以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。フローチャートの開始条件は、記載した開始条件だけに必ずしも限定されるものではない。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光配線モジュール1の要部の断面図である。図2は、光配線モジュール1を構成する光導波路部材2の要部を拡大して示す断面図である。第1の実施形態に係る光配線モジュール1(以下、「第1モジュール1」いうことがある)は、その光半導体素子3から発せられる光を一方から他方に導波し、前記光半導体素子3とは異なる他の光半導体素子3に伝送する機能を有する。
第1モジュール1は、光導波路部材2と複数の光半導体素子3と複数の電子素子100とを有する。各光半導体素子3および各電子素子100は、光導波路部材2に、導電性接合材であるバンプ24を介して電気的にかつ機械的に接続されている。また光半導体素子3は、第1光導波路部材2に電気的接続に供されない複数のダミーバンプ25を介して支持されている。
光導波路部材2は、たとえば直方体状に形成される。ただし直方体状に必ずしも限定されるものではない。光導波路部材2は、第1,第2クラッド層6,8と、複数のコア層7と、複数の電極挿通部9と、複数の貫通体10と、複数の接続パッド10Aと、複数の電気配線101とを有し、この光導波路部材2の厚みがh1(h1はたとえば50μm以上100μm以下)に形成されている。構成要件として、第1および第2クラッド層6,8などを積層していくための被積層体26を含むものを、光導波路部材2という場合もある。第2クラッド層8の一表面部に、光路変換可能な光導波路40の要部を成す複数のコア層7が固着されているとともに、第1,第2クラッド層6,8および被積層体26で囲繞される複数の電極挿通部9が形成されている。
これらコア層7および電極挿通部9は、同一工程において同一材料から成る。該同一材料は透光性材料であり、たとえばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリシラノール樹脂、ポリシラン、およびガラス(石英を含む)の少なくともいずれか一つによって実現される。第1および第2クラッド層6,8は、コア層7および電極挿通部9とは異なる透光性材料から成り、たとえばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリシラノール樹脂、ポリシラン、およびガラス(石英を含む)の少なくともいずれか一つによって実現される。
各コア層7は、第1クラッド層6と第2クラッド層8との間に介在されている。各コア層7は、光を進行させるべき方向(図1においてX1方向と表記する)に沿ってたとえば長尺状に形成され、複数のコア層7は、前記X1方向および基板厚み方向(図1においてZ1方向と表記する)に直交するY1方向に沿って狭ピッチで適当間隔おきに形成されている。
各コア層7のX1方向一端部には、光導波路40の要部であり光を反射する反射手段としての反射膜14が形成されている。本第1の実施形態では、各コア層7のX1方向一端部に反射膜14が形成されているが、必ずしもX1方向一端部だけに限定されるものではない。つまり反射膜14は各コア層7のX1方向の一部(たとえばX1方向中間部)に形成されていれば足りる。反射膜14は、光半導体素子3に設けられる発光部3Aから発せられる光を反射する機能、光半導体素子3に設けられる受光部3Bに光を導くべく光を反射する機能を有する。発光部3Aおよび受光部3Bを受発光部と称す。反射膜14は、傾斜部13に、たとえばアルミニウムなどの反射材が蒸着されて形成される。前記傾斜部13は、第1クラッド層6の一表面部に対する傾斜角度がα(αは41度以上49度以下)に規定される。
各電極挿通部9には、Z1方向である積層方向に貫通して貫通体10が設けられ、よって各電極挿通部9は貫通体10をZ1軸線まわりに囲繞する環状壁部を成すように形成されている。貫通体10は、導電性および熱伝導性を有する材料から成り、たとえば室温(25℃)における熱伝導率が100W/m・K以上であり、かつ電気抵抗率が1.0×10−7Ω・m以下を満たすような材料が好適に用いられる。貫通体10は、たとえば銅、銀、アルミニウム、金、モリブデンおよびタングステンなどを含む金属から成る。銅は、熱伝導率が395W/m・Kであり、電気抵抗率が1.69×10−8Ω・mである。また銀は、熱伝導率が420W/m・Kであり、電気抵抗率が1.59×10−8Ω・mである。またアルミニウムは、熱伝導率が223W/m・Kであり、電気抵抗率が2.66×10−8Ω・mである。また金は、熱伝導率が293W/m・Kであり、電気抵抗率が2.44×10−8Ω・mである。モリブデンは、熱伝導率が147W/m・Kであり、電気抵抗率が5.78×10−8Ω・mである。タングステンは、熱伝導率が167W/m・Kであり、電気抵抗率が5.5×10−8Ω・mである。これらの熱伝導率および電気抵抗率は、室温(25℃)で測定された値である。銀に関しては、0℃で測定された値である。
各貫通体10は、反射膜14に対して間隔をあけて設けられる。換言すると、各貫通体10は、反射膜14から離間した位置に設けられ、反射膜14による光の導光を妨げることがない位置に設けられる。
