JP2007229763A - レールのフラッシュバット溶接方法及び当て金 - Google Patents

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健一 狩峰
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Abstract

【課題】レールの足部はフラッシュバット溶接の際に大きいクレータが生じやすい。また、段差が大きい場合、溶接欠陥が足部に発生しやすくなる。レール足部を冷却しながら溶接することによって、レール同士に段差があるような場合においても、欠陥を抑制し鉄道運行の安全性を向上させる方法を提供する。
【解決手段】当て金をレールに装着することにより、レール足部を冷却しながら溶接する。当て金は、
足部の上面と下面を覆うようにレール足部を取り囲むものであって、そのレールとの接触範囲がレール断面内において足部の全周長の1/3以上であり、そのレール軸方向の長さが15mm以上、レール足表、足裏部のいずれかにおける厚みが10mm以上である。当て金は、先端が溶接前のレール端面から20mm以上、100mm以内となるように装着する。また、水冷配管を施した当て金を使用することにより冷却効率は増加する。
【選択図】図1

Description

本発明はレールのフラッシュバット溶接方法及び当て金に関するものである。
フラッシュバット溶接は鉄鋼材料の溶接方法として広く普及している。その特徴として、自動化が可能であり、品質の安定性が高いこと、溶接時間が短い、などの長所を有している。
フラッシュバット溶接の原理を図4に示す。フラッシュバット溶接は、対向して設置された被溶接材料に電極を介して電圧をかけて、端面間にアークを発生させて被溶接材料を溶融させ、十分に被溶接材料が加熱された時点で、軸方向に材料を加圧して被溶接材を接合する溶接方法である。
フラッシングの過程で図5に示すように材料の短絡部が溶融し、その部分にアークが発生して、系外にフラッシュとして放出されるという過程が繰り返され、次第に材料は溶けていく。端面間にアークが発生すると、アーク発生部分は、局部的に溶かされてクレータと呼ばれる凹みが発生する。また、溶接は大気雰囲気で行われるため、溶融金属部には多量の金属酸化物が生成する。
溶接端面は最終的に全面が溶融した状態となる。また、端面近傍すなわち溶接部近傍の材料は温度上昇により軟化する。この状態に到達した時点で、軸方向のアップセット加圧が行われる。このアップセット加圧により、端面に形成されていたクレータによる凹凸はつぶされ、溶融金属は系外に排出される。この時、溶融金属が完全に排出されないと、溶接部分には多量の酸化物が含まれることによる溶接欠陥が生じやすくなる。この様な欠陥がフラッシュバット溶接における典型的な溶接欠陥であり、フラット欠陥と呼ばれる。
また、軟化した溶接面近傍の材料は、アップセット時の塑性変形により断面が増大してビードが形成される。このビードは熱間せん断などにより除去される。
フラッシュバット溶接は溶接が自動化されており、溶接時間が短く、溶接能率が高いため、レール分野においても工場溶接法として多く採用されている。また、装置をコンパクト化して、軌道における現地溶接としても利用されている。
従来のレールフラッシュバット溶接技術として、特許文献1において、制御装置と各ユニット半体が締結シリンダにより枢動運動で互いの方向に移動可能な一対の締結挟持部を備える、2つのユニット半体を有する溶接ユニットが開示されている。また、特許文献2では、ケーシングとその中を直線的に移動可能なキャリジとを有する溶接機構造が開示されている。これらは溶接機本体の構造に関する発明である。
特開2003−260567号公報 特開平06−226454号公報
図6に示すように、レールは断面が上下非対称である。レールの足部3は熱容量が小さく、溶接中の温度上昇が大きい。このためアーク発生によって、断面が大きく溶かされ、レール足部においては大きいクレータが生じやすくなる。クレータが大きい場合、アップセット過程において凹みがつぶされにくくなり、溶融金属の完全な排出が困難となり、フラット欠陥が発生しやすくなる。
