JP2007234537A - 導体ペーストおよびセラミック多層基板製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】銀、金および銀−パラジウム合金からなる群から選ばれる1種以上の金属の粉末、ガラス粉末およびSi粉末を含有する導体ペーストであって、Si粉末の平均粒径が0.5〜1.5μmである導体ペースト。複数のセラミックグリーンシートが積層され、その隣り合うセラミックグリーンシートの少なくとも1対の間に、焼成されて内層導体となる導体ペースト層が形成されているセラミックグリーンシート積層体を焼成し、内層導体を有するセラミック多層基板を製造する方法であって、導体ペースト層が前記導体ペーストからなるセラミック多層基板製造方法。
【選択図】図1
Description
図1はセラミック多層基板の一種であるUWB向けの代表的なアンテナの断面の概念図である。アンテナ10はその本体であるガラスセラミックス層(セラミックス層)11の積層体と、その内部に配線される内層導体2、多層化されているために必要となる縦方向のパターンを電気的に接合するためのビア導体3およびアンテナへの給電やこれと接合すべき基板とのハンダ付けに用いられる表層導体1とを有する。
しかし、この方法には電極材料が高価になる、比抵抗が高くなる、などの問題がある。
しかし、この方法には、製造装置が高価になるだけでなく、特許文献4に記載されているように、酸素分圧を正確に制御しなければ誘電体が還元されて性能劣化を生じる可能性がある、などの問題がある。
しかし、この方法には、製造装置が高価になるだけでなく、急激な昇温によりセラミック多層基板内の残留カーボンが多くなったり、気泡が基板内から抜けずに留まる、などの問題が生じる。
また、複数のセラミックグリーンシートが積層され、その隣り合うセラミックグリーンシートの少なくとも1対の間に、焼成されて内層導体となる導体ペースト層が形成されているセラミックグリーンシート積層体を焼成し、内層導体を有するセラミック多層基板を製造する方法であって、導体ペースト層が前記導体ペーストからなるセラミック多層基板製造方法を提供する。
しかし、粒径の小さなシリコン(Si)粉末を添加することによって導体の比抵抗を顕著に上昇させることなく誘電体への銀の拡散を低下させることができることを見出し、本発明に至った。
また、セラミックス層が薄い場合でも短絡が発生しにくくなり、または絶縁抵抗の劣化が起こりにくくなる。
本発明のセラミック多層基板製造方法はLTCC技術を用いて行われることが一般的で、焼成は通常850〜910℃で行われる。
内層導体は通常、配線パターンとして形成され、典型的には導電線路となる。導電線路を例にとると、それに相当する導体ペースト層はスクリーン印刷法によって形成された場合、その断面形状は山型であり、その山裾部の厚みは中央部の厚みに比べて小さい。
これに対し、本発明の導体ペーストで金属粉末が銀粉末であるものを用いて導電線路を形成すると、イオン化してセラミックス層に拡散して溶け込む銀が少なくなるので導電線路幅の顕著な減少を抑制できると考えられる。
本発明の導体ペーストの金属粉末は典型的には銀粉末である。以下では主にこの典型的な場合を例にとって説明する。
平均粒径が0.5μm未満ではSi粉末が導体ペースト中で凝集しやすくなって銀の拡散抑制効果が小さくなる。典型的には0.8μm以上である。1.5μm超ではSi粉末の比表面積が小さくなって銀の拡散抑制効果が小さくなる。典型的には1.2μm以下である。
金属粉末とガラス粉末の質量の合計を100質量部として、前記その他の粉末の含有割合は2質量部以下であることが好ましい。
金属粉末の質量割合が98.5質量部未満では焼成時のガラス粉末の軟化流動にともなってたとえば銀がセラミックス層に拡散しやすくなる、または導体の比抵抗が大きくなる。同質量割合は99.5質量部以下であることが好ましい。99.5質量部超ではガラス粉末が質量割合が小さくなり、導体とセラミックス層の密着力が弱くなり、焼成時に導体が剥離するおそれがある。
