JP2007227583A - 金属用研磨液 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、迅速な研磨速度、および、良好な銅/タンタル研磨選択性を有し、ディッシングが少なく、基板の平坦性を向上させることが可能な金属用研磨液を提供する。
【解決手段】半導体デバイスの製造における化学的機械的研磨に用いる研磨液であって、特定のアミノ酸誘導体を含有する金属用研磨液。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体デバイスの製造における化学的機械的研磨に用いる金属用研磨液に関する。
半導体集積回路(以下「LSI」という。)に代表される半導体デバイスの開発においては、高集積化・高速化のため、配線の微細化と積層化による高密度化・高集積化が求められている。
このための技術として、絶縁性薄膜(SiO2等)や配線に用いられる金属薄膜を研磨し、半導体集積回路用基板(以下、単に「基板」ともいう。)の平滑化や配線形成時の余分な金属薄膜の除去を行う化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下「CMP」という。)等の種々の技術が用いられてきている。
CMPの一般的な方法は、円形の研磨定盤(プラテン)上に研磨パッドを貼り付け、研磨パッド表面を研磨液(スラリー)で浸して、パッドに基板(ウエハ)の表面を押しつけ、その裏面から所定の圧力(研磨圧力)を加えた状態で、研磨定盤および基板の双方を回転させ、発生する機械的摩擦により基板の表面を平坦化するものである。CMPに用いる金属用研磨液は、一般には砥粒(例えば、アルミナ、シリカ)と酸化剤(例えば、過酸化水素、過硫酸)とを含むものであって、酸化剤によって金属表面を酸化し、その酸化皮膜を砥粒で除去することで研磨していると考えられている。
しかしながら、このような固体砥粒を含む金属用研磨液を用いてCMPを行うと、研磨傷(スクラッチ)、研磨面全体が必要以上に研磨される現象(シニング)、研磨金属面が平面状ではなく、中央のみがより深く研磨されて皿状のくぼみを生ずる現象(ディッシング)、金属配線間の絶縁体が必要以上に研磨されたうえ、複数の配線金属面表面が皿状の凹部を形成する現象(エロージョン)等が発生することがある。
このような従来の固体砥粒における問題点を解決するための技術として、例えば、特許文献1には、砥粒を含まず、過酸化水素、リンゴ酸、ベンゾトリアゾール、ポリアクリル酸アンモニウムおよび水を含有する金属用研磨液が開示されている。
この方法によれば、半導体基体の凸部の金属膜が選択的にCMPされ、凹部に金属膜が残されて所望の導体パターンが得られるものの、従来の固体砥粒を含むよりもはるかに機械的に柔らかい研磨パッドとの摩擦によってCMPが進むため、十分な研磨速度が得難いという問題点を有している。
一方、更なる高性能化を目指し、配線用の金属として、従来より汎用されているタングステンやアルミニウムに代えて、配線抵抗の低い銅を用いたLSIが開発されるようになった。高密度化を目指す配線の微細化に伴って、銅配線の導電性や電子マイギュレート耐性等の向上が必要となり、それに伴って高純度銅に銀等の第3成分を微量添加した銅合金を用いることも検討されはじめてきている。同時に、これらの高精細で高純度の材料を汚染させることなく高生産性を発揮し得る高速金属研磨手段が求められている。
また、最近は生産性向上のため、LSI製造時のウエハ径を大型化しており、現在は直径200mm以上が汎用されており、300mm以上の大きさでの製造も開始され始めている。このような大型化に伴い、ウエハ中心部と周辺部とでの研磨速度の差が大きくなり、面内均一性に対する改善要求が強くなってきている。
銅および銅合金に対して機械的研磨手段をもたない化学研磨方法としては、溶解作用のみによる化学研磨方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、凸部の金属膜が選択的に化学的機械的に研磨されるCMPに比べ、溶解作用のみによる化学研磨方法は、凸部以外の部分も画一的に溶解させるため、ディッシング等が発生しやすく平坦性の確保が課題となっている。
その他にも研磨面の段差平坦化を目的として、研磨パッドの劣化を抑える化学機械研磨用水系分散体(例えば、特許文献3参照。)や、酸化剤と、イオン緩衝剤と、パッシベーション剤と、イミノ二酢酸とその塩から選ばれるキレート化剤と、水と、を含む初期成分の溶液である、半導体デバイスの製造に適したウェハ表面を修正するのに有用な加工液(例えば、特許文献4参照。)や、特定のα−アミノ酸を含有する化学機械研磨組成物(例えば、特許文献5参照。)等が提案されており、これらの技術により、銅配線における研磨性能の向上が見られる。
銅配線の化学的機械的研磨においては、一般的に、銅配線を高速研磨した後、銅配線のバリア金属として用いられるタンタルやその合金類と銅とを精密研磨することにより、配線近傍の平滑化が行われる。
このため、銅配線を高速研磨する際に銅と一緒にタンタルまで研磨することを防止するために、研磨液には、銅が削れやすく、タンタルが削れにくいという、銅とタンタルとの研磨選択性(以下、「銅/タンタル研磨選択性」という。)が要求されている。
さらに、LSIの生産性を高めるため、良好な銅/タンタル選択性を有しながら、銅および銅合金を原料とする配線の迅速な研磨速度を実現する研磨液が求められている。
特開2001−127019号公報 特開昭49−122432号公報 特開2001−279231号公報 特表2002−538284号公報 特表2003−507894号公報
そこで、本発明は、迅速な研磨速度、および、良好な銅/タンタル研磨選択性を有し、ディッシングが少なく、基板の平坦性を向上させることが可能な金属用研磨液を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、特定のアミノ酸誘導体を含有することにより、迅速な研磨速度、および、良好な銅/タンタル研磨選択性を有し、ディッシングが少なく、基板の平坦性を向上させることが可能になることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、下記(1)〜(7)を提供する。
(1)半導体デバイスの製造における化学的機械的研磨に用いる研磨液であって、
下記式(I)で表されるアミノ酸誘導体、および/または、下記式(I)で表されるアミノ酸誘導体にカルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基およびこれらの基を部分構造として含む置換基からなる群から選択される少なくとも1種の置換基が導入されたアミノ酸誘導体を含有する金属用研磨液。
Figure 2007227583

(式中、X〜X5は、それぞれ独立に、CHまたはNを表し、X〜X5のうち少なくとも1つはNである。)
(2)研磨される金属が、銅または銅合金である上記(1)に記載の金属用研磨液。
(3)更に、水および/または水溶液を含有する上記(1)または(2)に記載の金属用研磨液。
(4)更に、酸化剤を含有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の金属用研磨液。
(5)更に、不動態膜形成剤を含有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の金属用研磨液。
(6)更に、砥粒を含有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の金属用研磨液。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の金属用研磨液を用いて化学的機械的研磨された半導体集積回路用基板。
本発明の金属用研磨液は、迅速な研磨速度、および、良好な銅/タンタル研磨選択性を有し、ディッシングが少なく、基板の平坦性を向上させることできる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の金属用研磨液は、半導体デバイスの製造における化学的機械的研磨に用いる研磨液であって、下記式(I)で表されるアミノ酸誘導体(以下、「アミノ酸誘導体(A)」という。)、および/または、下記式(I)で表されるアミノ酸誘導体にカルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基およびこれらの基を部分構造として含む置換基からなる群から選択される少なくとも1種の置換基が導入されたアミノ酸誘導体(以下、「アミノ酸誘導体(B)」という。)を含有する。
まず、本発明の金属用研磨液に用いられるアミノ酸誘導体(A)およびアミノ酸誘導体(B)について詳細に説明する。
〔アミノ酸誘導体(A)およびアミノ酸誘導体(B)〕
上記アミノ酸誘導体(A)は、下記式(I)で表されるアミノ酸誘導体である。
また、上記アミノ酸誘導体(B)は、下記式(I)で表されるアミノ酸誘導体(アミノ酸誘導体(A))にカルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基およびこれらの基を部分構造として含む置換基からなる群から選択される少なくとも1種の置換基が導入されたアミノ酸誘導体である。これらは、単独で用いてもよく、併用してもよい。
Figure 2007227583
