以下、図面を参照しつつ本発明に係る遊技機の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、便宜上、パチンコ機を挙げて説明するが、本発明は、パチンコ機以外の弾球遊技機(例えばアレンジボール機や雀球遊技機など)、スロットマシン、パチンコ機とスロットマシンとを融合させた融合機(例えば遊技媒体として遊技球を使用するスロットマシン)、その他種々の遊技機(例えばゲームセンタに設置されるいわゆるアーケードゲーム機など)に適用することができる。
(パチンコ機の正面構成)
図1は本実施形態のパチンコ機10の正面図であり、図2は外枠11に対して内枠12と前面枠セット14とを開放した状態を示す斜視図である。但し、図2では便宜上、下皿ユニット13が内枠12から取り外された状態を示している。
図1,2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。なお、外枠11は、軽量化を図るために、樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみて遊技球発射ハンドル18の設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。また、内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂から成る。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できるという利点が発揮される。
内枠12の構成を、図3も用いて詳細に説明する。図3は、パチンコ機10から前面枠セット14を取り外した状態を示す正面図である(但し、図3では便宜上、遊技盤30面上の遊技領城内の構成〔釘、センター役物等〕を空白で示している)。
内枠12は、大別すると、その最下部に取り付けられた下皿ユニット13と、この下皿ユニット13よりも上側の範囲で内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、後述する樹脂ベース20と、この樹脂ベース20の後側に取り付けられる遊技盤30とを備えている。
下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と灰皿22と音出力口24が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、後述の上皿19が満タンになった場合等に排出口16より排出される遊技球を停留する役割がある。球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に停留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して遊技者の持球貯留箱(ドル箱)に排出することができる。遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出するように配設されている。
遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、遊技球発射装置38(図6参照)によって遊技球が遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。遊技球発射装置38は、遊技球発射ハンドル18と後述するセットハンドル228と発射モータ229(図6参照)などで構成されている。音出力口24は、下皿ユニット13内あるいは背面に設けられたスピーカ(図示略)からの音を出力するための出力口である。また、灰皿22は下皿15の左方に設けられている。灰皿22は左右方向(水平方向)の軸線を軸心にして回動(例えば前方側に向けて前回り)するように、その右側が下皿15に片待ち支持されている。
なお、下皿ユニット13はその大部分が内枠12と同様、ABS樹脂にて成形されている。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。特に、下皿15を形成する表面層と下皿15の奥方の前面パネル部分とを難燃性のABS樹脂にて成形している。このため、この部分は燃えにくくなっている。
また、前面枠セット14は、図2に示すように、内枠12に対して開閉可能に取り付けられており、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。しかも前面枠セット14は内枠12の外側壁(リブ)12b(図3参照)内に嵌まり込むようにして取り付けられている。つまり、この前面枠セット14の側面の少なくとも一部が内枠12の外側壁(リブ)12b内に嵌まり込むようにして取り付けられているので、内枠12と前面枠セット14との隙間から異物(針状あるいは薄板状等のものであって、具体的には針金、ピアノ線、セルロイド板等)を差し入れるなどの不正行為を防止できるようになっている。また、前面枠セット14は、内枠12と同様に、合成樹脂、具体的にはABS樹脂により構成されているので、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19(図1参照)が前面枠セット14と一体的に設けられている。この上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。この上皿19も下皿15と同様、表面層が難燃性のABS樹脂にて成形される構成となっている。
図3に示すように、内枠12は、外形が矩形状の樹脂ベース20を主体に構成されており、樹脂ベース20の中央部には略円形状の窓孔21が形成されている。樹脂ベース20の後側には遊技盤30が着脱可能に装着されている。遊技盤30は四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース20(内枠12)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース20の窓孔21を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
次に、図4を用いて遊技盤30の構成を説明する。図4は遊技盤30の構成を示す正面図である。遊技盤30は、天入賞口610、一般入賞口600、左右1対の第1始動口601、これら第1始動口601の変形部であって第1始動口601より若干下方に設けられた第2始動口602、遊技領域の略中央に設けられた電動役物ユニット(センター役物)603等を備えている。これらの一般入賞口600、第1始動口601、第2始動口602、電動役物ユニット603等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。前述の天入賞口610、一般入賞口600、第1の始動口601、第2の始動口602に対応する部位には、それぞれ、天入賞口入球センサ609、一般入賞口入球センサ607、第1始動口入球センサ605、第2始動口入球センサ606が設けられており、これらセンサは、図示しない電気配線を通じて後述する主制御基板(主制御装置)に接続されている。そして、天入賞口610、一般入賞口600、第1始動口601、第2始動口602および電動役物ユニット603に遊技球が入球した場合には、上記各検出センサで検出され、この検出センサの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。
尚、上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主制御基板に取り込まれ、該主制御基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。かかる場合、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行う従来方式(いわゆる証拠球方式)とは異なり、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる(すなわち、本パチンコ機10では入賞球処理装置を廃止している)。故に、払い出す遊技球が多量にあっても、その払出をいち早く実施することが可能となる。但し、本発明に従来の「証拠球方式」を適用してもよい。
