JP2011251335A - レール鋼のフラッシュバット溶接方法 - Google Patents

レール鋼のフラッシュバット溶接方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レール溶接部の軟化を抑制し、レールの偏摩耗を低減することができるレールのフラッシュバット溶接方法を提供する。
【解決手段】絶縁体を介して水冷配管を設けた導体に接触させて冷却される電極をレール鋼の頭頂面および底面に配置し、かつ、前記電極をレール長手方向において近接面側の端面間距離が100mm以内に配置した後にフラッシュバット溶接を行い、溶接直後のレール頭部及びレール長手方向の電極に挟まれた範囲を前記電極により冷却することにより、溶接継手部の熱影響幅が25mm以下で、かつ軟化幅が8.5mm以下とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、レール鋼溶接部とくに高炭素過供析レール鋼の熱影響部(HAZ)の軟化を抑制し、レールの偏摩耗及び表面損傷を低減することができるレールのフラッシュバット溶接方法に関するものである。
フラッシュバット溶接は鉄鋼材料の溶接方法として広く普及している。その特徴として、自動化が可能であり、品質の安定性が高く、溶接時間が短いなどの長所を有することが挙げられる。
フラッシュバット溶接方法の原理を、図1の(a)〜(d)を用いて説明する。
まず図1(a)に示すように、対向して設置された被溶接材料としてのレール鋼1、2に、端面からの距離L1,L2で配置(なお、電極間距離10は、レール鋼の端面が付き合わされた状態でのL1+L2の合計の間隔とする)された電極3,4,5,6を介して電源7,8から電圧をかけて、移動側のレール鋼1を矢印9方向に移動させて、レール鋼の互いの端面を徐々に接近させると、局所的に短絡電流が流れ、抵抗発熱により急速に加熱され溶融に至り、レール鋼間は溶融金属で橋絡される。この橋絡部では、図1(b)に示すように、アークが発生し、溶融金属の一部が飛散するとともに輻射熱で端面を加熱し、これらを連続的に繰り返す。これらはフラッシュ工程と呼ばれる。
また、図1(c)に示すように、フラッシュ工程における部材全体への入熱を短時間で行うことを目的とし、レール鋼を強制的に接触させ停止した後に一定時間大電流を流し、抵抗発熱により端面付近を加熱し、その後、レール鋼を引き離す過程を数回繰り返す。これらは予熱工程と呼ばれる。フラッシュバット溶接においては、予熱工程を行うことなくフラッシュ工程のみの場合もあるが、入熱を効果的に行い、溶接時間の短縮効果が見られる予熱工程を、フラッシュ工程と組み合わせる溶接方法も採用されている。
また、溶接は大気雰囲気で行われるため、形成される溶融金属部には多量の金属酸化物が生成する。
フラッシュ工程中にレール鋼を接近させるスピードをフラッシュ速度という。入熱が不十分な状態でフラッシュ速度が大きくなりすぎると、アーク及び溶融金属の飛散が生じることなく、接触面積が大きくなり大電流が流れ、連続フラッシュが生じないフリージングという現象が生じる。このフリージングは、曲げ性能を阻害する要因となる酸化物を生成させるので注意を要する。フリージングを生じさせないようにするには、適正な入熱とフラッシュ速度のバランスが重要である。
フラッシュ工程によって、最終的に溶接端面の全面が溶融した状態の後、図1(d)に示すように、大加圧力で部材の端面同士を急速に密着させ、端面の溶融金属の大部分を外部へ排除し、端面後方の高温に加熱された部分に加圧・変形を与えて接合部を形成する。これらはアプセット工程と呼ばれる。
このとき、溶接中に生成された酸化物は、排出されるとともに、微細・分散化され、曲げ性能を阻害する欠陥として接合面に残存する可能性を低くする。
アプセット工程で断面外に排出されたビード部は後工程において熱間せん断などにより除去される。
その後、放冷または制御エア冷却により、室温まで冷却される。
