。
このような構成の回電機は、うず電流損失が少なくなる効果を奏する。
以下、本発明に係る回電機の固定子鉄心、及びその固定子鉄心を用いて構成した回転電機の例について実施形態に分けて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る回転電機1の回転中心軸(軸芯)2に直角な断面図である。この回転電機1は、固定子3の内側で回転子4が回転する内転型回転電機である。図では、固定子3、回転子4を収容するハウジングは省略してある。回転子4は、円筒状回転子鉄心6の表面に4極の永久磁石7を装着した表面磁石構造にしてある。
固定子3は、固定子鉄心9と電機子コイルから成る。固定子鉄心9は外面円筒状で、その内表面寄り部分には12個のスロット11が軸方向に貫通して設けてある。スロット11は、内表面側が僅かに開口しており、内部には電機子コイルを構成する巻線が通っている。隣り合うスロット11間に残された鉄心部分は、磁極歯12を形成している。固定子鉄心9は、電磁鋼板を図に示す固定子鉄心9の断面と同じ形状に打ち抜いた固定子鉄心片13を所定枚数積層したものである。積層した固定子鉄心片13は、ずれないように結束してある。本実施形態の固定子鉄心9では、外表面から少し内に入った2個所の結束部位15a、15bにパイプかしめを施して結束してある。
パイプかしめは、固定子鉄心片13を打ち抜く際にかしめ用孔を結束部位15a、15bに形成しておき、固定子鉄心片13を積層した後にその孔にパイプを挿入する。そして、そのパイプ内側にピンを圧入してパイプを拡管して完成させる。パイプの拡管により、孔内面とパイプが当接し、その摩擦力で結束力が生まれる。
ところで、パイプかしめに使用したパイプは、積層した固定子鉄心片間を電気的に短絡させる。このような電気的短絡はパイプかしめ以外の結束方法、例えば、パイプを使用しないで金属棒あるいは金属板を孔に圧入する結束方法、特別な結束部材を用いないで積層した2枚の固定子鉄心片間に嵌合による結合構造を設けて全体を結合させる結束方法、外周溶接などでも生ずる。
積層した固定子鉄心片13は、表面間の接触抵抗や絶縁コーティングにより相互に絶縁されている。従って、パイプかしめ等により結束部位に固定子鉄心片間を電気的に短絡する経路が生ずると、隣り合う2つの結束部位と、それらの結束部位間の固定子鉄心片部分とにより閉ループ状の電流経路が形成される。図1で説明すれば、結束部位15a、15bにおいて、積層された固定子鉄心片13はパイプかしめにより電気的に短絡される。結束部位15a、15b以外の部分においては、積層された固定子鉄心片13は相互に絶縁されている。従って、結束部位15a、15bのパイプと、結束部位15aから左回りに結束部位15bに至る部分の積層された固定子鉄心片部分とにより多数の閉ループ電流経路が形成されている。同様に、結束部位15bのパイプと、結束部位15bから左回りに結束部位15aに至る部分の積層された固定子鉄心片部分とによっても多数の閉ループ電流経路が形成されている。
「背景技術」でも説明したように、この閉ループ電流経路に鎖交する磁束鎖交数が回転子4の回転により変化すると、その閉ループに電流を流す起電力が発生してうず電流が生ずる。閉ループ電流経路には回転子4に装着した永久磁石7の作る磁束の他に、電機子コイルを流れる電流が作る磁束も鎖交する。うず電流の発生を少なくするには、この多数の閉ループ電流経路に鎖交する磁束鎖交数が時間的に変化しないようにすればよい。
閉ループ電流経路に鎖交する磁束鎖交数の時間的変化を少なくするために、本実施形態の回転電機1では結束部位を2個所とし、その2個所の結束部位15a、15bを軸芯2に対称に配置している。回転子4の磁極は4極で、一対のN極、S極が軸芯2に対してなす中心角は180°である。隣り合う2つの結束部位15a、15b間の鉄心部分が軸芯2に対してなす中心角も180°である。
図1には、回転子4の永久磁石7の作る磁束の磁路が点線と矢印で示してある。その磁束分布は、結束部位15aから左回りに結束部位15bに至る鉄心部分と、結束部位15bから左回りに結束部位15aに至る鉄心部分とでは、結束部位15a、15b間の鉄心部分がなす中心角が回転子4の一対のN極、S極がなす中心角と一致しているために同じになっている。回転子4が回転すると永久磁石7による磁束分布は変化するが、結束部位15aから左回りに結束部位15bに至る部分と、結束部位15bから左回りに結束部位15aに至る部分との磁束分布は常に一致している。
