本発明の説明に際して、次の意味を明らかにしておく。
基板ユニットから突出した位置で係合する係合部を別個独立して複数個備える形態として、実施例図面に示すように、係合部が基板ユニットの一面において所定の間隔で並設されて複数個備えられる形態の他に基板ユニットの異なる面に別途それぞれ設けられる形態も含まれる。
また、爪部と受部のうち、少なくとも一方は弾性変形する弾性部に構成するということは、実施例のように、爪部を形成するプラスチックの弾性を引き出す他、受部を弾性変形可能な形状とすることで、相互の弾性係合を行うようにしても良いと共に両者が弾性変形可能な形状に構成されることで、両者の係合が弾性的に行われるようにすることも含まれる。
前記爪部と受部の成形素材自体の弾性を利用することのほか、それらが剛体であって、一部がスプリング(コイルバネや板バネ)で構成され、その弾性変形を利用して両者が係合することも含まれる。
本発明にかかる遊技機は、手段1として、
第1ケース及び第2ケースを有して内部に回路基板が設けられた基板ユニットであって、前記第1ケース側に設けられる複数の第1封止部と、前記第2ケース側に設けられる複数の第2封止部と、その第1封止部と第2封止部とを連結する封止部材とを有し、その封止部材によって、少なくとも一つの前記第1封止部と第2封止部とが連結されている場合に前記回路基板を取り出すときには基板ユニットを破壊するか或いは所定の部位を切断することを必要とする基板ユニットを備えた遊技機において、
前記基板ユニットから突出した位置で係合する係合部を別個独立して複数個備え、
該各係合部は、爪部とこれを受け止める受部とから構成され、且つ、前記第1ケース又は前記第2ケースの一方側に爪部を、他方側に受部を設け、
更に、前記爪部と受部のうち、少なくとも一方は弾性変形する弾性部に構成し、
前記第1ケースと前記第2ケースとが閉じられる位置で、前記爪部と受部とが前記弾性部の弾性変形を介して係合し、且つ、前記弾性部に対する強制的弾性変形力の付与無しには前記爪部と受部との係合が解除されないように構成してあることを特徴とする。
本発明によれば、封止部を破断(切断)する強引な不正行為が行われる場合であっても、封止機構(封止部及び封止部材)とは別に、爪部又は受部の少なくとも一方の弾性変形を介して係合する複数の係合部を備えることで、これらを弾性変形させて係合解除させる必要を生じ、時間がかかったり、複数人による作業が必要となったり、この複数の係合部の存在及び箇所を発見しなければ、それ自体を破壊できないので、開封により一層時間を要するように出来て、不正行為に対する抑止力を高めることが出来る利点がある。
手段2:手段1に記載の遊技機において、
前記係合部の前記爪部と受部が、前記第1ケース及び第2ケースの前記第1封止部と第2封止部とは反対側に設けられ、前記第1封止部と第2封止部とのスライドによる位置合わせの操作方向でもって前記爪部と受部との係合が成されるように構成されていることを特徴とする。
これによって、前記第1封止部と第2封止部との連結による封印のための前記第1ケース及び第2ケースの位置合わせ(スライド)の操作によって、同時に前記係合部の前記爪部と受部との係合も行い得るので、格別の操作工程を必要とすることなく、前記係合部の係合状態が自動的に得られる利点がある。
手段3:手段1又は手段2に記載の遊技機において、
前記係合部と係合部との間に係合解除規制部が設けられ、前記各係合部の爪部と受部とに対する解除操作を阻害できるように構成されていることを特徴とする。
このように、係合解除規制部を係合部と係合部との間に設けることで、例えば、定規状のものを併置された係合部に当てて、一度に係合解除操作を行おうとしても、その間に介在された係合解除規制部が邪魔になり、そうした解除操作を行うことが出来なくなり、容易に前記第1ケース及び第2ケースを簡便に開封できない。
手段4:手段1又は手段2に記載の遊技機において、
前記受部が、実質上角形筒状体に形成されることによって係合解除規制部に構成されていることを特徴とする。
このように、受部が、係合解除規制部となるべく実質上角形筒状体に形成されているので、その受部に係合する爪部は容易に係合解除できないのであり、これによって、前記第1ケース及び第2ケースを簡便に開封できない。
手段5:手段1又は手段2に記載の遊技機において、
前記受部が実質上角形筒状体に形成されて係合解除規制部を構成し、且つ、前記爪部が、前記角形筒状体に挿入されるように合成樹脂成形で細片に構成され、該細片構造によって弾性変形する弾性部に構成してあることを特徴とする。
このように、前記爪部の構成素材を合成樹脂として、これを細片に構成すことで弾性を引き出し、此れ自体を弾性部に構成することで、格別に弾性部を備える構成を採用する必要なく、簡単な構造で実施できる。
手段6:手段1乃至手段5に記載の遊技機において、
前記爪部の先端にフックを形成し、且つ、前記受部に、前記フックが係合する開口部を形成してあることを特徴とする。
このように構成したことで、爪部と受部の係合を確実に行い得ながら、その係合を開口部で行うと共に、通常の解除(不正行為の破壊ではない)の際に、この開口部を通して、爪部のフックに対して工具等を作用させて係合解除を行うことができる。
手段7:手段1乃至手段5に記載の遊技機において、
前記受部が、奥側(基板搭載面側)に位置する前記第1ケース又は第2ケースに設けられ、且つ、前記受部の開口部がその奥側に向けて開口されていることを特徴とする。
このように、前記開口部が奥側に向けて開口されていることで、この開口部に係合している爪部のフックの係合状態が外側から一見しただけでは分り難く、この片に対して工具等を作用させようとしたときに、基板搭載面側に位置していて、容易に工具を挿入し難くなっており、容易に解除させることを抑止できる。
手段8:手段1乃至手段7に記載の遊技機において、
前記第1ケース又は第2ケースの受部の一つが、前記第1ケース又は第2ケースに設けられたネジ止め部の側部に一体的に設けられていることを特徴とする。
このように、受部がネジ止め部と一体であることで、受部を破壊しようとしたときに、比較的大型のネジ止め部を破壊することに繋がり、破壊工作を困難ならしめる。
そして、このネジ止め部は、その側部に前記受部を一体的に設けてあることで、受部に対する解除操作を阻害する役目を果たし、上記した係合解除規制部の機能を発揮することになる。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る遊技機の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、便宜上、パチンコ機を挙げて説明するが、本発明は、パチンコ機以外の弾球遊技機(例えばアレンジボール機や雀球遊技機など)、スロットマシン、パチンコ機とスロットマシンとを融合させた融合機(例えば遊技媒体として遊技球を使用するスロットマシン)、その他種々の遊技機(例えばゲームセンタに設置されるいわゆるアーケードゲーム機など)に適用することができる。
(パチンコ機の正面構成)
図1は本実施形態のパチンコ機10の正面図であり、図2は外枠11に対して内枠12と前面枠セット14とを開放した状態を示す斜視図である。但し、図2では便宜上、下皿ユニット13が内枠12から取り外された状態を示している。
図1,2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。なお、外枠11は、軽量化を図るために、樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみて遊技球発射ハンドル18の設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。また、内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂から成る。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できるという利点が発揮される。
内枠12の構成を、図3も用いて詳細に説明する。図3は、パチンコ機10から前面枠セット14を取り外した状態を示す正面図である(但し、図3では便宜上、遊技盤30の盤面上の遊技領域内の構成〔釘、センター役物等〕を空白で示している)。