電極の材質については、特許文献1に示す通り、ベリリウムを含む銅合金が用いられており、伝熱性は高い。
図1の10で示される溶接開始前の電極間の距離については、非特許文献1には250mmと示されている。
このようなフラッシュバット溶接は、溶接工程が自動化されており、溶接時間が1.5〜4分と短く、溶接能率が高いため、レール分野においても工場溶接法として多く採用されている。また、装置をコンパクト化して、軌道における現地溶接としても利用されている。
前述の通り、フラッシュバット溶接は加熱により材料端面を溶かした後、溶融面を加圧密着させてお互いの材料を接合する技術である。鋼材は室温から融点まで加熱するまでの昇温過程と、その後の冷却過程を経るため、金属組織に変化が生じる。溶接に伴う被溶接材の組織、硬さなど機械的性質の変質域は熱影響部、HAZと呼ばれる。このHAZの範囲を求める場合、機械的性質の変質域の確認は硬さ測定などの手間を要するので、ミクロ・マクロ観察により比較的簡易に母材と識別可能な範囲をHAZと呼ぶ場合が多い(非特許文献2)。本明細書では、後述のミクロ・マクロ観察により母材と識別可能な範囲をHAZと呼ぶ。
高炭素過共析鋼を用いたレール鋼はCを0.85〜1.20%含有し、パーライト組織を呈している。パーライト組織は炭素をほとんど含まないフェライトと呼ばれる純鉄相と、セメンタイトと呼ばれる炭化鉄(Fe3C)の層が交互に緻密に重ねあわされた層状構造を呈している。パーライトが生成する過程では変態エネルギーがフェライトとセメンタイトの界面エネルギーに変換されるため、このような層状組織が形成される。
これらの組織は、溶接の加熱プロセスが終了すると、冷却により、それぞれの組織から温度低下に応じた組織変化が生じ、その組織変化に応じて硬度分布が生じる。硬度分布は組織、成分によって異なる。
いずれの温度域から冷却された部位でも、最終的にはフェライトとセメンタイトの組織となる。フェライトとセメンタイトの層状組織は母材と同じパーライトである。しかしながら温度域によっては球状化したセメンタイト組織が含まれるため軟化しており、球状化セメンタイト組織の分率に応じて硬度変化が生じることになる。
このためレール溶接部には硬度が低下した軟化部が生じる。軟化部のレール長手方向長さが長く、またさらに硬度低下が著しいと、レールの頭部における車輪の通過により、軟化部で偏摩耗が進むことになり、さまざまな問題が生じる。
特許文献4には、フラッシュバット溶接されたパーライト鋼の継手の溶接部硬さ分布が示されており、この文献では、HAZ幅は42mm程度、軟化幅は25から30mm程度となっている。
一方、特許文献5には、鉄道レールでは、軟化幅は車輪とレールの接触領域程度より小さければ、偏摩耗は起こりにくいこと、車輪とレールの接触領域は15mm程度と考えられることから、母材硬度からHv50以上低下した軟化幅は15mm以下となることが望ましいことが記載されている。
このような、フラッシュバット溶接部の軟化の問題に対して、次のような技術が提案されている。
特許文献5においては、レールとの接触範囲が、レールの断面内において少なくともレールの頭頂面を含んでおり、頭頂面における接触範囲のレール軸方向の長さが15mm以上であり、かつ頭頂面と接触する部分の厚みが10mm以上の当て金4を、当て金4のレール端面側の先端が溶接前のレール端面から20mm以上50mm以内に位置するように装着した状態で、レールをフラッシュバット溶接することにより、溶接の際にレールの頭部1を当て金4により冷却することが開示され、その結果、母材硬度よりHv50以上低下している長手方向の幅を15mm以下にすることができることが示されている。
特許文献7においては、後期フラッシュ速度が2.1mm/sec以上であり、溶接継手部のHAZ幅が27mm以下、かつ軟化幅が10mm以下であることを特徴とするフラッシュバット溶接方法が記されている。