回転子4の永久磁石7の作る磁束の磁路は、固定子鉄心9の両端面近くを除けば軸芯2に垂直な面内にあるので、その磁束成分のみを考える。その場合、閉ループ電流経路に鎖交する磁束は、軸芯2に平行に挿入された結束部位15a、15bのパイプを一周する磁路の磁束のみとなる。
結束部位15aから左回りに結束部位15bに至る部分の閉ループ電流経路について検討する。図1の結束部位15aの回りに記した太線矢印17aに示すような磁路で、結束部位15aを一周する磁束が存在したとする。その磁束は、検討している閉ループ電流経路を外側(固定子鉄心9の外周側)から内側(軸芯2側)に向けて鎖交する磁束である。結束部位15aを一周する磁束が存在した場合には、前述した対称性から結束部位15bにも太線矢印17bで示すような磁路で結束部位15bを一周する磁束が存在する。この磁束は、検討している閉ループ電流経路を内側から外側に向けて鎖交する磁束である。
これら外側と内側から鎖交する2つの鎖交磁束の対応する結束部位に対する分布は同じである。磁束の磁路は常に閉じたループ状となっている。こうしたことから、結束部位15aから左回りに結束部位15bに至る部分の閉ループ電流経路を外側から内側に向けで鎖交する磁束と、内側から外側に鎖交する磁束とは、その鎖交数が常に同じとなる。従って、検討している閉ループ電流経路に鎖交する磁束の積分値である磁束鎖交数は理論上はゼロとなり、回転子4が回転しても変化しない。それ故、うず電流の発生は少なくなる。結束部位15bから左回りに結束部位15aに至る部分の閉ループ電流経路についても同様であり、うず電流の発生は少なくなる。
上記は、回転子4に装着した永久磁石7の作る磁束についての説明であったが、スロット11に通した電機子コイル巻線を流れる電流(電機子電流)が作る磁束についても同じことが言える。図1に示した回転電機1の電機子コイルの数は、スロット11の数に等しく12個である。電機子コイルが分布巻で巻かれている場合、各スロット11には、例えば左回りに順にU相、V相、W相のコイル巻線が通される。電機子電流による磁束分布は、3個分のスロットのなす中心角毎に同じ分布を繰り返す。図1の固定子3は、隣り合う結束部位15a、15b間の中心角はスロット11の6個分の中心角に等しく、3個分の中心角の2倍となっている。
従って、電機子電流による磁束分布は、結束部位15a付近と結束部位15b付近では同じ分布になる。このため、前述の回転子4に装着した永久磁石7の作る磁束の場合と同様に、結束部位15aを回って閉ループ電流経路を外側から内側に鎖交する磁束が存在したならば、それと同じ鎖交数の磁束が結束部位15bを回って閉ループ電流経路を内側から外側に鎖交する。このことから閉ループ電流経路に鎖交する磁束の鎖交数は、電機子電流が変化したとしても変化しないことになり、電機子電流によるうず電流の発生は少なくなる。
このような理由により図1に示した回転子磁極数が4個である回転電機1においては、結束部位を2個とし、その隣り合う結束部位間がなす中心角を磁極2個分の中心角(この場合は180°)にすれば、軸芯2に垂直な磁束成分に起因するうず電流の発生を少なくすることができる。
図2は、回転子の磁極数が6個である回転電機1aについて、同じくうず電流の発生が少なくなるように結束部位を配置した例である。コイル数(スロット数に等しい)は、磁極数6個の3倍の18個としてある。結束部位は、周方向に等間隔で20a、20b、20cの3個所に設けてある。隣り合う結束部位間がなす中心角は、磁極2個分がなす中心角(この場合は120°)に等しくしてある。従って、結束部位20aから左回りに結束部位20bに至る間と、結束部位20bから左回りに結束部位20cに至る間と、結束部位20cから左回りに結束部位20aに至る間の3区間の磁束分布は、回転子の回転、電機子電流の変化に関わらず常に同じとなる。従って、図1について説明したと同様の理由により、それら結束部位間に存在する閉ループ電流経路に鎖交する磁束鎖交数は時間的に変化しなくなり、うず電流の発生は少なくなる。
以上は、回転子の磁極数が4個と6個の回転電機についての説明であるが、一般的に回転子の磁極数がN個(Nは2の倍数)である回転電機については、結束部位間の間隔を等間隔とし、隣り合う結束部位間がなす中心角を回転子磁極の2個分がなす中心角の整数倍となるようにして結束を行なえばよい。そうすれば、回転子に装着した永久磁石の作る磁束分布は、隣り合う結束部位間で同じとなる。
