JP2007229110A - 歯科用根管治療装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成でありながら、根管治療の一環としての根管洗浄等が円滑且つ効果的になし得る新規な歯科用根管治療装置を提供する。
【解決手段】根管切削工具2を回転駆動するモータ5と、該モータ5の駆動を制御するモータ制御手段7と、電気的根管長測定手段9とを備えた歯科用根管治療装置において、上記モータ制御手段7が、上記根管切削工具2を根管切削の為の回転方向とは逆方向に回転させながら根管に挿入する際、該根管切削工具2の先端が予め設定された基準位置Xに到達したことを上記電気的根管長測定手段9が検出するまでは、根管切削工具2の上記逆回転を維持し、該根管切削工具2の先端が上記基準位置Xに到達したことを上記電気的根管長測定手段9が検出したときには、該根管切削工具2の逆回転を停止するよう上記モータ5の駆動を制御することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、歯科用根管治療装置に関し、更に詳しくは、歯牙の根管切削・拡大機能に加え、根尖まで根管洗浄液等の薬液を浸透させ、あるいは根管充填材を充填させる機能をも備えた歯科用根管治療装置に関する。
一般に、歯牙の根管治療の過程においては、根管を切削・拡大した後、根管内に次亜塩素酸ナトリウム溶液或いは過酸化水素溶液を注入することにより、根管洗浄等の治療がなされる。このような薬液等の注入はシリンジ或いは注射針を使用してなされるが、根管内が狭くしかも湾曲している為に、注入の際に根管内で気泡が発生しやすく、根尖位置まで薬液等が到達しているか否か定かでなく、十分な注入がなされないことがしばしば起こる。斯かる注入の不備を補う為に、注入後、根管切削・拡大用のリーマやファイル(以下、ファイル等、あるいは根管切削工具と記す)を超音波スケーラにより超音波振動させて、その超音波振動により注入された薬液等を攪拌させれば、効果的であり、その実証結果等も報告されている。上記薬液の注入不足に類する問題として、充填材が根管内の十分な位置まで充填されないまま、根管を閉塞してしまうという問題も、同様に臨床現場における懸念となっている。
特許文献1には、根管内に糊剤を充填する術式として、手操作のリーマ等を逆回転させて充塞する方法や、レンツロ等の螺旋形糊剤充填器のような専用器を用いる方法がある旨記載されている(同文献の「背景技術」の欄参照)。また、特許文献2には、薬液(処置腋)等の給液ノズル及び吸引ノズルを根管内に挿入し、その尖端部の位置を異なるように配置し、薬液を流すことによって、根管内に薬液を十分に浸透させるようにした歯科用治療装置が開示されている。更に、特許文献3及び4には、根管拡大時にファイル等の切削工具の先端が所定位置に達した時に、切削工具用モータの回転方向を反転させる(オートアピカルリバース)技術、及びファイル等の切削工具に過剰なトルクが印加された時に、切削工具用モータの回転方向を反転させる(オートトルクリバース)技術が開示されている。
特許第3501290号公報 特開2004−313659号公報 特許第3213484号公報 特許第3264607号公報
根管内に次亜塩素酸ナトリウム溶液或いは過酸化水素溶液を注入して根管洗浄を行う場合、上記のように、根管は狭小であり、途中で湾曲していることが多く、直径が0.3mm以下の場合が多い根尖部まで薬液等が浸透せず、空隙が生じている可能性が高い。特に気泡が存在している場合は、満遍なく薬液等を浸透させることは不可能であり、根管洗浄の最大の目的は根尖部の有害物質或いは有害細菌の除去であるから、根尖部の洗浄が保証できない方式は基本的に意味がない。
前記のように、薬液等の注入後ファイルを超音波スケーラにより超音波振動させる方式は、その薬液等の攪拌作用をして根尖部の十分な洗浄が保証できるが、以下のような問題点を有している。即ち、a:超音波スケーラ或いはエアスケーラを使用する必要がある。b:ファイルをスケーラに取付ける作業が必要とされるから、治療作業の流れが滞る。c:ファイルが折れることがある。d:振動の為有害物質が根尖外(歯根膜)に押出され、治療後に患者が疼痛を訴えることがあり、また予後が悪い場合もある。等である。
また、特許文献1に記載されているように、手操作のリーマ等を逆回転させて糊剤を充填させる場合や専用の充填器を用いる場合は、根管長を予め測定しておく作業が必要とされる上に、リーマ等の先端位置検出機能と関連付けて充填を行うものではないから、その充填状態の把握ができない。更に、専用の充填器を用いる場合は、根管拡大後に充填器を準備する作業を必要とし、一連の根管治療作業の円滑性を欠くことにもなる。
特許文献2に開示された歯科用治療装置は、根管内が比較的広い場合は効果的であるが、狭小な場合への適用は難しく、また装置が大掛かりとなる点は否めなかった。更に、特許文献3及び4は、根管拡大時にファイル等の切削工具の先端が所定位置に達した時、或いは、切削工具に過剰なトルクが印加された時に、切削工具用モータの回転方向を反転させる技術を開示するものであるが、薬液を根尖にまで浸透させる技術を開示するものではない。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、簡単な構成でありながら、根管治療の一環としての根管洗浄等が円滑且つ効果的になし得る新規な歯科用根管治療装置を提供することを目的とするものである。