接続パッド10Aは、貫通体10のZ1方向の一表面部または他表面部の少なくとも一方に、電気的に接続して設けられ、本実施の形態ではZ1方向他方の表面部に設けられる。接続パッド10Aは、光導波路部材1に設けられる光半導体素子3に電気的にかつ機械的に接続される。接続パッド10Aは、導電性を有し、たとえば金、銅、および銀などを含んだ金属から成る。
本実施の形態では、第1クラッド層6、コア層7および第2クラッド層8を順次積層する構造になっている。Z1方向に凹凸があるコア層7の反射膜14および電極挿通部9を介在させたうえで、第2クラッド層8を積層するので、該第2クラッド層8の表面部には凹凸が生じ易いものの、積層の基端となる第1クラッド層6の他表面部は、第2クラッド層8の表面部に比べて平面度が高く保持される。
第1クラッド層6の他表面部には、電気配線101が設けられる。電気配線101は、導電層であって、導電性および熱伝導性を有する材料、たとえば銅から成る。電気配線101は、各光半導体素子3と各電子素子100とを所望の配線で電気的に接続するようにパターンが形成される。
光半導体素子3は、たとえば面発光型半導体レーザ(Vertical Cavity Surface-
Emitting Laser:略称VCSEL)によって実現される。光半導体素子3は、1つの電極挿通部9に形成される2つの貫通体10に接続パッド10Aとバンプ24とを介して電気的に接続されて、第1クラッド層6の他表面部である光導波路部材2のZ1方向他表面部に実装されている。バンプ24は、たとえば金(Au)から成る。
光半導体素子3は、素子実装面部にZ1方向一方に向かってレーザ光を発し、発せられるレーザ光が傾斜部13に形成される反射膜14に照射されるように実装されている。さらに光半導体素子3には、複数のダミーバンプ25が設けられている。各ダミーバンプ25は、たとえばAuから成り、互いにY1方向に離反し、光半導体素子3に各バンプ24に対してX1方向にそれぞれ間隔をあけて配設されている。光半導体素子3は、2つのバンプ24および複数のダミーバンプ25を介して、素子実装面部に実装されている。本実施の形態では、VCSELを光半導体素子3として用いているけれども、必ずしもVCSELに限定されない。たとえば端面発光型レーザダイオードでもよく、レーザ光を照射可能なものであればよい。
また光半導体素子3は、たとえば受光素子42によって実現される。受光素子42は、傾斜部13に形成される反射膜14によって反射されるレーザ光を受光可能に実装されている。受光素子42を光導波路部材2に配設することによって、受光素子42で光導波路40を導波する光を受光し、電気信号に変換することによって、2つの装置間の信号の伝送が可能になる。
光半導体素子3が、VCSELなどの発光素子43である場合、光半導体素子3に隣接する箇所に、発光素子43を駆動するためのドライバー100aが実装される。また光半導体素子3が、受光素子42である場合、受光素子42に隣接する箇所に、受光素子42からの光信号を受信するレシーバ100bが実装される。
このようにして構成される第1モジュール1は、複数の電子素子100である中央演算処理装置(Central Processing Unit:略称CPU)などのIC回路から電気配線101などを介して伝送される電気信号に基づいて、レーザ光をZ1方向一方に向かって発する。レーザ光は、第1クラッド層6を透過して傾斜部13に至る。傾斜部13は、X1方向一方に向かうにつれてZ1方向一方に向かってたとえば45度に傾斜し、この傾斜部13に反射膜14が形成されている。これによってレーザ光は、X1方向一方に向かって反射され、X1方向一方に導波される。X1方向一方に導波されたレーザ光は、他の傾斜部13に至り、Z1方向他方に向かって反射され、Z1方向他方に導波される。これによってレーザ光は、第1クラッド層6を透過して受光素子42に至る。このようにして光配線モジュール1は、IC回路から伝送される電気信号に基づいて、発せられるレーザ光を光信号として用い、前記電気信号を光信号に変換し、伝送することができる。
図3は、第1モジュール1の製造方法の各工程のフローチャートを示す図である。図4は、各工程で製造される部材を示す断面図である。図4Aは、被積層体26および配線前駆体102を示す断面図であり、図4Bは、配線前駆体102に第1クラッド層6が積層されている状態を示す断面図であり、図4Cは、層状体29が第1クラッド層6に積層されている状態を示す断面図であり、図4Dは、第1クラッド層6にコア層7および電極挿通部9が積層されている状態を示す断面図であり、図4Eは、第1クラッド層6およびコア層7に第2クラッド層8が積層されている状態を示す断面図であり、図4Fは、貫通体10が形成された状態を示す断面図であり、図4Gは、被積層体26を除去した状態を示す断面図であり、図4Hは、第1モジュール1を示す断面図である。以下では、このようにして構成される第1モジュール1の製造方法について図3に示すフローチャートに沿って説明する。モジュール製造処理が開始すると、ステップs1へ移行する。
第1クラッド層形成工程であるステップs1は、第1クラッド層6を配線前駆体102に形成する工程である。配線前駆体102は、矩形状、かつ扁平状に形成され、厚み方向一表面部が平坦状に形成されている。配線前駆体102は、電気配線101および接続パッド10Aの前駆体であって、被積層体26の厚み方向一表面部に積層される。配線前駆体102は、導電性および熱伝導性を有する材料、たとえば銅から成る。被積層体26は、矩形状、かつ扁平状に形成され、配線前駆体102を積層可能に構成される。以下では、被積層体26の厚み方向をZ2方向(図4A〜図4Fにおいて、上下方向)とし、その長手方向をX2方向(図4A〜図4Fにおいて左右方向)とし、Z2方向とX2方向とに垂直な方向をY2方向(図4A〜図4Fにおいて奥行き方向)と称する。