電機子電流による磁束については、電機子コイルの数(スロット数に等しい)は磁極2個分がなす中心角の間に6個、12個、18個と(2×3)の倍数とされることから、隣り合う結束部位間にはU相、V相、W相が同じように配置される。従って、電機子電流による磁束分布も、各隣り合う結束部位間で同じとなる。隣り合う結束部位間の磁束分布が同じとなれば、隣り合う結束部位における短絡路とそれら結束部位間の鉄心部分により形成される閉ループ電流経路に鎖交する磁束鎖交数は時間的に変化しなくなる。このため、その閉ループを流れるうず電流の発生は少なくなる。
(第2の実施形態)
前記第1の実施形態では、うず電流を発生させずに固定子鉄心の結束力を確保できる結束部位の決め方について説明した。そして、そのためには結束部位間の間隔を等間隔とし、隣り合う結束部位間がなす中心角を回転子磁極の2個分がなす中心角の整数倍となるようにして結束を行なえばよいことを説明した。
しかしながら、このようにうず電流の発生を抑えることのみを考慮に入れて結束部位を決めると、他の面でマイナス効果が表れる場合がある。そのマイナス効果を前述の図2に示した回転電機1aについて説明する。回転電機1aの18個のスロット19に、結束部位20aに一番近いスロット19aから左周りに順にU相、V相、W相のコイル巻線を巻いたとする。すると、図2中に示したように結束部位20aに一番近いスロット19a、結束部位20bに一番近いスロット19b、結束部位20cに一番近いスロット19cには、共に同じU相のコイル巻線が通されることになる。図2に示す回転電機1aに限らず、隣り合う結束部位間のなす中心角が磁極2個分のなす中心角の整数倍となるように結束部位を配置した場合には、各結束部位に一番近いスロットには同じ相の巻線が巻かれることになる。
結束部位におけるかしめ構造は磁束を通しにくく、磁束に対するバリアとなって磁束の通過を妨げる。各結束部位に一番近い全てのスロットに同じ相の巻線が巻かれていると、特定の相に流れる電流が作る磁束に対する磁気抵抗が他の2相が作る磁束に対する磁気抵抗よりも増加する。このため、3相コイルのインダクタンスが同じ値とならず、インダクタンスに不平衡が生ずる。3相コイルのインダクタンスに不平衡が生ずると、例えば、Δ接続した電機子コイルに循環電流が流れて回転電機の性能が低下する。
3相コイルのインダクタンスを平衡させるには、U相、V相、W相を形成するコイルがバランス良く結束部位に近接する、即ち、結束部位に近接するU相、V相、W相のコイル数が同じになるようにすればよい。そのように配置できれば、3相コイルに与える結束部位の影響が等しくなってインダクタンスは平衡する。
しかしながら、そのように結束部位に3相のコイルを同じ数だけ近接させることができ、且つ第1の実施形態で説明したように隣り合う結束部位間の閉ループ電流経路に鎖交する磁束鎖交数の時間変化をゼロとすることができ、加えて十分な結束力も得られるような理想的な結束部位の配置を求めることは不可能である。
本実施形態は、上記のような理想的な結束部位の配置は不可能であることから、その理想状態に準ずる結束部位の配置を提供するものである。図3は、回転子4の磁極数が10、コイル数(スロット数に等しい)が30の回転電機1bについての前記理想状態に準ずる結束部位の配置を示したものである。結束部位は6個所22a〜22fとし、周方向に等間隔に配置している。
図に示すように、結束部位22aに一番近いスロット23aから順に左周りにU相、V相、W相のコイル巻線を巻いたとする。すると、結束部位22bに一番近いスロット23bにはW相、結束部位22cに一番近いスロット23cにはV相、結束部位22dに一番近いスロット23dにはU相、結束部位22eに一番近いスロット23eにはW相、結束部位22fに一番近いスロット23fにはV相のコイル巻線が巻かれることになる。即ち、U相、V相、W相を形成するコイルは、各2個ずつが結束部位に一番近いスロットに巻かれる。このようにすると、U相、V相、W相を流れる電流が作る磁束に対する磁気抵抗は同じ値となるため、各相コイルのインダクタンスは同じ値となり不平衡は生じなくなる。
