以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づき詳述する。
<実施形態1>
まず、本発明に係る画像形成装置10の構成及び動作の概略を説明し、その後、本発明に係る清掃機構50について詳述する。なお、画像形成装置10としては、複写機,プリンタ,ファクシミリ,及びこれらの複合機等がある。
図1,図2に本発明に係る画像形成装置10を示す。このうち図1は、画像形成装置10全体の概観を示す図であり、前方右斜め上方から見た斜視図である。ここで、以下の説明においては、特にことわらない限り、同図中の右上に矢印で示す方向を、それぞれ画像形成装置10の前後左右上下とする。また、図2は、画像形成装置10を、図1中の矢印X方向(前側)から見たときの縦断面を模式的に示す図である。また、同図は、画像形成装置本体Mの所定の位置(転写部T)に中間転写ユニット20が装着された状態を示している。これらの図に示す画像形成装置10は、電子写真方式、中間転写方式の4色フルカラーの画像形成装置(プリンタ)であり、中間転写ユニット20が、画像形成装置本体Mに対して着脱自在に構成されている。ここで、画像形成装置本体Mとは、画像形成装置10全体から中間転写ユニット20を除いた部分を指すものとする。
図2に示すように、画像形成装置10は、画像形成装置本体Mのほぼ中央に、像担持体としてドラム形の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)11が配設されている。感光ドラム11は、駆動手段(不図示)によって矢印R11方向に回転駆動され、その表面(外周面)が帯電ローラ12によって所定の極性・電位に一様に帯電される。帯電後の感光ドラム11の表面は、レーザスキャナ等の露光装置13によって画像情報に基づく露光Lが行われ、露光部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。
静電潜像は、現像装置14によって現像される。現像装置14は、回転可能なロータリ14aと、このロータリ14aに搭載された4個の現像器、すなわち第1色目のイエロー(Y),第2色目のマゼンタ(M),第3色目のシアン(C),第4色目のブラック(K)の現像器14Y,14M,14C,14Kを有している。現像装置14は、感光ドラム11の表面に形成された静電潜像の現像に供される現像器、図2の例では第1色目のイエローの現像器14Yが、ロータリ14aの矢印R14方向の回転によって、感光ドラム11の表面に対向する現像位置に配置される。現像位置に配置されたイエローの現像器14Yは、感光ドラム11の表面の静電潜像にイエローのトナーを付着させてイエローのトナー像として現像する。
このイエローのトナー像は、ベルト部材としての中間転写ベルト15に転写される。中間転写ベルト15は、無端状(エンドレス)に形成されていて、4本のローラ、すなわちテンションローラ16、1次転写ローラ17、ガイドローラ18、駆動ローラ19に掛け渡されている。本実施形態では、駆動ローラ19は、後述の2次転写ローラ22との間に中間転写ベルト15を挟み込む2次転写対向ローラとなっている。中間転写ベルト15は、その裏面側から1次転写ローラ17によって感光ドラム11に押圧されており、これにより感光ドラム11と中間転写ベルト15との間には、前後方向(中間転写ベルト15の移動方向に向かって左右方向)に長い帯状の1次転写ニップN1が形成されている。中間転写ベルト15は、駆動ローラ19が駆動手段(不図示)により、矢印R19方向に駆動回転されるのに伴って、矢印R15方向に回転(無端移動)する。上述の感光ドラム11の表面に形成されたイエローのトナー像は、1次転写ローラ17に1次転写バイアスが印加されることで、1次転写ニップN1において、中間転写ベルト15の表面に1次転写されて担持される。
なお、上述の中間転写ベルト15、テンションローラ16、1次転写ローラ17、ガイドローラ18、駆動ローラ19等は、中間転写ハウジング39に組み込まれて、全体として中間転写ユニット20を構成している。この中間転写ユニット20は、ユニット単位で、画像形成装置本体Mに対して着脱されるようになっている。後述する清掃機構50は、画像形成装置本体Mに装着された状態の中間転写ユニット20の中間転写ベルト15に対して、対向するように配設されている。
トナー像の1次転写後の感光ドラム11は、1次転写残トナー、すなわち1次転写時に中間転写ベルト15に転写されないで感光ドラム11の表面に残ったトナーがクリーニング装置21によって除去され、その後、第2色目のマゼンタの画像形成に供される。
上述の画像形成プロセス、すなわち帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの一連のプロセスが、イエロー以外の残りの3色であるマゼンタ,シアン,ブラックについても順次に行われて、中間転写ベルト15の表面にイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの4色のトナー像が重ね合わされた状態で担持される。