まず、配線前駆体102に、第1クラッド層6の前駆体である第1クラッド層前駆体を積層する。第1クラッド層前駆体は、溶剤に第1クラッド層6を構成する透光性材料を溶かし、スピンコーター、バーコーター、ドクターブレード、ダイコーターまたはディップコーターなどを用いて、配線前駆体102の厚み方向一表面部に塗布し、乾燥させる。これによって第1クラッド層前駆体が配線前駆体102にZ2方向一方(図4A〜図4Fにおいて上方)に積層される。
塗布後の加工方法は使用する導波路材料にあわせて様々な方法が使用できる。感光性を有する樹脂材料の場合は、配線前駆体102に積層される第1クラッド層前駆体をフォトリソグラフィ技術にてエッチングし、第1クラッド層6を形成する。具体的には、第1クラッド層前駆体にフォトマスクを載せ露光する。露光された部分は樹脂が硬化するので、硬化しない部分を現像液で溶解(エッチング)除去する。これを現像工程という。現像工程により、第1クラッド層前駆体の一部を、配線前駆体102に至るまでZ2方向他方(図4A〜図4Fにおいて下方)に向かってエッチングして、Y2方向に伸びる溝部34を形成し、配線前駆体102の一部を露出させる。これによって第1クラッド層6が形成される。第1クラッド層6が形成されると、ステップs2へ移行する。
コア層前駆体形成工程であるステップs2では、第1クラッド層6に複数のコア層前駆体27および複数の電極挿通部前駆体を形成する工程である。まずコア層7を構成すると透光性材料から成る層状体29をステップs1で形成された配線前駆体102および第1クラッド層6に積層する。層状体29は、溶剤にコア層7を構成する透光性材料を溶かし、スピンコーター、バーコーター、ドクターブレード、ダイコーターまたはディップコーターなどを用いて、配線前駆体102および第1クラッド層6に塗布し、乾燥させる。これによって層状体29が配線前駆体102および第1クラッド層6に積層される。
次に層状体29が感光性を有する樹脂材料から成る場合、積層される層状体29を、第1クラッド層6と同様にフォトリソグラフィ技術を用いてエッチングして、複数のコア層前駆体および複数の電極挿通部前駆体を形成する。コア層前駆体は、コア層7の前駆体であり、電極挿通部前駆体は、電極挿通部9の前駆体である。各電極挿通部前駆体は、大略的にY2方向に延びる直方体に形成され、そのZ2方向一端部がX2方向に収縮し、溝部34に嵌まり込んでいる。各電極挿通部前駆体は、互いにY2方向に間隔をあけて配設されている。各コア層前駆体は、X2方向に延びる直方体に形成されている。各コア層前駆体は、互いにY2方向に間隔をあけ、また各電極挿通部前駆体に対してX2方向一方(図4A〜図4Fにおいて右方)に間隔をあけて配設されている。各電極挿通部前駆体および各コア層前駆体は、そのX2方向に垂直な仮想平面で切断して見た断面が正方形状に形成されている。このようにコア層前駆体が形成されると、ステップs3へ移行する。
コア層形成工程であるステップs3では、コア層前駆体を機械加工してコア層7を形成する工程である。まずコア層前駆体のX2方向一端部を工具で押圧することによって、傾斜部13を形成する。工具は、一端部にX2方向一方に向かうにつれて、Z2方向一方に向かって傾斜している部分を有し、たとえば砥石またはダイヤモンド等の硬質材料からなる工具である。この部分を各コア層前駆体のX2方向一端部に押圧することによって、X2方向一方に向かうにつれてZ2方向一方に向かって傾斜する傾斜部13が形成される(図4D参照)。この傾斜部13は、第1クラッド層6の被積層体26に望む表面部に対して傾斜角が45度に形成される。このようにして傾斜部13を形成することによって、コア層7が形成され、ステップs4へ移行する。
反射膜形成工程であるステップs4では、傾斜部13に反射膜14を形成する工程である。物理蒸着(Physical Vapor Deposition:略称PVD)法を用いて、ステップs3で形成された傾斜部13にアルミなどの反射材を蒸着し、傾斜部13に反射膜14を形成する。反射膜13が形成されると、ステップs5へ移行する。
電極挿通部形成工程であるステップs5では、各電極挿通部9を形成する工程である。各電極挿通部前駆体に、Z2方向に貫通する2つの挿通孔部16を形成する。このとき、2つの挿通孔部16は、Z2方向に平行な軸線周りに形成され、互いにY2方向に離反するように形成されている。このように各電極挿通部前駆体に2つの挿通孔部16を形成することによって、電極挿通部9が形成され、ステップs6へ移行する。
本実施の形態では、電極挿通部形成工程と電極挿通部形成工程とが異なっているけれども、コア層前駆体形成工程において、なお、電極挿通孔部16をコア層形成時にフォトリソグラフィを用いて形成する事が望ましい。これによって、挿通孔部16がコア層7に対して高い位置精度で形成できる。
第2クラッド層形成工程であるステップs6では、第1クラッド層6およびコア層7に第2クラッド層8を積層する工程である。まずステップs6までに形成された第1クラッド層6、コア層7および電極挿通部9に第2クラッド層前駆体を形成する。第2クラッド層前駆体は、第2クラッド層8の前駆体であり、溶剤に第2クラッド層8を構成する透光性材料を溶かし、スピンコーター、バーコーター、ドクターブレード、ダイコーターまたはディップコーターなどを用いて、第1クラッド層6、コア層7および電極挿通部9に塗布し、乾燥させる。これによって第2クラッド層前駆体が被積層体26および第1クラッド層6にZ2方向一方に積層される。このとき貫通体10は、マスクされている。