次に、隣り合う結束部位間に形成される閉ループ電流経路に鎖交する磁束鎖交数について検討すると、隣り合う結束部位間がなす中心角(60°)の間には回転子の磁極が10/6=1.67個存在する。磁極数は、理想形態である第1の実施形態の場合のように2の倍数にはなっていない。従って、各隣り合う結束部位間の磁束分布は同じとはならず、磁束鎖交数に時間変化が生じて閉ループ電流経路にうず電流が流れることになる。しかし、磁極数1.67は、理想的な数である2.0に近い数値であるため磁束分布はかなり類似したものとなる。このため、閉ループ電流経路に鎖交する磁束鎖交数の絶対数は少なくなるため、発生するうず電流は少ない値となる。
このようなことから、図3に示したような回転子磁極数が10、コイル数(スロット数に等しい)が30の回転電機1bについては、結束部位を6個所としてそれらを周方向に等間隔に配置すればうず電流の発生を少なくし、且つ3相コイルのインダクタンスを平衡させることができる。
(第3の実施形態)
本実施形態は、前記第2の実施形態と同様に理想的な結束部位の配置、即ち、3相コイルのインダクタンスが平衡し、且つうず電流も発生しない理想状態に準ずる結束部位の配置についての別の実施形態を提供するものである。図4は、回転子4の磁極数が20、コイル数(スロット数に等しい)が60の回転電機1cについての前記理想状態に準ずる結束部位の配置を示したものである。結束部位は12個所25a〜25lとし、周方向に等間隔に配置してある。
図に示すように、結束部位25aに一番近いスロット26aから順に左周りにU相、V相、W相のコイル巻線の巻いたとする。すると、各結束部位25a、25b、25c、25d、25e、25f、25g、25h、25i、25j、25k、25lに一番近いスロットには、順にU相、W相、V相、U相、W相、V相、U相、W相、V相、U相、W相、V相のコイル巻線が巻かれることになる。即ち、U相、V相、W相を形成するコイルは、各4個ずつが結束部位に一番近いスロットに巻かれる。従って、U相、V相、W相を流れる電流が作る磁束に対する磁気抵抗は同じ値となるため、各相コイルのインダクタンスは同じ値となり不平衡は生じなくなる。
次に、隣り合うに結束部位間に形成される閉ループ電流経路に鎖交する磁束鎖交数について検討すると、隣り合う結束部位間がなす中心角(30°)の間には回転子4の磁極が20/12=1.67個存在する。磁極数は、理想形態である第1の実施形態の場合のように2の倍数にはなっていない。従って、各隣り合う結束部位間の磁束分布は同じとはならず、磁束鎖交数に時間変化が生じてうず電流が発生することになる。しかし、磁極数1.67は、理想的な数である2.0に近い数値であるため磁束分布はかなり類似したものとなる。このため、閉ループ電流経路に鎖交する磁束鎖交数の絶対数は少なくなるため、発生するうず電流は少ない値となる。
このようなことから、図4に示したような回転子磁極数が20、コイル数(スロット数に等しい)が60の回転電機1cについては、結束部位を12個所としてそれらを周方向に等間隔に配置すればうず電流の発生を少なくし、且つ3相コイルのインダクタンスを平衡させることができる。
(第4の実施形態)
本実施形態も、前記第2の実施形態と同様に理想的な結束部位の配置、即ち、3相コイルのインダクタンスが平衡し、且つうず電流も発生しない理想状態に準ずる結束部位の配置についての別の実施形態を提供するものである。図5は、回転子4の磁極数が14、コイル数(スロット数に等しい)が42の回転電機1dについての前記理想状態に準ずる結束部位の配置を示したものである。結束部位は6個所28a〜28fとし、周方向に等間隔に配置してある。
図に示すように、結束部位28aに一番近いスロット29aから順に左周りにU相、V相、W相のコイル巻線の巻いたとする。すると、各結束部位28a、28b、28c、28d、28e、28fに一番近いスロットには、順にU相、V相、W相、U相、V相、W相のコイル巻線が巻かれることになる。即ち、U相、V相、W相を形成するコイルは、各2個ずつが結束部位に一番近いスロットに巻かれる。従って、U相、V相、W相を流れる電流が作る磁束に対する磁気抵抗は同じ値となるため、各相コイルのインダクタンスは同じ値となり不平衡は生じなくなる。
