本発明の一実施形態である光ディスク記録再生装置の構成について、図4〜図7を参照しつつ説明する。
図4は、上記光ディスク記録再生装置の要部構成を示している。また、図5は、光ディスク記録再生装置30における光ピックアップ7の要部構造を示している。光ディスク記録再生装置30は、光ディスク1に対して情報の記録および再生を行う装置である。なお、光ディスク1は光学ディスクであればよく、例えば光磁気ディスクなど、その種類は限定されるものではない。
図4に示されるように、光ディスク記録再生装置30は、光ピックアップ7、各種のモータ8・11・22、各種のドライバ10・12・13・14・23・25、RF(高周波)処理回路9、各種の制御回路15・16・18、信号処理回路17、および各種の外部I/F(インターフェース)19を備えている。光ディスク記録再生装置30は、ホストインターフェース19を介してホストコンピュータ20と接続している。また、光ディスク記録再生装置30は、表示装置21と接続している。
まず、光ディスク記録再生装置30の駆動部分について説明する。スピンドルモータ11は、光ディスク1を回転駆動するものである。スピンドルモータ11には、モータの回転に伴ってパルス信号を発生する回路が内蔵されており、このパルス信号がサーボ機構用DSP(Digital Signal Processor)16に送信される。
光ピックアップ7は、光ディスク1に光ビームを照射して光ディスク1に対して情報の記録・再生を行うものである。スレッドモータ8は、光ピックアップ7を光ディスク1に対してラジアル方向に駆動させるものである。また、チルトモータ22は、光ディスク1に対する光ピックアップ7の傾きを調整するものである。
光ピックアップ7は、図4および図5に示されるように、対物レンズ2、アクチュエータ3、半導体レーザ(LD)4、光検出器(PD)5・6、チルトセンサ24、コリメートレンズ26、コリメートレンズ駆動機構27、ビームスプリッタ28、およびミラー32を備えている。
半導体レーザ4は、光ディスク1に光ビームを照射するための光源であり、光ビームを出射する。なお、半導体レーザ4から出射される光ビームの波長は、DVD(Digital Versatile Disk)などの規格によって規定される。
ビームスプリッタ28は、半導体レーザ4から出射された光ビームの一部を反射して光検出器5に導くと共に、残りの大部分を透過するものである。また、ビームスプリッタ28は、光ディスク1からの反射光を反射して、光検出器6に導くものである。なお、ビームスプリッタの代わりにホログラムを利用することもできる。
光検出器5・6は、受光素子を有し、受光素子に入射した光を電気信号に変換するものである。光検出器5は、半導体レーザ4からの直接光を検出するためのものであり、検出した信号を自動出力制御回路15に送信する。一方、光検出器6は、光ディスク1からの反射光を検出するためのものであり、検出したサーボエラー信号、RF信号、ウォブル信号などの各種信号をRF処理回路9に送信する。
ここで、RF信号およびウォブル信号は、光ディスク1に記録されている信号(再生信号)である。RF信号は光ディスク1に記録されたデータを示すものであり、ウォブル信号は光ディスク1上のアドレスを示すものである。なお、通常、光検出器5は1個の受光素子を有し、光検出器6は複数個の受光素子を有する。
コリメートレンズ26は、半導体レーザ4から出射され、ビームスプリッタ28を通過した光ビームを、集光して略平行光に変換するものである。本実施形態では、コリメートレンズ26は、光ディスク1に照射される光ビームの球面収差を補正するため、コリメートレンズ駆動機構27によって光軸方向に移動可能となっている。
コリメートレンズ駆動機構27は、図5に示されるように、回転力を発生するステッピングモータであるコリメートレンズ駆動モータ33と、ステッピングモータであるコリメートレンズ駆動モータ33の回転軸から歯車などを介して回転力が伝達される送りネジ34と、送りネジ34に螺合すると共にコリメートレンズ26を保持するホルダ35とを備えている。送りネジ34は、その軸方向がコリメートレンズ26の光軸方向と平行となるように設けられている。これにより、送りネジ34における回転運動が、ホルダ35にてコリメートレンズ26の光軸方向への直線運動に変換され、その結果、コリメートレンズ26を光軸方向に移動させることができる。