その他に、遊技盤30の左右端には、上記一般入賞口600を備えた装飾部材630が設けられる一方、遊技盤30の下方には、上記第1始動口601、第2始動口602を備えた補助ユニット608が設けられている。また、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。さらに、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、同様の機能を有する風車が配設されている。
また、遊技盤30には、遊技球発射装置38から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品(例えば、フッ素樹脂が添加されて成形されたもの)にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。なお、レールユニット50はフッ素樹脂を添加して成形されているので、図3に示す奥面50aについての遊技球の摩擦抵抗を少なくできる。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)か内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51、52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
内レール51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51および外レール52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。また、外レール52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図4の右上部:外レール52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって跳ね返さわるようになっている。外レール52の内側面には、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするべく、つまり遊技球の摩擦抵抗を少なくするべく、長尺状をなすステンレス製の金属帯としての摺動プレート55(図3参照)が取着されている。
また、レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされるようになっている。本実施形態では、レールユニット50の少なくとも左側を遊技盤30に強固に締結するために、レールユニット50の左側はその右側よりも多いネジで遊技盤30に締結されているので、レールユニット50の左側についての遊技盤30への密着性を上げることかでき、遊技球の球飛びを良くすることができる。レールユニット50の左側が遊技盤30に対してぐらついているとこのレールユニット50に出射された遊技球の勢いが当該ぐらつきにより吸収されてしまうからである。
さらに本実施形態では、正面から見てレールユニット50の上下左右の各端部は略直線状に(平坦に)形成されている。つまり、レールユニット50の上下左右の各端部においてはフランジ56が切り落とされ、パチンコ機10における有限の領域にてレール径の拡張、すなわち遊技盤30上の遊技領域の拡張が図られるようになっている。
内レール51および外レール52間の球案内通路の入口には、同球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。この凸部57は、内レール51からレールユニット50下端部にかけて略鉛直方向に設けられ、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路63(図3参照)に導くための役目をなす。なお、遊技盤30の右下隅部および左下隅部は、証紙(例えば製造番号が記載されている)等のシール(図4のS1,S2)やプレートを貼着するためのスペースとなっており、この貼着スペースを確保するために、フランジ56に切欠58,59が形成されている。遊技盤30の右下隅部や左下隅部に、証紙等のシール(図4のS1,S2)を貼着することで、遊技盤30と証紙との一義性を持たせることができる。
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール)により略円形状に区画形成されている。本実施形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て、内レール51および外レール52によって囲まれる領域のうち、内外レール51,52の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。従って、遊技領域と言った場合には誘導レール部分は含まないため、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール52によってではなく内レール51によって特定される。同様に、遊技領域の向かって右側限界位置は内レール51によって特定される。また、遊技領城の下側限界位置は遊技盤30の下端位置によって特定される。また、遊技領域の上側限界位置は外レール52によって特定される。
図3の説明に戻り、前記樹脂ベース20において、窓孔21(遊技盤30)の下方には、遊技球発射装置38より発射された直後に遊技球を案内するための発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62を介して樹脂ベース20に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後前述した通りレールユニット50の球案内通路を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。
また、発射レール61とレールユニット50(誘導レール)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路63が形成されている。従って、仮に、遊技球発射装置38から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球として誘導レール内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路63を介して下皿15に排出される。
ファール球が誘導レール内を逆流してくる際、その多くは外レール52に沿って流れ、外レール52の下端部に到達した時点で下方に落下するが、一部のファール球は誘導レール内で暴れ、内レール51側へ跳ね上がるものもある。この際、跳ね上がったファール球は、球案内通路入口の前記凸部57に当たり、ファール球通路63に誘導される、これにより、ファール球の全てがファール球通路63に確実に案内されるようになり、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置38には、前面枠セット14側の球出口(上皿19の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。また、遊技球発射装置38には打球槌が設けられ、軸部を中心とする打球槌の回動に伴い遊技球が発射される。