内枠12は、大別すると、その最下部に取り付けられた下皿ユニット13と、この下皿ユニット13よりも上側の範囲で内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、後述する樹脂ベース20と、この樹脂ベース20の後側に取り付けられる遊技盤30とを備えている。
下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と灰皿22と音出力口24が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、後述の上皿19が満タンになった場合等に排出口16より排出される遊技球を停留する役割がある。球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に停留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して遊技者の持球貯留箱(ドル箱)に排出することができる。遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出するように配設されている。
遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、遊技球発射装置38(図6参照)によって遊技球が遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。遊技球発射装置38は、遊技球発射ハンドル18と後述するセットハンドル228と発射モータ229(図6参照)などで構成されている。音出力口24は、下皿ユニット13内あるいは背面に設けられたスピーカ(図示略)からの音を出力するための出力口である。また、灰皿22は下皿15の左方に設けられている。灰皿22は左右方向(水平方向)の軸線を軸心にして回動(例えば前方側に向けて前回り)するように、その右側が下皿15に片待ち支持されている。
なお、下皿ユニット13はその大部分が内枠12と同様、ABS樹脂にて成形されている。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。特に、下皿15を形成する表面層と下皿15の奥方の前面パネル部分とを難燃性のABS樹脂にて成形している。このため、この部分は燃えにくくなっている。
また、前面枠セット14は、図2に示すように、内枠12に対して開閉可能に取り付けられており、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。しかも前面枠セット14は内枠12の外側壁(リブ)12b(図3参照)内に嵌まり込むようにして取り付けられている。つまり、この前面枠セット14の側面の少なくとも一部が内枠12の外側壁(リブ)12b内に嵌まり込むようにして取り付けられているので、内枠12と前面枠セット14との隙間から異物(針状あるいは薄板状等のものであって、具体的には針金、ピアノ線、セルロイド板等)を差し入れるなどの不正行為を防止できるようになっている。また、前面枠セット14は、内枠12と同様に、合成樹脂、具体的にはABS樹脂により構成されているので、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19(図1参照)が前面枠セット14と一体的に設けられている。この上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。この上皿19も下皿15と同様、表面層が難燃性のABS樹脂にて成形される構成となっている。
図3に示すように、内枠12は、外形が矩形状の樹脂ベース20を主体に構成されており、樹脂ベース20の中央部には略円形状の窓孔21が形成されている。樹脂ベース20の後側には遊技盤30が着脱可能に装着されている。遊技盤30は四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース20(内枠12)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース20の窓孔21を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
次に、図4を用いて遊技盤30の構成を説明する。図4は遊技盤30の構成を示す正面図である。遊技盤30は、天入賞口610、一般入賞口600、左右1対の第1始動口601、これら第1始動口601の変形部であって第1始動口601より若干下方に設けられた第2始動口602、遊技領域の略中央に設けられた電動役物ユニット(センター役物)603等を備えている。これらの一般入賞口600、第1始動口601、第2始動口602、電動役物ユニット603等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30の前面側から木ネジ等により取り付けられている。前述の天入賞口610、一般入賞口600、第1の始動口601、第2の始動口602に対応する部位には、それぞれ、天入賞口入球センサ609、一般入賞口入球センサ607、第1始動口入球センサ605、第2始動口入球センサ606が設けられており、これらセンサは、図示しない電気配線を通じて後述する主制御基板(主制御装置)に接続されている。そして、天入賞口610、一般入賞口600、第1始動口601、第2始動口602および電動役物ユニット603に遊技球が入球した場合には、上記各検出センサで検出され、この検出センサの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。
尚、上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主制御基板に取り込まれ、該主制御基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。かかる場合、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行う従来方式(いわゆる証拠球方式)とは異なり、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる(すなわち、本パチンコ機10では入賞球処理装置を廃止している)。故に、払い出す遊技球が多量にあっても、その払出をいち早く実施することが可能となる。但し、本発明に従来の「証拠球方式」を適用してもよい。
その他に、遊技盤30の左右端には、上記一般入賞口600を備えた装飾部材630が設けられる一方、遊技盤30の下方には、上記第1始動口601、第2始動口602を備えた補助ユニット608が設けられている。また、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。さらに、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、同様の機能を有する風車が配設されている。
また、遊技盤30には、遊技球発射装置38から発射された遊技球を遊技盤30の上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品(例えば、フッ素樹脂が添加されて成形されたもの)にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。なお、レールユニット50はフッ素樹脂を添加して成形されているので、図3に示す奥面50aについての遊技球の摩擦抵抗を少なくできる。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)か内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51、52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