上記式(1)中、X〜X5は、それぞれ独立に、CHまたはNを表し、X〜X5のうち少なくとも1つはNである。X〜X5は、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
〜X5の組み合わせとしては、例えば、
1=N,X2〜X5=CH;
2=N,X,X3〜X5=CH;
3=N,X1,X2,X4およびX5=CH;
1〜X2=N,X3〜X5=CH;
1およびX3=N,X2,X4およびX5=CH;
1およびX4=N,X2,X3およびX5=CH;
1およびX5=N,X2〜X4=CH;
1,X3およびX5=N,X2およびX4=CH
が好適に挙げられる。
より好ましくは、
1=N,X2〜X5=CH;
1〜X2=N,X3〜X5=CH;
1およびX3=N,X2,X4およびX5=CH;
1およびX4=N,X2,X3およびX5=CH;
1およびX5=N,X2〜X4=CH;
1,X3およびX5=N,X2およびX4=CHである。
更に好ましくは、X1=N,X2〜X5=CHである。
上記アミノ酸誘導体(B)は、上記式(I)で表されるアミノ酸誘導体にカルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基およびこれらの基を部分構造として含む置換基からなる群から選択される少なくとも1種の置換基が導入された化合物である。
上記アミノ酸誘導体に導入しうる、カルボキシ基を部分構造として含む置換基としては、例えば、カルボキシ基を少なくとも1つ有するアルキル基、アリール基等が挙げられる。中でも、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基等のカルボキシ基を1つ有する炭素数1〜3程度のアルキル基、即ち、カルボキシアルキル基が好ましく、カルボキシメチル基がより好ましい。
上記アミノ酸誘導体に導入しうる、ヒドロキシ基を部分構造として含む置換基としては、例えば、ヒドロキシ基を少なくとも1つ有するアルキル基、アリール基等が挙げられる。中でも、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等のヒドロキシ基を1つ有する炭素数1〜3程度のアルキル基、即ち、ヒドロキシアルキル基が好ましく、ヒドロキシメチル基がより好ましい。
上記アミノ酸誘導体に導入しうる、カルバモイル基を部分構造として含む置換基としては、例えば、カルバモイル基を少なくとも1つ有するアルキル基、アリール基等が挙げられる。中でも、カルバモイルメチル基、カルバモイルエチル基、カルバモイルプロピル基等のヒドロキシ基を1つ有する炭素数1〜3程度のアルキル基、即ち、カルバモイルアルキル基が好ましく、カルバモイルメチル基、カルバモイルエチル基がより好ましい。
上記アミノ酸誘導体に導入しうるアルキル基としては、例えば、直鎖、分岐または環状のアルキル基や、ビシクロアルキル基等の多環アルキル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、直鎖または分岐のプロピル基、直鎖または分岐のブチル基等の炭素数1〜4程度の直鎖または分岐のアルキル基が好ましく、特に、メチル基、エチル基がより好ましい。
また、上記アミノ酸誘導体に導入しうる、アルキル基を部分構造として含む置換基としては、例えば、活性メチン基を含むアルキル基等が挙げられる。
なお、活性メチン基とは、2つの電子求引性基で置換されたメチン基を意味し、電子求引性基とは、例えば、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)を意味する。2つの電子求引性基は互いに結合して環状構造をとってもよい。
上記アミノ酸誘導体に導入しうる、アリール基およびアリール基を部分構造として含む置換基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ベンジル基、ナフチルメチル、アントラニルメチル等が挙げられる。
上記アリール基は、置換基を有していてもよいが、無置換である方が好ましい。
上記アリール基に導入しうる置換基としては、具体的には、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であってもよく、また、活性メチン基を含んでいてもよい。)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基(置換基を有するカルバモイル基としては、例えば、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基)、カルバゾイル基、カルボキシ基またはその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基またはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシまたはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシまたはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルまたはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、四級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えば、ピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)ジチオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基(置換基を有するスルファモイル基としては、例えば、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基)またはその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
これらの置換基の中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基がより好ましい。
なお、これらの置換基は、ここに挙げられた置換基により更に置換されていてもよい。
なお、上記塩とは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属等の陽イオンや、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン等の有機の陽イオンを意味する。
上記アミノ酸誘導体に導入しうる、ヘテロ環基およびヘテロ環基を部分構造として含む置換基としては、例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピロリニル、イミダゾリニル、ピリジル、ピラジル、チアジアゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、インダゾリル、イミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、メチルピロリジニル、メチルイミダゾリジニル、メチルピロリニル、メチルイミダゾリニル、メチルピリジル、メチルピラジル、メチルチアジアゾリル、メチルチアゾリル、メチルトリアゾリル、メチルインダゾリル、メチルイミダゾリル、メチルベンゾチアゾリル、メチルベンゾイミダゾリル、メチルベンゾトリアゾリル、メチルベンゾオキサゾリル、メチルテトラゾリル、メチルオキサゾリル等が挙げられる。これらの中でも、ピリジルが好ましい。
上記ヘテロ環基は、置換基を有していてもよいが、無置換である方が好ましい。
上記ヘテロ環基に導入しうる置換基としては、上記アリール基に導入しうる置換基として例示したもの等が挙げられるが、中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基がより好ましい。
上記アミノ酸誘導体に導入しうる置換基としては、カルボキシ基またはフェニル基を部分構造として含む置換基またはアルキル基が好ましく、より好ましくは、カルボキシ基を部分構造として含む置換基またはアルキル基である。更に好ましくはメチル基である。
また、上記アミノ酸誘導体に導入しうる置換基の数は、1〜2個が好ましく、より好ましくは1個である。
ここで、複数の置換基が導入される場合、それらは同じものであっても、互いに異なるものであってもよい。
上記アミノ酸誘導体(B)において、上述した置換基が導入される位置は、上記式(1)で表される化合物のカルボキシメチル基のメチレン鎖上、窒素原子上およびアミノエチル基のメチレン鎖上の少なくとも1箇所であることが好ましく、より好ましくはカルボキシメチル基のメチレン鎖上またはアミノエチル基のメチレン鎖上であり、更に好ましくはカルボキシメチル基のメチレン鎖上である。
上記アミノ酸誘導体(B)としては、下記式で表される化合物が好ましい態様の1つである。
Figure 2007227583
上記式中、X1〜X5は、上記式(1)のX1〜X5と同様であり、Rは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基またはこれらの基を部分構造として含む置換基を表す。これらの置換基は上述したものと同様である。
以下、上記アミノ酸誘導体(A)および(B)の具体例(A−1〜A−19)を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007227583