図3中の符号67は上皿19に通ずる排出口であり、この排出口67を介して遊技球が上皿19に排出される。排出口67には、略水平方向の回転軸を軸心として略水平状態と略垂直状態とに変位する開閉式のシャッタ68が取り付けられている、前面枠セット14を内枠12から開放した状能(図3の状態)では、バネ等の付勢力によりシャッタ68が略水平状態から略垂直状態となり、排出口67から遊技球がこぼれ落ちないようにこの排出口67を閉鎖する。また、前面枠セット14を閉鎖した状態では、当該前面枠セット14の裏面に設けられた球通路樋69(図2参照)によりシャッタ68が押し開けられて略水平状態になり、排出口67の方へ排出された遊技球はもれなく球通路樋69を通って上皿19に排出されるようになる。従って、本パチンコ機10においては、前面枠セット14の開放に際し払出通路内等の遊技球がパチンコ機10外にこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できるようになっている。
図3に示すように、樹脂ベース20には、窓孔21の右下部に略四角形状の小窓71が設けられている。従って、遊技盤30の右下隅部に張られた証紙などのシール(図4のS1)は、この小窓71を通じて視認できるようになっている。また、この小窓71からシール等を貼り付けることも可能となっている。
また、図3に示すように、内枠12の左端部には、前面枠セット14の支持機構として、支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には図の手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には鉛直方向に突出した突起軸84が設けられている。
図3に示すように、内枠12の上側には、前面枠セット14が内枠12に対して開かれたことを検出する前面枠セット開検出スイッチ90が設けられている。前面枠セット14が開かれると、前面枠セット開検出スイッチ90からホール内(パテンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。また、前面枠セット14が閉じられると、図5に示す前面枠セット14の金属製の補強板131,132が図3に示す内枠12の一対の金具92に接触するようになっており、前面枠セット14のアースが確保されている。
ここで、前述した前面枠セット14について、図1,図5を参照しつつより詳細に説明する。図5は、前面枠セット14の背面図である。前面枠セット14には前記遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部101が形成されている。詳しくは、窓部101は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている。なお、前記略中央部が直線状になるようにしてもよい。
また、パチンコ機10の正面から見て窓部101の左端と前面枠セット14の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅:図5では右側に示されている)、すなわち開閉軸線側のフレーム幅は、前面枠セット14自体の強度および支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。この場合、図1および図3を相互に比較すると明らかなように、前面枠セット14が閉じられた状態において、外レール52の左端部はもちろん、内レール51の左端部も前記左側部フレーム部分によって覆い隠される。つまり、誘導レールの少なくとも一部が、パチンコ機10の正面からみて前面枠セット14の左側部フレーム部分と重複し覆い隠される。このように遊技球が一時的に視認困難となったとしても、それは、遊技球が遊技領域に案内される通過点に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領城において遊技球が視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。また、このような支障が生じない一方で、前面枠セット14の十分な強度および支持強度が確保可能となっている。
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり遊技状態時や羽根開放時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり遊技状態時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり遊技状態中であることを報知する。さらに、上皿19周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。
その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とが設けられている。また、環状電飾部102の下端部に隣接するようにして、内枠12表面や遊技盤30表面等の一部を視認できるよう透明樹脂からなる小窓107が設けられている。この小窓107の所定箇所を平面状としているので、遊技盤30の右下隅部に貼り付けられた証紙などを、小窓107の当該平面状箇所から機械で好適に読み取ることができる。
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置部から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
また、図1に示すように、前面枠セット14の左側の小窓107付近を前面側(図1の紙面手前側)に必要以上に突出しないようにしている。こうすることで、パチンコ機10の左側に設けられたカードサンドの球貸し装置から直接に上皿19に遊技球を貸し出す際に、当該球貸し装置のノーズ部(いわゆる象の鼻)の先端排出口を好適に上皿19の上方位置に位置させることができ、当該球貸し装置のノーズ部から貸し出される遊技球を上皿19で受けることかできる。
前面枠セット14の裏側には、窓部101を囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、図5に示すように、前面枠セット14の裏側にあって窓部101の上下左右の外側にはそれぞれ補強板131,132,133,134が取り付けられている。これら補強板131〜134は相互に接触して連結されているが、図の左側および上側の補強板132,133の連結部には直接の接触を避けるための樹脂パーツ135が介在されている。このように補強板132,133の連結部に樹脂パーツ135を介在させているので、ノイズが補強板131〜134でループすることを防止できる。また、図5の右側の補強板131にはその中間位置にフック状をなす係合爪131aが設けられており、この係合爪131aは、前面枠セット14を閉じた状態で内枠12の孔部12a(図3参照)に係合されるように構成されている。この構成により、上皿19を含む形態で前面枠セット14が構成され、その上下の軸支位置が延長されたとしても、中間位置における前面枠セット14の浮き上がりが防止できる。それ故、前面枠セット14を浮かしての不正行為等が抑制されるようになっている。
また、下側の補強板134には、前記発射レール61(図3参照)に対向する位置に樹脂製のレール側壁部材136が設けられている。このレール側壁部材136は、前面枠セット14を閉じた際に発射レール61の側壁となる。故に、発射レール61から遊技球がこぼれ落ちないようになっている。
上述した補強板131〜134はガラス支持用の金枠としての機能も兼ね備えており、これら補強板131〜134の一部が後方に折り返されてガラス保持溝が形成されている。このガラス保持溝は前後に2列形成されており、矩形状をなす前後一対のガラス137が各ガラス保持溝にて保持される。これにより、2枚のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着されるようになっている。
また、前面枠セット14の図5の右端部(パチンコ機10正面から見ると左端部)には、内枠12の支持機構として、支持金具151,152が取り付けられている。従って、内枠12側の支持金具81,82(図3参照)に対して前面枠セット14側の支持金具151,152を組み付けることで、内枠12に対して前面枠セット14が開閉可能に装着されるようになる。