ミラー32は、図5に示されるように、コリメートレンズ26と対物レンズ2との間に配置されており、コリメートレンズ26からの光ビームを屈曲させて対物レンズ2に導くと共に、対物レンズ2からの光ビームを屈曲させてコリメートレンズ26に導くためのものである。
対物レンズ2は、半導体レーザ4からの光ビームを光ディスク1に集光し、光ディスク1からの反射光を光検出器6へ導くためのものである。この対物レンズ2は、アクチュエータ3によって駆動される。
アクチュエータ3は、対物レンズ2を駆動するものである。アクチュエータ3は、アクチュエータドライバ13によって駆動制御される。
具体的には、アクチュエータ3は、対物レンズ2の光軸方向であるフォーカス方向と、光ディスク1の径方向であるラジアル方向とに対物レンズ2を駆動するものである。アクチュエータ3は、対物レンズ2の駆動機構として、対物レンズ2をフォーカス方向に駆動するボイスコイルであるフォーカスコイル52(図6参照)と、対物レンズ2をラジアル方向に駆動するボイスコイルであるトラッキングコイル56(図7参照)とを備えている。なお、アクチュエータ3の駆動機構としては、ボイスコイル以外にも公知の駆動機構を利用できる。
チルトセンサ24は、光ピックアップ7と光ディスク1との間のチルト角を検出するためのセンサである。ここで、チルト角とは、光ディスク1の記録面の法線方向と、対物レンズ2の光軸方向とがなす角度をいう。チルト角が大きいと記録および/または再生の品質が低下することになる。そこで、チルトセンサ24にてチルト角(チルトエラー)を検出し、チルト角に基づいてチルトモータ22が光ピックアップ7の傾きを調整している。これにより、最適な記録および/または再生の品質を維持することができる。
次に、光ディスク記録再生装置30の回路部分について説明する。スレッドドライバ10、スピンドルモータドライバ12、アクチュエータドライバ13、チルトドライバ23、およびコリメートレンズ駆動モータドライバ25は、それぞれ、スレッドモータ8、スピンドルモータ11、アクチュエータ3、チルトモータ22、およびステッピングモータであるコリメートレンズ駆動モータ33を駆動制御するものである。
また、レーザドライバ14は、半導体レーザ4を駆動制御するものである。また、自動出力制御回路(APC)15は、光検出器5が検出したレーザ光の検出レベルと、基準となる基準レベルとを比較し、比較結果に基づいてレーザドライバ14を制御して、レーザ光の出力が一定となるようにする。具体的には、APC回路15は、検出レベルが基準レベルよりも大きいときにレーザ光の出力を下げ、検出レベルが基準レベルよりも小さいときにレーザ光の出力を上げるようにレーザドライバ14を制御する。
また、レーザドライバ14は、光ディスク1にデータを記録する場合、信号処理回路17から受信した記録用信号に基づいて半導体レーザ4を駆動制御する。この記録時の半導体レーザ4は、パルス発光しているが、記録のためのパワーで発光しているため、再生時に比べると光検出器6で検出される光ディスク1からの反射信号のレベルが大きくなってしまう。このため、光検出器6は、再生時と記録時とでゲイン切替えを行う機能を有している。これにより、記録時にRF処理回路9に送られるサーボエラー信号のレベルが増大することを防止している。なお、記録時には、APC回路15は、記録に適したパワーで半導体レーザ4が発光するようにAPC動作がなされる。
また、レーザドライバ14は、光ディスク1にデータを記録する場合、ライトストラテジ処理を行う。ライトストラテジ処理とは、記録用信号を実際に光ディスク1に記録するとき、光ディスク1の微妙な違いに合わせて記録方法を変更する処理をいう。ライトストラテジ処理は、光ディスク1への記録が熱記録であることを利用している。ライトストラテジ処理により、記録性能を向上させることができる。
