本発明の実施形態について説明する前に、各実施形態に共通する光ディスク記録再生装置(光ディスク装置)の構成について、図1〜図4を参照しつつ説明する。
図1は、上記光ディスク記録再生装置の要部構成を示している。また、図2は、光ディスク記録再生装置30における光ピックアップ7の要部構造を示している。光ディスク記録再生装置30は、光ディスク1に対して情報の記録および再生を行う装置である。
なお、光ディスク1は光学ディスクであればよく、例えば光磁気ディスクなど、その種類は限定されるものではない。また、本願発明は、光ディスク1に対して情報の再生のみを行う光ディスク再生装置にも適用できるし、光ディスク1に対して情報の記録のみを行う光ディスク記録装置にも適用できる。
図1に示されるように、光ディスク記録再生装置30は、光ピックアップ7、各種のモータ8・11・22、各種のドライバ10・12・13・14・23・25、RF(高周波)処理回路9、各種の制御回路15・16・18、信号処理回路17、および各種の外部I/F(インターフェース)19を備えている。光ディスク記録再生装置30は、ホストインターフェース19を介してホストコンピュータ20と接続している。また、光ディスク記録再生装置30は、表示装置21と接続している。
まず、光ディスク記録再生装置30の駆動部分について説明する。スピンドルモータ11は、光ディスク1を回転駆動するものである。スピンドルモータ11には、モータの回転に伴ってパルス信号を発生する回路が内蔵されており、このパルス信号がサーボ用DSP(Digital Signal Processor)16に送信される。
光ピックアップ7は、光ディスク1に光ビームを照射して光ディスク1に対して情報の記録・再生を行うものである。スレッドモータ8は、光ピックアップ7を光ディスク1に対してラジアル方向に駆動させるものである。また、チルトモータ22は、光ディスク1に対する光ピックアップ7の傾きを調整するものである。
光ピックアップ7は、図1および図2に示されるように、対物レンズ2、アクチュエータ3、半導体レーザ(LD)4、光検出器(PD)5・6、チルトセンサ24、コリメートレンズ26、コリメートレンズ駆動機構27、ビームスプリッタ28、およびミラー32を備えている。
半導体レーザ4は、光ディスク1に光ビームを照射するための光源であり、光ビームを出射する。なお、半導体レーザ4から出射される光ビームの波長は、DVD(Digital Versatile Disk)などの規格によって規定される。
ビームスプリッタ28は、半導体レーザ4から出射された光ビームの一部を反射して光検出器5に導くと共に、残りの大部分を透過するものである。また、ビームスプリッタ28は、光ディスク1からの反射光を反射して、光検出器6に導くものである。なお、ビームスプリッタ28の代わりにホログラムを利用することもできる。
光検出器5・6は、受光素子を有し、受光素子に入射した光を電気信号に変換するものである。光検出器5は、半導体レーザ4から出射される光ビームのパワーを検知するため、半導体レーザ4からの直接光の一部を検出するものであり、検出した信号を自動出力制御回路15に送信する。一方、光検出器6は、光ディスク1からの反射光を検出するものであり、検出したサーボエラー信号、RF信号、ウォブル信号などの各種信号をRF処理回路9に送信する。
ここで、RF信号およびウォブル信号は、光ディスク1に記録されている信号(再生信号)である。RF信号は光ディスク1に記録されたデータを示すものであり、ウォブル信号は光ディスク1上のアドレスを示すものである。なお、通常、光検出器5は1個の受光素子を有し、光検出器6は複数個の受光素子を有する。
コリメートレンズ26は、半導体レーザ4から出射され、ビームスプリッタ28を通過した光ビームを、集光して略平行光に変換するものである。本実施形態では、コリメートレンズ26は、光ディスク1に照射される光ビームの球面収差を補正するため、コリメートレンズ駆動機構27によって光軸方向に移動可能となっている。
コリメートレンズ駆動機構27は、図2に示されるように、回転力を発生するステッピングモータ33と、ステッピングモータ33の回転軸から歯車などを介して回転力が伝達される送りネジ34と、送りネジ34に螺合すると共にコリメートレンズ26を保持するホルダ35とを備えている。
ステッピングモータ33は、所定のパルス電流が流れることにより回転軸を所定の角度回転させるモータである。送りネジ34は、その軸方向がコリメートレンズ26の光軸方向と平行となるように設けられている。これにより、送りネジ34における回転運動が、ホルダ35にてコリメートレンズ26の光軸方向への直線運動に変換され、その結果、コリメートレンズ26を光軸方向に移動させることができる。
ミラー32は、図2に示されるように、コリメートレンズ26と対物レンズ2との間に配置されており、コリメートレンズ26からの光ビームを屈曲させて対物レンズ2に導くと共に、対物レンズ2からの光ビームを屈曲させてコリメートレンズ26に導くためのものである。
対物レンズ2は、半導体レーザ4からの光ビームを光ディスク1に集光し、光ディスク1からの反射光を光検出器6へ導くためのものである。この対物レンズ2は、アクチュエータ3によって駆動される。
アクチュエータ3は、対物レンズ2を駆動するものである。アクチュエータ3は、アクチュエータドライバ13によって駆動制御される。
具体的には、アクチュエータ3は、対物レンズ2の光軸方向であるフォーカス方向と、光ディスク1の径方向であるラジアル方向とに対物レンズ2を駆動するものである。アクチュエータ3は、対物レンズ2の駆動機構として、対物レンズ2をフォーカス方向に駆動するボイスコイルであるフォーカスコイル52(図3参照)と、対物レンズ2をラジアル方向に駆動するボイスコイルであるトラッキングコイル56(図4参照)とを備えている。なお、アクチュエータ3の駆動機構としては、ボイスコイル以外にも公知の駆動機構を利用できる。
チルトセンサ24は、光ピックアップ7と光ディスク1との間のチルト角を検出するためのセンサである。ここで、チルト角とは、光ディスク1の記録面の法線方向と、対物レンズ2の光軸方向とがなす角度をいう。チルト角が大きいと記録および/または再生の品質が低下することになる。そこで、チルトセンサ24にてチルト角(チルトエラー)を検出し、チルト角に基づいてチルトモータ22が光ピックアップ7の傾きを調整している。これにより、最適な記録および/または再生の品質を維持することができる。
次に、光ディスク記録再生装置30の回路部分について説明する。スレッドドライバ10、スピンドルモータドライバ12、アクチュエータドライバ13、チルトドライバ23、およびコリメートレンズ駆動モータドライバ25は、それぞれ、スレッドモータ8、スピンドルモータ11、アクチュエータ3、チルトモータ22、およびステッピングモータ33を駆動制御するものである。
また、レーザドライバ14は、半導体レーザ4を駆動制御するものである。また、自動出力制御回路(APC)15は、光検出器5が検出したレーザ光の検出レベルと、基準となる基準レベルとを比較し、比較結果に基づいてレーザドライバ14を制御して、レーザ光の出力が一定となるようにする。具体的には、APC回路15は、検出レベルが基準レベルよりも大きいときにレーザ光の出力を下げ、検出レベルが基準レベルよりも小さいときにレーザ光の出力を上げるようにレーザドライバ14を制御する。
また、レーザドライバ14は、光ディスク1にデータを記録する場合、信号処理回路17から受信した記録用信号に基づいて半導体レーザ4を駆動制御する。この記録時の半導体レーザ4は、パルス発光しているが、記録のためのパワーで発光しているため、再生時に比べると光検出器6で検出される光ディスク1からの反射信号のレベルが大きくなってしまう。このため、光検出器6は、再生時と記録時とでゲイン切替えを行う機能を有している。これにより、記録時にRF処理回路9に送られるサーボエラー信号のレベルが増大することを防止している。なお、記録時には、APC回路15は、記録に適したパワーで半導体レーザ4が発光するようにAPC動作がなされる。
また、レーザドライバ14は、光ディスク1にデータを記録する場合、ライトストラテジ処理を行う。ライトストラテジ処理とは、記録用信号を実際に光ディスク1に記録するとき、光ディスク1の微妙な違いに合わせて記録方法を変更する処理をいう。ライトストラテジ処理は、光ディスク1への記録が熱記録であることを利用している。ライトストラテジ処理により、記録性能を向上させることができる。
RF処理回路9は、光検出器6から送られる信号に対し、電流信号から電圧信号へのIV変換を行うものである。RF処理回路9は、変換した電圧信号を、信号処理回路17へ出力し、A/D変換器(図3および図4を参照)を介してサーボ用DSP16へ出力する。
より詳細には、RF処理回路9は、光検出器6からの上記再生信号に対し、IV変換を行い、波形の整形処理を行った後、信号処理回路17に送信する。また、RF処理回路9は、光検出器6からの上記サーボエラー信号に対し、IV変換を行い、波形の整形処理を行った後、上記A/D変換器を介してサーボ用DSP16に送信する。
サーボ用DSP16は、光検出器6からRF処理回路9を介して受信したサーボエラー信号に基づき各種の演算処理を行って、対物レンズに対するフォーカスサーボ、トラッキングサーボ、収差サーボ等の各種サーボ用のエラー信号を生成する。各エラー信号の生成には公知の手法を用いることができる。例えば、フォーカスサーボ用のエラー信号であるフォーカスエラー信号は、非点収差法やナイフエッジ法により生成できる。また、トラッキングサーボ用のエラー信号であるトラッキングエラー信号は、差動プッシュプル法により生成できる。また、収差サーボ用のエラー信号である収差エラー信号は、光ビームの中心部と周辺部とにおけるフォーカスエラー信号の差動により生成できる。
また、サーボ用DSP16は、生成したフォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号に基づいて、アクチュエータ3を駆動するための駆動指示信号を生成し、アクチュエータドライバ13に送信する。アクチュエータドライバ13は、上記駆動指示信号に基づいて、アクチュエータ3を駆動制御する。これにより、アクチュエータ3に対するフォーカスサーボおよびトラッキングサーボの制御が行われる。なお、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボの詳細については後述する。
また、サーボ用DSP16は、光ディスク1の或るトラックにジャンプするよう指示するジャンプ指示信号をシステムコントローラ18から受信すると、受信したジャンプ指示信号に基づいて、スレッドモータ8を駆動するためのスレッド駆動指示信号を生成し、スレッドドライバ10に送信する。スレッドドライバ10は、受信したスレッド駆動指示信号に基づいて、スレッドモータ8を駆動制御する。なお、サーボ用DSP16は、トラッキングサーボのエラー信号に基づいて、スレッドモータ8を駆動するためのスレッド駆動指示信号を生成し、スレッドドライバ10に送信してもよい。この場合、光ピックアップ7に対するトラッキングサーボが行われる。
また、サーボ用DSP16は、スピンドルモータ11から受信したパルス信号に基づいて、スピンドルモータ11を適当な回転速度で駆動するための駆動指示信号を生成してスピンドルモータドライバ12に送信する。スピンドルモータドライバ12は、受信した駆動指示信号に基づいて、スピンドルモータ11を駆動制御する。
また、サーボ用DSP16は、チルトセンサ14からRF処理回路9を介して受信したチルトエラー信号に基づいて、光ピックアップ7を適当な傾きに駆動するためのチルト駆動指示信号を生成してチルトドライバ23に送信する。チルトドライバ23は、受信したチルト駆動指示信号に基づいて、チルトモータ22を駆動制御する。
また、サーボ用DSP16は、生成した収差エラー信号に基づき、コリメートレンズ26を駆動するための駆動指示信号を生成し、コリメートレンズ駆動モータドライバ25に送信する。コリメートレンズ駆動モータドライバ25は、上記駆動指示信号に基づいて、コリメートレンズ駆動機構27(ステッピングモータ33)を駆動制御する。これにより、コリメートレンズ26に対するサーボ制御、すなわち球面収差サーボが行われる。なお、球面収差サーボの詳細については後述する。
一方、信号処理回路17は、再生信号の中のRF信号に対し、復調、波形整形などの処理を行い、さらにエラー訂正処理を行って、元のデータを再生する。再生したデータは、信号処理回路17からホストインターフェース19を介してホストコンピュータ20に送信される。
同様に、信号処理回路17は、再生信号の中のウォブル信号に対し、復調、波形整形、エラー訂正などの処理を行って、アドレス信号を再生する。再生したアドレス信号は、信号処理回路17からシステムコントローラ18に送信され、システムコントローラ18にてアドレス情報として利用される。
また、信号処理回路17は、RF信号およびウォブル信号のそれぞれからクロック信号を生成する。このクロック信号から同期信号が生成される。例えば、上記クロック信号は、サーボ用DSP16に送信され、RF信号に同期してスピンドルモータ11の回転を制御するために利用される。
また、信号処理回路17は、光ディスク1にデータを記録する場合、ホストコンピュータ20からのデータを、ホストインターフェース19を介して受信する。信号処理回路17は、受信したデータに対し、エラー訂正のためのフラグを追加し、さらに変調処理を行った後、レーザドライバ14に記録用信号として送信する。
システムコントローラ18は、光ディスク記録再生装置30における各種構成を統括制御するためのものである。システムコントローラ18の機能は、例えばRAMやフラッシュメモリなどの記憶装置に記憶されたプログラムをCPUが実行することによって実現される。
次に、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、および球面収差サーボの詳細について図3および図4を参照しつつ説明する。図3は、光ディスク記録再生装置30におけるフォーカスサーボおよび球面収差サーボに関する構成を示している。図4は、光ディスク記録再生装置30におけるトラッキングサーボに関する構成を示している。
図3および図4に示されるように、サーボ用DSP16は、サーボコントローラ40、エラー信号生成回路41、フォーカスサーボ各種補償回路42、ランプ回路43、収差サーボ各種補償回路44、ジャンプ制御回路45、ステッピングモータ制御回路46、トラッキングサーボ各種補償回路47、トラックジャンプ制御回路48、および各種スイッチSW1〜SW6を備える構成である。
サーボコントローラ40は、サーボ用DSP16における各種構成を統括制御するものである。具体的には、サーボコントローラ40は、システムコントローラ18からの指示信号や、エラー信号生成回路41からの各種のエラー信号に基づいて、フォーカスサーボ各種補償回路42およびトラッキングサーボ各種補償回路47を制御したり、スイッチSW1〜SW6の入切または切替を制御したりするものである。なお、サーボコントローラ40の詳細については後述する。
エラー信号生成回路41は、光検出器6からRF処理回路9(図1参照)およびA/D変換器36を介して受信したエラー信号に基づき各種の演算処理を行い、演算結果に基づいて、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、および収差エラー信号を生成するものである。エラー信号生成回路41は、フォーカスエラー信号をフォーカスサーボ各種補償回路42に、トラッキングエラー信号をトラッキングサーボ各種補償回路47に、収差エラー信号を収差サーボ各種補償回路44にそれぞれ送信する。また、エラー信号生成回路41は、生成したフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、および収差エラー信号をサーボコントローラ40に送信する。
フォーカスサーボ各種補償回路42は、フォーカスエラー信号に基づいて、アクチュエータ3のフォーカスコイル52を駆動するための駆動指示信号を生成する。このとき、フォーカスサーボ各種補償回路42は、フォーカスコイル52を最適に駆動するために各種の補償を行う。この補償の例としては、制御系の位相が180度を越えて正帰還することにより発振してしまうことを防ぐための位相補償などが挙げられる。
ランプ回路43は、動作前の基準位置からフォーカスサーボを行う位置に対物レンズ2を移動させるための駆動指示信号を生成するものである。
スイッチSW2は、フォーカスサーボ各種補償回路42からの駆動指示信号と、ランプ回路43からの駆動指示信号とを、サーボコントローラ40からの指示に基づき切り替えるものである。また、スイッチSW1は、フォーカスサーボ各種補償回路42またはランプ回路43からの駆動指示信号をアクチュエータドライバ13に送信するか否かを、サーボコントローラ40からの指示に基づき選択するものである。スイッチSW1によりフォーカスサーボのオン/オフが行われる。