鋼製品の断面形状は製造許容範囲内で変動があり、被溶接材の断面形状が正確には一致せず、被溶接材を突き合わせた場合、大なり小なり段差が生じる。また、レールはある一定の期間、使用された後に、部分的な損傷などの理由により撤去された後、損傷部分を切除して再利用される場合がある。磨耗程度が異なるレールを溶接する場合、車輪が通るレール頭部を真直ぐに合わせると、レール足部に段差が大きく生じる。
このように被溶接材に段差がある場合、アップセット工程において、図7に示すように、片方の材料が他方の上に多いかぶさる変形が生じて、特に内部の溶融金属の排出が不十分になりやすくなる。その結果、レール足部にはフラット欠陥すなわち溶接欠陥が生じやすくなる。このような欠陥があっても、1回の列車通過によって、いきなり溶接部の破損が起こることは考えにくいが、列車の繰り返し通過によって徐々に亀裂が成長して行く疲労破壊の危険性は高まる。溶接部の破損が生じた場合、運行障害は避けられず、社会的な影響は大きい。検査によって亀裂が認識された場合、レール交換により運行障害は予防できるが、レール交換には多大な労力を要し、鉄道会社の修繕コストを増大させる。
本発明は段差があるような場合においても、溶接部分のうちレール足部における欠陥の発生を抑制し、レールの破損を抑制することを目的とする。
本発明は上記課題の対策として、レール足部の温度上昇を抑制して、クレータを小さく制御し、レール足部における欠陥を抑制するものである。その具体的方法は、以下の通りである。
(1)レールの足部の上面及び下面の少なくとも一部を覆うように取り囲む当て金を、該当て金と溶接前の前記レールの端面の距離が20mm以上100mm以下となるように装着し、
前記当て金を装着した状態で前記レールをフラッシュバット溶接することにより、前記レールを、前記足部を冷却しながら溶接することを特徴とするレールのフラッシュバット溶接方法。
(2)前記当て金は、
前記レールとの接触範囲が前記レールの断面内において足部の全周長の1/3以上であり、
レール軸方向における長さが15mm以上であり、
前記レールの足部の上面及び下面のいずれかを覆う部分における厚みが10mm以上であることを特徴とする上記(1)に記載のレールのフラッシュバット溶接方法。
(3)上記(1)又は(2)の前記当て金に水冷配管を設けることを特徴とする、レールのフラッシュバット溶接方法。
(4)レールをフラッシュバット溶接するときにレールの足部に装着され、該足部を冷却する当て金であって、
レールの足部の上面と下面を接触しつつ覆うように取り囲み、レールとの接触範囲がレール断面内において足部の全周長の1/3以上であり、レール軸方向の長さが15mm以上であり、かつ、レールの足部の上面及び下面のいずれかを覆う部分における厚みが10mm以上であることを特徴とする当て金。
レール足部を冷却しながら溶接することにより、アーク発生時にレール足部に形成されるクレータが小さくなり、段差がある場合などの不利な条件でも溶接欠陥の発生が少なくなる。その結果、レール溶接部の強度、信頼性が高まり、列車運行の安全性を高めることができる。
本発明の実施形態について、詳細に説明する。
図1、図2、図3に本発明の実施形態を示す。図1は本発明の足部冷却用の当て金を装着した鳥瞰図である。図2は当て金装着位置での断面図、図3は当て金を装着した状態を側面から見た図である。足部冷却用の当て金4A、4Bの断面形状はレール足部3を上下から挟みこむ略「コ」の字型であり、ボルト6A、6Bにより箱型5に固定されている。足部冷却用当て金4A、4Bの材質は金属であるが、レールの材質より熱伝導性が高い材料、例えば銅、銅合金、アルミ、又はアルミ合金が望ましい。当て金4A、4Bは被溶接レールの双方に装着する必要がある。箱型5は金属が望ましく、ボルト6A、6B用のネジを加工してある。本図において当て金4A、4Bおよび箱型5は溶接機本体から独立して装着する形態であるが、箱型5を使用せずに、溶接機本体から直接、当て金4A、4Bをレールに装着させても良い。