RF処理回路9は、光検出器6から送られる信号に対し、電流信号から電圧信号へのIV変換を行うものである。RF処理回路9は、変換した電圧信号を、信号処理回路17へ出力し、A/D変換器(図6および図7を参照)を介してサーボ用DSP16へ出力する。
より詳細には、RF処理回路9は、光検出器6からの上記再生信号に対し、IV変換を行い、波形の整形処理を行った後、信号処理回路17に送信する。また、RF処理回路9は、光検出器6からの信号に基づいて、対物レンズに対するフォーカスサーボ、トラッキングサーボ等の各種サーボ用のエラー信号を生成する。RF処理回路9は、生成した各種サーボ用のエラー信号をサーボ用DSP16に送信する。
サーボ用DSP(光ピックアップの制御装置)16は、光検出器6からRF処理回路9を介して受信したエラー信号に基づき各種の演算処理を行い、演算結果に基づいて、アクチュエータ3を駆動するための駆動指示信号を生成し、アクチュエータドライバ13に送信する。アクチュエータドライバ13は、上記駆動指示信号に基づいて、アクチュエータ3を駆動制御する。これにより、アクチュエータ3に対するサーボ制御が行われる。なお、アクチュエータ3に対するサーボ制御には、対物レンズ2の光軸方向へのサーボ制御であるフォーカスサーボと、光ディスク1の径方向への対物レンズ2のサーボ制御であるトラッキングサーボとがあるが、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボの詳細については後述する。
また、サーボ用DSP16は、光ディスク1の或るトラックにジャンプするよう指示するジャンプ指示信号をシステムコントローラ18から受信すると、受信したジャンプ指示信号に基づいて、スレッドモータ8を駆動するためのスレッド駆動指示信号を生成し、スレッドドライバ10に送信する。スレッドドライバ10は、受信したスレッド駆動指示信号に基づいて、スレッドモータ8を駆動制御する。なお、サーボ用DSP16は、トラッキングサーボのエラー信号に基づいて、スレッドモータ8を駆動するためのスレッド駆動指示信号を生成し、スレッドドライバ10に送信してもよい。この場合、光ピックアップ7に対するトラッキングサーボが行われる。
また、サーボ用DSP16は、スピンドルモータ11から受信したパルス信号に基づいて、スピンドルモータ11を適当な回転速度で駆動するための駆動指示信号を生成してスピンドルモータドライバ12に送信する。スピンドルモータドライバ12は、受信した駆動指示信号に基づいて、スピンドルモータ11を駆動制御する。
また、サーボ用DSP16は、チルトセンサ24からRF処理回路9を介して受信したチルトエラー信号に基づいて、光ピックアップ7を適当な傾きに駆動するためのチルト駆動指示信号を生成してチルトドライバ23に送信する。チルトドライバ23は、受信したチルト駆動指示信号に基づいて、チルトモータ22を駆動制御する。
また、サーボ用DSP16は、光検出器6からRF処理回路9を介して受信した球面収差のエラー信号に基づき、コリメートレンズ26を駆動するための駆動指示信号を生成し、コリメートレンズ駆動モータドライバ25に送信する。コリメートレンズ駆動モータドライバ25は、上記駆動指示信号に基づいて、コリメートレンズ駆動機構27(ステッピングモータであるコリメートレンズ駆動モータ33)を駆動制御する。これにより、コリメートレンズ26に対するサーボ制御、すなわち球面収差サーボが行われる。なお、球面収差サーボの詳細については後述する。
一方、信号処理回路17は、再生信号の中のRF信号に対し、復調、波形整形などの処理を行い、さらにエラー訂正処理を行って、元のデータを再生する。再生したデータは、信号処理回路17からホストインターフェース19を介してホストコンピュータ20に送信される。
同様に、信号処理回路17は、再生信号の中のウォブル信号に対し、復調、波形整形、エラー訂正などの処理を行って、アドレス信号を再生する。再生したアドレス信号は、信号処理回路17からシステムコントローラ18に送信され、システムコントローラ18にてアドレス情報として利用される。