フォーカスサーボ各種補償回路42またはランプ回路43から、スイッチSW2およびスイッチSW1を介しての駆動指示信号は、D/A変換器50にてアナログ信号に変換された後、アクチュエータドライバ13のフォーカス用ドライバ51に入力される。フォーカス用ドライバ51は、上記駆動指示信号を適当な信号レベルに変換して、フォーカスコイル52に入力することにより、フォーカスコイル52を駆動制御する。これにより、対物レンズ2を光軸方向の所望位置に移動できる。
一方、収差サーボ各種補償回路44は、収差エラー信号に基づく位置にコリメートレンズ26を移動するための移動指示信号を生成する。このとき、収差サーボ各種補償回路44は、コリメートレンズ駆動モータ33を最適に駆動するために各種の補償を行う。この補償の例としては、制御系の位相が180度を越えて正帰還することにより発振してしまうことを防ぐための位相補償などが挙げられる。
ジャンプ制御回路45は、動作前の基準位置から収差サーボを行う位置にコリメートレンズ26を移動させるための移動指示信号を生成するものである。
スイッチSW4は、収差サーボ各種補償回路44からの移動指示信号と、ジャンプ制御回路45からの移動指示信号とを、サーボコントローラ40からの指示に基づき切り替えるものである。また、スイッチSW3は、収差サーボ各種補償回路44またはジャンプ制御回路45からの移動指示信号をステッピングモータ制御回路46に送信するか否かを、サーボコントローラ40からの指示に基づき選択するものである。スイッチSW3により収差サーボのオン/オフが行われる。
ステッピングモータ制御回路46は、収差サーボ各種補償回路44またはジャンプ制御回路45からの移動指示信号に基づき、ステッピングモータであるコリメートレンズ駆動モータ33を駆動するための駆動指示信号を生成する。この駆動指示信号は、パルス電圧であり、コリメートレンズ駆動モータドライバ25にて所定のパルス電流に変換されて、ステッピングモータ33に出力され、ステッピングモータ33の回転軸が或る向きに所定角度回転する。これにより、コリメートレンズ26が光軸方向の或る向きに所定量移動する。また、パルス電圧が負である場合、ステッピングモータ33の回転軸が反対向きに所定角度回転し、コリメートレンズ26が光軸方向の反対向きに所定量移動する。
そこで、ステッピングモータ制御回路46は、駆動指示信号として、例えば正のパルス電圧を出力した場合に+1とカウントし、負のパルス電圧を出力した場合に−1とカウントする位置パルスカウンタ103(図5)を備える。これにより、コリメートレンズ26の基準位置から現在位置までの距離(変化量)を検知できる。なお、ステッピングモータ制御回路46は、位置パルスカウンタ103のカウント値の情報をサーボコントローラ40に送信する。
ステッピングモータ制御回路46が生成した駆動指示信号は、D/A変換器53にてアナログ信号に変換された後、コリメートレンズ駆動モータドライバ25に入力される。コリメートレンズ駆動モータドライバ25は、上記駆動指示信号を適当な信号レベルに変換して、コリメートレンズ駆動モータ33に入力することにより、コリメートレンズ駆動モータ33を駆動制御する。これにより、コリメートレンズ26が光軸方向に移動する。
コリメートレンズ26が光軸方向に移動可能である場合、半導体レーザ4からコリメートレンズ26を透過した光ビームを、平行な光ビームからやや発散した光ビームとしたり、平行な光ビームからやや集束した光ビームとしたりすることができる。これにより、光ディスク1に集光する光ビームの球面収差を補正することができる。
一方、図4に示されるように、トラッキングサーボ各種補償回路47は、トラッキングエラー信号に基づいて、アクチュエータ3のトラッキングコイル56を駆動するための駆動指示信号を生成する。このとき、トラッキングサーボ各種補償回路47は、トラッキングコイル56を最適に駆動するために各種の補償を行う。この補償の例としては、制御系の位相が180度を越えて正帰還することにより発振してしまうことを防ぐための位相補償などが挙げられる。
トラックジャンプ制御回路48は、動作前の基準位置からトラッキングサーボを行う位置に対物レンズ2を移動させるための駆動指示信号を生成するものである。
スイッチSW6は、トラッキングサーボ各種補償回路47からの駆動指示信号と、トラックジャンプ制御回路48からの駆動指示信号とを、サーボコントローラ40からの指示に基づき切り替えるものである。また、スイッチSW5は、トラッキングサーボ各種補償回路47またはトラックジャンプ制御回路48からの駆動指示信号をアクチュエータドライバ13に送信するか否かを、サーボコントローラ40からの指示に基づき選択するものである。スイッチSW5によりトラッキングサーボのオン/オフが行われる。
トラッキングサーボ各種補償回路47またはトラックジャンプ制御回路48から、スイッチSW6およびスイッチSW5を介しての駆動指示信号は、D/A変換器54にてアナログ信号に変換された後、アクチュエータドライバ13のトラッキング用ドライバ55に入力される。トラッキング用ドライバ55は、上記駆動指示信号を適当な信号レベルに変換して、トラッキングコイル56に入力することにより、トラッキングコイル56を駆動制御する。これにより、対物レンズ2をラジアル方向の所望位置に移動できる。
〔実施の形態1〕
次に、本発明の一実施形態について、図5〜図8を参照して説明する。本実施形態の光ディスク記録再生装置30のサーボ用DSP16は、コリメートレンズ26の基準位置から現在位置までの距離が所定範囲内である場合に、球面収差サーボを動作させるものである。また、本実施形態の光ディスク記録再生装置30のサーボ用DSP16は、目標値に対する収差エラー信号の大小に基づいてコリメートレンズ26を1ステップ移動させるように、球面収差サーボを動作させるものである。
図5は、上記サーボ用DSP16におけるサーボコントローラ40の概略構成を示している。図示のように、サーボコントローラ40は、収差エラー信号取得部100、カウント取得部101、および収差補正制御部102を備える構成である。
収差エラー信号取得部100は、エラー信号生成回路41から収差エラー信号を取得するものである。収差エラー信号取得部100は、取得した収差エラー信号を収差補正制御部102に送信する。
カウント取得部101は、ステッピングモータ制御回路46の位置パルスカウンタ103からカウント値を取得するものである。このカウント値は、ステッピングモータ33における初期位置から現在位置までの距離に対応する。カウント取得部101は、取得したカウント値の情報を収差補正制御部102に送信する。
収差補正制御部102は、収差エラー信号取得部100から取得した収差エラー信号と、カウント取得部101から取得したカウント値の情報とに基づいて、適当な収差補正を収差サーボ各種補償回路44に指示するものである。具体的には、収差補正制御部102は、前記カウント値が所定範囲内である場合に、前記収差エラー信号に基づく指示を収差サーボ各種補償回路44に送信している。この詳細について、図6に基づいて説明する。
図6は、コリメートレンズの位置と収差エラー信号(球面収差信号)との対応関係の一例を示している。図6において、コリメートレンズ26の位置は、位置パルスカウンタ103のカウント値で示されている。また、収差エラー信号は電圧値で示されている。
また、図6において、ホームポジションは、基準位置に対応するものであり、サーボ用DSP16が球面収差の補正を開始する前にコリメートレンズ26を予め移動させておく位置である。また、エンドポジションは、コリメートレンズ26をホームポジションから光ディスク1の側に移動させた場合に移動可能な最も遠い位置である。通常、この位置にはエンドセンサが設けられ、コリメートレンズ26がエンドポジションに到達したことをエンドセンサが検知すると、サーボ用DSP16がステッピングモータ33を制御して、コリメートレンズ26の移動を停止させる。これにより、コリメートレンズ26がエンドポジションから光ディスク1の側に移動して他の光学要素と衝突することを防止できる。
図6に示されるグラフでは、収差エラー信号は、理想的なS字カーブに対して、ホームポジションの近傍で低下している。また、収差エラー信号の目標値を0.2Vとしている。収差エラー信号が目標値より上であれば、コリメートレンズ26をエンドポジション側に移動させ、収差エラー信号が目標値より下であれば、ホームポジション側に移動させるように収差補正制御部102が収差サーボ各種補償回路44に指示する。
したがって、図6に示されるグラフにおいて、位置パルスカウンタ110のカウント値(コリメートレンズ26の位置)が、約25より大きくかつ約105より小さい範囲111では、コリメートレンズ26がエンドポジション側に駆動され、約105より大きい範囲112では、コリメートレンズ26がホームポジション側に移動される。このため、上記カウント値が約25より大きい範囲111・112では、コリメートレンズ26は目標位置に向けて移動することになる。
一方、上記カウント値が約25より小さい範囲110では、コリメートレンズ26がホームポジション側に移動される。このため、コリメートレンズ26は目標位置から反対側に移動することになり、球面収差を補正できなくなる。また、最悪の場合には、コリメートレンズ26が他の部材の衝突して破損する虞がある。
そこで、本実施形態では、集光する記録層に対応する位置にコリメートレンズ26を移動させ、その後、位置パルスカウンタ110のカウント値が約25より大きい範囲111・112内である場合に、球面収差サーボを動作させるように、収差補正制御部102が収差サーボ各種補償回路44に指示している。これにより、前記カウント値が約25より小さい場合に、収差エラー信号に基づくコリメートレンズ26の移動制御を停止できる。その結果、球面収差の補正の誤制御を防止することができる。
また、本実施形態では、収差補正制御部102は、球面収差サーボの動作中に、上記範囲111・112から外れるような指示を収差サーボ各種補償回路44に対して行うことが無いようにしている。これにより、収差エラー信号に基づくコリメートレンズ26の移動制御が行われている間、カウント値が上記範囲111・112から外れることが無い。したがって、球面収差の補正の誤制御を確実に防止することができる。
なお、前記カウント値の範囲は、約25より大きい範囲111・112で固定している。しかしながら、各光ディスク1でカバー層の厚さにバラツキがあるため、このバラツキに応じて前記カウント値の範囲を変化させることが好ましい。
そこで、前記カウント値の範囲は、収差エラー信号の値が前記カウント値に対して単調減少している範囲、すなわち、図6の例では、約75より大きい範囲とすることが好ましい。この範囲では、収差エラー信号に基づく球面収差の補正を適切に行うことができるので、球面収差の補正の誤制御を確実に防止することができる。
さらに、前記カウント値の範囲は、その中央値が、収差エラー信号の値が収差サーボの目標値に等しい場合のカウント値となることが好ましい。すなわち、図6の例では、前記カウント値の範囲は、約75より大きくかつ約125より小さい範囲113であることが好ましい。この場合、前記カウント値の範囲において、前記収差エラー信号の値が前記目標値よりも大きい範囲の大きさと、前記収差エラー信号の値が前記目標値よりも小さい範囲の大きさとが同程度となる。
例えば、光ディスクのカバー層の厚みによる球面収差の場合、光ディスクが回転するので、収差エラー信号の時系列的な波形は、目標値から振動する波形となる。したがって、収差エラー信号の値が目標値から大きく外れた場合は、何らかの外乱が働いたと考えられ、このような場合に前記収差エラー信号に基づくコリメートレンズ駆動機構27の制御を行わないことにより、球面収差の補正の誤制御をさらに確実に防止することができる。
なお、前記範囲113の幅は、固定でもよい。しかしながら、位置パルスカウンタ110のカウント値に対する収差エラー信号の値の変化が、各光ピックアップ7でばらつく可能性がある。そこで、前記範囲113の幅は可変であることが好ましい。そして、光ピックアップ7が光ディスク記録再生装置30に組み込まれた後に、前記範囲113の幅を固定してもよい。
次に、上記構成の光ディスク記録再生装置30においてコリメートレンズ26の駆動を制御する処理について、図7および図8を参照して説明する。図7は、システムコントローラ18によって選択された記録層に対応する位置にコリメートレンズ(CL)26を移動させるまでの処理の流れを示している。また、図8は、図7に示される処理の後に行われる球面収差サーボの処理の流れを示している。
図7に示されるように、まず、ステッピングモータ制御回路46は、コリメートレンズ26をホームポジション(基準位置)に移動させる(S100)。該移動が完了すると、ステッピングモータ制御回路46は、CL位置を示すパルスカウンタ(CL位置パルスカウンタ)103を初期化する(S101)。これにより、CL位置パルスカウンタ103のカウント値(以下、「CL移動カウント値」と称する。)が0になる。
次に、サーボコントローラ40は、フォーカスを引き込む記録層を判断し(S102)、判断した記録層に対応する位置にコリメートレンズ26が移動するように、ジャンプ制御回路45に指示する(S103・S104)。また、サーボコントローラ40は、スイッチSW4をジャンプ制御回路45の方に切り替え、かつスイッチSW3をオンにするように指示する。これにより、ステッピングモータ制御回路46は、ステッピングモータ33に対し、ジャンプ制御回路45が指示する位置に段階的に移動するように移動指示する。また、ステッピングモータ制御回路46は、上記移動指示に対応して、位置パルスカウンタのカウント値を更新する(S103・S104)。
次に、サーボコントローラ40は、フォーカスサーボの引込みの開始を指示する(S105)。フォーカスサーボの引込みが終了すると(S106)、サーボコントローラ40の収差補正制御部102は、ステッピングモータ制御回路46からカウント取得部101を介して取得したCL移動カウント値が、75よりも大きくかつ125よりも小さい範囲(以下、「サーボ最適範囲」と称する。)の中に存在するか否かを判断する(S107)。
CL移動カウント値がサーボ最適範囲の中に存在しない場合(S107でNO)、球面収差サーボを行う適当な領域にコリメートレンズ26が移動していないと判断して、公知のエラー処理を行う。一方、CL移動カウント値がサーボ最適範囲の中に存在する場合(S107でYES)、球面収差サーボの動作を開始する。
球面収差サーボの動作を開始すると、図8に示されるように、まず、収差補正制御部102は、エラー信号生成回路41から収差エラー信号取得部100を介して取得した球面収差の収差エラー信号が、目標値以上であるか否かを判断する(S110)。
上記収差エラー信号が目標値未満である場合(S110でNO)、収差補正制御部102は、ステッピングモータ制御回路46からカウント取得部101を介して取得したCL移動カウント値に対し、1を減算した値が、上記サーボ最適範囲の中に存在するか否かを判断する(S111)。CL移動カウント値から1を減算した値がサーボ最適範囲の中に存在しない場合(S111でNO)、収差補正制御部102は、球面収差サーボを行う適当な領域の外にコリメートレンズ26が移動しようとしていると判断して、ステップS110に戻る。すなわち、収差補正制御部102は、コリメートレンズ26の上記移動を阻止することになる。
一方、CL移動カウント値から1を減算した値がサーボ最適範囲の中に存在する場合(S111でYES)、収差補正制御部102は、球面収差サーボを行う適当な領域の中でコリメートレンズ26が移動しようとしていると判断して、収差サーボ各種補償回路44を介してステッピングモータ制御回路46に指示し、コリメートレンズ26をホームポジション方向に1ステップ移動させる(S112)。このとき、ステッピングモータ制御回路46は、位置パルスカウンタ103のカウント値を1減算する(S113)。その後、ステップS110に戻って上記動作を繰り返す。
一方、ステップS110にて、上記収差エラー信号が目標値以上である場合(S110でYES)、収差補正制御部102は、上記CL移動カウント値に対し1を加算した値が、上記サーボ最適範囲の中に存在するか否かを判断する(S114)。CL移動カウント値に1を加算した値がサーボ最適範囲の中に存在しない場合(S114でNO)、収差補正制御部102は、球面収差サーボを行う適当な領域の外にコリメートレンズ26が移動しようとしていると判断して、ステップS110に戻る。すなわち、収差補正制御部102は、コリメートレンズ26の上記移動を阻止することになる。
一方、CL移動カウント値に1を加算した値がサーボ最適範囲の中に存在する場合(S114でYES)、収差補正制御部102は、球面収差サーボを行う適当な領域の中でコリメートレンズ26が移動しようとしていると判断して、収差サーボ各種補償回路44を介してステッピングモータ制御回路46に指示し、コリメートレンズ26をエンドポジション方向に1ステップ移動させる(S115)。このとき、ステッピングモータ制御回路46は、位置パルスカウンタ103のカウント値を1加算する(S116)。その後、ステップS110に戻って上記動作を繰り返す。