次に、隣り合うに結束部位間に形成される閉ループ電流経路に鎖交する磁束鎖交数について検討すると、隣り合う結束部位間がなす中心角(60°)の間には回転子4の磁極が14/6=2.33個存在する。磁極数は、理想形態である第1の実施形態の場合のように2の倍数にはなっていない。従って、各隣り合う結束部位間の磁束分布は同じとはならず、磁束鎖交数に時間変化が生じてうず電流が発生することになる。しかし、磁極数2.33は、理想的な数である2.0に近い数値であるため磁束分布はかなり類似したものとなる。このため、閉ループ電流経路に鎖交する磁束鎖交数の絶対数は少なくなるため、発生するうず電流は少ない値となる。
このようなことから、図5に示したような回転子磁極数が14、コイル数(スロット数に等しい)が42の回転電機1dについては、結束部位を6個所としてそれらを周方向に等間隔に配置すれば、うず電流の発生を少なくし、且つ3相コイルのインダクタンスを平衡させることができる。
(第5の実施形態)
前記第1〜第4の各実施形態における結束部位の数及びその位置は、各実施形態において説明したように回転子の磁極数と固定子鉄心に設けるスロットの数との関係による一定の制約を受ける。従って、その数や位置は結束力を考慮して任意には変更できないため、固定子鉄心の大きさ、モータの組み付け、運転時の加速度等によっては結束力が不足する場合が生ずる。本実施形態は、そのような場合に、制約条件は守ったまま結束力を更に強くするための補助の結束を行なうことに関するものである。
図6は、第2の実施形態で説明した図3の回転電機1bに、本実施形態の補助の結束を施した回転電機1eの断面図である。補助の結束は、6個存在する結束部位22a〜22fの各隣り合う結束部位の中間位置に施している。補助の結束部位31a〜31fは、隣り合う結束部位間の中間位置の外周面近くに周方向に延びる周方向スリット32を軸方向に貫通して設け、その周方向スリット32内に磁性を有する剛体板33を軸方向に貫通して圧入したものである。剛体板33の軸方向長さは、固定子鉄心9の軸方向長さと同じにしてある。
圧入した剛体板33は、剛体板表面とスリット内面との摩擦により固定子鉄心9の結束力を高め、変形を防止する効果を発揮する。周方向スリット32は周方向に長く、径方向には短くしてあり、圧入する剛体板33には磁性を有する材料を使用している。このため、剛体板33を圧入した補助の結束部位31a〜31eは、周方向に流れる磁束の妨げにはならない。
主たる結束部位である6個の結束部位22a〜22fは、第2の実施形態で説明した制約条件を満たしている。こうしたことから本実施形態の回転電機1eは、うず電流の発生が少なく、3相コイルのインダクタンスが平衡し、且つ強い結束力が得られる効果を奏する。
なお、上記説明では第2の実施形態で説明した図3の回転電機1bに適用した例を取りあげたが、前記第1〜第4の各実施形態で説明した回転電機にも同様の補助の結束を行なえることは明らかである。
(第6の実施形態)
本実施形態は、前記第5の実施形態の変形実施形態であり、前記補助の結束部位における結束強度の一層の強化を図ったものである。図7は、本実施形態の補助の結束部位31に設けた周方向スリット32の縦断面を示したものである。周方向スリット32に圧入する剛体板33の長さを、固定子鉄心9の軸方向長さより長くして両端面よりはみ出させ、はみ出させた部分を折り曲げて固定子鉄心9の両端面に密着させている。
積層する固定子鉄心片13が薄い場合には、一枚一枚の剛性が弱いため積層した最外層の鉄心片にたわみ、めくれ、積層方向への逃げなどが生じ易い。本実施形態は、固定子鉄心片13が薄い場合に生ずるそうした不具合に対処するため、剛体板33の両端を折り曲げて面圧を積層方向に加えている。これにより、固定子鉄心片13が薄い場合においても、十分な結束力を確保することができる。
(第7の実施形態)
本実施形態は、前記第6の実施形態における補助の結束部位における結束力の更なる強化を図ったものである。図8に示すように、固定子鉄心9の両端面位置に積層した固定子鉄心片(最外層の固定子鉄心片)13aの板厚を、他の層の固定子鉄心片より厚くしてある。
このように最外層の固定子鉄心片13aの板厚を厚くしておけば、最外層の鉄心片のたわみ、めくれ、積層方向への逃げなどを防止することができる。また、最外層の板厚が厚いため、中間層には極めて薄い固定子鉄心片を使用することができる。そのように極めて薄い固定子鉄心片を使用することができれば、うず電流損失を一層減少させることが可能となる。
(第8の実施形態)
前記第1〜第7の各実施形態においては、結束部位の数及びその位置を回転子の磁極数と固定子鉄心に設けるスロットの数との関係で決定した。そして、それにより隣り合う結束部位間に形成される閉ループ電流経路に鎖交する磁束鎖交数の時間変化を少なくし、うず電流の発生を抑えた。