(パチンコ機の背面構成)
次に、パチンコ機10の背面の構成を詳しく説明する。図6はパチンコ機10の背面図であり、図7はパチンコ機10の背面構成を主要部品毎に分解して示す分解斜視図である。先ず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12および遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにしてまたは前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12または遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御基板と音声ランプ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板および電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。
また、払出機構および保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202および裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、さらにこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠12または遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
一方、図8は、内枠12に遊技盤30を組み付けた状態でその構成を示す背面図であり、図9は内枠12を後方より見た斜視図である。ここでは図8および図9を用いて内枠12および遊技盤30の裏面構成を説明する。
遊技盤30は、樹脂ベース20に囲まれた四角枠状の設置領域に設置され、内枠12に設けられた複数(本実施形態では4カ所)の係止固定具211,212によって脱落しないように固定されている。係止固定具211,212は手動で回動でき、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とを切り換えることができるよう構成されており、図8にはロック状態を示す。遊技盤30の左右3ヵ所の係止固定具211は金属片を折り曲げ形成したL型の金具であり、遊技盤30の固定状態で内枠外方へ張り出さないよう構成されている。なお、遊技盤30の下部1カ所の係止固定具212は樹脂製のI型の留め具である。
遊技盤30の中央には電動役物ユニット603が配置されている一方、電動役物ユニット603の下側には第1始動口601および第2始動口602を備えた補助ユニット608が配置されている。遊技盤30の裏面には、電動役物ユニット603、補助ユニット608、および、装飾部材630を取り囲むようにして、遊技球回収機構を備えた裏枠セット(図示せず)が取り付けられている。また、遊技盤30の下方には、内枠12に樹脂製(例えばポリカーボネート樹脂製)の排出通路盤217が取り付けられており、該排出通路盤217には、排出球をパチンコ機10外部へ案内するための排出通路218が形成されている。従って、一般入賞口600等に入賞した遊技球は何れも前記裏枠セットの回収通路を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36(図3参照)も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。
なお、排出通路盤217は、パチンコ機前面の上皿19の丁度裏側辺りに設けられており、上皿19に至る球排出口(図2の球通路樋69)より針金等を差し込み、さらにその針金等を内枠12と排出通路盤217との隙間を通じて遊技領域側に侵入させるといった不正行為が考えられる。そこで本パチンコ機10では、排出通路盤217の上皿19の丁度裏側辺りに、内枠12にほぼ一体的に重なり合うようにしてパチンコ機前方に延びるプレート219が設けられている。従って、内枠12と排出通路盤217との隙間から針金等を侵入させようとしてもそれがプレート219にて阻害され、遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となるので、不正行為を防止することができる。なお、図9において符号228は打球槌等を備えるセットハンドルであり、符号229は発射モータである。
また、内枠12の裏面には、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、内枠12にはその右端部に長尺状の支持金具235が取り付けられており、その構成を図10に示す。図10に示すように、支持金具235は長尺板状の金具本体236を有し、その金具本体236より起立させるようにして、下方2カ所に第2制御基板ユニット用の支持孔部237が形成されると共に、上方2ヵ所に裏パックユニット用の支持孔部238が形成されている。それら支持孔部237,238にはそれぞれ同軸の支持孔が形成されている。
その他、第2制御基板ユニット用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)239が設けられている。また、裏パックユニット用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)240が設けられている。但し、第2制御基板ユニット用の支持金具と裏パックユニット用の支持金具とを各々個別の部材で設けることも可能である。符号241,242,243は、遊技盤30との間に裏パックユニット203を挾み込んで支持するための回動式の固定具である。
その他、内枠12の背面構成において、遊技盤30の右下部には、後述する払出機構部352より払い出される遊技球を上皿19、下皿15、または排出通路218の何れかに振り分けるための遊技球分配部245が設けられている。すなわち、遊技球分配部245の開口部245aは上皿19に通じ、開口部245bは下皿15に通じ、開口部245cは排出通路218に通じる構成となっている。図8に示すように、遊技球分配部245は、その上方位置に位置する後述の払出機構部352(図18参照)とは別体としている。図8に示すように、遊技球分配部245は、内枠12にネジで締結固定されており、パチンコ機10の上皿19の排出口67(図3参照)から異物を挿入操作するなどしても動かない、つまり遊技球分配部245が奥側に押されて遊技球分配部245と内枠12との間に隙間が空くようなことが無いし、この隙間に異物を押入するなどによる不正を防止できる。
また、内枠12の下端部には、下皿15に設置されたスピーカの背後を囲むための樹脂製のスピーカボックス246が取り付けられており、このスピーカボックス246により低音域の音質改善が図られている。
次に、第1制御基板ユニット201を、図11〜図14を用いて説明する。図11は第1制御基板ユニット201の正面図、図12は同ユニット201の斜視図、図13は同ユニット201の分解斜視図、図14は同ユニット201を裏面から見た分解斜視図である。
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、この取付台251に主制御装置261と音声ランプ制御装置262とが搭載されている。ここで、主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主制御基板を具備しており、この主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ケース263に収容された構成とされる。