有機質ワニスの含有割合が3%未満では、焼成前の塗膜強度が不十分になる、またはペースト粘度が高くなり印刷性が低下するおそれがある。20%超では導体内部に空隙が多くなり比抵抗が大きくなる、またはペースト粘度が小さくなりすぎ印刷性がかえって低下するおそれがある。典型的には10%以下である。
有機質ワニスは通常アクリルやセルロースなどの樹脂をαテレピネオールやブチルカルビトールアセテートなどの高沸点溶剤で溶いたものである。典型的には樹脂成分が10〜30質量%程度含まれ残りは溶剤である。
まず、モル%表示組成が、SiO2 30.5%、B2O3 22.0%、Al2O3 6.6%、ZnO 18.2%、CaO 7.8%、BaO 14.9%であるガラス粉末Aを用意した。なお、このガラス粉末は、原料を溶融して得られた溶融ガラスを流し出し冷却し、その後粉砕して製造したフレーク状のものであり、平均粒径は1μmであった。
このスラリーをPETフィルム上にドクターブレード法によって塗布し、乾燥して厚みが200μmのセラミックグリーンシートGS−Aを得た。
また、金属粉末として徳力化学研究所社製銀粉末AgF−5(平均粒径:5μm)を用意した。
なお、Ts、Tcは次のようにして示差熱分析により測定した。すなわち、島津製作所社製DTA−50を用い、その白金容器にガラス粉末を30mg充填し、1分間につき10℃のスピードで900℃まで昇温した。その時の発吸熱曲線から第2吸熱部の裾の温度および発熱が最高になる温度を読み取り、それぞれをTsおよびTcとした。
例2〜4、6〜10の導体ペーストは実施例、例1、5の導体ペーストは比較例である。
このセラミックグリーンシート積層体について、室温から550℃まで5時間、550℃から875℃まで30分で昇温し、875℃にて1時間30分保持する焼成を行って、セラミック多層基板を得た。
この導体パターンの電気抵抗Rをアドバンテスト社製デジタルマルチメーターによって測定し、導体断面積Sを導体線条断面の走査型電子顕微鏡観察によって求めた。
R、Sおよび導体線条の長さLを用いてR×S÷Lを算出し、これを比抵抗とした。結果を表1、2に示す(単位:μΩ・cm)が、比抵抗は3μΩ・cm以下であることが好ましい。
同様にして例2〜10の導体ペーストについても線幅減少率と比抵抗を測定した。
2:内層導体
3:ビア導体
10:セラミック多層基板
11:ガラスセラミックス層
Claims (6)
- 銀、金および銀−パラジウム合金からなる群から選ばれる1種以上の金属の粉末、ガラス粉末およびSi粉末を含有する導体ペーストであって、Si粉末の平均粒径が0.5〜1.5μmである導体ペースト。
- 前記金属の粉末の質量とガラス粉末の質量の合計を100質量部としてその金属の粉末の質量割合が98.5質量部以上、Si粉末の質量割合が0.1〜1.5質量部である請求項1に記載の導体ペースト。
- ガラス粉末の軟化点が700〜850℃である請求項1または2に記載の導体ペースト。
- 請求項1、2または3に記載の導体ペーストであって、焼成して得られる導体の比抵抗が3μΩ・cm以下である導体ペースト。
- 複数のセラミックグリーンシートが積層され、その隣り合うセラミックグリーンシートの少なくとも1対の間に、焼成されて内層導体となる導体ペースト層が形成されているセラミックグリーンシート積層体を焼成し、内層導体を有するセラミック多層基板を製造する方法であって、導体ペースト層が請求項1〜4のいずれかに記載の導体ペーストからなるセラミック多層基板製造方法。
- 請求項5に記載のセラミック多層基板製造方法であって、前記隣り合うセラミックグリーンシートの一方の表面に前記導体ペーストをスクリーン印刷法によって塗布して導体ペースト層とするセラミック多層基板製造方法。
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