当て金4A、4Bの装着位置は、当て金の先端位置と溶接前のレール端面との距離L2が100mm以上離れると、足部を冷却する効果が弱くなる。一方、距離L2が20mm以内に近づくと、溶接時のアップセットの際にレール材の変形の支障となるため好ましくない。また、当て金4A、4Bが変形する場合もあるため好ましくない。
当て金4A、4Bのレール軸方向の長さL1は、15mm以内ではレールを冷却する効果が弱く、レールとの密着が不完全となりやすいため好ましくない。当て金4A、4Bの長さL1には上限はないが、200mm以上になると、装着する労力が大きくなるため、装着機構を自動化することが望ましい。
当て金4A、4Bのうち、レールの足の裏に接する部分である足裏部の厚みT1、及びレールの足の表に接する部分である足表部T2が薄い場合には冷却能が弱くなるため、本発明の目的を達することが難しくなる。足裏側もしくは足表側のいずれかの厚みが厚ければ、冷却能力を維持することができるため、T1とT2のいずれかが10mm以上であることが好ましい。
レール足部を冷却するためには、当て金4A、4Bは広く足部をカバーしていることが望ましい。断面内における足部の全周長として、足裏、足先、足表の各直線部の合計長さとしたとき、当て金が足部の全周長の少なくとも1/3以上に接触していることが望ましい。なお、本実施形態では、レールの頭部1及び足部3を以下のように定義する。まず、図2のレール断面において、頭部1の下面1aを延長した場合に互いに交わる点を交点Aと定義し、交点Aを通る水平線(すなわち足部3の底面と平行な線)より上部に位置する部分を頭部1とする。また、足部3の上面3aを延長した場合に互いに交わる点を交点Bと定義し、交点Bを通る水平線(すなわち足部3の底面と平行な線)より下部に位置する部分を足部3とする。なお、柱部2は、頭部1及び足部3それぞれ以外の部分と定義する。
また、当て金4A、4Bは少なくとも、溶接のフラッシング工程の期間中、装着しておくことが望ましい。
なお、当て金4A、4Bに水冷配管を設けても良い。この場合、当て金4A、4Bによるレールを冷却する効果が大きくなる。
次に、本発明の実施例を説明する。
当て金形状、材質、装着位置を表1に示す種々の条件に変化させて溶接を行い、当て金の効果を確認した。表2はその各条件の因子の具体的な組み合わせと溶接結果を示す。
なお溶接に使用したレールは米国AREMA規格のレールサイズ136Lbs、高強度熱処理レール(熱処理部硬度Hv410)を使用した。レール断面形状は、レール高さ185.7mm、足幅152.4mm、柱厚さ17.5mm、頭幅74.6である。
また、当て金を装着した溶接ではいずれも、当て金4A、4Bを箱型5、ボルト6A、6Bを用いてレール足部3に装着した。箱型5、ボルト6A、6Bはステンレス鋼(SUS304)を使用した。
また溶接条件として、当て金装着による欠陥発生量の差を明確にするために、故意にレール段差を設けた。段差はレール足部で上下方向に3mmとした。溶接のフラッシング時間は約3分間であり、レール溶融量は約10mm、アップセット荷重は55tfとした。アップセット加圧によるレール間の収縮量は約16mmであった。
溶接部の品質評価はレール溶接部の評価試験法として一般的な、曲げ破断試験における、破断荷重、破断たわみ、及び破断面上の欠陥の有無で評価した。曲げ試験は米国AREMA規格方式の、支持スパン4feet、荷重点間距離1feetの4点曲げ方式とした。AREMA規格曲げ試験における合格基準値はレールによって異なるが、上記136Lbsレールの場合、破断たわみ量19mm以上、破断荷重197tf以上、の双方を満たす必要がある。また、当て金による冷却効果を確認するために、溶接部近傍、すなわち溶接前のレール端面から20mmの位置の足裏中央位置に熱電対を装着して温度測定を行い、アップセット直前の最高到達温度を調べた。