上述したアミノ酸誘導体(A)およびアミノ酸誘導体(B)は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記アミノ酸誘導体(A)および(B)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法によって合成することができる。
まず、HETEROCYCLES,349−355(1985)を参考にして合成したエステル体を溶媒に溶解する。この溶媒としては、例えば、水、アセトニトリル、アルコール、またはこれらの混合溶媒が挙げられ、水単独が好ましい。
次に、上記混合物に、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはアンモニアの水溶液を、上記エステル体に対して0.1〜10倍モル加える。そして、反応溶液を5〜90℃でかくはんした後、貧溶媒を加えて生成物を析出させる。貧溶媒としては、アルコール、アセトン、アセトニトリル、またはこれらの混合溶媒がよい。
その後、濾取した析出物を風乾することで目的物が得られる。
上記アミノ酸誘導体(A)および/またはアミノ酸誘導体(B)の含有量は、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)1L中、好ましくは、0.0005〜5mol、より好ましくは0.01〜0.5molである。上記アミノ酸誘導体の含有量がこの範囲であると、迅速な研磨速度、および、良好な銅/タンタル研磨選択性を有し、ディッシングが少なく、基板の平坦性を向上させることできる。
本発明の金属用研磨液は、上記アミノ酸誘導体(A)および/またはアミノ酸誘導体(B)が銅と効率的に相互作用するため、迅速な研磨速度を有すると考えられる。
また、本発明の金属用研磨液は、上記アミノ酸誘導体(A)および/またはアミノ酸誘導体(B)がタンタルとは銅ほど相互作用しないため、良好な銅/タンタル研磨選択性を有すると考えられる。
また、上記アミノ酸誘導体(A)および/またはアミノ酸誘導体(B)が銅表面を改質するため、本発明の金属用研磨液を用いてCMPを行なう場合、ディッシングが少なく、基板の平坦性を向上させることできると考えられる。
以下、本発明の金属研磨液に用いられる上記アミノ酸誘導体以外の構成成分について、詳細に説明する。
本発明の金属用研磨液は、上述したアミノ酸誘導体(A)および/またはアミノ酸誘導体(B)と、酸化剤と、溶媒/分散媒とを含有する他は、その処方に特に制限はなく、本発明の効果を損なわない限りにおいては、公知の金属用研磨液に用いられる化合物を目的に応じて選択して用いることができる。本発明の金属用研磨液は、更に、芳香環を有する化合物を含有することが好ましく、芳香族へテロ環化合物を含有することがより好ましい。
〔溶媒/分散剤〕
本発明の金属用研磨液は、溶媒/分散剤として、更に、水および/または水溶液を含有するのが好ましい。
上記水溶液としては、例えば、酸化剤、有機酸、添加剤および界面活性剤のうち少なくとも1つ以上を含有する水溶液等が挙げられる。
ここで、本発明の金属用研磨液は、研磨に使用する際の金属用研磨液(即ち、必要により希釈された研磨液、以下、「使用液」と称する場合がある。)のみならず、金属用研磨液の濃縮液を含む。濃縮液とは、研磨に使用する際の研磨液(使用液)よりも、溶質の濃度が高く調製された研磨液を意味する。上記濃縮液は、研磨に使用する際に、水または水溶液で希釈して、研磨に使用されるものである。希釈倍率は、一般的には1〜20体積倍である。
本明細書において「濃縮」および「濃縮液」とは、使用状態よりも「濃厚」および「濃厚な液」を意味する慣用表現にしたがって用いており、蒸発等の物理的な濃縮操作を伴う一般的な用語の意味とは異なる用法で用いている。
したがって、上記水および/または水溶液の含有量は、本発明の金属用研磨液を使用液または濃縮液にするかで大きく異なり、その都度適宜選択すればよい。
なお、金属用研磨液の濃縮液作製時に添加する成分の内、室温での水に対する溶解度が5質量%未満のものの含有量は、濃縮液が冷却された際(例えば、5℃以下)に析出するのを防止する点で、室温での水に対する溶解度の2倍以内とすることが好ましく、1.5倍以内とすることがより好ましい。
〔酸化剤〕
本発明の金属用研磨液は、更に、酸化剤を含有するのが好ましい。
上記酸化剤としては、研磨対象の金属を酸化できる化合物であれば特に限定されないが、具体的には、例えば、過酸化水素、過酸化物、硝酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン水、銀(II)塩、鉄(III)塩等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、過酸化水素、硝酸、過ヨウ素酸カリウム、次亜塩素酸、およびオゾン水が好ましい。
上記鉄(III)塩としては、例えば、硝酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、臭化鉄(III)等の無機の鉄(III)塩の他、鉄(III)の有機錯塩が好ましく用いられる。
上記鉄(III)の有機錯塩を構成する錯形成化合物としては、例えば、酢酸、クエン酸、シュウ酸、サリチル酸、ジエチルジチオカルバミン酸、コハク酸、酒石酸、グリコール酸、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、チオグリコール酸、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−エタンジチオール、マロン酸、グルタル酸、3−ヒドロキシ酪酸、プロピオン酸、フタル酸、イソフタル酸、3−ヒドロキシサリチル酸、3,5−ジヒドロキシサリチル酸、没食子酸、安息香酸、マレイン酸等やこれらの塩の他、アミノポリカルボン酸およびその塩等が挙げられる。
上記アミノポリカルボン酸およびその塩としては、例えば、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン−N,N,N′,N′−四酢酸、1,2−ジアミノプロパン−N,N,N′,N′−四酢酸、エチレンジアミン−N,N′−ジコハク酸(ラセミ体)、エチレンジアミンジコハク酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、N−(カルボキシメチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、イミノジ酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミン1−N,N′−ニ酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N−ジ酢酸等およびその塩等が挙げられる。対塩の種類は、アルカリ金属塩およびアンモニウム塩が好ましく、特にはアンモニウム塩が好ましい。
これらの中でも、過酸化水素、硝酸、過ヨウ化酸カリウム、次亜塩素酸、およびオゾン水が好ましく、特に過酸化水素が好ましい。
酸化剤の含有量は、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)1L中、0.003〜8molが好ましい。酸化剤の含有量は、金属の酸化が十分で高いCMP速度を確保する点で0.003mol以上が好ましく、研磨面の荒れ防止の点から8mol以下が好ましい。これらの特性のバランスにより優れる点から、酸化剤の含有量は、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)1L中、0.03〜6molがより好ましく、0.1〜4molとすることが更に好ましい。
酸化剤は、研磨液を使用して研磨を行う際に、酸化剤以外の他の成分を含む組成物に混合して使用することが好ましい。そのため、本発明の金属用研磨液は、酸化剤以外の他の成分(上記アミノ酸誘導体(A)および/またはアミノ酸誘導体(B)、水等)を含有する組成物と、酸化剤とを別々に製造し、使用する際にこれらを混合して用いる2液型とするのが好ましい。
酸化剤を混合する時期は、研磨液を使用する直前の1時間以内が好ましく、より好ましくは5分以内、更に好ましくは、研磨装置にて研磨液を供給する直前に混合液を設け、被研磨面へ供給する直前5秒以内に混合することである。
〔不動態膜形成剤〕
本発明の金属用研磨液は、更に、不動態膜形成剤を含有することが好ましい。
上記不動態膜形成剤は、金属表面に研磨速度を制御する不動態膜を形成し得る化合物であり、例えば、芳香環を有する化合物(以下「芳香環化合物」という。)が好適に挙げられる。
上記芳香環化合物は、不動態膜を形成する機能の他に、酸化剤の分解を抑制する機能を有する。特に、本発明の金属用研磨液が、金属塩、金属イオンを含む場合、これらが触媒として機能して酸化剤の分解を早める問題があるが、上記芳香環化合物を含有すると酸化剤の分解を抑制できるので有用である。