以上のように、本実施形態では、収差補正制御部102は、目標値に対する収差エラー信号の大小に基づいてコリメートレンズ26を1ステップ変化させるように、収差サーボ各種補償回路44に指示している。これにより、目標値に対する収差エラー信号の差分の大きさに関係なく、コリメートレンズ26を1ステップ変化させるので、前記差分の大きさが大きくてもコリメートレンズ26を大きく変化させることが無い。したがって、コリメートレンズ26の変化を抑えることができるので、コリメートレンズ26を変化させるためにステッピングモータ33が必要とする消費電力を抑えることができる。
なお、本実施形態では、2層の記録層L0・L1を有する光ディスク1について説明したが、1層の記録層を有する光ディスク1にも適用できるし、3層以上の記録層を有する光ディスク1にも適用できる。
また、本実施形態では、ステップS112・S115の指示を収差補正制御部102が行っているが、収差サーボ各種補償回路44が行ってもよい。この場合、収差補正制御部102は、ステップS110・S111・S114の判断処理を行い、ステップS111・S114でNOであるときに、収差サーボ各種補償回路44、ステッピングモータ制御回路46、またはスイッチSW3に、収差サーボの制御を停止するように指示すればよい。
〔実施の形態2〕
次に、本発明の別の実施形態について、図9〜図16を参照して説明する。本実施形態の光ディスク記録再生装置30のサーボ用DSP16は、アクセスすべき記録層(以下「アクセス対象層」と称する。)に対応する位置に向けてコリメートレンズ26の移動を開始させ、次に、フォーカスサーボの制御を実行し、そして、球面収差サーボの制御を実行するものである。なお、上記実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
また、本実施形態では、2つの記録層L0・L1を有する光ディスク1を利用しているが、1つの記録層を有する光ディスク1にも適用できるし、3つ以上の記録層を有する光ディスク1にも適用できる。以下では、上記2つの記録層は、光ピックアップ7の側(光ディスク1の表面側)から第1記録層L0、第2記録層L1と称する。
図9は、本実施形態の光ディスク記録再生装置30のサーボ用DSP16におけるサーボコントローラ40の概略構成を示している。図9に示されるように、サーボコントローラ40は、カウント取得部101、目標カウント値記憶部200、目標位置到達検知部201、中間位置到達検知部202、アクセス対象層取得部203、収差補正制御部204、およびフォーカス制御部205を備える構成である。
カウント取得部101は、ステッピングモータ制御回路46の位置パルスカウンタ103からカウント値を取得するものである。このカウント値は、ステッピングモータ33における基準位置から現在位置までの距離に対応する。カウント取得部101は、取得したカウント値の情報を目標位置到達検知部201および中間位置到達検知部202に送信する。
目標カウント値記憶部200は、コリメートレンズ26の移動目標となる位置(以下「目標位置」と称する。)に対応するカウント値(以下「目標カウント値」と称する。)を記憶するものである。目標カウント値記憶部200は、例えばフラッシュメモリのような書換え可能な不揮発性メモリなどによって構成される。
本実施形態では、目標カウント値記憶部200は、記録層L0・L1の各目標位置に対応する目標カウント値を記憶している。これらの目標位置は、各記録層において球面収差を最適に補正する収差補正最適位置でもよいが、収差サーボによる球面収差の補正が可能となる収差補正可能位置であることが好ましい。この場合、コリメートレンズ26が収差補正最適位置に達する前に収差サーボを動作させることができるので、光ディスク1へのアクセスが迅速になる。
なお、上記目標位置として収差補正可能位置を利用する場合、光ディスク1の第1記録層L0に対応する目標位置は、コリメートレンズ26を光ディスク1の側へ移動させるときと、その反対側へ移動させるときとで異なることになる。したがって、目標カウント値記憶部200は、第1記録層L0に対応する目標カウント値を2つ記憶することになる。
目標位置到達検知部201は、アクセス対象層に対応する目標位置に、コリメートレンズ26が到達したことを検知するものである。目標位置到達検知部201は、上記到達の検知を収差補正制御部204に通知する。
具体的には、目標位置到達検知部201は、まず、カウント取得部101から現在のカウント値を取得すると共に、アクセス対象層に対応する目標カウント値を目標カウント値記憶部200から取得する。そして、目標位置到達検知部201は、上記現在のカウント値が上記目標カウント値に到達したことを検知する。
中間位置到達検知部202は、アクセス対象層へ駆動される直前のコリメートレンズ26の位置(以下「駆動直前位置」と称する。)と、上記アクセス対象層に対応する目標位置との中間位置に、コリメートレンズ26が到達したことを検知するものである。中間位置到達検知部202は、上記到達の検知をフォーカス制御部205に通知する。
具体的には、中間位置到達検知部202は、まず、上記駆動直前位置に対応するカウント値(以下「駆動直前カウント値」と称する。)と、現在のカウント値とをカウント取得部101から取得すると共に、アクセス対象層に対応する目標カウント値を目標カウント値記憶部200から取得する。この駆動直前カウント値は、上記アクセス対象層へのコリメートレンズ26の駆動を収差補正制御部204が指示する時に、カウント取得部101から取得すればよい。そして、中間位置到達検知部202は、上記現在のカウント値が、上記駆動直前カウント値および上記目標カウント値の中間値に到達したことを検知する。
なお、アクセス対象層の情報は、収差補正制御部204から取得しても良いし、アクセス対象層取得部203から取得しても良い。また、目標位置到達検知部201および中間位置到達検知部202は、駆動直前カウント値に対する目標カウント値の差分を利用することもできる。具体的には、目標位置到達検知部201は、カウント取得部101が取得するカウント値が1増加または減少するたびに、上記差分をそれぞれ1減少または増加し、上記差分がゼロに到達したことを検知すればよい。同様に、中間位置到達検知部202は、上記差分が元の値の半分に到達したことを検知すればよい。
アクセス対象層取得部203は、アクセス対象層の情報をシステムコントローラ18から取得するものである。アクセス対象層取得部203は、上記アクセス対象層の情報を収差補正制御部204およびフォーカス制御部205に送信する。
収差補正制御部201は、コリメートレンズ26を移動させて球面収差を補正するため、スイッチSW3・SW4および収差サーボ各種補償回路44に指示するものである。
具体的には、収差補正制御部201は、アクセス対象層取得部203から取得したアクセス対象層の情報によりコリメートレンズ26を移動させる必要がある場合、まず、アクセス対象層に対応する位置に向けてコリメートレンズ26を駆動させる。次に、収差補正制御部201は、目標位置到達検知部201から目標位置への到達が通知されると、収差エラー信号に基づいてコリメートレンズ26を移動させる。これにより、アクセス対象層に対応した球面収差の補正を行う位置に、コリメートレンズ26が追従することになる。
上記の構成によると、コリメートレンズ26は、目標位置に到達するまでは、収差エラー信号を参照すること無く移動させることができる。したがって、コリメートレンズ26を高速に移動することができる。
フォーカス制御部202は、光ディスク1の法線方向における焦点位置を変更するため、スイッチSW1・SW2およびフォーカスサーボ各種補償回路42に指示するものである。
具体的には、フォーカス制御部205は、アクセス対象層取得部203から取得したアクセス対象層の情報により対物レンズ2を移動させる必要がある場合、中間位置到達検知部202から上記中間位置への到達が通知されると、上記アクセス対象層に対応する位置に対物レンズ2を移動させる。これにより、アクセス対象層に対応する球面収差の補正が或る程度行われた状態で、対物レンズ2を移動させるので、アクセス対象層にフォーカスを確実に引き込むことができる。
次に、上記構成の光ディスク記録再生装置30の光ピックアップ7を制御する処理について、図10〜図12を参照して説明する。図10は、光ディスク記録再生装置30の起動時や光ディスク1のローディング時などにおいて、光ピックアップ7が、システムコントローラ18から指示された記録層(アクセス対象層)にアクセス可能となるまでの処理の流れを示している。
図10に示されるように、まず、ステッピングモータ制御回路46は、コリメートレンズ26をホームポジション(基準位置)に移動させる(S200)。該移動が完了すると、ステッピングモータ制御回路46は、CL位置を示すCL位置パルスカウンタを初期化する(S201)。これにより、CL移動カウント値が0になる。
次に、収差補正制御部204は、フォーカスを引き込む記録層、すなわちアクセス対象層に対応する位置に向けてコリメートレンズ26が移動するように、ジャンプ制御回路45に指示すると共に、スイッチSW4をジャンプ制御回路45の側に切り替え、かつスイッチSW3をオンにするように指示する(S202〜S204)。また、ステッピングモータ制御回路46は、ジャンプ制御回路45からの信号に基づいて、ステッピングモータ33にパルス信号を送信すると共に、位置パルスカウンタのカウント値を更新する(S203・S204)。
次に、現在のCL移動カウント値が駆動直前カウント値および目標カウント値の中間値に到達したことを中間位置到達検知部202が検知すると(S205)、フォーカス制御部205はフォーカスサーボの引込みを開始する(S206)。
すなわち、フォーカス制御部205は、フォーカスを引き込む記録層、すなわちアクセス対象層に対応する位置に向けて対物レンズ2が移動するように、ランプ回路43に指示すると共に、スイッチSW2をランプ回路43の側に切り替え、かつスイッチSW1をオンにするように指示する。対物レンズの移動が完了すると、フォーカス制御部205は、スイッチSW2をフォーカスサーボ各種補償回路42の側に切り替えて、上記アクセス対象層に焦点位置を追従させる。なお、図10の例では、駆動直前カウント値は、ステップS201によりゼロとなるので、ステップS205では、中間位置到達検知部202が、上記目標カウント値の半分に到達したことを検知することになる。
フォーカスサーボの引込みが終了した後(S207)、現在のCL移動カウント値が目標カウント値に到達したことを目標位置到達検知部201が検知すると(S208)、収差補正制御部204は、スイッチSW4を収差サーボ各種補償回路44の側に切り替えて、収差サーボを動作させる(オンにする)(S209)。そして、収差エラー信号がゼロクロスすると(S210)、サーボコントローラ40は、トラッキング用のサーボループおよびスレッド用のサーボループを形成して、トラッキングサーボおよびスレッドサーボを動作させる(S211)。これにより、光ピックアップ7が、アクセス対象層にアクセス可能となる。
図11は、収差サーボの処理の流れを示している。図示のように、まず、収差サーボ各種補償回路44は、エラー信号生成回路41から取得した球面収差の収差エラー信号が、ゼロ以上であるか否かを判断する(S220)。上記収差エラー信号がゼロ未満である場合(S220でNO)、収差サーボ各種補償回路44は、ステッピングモータ制御回路46に指示して、コリメートレンズ26をホームポジション方向に1ステップ移動させる(S221)。このとき、ステッピングモータ制御回路46は、位置パルスカウンタ103のカウント値を1減算する(S222)。その後、ステップS220に戻って上記動作を繰り返す。
一方、ステップS220にて、上記収差エラー信号がゼロ以上である場合(S220でYES)、収差サーボ各種補償回路44は、ステッピングモータ制御回路46に指示して、コリメートレンズ26をエンドポジション方向に1ステップ移動させる(S223)。このとき、ステッピングモータ制御回路46は、位置パルスカウンタ103のカウント値を1加算する(S224)。その後、ステップS220に戻って上記動作を繰り返す。
したがって、本実施形態では、収差サーボ各種補償回路44は、収差エラー信号の正負に基づいてコリメートレンズ26を1ステップ変化させるように、ステッピングモータ制御回路46に指示している。これにより、収差エラー信号の大きさに関係なく、コリメートレンズ26を1ステップ変化させるので、収差エラー信号の大きさが大きくてもコリメートレンズ26を大きく変化させることが無い。したがって、コリメートレンズ26の変化を抑えることができるので、コリメートレンズ26を変化させるためにステッピングモータ33が必要とする消費電力を抑えることができる。
また、コリメートレンズ26の移動に応じて、位置パルスカウンタ103のカウント値を変更するので、該カウント値からコリメートレンズ26の現在位置を把握できる。
図12は、或る記録層にアクセス可能である光ピックアップが、システムコントローラ18からの指示により、別の記録層にアクセス可能となるまでの処理(層間ジャンプ処理)の流れを示している。図示のように、まず、サーボコントローラ40は、スレッドサーボ、トラッキングサーボおよび収差サーボがオフ(OFF)となるように制御する(S230)。なお、フォーカスサーボはオンのままである。
次に、収差補正制御部204は、何れの記録層から何れの記録層へのジャンプであるかを判断する(S231)。この判断に基づいて、収差補正制御部204は、ジャンプ元の記録層に対応する位置から、ジャンプ先の記録層に対応する位置に向けて、コリメートレンズ26が移動するように収差サーボ各種補償回路44に指示すると共に、スイッチSW4を収差サーボ各種補償回路44の側とし、かつスイッチSW3をオンにするように指示する(S232・S233)。すなわち、収差サーボ各種補償回路44は、収差エラー信号に基づくサーボ動作を行うのではなく、コリメートレンズ26の一方向への移動をステッピングモータ制御回路46に指示している。
また、ステッピングモータ制御回路46は、収差サーボ各種補償回路44からの信号に基づいて、ステッピングモータ33にパルス信号を送信すると共に、位置パルスカウンタのカウント値を更新する(S232・S233)。
次に、現在のCL移動カウント値が駆動直前カウント値および目標カウント値の中間値に到達したことを中間位置到達検知部202が検知すると(S234)、フォーカス制御部205は、目的の記録層(アクセス対象層)へフォーカスジャンプを行うようにフォーカスサーボ各種補償回路42に指示する(S235)。このとき、フォーカスサーボはオンのままであるため、スイッチSW2がフォーカスサーボ各種補償回路42の側となっており、スイッチSW1がオンとなっている。したがって、フォーカスサーボ各種補償回路42からの指示により、対物レンズ2がフォーカスジャンプを行う。
対物レンズ2のフォーカスジャンプが完了すると(S236)、フォーカス制御部205は、フォーカスサーボ各種補償回路42に再びフォーカスサーボを動作させるように指示する。これにより、ジャンプ先のアクセス対象層に焦点位置を追従させることができる。
次に、現在のCL移動カウント値が目標カウント値に到達したことを目標位置到達検知部201が検知すると(S237)、収差補正制御部204は、収差サーボ各種補償回路44に収差サーボを動作させるように指示する(S238)。そして、収差エラー信号がゼロクロスすると(S239)、サーボコントローラ40は、トラッキング用のサーボループおよびスレッド用のサーボループを形成して、トラッキングサーボおよびスレッドサーボを動作させる(S240)。これにより、光ピックアップ7が、ジャンプ先のアクセス対象層にアクセス可能となる。
図13は、上記構成の光ディスク記録再生装置30において、第2記録層L1から第1記録層L0への層間ジャンプ処理を行った場合の各種信号の時間変化を示している。また、図14は、図13においてフォーカスジャンプを行う期間を拡大して示している。
図13および図14に示される信号は、上から順に、フォーカスエラー信号(FES)、コリメートレンズ駆動用パルス信号(CL駆動モニタ)、トラッキングエラー信号(DPD)、およびセンス信号(SENSE)である。コリメートレンズ駆動用パルス信号は、コリメートレンズ26を駆動するため、ステッピングモータ制御回路46がステッピングモータ33に出力するパルス信号である。また、センス信号は、サーボ用DSP16が外部(例えばシステムコントローラ18)からの指示を受け付けるか否かを示す信号である。センス信号がHレベルである場合、サーボ用DSP16は外部からの指示を受け付けない。図示の例では、センス信号がHレベルである期間が、図12に示される層間ジャンプ処理が行われる期間である。