次に第2クラッド層前駆体のZ2方向他方に向く表面部を平坦になるように研磨して、第2クラッド層8を形成する。研磨方法としては、たとえばアルミナ、炭化ケイ素またはダイヤモンドなどの砥粒を含む砥石を用いて研磨する方法、前記砥粒を表面部に付着させ、ブラシによって研磨する方法、またはバフを用いて研磨する方法が用いられる。またダイヤモンドから成る切削具を用いて削り取る方法によって、第2クラッド層前駆体の前記表面部を平坦状に形成してもよい。このようにして第2クラッド層8を形成すると、ステップs7へ移行する。
貫通孔部形成工程であるステップs7では、連通孔部17を第2クラッド層8に形成し、貫通孔部18を形成する工程である。ステップs6で平坦に研磨された第2クラッド層8の一表面部22に複数の連通孔部17を形成する。各連通孔部17は、第2クラッド層8を貫通し、図4Eに示すように、互いにY2方向に間隔をあけ、かつ各挿通孔部16にそれぞれ連通するように形成される。さらに詳細に説明すると、1つの連通孔部17に対して1つの挿通孔部16が連通するように形成される。このように連通孔部17を形成することによって、貫通孔部18が形成され、ステップs8へ移行する。
貫通体形成工程であるステップs8では、貫通孔部18内に貫通体10を形成する工程である。貫通体10は、たとえば銅で構成するのであれば、電気めっき等の技術を用いて貫通孔部18に銅を充填することによって、貫通孔部18に形成される。これによって光導波路部材前駆体104が形成され、ステップs9へ移行する。
除去工程であるステップs9では、ステップs8で形成された光導波路部材前駆体104に含まれる被積層体26を除去する工程である。被積層体26を、たとえばエッチングによって除去すると、平坦状に形成される第1クラッド層6のZ1方向一表面部、すなわち光導波路部材2の素子実装面部が露出する。素子実装面部を露出させると、ステップs10へ移行する。
電気配線形成工程であるステップs10では、配線前駆体102を用いて電気配線101および接続パッド10Aを形成する工程である。配線前駆体102を、たとえばエッチングして、所望のパターンに形成して、電気配線101および接続パッド10Aを形成する。このように電気配線101および接続パッド10Aを形成すると、ステップs11へ移行する。
発光素子実装工程であるステップs11では、素子実装面部に複数の光半導体素子3および複数の電子素子100を実装する工程である。具体的には、各貫通体10に接続パッド10Aを介してバンプ24を形成し、このバンプ24に対してX2方向一方に間隔をそれぞれあけて各ダミーバンプ25を形成する。2つのバンプ24および2つのダミーバンプ25に光半導体素子3を載置し、半田付けすることによって、光半導体素子3が素子実装面部に実装される。このようにして半田付けをして実装すると、接続パッド10Aにバンプ24が半田付けされているので、バンプ24のセルフアライメント作用により、高精度で光半導体素子3が位置決めされて実装される。同様に、複数の電子素子100を実装する。このようにして光半導体素子3および電子素子100を実装すると、図1に示すような第1モジュール1が形成され、第1モジュール製造処理が終了する。
以上、説明したように、本実施の形態の第1モジュール1では、光導波路部材2は、第1クラッド層6、第2クラッド層8、コア層7および貫通体10とを含んで構成される。コア層7は、反射膜14が設けられるので、第1クラッド層6を介して反射膜14に光を導光させ、第1クラッド層6および第2クラッド層8との境界部分で光を反射させて、コア層7内に光を導光させることができる。また貫通体10は、熱伝導性を有する材料から成り、Z1方向に貫通して設けられる。したがって貫通体10によって、熱をZ1方向にわたって伝導させ、光導波路部材2に与えられる熱を、周囲に発散させることができる。これによって光導波路部材2に設けられる電子素子100などが、発熱した場合であっても、貫通体10を介して放熱することができるので、電子素子100の蓄熱を抑制することができる。したがって光導波路部材2に設けられる電子素子100が、発熱することによって、電気特性が変化することを可及的に防止することができる。また貫通体10は、導電性を有する材料から成るので、光導波路部材2のZ1方向の一表面部と他表面部とを電気的に接続することができ、いわゆる貫通電極として用いることができる。したがって光導波路部材2の表面部を有効に用いて、電子素子100を実装することができる。
貫通体10は、電子素子100などの発熱体の発熱量に応じて、大きく、また多数となるように光導波路部材2を構成することが好ましい。また光導波路部材2にヒートシンクなどの放熱手段を設けることができる場合、前記放熱手段に熱を伝導させるように貫通体10を配置することが好ましい。換言すると、貫通体10によって、電気を導くように、熱を所望の面部、または所望の位置に導くように構成することによって、より放熱性を向上することができる。
また貫通体10は、Z1方向に貫通しているので、強度が残余の部位より高くすることができる。これによってたとえば光半導体素子3を超音波で振動させて実装する場合、貫通体10を除く残余の部位を超音波振動によって不所望に損傷することを防ぎ、貫通体10にバンプ24,25を確実に接続することができる。