請求項1の発明に係る歯科用根管治療装置は、根管切削工具を回転駆動するモータと、該モータの駆動を制御するモータ制御手段と、電気的根管長測定手段とを備えた歯科用根管治療装置において、上記モータ制御手段が、上記根管切削工具を根管切削の為の回転方向とは逆方向に回転させながら根管に挿入する際、該根管切削工具の先端が予め設定された基準位置に到達したことを上記電気的根管長測定手段が検出するまでは、根管切削工具の上記逆回転を維持し、該根管切削工具の先端が上記基準位置に到達したことを上記電気的根管長測定手段が検出したときには、該根管切削工具の逆回転を停止するよう上記モータの駆動を制御することを特徴とする。
本発明においては、前記根管切削工具の先端が予め設定された基準位置に到達したことを上記電気的根管長測定手段が検出した後、前記挿入を継続する場合、前記モータ制御手段は、請求項2の発明のように、前記根管切削工具を回転停止モードに維持するよう制御し、或いは、請求項3の発明のように、前記根管切削工具を正回転モードに維持するよう制御し、更には、請求項4の発明のように、前記根管切削工具を正回転と逆回転の繰り返しモードに維持するよう制御するものとすることができる。
また、請求項5の発明のように、前記基準位置が根管切削工具の挿入方向に沿った複数位置に設定され、モータ制御手段が、該根管切削工具の先端が該複数の基準位置の内の挿入方向上流側の基準位置に到達したことを前記電気的根管長測定手段が検出するまでは、根管切削工具の前記逆回転を維持し、根管切削工具の先端が該上流側基準位置に到達したことを電気的根管長測定手段が検出したときには、根管切削工具の逆回転を停止し、さらに、該上流側基準位置を超えて下流側の基準位置に到達するまでは、根管切削工具の回転停止モード、正回転モードまたは正回転と逆回転の繰り返しモードのいずれかを維持し、根管切削工具の先端が該下流側基準位置に到達したことを電気的根管長測定手段が検出したときには、根管切削工具の逆回転を開始するよう前記モータの駆動を制御するようになすことも可能である。
そして、上記いずれかの発明において、請求項6の発明のように、前記モータ制御手段は、前記根管切削工具の先端が前記基準位置に近づくにつれて前記モータの回転速度が遅くなるよう制御するものとすることができる。また、請求項7の発明のように、前記根管切削工具の先端位置を表示する表示手段をさらに備えていることが望ましい。そして、この場合、請求項8の発明のように、前記電気的根管長測定手段が、根管内環境によって測定結果が変化しない第1の根管長測定機能と、根管内環境によって測定結果が変化する第2の根管長測定機能とを備え、前記表示手段が、該第1の根管長測定機能による第1の測定結果と、該第2の根管長測定機能による第2の測定結果とを、各々表示することができるものとしてもよい。
更に、請求項9の発明のように、前記基準位置を任意に設定するための基準位置設定手段をさらに備えていること、或いは、請求項10の発明のように、前記根管切削工具の先端が前記基準位置に到達したことを音声あるいは音響によって報知する報知手段をさらに備えていることが望ましい。加えて、請求項11の発明のように、前記根管切削工具が前記電気的根管長測定手段における測定電極となるよう、根管長測定用信号回路が前記根管切削工具まで導通しているものとすることができる。前記モータとしては、請求項12の発明のような電気駆動モータ、或いは、請求項13の発明のような空気駆動モータが採用される。
請求項1の発明に係る歯科用根管治療装置によれば、根管切削工具を根管切削の為の回転方向とは逆方向に回転させることができる。従って、当該根管切削工具を正回転させて根管切削・拡大した後、根管内に薬液や洗浄液更には充填材(以下、薬液等と言う)を注ぎながら或いは注入した上で、根管切削工具を逆回転させて根管内に挿入してゆくと、本来根管切削工具はその正回転によって切削屑を根管切削工具の基部側(上流側)に排出するよう機能するものであるから、この逆回転を維持した挿入によって、上記薬液等は根管切削工具の先端側に押込まれるような作用を受ける。この押込み作用によって、根管内の薬液等は根尖方向に強制的に移動することになり、しかも、この移動は根管切削工具を伝っての移動となるので、根管が細かったり湾曲したりしていても、薬液等が基準位置(例えば、根尖位置)まで確実に浸透・充満され、途中で気泡を生起したりすることがない。また、根管切削工具は逆回転しながら根管内に挿入されていくから、その回転作用によって薬液等の根管内洗浄効果或いは薬効が効果的に発現される。
そして、根管切削工具の先端が上記基準位置に到達したことを上記電気的根管長測定手段が検出したときには、該根管切削工具の逆回転を停止するよう上記モータの駆動を制御するようにしているから、過剰な薬液等の注入・浸透がなされず、予後が良好となる。
前記根管切削工具の先端が予め設定された基準位置に到達したことを上記電気的根管長測定手段が検出した後、前記挿入を継続する場合、前記モータ制御手段が、請求項2の発明のように、前記根管切削工具を回転停止モードに維持するよう制御するものとしても、過剰な薬液等の注入・浸透がなされず、予後が良好となる。また、請求項3の発明のように、前記根管切削工具を正回転モードに維持するよう制御するものとすれば、薬液等はこの時点から押上げられる方向に強制移動し、根尖孔からの薬液等の溢出をより確実に阻止することができる。更には、請求項4の発明のように、前記根管切削工具を正回転と逆回転の繰り返しモードに維持するよう制御するものとすれば、一定時間ずつ、例えば1秒ごとに正回転と逆回転とを切替えて、正回転と逆回転とを繰り返すようモータの駆動を制御すれば、薬液等を攪拌することで薬液等を十分に浸透させ、薬効を引き出すことができる。これらの場合、逆回転を停止させた後、根管切削工具を自動的に正回転モード或いは正回転と逆回転とを繰り返すモードに切替えるようにすれば、これらの動作は自動的且つ迅速になされるので、術者が切削工具を頻繁に上下動しても的確な動作が保証される。また、一般的な根管拡大用の切削工具をそのまま使用することができるから、特別な洗浄液注入用器具や充填用器具を別途備える必要がない。