特開2000−79845号公報 特開昭61−46382号公報 特開平10−296448号公報 特開2001−152291号公報 特開2007−289970号公報 特開平06−145791号公報 特願2009−251071号公報
ESAB社製レール用フラッシュバット溶接機説明書 日刊工業新聞社 溶接冶金学 p.4 溶接学会軽構造接合加工研究会編 抵抗溶接現象とその応用(IV)p.59〜62
上記したように、レール溶接部には硬度が低下した軟化部が生じる。軟化部のレール長手方向長さが長く、またさらに硬度低下が著しいと、レールの頭部における車輪の通過により、軟化部で偏摩耗が進み、騒音振動の原因となることがある。また、偏摩耗が大きくなると、車輪通過時にレールへの衝撃が大きく、レールの疲労破壊の原因となる場合がある。
しかし、軟化部の発生に対して、上記従来技術では、次のような課題がある。
特許文献5で示されているように、車輪とレールの接触領域は15mm程度と考えられることから、特許文献4のように、HAZ幅が42mm程度、軟化幅が25から30mm程度の場合、軟化部で偏摩耗が進み車輪通過時にレールへの衝撃が大きく、レールの疲労破壊の原因となりやすい。
また、特許文献5のように当て金を装着する方法は、別途用意された当て金を指定された範囲に装着する必要があるため、また突合せ端面に極めて近く飛散した溶融金属が固着するためその脱着が容易ではなく、固着したフラッシュの除去も手間を要すため、自動化され溶接能率の高いフラッシュバット溶接の利点を損なう問題点がある。
非特許文献3では、レールのフラッシュバット溶接方法ではあるが、曲げ性能に論点を置いた記述内容であり、最終フラッシュ速度が遅く、フラッシュ代が十分でないため狭い軟化幅は得られない。
特許文献7では、溶接継手部のHAZ幅が27mm以下、かつ軟化幅が10mm以下であることを特徴とするフラッシュバット溶接方法が記されている。しかしながら、その方法として、後期フラッシュ速度を2.1mm/sec以上にする必要があり、そのフラッシュ速度を得るには、溶接面へ事前に充分な入熱を行う必要があり、高い変圧器容量を要す必要があるなどの問題があり、設備的な制約が大きい。
本発明は、このような問題を生じることなく、レール溶接部の軟化を抑制し、レールの偏摩耗を低減することができるレールのフラッシュバット溶接方法を提供することを目的とする。
本発明は上記課題の対策として、レール鋼とくに高炭素過共析鋼レールのフラッシュバット溶接において、レール頭部におけるHAZ幅を減少して、軟化域を小さくし、レールの偏摩耗を抑制するものである。その具体的方法は、以下の通りである。
(1)絶縁体を介して水冷配管を設けた導体に接触させて冷却される電極をレール鋼の頭頂面および底面に配置し、かつ、前記電極をレール長手方向において近接面側の端面間距離を100mm以内に配置した後に溶接を行い、溶接直後のレール頭部及びレール長手方向の電極に挟まれた範囲を前記電極により冷却することにより、溶接継手部の熱影響幅が25mm以下で、かつ軟化幅が8.5mm以下であるようにしたことを特徴とするフラッシュバット溶接方法。
(2)絶縁体を介して水冷配管を設けた導体に接触させて冷却される電極をレール鋼の頭頂面および底面に配置し、かつ、前記電極をレール長手方向において近接面側の端面間距離を50mm以上に配置した後に溶接を行うことを特徴とする(1)に記載のフラッシュバット溶接方法。
(3)前記レール鋼が、質量%で、C:0.85〜1.20%を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載のフラッシュバット溶接方法。
本発明によれば、フラッシュバット溶接時の電極間距離を狭くすることで溶接部の電極からの冷却により突合せ端面の熱分布が急峻になるため、HAZの幅が狭くなり、軟化幅も狭くなる。その結果、頭部における車輪との接触による偏摩耗が減少するため、列車の乗り心地が向上し、騒音・振動が低減し、レール表面に生じる損傷が低減するという効果が得られる。また、偏摩耗の減少や表面の損傷の低減などの結果、レール表層のグラインダ切削の周期延長、レール交換の周期延長にも寄与することができる。