また、信号処理回路17は、RF信号およびウォブル信号のそれぞれからクロック信号を生成する。このクロック信号から同期信号が生成される。例えば、上記クロック信号は、サーボ用DSP16に送信され、RF信号に同期してスピンドルモータ11の回転を制御するために利用される。
また、信号処理回路17は、光ディスク1にデータを記録する場合、ホストコンピュータ20からのデータを、ホストインターフェース19を介して受信する。信号処理回路17は、受信したデータに対し、エラー訂正のためのフラグを追加し、さらに変調処理を行った後、レーザドライバ14に記録用信号として送信する。
システムコントローラ18は、光ディスク記録再生装置30における各種構成を統括制御するためのものである。システムコントローラ18の機能は、例えばRAMやフラッシュメモリなどの記憶装置に記憶されたプログラムをCPUが実行することによって実現される。
次に、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、および球面収差サーボの詳細について図6および図7を参照しつつ説明する。図6は、光ディスク記録再生装置30におけるフォーカスサーボおよび球面収差サーボに関する構成を示している。図7は、光ディスク記録再生装置30におけるトラッキングサーボに関する構成を示している。
図6および図7に示されるように、サーボ用DSP16は、サーボコントローラ(駆動制御部)40、エラー信号生成回路(収差エラー信号取得部)41、フォーカスサーボ各種補償回路42、ランプ回路43、収差サーボ各種補償回路44、ジャンプ制御回路45、ステッピングモータ制御回路46、トラッキングサーボ各種補償回路47、トラックジャンプ制御回路48、および各種スイッチSW1〜SW6を備える構成である。
サーボコントローラ40は、サーボ用DSP16における各種構成を統括制御するものである。具体的には、サーボコントローラ40は、システムコントローラ18からの指示信号や、エラー信号生成回路41からの各種のエラー信号に基づいて、フォーカスサーボ各種補償回路42およびトラッキングサーボ各種補償回路47を制御したり、スイッチSW1〜SW6の入切または切り替えを制御したりするものである。なお、サーボコントローラ40の詳細については後述する。
エラー信号生成回路41は、光検出器6からRF処理回路9(図4参照)およびA/D変換器36を介して受信したエラー信号に基づき各種の演算処理を行い、演算結果に基づいて、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、および収差エラー信号を生成するものである。エラー信号生成回路41は、フォーカスエラー信号をフォーカスサーボ各種補償回路42に、トラッキングエラー信号をトラッキングサーボ各種補償回路47に、収差エラー信号を収差サーボ各種補償回路44にそれぞれ送信する。また、エラー信号生成回路41は、生成したフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、および収差エラー信号をサーボコントローラ40に送信する。
フォーカスサーボ各種補償回路42は、フォーカスエラー信号に基づいて、アクチュエータ3のフォーカスコイル52を駆動するための駆動指示信号を生成する。このとき、フォーカスサーボ各種補償回路42は、フォーカスコイル52を最適に駆動するために各種の補償を行う。この補償の例としては、位相補償、利得補償などが挙げられる。
ランプ回路43は、動作前の初期位置からフォーカスサーボを行う位置に対物レンズ2を移動させるための駆動指示信号を生成するものである。
スイッチSW2は、フォーカスサーボ各種補償回路42からの駆動指示信号と、ランプ回路43からの駆動指示信号とを、サーボコントローラ40からの指示に基づき切り替えるものである。また、スイッチSW1は、フォーカスサーボ各種補償回路42またはランプ回路43からの駆動指示信号をアクチュエータドライバ13に送信するか否かを、サーボコントローラ40からの指示に基づき選択するものである。スイッチSW1によりフォーカスサーボのオン/オフが行われる。