また、請求項5の発明のように、前記基準位置を根管切削工具の挿入方向に沿った複数位置に設定し、根管切削工具の挿入方向上流側の基準位置に根管切削工具の先端が到達したことを電気的根管長測定手段が検出したときには、根管切削工具の回転停止モード、正回転モードまたは正回転と逆回転の繰り返しモードのいずれかを維持し、その後下流側の基準位置(例えば、根尖位置)に到達するまでは、根管切削工具の回転停止モード、正回転または正回転と逆回転の繰り返しモードのいずれかを維持し、更に、根管切削工具の先端が下流側の基準位置に到達したときには、根管切削工具の逆回転を開始するよう前記モータの駆動を制御することとすれば、上流側基準位置を超えた後は、薬液等を根管内に過剰に押し込むことがなく、根尖部からの薬液等の溢出がより確実に防止され、術後の良好な経過が期待できる。更に、下流側基準位置に到達したときに根管切削工具が逆回転するから、根管切削工具に根管から引く出す力が作用し、根管切削工具先端が根尖を突き抜けるような過剰切削が防止される。尚、この場合、基準位置は根管切削工具の挿入方向に沿って複数箇所に設定されるが、最下流側の基準位置は根尖位置或いはその上流側の近接位置に設定されることが望ましい。
請求項6の発明のように、根管切削工具の先端が上記基準位置に近づくにつれてモータの回転速度が遅くなるよう制御するようにすれば、これに伴い薬液等の押込み力が弱くなるから、根管切削工具の挿入過程での気泡発生抑止及び根管洗浄或いは薬効等の機能が維持されながら、根尖孔からの薬液等の溢出の懸念がより少なくなる。また、繊細な操作を必要とする基準位置付近においては、施術の安全性が確保される。更に、請求項7の発明のように、根管切削工具の先端位置を表示する表示手段を設けるようにすれば、術者は根管切削工具の先端位置を逐次認識することができ、より的確な治療作業を実施することができる。そして、この表示手段は、請求項8の発明のような2つの機能を備える電気的根管長測定手段による2種類の測定結果を各々表示するようにすれば、薬液等が注入された根管内に根管切削工具を挿入してゆく際、根管内環境(具体的には、薬液等の有無)による影響を受けない第1の測定結果の表示によって、根管切削工具の先端位置が正確に把握され、一方、根管内環境(同上)による影響を受ける第2の測定結果によって、根管切削工具の先端位置付近での薬液の有無が把握され、従って、薬液が気泡の発生を伴うことなく十分に根管内に浸透したか否かが的確に把握される。
ここで、請求項8の発明における第1の根管長測定機能を奏する第1の測定方法の一例としては、特許第2873722号公報に開示されたような相対値法が挙げられる。この相対値法は、湿潤根管における正確な根管長測定を目的に開発されたものであり、2種類の周波数信号に対する2種類の応答値を得た上で、それら応答値の相対値の「比」を算出し、根尖の電気的容量成分を検出する方法であり、湿潤根管・乾燥根管ともに測定精度が保たれる。即ち、根管内環境によって影響を受けず、測定結果が変化しない方法である。
また、第2の根管長測定機能を奏する第2の測定方法の一例としては、先駆的電気的根管長測定法である「インピーダンス法(通称:砂田の原理)」を挙げることができる。この「インピーダンス法」は、口腔粘膜と根管内に挿入したリーマ(ファイル、以下同じ)間の電気抵抗値は、リーマの先端が根表(根尖位置)に達したとき、年齢、歯種による差がなく、ほぼ一定の値(6.5kΩ)をとることを基本原理とするものである。1958年に発表されたこの方法は、根管内に薬液や血液のような導電性物質が存在すると使用できなくなることが、その後の研究で明らかになった。具体的には、根管内に導電性物質が存在すると、根管内インピーダンスが低下するため、根尖位置よりも大幅に手前で「リーマが根尖に到達した」という表示を行ってしまい、実際よりも短い値が根管長として誤認されてしまう、ということである。この欠点を解消したのが、前述した相対値法である。
請求項8の発明は、この第1の測定方法及び第2の測定方法の特性を併用するものである。即ち、第1の測定結果と第2の測定結果とが共に基準位置を表示していれば、根管内は第2の測定方法でも測定できる状態、すなわち乾燥状態であり、薬液等が根管内に満たされていないことを示す。逆に、第1の測定結果が基準位置を表示しており、第2の測定結果が基準位置よりも深い位置を示していれば、第2の測定結果は根管内環境の影響を受けていることになる。従って、根管内は薬液等で満たされていると判断できる。このように、根管切削工具の先端が基準位置に到達したか否かとは別に、根管内に薬液等が満たされたか否かを容易に判断できる。
そして、請求項9の発明のように、上記基準位置を任意設定可能なように構成すれば、該基準位置の適宜設定により、薬液等や有害物質を根尖孔から溢出させないようより的確な設定をすることができる。また、治療態様に応じた術者の多様なニーズに応えることができる。更に、請求項10の発明のように、根管切削工具の先端が基準位置に到達したとき、音声あるいは音響による報知手段を設けるようにすれば、術者は手元から目を逸らさずに根管切削工具の先端が前記基準位置に到達したことを知ることができ、この間意識を手元に集中させることができるから、的確且つ円滑に根管治療を実施することができる。