溶接番号1では銅製の厚さ5mm、長さ50mmの当て金4A、4Bを、当て金の端面と溶接前のレール端からの距離L2が50mmの位置にセットした。当て金4A、4Bは装着断面において、足部の全周長の3/4をカバーしている。当て金4A、4Bは箱型5と締め付けボルト6A、6Bによってレールに装着した。当て金4A、4Bは2本の被溶接レールに対称に取り付けた。
曲げ試験の結果、破断たわみ量は14mm、破断荷重は217tfであった。AREMA規格を荷重は満たしているが、たわみ量は満足していない。破面上には横1mm、縦7mmの欠陥が有り、これが破壊起点となっていた。
溶接近傍の足裏温度は1000℃であった。レール足部を当て金で冷却しているものの、当て金の厚みが薄いため、冷却効率がわるく、レール足部の温度上昇により、溶接時に粗大なクレータが生じていることを示している。
溶接番号2では銅製の厚さ30mm、長さ10mmの当て金4A、4Bを、当て金の端面と溶接前のレール端からの距離L2が50mmの位置にセットした。当て金4A、4Bは装着断面において、足部の全周長の3/4をカバーしている。当て金4A、4Bは箱型5と締め付けボルト6A、6Bによってレールに装着した。当て金4A、4Bは2本の被溶接レールに対称に取り付けた。
曲げ試験の結果、破断たわみ量は13mm、破断荷重は206tfであった。AREMA規格を荷重は満たしているが、たわみ量は満足していない。破面上には横2mm、縦4mmの欠陥と横1mm、縦5mmの欠陥が有り、これらが破壊起点となっていた。
溶接近傍の足裏温度は950℃であった。レール足部を当て金で冷却しているものの、当て金の長さが短いため、冷却効率がわるく、レール足部の温度上昇により、溶接時に粗大なクレータが生じていることを示している。
溶接番号3では銅製の厚さ30mm、長さ50mmの当て金4A、4Bを、当て金の端面と溶接前のレール端からの距離L2が50mmの位置にセットした。当て金4A、4Bは装着断面において、足部の全周長の3/4をカバーしている。当て金4A、4Bは箱型5と締め付けボルト6A、6Bによってレールに装着した。当て金4A、4Bは2本の被溶接レールに対称に取り付けた。
曲げ試験の結果、破断たわみ量は28mm、破断荷重は269tfであった。AREMA規格を荷重、たわみ共に満たしている。また、破面上には欠陥は認められず、鋼材の熱影響部、表装近傍が破壊起点となっていた。
溶接近傍の足裏温度は710℃であった。レール足部を適正な形状の当て金で適正な位置を冷却しているため、レール足部の温度上昇が抑えられ、溶接時にクレータが小さく抑えられていることを示している。
溶接番号4では銅製の厚さ30mm、長さ180mmの当て金4A、4Bを、当て金の端面と溶接前のレール端からの距離L2が50mmの位置にセットした。当て金4A、4Bは装着断面において、足部の全周長の3/4をカバーしている。当て金4A、4Bは箱型5と締め付けボルト6A、6Bによってレールに装着した。当て金4A、4Bは2本の被溶接レールに対称に取り付けた。
曲げ試験の結果、破断たわみ量は28mm、破断荷重は270tfであった。AREMA規格を荷重、たわみ共に満たしている。また、破面上には欠陥は認められず、鋼材の熱影響部、表装近傍が破壊起点となっていた。
溶接近傍の足裏温度は705℃であった。レール足部を適正な形状の当て金で適正な位置を冷却しているため、レール足部の温度上昇が抑えられ、溶接時にクレータが小さく抑えられていることを示している。
溶接番号5では銅製の厚さ30mm、長さ250mmの当て金4A、4Bを、当て金の端面と溶接前のレール端からの距離L2が50mmの位置にセットした。当て金4A、4Bは装着断面において、足部の全周長の3/4をカバーしている。当て金4A、4Bは箱型5と締め付けボルト6A、6Bによってレールに装着した。当て金4A、4Bは2本の被溶接レールに対称に取り付けた。
曲げ試験の結果、破断たわみ量は27mm、破断荷重は261tfであった。AREMA規格を荷重、たわみ共に満たしている。また、破面上には欠陥は認められず、鋼材の熱影響部、表装近傍が破壊起点となっていた。