内レール51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51および外レール52の間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。また、外レール52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図4の右上部:外レール52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって跳ね返さわるようになっている。外レール52の内側面には、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするべく、つまり遊技球の摩擦抵抗を少なくするべく、長尺状をなすステンレス製の金属帯としての摺動プレート55(図3参照)が取着されている。
また、レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされるようになっている。本実施形態では、レールユニット50の少なくとも左側を遊技盤30に強固に締結するために、レールユニット50の左側はその右側よりも多いネジで遊技盤30に締結されているので、レールユニット50の左側についての遊技盤30への密着性を上げることかでき、遊技球の球飛びを良くすることができる。レールユニット50の左側が遊技盤30に対してぐらついているとこのレールユニット50に出射された遊技球の勢いが当該ぐらつきにより吸収されてしまうからである。
さらに本実施形態では、正面から見てレールユニット50の上下左右の各端部は略直線状に(平坦に)形成されている。つまり、レールユニット50の上下左右の各端部においてはフランジ56が切り落とされ、パチンコ機10における有限の領域にてレール径の拡張、すなわち遊技盤30上の遊技領域の拡張が図られるようになっている。
内レール51および外レール52の間の球案内通路の入口には、同球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。この凸部57は、内レール51からレールユニット50の下端部にかけて略鉛直方向に設けられ、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路63(図3参照)に導くための役目をなす。なお、遊技盤30の右下隅部および左下隅部は、証紙(例えば製造番号が記載されている)等のシール(図4のS1,S2)やプレートを貼着するためのスペースとなっており、この貼着スペースを確保するために、フランジ56に切欠58,59が形成されている。遊技盤30の右下隅部や左下隅部に、証紙等のシール(図4のS1,S2)を貼着することで、遊技盤30と証紙との一義性を持たせることができる。
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール)により略円形状に区画形成されている。本実施形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て、内レール51および外レール52によって囲まれる領域のうち、内外レール51,52の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。従って、遊技領域と言った場合には誘導レールの部分は含まないため、遊技領域の左側限界位置は外レール52によってではなく内レール51によって特定される。同様に、遊技領域の右側限界位置は内レール51によって特定される。また、遊技領域の下側限界位置は遊技盤30の下端位置によって特定される。また、遊技領域の上側限界位置は外レール52によって特定される。
図3の説明に戻り、前記樹脂ベース20において、窓孔21(遊技盤30)の下方には、遊技球発射装置38より発射された直後に遊技球を案内するための発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62を介して樹脂ベース20に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後前述した通りレールユニット50の球案内通路を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。
また、発射レール61とレールユニット50(誘導レール)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路63が形成されている。従って、仮に、遊技球発射装置38から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球として誘導レール内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路63を介して下皿15に排出される。
ファール球が誘導レール内を逆流してくる際、その多くは外レール52に沿って流れ、外レール52の下端部に到達した時点で下方に落下するが、一部のファール球は誘導レール内で暴れ、内レール51側へ跳ね上がるものもある。この際、跳ね上がったファール球は、球案内通路入口の前記凸部57に当たり、ファール球通路63に誘導される、これにより、ファール球の全てがファール球通路63に確実に案内されるようになり、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置38には、前面枠セット14側の球出口(上皿19の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。また、遊技球発射装置38には打球槌が設けられ、軸部を中心とする打球槌の回動に伴い遊技球が発射される。
図3中の符号67は上皿19に通ずる排出口であり、この排出口67を介して遊技球が上皿19に排出される。排出口67には、略水平方向の回転軸を軸心として略水平状態と略垂直状態とに変位する開閉式のシャッタ68が取り付けられている、前面枠セット14を内枠12から開放した状能(図3の状態)では、バネ等の付勢力によりシャッタ68が略水平状態から略垂直状態となり、排出口67から遊技球がこぼれ落ちないようにこの排出口67を閉鎖する。また、前面枠セット14を閉鎖した状態では、当該前面枠セット14の裏面に設けられた球通路樋69(図2参照)によりシャッタ68が押し開けられて略水平状態になり、排出口67の方へ排出された遊技球はもれなく球通路樋69を通って上皿19に排出されるようになる。従って、本パチンコ機10においては、前面枠セット14の開放に際し払出通路内等の遊技球がパチンコ機10外にこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できるようになっている。
図3に示すように、樹脂ベース20には、窓孔21の右下部に略四角形状の小窓71が設けられている。従って、遊技盤30の右下隅部に張られた証紙などのシール(図4のS1)は、この小窓71を通じて視認できるようになっている。また、この小窓71からシール等を貼り付けることも可能となっている。
また、図3に示すように、内枠12の左端部には、前面枠セット14の支持機構として、支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には図の手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には鉛直方向に突出した突起軸84が設けられている。
図3に示すように、内枠12の上側には、前面枠セット14が内枠12に対して開かれたことを検出する前面枠セット開検出スイッチ90が設けられている。前面枠セット14が開かれると、前面枠セット開検出スイッチ90からホール内(パテンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。また、前面枠セット14が閉じられると、図5に示す前面枠セット14の金属製の補強板131,132が図3に示す内枠12の一対の金具92に接触するようになっており、前面枠セット14のアースが確保されている。
ここで、前述した前面枠セット14について、図1,図5を参照しつつより詳細に説明する。図5は、前面枠セット14の背面図である。前面枠セット14には前記遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部101が形成されている。詳しくは、窓部101は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている。なお、前記略中央部が直線状になるようにしてもよい。