また本実施の形態では、貫通体10は、反射膜14に対して間隔をあけて設けられるので、光半導体素子3を配設する際、貫通体10を位置決めマーカとして用いることができる。
さらに本実施の形態では、第1クラッド層6の他表面部および第2クラッド層8の一表面部の少なくとも一方に積層される電気配線101を含む。電気配線101は、熱伝導性を有するので、貫通体10と協働して、さらに放熱性を向上することができる。また電気配線101は、導電性を有するので、貫通体10と協働してパターンを形成して電気配線101をして用いることができる。
さらに本実施の形態では、接続パッド10Aは、貫通体10のZ1方向の一表面部または他表面部の少なくとも一方に、電気的に接続して設けられる。接続パッド10Aは、光導波路部材2に設けられる光半導体素子3に電気的にかつ機械的に接続される。したがって前記光半導体素子3を実装する際に、接続パッド10Aを位置決めマーカして用いることができる。これによってより確実に、光半導体素子3を位置決めすることができる。
さらに本実施の形態では、光モジュール1は、前記光導波路部材2と、接続パッド10Aに電気的にかつ機械的に接続される光半導体素子100とを含む。したがって放熱性の優れる光モジュール1を実現することができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る光配線モジュール1Aに関して説明する。図5は、本発明の第2の実施形態に係る光配線モジュール1Aの要部の断面図である。図6は、光配線モジュール1Aを構成する光導波路部材2Aの要部を拡大して示す断面図である。第2の実施形態に係る光配線モジュール1Aは、光半導体素子3が光導波路部材2AのZ1方向他方の表面部に実装され、電子素子100が光導波路部材2AのZ1方向一方の表面部に実装される点に特徴を有する。
導電層である電気配線101は、光導波路部材2AのZ1方向一方の表面部にもさらに設けられる。電子素子100は、電気配線101にバンプ24を介して実装される。光半導体素子3は、貫通体10を介して、電子素子100と電気的に接続される。
このように構成されることによって、電気配線101は、熱伝導性を有するので、貫通体10と協働して、光導波路部材2AのZ1方向一方の表面部から放熱することができ、放熱領域を拡大することができる。これによってさらに光導波路部材2Aの放熱性を向上することができる。また光導波路部材2AのZ1方向の両端面部に光半導体素子3および電子素子100を実装することができるので、小さい実装スペースであっても効率よく実装することができる。これによって光導波路部材2Aを用いる電子装置を小形化することができる。また電気配線101を積層することによって、光導波路部材2Aの強度を向上することができ、作業性を向上することができる。
次に、本発明の第3の実施形態に係る光導波路部材2Bに関して説明する。図7は、光導波路部材2Bの要部を拡大して示す断面図である。第3の実施形態に係る光導波路部材2Bは、貫通体10のZ1方向の一方の端部が他方の端部よりも拡径するように構成される点に特徴を有する。
貫通体10は、Z1方向一方の端部10aは、フランジ状に構成され、Z1方向他方への変位を規制するように形成される。貫通体10は、Z1方向他方の端部10aに接続パッド10Aまたは電気配線101が設けられる。このように貫通体10が構成されることによって、貫通体10はZ1方向他方に変位が規制されるので、接続パッド10Aおよび電気配線101が光導波路部材2Aから離反する方向、すなわちZ1方向他方に向かって剥離することを抑制することができる。これによって接続パッド10Aおよび電気配線101の接続信頼性を向上することができる。
前述の実施の各形態では、反射膜14の前駆体である傾斜部13は、X1方向およびY1方向を含むXY平面に対して傾斜する平坦状に形成されるが、この平坦状に限定されるものではない。たとえば発光部3Aから発せられる光を反射する進行方向とは逆方向でかつ発光部3Aから発せられる光の出射方向に突出する凸曲面形状に傾斜部13を形成してもよい。この場合には、傾斜部を平坦状に形成するものに比べて集光特性を高めることができる。したがって、発光部3Aに対する反射膜14の位置決め精度を、従来技術のものより高めることなく光路変換を実現できる。それ故、光モジュールの製造を簡単化でき、製造コストの低減を図ることができる。
次に、本発明の第4の実施形態に係る光導波路部材2Cに関して説明する。図8は、光導波路部材2Cを示す断面図である。第4の実施形態に係る光導波路部材2Cは、光吸収層200をさらに含んで構成される点に特徴を有する。光吸収層200は、光吸収性を有する材料から成り、第1クラッド層6の他表面部に設けられる。電気配線101は、光吸収層200の一表面部に設けられる。したがって光吸収層200は、図8に示すように、第1クラッド層6と電気配線101との間に介在される。光吸収層200は、予め定める波長、たとえば400nm以上2000nm以下を有する光を吸収可能であり、少なくともコア層7を伝送する光の波長帯域の光を吸収する。光吸収層200は、光吸収性を有する材料、たとえば錫や亜鉛を含有する金属から成る。