しかし、そのように結束部位の数と位置とを磁極数とスロット数に関係付けなくても、隣り合う結束部位間に形成される閉ループ電流経路に鎖交する磁束鎖交数そのものを少なくすることができればうず電流の発生を抑えることができる。
第1の実施形態で説明したように、隣り合う結束部位間に形成される閉ループ電流経路に鎖交する磁束は、図1の結束部位15a、15bに存在する軸方向の短絡経路(例えば、パイプかしめにおけるパイプ)を一周する磁路の磁束のみである。この結束部位における軸方向の短絡経路を一周する磁束の大部分は、各結束部位外周面と固定子鉄心9の外周面との間の鉄心部分を通過する磁束である。従って、結束部位15a、15bの外側部分の鉄心を通過する磁束数を少なくすれば、うず電流の発生を少なくすることができる。
以下に説明する数種類の構成は、このような考えに基づいてうず電流の発生を少なくしようとするものである。図9は、結束部位37と固定子鉄心9の外周面との中間部分に径方向に延びる径方向スリット39を軸方向に貫通して設けたものである。径方向スリット39内の空隙は透磁率が低いため磁気抵抗が大きく、磁束の通過を妨げる。これにより結束部位37を一周する磁束は少なくなり、隣り合う結束部位間に形成される閉ループ電流経路に鎖交する磁束が減少してうず電流の発生が少なくなる。
図10は、図9における径方向スリット39の内部に非磁性の剛体板40を軸方向に貫通して圧入したものである。圧入は、剛体板40の厚みを径方向スリット39の厚みより僅かに厚く形成しておいて行なう。圧入した剛体板40は、剛体板表面とスリット内面との摩擦により固定子鉄心9の結束力を高め、変形を防止する効果を発揮する。
剛体板40には非磁性の材料、例えば16−6ステンレス、ガラス積層体等を使用する。このような非磁性材料を使用すれば、剛体板40を圧入した径方向スリット39は磁気抵抗が大きくなって磁束の通過を妨げる。従って、隣り合う結束部位間に形成される閉ループ電流経路に鎖交する磁束が減少してうず電流の発生が少なくなる効果がもたらされる。
図11、図12は、図10に示した径方向スリット39に剛体板40を圧入する実施形態を変形したものである。この実施形態は径方向スリット39の断面形状を図11に示すように固定子鉄心9の外周面側が丸みを帯びた形状とし、長手方向幅を径方向スリット39の矩形断面部の長手方向長さより長くした非磁性の剛体板40を圧入したものである。図12は圧入後の状態を示している。剛体板40の厚みは、径方向スリット39の幅より若干薄くしておくと圧入し易い。
圧入された剛体板40は、径方向スリット39と固定子鉄心9の外周面間に残る鉄心部分(架橋部)41を押し曲げてスリット幅を収縮させ、剛体板40と固定子鉄心9とを密着させる。その結果、剛体板表面とスリット内面との摩擦により固定子鉄心9の結束力が強まり、変形が防止される効果を発揮する。
剛体板40には非磁性の材料を使用するので、剛体板40を圧入した径方向スリット39は磁気抵抗が大きくなって磁束の通過を妨げる。従って、隣り合う結束部位間に形成される閉ループ電流経路に鎖交する磁束が減少してうず電流の発生が少なくなる効果がもたらされる。
なお、剛体板40を圧入する前の架橋部41は、図11に示すように固定子鉄心9の外周面側が内側に凹ませて形成してある。これは剛体板40を圧入した際に、架橋部41が外側に変形して固定子鉄心9の外周面から飛び出るのを防止するためである。飛び出しがあると固定子鉄心9の外周面が揃わず、フレームへの組み込みに支障をきたす。
図13、図14は、前述した図9の構成を変形した実施形態である。この実施形態では径方向スリット39を図13に示すように固定子鉄心9の外周面に達する開放スリットに形成する。そして、その開放部を塞ぐように開放部両側の鉄心部間に溶接を行なって架橋部41を設ける。図14は溶接後の状態を示している。
溶接により径方向スリット39の端部及びその周辺部の鉄心が溶融収縮するため、強度が向上するとともにメインの結束部位37に収縮応力を発生させてその結束力を強くする効果を発揮する。溶接により径方向スリット39の開放部を塞いで架橋部41を形成する場合、図13に示すように径方向スリット39の開放部幅を狭くしたり、径方向スリット39の開放部両端鉄心部に外周面側に凸形となる突起42を形成したりしておくとよい。そうしておけば架橋部41の鉄量(ビード)を確保できるため溶接時の鉄心の収縮による変形を低減でき、適正な寸法、形状、そして鉄心の良好な磁気特性を確保することができる。