また、パチンコ機10の正面から見て窓部101の左端と前面枠セット14の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅:図5では右側に示されている)、すなわち開閉軸線側のフレーム幅は、前面枠セット14自体の強度および支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。この場合、図1および図3を相互に比較すると明らかなように、前面枠セット14が閉じられた状態において、外レール52の左端部はもちろん、内レール51の左端部も前記左側部フレーム部分によって覆い隠される。つまり、誘導レールの少なくとも一部が、パチンコ機10の正面からみて前面枠セット14の左側部のフレーム部分と重複し覆い隠される。このように遊技球が一時的に視認困難となったとしても、それは、遊技球が遊技領域に案内される通過点に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領域において遊技球が視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。また、このような支障が生じない一方で、前面枠セット14の十分な強度および支持強度が確保可能となっている。
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり遊技状態時や羽根開放時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり遊技状態時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり遊技状態中であることを報知する。さらに、上皿19周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。
その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とが設けられている。また、環状電飾部102の下端部に隣接するようにして、内枠12表面や遊技盤30表面等の一部を視認できるよう透明樹脂からなる小窓107が設けられている。この小窓107の所定箇所を平面状としているので、遊技盤30の右下隅部に貼り付けられた証紙などを、小窓107の当該平面状箇所から機械で好適に読み取ることができる。
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置部から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
また、図1に示すように、前面枠セット14の左側の小窓107付近を前面側(図1の紙面手前側)に必要以上に突出しないようにしている。こうすることで、パチンコ機10の左側に設けられたカードサンドの球貸し装置から直接に上皿19に遊技球を貸し出す際に、当該球貸し装置のノーズ部(いわゆる象の鼻)の先端排出口を好適に上皿19の上方位置に位置させることができ、当該球貸し装置のノーズ部から貸し出される遊技球を上皿19で受けることかできる。
前面枠セット14の裏側には、窓部101を囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、図5に示すように、前面枠セット14の裏側にあって窓部101の上下左右の外側にはそれぞれ補強板131,132,133,134が取り付けられている。これら補強板131〜134は相互に接触して連結されているが、図の左側および上側の補強板132,133の連結部には直接の接触を避けるための樹脂パーツ135が介在されている。このように補強板132,133の連結部に樹脂パーツ135を介在させているので、ノイズが補強板131〜134でループすることを防止できる。また、図5の右側の補強板131にはその中間位置にフック状をなす係合爪131aが設けられており、この係合爪131aは、前面枠セット14を閉じた状態で内枠12の孔部12a(図3参照)に係合されるように構成されている。この構成により、上皿19を含む形態で前面枠セット14が構成され、その上下の軸支位置が延長されたとしても、中間位置における前面枠セット14の浮き上がりが防止できる。それ故、前面枠セット14を浮かしての不正行為等が抑制されるようになっている。
また、下側の補強板134には、前記発射レール61(図3参照)に対向する位置に樹脂製のレール側壁部材136が設けられている。このレール側壁部材136は、前面枠セット14を閉じた際に発射レール61の側壁となる。故に、発射レール61から遊技球がこぼれ落ちないようになっている。
上述した補強板131〜134はガラス支持用の金枠としての機能も兼ね備えており、これら補強板131〜134の一部が後方に折り返されてガラス保持溝が形成されている。このガラス保持溝は前後に2列形成されており、矩形状をなす前後一対のガラス137が各ガラス保持溝にて保持される。これにより、2枚のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着されるようになっている。
また、前面枠セット14の図5の右端部(パチンコ機10正面から見ると左端部)には、内枠12の支持機構として、支持金具151,152が取り付けられている。従って、内枠12側の支持金具81,82(図3参照)に対して前面枠セット14側の支持金具151,152を組み付けることで、内枠12に対して前面枠セット14が開閉可能に装着されるようになる。
(パチンコ機の背面構成)
次に、パチンコ機10の背面の構成を詳しく説明する。図6はパチンコ機10の背面図であり、図7はパチンコ機10の背面構成を主要部品毎に分解して示す分解斜視図である。先ず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12および遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにしてまたは前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12または遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御基板と音声ランプ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板および電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。
また、払出機構および保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202および裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、さらにこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠12または遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
一方、図8は、内枠12に遊技盤30を組み付けた状態でその構成を示す背面図であり、図9は内枠12を後方より見た斜視図である。ここでは図8および図9を用いて内枠12および遊技盤30の裏面構成を説明する。
遊技盤30は、樹脂ベース20に囲まれた四角枠状の設置領域に設置され、内枠12に設けられた複数(本実施形態では4カ所)の係止固定具211,212によって脱落しないように固定されている。係止固定具211,212は手動で回動でき、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とを切り換えることができるよう構成されており、図8にはロック状態を示す。遊技盤30の左右3ヵ所の係止固定具211は金属片を折り曲げ形成したL型の金具であり、遊技盤30の固定状態で内枠外方へ張り出さないよう構成されている。なお、遊技盤30の下部1カ所の係止固定具212は樹脂製のI型の留め具である。