フォーカスサーボ各種補償回路42またはランプ回路43から、スイッチSW2およびスイッチSW1を介しての駆動指示信号は、D/A変換器50にてアナログ信号に変換された後、アクチュエータドライバ13のフォーカス用ドライバ51に入力される。フォーカス用ドライバ51は、上記駆動指示信号を適当な信号レベルに変換して、フォーカスコイル52に入力することにより、フォーカスコイル52を駆動制御する。これにより、対物レンズ2を光軸方向の所望位置に移動できる。
一方、収差サーボ各種補償回路44は、収差エラー信号に基づく位置にコリメートレンズ26を移動するための移動指示信号を生成する。このとき、収差サーボ各種補償回路44は、コリメートレンズ駆動モータ33を最適に駆動するために各種の補償を行う。この補償の例としては、位相補償、利得補償などが挙げられる。
ジャンプ制御回路45は、動作前の初期位置から収差サーボを行う位置にコリメートレンズ26を移動させるための移動指示信号を生成するものである。
スイッチSW4は、収差サーボ各種補償回路44からの移動指示信号と、ジャンプ制御回路45からの移動指示信号とを、サーボコントローラ40からの指示に基づき切り替えるものである。また、スイッチSW3は、収差サーボ各種補償回路44またはジャンプ制御回路45からの移動指示信号をステッピングモータ制御回路46に送信するか否かを、サーボコントローラ40からの指示に基づき選択するものである。スイッチSW3により収差サーボのオン/オフが行われる。
ステッピングモータ制御回路46は、収差サーボ各種補償回路44またはジャンプ制御回路45からの移動指示信号に基づき、ステッピングモータであるコリメートレンズ駆動モータ33を駆動するための駆動指示信号を生成する。
ステッピングモータ制御回路46が生成した駆動指示信号は、D/A変換器53にてアナログ信号に変換された後、コリメートレンズ駆動モータドライバ25に入力される。コリメートレンズ駆動モータドライバ25は、上記駆動指示信号を適当な信号レベルに変換して、コリメートレンズ駆動モータ33に入力することにより、コリメートレンズ駆動モータ33を駆動制御する。これにより、コリメートレンズ26が光軸方向に移動する。
コリメートレンズ26が光軸方向に移動可能である場合、半導体レーザ4からコリメートレンズ26を透過した光ビームを、平行な光ビームからやや発散した光ビームとしたり、平行な光ビームからやや集束した光ビームとしたりすることができる。これにより、光ディスク1に集光する光ビームの球面収差を補正することができる。
一方、図7に示されるように、トラッキングサーボ各種補償回路47は、トラッキングエラー信号に基づいて、アクチュエータ3のトラッキングコイル56を駆動するための駆動指示信号を生成する。このとき、トラッキングサーボ各種補償回路47は、トラッキングコイル56を最適に駆動するために各種の補償を行う。この補償の例としては、位相補償、利得補償などが挙げられる。
トラックジャンプ制御回路48は、動作前の初期位置からトラッキングサーボを行う位置に対物レンズ2を移動させるための駆動指示信号を生成するものである。
スイッチSW6は、トラッキングサーボ各種補償回路47からの駆動指示信号と、トラックジャンプ制御回路48からの駆動指示信号とを、サーボコントローラ40からの指示に基づき切り替えるものである。また、スイッチSW5は、トラッキングサーボ各種補償回路47またはトラックジャンプ制御回路48からの駆動指示信号をアクチュエータドライバ13に送信するか否かを、サーボコントローラ40からの指示に基づき選択するものである。スイッチSW5によりトラッキングサーボのオン/オフが行われる。
トラッキングサーボ各種補償回路47またはトラックジャンプ制御回路48から、スイッチSW6およびスイッチSW5を介しての駆動指示信号は、D/A変換器54にてアナログ信号に変換された後、アクチュエータドライバ13のトラッキング用ドライバ55に入力される。トラッキング用ドライバ55は、上記駆動指示信号を適当な信号レベルに変換して、トラッキングコイル56に入力することにより、トラッキングコイル56を駆動制御する。これにより、対物レンズ2をラジアル方向の所望位置に移動できる。