溶接近傍の足裏温度は690℃であった。レール足部を適正な形状の当て金で適正な位置を冷却しているため、レール足部の温度上昇が抑えられ、溶接時にクレータが小さく抑えられていることを示している。
溶接番号6では当て金4A、4Bを用いないで溶接した比較例である。
曲げ試験の結果、破断たわみ量は11mm、破断荷重は196tfであった。AREMA規格を荷重は満たしているが、たわみ量は満足していない。また、破面上には横2mm、縦8mmの欠陥が有り、これらが破壊起点となっていた。
溶接近傍の足裏温度は1010℃まで上昇しており、溶接時に粗大なクレータが生じていることを示している。
溶接番号7では銅製の厚さ30mm、長さ50mmの当て金4A、4Bを、当て金の端面と溶接前のレール端からの距離L2が15mmの位置にセットした。当て金4A、4Bは装着断面において、足部の全周長の3/4をカバーしている。当て金4A、4Bは箱型5と締め付けボルト6A、6Bによってレールに装着した。当て金4A、4Bは2本の被溶接レールに対称に取り付けた。
曲げ試験の結果、破断たわみ量は26mm、破断荷重は258tfであった。AREMA規格を荷重、たわみ共に満たしている。また、破面上には欠陥は認められず、鋼材の熱影響部、表装近傍が破壊起点となっていた。
なお、溶接近傍の足裏温度は620℃であり、レール足部を適正な形状の当て金で溶接部の極めて近い位置を冷却しているため、レール足部の温度上昇が十分に抑えられ、溶接時にクレータが小さく抑えられていることを示している。
しかしながら、冷却位置が本発明が適正範囲とする位置より溶接位置に近すぎるため、アップセット時のレール変形によりセットしていた当て金を外側に押し広げる力が加わり、当て金が変形するとともに、箱型から外れて脱落した。また、溶接部に近いことから、多量の溶接スパッターが当て金に付着し、その清掃に時間を要した。
溶接番号8では銅製の厚さ30mm、長さ50mmの当て金4A、4Bを、当て金の端面と溶接前のレール端からの距離L2が25mmの位置にセットした。当て金4A、4Bは装着断面において、足部の全周長の3/4をカバーしている。当て金4A、4Bは箱型5と締め付けボルト6A、6Bによってレールに装着した。当て金4A、4Bは2本の被溶接レールに対称に取り付けた。
曲げ試験の結果、破断たわみ量は26mm、破断荷重は268tfであった。AREMA規格を荷重、たわみ共に満たしている。また、破面上には欠陥は認められず、鋼材の熱影響部、表装近傍が破壊起点となっていた。
溶接近傍の足裏温度は715℃であった。レール足部を適正な形状の当て金で適正な位置を冷却しているため、レール足部の温度上昇が抑えられ、溶接時にクレータが小さく抑えられていることを示している。
溶接番号9では銅製の厚さ30mm、長さ50mmの当て金4A、4Bを、当て金の端面と溶接前のレール端からの距離L2が80mmの位置にセットした。当て金4A、4Bは装着断面において、足部の全周長の3/4をカバーしている。当て金4A、4Bは箱型5と締め付けボルト6A、6Bによってレールに装着した。当て金4A、4Bは2本の被溶接レールに対称に取り付けた。
曲げ試験の結果、破断たわみ量は23mm、破断荷重は247tfであった。AREMA規格を荷重、たわみ共に満たしている。また、破面上には欠陥は認められず、鋼材の熱影響部、表装近傍が破壊起点となっていた。
溶接近傍の足裏温度は740℃であった。レール足部を適正な形状の当て金で適正な位置を冷却しているため、レール足部の温度上昇が抑えられ、溶接時にクレータが小さく抑えられていることを示している。
溶接番号10では銅製の厚さ30mm、長さ50mmの当て金4A、4Bを、当て金の端面と溶接前のレール端からの距離L2が150mmの位置にセットした。当て金4A、4Bは装着断面において、足部の全周長の3/4をカバーしている。当て金4A、4Bは箱型5と締め付けボルト6A、6Bによってレールに装着した。当て金4A、4Bは2本の被溶接レールに対称に取り付けた。