図13に示されるように、コリメートレンズ26は、時刻T200にて駆動が開始されると、目標位置までは高速移動(粗動)し、時刻T202にて目標位置に到達した後には、収差エラー信号に基づいて低速移動(微動)している。なお、図示の例では、コリメートレンズ26が駆動直前位置から目標位置まで移動するためにステッピングモータ33に入力されるパルス数は76である。
また、時刻T201にて、ステッピングモータ33に38個目のパルスが入力されて、コリメートレンズ26が目標位置までの半分の距離に到達すると、フォーカスジャンプが行われている。フォーカスジャンプは、図14に示されるように、フォーカスエラー信号において上下に1回振動した時点T204で終了する。その後、フォーカスサーボにより、フォーカスエラー信号が0レベルに収束する。
一方、図15および図16は、それぞれ図13および図14に対応する比較例であり、時刻T210にてコリメートレンズ26を移動させると同時に対物レンズ2を移動させる場合を示している。図16に示されるように、フォーカスジャンプは、時刻T210にて開始し、フォーカスエラー信号にて上下に1回振動した時点T213で終了する。
図14と図16とを比較すると、比較例よりも本実施形態の方が、フォーカスエラー信号が素早く収束することが理解できる。なお、比較例の場合、フォーカスエラー信号が収束せずに発振してフォーカスが外れる場合があった。
なお、本実施形態では、フォーカス制御部205は、コリメートレンズ26が駆動直前位置と目標位置との中間点に到達したときに対物レンズ2を移動させている。しかしながら、フォーカスを確実に引き込むことができる程度にフォーカスエラー信号の感度を得ることができれば、駆動直前位置と目標位置との間の任意の位置に到達したときに対物レンズ2を移動させても良い。
また、本実施形態では、フォーカス制御部205は、コリメートレンズ26の位置(カウンタ値)を駆動開始のトリガーとしているが、後述の実施形態に記載のように、収差エラー信号の大きさが所定の閾値を超えたときを駆動開始のトリガーとすることもできる。
〔実施の形態3〕
本発明のさらに別の実施の形態について図17〜図20(b)に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施形態の光ディスク記録再生装置30のサーボ用DSP16は、収差エラー信号が所定の閾値に達した時にトラッキング追従動作を開始するように制御するものである。
なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前述した各実施形態に共通する光ディスク記録再生装置の構成と同じである。また、説明の便宜上、各実施形態に共通する光ディスク記録再生装置の構成の説明に用いた図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図17はサーボコントローラ40の機能ブロック図であり、図18はトラッキングサーボを引き込む(トラッキング追従動作を開始する)のに必要な収差エラー信号の閾値を示すグラフであり、図19は光ディスク記録再生装置30における動作フローを示したフローチャートであり、図20(a)および図20(b)は、それぞれ従来の光ディスク装置と本発明の光ディスク記録再生装置とによる層間ジャンプの完了時間を示した図である。
まず、サーボコントローラ40の構成を説明する。
サーボコントローラ40は、サーボ用DSP16に備えられているものであって、図17に示すように記憶部301、演算部302を備えている。
記憶部301は、トラッキングサーボを引き込むのに必要な球面収差誤差電圧の閾値が予め格納してあるものである。
上記閾値とは、図18に示すように、トラッキングサーボを引き込むのに必要な大きさのトラッキングエラー信号の電圧レベルに応じた球面収差エラー信号の値を表している。そして、トラッキングサーボを引き込むのに必要な大きさのトラッキングエラー信号の電圧レベルに応じた球面収差エラー信号(球面収差信号)の値は、上記閾値に該当する。よって、上記閾値は、トラッキングサーボを引き込むのに必要な球面収差エラー信号の閾値と言うことができる。
演算部302は、エラー信号生成回路41から送信されてくる球面収差誤差電圧(収差エラー信号)の値と、記憶部301に格納されている上記補正の閾値の情報とを参照し、所定の手順に従って演算するものである。そして、上記演算の結果に従ってSW5に対して切り替えの指示を行うものである。
演算部302は、例えば、収差エラー信号の値と上記閾値との比較を行う。そして、収差エラー信号の値が上記閾値に達していた場合には、トラッキングサーボ各種補償回路(トラッキング追従手段)47、またはトラックジャンプ制御回路48からの駆動指示信号をアクチュエータドライバ13に送信するように、SW5に対して切り替え(オン)の指示を行う。
また、演算部302は、例えば、収差エラー信号の値と上記閾値との比較を行う。そして、収差エラー信号の値が上記閾値に達していなかった場合には、トラッキングサーボ各種補償回路47、またはトラックジャンプ制御回路48からの駆動指示信号をアクチュエータドライバ13に送信しないように、SW5に対して切り替え(オフ)の指示を行う。
上記記憶部301、および演算部302は、CPUが記憶装置に格納されたプログラムを実行し、図示しない入出力回路などの周辺回路を制御することによって実現される機能ブロックである。
なお、本実施の形態においては上記閾値の情報は記憶部301に格納されているが、必ずしもこれに限定されず、例えば、上記閾値の情報を演算部302で実行するプログラムに組み込むことによって記憶部301を備えない構成とすることも可能である。
また、記録または再生する光ディスク1を切り替えるごとに、光ディスク1ごとに検出される収差エラー信号に対応した上記閾値を光ディスク1ごとに設定する構成としても構わない。
続いて、本実施の形態の光ディスク記録再生装置30における動作フローを図19に示すフローチャートを用いて説明する。
最初に、光ディスク記録再生装置30での層間ジャンプを開始する。
上記層間ジャンプが開始するとステップS301では、コリメートレンズ26の情報記録層(L0層)から他方の情報記録層(L1層)への移動(CL位置の粗動)が開始する。
そしてステップS302では、サーボコントローラ40が球面収差エラー信号の観測(サーボコントローラ40内の記憶部301での球面収差エラー信号の受信)を行う。そして、ステップS303では、コリメートレンズ26の位置がL0層とL1層との略中間位置に到達したかを判定する。そしてコリメートレンズ26の位置がL0層とL1層との略中間位置に到達していた場合(ステップS303でYes)には、ステップS304に移る。また、コリメートレンズ26の位置がL0層とL1層との略中間位置に到達していなかった場合(ステップS303でNo)には、ステップS303のフローを繰り返す。
ステップS304では、フォーカスジャンプを行う。続いて、ステップS305では、コリメートレンズ26に対するサーボ制御、すなわち球面収差サーボを開始する。そして、ステップS306ではサーボコントローラ40内の演算部302によって球面収差エラー信号のレベルが閾値に達したかどうかを判定する。
そして、球面収差エラー信号のレベルが閾値に達していた場合(ステップS306でYes)にはステップS307に移る。また、球面収差エラー信号のレベルが閾値に達していなかった場合(ステップS306でNo)には、ステップS306に戻ってフローが繰り返される。
ステップS307では、トラッキングサーボをONにし、トラッキングサーボの引き込みを開始する。
ステップS308では、スレッドサーボをONにし、スレッドサーボの動作を開始する。
そして、光ディスク記録再生装置30での層間ジャンプが終了する。
なお、本実施の形態においては層間ジャンプ時に光ディスク記録再生装置30によって球面収差サーボを行う構成を示したが、必ずしもこれに限定されない。例えば、層間ジャンプ時でなくても、光ディスク記録再生装置30に対して衝撃等が加わって光ディスク1の位置ずれが生じた場合に球面収差サーボを行う構成であっても構わない。
つまり、光ディスク記録再生装置30に対して衝撃等が加わる前に照射光の焦点が位置していた情報記録層に対して、光ディスク1の位置ずれが生じて照射光の焦点から外れた場合に球面収差サーボを行う構成であっても構わない。
上記構成によれば、トラッキングエラー信号の振幅値が最大になる時点での球面収差エラー信号の値に達するよりも前の時点にあたる上記閾値に球面収差エラー信号の値が達したときに、トラッキングサーボを引き込むことができる。
トラッキングエラー信号の振幅値が最大になる時点は、従来までの収差サーボ各種補償回路44でのサーボ制御が完了する時点である。よって、トラッキングエラー信号の振幅値が最大になる時点での球面収差エラー信号の値に達するよりも前の時点にあたる上記閾値に球面収差信号の値が達する時点は、従来までの収差サーボ各種補償回路44でのサーボ制御が完了する時点よりも前の時点になる。
また、収差サーボ各種補償回路44でのサーボ制御をしながらトラッキングエラー信号の振幅値に対応している球面収差エラー信号のレベルを監視し、球面収差エラー信号が上記閾値に達したときに、トラッキングサーボ各種補償回路47を作動させる構成になっている。よって、収差サーボ各種補償回路44でのサーボ制御をしながらでも球面収差エラー信号のレベルを監視することによって、トラッキングエラー信号の振幅値を監視しなくてもトラッキングサーボ各種補償回路47を作動させることができる構成になっている。
従って、上記閾値を、トラッキングエラー信号の振幅値がトラッキングサーボ各種補償回路47を安定に動作させることのできるレベルにある時点での、球面収差エラー信号の値に設定することができる。そして、トラッキングエラー信号の振幅値を監視しなくても球面収差エラー信号の値を監視することによって、トラッキングサーボ各種補償回路47を安定に動作させることのできる時点でトラッキングサーボを引き込むことが可能になる。
その結果、層間ジャンプにかかる時間の短縮を可能にする
図18を用いて説明すると、トラッキングエラー信号の電圧レベルが最も高くなるときの球面収差エラー信号の値が、図18中のB点で示す球面収差補正の最良点(球面収差サーボの目標値)である。そして、上記B点が従来までの球面収差の補正を完了させるための目標値でもある。
これに対して、上記閾値は、図18中のA点とC点とで示す範囲のB点に達するよりも前の時点での球面収差エラー信号の値にあたる。よって、本発明のサーボ用DSP16は、上記球面収差サーボの目標値に達するB点よりも前の、図18中のA点の時点で球面収差サーボが完了したものとしてトラッキングサーボの引き込みを開始することになる。
つまり、本発明の光ディスク記録再生装置30では、球面収差補正の完了のタイミングよりも早く球面収差サーボを完了し、トラッキングサーボの引き込みを開始する。
さらに、従来の光ディスク記録再生装置によって収差補正サーボをかけながら層間ジャンプを行った場合と本発明の光ディスク記録再生装置30によって収差補正サーボをかけながら層間ジャンプを行った場合との間での層間ジャンプにかかる時間の違いを調べた検査結果を、図20(a)および図20(b)を用いて具体的に示す。
図20(a)は、従来の光ディスク記録再生装置によって一方の情報記録層(L0層)から他方の情報記録層(L1層)へと層間ジャンプを行ったときのフォーカスエラー信号、収差エラー信号、トラッキングエラー信号およびCL駆動パルスの信号波形を示した図である。
また、図20(b)は、本発明の光ディスク記録再生装置30によって一方の情報記録層(L0層)から他方の情報記録層(L1層)へと層間ジャンプを行ったときのフォーカスエラー信号、収差エラー信号、トラッキングエラー信号およびCL駆動パルスの信号波形を示した図である。
トラッキングサーボの解除(トラッキングサーボループをオープン)、および球面収差サーボの解除(球面収差サーボループをオープン)を行った後にコリメートレンズを一方の情報記録層(L0層)から他方の情報記録層(L1層)へ移動(CL位置の粗動)を開始するので、トラッキングエラー信号の振幅が急激に高くなる時点からコリメートレンズの移動にともなって球面収差エラー信号が目標値(0V)から徐々にずれていく。次に、フォーカスジャンプが終了すると球面収差エラー信号の極性が変わり、球面収差サーボが開始されると、球面収差エラー信号が目標値(0V)付近に徐々に近づく。トラッキングエラー信号の振幅が急激に低くなる時点は、トラッキングサーボの引き込みを行った時点を表している。
図20(a)に示すように、従来では、球面収差サーボが開始されてから球面収差エラー信号の変動がほぼなくなった時点でトラッキングサーボの引き込みを行っている。そして、実際に球面収差サーボを開始してからトラッキングサーボの引き込みが行われるまでの時間を計測したところ74msecとなった。
一方、図20(b)に示すように、本発明の光ディスク記録再生装置30を用いた場合では、球面収差サーボが開始されてから球面収差エラー信号の変動が続いている途中の、トラッキングサーボの引き込み可能な時点でトラッキングサーボの引き込みを行っている。そして、実際に球面収差サーボを開始してからトラッキングサーボの引き込みが行われるまでの時間を計測したところ33msecとなった。つまり、本発明の光ディスク記録再生装置30は、球面収差サーボを開始してからトラッキングサーボの引き込みを行うまでの時間を従来に比べて半分以下に短縮することを実現している。
〔実施の形態4〕
本発明のさらに別の実施の形態について図21に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前述した各実施形態に共通する光ディスク記録再生装置の構成、または前記実施の形態と同じである。また、説明の便宜上、各実施形態に共通する光ディスク記録再生装置、または前記実施の形態の構成の説明に用いた図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図21はサーボコントローラ40の機能ブロック図である。まず、サーボコントローラ40の構成を説明する。サーボコントローラ40は、図21に示すように記憶部301、演算部312、トータル信号取得部313を備えている。
演算部312は、エラー信号生成回路41から送信されてくる収差エラー信号、記憶部301に格納されている前記閾値の情報、およびトータル信号取得部313から送信されてくるトータル信号を参照し、所定の手順に従って演算するものである。そして、上記演算の結果に従ってSW5に対して切り替えの指示を行うものである。
トータル信号取得部313は、光ディスク1からの反射光の総量を示すトータル信号を信号処理回路17から取得し、演算部312に送信するものである。
次に、2枚の光ディスク1を切り替えながら光ディスク記録再生装置30で記録再生を行う場合の演算部312での処理について説明する。また、第1の光ディスク1、第2の光ディスク1の順番で記録再生を行うものとする。
第1の光ディスク1の記録再生を行う場合には、演算部312はトータル信号取得部313で取得した第1の光ディスク1のトータル信号に従って収差エラー信号の値の補正を行う。そして、補正された収差エラー信号と上記閾値との比較を行う。続いて、補正された収差エラー信号の値が上記閾値に達していた場合には、トラッキングサーボ各種補償回路47、またはトラックジャンプ制御回路48からの駆動指示信号をアクチュエータドライバ13に送信するように、SW5に対して切り替え(オン)の指示を行う。
また、補正された収差エラー信号の値が上記閾値に達していなかった場合には、トラッキングサーボ各種補償回路47、またはトラックジャンプ制御回路48からの駆動指示信号をアクチュエータドライバ13に送信しないように、SW5に対して切り替え(オフ)の指示を行う。
第1の光ディスク1の記録再生に続いて第2の光ディスク1の記録再生を行う場合には、演算部312はトータル信号取得部313で取得した第2の光ディスク1のトータル信号に従って収差エラー信号の値の補正を行う。そして、補正された収差エラー信号と上記閾値との比較を行う。続いて、補正された収差エラー信号の値が上記閾値に達していた場合には、トラッキングサーボ各種補償回路47、またはトラックジャンプ制御回路48からの駆動指示信号をアクチュエータドライバ13に送信するように、SW5に対して切り替え(オン)の指示を行う。
また、補正された収差エラー信号の値が上記閾値に達していなかった場合には、トラッキングサーボ各種補償回路47、またはトラックジャンプ制御回路48からの駆動指示信号をアクチュエータドライバ13に送信しないように、SW5に対して切り替え(オフ)の指示を行う。
収差エラー信号は、光ディスク1からの反射光の一部から得られるものであるので、収差エラー信号の値は光ディスクの反射光からの信号、すなわちトータル信号の値に比例する。したがって、記録再生する光ディスク1を切り替えるごとに、トータル信号取得部313で取得したトータル信号に基づいて収差エラー信号を補正することによって、2枚の光ディスク1ごとに対応した収差エラー信号の補正を行うことが可能になる。そして、2枚の光ディスク1ごとの収差エラー信号が均一になる。よって、サーボ用DSP16は、2枚の光ディスク1ごとに応じたタイミングでアクチュエータドライバ13を作動制御することが可能になる。