また、音声ランプ制御装置262は、例えば主制御装置261(主制御基板)または図示しない表示制御装置からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司るCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備しており、この音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ケース265に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置262上には電源中継基板266が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板266を介して前記表示制御装置および音声ランプ制御装置262に出力されるようになっている。
取付台251は、有色(例えば緑、青等)の樹脂材料(例えばポリカーボネート樹脂製)にて成形され、その表面に平坦状をなす2つの基板搭載面252,253が設けられている。これら基板搭載面252,253は直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。但し、取付台251は無色透明または半透明の樹脂成型品であっても良い。
そして、一方の基板搭載面252上に主制御装置261(主制御基板)が横長の向きに配置されると共に、他方の基板搭載面253上に音声ランプ制御装置262(音声ランプ制御基板)が縦長の向きに配置されるようになっている。特に、主制御装置261は、パチンコ機10裏面から見て手前側に配置され、音声ランプ制御装置262はその奥側に配置される。この場合、基板搭載面252,253が前後方向に段差をもって形成されているため、これら基板搭載面252,253に主制御装置261および音声ランプ制御装置262を搭載した状態において各制御装置261,262はその一部を前後に重ねて配置されるようになる。つまり、図12等にも見られるように、主制御装置261はその一部(本実施の形態では1/3程度)が浮いた状態で配置されるようになる。故に、主制御装置261に重なる領域まで音声ランプ制御装置262を拡張することが可能となり、当該制御基板の大型化にも良好に対処できる。また、各制御装置が効率良く設置できるようになる。また、第1制御基板ユニット201を遊技盤30に装着した状態では、基板搭載面252の後方にスペースが確保され、電動役物ユニット603やその電気配線等が無理なく設置できるようになっている。
図13および図14に示すように、主制御基板用の基板搭載面252には、左右2ヵ所に横長形状の貫通孔254が形成されている。これに対応して、主制御装置261の基板ケース263には、その裏面の左右2ヵ所に回動式の固定具267が設けられている。主制御装置261を基板搭載面252に搭載する際には、基板搭載面252の貫通孔254に固定具267が通され、その状態で固定具267が回動されて主制御装置261がロックされる。従って、上述の通り主制御装置261はその一部が浮いた状態で配置されるとしても、当該主制御装置261の脱落等の不都合が回避できる。また、主制御装置261は、裏パックユニット203の軸線を軸心として開き、第1制御基板ユニット201を、軸線を軸心として開いた後に、この第1制御基板ユニット201(基板搭載面252)の裏面側から固定具267をロック解除しなければ、取り外しできないため、基板取り外し等の不正行為に対して抑止効果が期待できる。主制御基板用の基板搭載面252にはその裏面に格子状のリブ255が設けられている。
取付台251には、図12等の左端面に上下一対の支軸256が設けられており、この支軸256を図8等に示す支持金具231に取り付けることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に対して開閉可能に支持される。また、取付台251には、右端部に締結具として上下一対のナイラッチ257が設けられると共に上端部に長孔258が設けられており、ナイラッチ257を図8等に示す被締結孔232にはめ込むこと等により、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に固定されるようになる。
次に、第2制御基板ユニット202を、図15〜図17を用いて説明する。図15は第2制御基板ユニット202の正面図、図16は同ユニット202の斜視図、図17は同ユニット202の分解斜視図である。但し、図16では便宜上、カードユニット接続基板314が取付台301から取り外された状態を示している。
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台301を有し、この取付台301に払出制御装置311、発射制御装置312、電源制御装置313およびカードユニット接続基板314が搭載されている。払出制御装置311、発射制御装置312および電源制御装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312により、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射モータ229の制御が行われ、電源制御装置313により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。カードユニット接続基板314は、パチンコ機前面の貸球操作部120(図1参照)および図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314は不要である。
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源制御装置313およびカードユニット接続基板314は、透明樹脂材料等よりなる基板ケース315,316,317,318にそれぞれ収容された構成とされる。
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
また、電源制御装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。
取付台301は例えば無色透明な樹脂成型品よりなり、その表面に平坦状をなす基板搭載面302が設けられている。この場合、発射制御装置312、電源制御装置313およびカードユニット接続基板314は取付台301の基板搭載面302に横並びの状態で直接搭載され、電源制御装置313の基板ケース317上に払出制御装置311が搭載されている。
また、取付台301には、図15等の右端部に上下一対の支軸305が設けられており、この支軸305を図9等に示す支持孔部237に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、取付台301には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ306が設けられており、ナイラッチ306を図9等に示す被締結孔239にはめ込むことで、第2制御基板ユニット202が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものであり、裏パックユニット203の正面図を図18に示し、分解斜視図を図19に示す。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面および上面が閉鎖されかつ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも電動役物ユニット(センター役物)603を囲むのに十分な大きさを有する(但し、本実施形態では、前述の音声ランプ制御装置262も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。この通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の前記表示制御装置等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図19に示す払出通路359等を通じて上皿19に供給される。