上記芳香環化合物は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族炭化水素もしくはその誘導体、またはベンゼン核をもたないが芳香族性を示す化合物(非ベンゼノイド芳香族化合物)である。具体的には、例えば、テトラゾール類およびその誘導体、アントラニル酸類およびその誘導体、アミノトルイル酸、キナルジン酸、アゾール類等が挙げられる。これらの中でも、テトラゾール類およびその誘導体、アントラニル酸類およびその誘導体が好ましい。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記アゾール類としては、具体的には、例えば、ベンズイミダゾール−2−チオール、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオプロピオン酸、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオブチル酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、4−メトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−ブトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−オクチルオキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、5−ヘキシルベンゾトリアゾール、N−(1,2,3−ベンゾトリアゾリル−1−メチル)−N−(1,2,4−トリアゾリル−1−メチル)−2−エチルヘキシルアミン、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾール、ビス[(1−ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾールブチルエステル、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾールが、高いCMP速度と低いエッチング速度を両立できる点から好ましい。
上記テトラゾール類およびその誘導体としては、下記式(II)で表される化合物が好ましく、また、アントラニル酸類およびその誘導体としては、下記式(III)で表される化合物が好ましい。式(II)で表される化合物および式(III)で表される化合物は、併用してもよい。
Figure 2007227583
上記式(II)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または後述する置換基を表す。R1およびR2は、互いに結合して環を形成してもよい。なお、R1およびR2が水素原子である場合、一般式(II)で表される化合物は、その互変異性体でもよい。
上記式(III)中、R3〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または後述する置換基を表す。R3とR4、R4とR5、R5とR6は、それぞれ独立に、互いに結合して環を形成してもよい。
は後述する陽イオンを表す。
上記式(II)において、RおよびRで表される置換基は、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい。)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない。)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基(置換基を有するカルバモイル基としては、例えば、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基)、カルバゾイル基、カルボキシ基またはその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えば、ピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)ジチオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基(置換基を有するスルファモイル基としては、例えば、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基)またはその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
なお、上記活性メチン基とは2つの電子求引性基で置換されたメチン基を意味し、電子求引性基とは、例えば、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)を意味する。2つの電子求引性基は互いに結合して環状構造をとっていてもよい。
また、塩とは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属等の陽イオンや、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン等の有機の陽イオンを意味する。
上記置換基の中で好ましいものは、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない。)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む。)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)ジチオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基またはその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基である。
上記置換基の中でより好ましいものは、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい。)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない。)である。
上述した置換基は、更にここで挙げた置換基で置換されていてもよい。
上記式(II)中のR1およびR2が結合して、式(II)における−C−N−結合と共に形成する環としては、単環であっても多環であってもよく、好ましくは5〜6員環の単環、または5〜6員環から構成される多環である。
上記式(II)で表される化合物の分子量は、好ましくは20〜600であり、より好ましくは40〜400である。
上記式(II)で表される化合物の具体例(II−1〜II−51)を以下に挙げるが、これらに限定するものではない。
Figure 2007227583
Figure 2007227583
Figure 2007227583
上記式(II)で表される化合物の中で好ましいものとしては、化合物II−1、II−3、II−4、II−10、II−15、II−21、II−22、II−23、II−41、II−48が挙げられ、化合物II−1、II−4、II−15、II−22、II−23がより好ましい。
上記式(II)で表される化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(II)で表される化合物は、常法に従って合成できるほか、市販品を使用してもよい。
上記式(III)におけるR3〜R8で表される置換基は、特に限定されないが、例えば以下のものが挙げられる。
即ち、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい。)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない。)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基(置換基を有するカルバモイル基としては、例えば、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基)、カルバゾイル基、カルボキシ基またはその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む。)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えば、ピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)ジチオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基(置換基を有するスルファモイル基としては、例えばN−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基)またはその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
これらの置換基は、ここで挙げた置換基で更に置換されていてもよい。
なお、活性メチン基および塩については、上記式(II)における置換基の説明において記載した活性メチン基および塩と同義であり、好ましい例も同様である。
これらの中でも好ましい置換基としては、R3〜R6のうち少なくとも1つが、置換基を有しないアルキル基以外の置換基であり、更に好ましくは、R7とR8とがどちらも水素原子である。特に好ましくは、R3〜R6のうち少なくとも1つが上述した電子吸引性基であり、かつ、R7およびR8が水素原子である。
上記式(III)におけるMとしての陽イオンは、特に限定されないが、例えば、水素イオン、アルカリ金属イオン(例えば、Na、K、Li等)、アンモニウムイオン(例えば、NH 、4級アンモニウムイオン等)が挙げられる。
上記式(III)で表される化合物の分子量は、好ましくは20〜600、より好ましくは40〜400である。
上記式(III)で表される化合物の具体例(III−1〜III−39)を以下に挙げるが、これらに限定するものではない。
Figure 2007227583
Figure 2007227583