上記記憶部301、演算部312およびトータル信号取得部313は、CPUが記憶装置に格納されたプログラムを実行し、図示しない入出力回路などの周辺回路を制御することによって実現される機能ブロックである。
なお、本実施の形態においては上記閾値の情報は記憶部301に格納されているが、必ずしもこれに限定されず、例えば、演算部312で実行するプログラムに組み込むことによって上記閾値の情報を記憶部301に格納しない構成とすることも可能である。
また、本実施の形態においてはトータル信号取得部313で取得したトータル信号に基づいて演算部312で収差エラー信号を補正する構成になっていたが、必ずしもこれに限定されず、例えばトータル信号取得部313で取得したトータル信号に基づいて演算部312で上記閾値を補正する構成であっても構わない。また、3枚以上の光ディスク1を切り替える場合も同様である。
〔実施の形態5〕
本発明のさらに別の実施の形態について図22〜図28に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施形態の光ディスク記録再生装置30のサーボ用DSP16は、アクセス対象層に対応する位置に向けてコリメートレンズ26の移動を開始させ、収差エラー信号が所定の閾値に達した時にフォーカスサーボの制御を実行し、その後球面収差サーボの制御を実行するものである。
なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前述した各実施形態に共通する光ディスク記録再生装置の構成と同じである。また、説明の便宜上、各実施形態に共通する光ディスク記録再生装置の構成の説明に用いた図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
まず、図22を用いてサーボコントローラ40の構成を説明する。
サーボコントローラ40は、図22に示すように記憶部401および演算部402を備えている。
記憶部401は、フォーカスサーボを引き込む(フォーカスサーボ各種補償回路42を安定に動作する)のに必要な収差エラー信号の値(閾値)が予め格納してあるものである。上記閾値とは、フォーカスサーボを引き込むのに必要なゲイン比率としてのフォーカスサーボゲインの値に応じた収差エラー信号の値であり、詳細は後述する。
演算部402は、エラー信号生成回路41から送信されてくる収差エラー信号の値と記憶部401に格納されている上記閾値とを参照し、所定の手順に従って演算するものである。そして、上記演算の結果に従って、アクチュエータドライバ13を駆動させてフォーカスジャンプを行わせるように、フォーカスサーボ各種補償回路42に指示を行うものである。
演算部402は、例えば、収差エラー信号の値と上記閾値との比較を行う。そして、収差エラー信号の値が上記閾値に達していた場合には、アクチュエータドライバ13を駆動させてフォーカスジャンプを行わせるように、フォーカスサーボ各種補償回路42に指示を行う。その結果、フォーカスジャンプ等のフォーカス制御が行われる。
また、演算部402は、例えば、収差エラー信号の値と上記閾値との比較を行う。そして、収差エラー信号の値が上記閾値に達していなかった場合には、アクチュエータドライバ13を駆動させてフォーカスジャンプを行わせないように、フォーカスサーボ各種補償回路42に指示を行う。
上記記憶部401、および演算部402は、CPUが記憶装置に格納されたプログラムを実行し、図示しない入出力回路などの周辺回路を制御することによって実現される機能ブロックである。
なお、本実施の形態においては上記閾値の情報は記憶部401に格納されているが、必ずしもこれに限定されず、例えば、上記閾値の情報を演算部402で実行するプログラムに組み込むことによって記憶部401を備えない構成とすることも可能である。
また、記録または再生する光ディスク1を切り替えるごとに、光ディスク1ごとに検出される収差エラー信号に対応した上記閾値を光ディスク1ごとに設定する構成としても構わない。
次に、複数の記録層を有する光ディスク1での層間ジャンプを行う場合のフォーカスジャンプのタイミングについて図23、図24および図27を用いて説明する。
ここで言うところの層間ジャンプとは、光ディスク上の記録または再生を行う記録層を変更する動作を示している。また、フォーカスジャンプとは、層間ジャンプの過程中の動作であって、集光光学系から照射される光の焦点の位置を一方の記録層から他方の記録層へと移動させる動作を示している。
図23を用いて、光ディスク1の一方の記録層(L0層)から他方の記録層(L1層)にフォーカスジャンプを行う場合の収差エラー信号の変化を模式的に示す。図23では、フォーカスがL0層に合っているときのコリメートレンズ(CL)26の位置をL0として表し、フォーカスがL1層に合っているときのCL26の位置をL1として表している。L0からL1までの距離は、例としておよそ25μmとしている。また、フォーカスがL0層またはL1層に合っているときにCL26を半導体レーザ(LD)4側から対物レンズ(OL)2側に駆動したときの収差エラー信号の変化は破線で表している。
L0層からL1層へフォーカスジャンプを行う場合を例にして説明する。図23では、CL26がL0とL1との間の中間点に位置したときにフォーカスジャンプを行うものとしている。つまり、フォーカスがL0層に合っているCL26が、L0とL1との間の中間点である12.5μmの位置に位置するときの収差エラー信号に相当する電圧を上記閾値としている。
まず、L0層にフォーカスが合っており、L0層に対する収差の補正も完了している状態では、図23に示すようにL0の位置で収差エラー信号は0になる。続いて、CL26がL0の位置からOL2側へと駆動していくにつれて、収差サーボをかけなければ収差エラー信号の絶対値が増えていく。そして、フォーカスジャンプを開始する上記閾値に達した時点でフォーカスジャンプが行われ、L1層にフォーカスが移動する。L1層にフォーカスが移動した直後には、球面収差がL1層に完全には合っていないので、図23に示すように、収差エラー信号の絶対値が0よりも大きい状態になる。その後、フォーカスサーボおよび球面収差サーボをかけることによってL1に示すように収差エラー信号が0の状態になり、L1層にフォーカスが合っていると共にL1層に対する収差の補正も完了している状態になる。
フォーカスジャンプを行ったときに実際に計測したフォーカスエラー信号、収差エラー信号、およびRF信号の変化を図24(a)〜図24(c)に示す。
図24(a)および図24(b)は、L0層からL1層へフォーカスジャンプを行ったときの図であって、図24(b)は図24(a)においてフォーカスジャンプを行う期間を横に拡大したものである。図24(c)は、L1層からL0層へフォーカスジャンプを行ったときの図である。
図24(a)〜図24(c)に示すように、図23の太線で表されるフォーカスジャンプに伴う収差エラー信号の変化と同様の変化が実際に認められる。また、フォーカスジャンプは、フォーカスエラー信号において上下に1回振動した時点で終了する。その後、フォーカスサーボにより、フォーカスエラー信号が0レベルに収束する。したがって、図24(a)〜図24(c)中で1回のフォーカスジャンプに対してフォーカスエラー信号の振動が1度しか検出されていないということは、フォーカスジャンプ後にフォーカスエラー信号が素早く収束していることを意味する。
続いて、本実施の形態の光ディスク記録再生装置30における動作フローを図25および図26に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、層間ジャンプ時にフォーカスジャンプを行う記録層間の距離に該当するパルス数だけCL26を駆動する場合の、光ディスク記録再生装置30における動作フローを図25に示す。
最初に、光ディスク記録再生装置30での層間ジャンプを開始する。上記層間ジャンプが開始するとステップS401では、スレッドサーボ、トラッキングサーボおよび収差サーボがOFFされる。
続いて、ステップS402では、サーボ用DSP16によってフォーカスジャンプをL0層からL1層に向かって行うのか、L1層からL0層に向かって行うのかが決定される。そして、フォーカスジャンプをL0層からL1層に向かって行うことが決定された場合(ステップS402でL0→L1)には、ステップS403に移り、L0層からL1層までの距離に該当するパルス数だけの、OL2側へのCL26の駆動が開始される。そして、その後ステップS404に移る。
また、フォーカスジャンプをL1層からL0層に向かって行うことが決定された場合(ステップS402でL1→L0)には、ステップS411に移り、L1層からL0層までの距離に該当するパルス数だけの、LD4側へのCL26の駆動が開始される。そして、その後ステップS412に移る。
続いて、ステップS404では、サーボコントローラ40内の演算部402によって収差エラー信号の値がフォーカスジャンプ開始閾値電圧(閾値)に達したかどうかを判定する。そして、収差エラー信号の値が閾値に達していた場合(ステップS404でYES)には、ステップS405に移る。一方、収差エラー信号の値が閾値に達していなかった場合(ステップS404でNO)には、ステップS404のフローを再度行う。
また、ステップS412でも、サーボコントローラ40内の演算部402によって収差エラー信号の値がフォーカスジャンプ開始閾値電圧(閾値)に達したかどうかを判定する。そして、収差エラー信号の値が閾値に達していた場合(ステップS412でYES)にはステップS405に移る。一方、収差エラー信号の値が閾値に達していなかった場合(ステップS412でNO)には、ステップS412のフローを再度行う。
ステップS405では、目的の記録層へフォーカスジャンプが行われる。
続いて、ステップS406では、サーボ用DSP16によってフォーカスジャンプが完了したかどうかの確認が行われる。そして、フォーカスジャンプが終了していた場合(ステップS406でYES)には、ステップS407に移る。一方、フォーカスジャンプが終了していなかった場合(ステップS406でNO)には、ステップS406のフローを再度行う。
ステップS407では、サーボ用DSP16によってCL26がL0からL1までの距離に該当するパルス数(指定パルス)だけの駆動を終了したかどうかの確認が行われる。そして、指定パルスの駆動が終了していた場合(ステップS407でYES)には、ステップS408に移る。一方、指定パルスの駆動が終了していなかった場合(ステップS407でNO)には、ステップS407のフローを再度行う。
ステップS408では、収差サーボがONにされ、ステップS409に移る。
ステップS409では、サーボ用DSP16によって、収差エラー信号の値が0に達した(収差エラーがゼロクロスした)かどうかの確認が行われる。そして、収差エラー信号の値が0に達していた場合(ステップS409でYES)には、ステップS410に移る。一方、収差エラー信号の値が0に達していなかった場合(ステップS409でNO)には、ステップS409のフローを再度行う。
ステップS410では、トラッキングサーボおよびスレッドサーボがONされる。そして、光ディスク記録再生装置30での層間ジャンプが終了する。
上記の構成によれば、パルス数によってCL26の駆動する距離の調整を行うことができるので、CL26をフォーカスジャンプ後に収差がおおまかに合うような位置まで予め駆動することによって、フォーカスジャンプ後の収差サーボにかかる時間等を短縮することが可能になる。
次に、層間ジャンプ時に、予め駆動する距離を設定せずにCL26を駆動する場合の、光ディスク記録再生装置30における動作フローを図26に示す。
最初に、光ディスク記録再生装置30での層間移動を開始する。上記層間ジャンプが開始するとステップS421では、スレッドサーボ、トラッキングサーボおよび収差サーボがOFFされる。
続いて、ステップS422では、サーボ用DSP16によってフォーカスジャンプをL0層からL1層に向かって行うのか、L1層からL0層に向かって行うのかが決定される。そして、フォーカスジャンプをL0層からL1層に向かって行うことが決定された場合(ステップS422でL0→L1)には、ステップS423に移り、OL2側へのCL26の駆動が開始される。そして、その後ステップS424に移る。
また、フォーカスジャンプをL1層からL0層に向かって行うことが決定された場合(ステップS422でL1→L0)には、ステップS431に移り、LD4側へのCL26の駆動が開始される。そして、その後ステップS432に移る。
続いて、ステップS424では、サーボコントローラ40内の演算部402によって収差エラー信号の値がフォーカスジャンプ開始閾値電圧(閾値)に達したかどうかを判定する。そして、収差エラー信号の値が閾値に達していた場合(ステップS424でYES)には、ステップS425に移る。一方、収差エラー信号の値が閾値に達していなかった場合(ステップS424でNO)には、ステップS424のフローを再度行う。
また、ステップS432でも、サーボコントローラ40内の演算部402によって収差エラー信号の値がフォーカスジャンプ開始閾値電圧(閾値)に達したかどうかを判定する。そして、収差エラー信号の値が閾値に達していた場合(ステップS432でYES)にはステップS425に移る。一方、収差エラー信号の値が閾値に達していなかった場合(ステップS432でNO)には、ステップS432のフローを再度行う。
ステップS425では、CL26の駆動が停止される。そして、ステップS426で目的の記録層へフォーカスジャンプが行われる。
続いて、ステップS427では、サーボ用DSP16によってフォーカスジャンプが完了したかどうかの確認が行われる。そして、フォーカスジャンプが終了していた場合(ステップS427でYES)には、ステップS428に移る。一方、フォーカスジャンプが終了していなかった場合(ステップS427でNO)には、ステップS427のフローを再度行う。
ステップS428では、収差サーボがONにされ、ステップS429に移る。
ステップS429では、サーボ用DSP16によって、収差エラー信号の値が0に達した(収差エラーがゼロクロスした)かどうかの確認が行われる。そして、収差エラー信号の値が0に達していた場合(ステップS429でYES)には、ステップS430に移る。一方、収差エラー信号の値が0に達していなかった場合(ステップS429でNO)には、ステップS429のフローを再度行う。
ステップS430では、トラッキングサーボおよびスレッドサーボがONされる。そして、光ディスク記録再生装置30での層間ジャンプが終了する。
上記の構成によれば、DCモーターなどといった、パルス数で位置検出を行うことのない駆動手段を光ディスク記録再生装置30に用いることが可能になる。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、収差サーボをONにした後に、収差エラー信号の値が0に達したかどうかの確認を行う構成になっているが、特にこれに限定するものではない。例えば、収差エラー信号が0に達していなくても、収差エラー信号の値がトラッキングサーボおよびスレッドサーボの引き込みを可能な許容誤差範囲に達したかどうかの確認を行う構成としてもよい。
また、本実施の形態では、CL26の駆動を停止してからフォーカスジャンプを行い、フォーカスジャンプ終了後に収差サーボをONにする構成になっているが、特にこれに限定するものではなく、フォーカスジャンプ終了後にCL26の駆動を停止して収差サーボをONにすることも可能である。
また、本実施の形態では、収差サーボをOFFしてからフォーカスジャンプを行い、フォーカスジャンプ終了後に収差サーボをONにする構成になっているが、特にこれに限定するものではなく、収差サーボをONにしたままフォーカスジャンプを行うことも可能である。
また、本実施の形態では、フォーカスジャンプを開始する閾値として、L0とL1との間の中間点に位置するときの収差エラー信号に相当する電圧としているが、その他の値を利用することもできる。この点について、図27および図28に基づいて説明する。
図27は、CL26の位置とフォーカスサーボのゲインとの関係を示すグラフである。図示において、実線は、L0層にフォーカスが合っているときのグラフであり、破線は、L1層にフォーカスが合っているときのグラフである。また、横軸は、CL26の位置を基準位置からのパルス数で示すものである。また、縦軸は、CL最適位置でのフォーカスサーボのゲインに対する、CL26の或る位置でのフォーカスサーボのゲインの比率をデシベル(dB)で示すものである。ここで、CL最適位置は、球面収差を最適に補正できるCL26の位置を意味する。CL最適位置は、記録層によって異なり、図示の例では、L0層の場合に約50パルスであり、L1層の場合に約120パルスである。