請求項11の発明のように、根管切削工具が電気的根管長測定手段における測定電極となるよう、即ち、根管切削工具が測定電極を兼用するよう構成すれば、根管切削工具を根管内に挿入する操作によって根管切削工具の先端位置の検出がなされるから、専用の測定電極の挿入操作等を不要とし、また、信号用リード線を外部配線する必要がなく、リード線が邪魔になったり、或いは治療毎にリード線を外部配線したりするような煩わしい作業も不要とされる。更に、請求項12或いは13の発明のように、前記モータとして、電気駆動モータ或いは空気駆動モータを採用するようにすれば、既設の歯科用ハンドピースの作用媒体供給系が使用し得るから、装置構成が簡易になし得る。
以下、本発明の最良の形態について図面に基づき説明する。図1は本発明の歯科用根管治療装置の概略的全体斜視図、図2は同歯科用根管治療装置のブロック図、図3(a)(b)(c)(d)は同歯科用根管治療装置の一実施形態における歯牙根管内の状態変化と表示器の表示状態との関係を示す説明図、図4は同実施形態における動作のフロー図、図5は他の実施形態における動作のフロー図、図6(a)(b)(c)は更に他の実施形態における歯牙根管内の状態変化を示す説明図、図7は同実施形態における動作のフロー図である。
図1及び図2を参照して本発明の歯科用根管治療装置の概略構成を説明する。術者が把持操作するハンドピース1の先端ヘッド部1aに、リーマ或いはファイル等の根管切削工具2が着脱自在に装着されている。ハンドピース1の基部には制御器本体3に接続されるチューブ4が導出され、該チューブ4にはモータ5の駆動電源供給用リード線4aが内挿されている。モータ5は、根管切削工具2を回転させる為の駆動源であり、マイクロモータからなり、上記ハンドピース1に搭載された操作スイッチ1bによってそのオン・オフ操作がなされる。根管切削工具2は、針状体の周体に螺旋刃或いは螺旋溝等が形成されたものであり、歯牙Tの根管tに挿入して根管切削の為の正規の回転(以下、正回転と言う)をさせた場合、該螺旋刃或いは螺旋溝等は、その回転によって根管切削工具2を根尖部t2に向け掘削推進させると共に、掘削屑を根管口t1側に逐次排出させるよう形成されている。尚、モータ5としては、電気駆動モータ、空気駆動モータいずれも採用可能である。
上記モータ5は、上記駆動電源供給用リード線4aを介し制御器本体3に内蔵された回転方向切替回路6に接続され、更に、回転方向切替回路6は制御器本体3内の回転オン/オフ制御回路7aを含むモータ駆動回路(モータ制御手段)7に接続されている。回転方向切替回路6及びモータ駆動回路7により、モータ制御手段が構成され、このモータ制御手段によるモータ5の後記する制御は、マイクロコントローラ8の指令によってなされる。電気的根管長測定手段9は、制御器本体3内の根管長測定回路9aと、該根管長測定回路9aから導出されたリード線(根管長測定用信号回路)9b、9cの先端に取付けられた測定電極9d及び口腔電極9eとよりなる。測定電極9dは、ハンドピース1のヘッド部1aに根管切削工具2と電気的導通状態で接するよう固設された接続端子9fに取付けられる。根管切削工具2は導電体からなり、実質的に根管切削工具2が測定電極となる。また、口腔電極9eは歯牙Tの歯周組織(歯肉等)T1に取付けられ、測定電極として根管切削工具2と口腔電極9eとの間に電流が印加される。
上記電気的根管長測定手段9は、根管内環境によって測定結果が変化しない第1の根管長測定機能(例えば、前記相対値法による測定機能)と、根管内環境によって測定結果が変化する第2の根管長測定機能(例えば、前記インピーダンス法による測定機能)とを備え、夫々の測定結果が制御器本体3の操作パネル面に設置された表示器(表示手段)10に表示されるようになされている。この表示器10での表示態様については後記する。また、電気的根管長測定手段9による根管長の測定は、通常の根管切削作業時での根管長測定モード(以下、根管切削モードと言う)、或いは、根管への薬液等の注入作業時での根管長測定モード(以下、薬液等注入モードと言う)で実施され、根管切削モードでは第1の根管長測定機能のみが有効とされ、薬液等注入モードでは第1及び第2の根管長測定機能が有効とされる。両モードの切替は制御器本体3の操作パネル面に設置されたモード切替スイッチ9gによりなされ、このモード切替スイッチ9gによる操作情報はマイクロコントローラ8に入力される。
制御器本体3には基準位置設定回路11aが内蔵され、制御器本体3の操作パネル面には基準位置設定スイッチ11bが設置され、この基準位置設定回路11a及び基準位置設定スイッチ11bにより、基準位置設定手段11が構成される。基準位置設定手段11による設定情報は、マイクロコントローラ8に入力される。基準位置設定手段11の詳細は後記する。12は、報知器(報知手段)であり、根管切削工具2の先端が基準位置に到達したことを音声或いは音響によって報知するものである。また、13は、フートコントローラであり、その足踏み操作により、前記操作スイッチ1bに代り、モータ5のオン/オフ操作等が可能とされている。更に、14は、ハンドピース1を待機状態に保持する為のホルダーである。
以上、本発明の歯科用根管治療装置の概略構成を、モータ5を有するハンドピース1と、それに接続された制御器本体3という構成で説明したが、制御器本体3に含まれる構成を、例えば歯科用診療台内部に組み込むことで、一般的に歯科用診療台に装着されているエアータービンハンドピースやマイクロモータハンドピースと同様の感覚で、本発明の根管治療装置を使用することができる。この場合、モータ駆動回路7、表示器10、フートコントローラ13など、一般的な歯科用診療台が既に有する構成を共有することができ、構成が簡素で安価な装置を供給することができる。さらに、制御器本体3の構成を分離すること、つまりモータ駆動に関する構成と、根管長測定及び表示に関する構成とを別体とすることも考えられる。この場合、根管長測定回路9a、表示器10、基準位置設定手段11、報知器12を有する既存の根管長測定器のユーザーは、モータ5を有するハンドピース1を始めとするモータ関連の構成、及び根管長測定機能とモータ駆動機能とを連動させるような制御機能を有するマイクロコントローラ8を別途購入し付加することで、本発明の根管治療装置を安価に入手することができる。