Figure 2007227583
更に、上記式(III)で表される化合物としては、上記例示した化合物が有するカルボキシ基の水素原子を、Na、K、Li等のアルカリ金属イオン、NH や4級アンモニウムイオン等のアンモニウムイオンで置換して塩としたものが挙げられる。
上記式(III)で表される化合物の中でも、III−2、III−5、III−9、III−27、III−29、III−30、III−33、III−35、III−37が好ましく、III−5、III−9、III−27、III−29、III−33がより好ましい。
上記式(III)で表される化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(III)で表される化合物は、市販品を使用してもよいし、常法に従って合成してもよい。例えば、上記化合物III−29は、Synthesis(8)、654−659(1983)に記載の合成法に準じて合成することができる。
また、化合物III−37は、Tetrahedron Letters、51(7)、1861−1866(1995)およびTetrahedron Letters、44(25)、4741−4745(2003)に記載の方法に準じて合成することができる。
他の化合物もこれらに記載の方法に準じて合成することができる。
上記不動態膜形成剤の含有量は、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)1L中、0.0001〜1.0molが好ましい。即ち、不動態膜形成剤の含有量は、酸化剤およびこれらの化合物の劣化(無効化、分解)防止の点から研磨に使用する際の研磨液1L中、1.0mol以下が好ましく、充分な効果を得る上で0.0001mol以上が好ましい。
これらの特性のバランスにより優れる点から、上記不動態膜形成剤の含有量は、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)1L中、より好ましくは0.001〜0.5mol、更に好ましくは0.01〜0.1molである。
なお、上記テトラゾール類およびその誘導体や上記アントラニル酸類およびその誘導体の含有量よりも少ない含有量であれば、チオシアン酸塩、チオエーテル類、チオ硫酸塩またはメソイオン化合物を併用してもよい。
上記不動態膜形成剤の分子量は、20〜600が好ましく、40〜400がより好ましく、60〜350が更に好ましい。
〔砥粒〕
本発明の金属用研磨液は、更に、砥粒を含有することが好ましい。
上記砥粒としては、例えば、シリカ(沈降シリカ、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、合成シリカ)、セリア、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、酸化マンガン、炭化ケイ素、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリテレフタレート等が好適に挙げられる。
上記砥粒の平均粒径は、5〜1000nmが好ましく、10〜200nmがより好ましい。
上記砥粒の含有量は、使用する際の金属用研磨液(使用液)の全質量に対して、0.01〜20質量%であることが好ましい。即ち、研磨速度の向上と、ウエハ面内の研磨速度のばらつきを低減とを達成できる点から、0.01質量%以上が好ましく、CMPによる研磨速度が飽和するため、20質量%以下が好ましい。
これらの特性のバランスにより優れる点から、上記砥粒の含有量は、使用する際の金属用研磨液(使用液)の全質量に対して、0.05〜5質量%であることがより好ましい。
〔有機酸〕
本発明の金属用研磨液は、、酸化の促進、pH調整、緩衝剤としての作用等を目的として、上記アミノ酸誘導体以外の有機酸を含有することができる。上記有機酸は、金属を酸化するための酸化剤とは構造が異なる化合物であり、上述した酸化剤として機能する酸を包含するものではない。
上記有機酸は、酸を発生する有機化合物であれば特に限定されないが、例えば、少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物が好適に挙げられる。また、上記有機酸は、水溶性のものが好ましく、具体的には、例えば、アミノ酸類が好適に挙げられる。
上記有機酸としては、具体的には、例えば、上記アミノ酸誘導体以外のアミノ酸類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、およびこれらのアンモニウム塩やアルカリ金属塩等が好適に挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記アミノ酸誘導体以外のアミノ酸類(第一級、第二級、第三級のアミノ酸、およびアミノポリカルボン酸類を含む。)は、水溶性のものが好ましい。具体的には、例えば、グリシン、L−アラニン、β−アラニン、L−2−アミノ酪酸、L−ノルバリン、L−バリン、L−ロイシン、L−ノルロイシン、L−イソロイシン、L−アロイソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、サルコシン、L−オルニチン、L−リシン、タウリン、L−セリン、L−トレオニン、L−アロトレオニン、L−ホモセリン、L−チロシン、3,5−ジヨード−L−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、L−チロキシン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、L−システィン、L−メチオニン、L−エチオニン、L−ランチオニン、L−シスタチオニン、L−シスチン、L−システィン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)−L−システィン、4−アミノ酪酸、L−アスパラギン、L−グルタミン、アザセリン、L−アルギニン、L−カナバニン、L−シトルリン、δ−ヒドロキシ−L−リシン、クレアチン、L−キヌレニン、L−ヒスチジン、1−メチル−L−ヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、エルゴチオネイン、L−トリプトファン、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、N−ヒドロキシエチルグリシン、N−ヒドロキシエチル−α−アラニン、アクチノマイシンC1、アパミン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンIIおよびアンチパイン等が好適に挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グリシン、グリコール酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸が、実用的なCMP速度を維持しつつ、エッチング速度を効果的に抑制できるという点からより好ましい。
上記有機酸の含有量は、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)1L中、0.0005〜0.5molが好ましい。即ち、エッチングの抑制の点から0.5mol以下が好ましく、充分な効果を得る上で0.0005mol以上が好ましい。
これらの特性のバランスにより優れる点から、上記有機酸の含有量は、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)1L中、0.005〜0.3molがより好ましく、0.01〜0.1molが更に好ましい。
〔無機酸〕
本発明の金属用研磨液は、酸化の促進、pH調整、緩衝剤としての作用等を目的として、更に、無機酸を含有することができる。
上記無機酸としては、特に限定されないが、例えば、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸等が挙げられる。これらの中でも、リン酸が好ましい。
上記無機酸の含有量は、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)1L中、0.0005〜0.5molが好ましい。即ち、上記無機酸の含有量は、エッチングの抑制の点から0.5mol以下が好ましく、充分な効果を得る上で0.0005mol以上が好ましい。
これらの特性のバランスにより優れる点から、上記無機酸の含有量は、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)1L中、0.005〜0.3molがより好ましく、0.01〜0.1molが更に好ましい。
〔キレート剤〕
本発明の金属用研磨液は、混入する多価金属イオン等の悪影響を低減できる点から、更に、キレート剤(即ち、硬水軟化剤)を含有することが好ましい。
上記キレート剤は、カルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤である汎用の硬水軟化剤やその類縁化合物である。具体的には、例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記キレート剤の含有量は、混入する多価金属イオン等の金属イオンを封鎖するのに充分な量であればよいが、例えば、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)1L中、0.0003〜0.07molが好ましい。