光吸収層200は、錫と銅との合金から成る場合、たとえば蒸着、スパッタ、電解めっきおよび無電解めっきなどで前述の銅から成る配線前駆体102に錫を、たとえば0.1μmめっきし、その後、めっきした錫層および配線前駆体102を105℃の温度で1時間加熱して、めっきした錫を合金化して、銅と錫との合金からなる光吸収層前駆体201が形成され、このような光吸収層前駆体201を所定のパターンにエッチングすることによって、所望の形状に形成することができる。
光吸収層200の厚み寸法は、たとえば50nm以上1500nm以下である。前記光吸収層200は、合金中の錫濃度が前記光吸収層200の表面部に向かうにつれて、漸次高くなっている。したがって光吸収層200は、厚み方向一方に表面部が、残余の部分に比べて、最も錫濃度が高くなるように構成される。前記光吸収層200は、Cu6Sn5およびCu3Snを含み、前記配線導体2の表面側ではCu3Snに比べて、Cu6Sn5が多く分布している。Cu6Sn5からなる部分は、Cu3Snからなる部分によりも、光吸収層200の厚み方向一方の表面部寄りに構成される。たとえばCu6Sn5からなる部分の厚み寸法は、30nm以上1400nm以下であり、たとえばCu3Snからなる部分の厚み寸法は、20nm以上1400nm以下である。
また光吸収層200は、厚み方向一方の表面部に錫の酸化物を含む。錫の酸化物は、具体的には、Cu6Sn5からなる部分の厚み方向一方の表面部に、CuxSnyOzから成る層と、SnOからなる層と、SnO2から成る層が、順次積層される。CuxSnyOzから層の厚み寸法は、たとえば5nm以上100nm以下である。SnOからなる層の厚み寸法は、たとえば10nm以上100nm以下である。SnO2からなる層の厚み寸法は、たとえば10nm以上100nm以下である。
光吸収層200は、各コア層7に形成される反射膜14がZ1方向に臨む領域(図8にて仮想線で囲まれる領域)を除く残余の領域に形成される。換言すると、光吸収層200は、光半導体素子3に設けられる発光部3Aから発せられる光が反射膜14に到達可能であり、光半導体素子3に設けられる受光部3Bに反射膜14からの光を導光可能に構成される。
次に、本実施の形態の光導波路部材2Cの製造方法に関して説明する。本実施の形態の光導波路部材2Cは、前述の図3および図4に関連して説明した、第1モジュール1の製造工程で類似しており、工程の一部のみを説明して、他の工程を省略して説明する。図9は、各工程で製造される部材を示す断面図である。図9Aは、被積層体26、配線前駆体102および光吸収層前駆体201を示す断面図であり、図9Bは、光吸収層前駆体201に第1クラッド層6が積層されている状態を示す断面図である。前述の図3におけるステップs1にて、光吸収層前駆体201は、矩形状、かつ扁平状に形成され、厚み方向一表面部が平坦状に形成されている。光吸収層前駆体201は、光吸収層200の前駆体であって、配線導体前駆体102の厚み方向一表面部に積層される。
光吸収層前駆体201の製造方法としては、たとえば配線前駆体102の表面部を界面活性剤またはアルカリ性脱脂剤を含む水に浸漬、またはスプレーで噴霧して、油脂を除去する。次に、油脂が除去された表面部を、錫を含むめっき液に浸漬して、表面部に錫をめっきする。次に、室温あるいは150℃程度に加熱して大気中に放置して表面部に錫を拡散させる。このように配線前駆体102に、錫を含有する金属を含む光吸収層前駆体201を形成する。
光吸収層前駆体201に、第1クラッド層6の前駆体である第1クラッド層前駆体を積層する。第1クラッド層前駆体が感光性を有する樹脂材料の場合は、第1クラッド層前駆体をフォトリソグラフィ技術にてエッチングし、第1クラッド層6を形成する。具体的には、第1クラッド層前駆体にフォトマスクを載せ露光する。露光された部分は樹脂が硬化するので、硬化しない部分を現像液で溶解(エッチング)除去する。これを現像工程という。現像工程により、第1クラッド層前駆体の一部を、光吸収層前駆体201に至るまでZ2方向他方に向かってエッチングして、Y2方向に伸びる溝部34を形成し、光吸収層前駆体201の一部を露出させる。これによって第1クラッド層6が形成される。第1クラッド層6が形成されると、ステップs2へ移行する。
ステップs2では、層状体29を光吸収層前駆体201および第1クラッド層6に積層する。次に層状体29が感光性を有する樹脂材料から成る場合、積層される層状体29を、第1クラッド層6と同様にフォトリソグラフィ技術を用いてエッチングして、複数のコア層前駆体および複数の電極挿通部前駆体を形成し、ステップs3へ移行する。
次に、前述のステップs3〜ステップs9までの工程を行い、ステップs10では、配線前駆体102を用いて電気配線101および接続パッド10Aを形成し、光吸収層前駆体201を用いて光吸収層200を形成する。配線前駆体102を、たとえばエッチングして、所望のパターンに形成して、電気配線101および接続パッド10Aを形成する。次に、光吸収層前駆体201をエッチングして、所望のパターンに形成して、光吸収層200を形成する。このように電気配線101、接続パッド10Aおよび光吸収層200を形成すると、ステップs11へ移行する。このような製造方法によって、図8に示す光導波路部材2Cが製造される。