図3(a)(b)(c)(d)は、上記構成の歯科用根管治療装置を用いて歯牙Tの根管t内に薬液等を注入する操作の一実施形態における根管t内の状態変化と表示器10の表示状態との関係を示す説明図であり、図4はその動作のフロー図を示す。図3(a)(b)(c)(d)の各図における左側の図は、表示器10での表示形態を概念的に示すものであるが、実機においては意匠性や視認性等を勘案した種々の表示形態が採用されるべきことは言うまでもない。各図におけるXは基準位置設定手段11によって設定された基準位置を示し、図例では、クロスハッチングで示すように、APEX、即ち、根尖部t2に基準位置が設定されている。また、Yは前記第1の根管長測定機能による根管切削工具2の検出先端位置をバーグラフ状に示すものであり、その長さ(ハッチング部)が、第1の根管長測定機能により検出される、根管切削工具2と根尖部t2との相対位置(第1の測定結果)を示す。すなわち、バーグラフYの長さ(ハッチング部)が延び、APEXに近づくことで、根管切削工具2の先端が根尖部t2に近づいていることを示すものである。更に、Zは第2の根管長測定機能による根管切削工具2の検出先端位置をバーグラフ状に示すものであり、その長さ(ハッチング部)が、第2の根管長測定機能により検出される、根管切削工具2と根尖部t2との相対位置(第2の測定結果)を示す。バーグラフZの長さ(ハッチング部)が延び、APEXに近づくことで、根管切削工具2の先端が根尖部t2に近づいていることを示すものである点は、バーグラフYと同様である。
また、図3(a)(b)(c)(d)の各図における右側の図は、歯牙Tにおける根管t内への根管切削工具2の挿入状態及び薬液等mの注入状態を概念的に示すものである。尚、表示器10での表示形態としては、上記のように種々の表示形態が採用可能であるが、例えば、グラフを曲線上に配置したり、3本のバーグラフを重ね、各々を点灯/点滅で区別するようにしたりしてもよい。以下、薬液等mの根管tへの注入操作の一実施形態について説明する。
この薬液等の注入操作に先立ち、図2に示すようにハンドピース1のヘッド部1aに根管切削工具2を接続端子9fに電気的導通状態となるよう装着し、測定電極9dをこの接続端子9fに接続すると共に口腔電極9eを患者の歯周組織T1に取付ける。モード切替スイッチ9gを薬液等注入モードに設定し、基準位置設定手段11により基準位置XをAPEX(根尖部t2)とした上で、根管tの根管口t1より注射器等の注入器(不図示)で薬液等mを注入する。次いで、操作スイッチ1b(若しくはフートコントローラ12)を操作してモータ5を作動させる。この時、薬液等注入モードに設定されているから、マイクロコントローラ8は、モード切替スイッチ9gの設定情報に基づき回転方向切替回路6を逆回転(根管切削の為の回転方向とは逆方向)側に設定し、モータ5は逆回転する(ステップS1)。
上記モータ5の回転によって回転する根管切削工具2を、根管口t1より根管t内に挿入させながら電気的根管長測定手段9を作動させ、測定電極9d及び口腔電極9e間に電流を印加し、その間の応答値(インピーダンス値)を逐次取得する。この応答値は2種の印加周波数、例えば、400Hzと2000Hzによるものとし、前者の周波数の信号による応答値をfL応答値、後者の周波数の信号による応答値をfH応答値と言う。マイクロコントローラ8は、ステップS2で取得したfL応答値に基づきインピーダンス値(第2の測定結果)を計算し(ステップS3)、表示器10においてこの第2の測定結果をZとして表示する(ステップS4)。マイクロコントローラ8は、これと並行してfH応答値を取得し(ステップS5)、fL応答値とfH応答値との比(第1の測定結果)を計算し(ステップS6)、表示器10においてこの第1の測定結果をYとして表示する(ステップS7)。
ステップS8において、第1の測定結果が基準位置に到達したか、即ちバーグラフ状表示Yの先端が基準位置X(APEX、根尖部t2)に到達した否かを監視し、到達した(Yes)場合モータ5を停止し(ステップS9)、到達していない(No)場合はモータ5の逆回転を継続する(ステップS10)。この場合、到達したことを報知器12で報知するようにすれば、術者は、根管切削工具2の先端が基準位置Xに到達したことを、表示器10だけではなく、音声等の報知によって的確に知ることができる。この場合、ステップS9の後、一定時間ずつ、例えば1秒ごとに正回転と逆回転とを切り替え、正回転と逆回転とを繰り返すよう制御することも可能であり、また、直ちにモータ5を正回転させるよう制御することも可能である。
このように、第1の測定結果Yが基準位置Xに到達するまで、即ち、根管切削工具2の先端が基準位置Xに到達するまで、根管切削工具2の逆回転を継続させるから、根管切削工具2には、正回転時(根管切削モード)での掘削屑を排出する機能とは逆の機能が付与され、根管t内に注入された薬液等mを根尖部t2に向け押出すよう作用し、気泡を生じることなく薬液等mの根管t内への均一浸透・充満が的確になされる。特に、根管t内は狭小で湾曲しているので、このような根管切削工具2の逆回転による薬液等mの浸透は極めて有効である。そして、根管切削工具2の先端が基準位置Xに到達すると、この逆回転を停止し、正回転と逆回転とを繰り返し、或いは正回転に切替えるようにしているから、薬液等mの余分な押出しによって、根尖部t2から薬液等mが歯根膜に溢出することもなく、術後の良好な経過が期待できる。