曲げ試験の結果、破断たわみ量は17mm、破断荷重は226tfであった。AREMA規格を荷重は満たしているが、たわみ量はぎりぎりである。破面上には横2mm、縦1mmの欠陥が有り、これが破壊起点となっていた。
溶接近傍の足裏温度は960℃であった。レール足部を当て金で冷却しているものの、当て金の装着位置が本発明が適正とする範囲より遠いため、冷却効率がわるく、レール足部の温度上昇により、溶接時に粗大なクレータが生じていることを示している。
溶接番号11ではアルミニューム製の厚さ30mm、長さ50mmの当て金4A、4Bを、当て金の端面と溶接前のレール端からの距離L2が50mmの位置にセットした。当て金4A、4Bは装着断面において、足部の全周長の3/4をカバーしている。当て金4A、4Bは箱型5と締め付けボルト6A、6Bによってレールに装着した。当て金4A、4Bは2本の被溶接レールに対称に取り付けた。
曲げ試験の結果、破断たわみ量は25mm、破断荷重は257tfであった。AREMA規格を荷重、たわみ共に満たしている。破面上には欠陥は認められず、鋼材の熱影響部、表装近傍が破壊起点となっていた。
溶接近傍の足裏温度は750℃であった。レール足部を適正な形状の当て金で適正な位置を冷却しているため、レール足部の温度上昇が抑えられ、溶接時にクレータが小さく抑えられていることを示している。
溶接番号12ではステンレス鋼製(SUS304)の厚さ30mm、長さ50mmの当て金4A、4Bを、当て金の端面と溶接前のレール端からの距離L2が50mmの位置にセットした。当て金4A、4Bは装着断面において、足部の全周長の3/4をカバーしている。当て金4A、4Bは箱型5と締め付けボルト6A、6Bによってレールに装着した。当て金4A、4Bは2本の被溶接レールに対称に取り付けた。
曲げ試験の結果、破断たわみ量は20mm、破断荷重は239tfであった。AREMA規格を荷重、たわみ共に満たしている。破面上には欠陥は認められず、鋼材の熱影響部、表装近傍が破壊起点となっていた。
溶接近傍の足裏温度は830℃であった。レール足部を適正な形状の当て金で適正な位置を冷却しているため、レール足部の温度上昇が抑えられ、溶接時にクレータが小さく抑えられていることを示している。
溶接番号13では銅製の厚さ30mm、長さ50mmの当て金4A、4Bに銅製の水冷管をロウ付けにより取り付けて、冷却能をさらに高めた。レールへの装着位置は、当て金の端面と溶接前のレール端からの距離L2が50mmの位置とした。当て金4A、4Bは装着断面において、足部の全周長の3/4をカバーしている。当て金4A、4Bは箱型5と締め付けボルト6A、6Bによってレールに装着した。当て金4A、4Bは2本の被溶接レールに対称に取り付けた。
曲げ試験の結果、破断たわみ量は29mm、破断荷重は275tfであった。AREMA規格を荷重、たわみ共に満たしている。破面上には欠陥は認められず、鋼材の熱影響部、表装近傍が破壊起点となっていた。
溶接近傍の足裏温度は560℃であった。レール足部を、適正な形状で水冷を加えた当て金で、適正な位置を冷却しているため、レール足部の温度上昇がさらに抑えられ、溶接時にクレータが小さく抑えられていることを示している。
溶接番号14では軟鋼(SS400)製の厚さ30mm、長さ50mmの当て金4A、4Bに銅製の水冷管をロウ付けにより取り付けて、冷却能をさらに高めた。当て金4A、4Bは装着断面において、足部の全周長の3/4をカバーしている。レールへの装着位置は、当て金の端面と溶接前のレール端からの距離L2が50mmの位置とした。当て金4A、4Bは箱型5と締め付けボルト6A、6Bによってレールに装着した。当て金4A、4Bは2本の被溶接レールに対称に取り付けた。
曲げ試験の結果、破断たわみ量は27mm、破断荷重は269tfであった。AREMA規格を荷重、たわみ共に満たしている。破面上には欠陥は認められず、鋼材の熱影響部、表装近傍が破壊起点となっていた。