以上、説明したように、本実施の形態の光導波路部材2Cでは、前記第1クラッド層6の他表面部に積層される光吸収層200と、前記光吸収層200に積層される電気配線101とを含む。光吸収層200は、光吸収性を有するので、感光性樹脂を用いて光導波路部材を形成する場合であっても、マスクを通過した光が光吸収層200によって吸収されるので、不所望に乱反射することを防ぐことができる。前述の製造工程では、第1クラッド層前駆体および層状体29が感光性を有する樹脂材料から成る場合、フォトリソグラフィ技術を用いてエッチングされるが、光吸収層前駆体201に至った光は、光吸収層前駆体201によって吸収されるので、所望の領域だけをフォトリソグラフィ技術を用いて加工することができる。したがって所望の形状のコア層7を有する光導波路部材2Cを製造することができる。また光導波路部材2Cを湾曲させると、湾曲させた部分の第1クラッド層6または第2クラッド層7から不所望に光が漏れるおそれがあるが、このような漏れた光は光吸収層200によって吸収されるので、隣接するコア層7などに不所望に入射して、ノイズとなることを防ぐことができる。これによってノイズが少ない光導波路部材2Cを実現することができる。また光導波路部材2Cは、光吸収層200を設けない形態に比べて、コア層7の寸法精度を高めることができるうえ、クロストークの発生を可及的に防止することができる。
本実施の形態では、第1クラッド層6の他表面部だけに光吸収層200が形成されるが、これに限ることはなく、第1クラッド層6および第2クラッド層8の一表面部の少なくとも一方に積層してもよい。第1クラッド層6および第2クラッド層8の両方に光吸収層200を積層することによって、前述の湾曲した場合に光が漏れてノイズになることを防止する効果をさらに高めることができる。
また本実施の形態では、光吸収層200は、錫を含有する金属を含むので、樹脂から成る第1クラッド層6と光吸収層200との密着強度を大きくすることができる。前記光吸収層200の表面部には、複数の凹部が形成してもよい。このような凹部を形成することによっても、樹脂から成る第1クラッド層6との密着強度を大きくすることができる。
光吸収層200に複数の凹部を形成する場合、まず配線前駆体102の表面に複数の凹部を形成し、凹部が形成された配線前駆体102に光吸収層前駆体201を形成することによって、光吸収層前駆体201の表面部には、配線前駆体102の形状が反映され、複数の凹部が形成される。複数の凹部を形成する場合、たとえば置換型の無電解めっきが用いられる。置換型の無電解めっきでは、配線前駆体102の表面部の一部を溶解しながら光吸収層200を構成するめっき部分を付着させる。このため、めっき処理の条件、たとえば処理時間、処理液のpH(ペーハー)および処理温度を選定することで、光吸収層前駆体201が配線前駆体102に形成されると同時に、微細な凹部が複数形成される。
置換型無電解めっきの処理は、たとえばpH3以下の処理液を用い、処理温度は50℃以下、処理時間は20分以下が好適に用いられる。最適な処理温度は35℃以下、処理時間は5分以内である。このような条件によって、50nm以上1500nm以下の深さの凹部が複数形成される。
凹部の深さ寸法は、光吸収層200の厚さ寸法以下となるように設定される。凹部の深さは、50nm以上1500nm以下が好ましい。凹部の深さが50nm未満および1500nmより大きいと、密着強度の改善効果が少ない。凹部の径は、50nm以上500nm以下が好ましい。凹部の径が、50nm未満および500nmより大きいと、密着強度の改善効果が少ない。置換型の無電解めっきによって、配線前駆体102に錫をめっきする場合、銅と錫との合金からなり、複数の凹部が形成される光吸収層200が形成される。
次に、本発明の第5の実施形態に係る光導波路部材2に関して説明する。第5の実施形態に係る光導波路部材2は、電気配線101は、さらに光吸収性を有する材料から成る光吸収部分202が形成される点に特徴を有する。光吸収部分202は、光吸収性を有する材料から成り、第1クラッド層6に臨む表面部である第1クラッド層6の他表面部に設けられる。光吸収部分202は、予め定める光の波長を吸収可能であり、少なくともコア層7を伝送する光の波長帯域の光を吸収する。光吸収部分202は、配線前駆体102の厚み方向一表面部を黒化処理することによって実現される。光吸収部分202は、たとえば配線前駆体102の一表面部を酸化させることによって形成される。また光吸収部分202は、たとえば配線前駆体102の一表面部に光吸収性を有する他の材料をめっきすることによって形成される。
次に、本実施の形態の光吸収部分202を有する電位配線101の製造方法に関して説明する。本実施の形態の光導波路部材は、前述の図3および図4に関連して説明した、第1モジュール1の製造工程で類似しており、工程の一部のみを説明して、他の工程を省略して説明する。図9は、各工程で製造される部材を示す断面図であって、被積層体26および配線前駆体102を示す断面図である。
前述の図3におけるステップs1にて、配線前駆体102は、矩形状、かつ扁平状に形成され、厚み方向一表面部が平坦状に形成されている。配線前駆体102は、電気配線101および接続パッド10Aの前駆体であって、被積層体26の厚み方向一表面部に積層される。配線前駆体102は、導電性および熱伝導性を有する材料、たとえば銅から成る。
このような配線前駆体102の厚み方向一表面部(以下、「表面部」ということがある)に光吸収部分202を形成する。光吸収部分202を形態する方法として、たとえば次に示す2つの方法がある。第1の製造方法として、先ず、配線前駆体102の表面部の油脂を除去する。具体的には、配線前駆体102の表面部に、界面活性剤あるいはアルカリ性脱脂剤を含む水に浸漬、またはスプレーで噴霧して、油脂を除去する。次に、配線前駆体102の表面部に、燐酸ナトリウムまたは亜塩素酸ナトリウム溶液に浸漬、またはスプレーで噴霧して、配線前駆体102の表面部を酸化させる。次に、ホルマリンなどの還元剤に浸漬して、配線前駆体102の表面部を還元する。このように配線前駆体102の表面部を、酸化処理し、次に還元処理することによって、光吸収部分202を形成する。