タンクレール356と、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360とが一体化となるようにユニット化されている。つまり、バイブレータ360が例えば2本のネジでタンクレール356に締結されて取り付けられるようになっている。さらに、バイブレータ360は、タンクレール356に面接触するのではなく、当該2本のネジの部分で接触するようになっており、バイブレータ360による振動がより効果的にタンクレール356に伝わるようになっている。従って、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ONまたは電源OFFとされるようになっている。
タンク355から払出通路359に至るまでの払出機構部352は何れも導電性を有する樹脂材料(例えば導電性ポリカーボネート樹脂)にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
また、裏パック351には、図18等の右端部に上下一対の支軸385が設けられており、この支軸385を図8等に示す支持孔部238に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、裏パック351には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ386が設けられると共に、上端部に係止孔387が設けられており、ナイラッチ386を図8等に示す被締結孔240にはめ込むと共に、係止孔387に図8等に示す固定具242を係止させることで、裏パックユニット203が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。このとき、図8等に示す固定具241,243によっても裏パックユニット203が内枠12に固定される。
なお、図6,図18に示すように、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ388が設けられている。内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチ388からホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。
なお、図8に示すように、裏パックユニット203は、被締結孔240およびナイラッチ386と、固定具241とによって、内枠12の裏面に着脱自在に取り付けられている。このように固定具241も用いているので、タンク355に供給される遊技球の重みで裏パックユニット203が内枠12から外れてしまうことを防止している。
以上、パチンコ機の正面側及び背面側の構成につき説明したが、次に、本発明に関する最も重要な部分、即ち基板ケース263について詳述する。なお、本発明は主制御装置261の基板ケース263のみならず、副制御装置(例えば前記表示制御装置、音声ランプ制御装置262、払出制御装置311、発射制御装置312、電源制御装置313など)の基板ケース315〜318(例えば図15〜17に示す封止機構319)にも適用できるが、説明が重複するので、便宜上、以下の実施形態では主制御装置261の基板ケース263(図11乃至図13に示す封止機構470)に適用した場合についてのみ説明する。
そして、図20以降に示す基板ケース263の外形は、それ以前の図示と多少異なるが、その外形については、遊技盤背面に配置の他の構成物の形状、配置により適宜設計変更されるものであるので、本発明の要旨とするところではなく、図20以降の基板ケースについては、この外観のものを用いた説明となる。
図20は基板ケース263の全体の斜視図であり、図21は、正面図、図22は、全体の組み付け途中の斜視図、図23は、その要部の拡大斜視図、図24は、封止ピンの前面斜視図、図25は、その背面斜視図である。また、図26は、封止ピンの予備収納姿勢を示す要部の縦断側面図であり、図27は、封止ピンの封止姿勢を示す要部の縦断側面図であり、図28は、封止ピンの封止姿勢で、封止が開始される前の状態を示す要部の縦断側面図である。
前記基板ケース263は、図20乃至図23に示すように、一対のケース構成体、即ち、制御基板を略収納する容積のある、第1ケースとなるケース本体部400と、第2ケースとなるその蓋体部500とからなる。
尚、ケース本体部400(第1ケース),及び蓋体部500(第2ケース)の称呼について、既に、上記の解決手段の項において言及した通り、蓋は、ベースとなる本体に対して閉蓋するものであるが、蓋をベースとして、これに対して本体で閉蓋することもあり、相対的なものとして認識されてよい。従って、何れをケース本体部400、第1ケースと呼称し、蓋体部500、第2ケースと呼称するかは、制御基板収納の機能或いは構造の観点から任意に選定してよいものであって、本発明においては、上記の通りに呼称することにしている。
上記基板ケース263は、第1ケースであるケース本体部400と、第2ケースである蓋体部500との二つ割りに構成されるが、図22及び図23に示すように、互いがスライド操作によって開閉され、封止ピン700を用い、且つ、複数回の封印が可能な複数、ここでは、第1封止部となる5個の本体側封止部401と、第2封止部となる蓋体側封止部501とを備えた封止機構470により封印解除不能に構成されている。その具体構成については後述する。
そして、前記ケース本体部400も蓋体部500も共に透明樹脂乃至半透明樹脂(ここでは、淡黄緑色だが、その他、黒色、白色、赤色、青色、黄色など)で成型されている。
基本的な構成としては、前記各本体側封止部401は、前記封止ピン700を略々完全に埋没させる予備収納姿勢(図26参照)で収納するピン収納スペース410を備えると共に前記封止ピン700の先端係合部451をピン収納スペース410の外部に露出させる封止姿勢(図27及び図28参照)で収納するピン位置規制部420を前記ピン収納スペース410の内部に備え、且つ、前記封止ピン700が、ピン位置規制部420に接当する封止姿勢において、その先端係合部702が前記蓋体側封止部501に解除不能に係合するように、前記ピン収納スペース410の外部に出退可能に構成されている。
そして、ケース本体部400及び蓋体部500は、互いに組み付けることで図示しない制御基板を収容するための収容空間を形成する。この実施形態では、図20及び図22にも示されているように、ケース本体部400の両側縁部にコの字形の係合溝411,411を設ける一方、蓋体部500の両側縁部に嵌合用突条体511,511を設けてある。そして、コの字形の係合溝411,411に嵌合用突条体511,511をスライド嵌合させて、ケース本体部400及び蓋体部500を組み付ける構成としている。
これを具体的に説明すると、前記ケース本体部400と前記蓋体部500には、その一方にスライド嵌合可能な嵌合用突条体511が、その他方に該嵌合用突条体511が係入する係合溝411が設けられ、前記ケース本体部400に対して前記蓋体部500をスライド操作することで開閉を行うことができるように構成されている。
即ち、前記一方のケース構成体であるケース本体部400の両横側面壁の開口縁(箱状ボックスの開口)の外側に沿って嵌合用突条体511,511が夫々外側に向けて突設され、前記他方のケース構成体である蓋体部500の両横側面壁の開口縁(箱状カバーの開口)に、前記両横側面壁よりも外側に突出するように、断面コの字型の係合溝411,411が設けられ、前記嵌合用突条体511,511が、前面壁側から後面壁側に向けて、前記コの字型の係合溝411,411にスライド嵌合できる構成とされている。
これによって、前記ケース本体部400と前記蓋体部500の開閉を、一方の嵌合用突条体511と、該嵌合用突条体511が係入する他方の係合溝411とによって行うことで、両者のスライドによる合わせが位置安定した状態で行い得て、スライド合わせにおいて、後述の封止ピン700の先端係合部702に対する蓋体側封止部501の的確な接当状態が得られて、この封止ピン700の伸縮作用(下動変位)を確実に発現させることができる。