フラッシュバット溶接方法を示す模式図であり、(a):レール鋼と電極等の配置、(b):フラッシュ工程、(c):予熱工程、(d):アプセット工程をそれぞれ示す。 フラッシュバット溶接の各工程における溶損長さの変化の一例を示す図である。 フラッシュバット溶接継手のマクロ断面と硬さ分布の一例を示す図である。 電極間距離とHAZ幅の関係を示す図である。 HAZ幅と軟化幅の関係を示す図である。 転動疲労試験機の概要を示す図である。 転動疲労試験で得られたHAZ幅と偏摩耗深さの関係を示す図である。
重荷重鉄道のレールに要求される耐摩耗性を満たすレールとして、Cを0.85〜1.20%含有し、パーライト組織を有する高炭素過共析鋼レールが広く用いられている。
本発明者らは、そのようなレール鋼をフラッシュバット溶接した場合の溶接部における上記した課題を解決するためには、溶接終了後の冷却効果を高めるために、ベリリウムを含む銅合金製で、かつ絶縁体を介して水冷配管を設けた導体に接触させ充分に冷却された電極を用い、溶接電極を溶接面に近づけることが有効であると考えた。
電極に冷却を施す理由は、伝熱性の高い銅合金の場合でも、高温となる溶接部からの熱伝導により電極は熱せられるためである。仮に電極の大きさが無限大であれば電極内の熱伝導によりレールと接する面の電極温度はほぼ均一であるが、溶接機内の設備制約より、電極の大きさは限られる。よって電極は高温になり、溶接部の冷却効果は得られない。そのため簡便でかつ効果の高い水冷を施した導体を用いて電極を冷やす必要がある。但し電極と溶接機本体との通電を防止するために、電極と水冷を施す導体間には絶縁体を挟んだ。
ここで、非特許文献1に示すように、一般的には溶接前の電極間距離は250mmと広く、この距離では冷却効果は望めない。
そこで、本発明者らは、どの程度の距離を置くのが有効かを検証するために、1m当たりの重量136ポンドのレール(136lbs:AREA規格)を用いてフラッシュバット溶接を行った。溶接には、AC電源で変圧器容量240kVA、最大アプセット荷重700kNのフラッシュ溶接機を用い、フラッシュ工程と予熱工程を組み合わせた方式で溶接を行い、電極間距離を変更させた。
まず、本明細書で用いるフラッシュバット溶接における呼称及びフラッシュバット溶接方法の例を図2を用いて説明する。フラッシュバット溶接の工程についてはとくに限定しないが、本発明者が用いたフラッシュバット溶接は、初期フラッシュバット工程、予熱工程、前期フラッシュバット工程、後期フラッシュバット工程、アプセット工程からなる。
後期フラッシュ工程は、アプセット工程直前の工程で、フラッシュ速度が最も速い工程である。図では後期フラッシュ工程中で加速無しの場合の例を示したが、2次元的にフラッシュ速度が加速し速くなる場合はその加速する領域を全て含む。
後期フラッシュ速度は、後期フラッシュ工程で加速を行わない場合はその一定の速度を指し、加速が行われ速度が変化する場合は、速度の時間平均を指す。
後期フラッシュ代は、後期フラッシュ工程において、溶融金属が飛散し被溶接物が除去された溶損量を指す。
図3に、高炭素過共析鋼レールをフラッシュバット溶接して形成された継手の溶接部の長手方向マクロ断面と、レール表層から下方に5mm位置の硬さ分布の例を示す。
溶接には、AC電源で変圧器容量240kVA、最大アプセット荷重700kNのフラッシュ溶接機を用い、予熱回数は7回、かつ後述の図2で示す初期フラッシュ工程と前期フラッシュ工程の合計時間は、120sec、後期フラッシュ工程における後期フラッシュ速度は0.5mm/sec、後期フラッシュ代が3mmの場合の例である。