溶接近傍の足裏温度は680℃であった。レール足部を適正な形状であり、しかも水冷を加えた当て金で、適正な位置を冷却しているため、レール足部の温度上昇がさらに抑えられ、溶接時にクレータが小さく抑えられていることを示している。
溶接番号15では銅製の厚さ30mm、長さ50mmの当て金4A、4Bを、当て金の端面と溶接前のレール端からの距離L2が50mmの位置にセットした。当て金4A、4Bは装着断面において、足部の全周長の2/4をカバーしている。当て金4A、4Bは箱型5と締め付けボルト6A、6Bによってレールに装着した。当て金4A、4Bは2本の被溶接レールに対称に取り付けた。
曲げ試験の結果、破断たわみ量は23mm、破断荷重は240tfであった。AREMA規格を荷重、たわみ共に満たしている。破面上には欠陥は認められず、鋼材の熱影響部、表装近傍が破壊起点となっていた。
溶接近傍の足裏温度は825℃であった。レール足部を適正な形状の当て金で適正な位置を冷却しているため、レール足部の温度上昇が抑えられ、溶接時にクレータが小さく抑えられていることを示している。
溶接番号16では銅製の厚さ30mm、長さ50mmの当て金4A、4Bを、当て金の端面と溶接前のレール端からの距離L2が50mmの位置にセットした。当て金4A、4Bは装着断面において、足部の全周長の1/4しかカバーしていない。当て金4A、4Bは箱型5と締め付けボルト6A、6Bによってレールに装着した。当て金4A、4Bは2本の被溶接レールに対称に取り付けた。
曲げ試験の結果、破断たわみ量は10mm、破断荷重は193tfであった。AREMA規格を荷重、たわみ共に満たしている。破面上には横2mm、縦7mmの欠陥が有り、これが破壊起点となっていた。
溶接近傍の足裏温度は950℃であった。レール足部を当て金で冷却しているものの、当て金によるカバー範囲が本発明が適正とするものより狭いため冷却効率が弱く、レール足部の温度上昇が大きく、溶接時に粗大なクレータが生じていることを示している。
実施様態を示す鳥瞰図。 実施様態を示す断面図。 実施様態を示す側面図。 フラッシュバット溶接の原理を示す図。 フラッシュバット溶接におけるフラッシング過程を示す図。 レール断面を示す図。 フラッシュバット溶接におけるアップセット過程を示す図。
符号の説明
1 レール頭部
2 レール柱部
3 レール足部
4A、4B 冷却当て金
5 固定用箱型
6A、6B ボルト
10 電極
11 電極

Claims (4)

  1. レールの足部の上面及び下面の少なくとも一部を覆うように取り囲む当て金を、該当て金と溶接前の前記レールの端面の距離が20mm以上100mm以下となるように装着し、
    前記当て金を装着した状態で前記レールをフラッシュバット溶接することにより、前記レールを、前記足部を冷却しながら溶接することを特徴とするレールのフラッシュバット溶接方法。
  2. 前記当て金は、
    前記レールとの接触範囲が前記レールの断面内において足部の全周長の1/3以上であり、
    レール軸方向における長さが15mm以上であり、
    前記レールの足部の上面及び下面のいずれかを覆う部分における厚みが10mm以上であることを特徴とする請求項1に記載のレールのフラッシュバット溶接方法。
  3. 前記当て金に水冷配管を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載のレールのフラッシュバット溶接方法。
  4. レールをフラッシュバット溶接するときにレールの足部に装着され、該足部を冷却する当て金であって、
    レールの足部の上面と下面を接触しつつ覆うように取り囲み、レールとの接触範囲がレール断面内において足部の全周長の1/3以上であり、レール軸方向の長さが15mm以上であり、かつ、レールの足部の上面及び下面のいずれかを覆う部分における厚みが10mm以上であることを特徴とする当て金。
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