次に、サーボコントローラ(駆動制御部)40の詳細について、図1〜図3を参照しつつ説明する。上記サーボコントローラ(駆動制御部)40は、図1に示すように、絶対値収差エラー信号比較部(絶対値判定部)501と、収差判定用信号設定部(信号レベル設定部)503と、収差エラー信号正負符号判定部(正負判定部)504と、指示信号発信部505とを含んでいる。
また、駆動制御信号設定部502は、上記収差判定用信号設定部503と、上記収差エラー信号正負符号判定部504と、上記指示信号発信部505とを含んでいる。
上記収差判定用信号設定部503は、上記エラー信号生成回路41から出力される収差エラー信号が入力され、該収差エラー信号の値に応じて後述する収差判定用信号の信号レベルを設定し、設定した収差判定用信号を絶対値収差エラー信号比較部501に出力するようになっている。また、上記収差判定用信号設定部503は、上記絶対値収差エラー信号比較部501から出力された比較結果が入力され、該比較結果に基づいて上記収差判定用信号をハイレベル(以下、Hと称する)もしくはローレベル(以下、Lと称する)と設定するようにもなっている。つまり、収差判定用信号設定部503は、設定した収差判定用信号を出力する際に、信号レベルに応じた2値の信号、すなわち、LもしくはHと設定した後、絶対値収差エラー信号比較部501へ上記収差判定用信号を出力する。
ここで、上記収差判定用信号設定部503において、上記収差判定用信号は、収差エラー信号の絶対値が後述する閾値2(最適範囲)の絶対値と等しいかそれ以下の場合に信号レベルをHに設定され、収差エラー信号の絶対値が後述する閾値1(許容範囲)の絶対値より大きい場合に信号レベルをLに設定される。
また、上記収差判定用信号の信号レベルがHに設定された場合、上記収差判定用信号設定部503は、指示信号発信部505にその設定結果を送る。
なお、収差判定用信号の初期値はHに設定される。つまり、上記収差判定用信号設定部503は、入力される収差エラー信号に収差サーボ動作開始であることを示す信号が含まれているときには、収差エラー信号がどのような信号であっても、Hに設定された収差判定用信号を絶対値収差エラー信号比較部501に出力する。
また、上記閾値1は、光ディスク1の厚さ誤差範囲の上限と下限を表しており、誤差0をはさんで正負に一定の幅をもたせて設定される。上記閾値2も上記閾値1と同様に、光ディスク1の厚さ誤差範囲の上限と下限を表しており、誤差0をはさんで正負に一定の幅をもたせて設定される。ただし、閾値1の絶対値は閾値2の絶対値より大きくなるように設定されている。
上記絶対値収差エラー信号比較部501は、上記エラー信号生成回路41より出力された収差エラー信号が入力され、上記収差判定用信号設定部503から出力される設定結果に応じて、上記収差エラー信号の絶対値と上記閾値1の絶対値または上記閾値2の絶対値との比較を行うようになっている。なお、上記絶対値収差エラー信号比較部501には、あらかじめ上記閾値1および上記閾値2が格納されている。
より具体的には、上記収差判定用信号設定部503から上記絶対値収差エラー信号比較部501へ入力される上記設定結果がHである場合、上記絶対値収差エラー信号比較部501は、上記エラー信号生成回路41より出力され上記収差エラー信号の絶対値と上記閾値1の絶対値との比較を行う。
一方、上記収差判定用信号設定部503から上記絶対値収差エラー信号比較部501へ入力される上記設定結果がHではない場合、上記絶対値収差エラー信号比較部501は、上記エラー信号生成回路41より出力される上記収差エラー信号の絶対値と上記閾値2の絶対値との比較を行う。この比較結果に応じて、上記絶対値収差エラー信号比較部501は、上記収差判定用信号設定部503もしくは上記収差エラー信号正負符号判定部504へ比較結果を出力する。