中間転写ベルト15の表面への4色のトナー像の1次転写が終了すると、これらのトナー像は、画像形成装置本体Mの下部に配設されている給紙カセット23から搬送されてくるシート材Pに転写される。シート材Pは、給紙カセット23に収納されていて、給紙ローラ24、給送ローラ25、リタードローラ26によって1枚ずつ給紙され、さらに、大径ローラ27、搬送ローラ28,29等によって、停止中のレジストローラ対30に搬送されて、斜行が矯正される。シート材Pはその後、中間転写ベルト15の表面の4色のトナー像にタイミングを合わせてレジストローラ対30が回転することで、2次転写ニップN2に供給される。こうして2次転写ニップN2に供給されたシート材Pに対して、2次転写ローラ22に2次転写バイアスが印加されることにより、4色のトナー像が一括で2次転写される。なお、2次転写ローラ22は、トナー像の2次転写時以外は、中間転写ベルト15の表面から離間されている。
トナー像の2次転写後の中間転写ベルト15は、シート材Pに転写されないで表面に残ったトナー(2次転写残トナー)が、ベルトクリーナ31によって除去され、次のトナー像の1次転写及び2次転写に供される。
一方、トナー像の2次転写後のシート材Pは、定着装置32に搬送され、ここで定着ローラ33及び加圧ローラ34によって加熱・加圧されて表面にトナー像が定着される。トナー像定着後のシート材Pは、搬送ローラ35,36、切換えフラッパ38、搬送ローラ対40、排出ローラ対41によって、画像形成装置本体Mの上面の排紙トレイ42に排出される。以上で、1枚のシート材Pの片面(表面)に対する4色フルカラーの画像形成が終了する。
これに対し、シート材Pの両面(表面及び裏面)に画像形成を行う場合には、表面にトナー像が定着されたシート材Pは、その後端が搬送ローラ35,36を通過した時点で、切換えフラッパ38が切り換えられ、さらに搬送ローラ対40が逆転され、搬送ローラ36,37が回転されることにより、再給紙パス43に導かれて表裏反転される。そして、再給紙ローラ対44、再搬送ローラ対45によって、上述のレジストローラ対30に搬送され、片面(表面)の場合と同様にして裏面にトナー像が2次転写され、さらに定着された後、排紙トレイ42に排出される。以上で、1枚のシート材Pの両面に対する4色フルカラーの画像形成が終了する。
なお、画像形成装置本体Mの右側の大径ローラ27の上方には、手差し給紙を行う際に使用される手差し給紙ローラ46が配設されている。手差し給紙時には、図1に示す開閉カバー(開閉部材)47をその下端側の支点47a(図4,図5参照)を中心に上端側を右方に引くように開放すると、その上面が手差し給紙トレイとしてシート材Pの裏面をガイドする。なお、この開閉カバー47は、画像形成装置本体Mに対する中間転写ユニット20の着脱時、後述するトナー補給容器48(図2参照)の交換時等、ジャム(紙詰まり)処理時等にも開閉される。さらに、後述するが、開閉カバー47は、本発明に係る清掃機構50の一部を構成していて、この開閉カバー47の開閉動作(図5に示す矢印R47a方向の開動作、及び図4に示す矢印R47b方向の閉動作)に連動して、清掃部材52がクリーニング動作を行うようになっている。中間転写ユニット20の上方には、トナー補給容器48が配設されている。トナー補給容器48は、現像装置14の各色の現像器14Y,14M,14C,14Kに補給される各色のトナーがそれぞれ個別に収納されている。これら各色のトナーは、必要に応じて、トナー補給装置49により各色の現像器14Y,14M,14C,14Kに補給されるようになっている。なお、以上の画像形成装置10においては、感光ドラム11、帯電ローラ12、露光装置13、現像装置14、中間転写ユニット20、クリーニング装置21等によって画像形成部を構成している。
以上で、画像形成装置10全体の構成及び動作の概略の説明を終える。
上述構成の画像形成装置10においては、図2に示すように、中間転写ユニット20のテンションローラ16の下方に、中間転写ベルト15の表面に対向するようにして光学式の濃度センサ51が配設されている。感光ドラム11の表面に、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの各色ごとに濃度検知用のトナー像(パッチ)を形成して中間転写ベルト15の表面に転写する。そして、このトナー像の濃度を濃度センサ51によって検知し、その検知結果をフィードパックして、現像バイアスや転写バイアスを決定するようにしている。これにより、高い品質のトナー像を形成している。