そして、図20乃至図23に示すように、前記本体側封止部401が、ケース本体部400の一側部の外側部に、前記蓋体側封止部501が、前記蓋体部500の一側部の外側で、且つ前記本体側封止部401に対応する箇所に夫々設けられ(5個)、更に、前記蓋体側封止部401が、前記蓋体部500に対して破壊容易な肉厚の薄い一対のリブ502によって連結形成されている。
更に、図20乃至図23に示すように、前記ケース本体部400の本体側封止部401の両外側部に、また、前記蓋体部500の蓋体側封止部501の両外側部に、互いに嵌合する凹溝を備えた突起体とこれに嵌合する突起状体の封止用嵌合部505,405が夫々一体的に形成されている。
このように、前記ケース本体部400及び前記蓋体部500の両外側部に互いに嵌合する封止用嵌合部405(突起状体),505(凹溝)を設けることで、両者をスライド操作で閉封したときに、上述した嵌合用突条体511と係合溝411との嵌合と相まって、そのスライド操作方向に直交する方向での両者の嵌合状態をより一層堅固なものとすることができる。
このように、前記ケース本体部400と本体側封止部401及び蓋体部500と蓋体側封止部501は、夫々一体成形されている。ここでは、前記ケース本体部400と蓋体部500は、共に5個の本体側封止部401と、蓋体側封止部501を互いに対応する位置に連結したものである。そして、図26乃至図28にも示すように、前記蓋体側封止部501は、前記ケース本体400と前記蓋体部500とを閉封したときに、前記本体側封止部401のピン収納スペース410を実質的に閉蓋するように形成されている。
このように、前記蓋体部500でケース本体部400を閉封操作するときに、同時に封止機構470の封止ピン700を収納スペース410内に隠蔽してしまうことができ、本体側封止部401或いは蓋体側封止部501を破壊することなく、外部から封止ピン700自体を抜き操作したり、移動させたり、破壊したりして開封してしまうことを回避でき、外観上の破壊を伴わない状態での不正開封を防止できる。
更に、図23にも示すように、前記蓋体側封止部501は、そのスライド操作方向の先端部に、一対の突起体506を備え、前記本体側封止部401は、閉封に際して前記蓋体側封止部501の突起体506を嵌入させる嵌合孔406を備えている。前記突起体506は、ここでは、蓋体側封止部501の先端部の両側部に夫々突出させて嵌合状態を堅固なものとしているが、これは1つであってもよく、その位置も、幅方向中央部でも、片側寄りでもよいものであり、逆にフォークのように3本突起であってもよい。
このように、蓋体側封止部501の先端部と本体側封止部401とが嵌合状態となることで、図20及び図27にも示すように、閉封後のこの蓋体側封止部501と本体側封止部401の部分での位置固定が確実となり、封止ピン700による蓋体側封止部501と本体側封止部401の係止状態がグラツクことなく堅固に保持され、封印が確実に維持できる。
更に、前記蓋体側封止部501の先端部の下面にアール(図面では鋭角に示されているが、実際には小径のアールを形成する面取りが行われている)が形成されている。このように、蓋体側封止部501の先端部の下面にアールが形成されることで、閉封時に、蓋体側封止部501の先端部が、前記ピン収納スペース410から露出している封止ピン700の先端係合部702のカム斜面701に接当したときに、その下方変位の動作をスムースに導き出すことができて、封止ピンによる封印作業を確実、スムースに行い得る。尚、前記アールは、円弧、斜面(面取り)と均等であり、適宜選定して代替できる。
そして、各本体側封止部401と、これに対応する各蓋体側封止部501は、予備収納された封止ピン700(図24及び図25参照)にて、定期検査等毎の開封に追随して、順次封止連結されることになる。
ここで、封止ピン700の構造について、図24及び図25に基づいて説明する。
この封止ピン700は、弾性のある合成樹脂、ここでは、ポリアセタールが用いられて成型によって製作されている。この封止ピン700は、弾性を発揮する一対の湾曲状(外向き)に形成された帯状連結部材706により先端係合部702と基端部703とを一体的に連結することによって構成されている。そして、前記封止ピン700の先端係合部702は、その一側面側に、前記蓋体側封止部501の内面側(先端部の下面のアール)に接当するカム斜面701に形成され、その他側面側が平坦な係止面704に形成され、全体として側面視において略楔形に構成されている。
そして、前記ピン位置規制部を構成として、前記封止ピン700の基端部703の幅が先端係合部702の幅よりも大きくなるように構成し、且つ、前記封止ピン700の基端部703には接当し下降を許さず、先端係合部702には接当せずに下降を許容する溝幅をももつ段部を、前記ピン収納スペースの底部に設けることによって構成されていることを特徴とする。
これを更に詳しく述べると、図21、図24、図25に示すように、この封止ピン700の基端部703の幅W1は、前記ピン収納スペース410の底部近傍の段部421の溝幅W2よりも大きく構成されており、反面、封止ピン700の先端係合部702の幅W3が前記段部421の溝幅W2よりも小さく構成されており、これによって、封止ピン700が、先端係合部702側からピン収納スペース410に挿入される場合には、前記ピン収納スペース410の底部の段部溝の内部にまで到達して全体が完全に納まって完全に埋没状態(予備収納姿勢・図26参照)となるが、基端部703側からピン収納スペース410に挿入される場合には、封止ピン700の基端部703が段部421の溝幅W2よりも大きいため、完全に収まりきらずに、上述したように先端係合部702が、そのピン収納スペース410から上方に露出された状態(封止姿勢)で内部にセットされることになる(図28参照)。
この封止姿勢を創出するのがピン位置規制部420であり、ここでは、前述したピン収納スペース410の内部の底部の段部421の溝幅W2を、封止ピン700の基端部703の幅W1よりも小さく形成し、先端係合部702の幅W3を前記溝幅W2よりも小さくすることで構成している。
このようにして、前記ピン収納スペース410の底部の段部421の溝幅W2を前記封止ピン700の基端部703の幅W1よりも小さく構成するという簡単な構造によって、封止ピン700の予備収納姿勢と封止姿勢とを使い分けることができるようにされている。
このように、ピン収納スペース410の底部に所定の幅の溝W2を有する段部421を設け、これに対応させて、封止ピン700の基端部703の幅W1が先端係合部720の幅W3よりも大きくなるように構成し、その先端係合部702の幅W3を前記段部421の溝幅W2よりも小さく構成するだけの簡単な構造(本体側封止部401の成型と封止ピン700の成型)によって、該封止ピン700を、予備収納姿勢から封止姿勢に変えて位置決めし、封止機能を発揮させることができる。尚、この段部の設置位置としては、実施例で示すようなピン収納スペースの底部のほかに、ピン収納スペースの適宜所定の位置に設置してもよい。
このように、封止ピン700の先端係合部702にカム斜面701を形成することで、図28に示す状態から、蓋体側封止部501の内面側に接当したときに、封止ピン700の伸縮機能(収納スペース内における下動変位)をよりスムース且つ確実に生起させることができると共に他側面側を平坦な係止面704に形成することで蓋体側封止部501に対する係止作用を、単純な先鋭のピンに比べて、確実に発揮させることができる。
そして、前記蓋体側封止部501には、図26乃至図28に示すように、その内側面に封止ピン700の先端係合部702が嵌入する嵌入凹部505が設けられている。このように、蓋体側封止部501の内側面に嵌入凹部505を形成するという簡単な構造によって、封止ピン700の先端係合部702の蓋体側封止部501に対する係合状態を確実なものにすることができ、その嵌入凹部505の内面と前記係止面704との係合片で確実な係止状態を得て、以って、封印状態を堅固なものとすることができる。