上記収差エラー信号正負符号判定部504は、上記絶対値収差エラー信号比較部501から出力される比較結果を確認すると、上記エラー信号生成回路41から出力される収差エラー信号の正負符号の判定を行うようになっている。上記収差エラー信号の正負符号の判定結果は上記指示信号発信部505へ送られる。
上記指示信号発信部505は、上記収差エラー信号正負符号判定部504から出力された正負符号結果が入力され、収差サーボ各種補償回路44へ、図6に示されたコリメートレンズ26の移動方向などを指示する移動指示信号を出力するようになっている。ここで、上記移動指示信号とは、光軸に沿った後述するエンドセンサー方向もしく後述するホームポジション方向へ1ステップ動かすという信号である。
上記エンドセンサー方向とは、図6に示された対物レンズ2へ近づく方向を表し、上記ホームポジション方向とは、図6に示された半導体レーザ4へ近づく方向を表している。
また、1ステップとはあらかじめ設定されているコリメートレンズの移動量であり、光ディスク1の層の厚さの違いにより発生する収差を補正するために必要なコリメートレンズ26の最小移動量である。
次に、サーボコントローラ40を含む収差サーボ動作時の処理の流れを、図1および図6を用いながら図2に示したフローチャートにそって説明する。
初めに、収差判定用信号設定部503において、入力される収差エラー信号から収差判定用信号を設定する。なお、収差サーボ動作開始時の初回のみ上記収差判定用信号設定部503において、収差判定用信号はHに設定されるものとする。
次に、上記絶対値収差エラー信号比較部501において、収差判定用信号設定部503で設定された収差判定用信号がHであるか否かが判定される(S1)。
ここで、まず、S1において上記収差判定用信号がHではないと判定された場合における、収差サーボ動作時の処理の流れを説明する。
上記絶対値収差エラー信号比較部501は、上記収差判定用信号がHではないと判定された場合、つまり上記収差判定用信号がLであると設定されている場合、収差エラー信号の絶対値が閾値2より小さいかどうかを比較する(S2)。
上記絶対値収差エラー信号比較部501は、上記収差エラー信号の絶対値が閾値2より小さいと判定した場合、その旨を上記収差判定用信号設定部503に知らせる。知らせを受けた収差判定用設定部503は、収差判定用信号をHに設定する(S3)。そして、再びS1へ戻る。
一方、上記S2において、収差エラー信号の絶対値が閾値2より大きいと判定された場合、収差エラー信号正負符号判定部504において、収差エラー信号の符号の正負が判定される(S4)。この判定結果は、指示信号発信部505に送られる。
上記収差エラー信号の符号が正であると判定されると、上記指示信号発信部505は収差サーボ各種補償回路44に対し、エンドセンサー方向へ1ステップ動かすという移動指示信号を出力する(S5)。
一方、上記収差エラー信号の符号が負であると判定されると、上記指示信号発信部505は収差サーボ各種補償回路44に対し、ホームポジション方向へ1ステップ動かすという移動指示信号を出力する(S6)。
図6に示すように、上記移動指示信号はステッピングモータ制御回路46へと送信され、D/A変換器53にてアナログ信号に変換された後、コリメートレンズ駆動モータドライバ25に入力される。そして、コリメートレンズ駆動モータドライバ25は、コリメートレンズ駆動モータ33を駆動制御する。これにより、コリメートレンズ26が光軸方向(エンドセンサー方向もしくはホームポジション方向)に移動する。
このように、コリメートレンズ26をエンドセンサー方向もしくはホームポジション方向に移動させると、半導体レーザ4からコリメートレンズ26を透過した光ビームを、平行な光ビームからやや発散した光ビームとしたり、平行な光ビームからやや集束した光ビームとしたりすることができる。これにより、光ディスク1に集光する光ビームの球面収差を補正することができる。
次に、S1において、上記収差判定用信号がHである判定された場合における、収差サーボ動作時の処理の流れ説明する。