遊技盤30の中央には電動役物ユニット603が配置されている一方、電動役物ユニット603の下側には第1始動口601および第2始動口602を備えた補助ユニット608が配置されている。遊技盤30の裏面には、電動役物ユニット603、補助ユニット608、および、装飾部材630を取り囲むようにして、遊技球回収機構を備えた裏枠セット(図示せず)が取り付けられている。また、遊技盤30の下方には、内枠12に樹脂製(例えばポリカーボネート樹脂製)の排出通路盤217が取り付けられており、該排出通路盤217には、排出球をパチンコ機10外部へ案内するための排出通路218が形成されている。従って、一般入賞口600等に入賞した遊技球は何れも前記裏枠セットの回収通路を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10の外部に排出される。なお、アウト口36(図3参照)も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10の外部に排出される。
なお、排出通路盤217は、パチンコ機10の前面の上皿19の丁度裏側辺りに設けられており、上皿19に至る球排出口(図2の球通路樋69)より針金等を差し込み、さらにその針金等を内枠12と排出通路盤217との隙間を通じて遊技領域側に侵入させるといった不正行為が考えられる。そこで本パチンコ機10では、排出通路盤217の上皿19の丁度裏側辺りに、内枠12にほぼ一体的に重なり合うようにしてパチンコ機前方に延びるプレート219が設けられている。従って、内枠12と排出通路盤217との隙間から針金等を侵入させようとしてもそれがプレート219にて阻害され、遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となるので、不正行為を防止することができる。なお、図9において符号228は打球槌等を備えるセットハンドルであり、符号229は発射モータである。
また、内枠12の裏面には、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、内枠12にはその右端部に長尺状の支持金具235が取り付けられており、その構成を図10に示す。図10に示すように、支持金具235は長尺板状の金具本体236を有し、その金具本体236より起立させるようにして、下方2カ所に第2制御基板ユニット用の支持孔部237が形成されると共に、上方2ヵ所に裏パックユニット用の支持孔部238が形成されている。それら支持孔部237,238にはそれぞれ同軸の支持孔が形成されている。
その他、第2制御基板ユニット用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)239が設けられている。また、裏パックユニット用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)240が設けられている。但し、第2制御基板ユニット用の支持金具と裏パックユニット用の支持金具とを各々個別の部材で設けることも可能である。符号241,242,243は、遊技盤30との間に裏パックユニット203を挾み込んで支持するための回動式の固定具である。
その他、内枠12の背面構成において、遊技盤30の右下部には、後述する払出機構部352より払い出される遊技球を上皿19、下皿15、または排出通路218の何れかに振り分けるための遊技球分配部245が設けられている。すなわち、遊技球分配部245の開口部245aは上皿19に通じ、開口部245bは下皿15に通じ、開口部245cは排出通路218に通じる構成となっている。図8に示すように、遊技球分配部245は、その上方位置に位置する後述の払出機構部352(図18参照)とは別体としている。図8に示すように、遊技球分配部245は、内枠12にネジで締結固定されており、パチンコ機10の上皿19の排出口67(図3参照)から異物を挿入操作するなどしても動かない、つまり遊技球分配部245が奥側に押されて遊技球分配部245と内枠12との間に隙間が空くようなことが無いし、この隙間に異物を押入するなどによる不正を防止できる。
また、内枠12の下端部には、下皿15に設置されたスピーカの背後を囲むための樹脂製のスピーカボックス246が取り付けられており、このスピーカボックス246により低音域の音質改善が図られている。
次に、第1制御基板ユニット201を、図11〜図14を用いて説明する。図11は第1制御基板ユニット201の正面図、図12は同ユニット201の斜視図、図13は同ユニット201の分解斜視図、図14は同ユニット201を裏面から見た分解斜視図である。
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、この取付台251に主制御装置261と音声ランプ制御装置262とが搭載されている。ここで、主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主制御基板を具備しており、この主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ケース263に収容された構成とされる。
また、音声ランプ制御装置262は、例えば主制御装置261(主制御基板)または図示しない表示制御装置からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司るCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備しており、この音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ケース265に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置262上には電源中継基板266が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板266を介して前記表示制御装置および音声ランプ制御装置262に出力されるようになっている。
取付台251は、有色(例えば緑、青等)の樹脂材料(例えばポリカーボネート樹脂製)にて成形され、その表面に平坦状をなす2つの基板搭載面252,253が設けられている。これら基板搭載面252,253は直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。但し、取付台251は無色透明または半透明の樹脂成型品であっても良い。
そして、一方の基板搭載面252上に主制御装置261(主制御基板)が横長の向きに配置されると共に、他方の基板搭載面253上に音声ランプ制御装置262(音声ランプ制御基板)が縦長の向きに配置されるようになっている。特に、主制御装置261は、パチンコ機10裏面から見て手前側に配置され、音声ランプ制御装置262はその奥側に配置される。この場合、基板搭載面252,253が前後方向に段差をもって形成されているため、これら基板搭載面252,253に主制御装置261および音声ランプ制御装置262を搭載した状態において各制御装置261,262はその一部を前後に重ねて配置されるようになる。つまり、図12等にも見られるように、主制御装置261はその一部(本実施の形態では1/3程度)が浮いた状態で配置されるようになる。故に、主制御装置261に重なる領域まで音声ランプ制御装置262を拡張することが可能となり、当該制御基板の大型化にも良好に対処できる。また、各制御装置が効率良く設置できるようになる。また、第1制御基板ユニット201を遊技盤30に装着した状態では、基板搭載面252の後方にスペースが確保され、電動役物ユニット603やその電気配線等が無理なく設置できるようになっている。