図からわかるように、マクロ断面から判断されるHAZ境界は、硬さ変化が生じた範囲よりも溶接中央部側に位置し、硬さが最も低下した位置の若干外側に位置している。図3の例では、HAZ幅は35mmで、軟化幅は19mmとなり、上述の偏摩耗の恐れがある結果となっている。
なお、軟化幅は、本発明においては、母材の硬さを下回る範囲とする。実際には、母材硬さにも若干のばらつきが生じるため、(母材硬さの平均値−3×標準偏差)を下回る範囲とする。
ただし、溶接中央部については、特許文献6に示すように熱処理を行えば母材同等の硬さに回復させることが可能なため、基本的には軟化部に含めない。熱処理を実施せず、または熱処理の効果が少なく、溶接中央部の硬さが母材硬さに満たない場合では、硬さ分布の溶接中央部側に補助線を引き、この線が前述の(母材硬さの平均値−3×標準偏差)と交わる範囲を軟化幅とする。図3では、この方法によって求めて、軟化幅は19mmとした。
図4に、AC電源で変圧器容量240kVA、最大アプセット荷重700kNのフラッシュ溶接機を用い、予熱回数は7回、かつ図2で示す初期フラッシュ工程と前期フラッシュ工程の合計時間は、120sec、後期フラッシュ工程における後期フラッシュ速度は0.5mm/sec、後期フラッシュ代が3mmの場合の例で、溶接前の電極間距離を変化させた場合の、電極間距離とHAZ幅の関係を示す。電極は特許文献1で示されたようにベリリウム系の銅合金製を用い、絶縁体を介して水冷配管を設けた導体に接触させ充分に冷却を行った。
非特許文献1で示された溶接前の電極間距離が250mmの場合、HAZ幅は35mmであったが、溶接前の電極間距離を狭くするに従いHAZ幅は狭くなった。
図5にその時に得られたHAZ幅と軟化幅の関係を示す。図5に示すように、HAZ幅と軟化幅には強い関係があることがわかった。
次に、本発明者らは、電極を狭くすることで得られた数種類のHAZ幅・軟化幅の溶接継手を供試材とし、図6で示す転動疲労試験機を用いて、表面の偏摩耗深さとHAZ幅の関係を求めた。なお、試験機は、レール移動用スライダー11、レール12、車輪13、モーター14、荷重負荷装置15より構成される。
転動疲労試験には、レールとしては長さ2mの136lbsレールを用い、車輪としては鉄道車両用炭素鋼一体圧延車輪C55GW−T−A(JIS E 5402)を用いた。ラジアル荷重は196kN、スラスト荷重は9.8kNとした。またレールと車輪の間には間欠給水を行って試験を行った。
250万回繰返し回数の試験の後、レールのHAZ軟化部に生じた偏摩耗の深さをそれぞれ測定した。HAZ幅が35mmの場合を1とした場合の結果を図7に示す。
図7より、HAZ幅が25mmより狭い場合、摩耗深さは非常に小さくなることがわかる。また図5より、HAZ幅25mmの時の軟化幅は8.5mmであった。
そこで本発明者らは、レールの偏摩耗及び損傷を軽減するために必要な条件として、HAZ幅は25mm以下、軟化幅は8.5mm以下とした。
図4より、当該HAZ幅25mm以下を満足するためには、電極間距離を100mm以下にすれば良いことがわかった。
ここで電極間距離は、図1(a)で示す頭頂面に押し付けた電極のレール近接面側の端面間の距離L1+L2を指す。電極のレール近接面側の端面がレール長手方向に対して垂直では無い場合、レール断面の頭頂面中央部間の距離とする。溶接部から電極までの距離を狭くし、かつ対象な溶接部を形成するにはL1とL2の差を10mm以下とする。より好ましくは5mm以下である。
溶接前の電極間距離については、狭いほど溶接部から電極までの距離が狭く、電極からの冷却効果が高まるためHAZ幅が狭くなる効果が強くなったと考えた。しかしながら溶接電極間が狭いと、溶接中のスパッタが電極に付着し当概スパッタを起点として異常放電が生じ品質異常となる問題点電極に多量に付着したスパッタを溶接後に除去する作業にさらなる時間を要す問題点、溶接中とくにアプセット中に電極どうしが干渉する設備的な問題点があるため、50mm以上が好ましい。