図27に示されるように、フォーカスが合っている記録層に対応するCL最適位置に近づくにつれて、フォーカスサーボのゲインが増加し、上記CL最適位置から遠ざかるにつれて、フォーカスサーボのゲインが低下することが理解できる。そこで、フォーカスジャンプにおいて、一方の記録層のCL最適位置から他方の記録層のCL最適位置にCL26を移動させると、一方の記録層にフォーカスが合っている場合のフォーカスサーボのゲインは低下するが、他方の記録層にフォーカスが合っている場合のフォーカスサーボのゲインは増加する。
したがって、他方の記録層にフォーカスが合っている場合のフォーカスサーボのゲインが、フォーカスサーボの制御が可能な範囲に達したとき、フォーカスジャンプを行ってフォーカスサーボの制御を行えば、他方の記録層に的確にフォーカスを引き込むことができる。また、一方の記録層にフォーカスが合っている場合のフォーカスサーボのゲインが、フォーカスサーボの制御が不能な範囲に達したとき、一方の記録層からフォーカスが外れることになる。
例えば、図27において、CL最適位置でのフォーカスサーボのゲインに対する、CL26の或る位置でのフォーカスサーボのゲインの比率が約−10dB以上である場合に、フォーカスの引き込みが可能であるとする。この場合、L0層からL1層へのフォーカスジャンプは、CL位置のパルス数が約65に達したときに行えばよいことになる。また、L1層からL0層へのフォーカスジャンプは、CL位置のパルス数が約105に達したときに行えばよいことになる。何れの条件も、CL位置のパルス数が中間点のパルス数(約85)に達する前にフォーカスジャンプを行うことができる。
さらに、L0層にフォーカスを合わせる場合には、CL位置のパルス数が約5〜約95の範囲にCL26の位置を限定することが望ましいことになる。また、L1層にフォーカスを合わせる場合には、CL位置のパルス数が約72〜約170の範囲にCL26の位置を限定することが望ましいことになる。
図28は、CL26の位置と収差エラー信号との関係を示すグラフである。図示において、実線は、L0層にフォーカスが合っているときのグラフであり、破線は、L1層にフォーカスが合っているときのグラフである。また、横軸は、CL26の位置を基準位置からのパルス数で示すものである。また、縦軸は、収差エラー信号を電圧(V)で示すものである。
図27および図28を参照すると、L0層にフォーカスを合わせる場合、CL最適位置のパルス数は約50であり、これは、収差エラー信号が約0.03Vである場合に対応する。したがって、L0層にフォーカスを合わせる場合、収差サーボにおける収差エラー信号の目標電圧は約0.03Vとなる。一方、L1層にフォーカスを合わせる場合、CL最適位置のパルス数は約120であり、これは、収差エラー信号が約0.08Vである場合に対応する。したがって、L1層にフォーカスを合わせる場合、収差サーボにおける収差エラー信号の目標電圧は約0.08Vとなる。
また、上述のように、L0層からL1層へのフォーカスジャンプは、CL位置のパルス数が約72に達したときに行えばよく、これは、収差エラー信号が約−0.12Vである場合に対応する。したがって、L0層からL1層へのフォーカスジャンプを開始する閾値が約−0.12Vとなる。一方、L1層からL0層へのフォーカスジャンプは、CL位置のパルス数が約95に達したときに行えばよく、これは、収差エラー信号が約0.24Vである場合に対応する。したがって、L1層からL0層へのフォーカスジャンプを開始する閾値が約0.24Vとなる。
図23で示した例では、L0層に対するCL最適位置とL1層に対するCL最適位置との中間の位置にある時点での収差エラー信号の値を上記閾値として、フォーカスジャンプを行っている。よって、図23で示した例では、図27の場合のパルス数が約80の位置でフォーカスジャンプを行っていることになる。図27の場合では、パルス数が約65から105の間の範囲にあるときにフォーカスサーボの引き込みを行うことが可能であるので、パルス数が約80の位置にある図23のフォーカスジャンプでは、フォーカスサーボの引き込みを行うことができている。
また、L0層に対するCL最適位置とL1層に対するCL最適位置との中間の位置にある時点でのパルス数約85と、フォーカスジャンプをより安定に行うことができるL0層に対するゲイン比率とL1層に対するゲイン比率とが等しい点(中間点)でのパルス数約80とは非常に近似しているので、L0層に対するCL最適位置とL1層に対するCL最適位置との中間の位置にある時点での収差エラー信号の値を、フォーカスジャンプをより安定に行うことができる上記閾値としてもよい。
図27で示すように、L0層からL1層へのフォーカスジャンプが行われる場合には、L1層に対する収差の補正が完了する位置でもあるL1層に対するCL最適位置にCL26が達するよりもおよそ55パルス前の時点から、フォーカスサーボの引き込みを行うことが可能になっている。
本発明では、L1層に対するCL最適位置にCL26が達するよりもおよそ55パルス前の時点を上記閾値に含むことになるので、本発明によれば、補正が完了するよりもおよそ55パルス前の時点でフォーカスジャンプを行うことが実際に可能になっている。つまり、補正を完了してからフォーカスジャンプを行っていた従来に比べておよそ55パルス前の時点でフォーカスジャンプを行うことが実際に可能になっている。
〔実施の形態6〕
本発明のさらに別の実施の形態について図29に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前述した各実施形態に共通する光ディスク記録再生装置の構成、または前記実施の形態と同じである。また、説明の便宜上、各実施形態に共通する光ディスク記録再生装置、または前記実施の形態の構成の説明に用いた図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図29はサーボコントローラ40の機能ブロック図である。まず、サーボコントローラ40の構成を説明する。サーボコントローラ40は、図29に示すように記憶部401、演算部412、トータル信号取得部413を備えている。
演算部412は、エラー信号生成回路41から送信されてくる収差エラー信号、記憶部401に格納されている前記閾値の情報、およびトータル信号取得部413から送信されてくるトータル信号を参照し、所定の手順に従って演算するものである。そして、上記演算の結果に従ってSW1に対して切り替えの指示を行うものである。
トータル信号取得部413は、光ディスク1からの反射光の総量を示すトータル信号を信号処理回路17から取得し、演算部412に送信するものである。
次に、2枚の光ディスク1を切り替えながら光ディスク記録再生装置30で記録再生を行う場合の演算部412での処理について説明する。また、第1の光ディスク1、第2の光ディスク1の順番でそれぞれ複数の記録層の記録再生を行うものとする。
第1の光ディスク1の記録再生を行う場合には、演算部412はトータル信号取得部413で取得した第1の光ディスク1のトータル信号に従って収差エラー信号の値の補正を行う。そして、補正された収差エラー信号と上記閾値との比較を行う。続いて、補正された収差エラー信号の値が上記閾値に達していた場合には、アクチュエータドライバ13を駆動させてフォーカスジャンプを行わせるように、フォーカスサーボ各種補償回路42に指示を行う。その結果、フォーカスジャンプが行われる。
また、補正された収差エラー信号の値が上記閾値に達していなかった場合には、アクチュエータドライバ13を駆動させてフォーカスジャンプを行わせないように、フォーカスサーボ各種補償回路42に指示を行う。
第1の光ディスク1の記録再生に続いて第2の光ディスク1の記録再生を行う場合には、演算部412はトータル信号取得部413で取得した第2の光ディスク1のトータル信号に従って収差エラー信号の値の補正を行う。そして、補正された収差エラー信号と上記閾値との比較を行う。続いて、補正された収差エラー信号の値が上記閾値に達していた場合には、アクチュエータドライバ13を駆動させてフォーカスジャンプを行わせるように、フォーカスサーボ各種補償回路42に指示を行う。その結果、フォーカスジャンプが行われる。
また、補正された収差エラー信号の値が上記閾値に達していなかった場合には、アクチュエータドライバ13を駆動させてフォーカスジャンプを行わせないように、フォーカスサーボ各種補償回路42に指示を行う。このように、記録再生する光ディスク1を切り替えるごとに、トータル信号取得部413で取得したトータル信号に基づいて収差エラー信号を補正する。
上述のように、収差エラー信号の値は光ディスクの反射光からの信号、すなわちトータル信号の値に比例する。したがって、記録再生する光ディスク1を切り替えるごとに、トータル信号取得部413で取得したトータル信号に基づいて収差エラー信号を補正することによって、2枚の光ディスク1ごとに対応した収差エラー信号の補正を行うことが可能になる。そして、2枚の光ディスク1ごとの収差エラー信号が均一になる。よって、サーボ用DSP16は、2枚の光ディスク1ごとに応じたタイミングでアクチュエータドライバ13を作動制御することが可能になる。
上記記憶部401、演算部412およびトータル信号取得部413は、CPUが記憶装置に格納されたプログラムを実行し、図示しない入出力回路などの周辺回路を制御することによって実現される機能ブロックである。
なお、本実施の形態においては上記閾値の情報は記憶部401に格納されているが、必ずしもこれに限定されず、例えば、演算部412で実行するプログラムに組み込むことによって上記閾値の情報を記憶部401に格納しない構成とすることも可能である。
また、本実施の形態においてはトータル信号取得部413で取得したトータル信号に基づいて演算部412で収差エラー信号を補正する構成になっていたが、必ずしもこれに限定されず、例えばトータル信号取得部413で取得したトータル信号に基づいて演算部412で上記閾値を補正する構成であっても構わない。また、3枚以上の光ディスク1を切り替える場合も同様である。
〔実施の形態7〕
次に、本発明のさらに別の実施形態について、図30〜図32を参照して説明する。本実施形態の光ディスク記録再生装置30のサーボ用DSP16は、球面収差サーボを常に動作させるのではなく、収差エラー信号の値が所定範囲内である場合に球面収差サーボを停止させるものである。なお、上記実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図30は、上記サーボ用DSP16におけるサーボコントローラ40の概略構成を示している。図示のように、サーボコントローラ40は、収差エラー信号取得部500、範囲判定部501、および収差補正制御部502を備える構成である。
収差エラー信号取得部500は、エラー信号生成回路41から収差エラー信号を取得するものである。収差エラー信号取得部500は、取得した収差エラー信号を範囲判定部501および収差補正制御部502に送信する。
範囲判定部501は、収差エラー信号取得部500からの収差エラー信号の値が所定範囲内であるかを判定するものである。範囲判定部501は、判定結果を収差補正制御部502に通知する。なお、範囲判定部501の詳細については後述する。
収差補正制御部502は、収差エラー信号取得部500からの収差エラー信号と、範囲判定部501からの判定結果とに基づいて、適当な収差補正を収差サーボ各種補償回路44に指示するものである。具体的には、収差補正制御部502は、収差エラー信号の値が所定範囲外である場合、収差補正サーボ機構を駆動すべく、前記収差エラー信号に基づく指示を収差サーボ各種補償回路44に送信する。一方、収差エラー信号の値が所定範囲内である場合、収差補正制御部502は、前記駆動を停止すべく、前記指示の収差サーボ各種補償回路44への送信を停止する。
これにより、収差補正サーボ機構は、常時駆動されるのではなく、収差エラー信号の値が所定範囲内である場合に駆動が停止されるので、該駆動による消費電力を抑えることができる。また、上記駆動の停止により、収差補正サーボ機構の駆動手段であるステッピングモータ33の振動や発熱を抑えることができるので、振動および発熱によるその他の部品への影響を抑えることができ、光ピックアップ7を良好な状態に維持できる。
なお、範囲判定部501が判定に利用する所定範囲は、球面収差の状態が多少変化しても、光検出器6からの各種信号への影響が低いような範囲であることが好ましい。この範囲について図31を参照して説明する。
図31は、1つの記録層(L0層)を有する光ディスク1に対して、焦点位置をL0層に合わせた上で、コリメートレンズ26をホームポジションからエンドポジションに移動させたときの収差エラー信号の変化を示している。図示のように、収差エラー信号は、S字カーブ状の曲線となっており、横軸との交点がゼロクロスレベルとなる。このゼロクロスレベルの場合、球面収差が最適に補正されていることになる。
ところで、球面収差は光ディスク1の表面から記録層までの厚さに専ら起因する。そこで、図31では、コリメートレンズ26の位置を、球面収差が最適に補正されている位置からの上記厚さの誤差に対応付けて、横軸に記載している。
また、上記厚さは、光ディスク1の各部で異なる。したがって、フォーカスジャンプや、他の外乱要因が無い場合、収差エラー信号は、光ディスク1の回転周期で振動する波形となる。
このため、収差エラー信号の値がゼロクロスレベルから外れても、再びゼロクロスレベルに戻る可能性が高い。したがって、ゼロクロスレベルを中心とする上記振動の範囲を最適範囲とすると、この最適範囲に収差エラー信号の値が含まれる場合、収差エラー信号に基づいてコリメートレンズ26を移動させなくても、収差エラー信号の値がゼロクロスレベルに戻る可能性が高い。そこで、上記最適範囲を上記所定範囲に含むことが望ましいことが理解できる。
同様に、収差エラー信号の値が最適範囲から外れても、再び最適範囲に戻る可能性が高い。したがって、最適範囲と、最適範囲の下限を上記振動の上限とする範囲と、最適範囲の上限を上記振動の下限とする範囲とを含む範囲を許容範囲とすると、この許容範囲に収差エラー信号の値が含まれる場合、収差エラー信号に基づいてコリメートレンズ26を移動させなくても、収差エラー信号の値が最適範囲に戻る可能性が高い。そこで、上記最適範囲内から外れたが、未だ許容範囲内である場合を、上記所定範囲に含んでもよいことが理解できる。
次に、範囲判定部501の詳細について説明する。図30に示されるように、範囲判定部501は、最適範囲判定部503、許容範囲判定部504、および判定結果生成部505を備える構成である。
最適範囲判定部503は、収差エラー信号取得部500からの収差エラー信号の値が最適範囲内であるかを判定するものである。最適範囲判定部503は、判定結果を判定結果生成部505に通知する。
許容範囲判定部504は、収差エラー信号取得部500からの収差エラー信号の値が許容範囲内であるかを判定するものである。許容範囲判定部504は、判定結果を判定結果生成部505に通知する。
判定結果生成部505は、最適範囲判定部503からの判定結果と、許容範囲判定部504からの判定結果とに基づいて、収差判定用信号を判定結果として生成するものである。判定結果生成部505は、生成した収差判定用信号を収差補正制御部502に送信する。
ここで、収差判定用信号は、図31に示されるように、H(高)レベルおよびL(低)レベルとなり得る2値信号である。収差判定用信号は、収差エラー信号の値が最適範囲内であるか、或いは最適範囲内から外れたがが、未だ許容範囲内である場合に、Hレベルとなり、その他の場合にLレベルとなるものである。
上記の構成によると、収差エラー信号の値が最適範囲内であるか、或いは最適範囲内から外れたがが、未だ許容範囲内である場合に、判定結果生成部505は、Hレベルの収差判定用信号を収差補正制御部502に送信する。収差補正制御部502は、Hレベルの収差判定用信号を受信すると、収差補正サーボ機構の駆動を停止すべく、収差サーボ各種補償回路44への指示を停止する。
また、収差エラー信号の値が、未だ最適範囲内に入ってなかったり、衝撃その他の外乱要因により収差エラー信号が許容範囲から外れたりする場合に、判定結果生成部505は、Lレベルの収差判定用信号を収差補正制御部502に送信する。収差補正制御部502は、Lレベルの収差判定用信号を受信すると、収差補正サーボ機構を駆動すべく、収差サーボ各種補償回路44への指示を実行する。
これにより、収差補正サーボ機構は、常時駆動されるのではなく、収差エラー信号の値が所定範囲内である場合に駆動が停止されるので、該駆動による消費電力を抑えることができる。さらに、収差補正サーボ機構の駆動を停止しても、光検出器6からの各種信号への影響を抑えることができる。
次に、上記構成のサーボコントローラ40を含む収差サーボ動作時の処理の流れを、図30および図3を用いながら図32に示したフローチャートに沿って説明する。
初めに、各種の初期設定を行う(S500)。このとき、収差判定用信号はHレベルおよびLレベルの何れでも良いが、図32の場合ではHレベルに設定されている。
次に、判定結果生成部505は、現在の収差判定用信号がHレベルであるか否かを判断する(S501)。Lレベルである場合には(S501でNO)、S502に進む。一方、Hレベルである場合には(S501でYES)、S504に進む。