図3(a)は、根管切削工具2の挿入過程及び薬液等mの注入過程における初期の状態を示し、薬液等mが気泡によってエアロックされて根管tの根管口t1側近くに滞留し、根管切削工具2の先端部は根管tの途中の気泡部分に位置している。この場合、薬液等mが根尖部t2に届いておらず、根管上部にのみ留まっているから、第2の測定機能による第2の測定結果Zは、薬液等mの影響(根管内環境)を受けず、第1の測定機能による第1の測定結果Yと略同じ位置表示を示す。図3(b)は、根管切削工具2の先端部が根尖部t2に到達しているが、薬液等mは未だ根尖部t2に到達していない状態を示す。従って、この場合も、第2の測定機能による第2の測定結果Zは、薬液等mの影響(根管内環境)を受けず、第1の測定機能による第1の測定結果Yと略同じ位置表示、即ち基準位置X(APEX)に到達していることを示す。図3(a)及び図3(b)の状態はいずれも、薬液等mが根尖部t2に届いておらず、根管上部にのみ留まっているから、第2の測定機能による第2の測定結果Zは、根管内環境の影響を受けず、第1の測定機能による第1の測定結果Yと同様正確な位置測定表示を行う。
図3(c)は、薬液等mが根尖部t2付近にまで達しているが、根管切削工具2の先端は未だ根管tの途中にあって、根尖部t2に至っていない状態を示している。この場合、薬液等mが根尖部t2まで達しているから、第2の測定機能による第2の測定結果Zは、この影響を受け、fL応答値によるインピーダンス値が急激に低下し、根管切削工具2の先端が根尖部t2に到達していないにも拘わらず恰も根尖部t2を通過しているかのような様相を呈する。また、図3(d)は、根管切削工具2の先端が根尖部t2に到達し、薬液等mも根尖部t2に達している状態を示している。即ち、第1の測定機能による第1の測定結果Yは、根管切削工具2の先端が根尖部t2に到達したことを示し、第2の測定機能による第2の測定結果Zは、薬液等mが根尖部t2まで達しているから、根管切削工具2の先端が根尖部t2を通過しているかのような位置表示をする。
このことから、第1の測定機能による第1の測定結果Yは常に根管切削工具2の先端位置を正しく表示し、第2の測定機能による第2の測定結果Zは薬液等mの存在によって影響を受けるから、図3(d)のような表示状態の時に、根管切削工具2の先端が根尖部t2に到達し、しかも薬液等mに没入していることになり、薬液等mが根尖部t2に到達したことが的確に把握されることになる。従って、図4におけるステップS8の「基準位置到達?」では、図3(d)の状態の時にYesとすることにより、薬液等mが基準位置に到達したとの判断も的確になされる。
図5は、別実施形態であって、根管切削工具2の先端が基準位置Xに近付くにつれて、モータ5の回転速度が遅くなるよう制御した場合のフローを示すものである。このようなモータ5の回転速度の減速制御は図2におけるマイクロコントローラ8の指令に基づきモータ駆動回路7によってなされる。図5において、上記のように事前準備がなされた後、モータ5を逆回転させ(ステップS11)、根管切削工具2を根管t内に挿入させながら、根管長測定手段9によりfL応答値の取得(ステップS12)及びfH応答値の取得(ステップS13)を行い、ステップS14において、取得されたfL応答値とfH応答値との比(第1の測定結果)を計算する。この第1の測定結果を、工具位置Aとして記憶する(ステップS15)と共に表示器10に表示する(ステップS16)。
引続きfL応答値の取得(ステップS17)及びfH応答値の取得(ステップS18)を行い、ステップS19において、取得されたfL応答値とfH応答値との比(第1の測定結果)を計算する。この第1の測定結果を、工具位置Bとして記憶する(ステップS20)と共に表示器10に表示する(ステップS21)。ステップS22において、マイクロコントローラ8は、工具位置Bが、直前に検出し記憶した工具位置Aより基準位置Xに近いか否かを判定し、近い(Yes)と判定した場合、根管切削工具2の先端が基準位置Xに近づいている最中であると考えられるため、モータ5の回転速度を減速させ(ステップS23)、これを根管切削工具2の先端が基準位置Xに到達するまで継続する。ステップS24で根管切削工具2の先端が基準位置Xに到達したと判断された時(Yes)、モータ5の回転が停止され、正回転と逆回転とが繰り返され、或いは正回転に切替えられる(ステップS25)。また、到達していないと判断された時(No)、モータ5の逆回転がそのまま継続される(ステップS26)。
ステップS22で、工具位置Bが工具位置Aより基準位置Xに近いと判定されなかった(No)場合、モータ5の減速がなされず、定速逆回転状態が継続されたままステップS24に至る。このように、根管切削工具2の先端が基準位置Xに近づくにつれてモータ5の回転速度が遅くなるよう制御するようにすれば、これに伴い薬液等の押込み力が弱くなるから、根管切削工具2の挿入過程での気泡発生抑止及び根管洗浄或いは薬効等の機能が維持されながら、根尖孔からの薬液等の溢出の懸念がより少なくなると共に、繊細な操作を必要とする基準位置付近においては、施術の安全性が確保される。