さらにスパッタ除去作業の軽減のため、特許文献2で示された、電極の溶接面側の端面に耐熱性を有しかつ高強度の絶縁材料を固着する方法、さらに特許文献3で示された電極に付着したスパッタの自動クリーニング方法を採用することが好ましい。
以下に、実施例を用いて、本発明の実施可能性及び効果についてさらに説明する。なお、実施例に用いた条件はその確認のための一つの例であり、本発明は、この例に限定されるものではない。
質量%でC:0.85〜1.2%、Si:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%を含みパーライト組織を呈する、136lbsのレール鋼をフラッシュバット溶接に供した。
溶接には、AC電源で変圧器容量240kVA、最大アプセット荷重700kNのフラッシュ溶接機を用い、予熱回数は7回、かつ図2で示す初期フラッシュ工程と前期フラッシュ工程の合計時間は、120sec、後期フラッシュ工程における後期フラッシュ速度は0.5mm/sec、後期フラッシュ代が3mmとし、電極間距離を変化させて溶接を行った。
電極は特許文献1で示されたようにベリリウム系の銅合金製を用い、絶縁体を介して水冷配管を設けた導体に接触させ充分に冷却させた場合と、冷却を行わない2水準で溶接を行った。
溶接継手を評価するために、HAZ幅・軟化幅・転道疲労試験による表面の編摩耗深さを求めた。転動疲労試験は図7で示す転動疲労試験機を用いた。試験機は、レール移動用スライダー11、レール12、車輪13、モーター14、荷重負荷装置15より構成される。転動疲労試験には、レールとしては長さ2mの136lbsレールを用い、車輪としては鉄道車両用炭素鋼一体圧延車輪C55GW−T−A(JIS E 5402)を用いた。ラジアル荷重は196kN、スラスト荷重は9.8kNとした。またレールと車輪の間には間欠給水を行って試験を行った。
また異常放電については、溶接後にレールの目視により、異常放電による表面の外観異常の発生を観察した。当該異常部の組織はマルテンサイトであった。異常放電による急速加熱、急速冷却の結果と考えられる。
結果を表1に示す。
電極間距離が100mm以下の場合、25mm以下のHAZ幅、8.5mm以下の軟化幅を満足することができた。
一方、電極間距離が100mmを上回る場合、または電極間距離が100mm以下ではあるが、電極の水冷を行わなかった場合、本発明の規定を満たしていないため、HAZ幅・軟化幅を満足することができなかった。
1 レール鋼(移動側)
2 レール鋼(固定側)
3 電極(移動側上)
4 電極(固定側上)
5 電極(移動側下)
6 電極(固定側下)
7 電源(上)
8 電源(下)
9 レール鋼の移動方向
10 電極間距離
11 レール移動用スライダー
12 レール
13 車輪
14 モーター
15 荷重負荷装置

Claims (3)

  1. 絶縁体を介して水冷配管を設けた導体に接触させて冷却される電極をレール鋼の頭頂面および底面に配置し、かつ、前記電極をレール長手方向において近接面側の端面間距離が100mm以内に配置した後に溶接を行い、溶接直後のレール頭部及びレール長手方向の電極に挟まれた範囲を前記電極により冷却することにより、溶接継手部の熱影響幅が25mm以下で、かつ軟化幅が8.5mm以下であるようにしたことを特徴とするフラッシュバット溶接方法。
  2. 絶縁体を介して水冷配管を設けた導体に接触させて冷却される電極をレール鋼の頭頂面および底面に配置し、かつ、前記電極をレール長手方向において近接面側の端面間距離を50mm以上に配置した後に溶接を行うことを特徴とする請求項1に記載のフラッシュバット溶接方法。
  3. 前記レール鋼が、質量%で、C:0.85〜1.20%を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のフラッシュバット溶接方法。
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