〔界面活性剤および/または親水性ポリマー〕
本発明の金属用研磨液は、更に、界面活性剤および/または親水性ポリマーを含有することが好ましい。界面活性剤と親水性ポリマーは、いずれも被研磨面の接触角を低下させる作用を有して、均一な研磨を促す作用を有する。
上記界面活性剤および/または親水性ポリマーとしては、以下の群から選ばれたものが好ましい。
陰イオン界面活性剤(アニオン性界面活性剤)としては、例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩等が挙げられる。より具体的には、カルボン酸塩として、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド;スルホン酸塩として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンおよびアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩;硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩;リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤(カチオン性界面活性剤)としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、例えば、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられる。より具体的には、エーテル型として、ポリオキシエチレンアルキルおよびアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;、エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル;エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル;含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤を用いることもできる。
更に、その他の界面活性剤、親水性化合物、親水性ポリマー等としては、具体的には、例えば、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、3−エトキシプロピオン酸およびアラニンエチルエステル等のエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリエチレングリコール、アルケニルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリプロピレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリプロピレングリコール、アルケニルポリプロピレングリコールアルキルエーテルおよびアルケニルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル等のエーテル;アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードランおよびプルラン等の多糖類;グリシンアンモニウム塩およびグリシンナトリウム塩等のアミノ酸塩;ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩およびポリグリオキシル酸等のポリカルボン酸およびその塩;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポリアクロレイン等のビニル系ポリマー;メチルタウリン酸アンモニウム塩、メチルタウリン酸ナトリウム塩、硫酸メチルナトリウム塩、硫酸エチルアンモニウム塩、硫酸ブチルアンモニウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、1−アリルスルホン酸ナトリウム塩、2−アリルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩およびスルホコハク酸ナトリウム塩等のスルホン酸およびその塩;プロピオンアミド、アクリルアミド、メチル尿素、ニコチンアミド、コハク酸アミドおよびスルファニルアミド等のアミド等が挙げられる。
ただし、適用する基体が半導体集積回路用シリコン基板等の場合はアルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化物等による汚染は望ましくないため、酸またはそのアンモニウム塩が好ましい。基体がガラス基板等である場合はその限りではない。
上記例示した化合物の中でも、シクロヘキサノール、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリビニルアルコール、コハク酸アミド、ポロビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーが好ましい。
上記界面活性剤および/または親水性ポリマーの含有量は、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)1L中、0.001〜10gが好ましい。即ち、界面活性剤および/または親水性ポリマーの含有量は、充分な効果を得る上で、0.001g以上が好ましく、CMP速度の低下防止の点から10g以下が好ましい。
これらの特性のバランスにより優れる点から、0.01〜5gがより好ましく、0.1〜3gが更に好ましい。
上記界面活性剤および/または親水性ポリマーの重量平均分子量としては、500〜100000が好ましく、2000〜50000がより好ましい。
〔アルカリ剤および緩衝剤〕
本発明の金属用研磨液は、必要に応じて、pH調整のために、更に、アルカリ剤を含有することができる。また、pHの変動抑制の点から、更に、緩衝剤を含有することができる。
上記アルカリ剤および緩衝剤としては、具体的には、例えば、水酸化アンモニウムおよびテトラメチルアンモニウムハイドロキサイド等の有機水酸化アンモニウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のようなアルカノールアミン類等の非金属アルカリ剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキシアミノメタン塩、リシン塩等が挙げられる。
より具体的には、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)、水酸化アンモニウム等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、およびテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドが好ましい。
アルカリ剤および緩衝剤の含有量としては、pHが好ましい範囲に維持される量であればよく、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)1L中、0.0001〜1.0molとすることが好ましく、0.003〜0.5molとすることがより好ましい。
また、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)のpHは2〜14が好ましく、3〜12がより好ましく、3.5〜8が更に好ましい。pHがこの範囲であれば、本発明の金属用研磨液は特に優れた効果を発揮する。
また、所望のpHに調整するために、酸を加えることもできる。ここで用いることができる酸としては、例えば、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸、炭酸等が挙げられ、リン酸、硝酸、硫酸が好ましい。
本発明の金属用研磨液においては、研磨面への吸着性や反応性、研磨金属の溶解性、被研磨面の電気化学的性質、化合物官能基の解離状態、液としての安定性等に応じて、適時化合物種、含有量またはpHを設定することができる。
〔添加剤〕
本発明の金属用研磨液は、必要に応じて、本発明の目的を損わない範囲で、以下の添加剤を含有してもよい。