また第2の製造方法として、先ず、配線前駆体102の表面部を界面活性剤またはアルカリ性脱脂剤を含む水に浸漬、またはスプレーで噴霧して、油脂を除去する。次に、油脂が除去された表面部を、蟻酸を含む水溶液に浸漬、または蟻酸を含む水溶液をスプレーで噴霧してエッチングする。次に、室温あるいは150℃程度に加熱した大気中に放置して表面部を酸化させる。このように配線前駆体102の表面部を、酸化処理することによって、光吸収部分202を形成する。
次に、ステップs2〜ステップs9までの工程を行い、ステップs10では、配線前駆体102を、たとえばエッチングして、所望のパターンに形成して、電気配線101および接続パッド10Aを形成し、ステップs11へ移行する。このようにして光吸収部分202を有する光導波路部材2が製造される。
以上、説明したように本実施の形態の光導波路部材2では、電気配線101は、前記第1クラッド層6に臨む表面部に、光吸収性を有する材料から成る光吸収部分202が形成される。光吸収部分202は、光吸収性を有するので、感光性樹脂を用いて光導波路部材2を形成する場合であっても、マスクを通過した光は、配線前駆体102の表面部に形成される光吸収部分202によって吸収することができる。前述の製造工程では、第1クラッド層前駆体および層状体29が感光性を有する樹脂材料から成る場合、フォトリソグラフィ技術を用いてエッチングされるが、配線前駆体102の光吸収部分202に至った光は、光吸収部分202によって吸収されるので、所望の領域だけをフォトリソグラフィ技術を用いて加工することができる。したがって所望の形状のコア層7を有する光導波路部材2を製造することができる。また光導波路部材2を湾曲させると、湾曲させた部分の第1クラッド層6または第2クラッド層7から不所望に光が漏れるおそれがあるが、このような漏れた光は光吸収部分202によって吸収されるので、隣接するコア層7などに不所望に入射して、ノイズとなることを防ぐことができる。これによってノイズが少ない光導波路部材2を実現することができる。
本実施の形態では、第1クラッド層6の他表面部だけに配線導体102が形成されるが、これに限ることはなく、第1クラッド層6および第2クラッド層8の一表面部の少なくとも一方に電気配線101を積層してもよい。このような電気配線101の第1クラッド層6および第2クラッド層8に臨む表面部に光吸収部分202を形成することによって、前述の湾曲した場合に光が漏れてノイズになることを防止する効果をさらに高めることができる。
次に、本発明の第6の実施形態に係る携帯電話装置105に関して説明する。図11は、本実施の形態の携帯電話装置105を示す斜視図である。図12は、携帯電話装置105の要部を拡大して示す断面図である。第6の実施形態に係る携帯電話装置105は、電子装置であって、前述の光配線モジュール1が信号の送受信に用いられる。
携帯電話装置105は、表示部106を有する第1筐体107と、操作部108を有する第2筐体109とを含む。第2筐体109は、第1筐体107に対して変位可能に構成され、本実施の形態では、予め定める軸線L1周りに角変位可能に構成される。第1筐体107の長さ方向の一端部と、第2筐体109の長さ方向の一端部とが、機械的および電気的に接続される。
携帯電話装置105は、図12(a)に示すように、表示部106と操作部108と離間している開状態と、図12(b)に示すように、表示部106と操作部108とが当接している閉状態とにわたって、軸線L1周りに角変位可能に構成される。第1筐体107と第2筐体109との接続部110は、光導波路部材2によって電気的に接続される。光導波路部材2は、可撓性を有し、平坦状であっても、湾曲した状態であっても、光通信可能に構成される。このような光導波路部材2は、第1クラッド層6、コア層7および第2クラッド層8などの材料を選択することによって、可撓性を有するように構成することができる。光導波路部材2は、少なくとも可撓性を有する部分のヤング率が3GPa以下であることが好ましい。また光導波路部材2は、電気配線101および接続パッド10Aを除く残余の厚み寸法が90μm以下であり、電気配線101および接続パッド10Aの厚み寸法が18μm以下となるように、構成することが好ましい。このように厚み寸法を設定することによって、可撓性を有する光導波路部材2を実現することができる。また貫通体10を設ける位置、および貫通体10の形状を選択することによって、可撓性を損なうことなく、光導波路部材2の強度を向上することができる。これによって可撓性を有する光導波路部材2による接続信頼性を向上することができる。
このように本実施の形態では、光導波路部材によって、第1筐体107と第2筐体109とが電気的に接続されるので、表示部106に送信すべき情報が多い場合であっても、高速かつ低電力で送信することができる。これによって利便性の高い携帯電話装置105を実現することができる。
本実施の形態では、電子装置は、携帯電話装置105によって実現されているが、これに限ることはなく、たとえばパーソナルコンピュータ(Personal Computer略称:PC)および携帯情報端末(Personal Digital Assistant略称:PDA)であってもよい。