この実施形態の場合も径方向スリット39内の透磁率の低い空隙が磁束の通過を妨げる。従って、結束部位37を一周する磁束が少なくなり、隣り合う結束部位間に形成される閉ループ電流経路に鎖交する磁束が減少してうず電流の発生が少なくなる効果がもたらされる。
図15、図16は、前述した図13、図14の更なる変形実施形態である。この実施形態では、径方向スリット39を固定子鉄心9の外周面に達する開放スリットに形成し、そこに非磁性の剛体板40を軸方向に貫通して装着する。その後で、その剛体板40の固定子鉄心外周側端部と径方向スリット39の開放部両側の鉄心部とを一体に溶接する。
図15は溶接前の状態で、開放スリットに形成した径方向スリット39に非磁性の剛体板40を軸方向に貫通して装着した状態を示している。剛体板40は、径方向スリット39の開放部より端部が少しはみ出る長さに形成しておく。溶接は、そのはみ出した部分と径方向スリット39の開放部両側の鉄心部間とを一体にするように施す。図16は溶接後の状態を示している。
溶接により剛体板40のはみ出した部分と鉄心部分とが一体となって溶融収縮する。これにより強度が向上するとともにメインの結束部位37に収縮応力が発生して結束力が更に強化される効果が得られる。図15に示す溶接前の状態では、径方向スリット39の開放端と剛体板40のはみ出した部分の端面とを固定子鉄心9の外周面より内側に逃がしてあるが、これは溶接ビードが固定子鉄心9の外周面から飛び出るのを防止するためである。飛び出しがあると固定子鉄心9の外周面が揃わず、フレームへの組み込みに支障をきたす場合があるからである。
この実施形態の場合も径方向スリット39に挿入する剛体板40には非磁性の材料を使用するので、溶接後の径方向スリット39は磁気抵抗が大きくなって磁束の通過を妨げる。従って、隣り合う結束部位間に形成される閉ループ電流経路に鎖交する磁束が減少し、うず電流の発生が少なくなる効果がもたらされる。
第1の実施形態に係る回転電機1の軸芯2に直角な断面図である。 回転子4の磁極数が6個の回転電機1aについてのうず電流の発生が少なくなる結束部位15a、15bの配置例である。 回転子4の磁極数が10、スロット数が30の回転電機1bについての理想状態に準ずる結束部位20a〜20fの配置例である。 回転子4の磁極数が20、スロット数が60の回転電機1cについての理想状態に準ずる結束部位25a〜25lの配置例である。 回転子4の磁極数が14、スロット数が42の回転電機1dについての理想状態に準ずる結束部位28a〜28fの配置例である。 補助の結束を施した回転電機1eの断面図である。 補助の結束部位31に設けた周方向スリット32の縦断面である。 固定子鉄心9の両端面位置に積層した固定子鉄心片13aの板厚を他の層の固定子鉄心片より厚くした例である。 結束部位37と固定子鉄心9の外周面との中間部分に径方向に延びる径方向スリット39を設けた例である。 図9における径方向スリット39の内部に非磁性の剛体板40を軸方向に貫通して圧入した例である。 長手方向幅を径方向スリット39の矩形断面部の長手方向長さより長くした非磁性の剛体板40を圧入する前の状態を示す図である。 図11の径方向スリット39に長手方向幅を径方向スリット39の矩形断面部の長手方向長さより長くした非磁性の剛体板40を圧入した後を示す図である。 径方向スリット39を固定子鉄心9の外周面に達する開放スリットに形成した状態を示す図である。 図13に示す径方向スリット39の開放部を塞ぐように開放部両側の鉄心部間に溶接を行なった後の状態を示す図である。 径方向スリット39を固定子鉄心9の外周面に達する開放スリットに形成して非磁性の剛体板40を軸方向に貫通して装着した状態を示す図である。 図15に示す剛体板40の固定子鉄心9外周側端部と径方向スリット39の開放部両側の鉄心部とを一体に溶接した後の状態を示す図である。 従来技術に係る図1相当図である。
符号の説明
図面中、1、1a、1b、1c、1eは回転電機、3は固定子、4は回転子、6は回転子鉄心、7は永久磁石、9は固定子鉄心、11、19a〜19c、23a〜23f、26a〜26l、29a〜29fはスロット、13、13aは固定子鉄心片、15a、15b、20a〜20c、22a〜22f、25a〜25l、28a〜28fは結束部位、31、31a〜31fは補助の結束部位、32は周方向スリット、33、40は剛体板、39は径方向スリット、41は架橋部を示す。