本実施形態においても、薬液等mが注入された根管tに対して、根管切削工具2は逆回転しながら挿入されるから、その押し込み作用によって、薬液等mの根管t内への浸透・充満が効果的になされる。また、上記のように根管長測定手段9が、第1の測定機能と第2の測定機能とを備えたものとし、第1の測定結果Y及び第2の測定結果Zを表示器10に表示させるようにしながら根管治療を行うようにすれば、薬液等mが基準位置にまで到達したことを的確に把握することができ、上記効果と併せてより確度の高い根管治療を実施することができる。
図6及び図7は、更に別の実施形態を示し、基準位置を根管切削工具2の挿入方向に沿った2箇所に設定し、具体的には、第1の基準位置X0を根管t内の根尖部t2より根管口t1側(挿入方向上流側)に設定し、第2の基準位置Xを上記と同様根尖部t2とすると共に各基準位置X0、Xに根管切削工具2の先端が到達した時に、モータ5の異なる回転制御をせんとするものである。このようなモータ5の回転制御は図2におけるマイクロコントローラ8の指令に基づきモータ駆動回路7によってなされる。
図7において、上記のように事前準備がなされた後、モータ5を逆回転させ(ステップS31)、図6(a)に示すように、根管切削工具2を根管t内に挿入させながら、根管長測定手段9によりfL応答値を取得し(ステップS32)、このfL応答値に基づきインピーダンス値(第2の測定結果)を計算し(ステップS33)、表示器10においてこの第2の測定結果をZとして表示する(ステップS34)。マイクロコントローラ8は、これと並行してfH応答値を取得し(ステップS35)、fL応答値とfH応答値との比(第1の測定結果)を計算し(ステップS36)、表示器10においてこの第1の測定結果をYとして表示する(ステップS37)。
ステップS38において、根管切削工具2の先端が第1の基準位置X0に到達したか否かを監視し、到達した(Yes)場合モータ5を正回転に切替え(ステップS39)、その後この正回転を維持しながら図6(b)に示すように根管切削工具2を根管tに挿入しながら、上記同様fL応答値の取得(ステップS40)、このfL応答値に基づく第2の測定結果の計算(ステップS41)、第2の測定結果Zの表示(ステップS42)、fH応答値の取得(ステップS43)、fL応答値とfH応答値との比(第1の測定結果)の計算(ステップS44)、この計算結果に基づく第1の測定結果Yの表示(ステップS45)を順次行い、ステップS46で根管切削工具2の先端が第2の基準位置X(根尖部t2)に到達したか否かを監視する。ここで、ステップS39において、正回転への切替えではなく、一定時間ごと、例えば1秒ごとに正回転と逆回転とを繰り返すようなモータ制御へ切替えることもできる。この場合は、薬液等mの十分な撹拌を狙いとするものである。
ステップS46で根管切削工具2の先端が第2の基準位置X(根尖部t2)に到達したと判定された場合、モータ5を再度逆回転させると共に、術者は根管切削工具2を図6(c)に示すように引き上げ操作を行う。このように根管切削工具2の先端が第1の基準位置X0を超えた後は、モータ5が正回転し、あるいは正回転と逆回転との繰り返し動作をするから、薬液等mが過剰に押し込まれることがなく、また、根管切削工具2の先端が第2の基準位置X(根尖部t2)に到達すると、再度モータ5が逆回転するから、根管切削工具2を根管tから引出す力が生じ、根管切削工具2の先端が根尖部t2を突き抜けるような過剰切削が防止される。その後も根管治療を継続する場合は、ステップS32に戻り上記工程が続行される。
本実施形態においても、薬液等mが注入された根管tに対して(図6では薬液等mが注入された状態の図示を省略している)、根管切削工具2は逆回転しながら挿入されるから、その押し込み作用によって、薬液等mの根管t内への浸透・充満が効果的になされる。また、上記のように根管長測定手段9が、第1の測定機能と第2の測定機能とを備えたものとし、第1の測定結果Y及び第2の測定結果Zを表示器10に表示させるようにしながら根管治療を行うようにすることができるから、薬液等mが基準位置X0、Xにまで到達したことを的確に把握することができ、上記効果と併せてより確度の高い根管治療を実施することができる。
尚、上記各実施例においては、少なくとも根尖部t2を基準位置としているが、これに限らず、歯牙Tの状態に応じ、薬液等mの根尖部t2からの溢出や、根管切削工具2の先端の根尖部t2からの突き抜け等を勘案し、術者が基準位置設定手段11によってその位置を適宜変更し得るものである。また、実施例3においては、基準位置を2箇所にしているが、これを3箇所以上とし、それぞれの基準位置においてモータ5の回転制御を適正に行うようになすことも可能である。更に、本発明の歯科用根管治療装置においては、モータ5を正回転させながら根管切削工具2を根管t内に挿入操作すれば、本来の歯牙の根管切削・拡大機能を奏することは言うまでもなく、簡単な構成でありながら、薬液等mの根管t内への的確な浸透・充満及び洗浄等とこの本来の機能とが相俟って、極めて実用価値の高い歯科用根管治療装置を実現することができる。
本発明の歯科用根管治療装置の概略的全体斜視図である。 同歯科用根管治療装置のブロック図である。 (a)(b)(c)(d)は同歯科用根管治療装置の一実施形態における歯牙根管内の状態変化と表示器の表示状態との関係を示す説明図である。 同実施形態における動作のフロー図である。 他の実施形態における動作のフロー図である。 (a)(b)(c)は更に他の実施形態における歯牙根管内の状態変化を示す説明図である。 同実施形態における動作のフロー図である。
符号の説明
2 根管切削工具
5 モータ
6 回転方向切替回路(モータ制御手段)
7 モータ駆動回路(モータ制御手段)
8 マイクロコントローラ
9 根管長測定回路(電気的根管長測定回路)