上記添加剤としては、アンモニア;ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、プロピレンジアミン等のアルキルアミン、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムおよびキトサン等のアミン;ジチゾン、クプロイン(2,2′−ビキノリン)、ネオクプロイン(2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン)、バソクプロイン(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)およびキュペラゾン(ビスシクロヘキサノンオキサリルヒドラゾン)等のイミン;ベンズイミダゾール−2−チオール、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオプロピオン酸、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオブチル酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、4−メトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−ブトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−オクチルオキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、5−ヘキシルベンゾトリアゾール、N−(1,2,3−ベンゾトリアゾリル−1−メチル)−N−(1,2,4−トリアゾリル−1−メチル)−2−エチルヘキシルアミン、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾール、ビス[(1−ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸等のアゾール;ノニルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、トリアジンチオール、トリアジンジチオール、トリアジントリチオール等のメルカプタン;アントラニル酸、アミノトルイル酸、キナルジン酸等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でもキトサン、エチレンジアミンテトラ酢酸、L−トリプトファン、キュペラゾン、トリアジンジチオール、ベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾールブチルエステル、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾールが、高いCMP速度と低いエッチング速度を両立できる点から好ましい。
上記添加剤の含有量は、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)1L中、0.0001〜0.5molとすることが好ましい。即ち、添加剤の含有量は、エッチング抑制の点から0.0001mol以上が好ましく、CMP速度低下防止の点から0.5mol以下が好ましい。
これらの特性のバランスにより優れる点から、上記添加剤の含有量は、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)1L中、0.001〜0.2molとすることがより好ましく、0.005〜0.1molとすることが更に好ましい。
上述した本発明の金属用研磨液の製造方法は、特に限定されないが、例えば、反応容器に上記アミノ酸誘導体、水、上記酸化剤および上記不動態膜形成剤、ならびに必要に応じて上記各任意成分を入れ、混合ミキサー等のかくはん機を用いて十分にかくはんする方法を用いることができる。上記酸化剤は、本発明の金属用研磨液を使用する際に混合するのが好ましい。
以下、本発明の金属用研磨液を用いて研磨を行う対象および研磨方法について、詳細に説明する。
〔基板(ウエハ)〕
本発明の金属用研磨液を用いてCMPを行なう対象となる基板は、直径が200mm以上であることが好ましく、本発明の金属用研磨液が顕著に効果を発揮できる点から300mm以上がより好ましい。
〔配線金属原材料〕
本発明の金属用研磨液を用いて研磨される金属は、銅および/または銅合金が好ましい。即ち、本発明においては、研磨する対象である基板が、銅および/または銅合金からなる配線を持つ基板であることが好ましく、銅合金からなる配線を持つ基板がより好ましい。
更には、銅合金の中でも、銀を含有する銅合金が好ましい。銅合金に含有される銀含量は、40質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましく、0.00001〜0.1質量%が特に好ましい。この範囲であれば、本発明の金属用研磨液の効果を十分発揮できる。
〔配線の太さ〕
本発明においては、研磨する対象である基板の配線の太さは、例えば、DRAMデバイス系では、ハーフピッチで0.15μm以下であるのが好ましく、0.10μm以下であるのがより好ましく、0.08μm以下であるのが更に好ましい。一方、MPUデバイス系では、0.12μm以下が好ましく、0.09μm以下がより好ましく、0.07μm以下が更に好ましい。これらのLSIに対して、本発明の金属用研磨液は特に優れた効果を発揮する。
〔バリア金属〕
本発明においては、研磨する対象である基板が、銅および/または銅合金からなる配線と層間絶縁膜との間に、銅の拡散を防ぐためのバリア層を有していることが好ましい。バリア層としては低抵抗の金属材料がよく、特に、TiN、TiW、Ta、TaN、W、WNが好ましく、中でもTa、TaNが更に好ましい。
<研磨方法(化学的機械的研磨(CMP))>
以下、本発明の金属用研磨液を用いた研磨方法を説明するが、研磨方法はこれに限定されない。
本発明の金属用研磨液は、(1)濃縮液であって、使用する際に水または水溶液を加えて希釈して使用液とする場合、(2)各成分が後述する水溶液の形態で準備され、これらを混合し、必要により水を加え希釈して使用液とする場合、(3)使用液として調製されている場合がある。
本発明の金属用研磨液を用いた研磨方法は、特に限定されないが、上記(1)〜(3)のいずれの場合にも適用でき、具体的には、研磨液を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、被研磨面と接触させて被研磨面と研磨パッドを相対運動させることで研磨する研磨方法である。
研磨に用いられる装置としては、被研磨面を有する半導体集積回路用基板等を保持するホルダーと、研磨パッドを貼り付けた(回転数が変更可能なモータ等を取り付けてある)研磨定盤とを有する一般的な研磨装置が使用できる。
研磨パッドとしては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等が使用でき、特に制限がない。
また、研磨条件は、特に制限はないが、研磨定盤の回転速度は基板が飛び出さないように200rpm以下の回転速度が好ましい。被研磨面(被研磨膜)を有する半導体集積回路用基板の研磨パッドへの押しつけ圧力は、5〜500g/cm2であることが好ましく、研磨速度のウエハ面内均一性およびパターンの平坦性を満足するためには、12〜240g/cm2であることがより好ましい。
研磨している間、研磨パッドには、本発明の金属用研磨液をポンプ等で連続的に供給するのが好ましい。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。また、金属用研磨液の供給速度は、研磨速度のウエハ面内均一性およびパターンの平坦性を満足するため、10〜1000ml/minが好ましく、170〜800ml/minがより好ましい。
研磨終了後の半導体集積回路用基板は、流水中で良く洗浄した後、スピンドライヤ等を用いて半導体集積回路用基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させる。
本発明において、上記(1)に示す方法のように、濃縮液を希釈する際には、酸化剤、有機酸、添加剤、界面活性剤のうち少なくとも1つ以上を含有する水溶液を用いるのが好ましい。この水溶液中に含有している成分と、希釈される濃縮液中に含有している成分とを合計した成分が、研磨する際に使用する金属用研磨液、即ち使用液の成分となる。
このように、濃縮液を水溶液で希釈して使用する場合には、溶解しにくい成分を水溶液の形で後から配合することができることから、より濃縮された濃縮液を調製することができる。
また、濃縮液に水または水溶液を加えて希釈する方法としては、濃縮された金属用研磨液を供給する配管と水または水溶液を供給する配管とを途中で合流させて混合し、混合し希釈された金属用研磨液の使用液を研磨パッドに供給する方法がある。濃縮液と水または水溶液との混合は、例えば、圧力を付した状態で狭い通路を通して液同士を衝突混合する方法、配管中にガラス管等の充填物を詰め液体の流れを分流分離、合流させることを繰り返し行う方法、配管中に動力で回転する羽根を設ける方法等通常に行われている方法により行なうことができる。
更に、濃縮液を水または水溶液等により希釈しつつ、研磨する方法としては、金属用研磨液を供給する配管と水または水溶液を供給する配管とを独立に設け、それぞれから所定量の液を研磨パッドに供給し、研磨パッドと被研磨面の相対運動で混合しつつ研磨する方法がある。また、1つの容器に、所定量の濃縮液と水または水溶液とを入れ混合してから、研磨パッドにその混合した金属用研磨液を供給し、研磨をする方法を用いることもできる。
別の研磨方法としては、金属用研磨液が含有すべき成分を少なくとも2つの構成成分に分けて、それらを使用する際に、水または水溶液を加えて希釈し、研磨定盤上の研磨パッドに供給し、被研磨面と接触させて被研磨面と研磨パッドを相対運動させて研磨する方法が挙げられる。
例えば、酸化剤を構成成分(A)とし、有機酸、添加剤、界面活性剤および水を構成成分(B)とし、それらを使用する際に水または水溶液で、構成成分(A)および構成成分(B)を希釈して使用することができる。
また、溶解度の低い添加剤を2つの構成成分(A)と(B)に分け、例えば、酸化剤、添加剤、および界面活性剤を構成成分(A)とし、有機酸、添加剤、界面活性剤、および水を構成成分(B)とし、それらを使用する際に水または水溶液を加え、構成成分(A)および構成成分(B)を希釈して使用する。