S502にて、最適範囲判定部503は、球面収差エラー信号が最適範囲内であるか否かを判断する。最適範囲から外れている場合(S502でNO)、以下の収差補正サーボの処理(S506〜S508)を実行する。
すなわち、収差補正制御部502は、収差エラー信号取得部500からの収差エラー信号が、ゼロ以上であるか否かを判断する(S506)。上記収差エラー信号がゼロ以上である場合(S506でYES)、収差補正制御部502は、収差サーボ各種補償回路44を介してステッピングモータ制御回路46に指示し、コリメートレンズ26をエンドポジション方向に1ステップ移動させる(S507)。その後、ステップS501に戻る。
一方、上記収差エラー信号がゼロ未満(負)である場合(S506でNO)、収差補正制御部502は、収差サーボ各種補償回路44を介してステッピングモータ制御回路46に指示し、コリメートレンズ26をホームポジション方向に1ステップ移動させる(S508)。その後、ステップS501に戻る。
一方、S502にて、収差エラー信号が最適範囲内である場合(S502でYES)、判定結果生成部505は、収差判定用信号をHレベルに設定して、収差補正制御部502に送信する(S503)。これにより、収差補正制御部502が収差補正サーボの処理(S506〜S508)を行うこと無く、S501に戻る。
一方、S504にて、許容範囲判定部504は、球面収差エラー信号が許容範囲内であるか否かを判断する。許容範囲内である場合(S504でYES)、判定結果生成部505は、収差判定用信号をHレベルに維持して、収差補正制御部502に送信する。これにより、収差補正制御部502が収差補正サーボの処理(S506〜S508)を行うこと無く、S501に戻る。
一方、S504にて、収差エラー信号が許容範囲から外れている場合(S504でNO)、判定結果生成部505は、収差判定用信号をLレベルに設定して、収差補正制御部502に送信する(S505)。これにより、収差補正制御部502が収差補正サーボの処理(S506〜S508)を実行する。その後、S501に戻る。
以上のように、本実施形態では、収差判定用信号がLレベルであれば、収差補正サーボ機構を駆動する一方、収差判定用信号がHレベルであれば、収差補正サーボ機構の駆動を停止している。これにより、コリメートレンズ駆動モータ33の無駄な駆動を防止できる。
具体的には、小さな収差エラー信号のノイズや、光ディスク1の回転による収差エラー信号の揺らぎに応じて、コリメートレンズ駆動モータ33を駆動させることがなく、その結果、コリメートレンズ駆動モータ33の過度の駆動による過熱を防止できる。
また、光ピックアップ7には、半導体レーザ4などの高温となる部品が設けられるため、それ以上温度を上昇させないために、他の部品の温度を抑えるという要望を満たすこともできる。
さらに、コリメートレンズ駆動モータ33の無駄な駆動を防止することにより、コリメートレンズ駆動モータ33の駆動時に発生する振動を抑えることができる。
また、本実施形態では、コリメートレンズ駆動モータ33によってコリメートレンズ26を光軸方向に移動させることにより、球面収差を補正している。したがって、収差補正サーボ機構の駆動を停止する場合、コリメートレンズ駆動モータ33に電圧を印加する必要が無い。その結果、コリメートレンズ駆動モータ33における消費電力を抑えることができる。
なお、本実施形態では、最適範囲および許容範囲は、ゼロクロスレベルを含んでいるが、収差補正サーボの目標電圧がゼロクロスレベルと異なる場合、ゼロクロスレベルを含まないこともあり得る。
〔実施の形態8〕
次に、本発明のさらに別の実施形態について、図33〜図35を参照して説明する。本実施形態の光ディスク記録再生装置30のサーボ用DSP16は、光ディスク1の欠陥等や何らかの突発的な異常などによる球面収差の補正への影響を抑えるものである。なお、上記実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図33は、本実施形態の光ディスク記録再生装置30におけるフォーカスサーボおよび球面収差サーボに関する構成を示しており、図3に対応するものである。図33に示される本実施形態の光ディスク記録再生装置30は、図3に示される構成に比べて、エラー信号生成回路41と収差サーボ各種補償回路44との間に、LPF(低域通過フィルタ、low-pass filter)700が挿入されている点が異なり、その他の構成は同様である。
図34は、図33に示される光ディスク記録再生装置30において、光ディスク1のブラックドットBDを光ビームが通過したときの各種信号の時間変化を示している。また、図35は、図34の比較例であり、図3に示される光ディスク記録再生装置において、光ディスク1のブラックドットBDを光ビームが通過したときの各種信号の時間変化を示している。
図34および図35に示されるグラフに関して、信号は上から順番にトータル信号、収差エラー信号、およびRF信号である。また、横軸は時間を示す軸であり、縦軸は電圧を示す軸である。横軸の1目盛は200μsであり、縦軸の1目盛は信号に依存する。さらに、時間軸(横軸)は、右側から左側へ時間が経過している。すなわち、右側が古く、左側が新しい。また、一点鎖線で囲まれた期間は、光ビームがブラックドットBDを通過している期間である。
図35を参照すると、従来の光ディスク記録再生装置では、光ビームがブラックドットBDを通過すると、トータル信号、収差エラー信号、およびRF信号の全てが乱高下することが理解できる。特に、収差エラー信号が乱高下することにより、球面収差の適切な補正位置から外れることになる。また、その後に適切な補正位置に戻るまでに時間を費やすことになる。
一方、図34を参照すると、本実施形態の光ディスク記録再生装置30では、光ビームがブラックドットBDを通過しても、収差エラー信号の乱高下が発生しないことが理解できる。これにより、コリメートレンズ26が球面収差の適切な補正位置から外れることを防止でき、その後に適切な補正位置に戻るまでに時間を費やすことを回避できる。
なお、LPF700は、収差エラー信号において、異常時に発生する周波数成分を遮断するものであることが好ましい。
例えば、光ディスク1の欠陥等による異常は、光ディスク1が1周するたびに発生することが考えられる。そこで、LPF700は、光ディスク1の回転数よりも高い周波数の信号を遮断してもよい。この場合、光ディスクの欠陥等による異常に対して、球面収差の補正への影響を抑えることができる。
また、例えば、次世代光ディスク技術の一規格であるBlu−ray Discでは、20μsに相当する光ディスク1の欠陥等が許容されている。そこで、LPF700は、50kHzよりも高い周波数の信号を遮断してもよい。この場合、許容されない光ディスク1上の欠陥等による異常に対して、球面収差の補正への影響を抑えることができる。
また、コリメートレンズ26を段階的に変化させるステッピングモータ33を利用する場合、LPF700は、ステッピングモータ制御回路46がステッピングモータ33に1秒間に入力可能なパルス数よりも高い周波数の信号を遮断してもよい。例えば、1ステップ移動させるのに1ms必要であるステッピングモータ33を利用している場合、1kHzよりも高い周波数の信号を遮断すればよい。
通常、ステッピングモータ制御回路46は、ステッピングモータ33を制御して、球面収差を補正可能な変化率(1秒間に変化可能なパルス数)でコリメートレンズ26を変化させるように設定されている。すなわち、収差エラー信号において上記変化率よりも高い周波数成分は、ステッピングモータ制御回路46にとって球面収差の補正と無関係の成分であるといえる。したがって、LPF700が上記変化率よりも高い周波数の信号を遮断しても、球面収差の補正に影響を与えることが少ない。
〔実施の形態9〕
次に、本発明のさらに別の実施形態について、図36を参照して説明する。本実施形態の光ディスク記録再生装置30のサーボ用DSP16は、光ディスク1の欠陥等や何らかの突発的な異常などによる球面収差の補正への影響を抑えるものである。なお、上記実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図36は、本実施形態の光ディスク記録再生装置30のサーボ用DSP16におけるサーボコントローラ40の概略構成を示している。図示のように、サーボコントローラ40は、収差エラー信号取得部710、異常検知部711、および収差補正制御部712を備える構成である。
収差エラー信号取得部710は、エラー信号生成回路41から収差エラー信号を取得するものである。収差エラー信号取得部710は、取得した収差エラー信号を異常検知部711に送信する。
異常検知部711は、収差エラー信号取得部710からの収差エラー信号に基づいて、信号が異常であるか否かを検知するものである。信号の異常は、例えば、予め設定した閾値を越える収差エラー信号を検出したり、短時間に急激に変動する収差エラー信号を検出したりすることによって検知可能である。異常検知部711は、異常を検知すると、その旨を収差補正制御部712に通知する。
収差補正制御部712は、収差サーボ各種補償回路44、ジャンプ制御回路45、ステッピングモータ制御回路46、スイッチSW3、およびスイッチSW4に指示して、球面収差の補正を制御するものである。本実施形態では、収差補正制御部712は、異常を検知した旨を異常検知部711から通知されると、スイッチSW3をオフにする。これにより、ステッピングモータ33の駆動が停止されるので、上述と同様に、コリメートレンズ26が球面収差の適切な補正位置から外れることを防止できる。
なお、収差補正制御部712は、スイッチSW3をオフにする代わりに、ステッピングモータ制御回路46への指示を停止するように収差サーボ各種補償回路44に指示してもよいし、ステッピングモータ33へのパルス入力を停止するようにステッピングモータ制御回路46に指示してもよい。
〔実施の形態10〕
本発明のさらに別の実施形態について図37〜図39に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施の形態10のみが特に請求項に係る発明と関連する実施の形態である。本実施形態の光ディスク記録再生装置30のサーボ用DSP16は、複数の記録層を有する光ディスク1において、或る記録層をフォーカスが横切るときに、次の記録層に対応する状態に球面収差を補正するものである。なお、上記実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図37は、本実施形態の光ディスク記録再生装置30におけるサーボ用DSP16のサーボコントローラ40の構成を示す概略図である。サーボコントローラ40は、図37に示すように、比較部901、計測部902、収差補正値切替え部903、回路制御部904、制御部905を備えている。
比較部901は、エラー信号生成回路41からフォーカスエラー信号を受け取り、当該フォーカスエラー信号のレベルと層検出閾値のレベルとを比較するものである。比較部901は、フォーカスエラー信号のレベルが層検出閾値のレベルに達したと判断した場合、その旨を示すピーク検出信号を計測部902および収差補正値切替え部903へ出力する。
計測部902は、比較部901からピーク検出信号を受け取ると、自らが備えるカウンタ(不図示)に1を追加し、自らが備えるメモリ(不図示)に記録された数と、カウンタが示す数とを比較するものである。そして、メモリに記録された数と、カウンタが示す数とが一致すると、計測部902は、その旨を示す一致情報をフォーカスサーボ各種補償回路903および回路制御部904へ出力する。
つまり、計測部902は、比較部901が検出したフォーカスエラー信号のピークの数を数え、所定の数だけ当該ピークを検出した旨を示す情報を出力するものである。
収差補正値切替え部903は、比較部901からピーク検出信号を受け取ると、その時点で球面収差の補正対象となっている情報記録層の次の情報記録層に対して最適となるように球面収差の補正値を切替えるように収差サーボ各種補償回路904へ収差補正値切替え命令を出力するものである。また、収差補正値切替え部903は、収差補正値切替え命令を出力すると同時に、収差補正値切替え情報を回路制御部904へ出力する。
なお、上記次の情報記録層とは、対物レンズの移動方向における次の情報記録層である。例えば、第1情報記録層から第3情報記録層へ向かう方向へ対物レンズが移動している場合には、第1情報記録層の次の情報記録層は第2情報記録層である。
回路制御部904は、計測部902から出力された一致情報および収差補正値切替え部903から出力された収差補正値切り替え情報に基づいて、フォーカスサーボをONにするためのスイッチSW1およびSW2、および、収差サーボをONにするためのスイッチSW3およびSW4を切り替えるものである。
制御部905は、システムコントローラ18からの命令に基づいて、サーボコントローラ40の各部を制御するものである。
フォーカスサーボ各種補償回路42は、計測部902から一致情報を受け取った場合に、当該ピークを発生させた情報記録層に対して、フォーカスの引き込みを行うものである。このとき、フォーカスサーボ各種補償回路42は、エラー信号生成回路41から出力されたフォーカスエラー信号に基づいて、フォーカスサーボ用の補正値を算出する。フォーカスサーボ各種補償回路42は、算出したフォーカスサーボ用の補正値をフォーカス用ドライバ51へ出力する。
収差サーボ各種補償回路44は、収差補正値切替え部903から収差補正値切替え命令を受け取った場合、当該収差補正値切替え命令に基づいて、上記次の情報記録層に対して最適となるよう球面収差の補正値を選択するものである。この球面収差の補正値は、各情報記録層に対して球面収差が適切なものになるように、情報記録層ごとに予め設定されている。例えば、第1情報記録層にフォーカスサーボが入っているときに、収差エラー信号が0Vとなるようにコリメートレンズ26の位置を規定する値を第1情報記録層の補正値とすればよい。収差サーボ各種補償回路44は、選択した補正値をステッピングモータ制御回路46へ出力する。
(フォーカスサーチに関する処理の流れ)
光ディスク記録再生装置30においてフォーカスサーチを行う場合の処理の流れについて図38を参照しつつ説明する。図38は、光ディスク記録再生装置30におけるフォーカス引き込み処理の流れを示すフローチャートである。
以下では、第1層から第N層までの情報記録層を有する光ディスク1に対して、対物レンズ2の初期位置から光ディスク1に近づく方向へ対物レンズ2を移動させることにより、光ディスク1の第1情報記録層から順に第N情報記録層までフォーカスサーチを行う場合の処理の流れについて説明する。
図38に示すように、まず、制御部905は、システムコントローラ18からの命令に基づいて、計測部902のカウンタの示す値Xを0に設定するとともに(S901)、計測部902のメモリにNの値を記録する。
そして、制御部905は、第1情報記録層に対して球面収差が最適になる補正値を選択するよう収差補正値切替え部903に命じる。
この命令を受けると、収差補正値切替え部903は、収差サーボ各種補償回路44に対して、第1情報記録層に対する球面収差が最適となる補正値(第1補正値と称する)を選択するよう収差補正値切替え命令を出力する。
この収差補正値切替え命令を受け取ると、収差サーボ各種補償回路44は、予め定められた補正値の中から第1補正値を選択し、この第1補正値をステッピングモータ制御回路46へ出力する。これにより、駆動コリメートレンズモータドライバ25を介してコリメートレンズ駆動機構27が制御され、コリメートレンズ26の位置が調整される(S902)。
その後、システムコントローラ18は、アクチュエータ3を制御することにより対物レンズ2を初期位置から光ディスクに近づく方向へ移動させる(S903)。このとき、エラー信号生成回路41は、光ディスク1にて反射した光ビームからフォーカスエラー信号を生成し、比較部901へ出力する。
フォーカスエラー信号を受け取ると、比較部901は、フォーカスエラー信号のレベルを層検出閾値のレベルと比較する(S904)。
層検出閾値以上のレベルを有するフォーカスエラー信号を検出すると(S905にてYES)、比較部901は、ピーク検出信号を計測部902および収差補正値切替え部903に出力する。
ピーク検出信号を受け取ると、計測部902はカウンタの示す値Xに1を追加する(S906)。
ここで、計測部902は、メモリに記録されたNの値とカウンタの示す値Xとを比較する(S907)。
カウンタの示す値Xがメモリに記録されたNの値よりも小さい場合(S905にてNO)、計測部902は、一致情報の出力を延期する(S902に戻る)。
S902に戻る場合、ピーク検出信号を受け取った収差補正値切替え部903は、第(X+1)情報記録層に対して最適となるように球面収差の補正値を切替えるように収差サーボ各種補償回路44へ収差補正値切替え命令を出力する(S902)。以下、上記のS903〜S907の処理を実行する。
一方、メモリに記録されたNの値とカウンタの示す値とが一致した場合(S905にてYES)、計測部902は、一致情報をフォーカスサーボ各種補償回路42および回路制御部904へ出力する。