図13および図14に示すように、主制御基板用の基板搭載面252には、左右2ヵ所に横長形状の貫通孔254が形成されている。これに対応して、主制御装置261の基板ケース263には、その裏面の左右2ヵ所に回動式の固定具267が設けられている。主制御装置261を基板搭載面252に搭載する際には、基板搭載面252の貫通孔254に固定具267が通され、その状態で固定具267が回動されて主制御装置261がロックされる。従って、上述の通り主制御装置261はその一部が浮いた状態で配置されるとしても、当該主制御装置261の脱落等の不都合が回避できる。また、主制御装置261は、裏パックユニット203の軸線を軸心として開き、第1制御基板ユニット201を、軸線を軸心として開いた後に、この第1制御基板ユニット201(基板搭載面252)の裏面側から固定具267をロック解除しなければ、取り外しできないため、基板取り外し等の不正行為に対して抑止効果が期待できる。主制御基板用の基板搭載面252にはその裏面に格子状のリブ255が設けられている。
取付台251には、図12等の左端面に上下一対の支軸256が設けられており、この支軸256を図8等に示す支持金具231に取り付けることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に対して開閉可能に支持される。また、取付台251には、右端部に締結具として上下一対のナイラッチ257が設けられると共に上端部に長孔258が設けられており、ナイラッチ257を図8等に示す被締結孔232にはめ込むこと等により、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に固定されるようになる。
次に、第2制御基板ユニット202を、図15〜図17を用いて説明する。図15は第2制御基板ユニット202の正面図、図16は同ユニット202の斜視図、図17は同ユニット202の分解斜視図である。但し、図16では便宜上、カードユニット接続基板314が取付台301から取り外された状態を示している。
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台301を有し、この取付台301に払出制御装置311、発射制御装置312、電源制御装置313およびカードユニット接続基板314が搭載されている。払出制御装置311、発射制御装置312および電源制御装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312により、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射モータ229の制御が行われ、電源制御装置313により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。カードユニット接続基板314は、パチンコ機前面の貸球操作部120(図1参照)および図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314は不要である。
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源制御装置313およびカードユニット接続基板314は、透明樹脂材料等よりなる基板ケース315,316,317,318にそれぞれ収容された構成とされる。
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
また、電源制御装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。
取付台301は例えば無色透明な樹脂成型品よりなり、その表面に平坦状をなす基板搭載面302が設けられている。この場合、発射制御装置312、電源制御装置313およびカードユニット接続基板314は取付台301の基板搭載面302に横並びの状態で直接搭載され、電源制御装置313の基板ケース317上に払出制御装置311が搭載されている。
また、取付台301には、図15等の右端部に上下一対の支軸305が設けられており、この支軸305を図9等に示す支持孔部237に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、取付台301には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ306が設けられており、ナイラッチ306を図9等に示す被締結孔239にはめ込むことで、第2制御基板ユニット202が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものであり、裏パックユニット203の正面図を図18に示し、分解斜視図を図19に示す。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機10の後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面および上面が閉鎖されかつ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも電動役物ユニット(センター役物)603を囲むのに十分な大きさを有する(但し、本実施形態では、前述の音声ランプ制御装置262も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。この通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の前記表示制御装置等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図19に示す払出通路359等を通じて上皿19に供給される。
タンクレール356と、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360とが一体化となるようにユニット化されている。つまり、バイブレータ360が例えば2本のネジでタンクレール356に締結されて取り付けられるようになっている。さらに、バイブレータ360は、タンクレール356に面接触するのではなく、当該2本のネジの部分で接触するようになっており、バイブレータ360による振動がより効果的にタンクレール356に伝わるようになっている。従って、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ONまたは電源OFFとされるようになっている。
タンク355から払出通路359に至るまでの払出機構部352は何れも導電性を有する樹脂材料(例えば導電性ポリカーボネート樹脂)にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
また、裏パック351には、図18等の右端部に上下一対の支軸385が設けられており、この支軸385を図8等に示す支持孔部238に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、裏パック351には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ386が設けられると共に、上端部に係止孔387が設けられており、ナイラッチ386を図8等に示す被締結孔240にはめ込むと共に、係止孔387に図8等に示す固定具242を係止させることで、裏パックユニット203が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。このとき、図8等に示す固定具241,243によっても裏パックユニット203が内枠12に固定される。
なお、図6,図18に示すように、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ388が設けられている。内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチ388からホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。
なお、図8に示すように、裏パックユニット203は、被締結孔240およびナイラッチ386と、固定具241とによって、内枠12の裏面に着脱自在に取り付けられている。このように固定具241も用いているので、タンク355に供給される遊技球の重みで裏パックユニット203が内枠12から外れてしまうことを防止している。