そして、図28に示すように、封止ピン700が封止姿勢でもって前記ピン収納スペース410に位置されたときに、この略楔形に構成された先端係合部702が、そのピン収納スペース410から上方に露出される。尚、楔形部分のカム斜面701の下方には、凹部が705形成されているが、この構造は、成型樹脂の節約のためであり、更に、その両側方の基端部分が前記帯状連結部材706と繋がれている。このように、帯状連結部材706を用いる構造は、封止ピン700の構成素材が合成樹脂でも、金属板バネでも良くその弾性を安定的に引き出すことができるとともに、この実施例のように、樹脂成型の場合には、封止ピン7800先端係合部702と基端部703との間を充填樹脂で埋める必要がなく、成型樹脂を節約できることになる。
(製造方法)
本発明の製造方法は、次のように実施される。
この製造方法は、第1ケースであるケース本体部400と第2ケースである蓋体部500との二つ割りに構成された制御基板を収納する樹脂成型の基板ケース263を、封止ピン700を用い、且つ、複数回の封印が可能な複数(5個)の第1封止部である本体側封止部401と第2封止部である蓋体側封止部501とを備えた封止機構470により封印解除不能に構成してある遊技機において実施される。
先ず、前記封止ピンに弾性を備えさせる。この弾性装備は、ここでは、上述した通り、合成樹脂性(ポリアセタール)により成型されると共に弾性を発揮する一対の湾曲状(外向き)に形成された帯状連結部材706により先端係合部702と基端部703とを一体的に連結する構成により得るようにされている。
次いで、予備収納に際しては、前記各本体側封止部401のピン収納スペース410に、前記封止ピン700の先端係合部702を、ピン収納スペース410の底部に向けて略々完全に埋没させる予備収納姿勢となるように、夫々収納しておく。
そして、封印時には、特定の本体側封止部401における本体側封止部401の前記封止ピン700を前記ピン収納スペース410から一旦取り出し、反転させてその先端係合部702をピン収納スペース410の外部(上方)に露出させる封止姿勢となるように、再び前記ピン収納スペース410に装填、収納する。
次いで、前記ケース本体部400に蓋体部500を合わせる蓋体部500のスライド操作を行い、この蓋体部500のスライド操作力を利用して前記蓋体側封止部501で封止ピン700をその弾性力に抗して一旦ピン収納スペース410内に押し込み、前記蓋体側封止部501がピン収納スペース410を閉蓋して蓋体部500がケース本体部401を閉封した後に、封止ピン700の弾性復元力を利用して封止ピン700の先端係合部702を蓋体側封止部501に係合させ、以って、本体側封止部401と蓋体側封止部501とを係止して封印解除不能にケース本体部400に蓋体部500を封印解除不能に一体化するのである。
これを具体的に説明すると、上記のように構成された基板ケース263は、そのケース本体部400に蓋体部500を被せて閉封する際、予め各本体側封止部401の収納スペース410に、予備収納姿勢、即ち、封止ピン700の先端係合部702を下向けて、つまり、収納スペース410の底部に向けて挿入してある封止ピン700を取り出し、これを反転させ、封止ピン700の基端部703の側から、同じ収納スペース410に再挿入する。
この際、封止ピン700の先端係合部702のカム斜面701が、ケース本体400の側に向くようにして挿入する。これにより、封止ピン700の基端部703の幅が収納スペース410の所定位置の幅よりも大きいため、即ち、ピン位置規制部420の存在によって、封止ピン700は収納スペース410に完全埋没することなく、その先端係合部702を露出させた状態、即ち、封止姿勢で止まる。
この状態において、蓋体部500をケース本体部400に沿ってスライドさせると、蓋体部500に設けた嵌合用突条体511が、ケース本体部400に設けた係合溝411と係合しながら閉封が進行する。この閉封操作の終わりに近づくと、蓋体側封止部501の先端部の内側面のアールが、収納スペース410から突出して露出状態の封止ピン700の先端係合部702の一側面のカム斜面701に接当するが、これを押し付けながらスライド操作すると、カム作用によって、封止ピン700の先端係合部702に下向き(収納スペース410の底部方向)の分力が発生し、弾性を有する封止ピン700は、一端下方に変位(伸縮)し、蓋体側封止部501の通過、進行を許す。
しかし、蓋体側封止部501の先端部に設けた一対の突起体506が前記本体側封止部401の嵌合孔406に嵌入されるときに、蓋体側封止部501の内側面に設けた嵌入凹部505が存在するため、弾性で下方に変位していた封止ピン700がその上昇を許容され、弾性復元力で上動してその先端係合部702が嵌入凹部505に嵌入することになり、その結果、両者の係合が完成する。この時、封止ピン700は、収納スペース410内に収まり、且つ、その収納スペース410は蓋体側封止部501によって閉鎖されるので、封止ピン700は、外部から抜いたり、移動させたりすることが出来ない。
また、先端係合部702の他側面は平坦な係止面704に構成されているので、蓋体部500を逆向きにスライドさせようとしても、カム作用は生じず、係止面704によってロックされた状態となる。
これによって、解除不能の閉封、封印が行われるのである。
定期検査等の正規要望に基づく封印解除は、蓋体側封止部501の連結用の薄肉のリブ502の破壊によって行われる。
その後は、上述した手順でもって再度封印操作が行われることになる。
(ピン位置規制部の変形例)
図29乃至図30に示すように、この変形例においては、封止ピン700Aは、上記実施例とは異なり、その先端係合部702が基端部703に対して伸縮変位自在となるように、先ず、両者間にスプリング706を設けることによって構成している点が異なる。このコイルスプリング706は、ハウジング707と台座となる基端部703により形成されるスペースに多少圧縮した状態で収められ、先端係合部702は、このコイルスプリング706の一端部に接当し、常時、上方に附勢されている。尚、スプリング706は、コイルスプリングでなく、板バネ、ピアノ線等の均等物を代用して用いることが可能である。
そして、ピン位置規制部420は、本体側封止部401のピン収納スペース410の所定位置に形成された支持部415と、封止ピン700Aの所定位置に形成された係合部710とから構成されている。ここでは、次の構造が用いられている。
即ち、封止ピン700Aの所定位置に形成された係合部710の、その封止ピン700Aの基端部703からの長さL1が、先端係合部702からの長さL2よりも短く設定され、これに合わせて、ピン収納スペース410の所定位置に形成された支持部415の位置も、底部から支持部415まで距離L3が封止ピン700Aの先端係合部702からの長さL2よりも僅かに長く、上部開口から持部415まで距離L4が、前記基端部703からの長さL1より僅かに長く、これにより、封止ピン700Aを、図29に示すように、下向き姿勢、即ち、予備収納姿勢でピン収納スペース410に挿入した場合には完全埋没状態(予備収納姿勢)となるが、図30に示すように、反転させて装填すると、その先端係合部702がピン収納スペース410から突出、露出した状態となる(封止姿勢)。
以上、本発明の一実施形態につき説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなくその要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
また、ピン位置規制部の構成についても、封止姿勢と予備収納姿勢とを選択できるようにするために、封止ピンを、硬質樹脂の先端係合部とゴム等の弾性材とで構成できる。
このゴムのような軟質材で構成しても、封印に及ぼす開封力(蓋体部の逆向きスライド操作)は、硬質樹脂の先端係合部に対するせん断力として作用する基板ケースの全体構成となっているので、何等問題はない。