一致情報を受け取ると、回路制御部904は、フォーカスサーボをONにするためにスイッチSW1およびSW2を制御し、フォーカスサーボ各種補償回路42は、第N層に対してフォーカスの引き込みを行う(S908)。
第N層に対するフォーカスの引き込みが終了すると、フォーカスサーチに関する一連の処理が終了される。
(光ディスク記録再生装置30の効果)
次に、光ディスク記録再生装置30の効果について、図39を参照しつつ説明する。図39は、光ディスク記録再生装置30の効果を説明するための図である。同図(a)は、従来の光ディスク記録再生装置において、第3情報記録層に最適な球面収差の補正が行われている状態で、対物レンズを初期位置から光ディスクに近づく方向へ移動させた場合に得られるフォーカスエラー信号の波形を示すものである。一方、同図(b)は、本実施形態の光ディスク記録再生装置30において、球面収差の補正対象となる情報記録層を順次切替えながら、対物レンズ2を移動させた場合に得られるフォーカスエラー信号の波形を示すものである。
図39(a)に示すように、第3情報記録層に最適な球面収差の補正が行われている状態で、対物レンズを初期位置から光ディスク1に近づく方向へ移動させた場合には、第3情報記録層に関するフォーカスエラー信号のピークは、(+)の極性を有する(図39において上方向に延びる)層検出閾値以上のピークとなるが、第1および第2情報記録層に関するフォーカスエラー信号のピークは、層検出閾値以下のものとなる。
この状態では、第1および第2情報記録層は認識されず、第3情報記録層のみが認識される。そのため、光ディスク記録再生装置は、第3情報記録層を第1情報記録層であると誤認識し、さらに対物レンズを移動させる。その結果、光ディスクが3層の情報記録層からなるものであれば、対物レンズは光ディスクに衝突する虞がある。
一方、図39(b)に示すように、球面収差の補正対象となる情報記録層を順次切替えながら、対物レンズ2を移動させた場合には、各情報記録層に関するフォーカスエラー信号のピークはそれぞれ層検出閾値以上のものとなる。そのため、情報記録層を誤認識する虞が少なく、目的の情報記録層に対して確実にフォーカスの引き込みを行うことができる。したがって、情報記録層の誤認識に伴い対物レンズが光ディスクに衝突する可能性を低減できる。
なお、上記実施形態では、比較部901は、フォーカスエラー信号のレベルが層検出閾値以上となった場合にピーク検出信号を出力しているが、フォーカスエラー信号のレベルが層検出閾値以上となった後に層検出閾値より低下した場合にピーク検出信号を出力してもよい。
また、フォーカスエラー信号のレベルが、フォーカスエラー信号の基準レベルよりも所定値以上低下した場合に、比較部901は、ピーク検出信号を出力してもよい。すなわち、比較部901を(−)の極性を有する(図39において下方向に延びる)フォーカスエラー信号のピークを検出するものとしてもよい。
また、上記実施形態では、ピーク検出信号を受け取ると、収差補正値切替え部903は、その時点で球面収差の補正対象となっている情報記録層の次の情報記録層に対して最適となるように球面収差の補正値を切替えるように収差サーボ各種補償回路44へ収差補正値切替え命令を出力している。しかし、球面収差の補正対象として、情報記録層の中間点を設定してもよい。
例えば、3層の光ディスクの場合には、第1情報記録層と第2情報記録層との中間点、第2情報記録層と第3情報記録層との中間点をそれぞれ球面収差の補正対象としてもよい。この場合、ピーク検出信号を受け取ると、収差補正値切替え部903は、その時点で球面収差の補正対象となっている中間点よりも焦点移動方向における前方の中間点に適した補正値を設定するように収差サーボ各種補償回路44へ収差補正値切替え命令を出力すればよい。
また、球面収差の補正値は、各情報記録層に対して最適なものである必要は必ずしもなく、少なくとも各情報記録層から層検出閾値以上のレベルのフォーカスエラー信号が得られる程度のものであればよい。
〔実施の形態11〕
本発明のさらに別の実施形態について図40〜図42に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施形態の光ディスク記録再生装置30のサーボ用DSP16は、2つの記録層を有する光ディスク1に対しフォーカスサーチを行う場合に、2つの記録層の中間点に対応する球面収差の補正を行い、フォーカス引込み後の収差エラー信号の値に基づいて、フォーカスが引き込まれた記録層を判断するものである。なお、上記実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図40は、サーボコントローラ40の構成を示す概略図である。サーボコントローラ40は、図40に示すように、比較部1001、計測部1002、測定部1003、判定部1004、制御部1005、回路制御部1006を備えている。
比較部1001は、エラー信号生成回路41からフォーカスエラー信号を受け取り、当該フォーカスエラー信号のレベルと検出閾値のレベルとを比較するものである。比較部1001は、フォーカスエラー信号のレベルが検出閾値のレベルに達したと判断した場合、その旨を示すピーク検出信号を計測部1002へ出力する。
計測部1002は、比較部1001からピーク検出信号を受け取ると、自らが備えるカウンタ(不図示)に1を追加し、自らが備える一時記憶メモリ(不図示)に記録された数と、カウンタが示す数とを比較するものである。そして、一時記憶メモリに記録された数と、カウンタが示す数とが一致すると、計測部1002は、その旨を示す一致情報をフォーカスサーボ各種補償回路903および回路制御部1006へ出力する。
測定部1003は、エラー信号生成回路41から出力された収差エラー信号の電圧を測定するものである。測定部1003は、測定結果を判定部1004へ出力する。
判定部1004は、測定部1003によって測定された収差エラー信号の電圧の値が所定の範囲に入っているかどうかを判定するものである。具体的には、判定部1004は、収差エラー信号の電圧の値が正の値であるか負の値であるかを判定する。
そして、判定部1004は、目的とする情報記録層がL1層であり、収差エラー信号の電圧の値が負の値である場合、または、目的とする情報記録層がL0層であり、収差エラー信号の電圧の値が正の値である場合、誤った情報記録層に対してフォーカスの引き込みが行われたことを示す異常情報を制御部1005へ出力する。
また、判定部1004は、目的とする情報記録層がL1層であり、収差エラー信号の電圧の値が正の値である場合、または、目的とする情報記録層がL0層であり、収差エラー信号の電圧の値が負の値である場合、目的とする情報記録層に対してフォーカスの引き込みが行われたことを示す正常情報を制御部1005へ出力する。
制御部1005は、システムコントローラ18からの命令に基づいて、サーボコントローラ40の各部を制御するものである。特に、制御部1005は、判定部1004から異常情報を受け取った場合、フォーカスの引き込みが行われた情報記録層とは異なる情報記録層へフォーカスジャンプ(層間ジャンプ)するようにフォーカスサーボ各種補償回路42へ指示する。
回路制御部1006は、計測部1002から出力された一致情報および制御部1005から出力された制御信号に基づいて、フォーカスサーボをONにするためのスイッチSW1およびSW2、および、収差サーボをONにするためのスイッチSW3およびSW4を切り替えるものである。
本実施形態では、ジャンプ制御回路45は、L0層とL1層との、積層方向における中間点、すなわち、L0層およびL1層から等しい距離にある点(または層)に適した、球面収差の補正値を設定し、当該補正値をステッピングモータ制御回路46へ出力することにより、コリメートレンズの位置を制御するものである。
(収差エラー信号の電圧測定の意義)
ここで、収差エラー信号の電圧を測定することの意義について図41を参照しつつ説明する。図41は、L0層またはL1層にフォーカスが合っている時に、ホームポジションからエンドセンサ位置までコリメートレンズ(CL)を移動させた場合に得られる収差エラー信号の電圧の変化を示すグラフである。
同図に示すように、L0層とL1層との中間点において球面収差が最適となるようにコリメートレンズを配置した場合には、各層に由来する収差エラー信号の電圧値は、基準線1010と各層に由来する収差エラー信号の線との交点の値になる。すなわち、L1層にフォーカスが合っている場合には、収差エラー信号の電圧値は、正の値(矢印1011の示す値)となり、L0層にフォーカスが合っている場合には、収差エラー信号の電圧値は、負の値(矢印1012の示す値)となる。
それゆえ、収差エラー信号の電圧値が正の値であるか負の値であるかを測定することにより、どちらの情報記録層に対してフォーカスの引き込みが行われたのかを判断することができる。
(フォーカス引き込みに関する処理の流れ)
次に、光ディスク記録再生装置30においてフォーカスの引き込みを行う場合の処理の流れについて図42を参照しつつ説明する。図42は、光ディスク記録再生装置30におけるフォーカス引き込み処理の流れを示すフローチャートである。
まず、制御部1005は、システムコントローラからの指示に基づき、L0層またはL1層に対してフォーカスの引き込みを設定するようランプ回路43に指示する。
そして、図42に示すように、制御部1005は、ステッピングモータ制御回路46および駆動コリメートレンズモータドライバ25を介してコリメートレンズ駆動機構27を制御することにより、コリメートレンズ26をホームポジションに移動させる(S1001)。
そして、回路制御部1006は、収差サーボをONにするためのスイッチSW3およびSW4を操作し、ジャンプ制御回路45とステッピングモータ制御回路46とを接続する。ジャンプ制御回路45は、L0層とL1層との中間点に適する球面収差の補正値を設定し、この補正値に基づいてコリメートレンズ26を移動させる(S1002)。
その後、制御部1005は、L1層に対してフォーカスの引き込みを行う場合には「1」を、L0層に対してフォーカス引き込みを行う場合には「2」を計測部1002へ出力するとともに、計測部1002のカウンタを0に設定する。
制御部1005からの信号を受け取ると、計測部1002は、自らが備える一時記憶メモリに「1」または「2」を記録する。
また、制御部1005は、L0層およびL1層のいずれを目的の情報記録層とするのかという情報を判定部1004へ出力する。
上記情報を受け取ると、判定部1004は、自らが備える一時記憶メモリ(不図示)に当該情報を記録する。
その後、制御部1005は、スイッチSW1およびSW2を操作してランプ回路43とアクチュエータ3とを接続する。ランプ回路43は、アクチュエータ3を制御することにより対物レンズ2を初期位置から光ディスク1に近づく方向へ移動させる。このとき、エラー信号生成回路41は、光ディスク1にて反射した光ビームからフォーカスエラー信号を生成し、比較部1001へ出力する。
フォーカスエラー信号を受け取ると、比較部1001は、図38の処理S904〜S908同様に、フォーカスエラー信号のレベルを層層検出閾値のレベルと比較する。層検出閾値以上のレベルを有するフォーカスエラー信号を検出すると、比較部1001は、ピーク検出信号を計測部1002へ出力する。
ピーク検出信号を受け取ると、計測部1002はカウンタの示す値に1を追加する。ここで、計測部1002は、一時記憶メモリに記録された値とカウンタの示す値とを比較する。
カウンタの示す値がメモリに記録された値と一致しない場合、計測部1002は、一致情報の出力を延期し、新たなピーク検出信号を受け取るまで待機する。
一方、メモリに記録された値とカウンタの示す値とが一致した場合、計測部1002は、一致情報をフォーカスサーボ各種補償回路42および回路制御部1006へ出力する。
一致情報を受け取ると、回路制御部1006は、フォーカスサーボをONにするためにスイッチSW2を制御し、フォーカスサーボ各種補償回路42は、フォーカスの引き込みを行う(S1004)。
フォーカスの引き込みが終了すると(S1004にてYES)、測定部1003は、エラー信号生成回路41から出力された収差エラー信号の電圧を測定する。測定部1003は、測定結果を判定部1004へ出力する。
測定結果を受け取ると、判定部1004は、収差エラー信号の電圧の値が正の値であるか負の値であるかを判定する。
さらに判定部1004は、目的とする情報記録層がL0層であり(S1005にてYES)、収差エラー信号の電圧の値が正の値である場合(S1006にてNO)、または、目的とする情報記録層がL1層であり(S1005にてNO)、収差エラー信号の電圧の値が負の値である場合(S1008にてNO)、異常情報を制御部1005へ出力する。
異常情報を受け取ると、制御部1005は、フォーカスの引き込みが行われた情報記録層とは異なる情報記録層へフォーカスジャンプするようにフォーカスサーボ各種補償回路42へ指示する(S1007またはS1009)。
一方、判定部1004は、目的とする情報記録層がL0層であり(S1005にてYES)、収差エラー信号の電圧の値が負の値である場合(S1006にてYES)、または、目的とする情報記録層がL1層であり(S1005にてNO)、収差エラー信号の電圧の値が正の値である場合(S1008にてYES)、正常情報を制御部1005へ出力する。
正常情報を受け取ると、制御部1005は、一連のフォーカス引き込み処理が終了される。
なお、フォーカスジャンプを行う場合には、目的とする情報記録層にフォーカスが合うように対物レンズ2を移動させるが、このとき収差サーボをONにすることが望ましい。
(光ディスク記録再生装置30の効果)
以上のように、光ディスク記録再生装置30は、フォーカスの引き込みが行われた情報記録層に由来する収差エラー信号の電圧を測定することにより、フォーカスの引き込みが行われた情報記録層が目的の情報記録層であるか否かを判定する。
それゆえ、フォーカスの引き込みが行われた情報記録層に記録されたデータを読み込まなくとも、フォーカスの引き込みが行われた情報記録層が目的の情報記録層であるか否かを判断することができる。
したがって、目的の情報記録層に対してデータの記録または再生を行う場合の処理時間を短縮できる。
また、上記実施形態では、判定部1004は、収差エラー信号の電圧の値が正の値であるか負の値であるかを判定するものであるとしたが、判定部1004を、収差エラー信号の電圧の値が正の閾値以上または負の閾値以下であるか否かを判定するものとしてもよい。
また、球面収差の補正値は、L1層とL0層との中間点に対して最適なものである必要は必ずしもなく、少なくともL1層およびL0層から検出閾値以上のレベルのフォーカスエラー信号が得られるものであればよい。
また、上記実施形態では、光ディスク1は2層の情報記録層を有するものとなっているが、3層(L2層、L1層、L0層)の情報記録層を有するものであってもよい。その場合には、L2層とL1層との中間点またはL1層とL0層との中間点に適した、球面収差の補正を行い、収差エラー信号の電圧と基準レベルとの差を算出し、この差が所定の範囲に入っているかどうかを判定すればよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態では、コリメートレンズ26を駆動するためにステッピングモータ33を利用しているが、ロータリエンコーダを設けたモータを利用してもよい。この場合、カウント値は、ロータリエンコーダから取得すればよい。
また、上記実施形態では、球面収差の補正は、コリメートレンズ26を光軸方向に駆動することにより行っているが、ビームエキスパンダを追加し、該ビームエキスパンダを光軸方向に駆動することにより行っても良い。また、液晶素子を追加し、該液晶素子に電圧を印加することにより行っても良い。また、対物レンズと光ディスクとの間にソリッドイマージョンレンズを追加し、該ソリッドイマージョンレンズを光軸方向に駆動することにより行っても良い。
最後に、サーボ用DSP16の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、サーボ用DSP16は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるサーボ用DSP16の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記サーボ用DSP16に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含む光ディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、サーボ用DSP16を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
このように本明細書において、手段とは必ずしも物理的手段を意味するものではなく、各手段の機能がソフトウェアによって実現される場合も包含する。さらに、一つの手段の機能が二つ以上の物理的手段により実現されても、もしくは、二つ以上の手段の機能が一つの物理的手段により実現されてもよい。