以上、パチンコ機10の正面側及び背面側の構成につき説明したが、次に、本発明に関する最も重要な部分、即ち、主制御装置261の第1制御基板ユニット201の基板ケース263について詳述する。この基板ケース263は、第1ケース(ケース本体部400)及び第2ケース(蓋体部500)を有して内部に回路基板が設けられた基板ユニットであって、前記第1ケース側に設けられる複数の第1封止部(本体側封止部401)と、前記第2ケース側に設けられる複数の第2封止部(蓋体側封止部501)と、その第1封止部と第2封止部とを連結する封止部材(封止ピン700)とを有し、その封止部材によって、少なくとも一つの前記第1封止部と第2封止部とが連結されている場合に前記回路基板を取り出すときには基板ユニットを破壊するか或いは所定の部位を切断することを必要とする基板ユニットである。
そして、前記基板ユニット201に係合部506を4個備え、該各係合部506は、爪部507とこれを受け止める受部508とから構成され、且つ、前記第1ケースであるケース本体部400(又は前記第2ケースの一方)側に爪部507を、第2ケースである蓋体部501側に受部508を設け、更に、前記爪部507と受部508のうち、少なくとも一方、ここでは爪部507側を弾性変形する弾性部509に構成し、前記第1ケースと前記第2ケースとが閉じられる位置で、前記爪部507と受部508とが前記弾性部509の弾性変形を介して係合し、且つ、前記弾性部509に対する強制的弾性変形力の付与無しには前記爪部507と受部508との係合が解除されないように構成してあるが、この詳細については以下順次説明を行う。
尚、本発明は、主制御装置261の基板ケース263のみならず、副制御装置(例えば前記表示制御装置、音声ランプ制御装置262、払出制御装置311、発射制御装置312、電源制御装置313など)の基板ケース315〜318にも適用できるが、説明が重複するので、便宜上、以下の実施形態では主制御装置261の基板ケース263に適用した場合についてのみ説明する。
尚、ケース本体部400(第1ケース),及び蓋体部500(第2ケース)の称呼について、既に、上記の解決手段の項において言及した通り、蓋は、ベースとなる本体に対して閉蓋するものであるが、蓋をベースとして、これに対して本体で閉蓋することもあり、相対的なものとして認識されてよい。従って、何れをケース本体部400、第1ケースと呼称し、蓋体部500、第2ケースと呼称するかは、制御基板収納の機能或いは構造の観点から任意に選定してよいものであって、本発明においては、上記の通りに呼称することにしている。
このように、前記基板ケース263は、図11乃至図13及び図20も示すように、一対のケース構成体、即ち、制御基板を略収納する容積のある、第1ケースとなるケース本体部400と、第2ケースとなるその蓋体部500とからなる。
前記基板ケース263は、第1封止部となる1個の本体側封止部401と、第2封止部となる1個の蓋体側封止部501とを備えた封止機構470により封印解除不能に構成されている。上記第1封止部(本体側封止部401)と第2封止部(蓋体側封止部501)とは、複数、ここでは、5個設けられている。図12乃至図13及び図20に基づいて、第1封止部及び第2封止部及びその封止部材について簡略に説明するが、かかる、第1封止部及び第2封止部及びその封止部材は、それ自体公知の構造のものである。
第1ケースであるケース本体部400及び第2ケースである蓋体部500は、互いにスライドして合わされる構造とされており、その嵌合方向の一側端部、即ち、正面視で長方形を成す基板ケース263の短辺側の一側端部には、前記5個の第1封止部である本体側封止部401と第2封止部である蓋体側封止部501とが互いに対向して対応するように夫々、所定の間隔を隔てて形成されている。そして、図11乃至図13に示すように、更に、前記蓋体側封止部401が、前記蓋体部500に対して破壊容易な肉厚の薄い一対のリブ502によって連結形成されている。
そして、本体側封止部401と蓋体側封止部501とを連結する封止部材として、ここでは、封止ピン700が、第1封止金具700Aと第2封止金具700Bとから構成され、第1封止金具700Aは、本体側封止部401の側にセットされ、第2封止金具700Bは、蓋体側封止部501から挿入されて前記第1封止金具700Aに係合するように構成されている。この封止ピン700についても、それ自体公知の構造のものである。
上記基板ケース263は、第1ケースであるケース本体部400と、第2ケースである蓋体部500との二つ割りに構成されるが、図20に示すように、互いがスライド操作によって開閉され、封止ピン700を用いて封止される。そして、前記ケース本体部400も蓋体部500も共に透明樹脂乃至半透明樹脂(ここでは、淡黄緑色だが、その他、黒色、白色、赤色、青色、黄色など)で成型されている。
そして、ケース本体部400及び蓋体部500は、互いに組み付けることで、図示しない制御基板を収容するための収容空間を形成する。この実施形態では、図20乃至図24にも示されているように、ケース本体部400の両側縁部に、コの字形の係合溝411,411を、蓋体部500の側に溝が向くように設ける一方、蓋体部500の両側縁部に、この係合溝411,411に嵌合する嵌合用突条体511,511を設けてある。そして、ケース本体部400及び蓋体部500を対向させ、互いにコの字形の係合溝411,411に嵌合用突条体511,511を嵌合させた状態で、少しスライドさせ、ケース本体部400及び蓋体部500を組み付ける構成としている。
これによって、前記ケース本体部400と前記蓋体部500の開閉を、一方の嵌合用突条体511と、該嵌合用突条体511が係入する他方の係合溝411とによって行うことで、両者のスライドによる合わせが位置安定した状態で行い得て、スライド合わせにおいて、後述の封止ピン700の先端係合部702に対する蓋体側封止部501の的確な接当状態が得られて、この封止ピン700の伸縮作用(下動変位)を確実に発現させることができる。
このように、前記ケース本体部400と本体側封止部401及び蓋体部500と蓋体側封止部501は、夫々一体成形されている。そして、前記蓋体側封止部501は、前記ケース本体400と前記蓋体部500とを閉封したときに、前記本体側封止部401のピン収納スペース410を実質的に閉蓋するように形成されている。
次に、本発明の特徴とする係合部506について、図20乃至図26に基づいて詳述する。但し、図21乃至図26の実施例は、本実施例の変形例であって、図20では、4個の係合部506が設けられているのに対し、3個であり、その詳細構造について後述する。
前記係合部506は、爪部507とこれを受け止める受部508とから構成され、且つ、第1ケースである前記ケース本体部400側に爪部を、第2ケースである蓋体部500の側に受部508を設けている。
更に、前記爪部507と受部508のうち、この実施例では、爪部507の方を弾性変形する弾性部509に構成している。
具体的には、前記爪部507は、細い扁平の板状体(長さ約15mm、幅約5mm、厚さ約2mm)が、ケース本体部400成型時に、該ケース本体部400の前記本体側封止部401が設けられた一側辺と対向する側の一側辺に一体的に外方に向けて突出するようにして構成されている。従って、プラスチック成形による素材の弾性が発現可能で、この実施例では、此れ自体が弾性部509を構成することになっている。このように、前記受部508が、後述するように実質的に角形筒状体(先端部有底)に形成され、前記爪部507が、前記角形筒状体に挿入されるように合成樹脂成形で細片に構成され、該細片構造によって弾性変形する弾性部509に構成してある。
尚、この爪部507は、ケース本体部400の成型時に一体成形されるのではなく、この爪部507を別途成形しておいて、ケース本体部400に接着又は融着する方法で設けることができる。
そして、前記ケース本体部400の一側辺の幅方向中間位置に、所定長さの(幅の約1/3)のネジ止め部510A(510Bは蓋体部500側)が形成されており、その両側において、2個の係合部506,506が、中間に基板取り付けネジ部511,511を介在させて、所定の間隔を隔てて設けられている。両最外側の係合部506,506の爪部507は、その外側部が前記ケース本体400の内側に位置して、前記ケース本体部400の側壁の内側に摺接するように配置されている。