Claims (13)

  1. 回転電機用に所定形状に形成した固定子鉄心片を所望の厚さに積層し、パイプかしめ、外周溶接、クランプ等により結束して構成した外面円筒状の固定子鉄心において、
    固定子鉄心の結束部位を、固定子鉄心の周方向に等間隔で、且つ隣り合う結束部位間のなす中心角が組み合わせる回転子の2磁極分のなす中心角の整数倍となるように配置したことを特徴とする固定子鉄心。
  2. 回転電機用に所定形状に形成した固定子鉄心片を所望の厚さに積層し、パイプかしめ、外周溶接、クランプ等により結束して構成した外面円筒状の固定子鉄心において、
    組み合わせる回転子の磁極数が10である場合には、固定子巻線を通すスロットの数を30とし、固定子鉄心の結束部位は固定子鉄心の周方向に等間隔でその数を6としたことを特徴とする固定子鉄心。
  3. 回転電機用に所定形状に形成した固定子鉄心片を所望の厚さに積層し、パイプかしめ、外周溶接、クランプ等により結束して構成した外面円筒状の固定子鉄心において、
    組み合わせる回転子の磁極数が20である場合には、固定子巻線を通すスロットの数を60とし、固定子鉄心の結束部位は固定子鉄心の周方向に等間隔でその数を12としたことを特徴とする固定子鉄心。
  4. 回転電機用に所定形状に形成した固定子鉄心片を所望の厚さに積層し、パイプかしめ、外周溶接、クランプ等により結束して構成した外面円筒状の固定子鉄心において、
    組み合わせる回転子の磁極数が14である場合には、固定子巻線を通すスロットの数を42とし、固定子鉄心の結束部位は固定子鉄心の周方向に等間隔でその数を6としたことを特徴とする固定子鉄心。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載の固定子鉄心において、前記結束部位の隣り合う結束部位の中間位置に、周方向に延びる周方向スリットを軸方向に貫通して設け、該周方向スリットに磁性を有する剛体板を軸方向に貫通して圧入したことを特徴とする固定子鉄心。
  6. 請求項5に記載の固定子鉄心において、前記周方向スリットに圧入する剛体板は、固定子鉄心の軸方向長さより長くして両端面よりはみ出させ、該はみ出させた部分を折り曲げて固定子鉄心の両端面に密着させたことをと特徴とする固定子鉄心。
  7. 請求項6に記載の固定子鉄心において、固定子鉄心の両端面位置に積層した前記固定子鉄心片は、他の層の固定子鉄心片より板厚を厚くしたことを特徴とする固定子鉄心。
  8. 回転電機用に所定形状に形成した固定子鉄心片を所望の厚さに積層し、パイプかしめ、クランプ等により結束して構成した外面円筒状の固定子鉄心において、
    前記各結束部位を固定子鉄心の外周面より内側に入った部分に設け、該結束部位と固定子鉄心の外周面との間部分に径方向に延びる径方向スリットを軸方向に貫通して設けたことを特徴とする固定子鉄心。
  9. 請求項8に記載の固定子鉄心において、前記径方向スリットには、更に非磁性の剛体板を軸方向に貫通して圧入したことを特徴とする固定子鉄心。
  10. 請求項9に記載の固定子鉄心において、前記径方向スリットの断面形状は、固定子鉄心の外周面側を丸みを帯びた形状とし、前記非磁性の剛体板として長手方向幅が前記径方向スリットの矩形断面部の長手方向長さより長い板を使用したことを特徴とする固定子鉄心。
  11. 請求項8に記載の固定子鉄心において、前記径方向スリットは固定子鉄心の外周面に達する開放スリットに形成し、該開放スリットの開放部を塞ぐように開放部両側の鉄心部間に溶接を施したことを特徴とする固定子鉄心。
  12. 請求項8に記載の固定子鉄心において、前記径方向スリットは固定子鉄心の外周面に達する開放スリットに形成し、該開放スリットに非磁性の剛体板を軸方向に貫通して装着し、該剛体板の固定子鉄心外周側端部と前記開放スリットの開放部両側の鉄心部とを一体に溶接したことを特徴とする固定子鉄心。
  13. 請求項1乃至12の何れかに記載の固定子鉄心を用いて構成したことを特徴とする回電機。
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