9b リード線(根管長測定用信号回路)
10 表示器(表示手段)
11 基準位置設定回路(基準位置設定手段)
12 報知器(報知手段)
X 基準位置
X0 基準位置
Y 第1の根管長測定機能による第1の測定結果
Z 第2の根管長測定機能による第2の測定結果

Claims (13)

  1. 根管切削工具を回転駆動するモータと、該モータの駆動を制御するモータ制御手段と、電気的根管長測定手段とを備えた歯科用根管治療装置において、
    上記モータ制御手段が、上記根管切削工具を根管切削の為の回転方向とは逆方向に回転させながら根管に挿入する際、該根管切削工具の先端が予め設定された基準位置に到達したことを上記電気的根管長測定手段が検出するまでは、根管切削工具の上記逆回転を維持し、該根管切削工具の先端が上記基準位置に到達したことを上記電気的根管長測定手段が検出したときには、該根管切削工具の逆回転を停止するよう上記モータの駆動を制御することを特徴とする歯科用根管治療装置。
  2. 請求項1に記載の歯科用根管治療装置において、
    前記根管切削工具の先端が予め設定された基準位置に到達したことを上記電気的根管長測定手段が検出した後、前記挿入を継続する場合、前記モータ制御手段は、前記根管切削工具を回転停止モードに維持するよう制御することを特徴とする歯科用根管治療装置。
  3. 請求項1に記載の歯科用根管治療装置において、
    前記根管切削工具の先端が予め設定された基準位置に到達したことを上記電気的根管長測定手段が検出した後、前記挿入を継続する場合、前記モータ制御手段は、前記根管切削工具を正回転モードに維持するよう制御することを特徴とする歯科用根管治療装置。
  4. 請求項1に記載の歯科用根管治療装置において、
    前記根管切削工具の先端が予め設定された基準位置に到達したことを上記電気的根管長測定手段が検出した後、前記挿入を継続する場合、前記モータ制御手段は、前記根管切削工具を正回転と逆回転の繰り返しモードに維持するよう制御することを特徴とする歯科用根管治療装置。
  5. 請求項1に記載の歯科用根管治療装置において、
    前記基準位置が根管切削工具の挿入方向に沿った複数位置に設定され、モータ制御手段が、該根管切削工具の先端が該複数の基準位置の内の挿入方向上流側の基準位置に到達したことを前記電気的根管長測定手段が検出するまでは、根管切削工具の前記逆回転を維持し、根管切削工具の先端が該上流側基準位置に到達したことを電気的根管長測定手段が検出したときには、根管切削工具の逆回転を停止し、さらに、該上流側基準位置を超えて下流側の基準位置に到達するまでは、根管切削工具の回転停止モード、正回転モードまたは正回転と逆回転の繰り返しモードのいずれかを維持し、根管切削工具の先端が該下流側基準位置に到達したことを電気的根管長測定手段が検出したときには、根管切削工具の逆回転を開始するよう前記モータの駆動を制御することを特徴とする歯科用根管治療装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の歯科用根管治療装置において、
    前記モータ制御手段が、前記根管切削工具の先端が前記基準位置に近づくにつれて前記モータの回転速度が遅くなるよう制御することを特徴とする歯科用根管治療装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の歯科用根管治療装置において、
    前記根管切削工具の先端位置を表示する表示手段をさらに備えていることを特徴とする歯科用根管治療装置。
  8. 請求項7に記載の歯科用根管治療装置において、
    前記電気的根管長測定手段が、根管内環境によって測定結果が変化しない第1の根管長測定機能と、根管内環境によって測定結果が変化する第2の根管長測定機能とを備え、
    前記表示手段が、上記第1の根管長測定機能による第1の測定結果と、上記第2の根管長測定機能による第2の測定結果とを、各々表示することができるものであることを特徴とする歯科用根管治療装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の歯科用根管治療装置において、
    前記基準位置を任意に設定するための基準位置設定手段をさらに備えていることを特徴とする歯科用根管治療装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の歯科用根管治療装置において、
    前記根管切削工具の先端が前記基準位置に到達したことを音声あるいは音響によって報知する報知手段をさらに備えていることを特徴とする歯科用根管治療装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の歯科用根管治療装置において、
    前記根管切削工具が前記電気的根管長測定手段における測定電極となるよう、根管長測定用信号回路が前記根管切削工具まで導通しているものであることを特徴とする歯科用根管治療装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載の歯科用根管治療装置において、
    前記モータが電気駆動モータであることを特徴とする歯科用根管治療装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれかに記載の歯科用根管治療装置において、
    前記モータが空気駆動モータであることを特徴とする歯科用根管治療装置。
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