前記各爪部507は、先端に鉤形のフック507aが形成されており、前記ケース本体部400と蓋体部500の嵌合が最終となったときに、そのフック507aが弾性変形を経て、後述の受部508に係合するように構成されている。
次に、係合部506の受部508の方の構造について、図20乃至図26に基づいて詳述する。
前記受部508は、第2ケースである蓋体部500の側端部で、前記係合部506の各爪部507に対応する位置に4個配置されており、各々の構造は次の通りである。
この受部508を設けるに、蓋体部500の合わせ面側壁端面に、前記爪部507の約1/2の厚み分だけ内側方向にコの字に切り欠かれた切り欠き溝508aが形成され、この切り欠き溝508aに合致し、且つ、連続するところのコの字溝508bを有し、その先端部508cが有底の角形筒状体の受部508が、この蓋体部500の側端部に一体成型されている。前記コの字溝508bは、角形筒状体の受部508の先端側の逆向きのコの字溝eに連続している。この逆向きのコの字溝eは、これを蓋体部500の外側から見た状態の形状である(角形筒状体の受部508の長手方向に直交する方向の断面を見るとコの字)。
この角形筒状体の受部508の先端部側の下面、即ち、ケース本体部400側に面した壁部が切り欠かかれ、開口部508dが形成されている。
この開口部508dは、角形筒状体の受部508に進入してきた爪部507の先端の鉤形のフック507aが係入するためのものである。
このように、受部508が角形筒状体に形成されたことで、この受部508に対する爪部507の係合を容易に解除出来ないようにすることができ、これにより係合解除規制部を構成することになる。
このような係合解除規制部として、受部508を角形筒状体に形成するほか、前記係合部506,506の間に規制壁を設けたり、受部508に後述のネジ止め部510Aを併置させるようにすることで同じ係合解除規制を行うようにすることができる。
従って、この受部508を外側から見ると、前記コの字溝508bを形成する側面と、前記逆向きのコの字溝508e(外側にコの字溝が開口)との間が、僅かの長さ(約1mm)だけ貫通する状態に形成されている。
この構造を、蓋体部500の側面視でみると、受部508の先端側に、ケース本体400に曲がったL字形状を呈する。
更に、前記コの字溝508bと逆向きのコの字溝508eの連通状態を、蓋体部500の側面視で見ると(実際は有底で見えない)、その角形筒状体の内部として、丁度爪部507の厚み(2mm)の連通孔を形成することになる。
上記構成の係合部506の係合プロセスについては、後に言及する。
図21及乃至図26に基づいて、更に追加説明を行う。図21は、係合プロセス開始の状態の斜視図で、図22は、そのA−A矢視断面図であり、図23は、係合直前の工程の状態を示す斜視図で、図24は、そのB−B矢視断面図であり、図25は、係合状態の斜視図で、図26は、そのC−C矢視断面図である。図21、図23、図25は、前記ケース本体部400と蓋体部500とを、一つの爪部507が長手方向に破断される状態で示されている。
前記係合部506は、爪部507とこれを受け止める受部508、508とから構成され、且つ、第1ケースである前記ケース本体部400側に爪部を、第2ケースである蓋体部500の側に受部508,508を設けている。
更に、前記爪部507と受部508,508のうち、この変形例でも爪部507の方を弾性変形する弾性部509に構成している。
前記爪部507は、細い扁平の板状体(長さ約15mm、幅約5mm、厚さ約2mm)が、ケース本体部400成型時に、該ケース本体部400の前記本体側封止部401が設けられた一側辺と対向する側の一側辺に一体的に外方に向けて突出するようにして構成されている。従って、プラスチック成形による素材の弾性が発現可能で、この実施例では、此れ自体が弾性部509を構成することになっている。
尚、この爪部507は、ケース本体部400の成型時に一体成形されるのではなく、この爪部507を別途成形しておいて、ケース本体部400に接着又は融着する方法で設けることができる。
そして、前記ケース本体部400の一側辺の幅方向の一側に、所定長さの(幅の約1/2)のネジ止め部510A(510Bは、蓋体部500側)が形成されており、その片側において、2個の係合部506,506が、中間に基板取り付けネジ部521を介在させて、所定の間隔を隔てて設けられている。そして、ネジ止め部510A(510Bは、蓋体部500側)の他側において、1個の係合部506が配置されている。
そして、ネジ止め部510A(510Bは、蓋体部500側)の片側の最外側の係合部506の爪部507は、その外側部が前記ケース本体400の内側に位置して、前記ケース本体部400の側壁の内側に摺接するように配置されている。
前記各爪部507は、先端に鉤形のフック507aが形成されており、前記ケース本体部400と蓋体部500の嵌合が最終となったときに、そのフック507aが弾性変形を経て、受部508に係合するように構成されている。
前記受部508,508は、第2ケースである蓋体部500の側端部で、前記係合部506の各爪部507に対応する位置に、夫々配置されており、各々の構造は次の通りである。
この受部508,508の受部508を設けるに、蓋体部500の合わせ面側壁端面に、前記爪部507の約1/2の厚み分だけ内側方向にコの字に切り欠かれた切り欠き溝508aが形成され、この切り欠き溝508aに合致し、且つ、連続するところのコの字溝508bを有し、その先端部508cが有底の角形筒状体の受部508が、この蓋体部500の側端部に一体成型されているものである。前記コの字溝508bは、角形筒状体の受部508の先端側の逆向きのコの字溝eに連続している。この逆向きのコの字溝eは、これを蓋体部500の外側から見た状態の形状である(角形筒状体の受部508の長手方向に直交する方向の断面を見るとコの字)。
この角形筒状体の受部508の先端部側の下面、即ち、ケース本体部400側に面した壁部が切り欠かかれ、開口部508dが形成されている。この開口部508dは、角形筒状体の受部508に進入してきた爪部507の先端の鉤形のフック507aが係入するためのものである。また、爪部507と受部508との係合を解除しようとするときに、この開口部508dから工具を差し込んで、爪部507を弾性変形させ、開口部508dからフック507aを浮き上がらせて係合状態を解除させるために用いる。
(作用の説明)
上記係合部506の作用について説明すると、図21に示す状態は、ケース本体部400と蓋体部500とが、その係合溝411と嵌合用突条体511との嵌合で面合わせされた状態から、両者のスライド嵌合がなされる直前の状態である。
図22は、この状態の図21におけるA−A矢視縦断側面図であり、前記爪部507が、図示で左方向にスライドされて移動する。
図23は、前記爪部507が受部508に到達し、その爪部507のフック507aが角形筒状の受部508の内部コの字の底部に乗り上げ、弾性変形をはじめる。図24は、この状態の図23におけるB−B矢視縦断側面図であり、ここから更にスライドが進行する。
図25は、ケース本体部400と蓋体部500とのスライド嵌合が終わった状態であり、図26は、図25におけるC−C矢視縦断側面図であって、このとき、爪部507のフック507aが、受部508の開口部508dに至って、弾性復元力によって、その開口部508dに落ち込むことになる。これによって、ケース本体部400と蓋体部500とが、スライド方向で係合されることになり、開き方向への解除ができない。
そして、この状態において、本体側封止部401と蓋体側封止部501とが封止ピン700によって固定される。
この後に、不正行為者が前記本体側封止部401と蓋体側封止部501を破壊して基盤ユニット201を開封しようとした際、従来ではこれを破壊しただけで開封できていたのが、上記の複数(3個或いは4個)の係合部506が係合しているため、これを解除しなければ、或いは破壊しなければ開封できず、この分、非常に時間と手間を要することになるのである。
また、複数の係合部506が設けられていることで、それらが何処に存在するかを見出さなければならず、それも手間を要するものであり、その結果、従来のように簡単に、短時間で不正が行われるのを抑止することができる。