上記絶対値収差エラー信号比較部501は、上記収差判定用信号がHであると判定した場合、収差エラー信号の絶対値が閾値1より大きいかどうかを比較する(S7)。
上記絶対値収差エラー信号比較部501は、収差エラー信号の絶対値が閾値1より小さいと判定した場合、その旨を上記収差判定用信号設定部503に知らせる。そして、再びS1へ戻る。
また、S7において、上記収差エラー信号の絶対値が閾値1より大きいと判断された場合、上記収差判定用信号設定部503において収差判定用信号はLに設定される(S8)。
そして、S1において上記収差判定用信号がLであると判定された場合と同様に、S4〜S6へ進む。
以上のような上記STEPを繰り返すことによって、コリメートレンズ26は収差判定用信号がLからHになるまで1ステップずつ駆動される。
ここで、S5において、指示信号発信部505がコリメートレンズ26をエンドセンサー方向に駆動するよう指示を出した場合における、収差エラー信号および収差判定用信号の様子を、図3を用いて説明する。
ここで、図3に示されているL0とは、光ディスク1の第一記録層のことである。
初めに、コリメートレンズ26はホームポジションに置かれている。収差サーボ動作が開始されると、ホームポジションにおける収差判定用信号がLであり、かつ収差エラー信号が閾値2より大きく、さらに上記収差エラー信号が正であるので、上記指示信号発信部505においてエンドセンサー方向にコリメートレンズ26をエンドセンサー方向へ1ステップ駆動するよう、指示信号発信部505から収差サーボ各種補償回路44へ移動指示信号が出力される。
そして、上述した図2の各STEPを繰り返すことによって、コリメートレンズ26は収差判定用信号がLからHになるまで1ステップずつ駆動される。図3に示すように収差判定用信号がHとなっている間は、L0の最適位置付近にコリメートレンズ26が存在すると収差判定用信号設定部503が判断し、収差サーボ機構はオフとされる。
以上のような上記STEPを繰り返すことによって、コリメートレンズ26は収差判定用信号がLからHになるまで、図6に示すコリメートレンズ駆動モータ33によって1ステップずつ駆動され、収差が補正される。また、収差補正が必要ないときには、収差サーボ機構がオフにされ、コリメートレンズ駆動モータ33が停止し、コリメートレンズ26も停止する。
このように、収差判定用信号がLと設定されれば、層間ジャンプを行った(記録もしくは再生を行う層が変わった)と収差判定用信号設定部503が判断し、はじめて収差補正サーボ機構をオンにして収差補正を行い、収差判定用信号がHと設定されれば収差サーボ機構をオフにすることにより、コリメートレンズ駆動モータ33が無駄な動きをすることがなくなる。
具体的には、小さな収差エラー信号のノイズや球面収差エラー信号が揺らぎに、コリメートレンズ駆動モータ33が反応することがなく、コリメートレンズ駆動モータ33が焼けてしまわないという効果が得られる。
また、コリメートレンズ駆動モータ33は半導体レーザ4など熱を持った部材の近くに配されるため、コリメートレンズ駆動モータ33にできるだけ熱をかけたくないという要望も満たされる。
さらに、コリメートレンズ駆動モータ33が無駄な動きをしないことにより、コリメートレンズ駆動モータ33を駆動した際に起こる振動が、最小限に抑えられる。
さらに、コリメートレンズ駆動モータ33に電圧がかからない場合であっても、対物レンズを所望の位置に止留めておくことが可能である。したがって、収差の補正においては、収差サーボ機構がオフである場合には、コリメートレンズ駆動モータ33に電圧を印加する必要がなく、そのため、消費電力が小さいという利点が得られる。
以上のように、上記のような構成をとることにより、コリメートレンズ駆動モータ33への負荷が大幅に軽減されることとなる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態では、光ディスク記録再生装置を利用しているが、光ディスク1に対して情報の再生のみを行う光ディスク再生装置にも適用できるし、光ディスク1に対して情報の記録のみを行う光ディスク記録装置にも適用できる。