上記のような例の場合、構成成分(A)と構成成分(B)と水または水溶液とをそれぞれ供給する3つの配管が必要であり、希釈混合は、3つの配管を、研磨パッドに供給する1つの配管に結合し、その配管内で混合する方法があり、この場合、2つの配管を結合してから他の1つの配管を結合することも可能である。具体的には、溶解しにくい添加剤を含む構成成分と他の構成成分を混合し、混合経路を長くして溶解時間を確保してから、更に、水または水溶液の配管を結合する方法である。
その他の混合方法としては、上記したように直接に3つの配管をそれぞれ研磨パッドに導き、研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合する方法や、1つの容器に3つの構成成分を混合して、そこから研磨パッドに希釈された金属用研磨液(使用液)を供給する方法が挙げられる。
上記した研磨方法において、酸化剤を含む1つの構成成分を40℃以下にし、他の構成成分を室温から100℃の範囲に加温し、1つの構成成分と他の構成成分とを混合する際、または、水もしくは水溶液を加え希釈する際に、液温を40℃以下とするようにすることができる。この方法は、温度が高いと溶解度が高くなる現象を利用し、金属用研磨液の溶解度の低い原料の溶解度を上げるために好ましい方法である。
上記の他の構成成分を室温から100℃の範囲で加温することで溶解させた原料は、温度が下がると溶液中に析出するため、低温状態の他の構成成分を用いる場合は、予め加温して析出した原料を溶解させる必要がある。これには、加温し、原料が溶解した他の構成成分を送液する手段と、析出物を含む液をかくはんしておき、送液し、配管を加温して溶解させる手段とを採用することができる。加温した他の構成成分が、酸化剤を含む1つの構成成分の温度を40℃以上に高めると酸化剤が分解する恐れがあるので、この加温した他の構成成分と酸化剤を含む1つの構成成分とを混合した場合、40℃以下となるようにすることが好ましい。
このように、本発明においては、金属用研磨液の成分を2つ以上に分けて研磨面に供給してもよい。この場合、酸化物を含む成分と有機酸を含有する成分とに分けて供給することが好ましい。また、金属用研磨液を濃縮液とし、希釈水を別にして研磨面に供給してもよい。
〔研磨用パッド〕
研磨用パッドは、無発泡構造パッドでも発泡構造パッドでもよい。前者はプラスチック板のように硬質の合成樹脂バルク材をパッドに用いるものである。また、後者は更に独立発泡体(乾式発泡系)、連続発泡体(湿式発泡系)、2層複合体(積層系)の3つがあり、特に、2層複合体(積層系)が好ましい。発泡は、均一でも不均一でもよい。
更に、研磨用パッドは、研磨に用いる砥粒(例えば、セリア、シリカ、アルミナ、樹脂等)を含有したものでもよい。
また、研磨用パッドの硬さは、軟質のものと硬質のもののどちらでもよく、積層系ではそれぞれの層に異なる硬さのものを用いることが好ましい。
研磨用パッドの材質としては、不織布、人工皮革、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート等が好ましい。
また、研磨用パッドの研磨面と接触する面には、格子溝、穴、同心溝、らせん状溝等の加工が施されていてもよい。
上述したように、本発明の金属用研磨液は、迅速な研磨速度、および、良好な銅/タンタル研磨選択性を有し、本発明の金属用研磨液を用いてCMPを行った場合、ディッシングが少なく、基板の平坦性を向上させることできるので、LSIにおける、コロージョン、スクラッチ、シニング、エロージョン等の研磨の局部的な不均一に伴う欠陥の発生が低レベルに維持することが可能となる。
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<アミノ酸誘導体A−1の合成>
N−[2]−ピリジルメチル-グリシン-エチルエステル630g(3.2mol)を水945mLに溶解し、これに25%アンモニア水溶液415mL(6.1mol)を加えた。反応液を室温で24時間かくはんした後、塩酸で中和した。次に、エバポレーターで減圧濃縮し、エタノールを加えることにより、析出物を得た。この析出物を濾取し、風乾し、下記式で表されるアミノ酸誘導体A−1を450g(2.7mol,収率85%)得た。
得られたアミノ酸誘導体A−1の元素分析値は以下の通りであった。
元素分析値 C8H10N2O2=166.2として、
計算値 C57.8 N16.9(%)
実測値 C57.6 N17.2(%)
Figure 2007227583
<実施例1>
下記に示す各成分を下記に示す組成でかくはん機を用いて混合し、実施例1の金属用研磨液を調製した。
得られた金属用研磨液を用いて、下記の方法により研磨試験を行い、銅研磨速度、ディッシングおよび銅/タンタル研磨選択性を評価した。
結果を下記第1表に示す。
(研磨液の組成)
(1)アミノ酸誘導体A−1・・・6g
(2)過酸化水素(酸化剤)・・・5g
(3)ベンゾトリアゾール(不動態膜形成剤)・・・0.9g
(4)コロイダルシリカ(砥粒)・・・9g
(5)純水・・・全量が1000mlとなる量
(6)アンモニア水および硫酸・・・研磨液のpHが6.4になるように調整
なお、上記アミノ酸誘導体A−1、過酸化水素ベンゾトリアゾールおよびコロイダルシリカの質量は、これらの成分自体の質量を示す。
(研磨試験)
研磨試験は、以下の条件で行った。
・研磨パッド:IC1400XY−K Groove(ロデール社製)
・研磨機:LGP−612(LapmaSterSFT社製)
・押さえ圧力:100g/cm2
・研磨液供給速度:200ml/min
・銅ブランケットウエハ:厚さ1.4μmの銅膜を形成したウエハ(200mm)
・タンタルブランケットウエハ:厚さ1μmのタンタル膜を形成したウエハ(200mm)
・パターンウエハ:セマテック社製CMP854パターンウエハ(200mm)
・研磨パッド/ウエハの回転数:95/120rpm
・定盤温調:20℃
(評価方法)
(1)銅研磨速度
上記銅ブランケットウエハ面上の49箇所に対し、銅膜のCMP前後での膜厚を電気抵抗値から換算して、銅の平均研磨速度(nm/min)を求めた。
(2)ディッシング
上記パターンウエハに対し、非配線部の銅が完全に研磨されるまでの時間に加えて、この時間の50%に相当する時間研磨し、ラインアンドスペース部(ライン100μm、スペース100μm)のディッシングを触針式段差計で測定した。
(3)銅/タンタル研磨選択性
上記(1)の銅ブランケットウエハを上記タンタルブランケットウエハに換えた以外は上記(1)の方法と同様にして、タンタルの平均研磨速度(nm/min)を求めた。
このタンタルの平均研磨速度および上記(1)で測定した銅の平均研磨速度を、下記式に導入し、銅とタンタルの研磨速度比(銅/タンタル研磨速度比)を算出した。
(銅/タンタル研磨速度比)=(銅の平均研磨速度)/(タンタルの平均研磨速度)
<実施例2>
実施例1の金属用研磨液の組成において、ベンゾトリアゾール(不動態膜形成剤)をテトラゾールに換えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の金属用研磨液を調製した。
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、銅研磨速度、ディッシングおよび銅/タンタル研磨選択性を評価した。
結果を下記第1表に示す。
<比較例1〜3>
実施例1の金属用研磨液の組成において、アミノ酸誘導体A−1を下記第1表に示す有機酸に換えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜3の金属用研磨液を調製した。
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、研磨速度、ディッシングおよび銅/タンタル研磨選択性を評価した。
結果を下記第1表に示す。
Figure 2007227583
上記第1表に示す結果から明らかなように、アミノ酸誘導体A−1を含有する金属用研磨液(実施例1および2)は、優れた銅研磨速度を有していた。また、グリシン等のα−アミノ酸やイミノジ酢酸を含有する金属用研磨液(比較例1〜3の研磨液)と比較した場合、ディッシングを大幅に改善でき、基板の平坦性を向上させることができた。更に、銅/タンタル研磨速度比が大きく、銅/タンタル研磨選択性が良好だった。
このような結果から、本発明の金属用研磨液は、銅および/または銅合金からなる配線を有する基板の研磨に用いられることが好ましく、銅および/または銅合金からなる配線を有し、バリア金属がタンタルである基板の研磨に用いられることがより好ましいことが明らかとなった。

Claims (3)

  1. 半導体デバイスの製造における化学的機械的研磨に用いる研磨液であって、
    下記式(I)で表されるアミノ酸誘導体、および/または、下記式(I)で表されるアミノ酸誘導体にカルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基およびこれらの基を部分構造として含む置換基からなる群から選択される少なくとも1種の置換基が導入されたアミノ酸誘導体を含有する金属用研磨液。
    Figure 2007227583

    (式中、X〜X5は、それぞれ独立に、CHまたはNを表し、X〜X5のうち少なくとも1つはNである。)
  2. 研磨される金属が、銅または銅合金である請求項1に記載の金属用研磨液。
  3. 請求項1または2に記載の金属用研磨液を用いて化学的機械的研磨された半導体集積回路用基板。
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