ところで、濃度センサ51の表面(以下「センサ表面S」という。)Sに飛散トナーや塵埃や紙粉等の異物が付着すると、センサ表面Sを透過する照射光や反射光が変化するため、高い精度の濃度検知ができなくなる。そこで、本実施形態では、清掃機構50を設けて濃度センサ51のセンサ表面Sを清掃するようにしている。
次に、図3を参照して、本発明に係る清掃機構50が清掃対象とする濃度センサ51について説明する。この図3は、濃度センサ51を取付部材53に取り付けるようすを説明する図である。
図3に示すように、濃度センサ51は、箱形のセンサ本体54と板状のセンサ基盤55とが一体に形成されている。センサ本体54は、上面に平面状のセンサ表面Sを有していて、内部には、中間転写ベルト15の表面のトナー像に向けて光を照射する発光部(不図示)と、トナー像からの反射光を受光する受光部(不図示)とが配設されている。照射光及び反射光のいずれもが上述のセンサ表面Sを透過する。センサ基盤55は、その4隅のそれぞれに各1個、合計4個の透孔56が穿設されていて、下側の2つを取付部材53側のボス57に係合させ、また、上側の2つにねじ58を貫通させてこのねじ58を取付部材53のねじ孔60に螺合させることで、取付部材53に固定されている。こうして、濃度センサ51が取り付けられた取付部材53は、図4,図5に示すように、画像形成装置本体Mの取付板金61の下面(裏面)に下方からねじ止めされている。なお、濃度センサ51の取付状態については取付板金61の説明後に詳述する。
図4〜図8を参照して、取付板金61について説明する。これらの図のうち、図4は、閉位置に配置された開閉カバー47によって清掃部材52が退避位置に配置された状態を説明する正面図である。また、図5は、閉位置から開位置(不図示)に向けて開動作中の開閉カバー47によって清掃部材52が清掃位置に配置された状態を説明する正面図である。図6は、濃度センサ51を、画像形成装置本体Mの右側の後方斜め上方から見た斜視図である。図7は、単体としての取付板金61を、前側の左斜め上方から見た斜視図である。図8は図7とほぼ同方向から見た図であり、取付板金61に清掃部材52が取り付けられた状態で、かつ開閉カバー47が開放された状態を示している。
図4に示すように、取付板金61は、中間転写ベルト15のうちの張り側15a(中間転写ベルト15の回転方向(矢印R15方向)に沿っての駆動ローラ19の上流側で、かつテンションローラ16の下流側に位置する部分)に対して、狭い間隙を介してほぼ平行に配設されている。取付板金61は、中間転写ベルト15に対してほぼ平行に、かつ右端側が高くなるように配設されている。取付板金61は、右端側に、上方に向けて屈曲された屈曲部63とを有している。図7,図8に示すように、屈曲部63における前端側(これらの図中では右側)の上部には、後述する2個の引っ張りばね64,64の基端部64a,64aが引っ掛けられる取付部65,65が2箇所に形成されている。本実施形態では、2箇所の取付部65,65は、後述する窓部67の前後方向の中心Cに対して対称な位置に配置されている。また、屈曲部63における取付部65,65の間の下部には、その一部を左方に向けて切り起こすことにより、前後方向に長いスリット66が形成されている。後述する清掃部材52の右端側の当接部82が、このスリット66から右側に向けて突出されるようになっている。
取付板金61における、スリット66の左方には、左右方向に長い長方形状の窓部67が形成されている。上述の濃度センサ51は、この窓部67における右端側に配設されていて、センサ表面Sは、この窓部67を介して、上方の中間転写ベルト15の表面に対向するように配置されている。窓部67の4つの周端縁のうち、前端縁と後端縁とは、後述する清掃部材52の往復移動をガイドするガイド部材68,69として作用する。図8に示すように、これらガイド部材68,69間の距離が、窓部75の幅(前後方向の長さ)W1となる。この窓部75の幅W1は、後述する清掃部材52の幅W2よりも大きく設定されていて、両者の差(=W1−W2)に対応する部分が余裕部分Yとなる。なお、図8では、便宜的に、清掃部材52の前側と後側とに同じ幅の余裕部分Yが形成された場合を図示している。ガイド部材68,69には、それぞれ切欠68a,69aが形成されている。この切欠68a,69aは、後述する清掃部材52を取付板金61に組み付ける際に使用するものである。
図6に示すように、上述の濃度センサ51は、取付板金61の裏面における右端側で、かつ前端側に取り付けられている。濃度センサ51及び取付部材53は、この取付状態において、図4,図5に示すように、取付部材53が左側に、そして濃度センサ51が右側に位置している。なお、後述するように、濃度センサ51の右方には、画像形成装置本体Mの外枠の一部を構成する、開閉カバー(開閉部材)47が配設されていて、この開閉カバー47を開放されると、図6に示すように、濃度センサ51がほぼ右方に向けて露出するようになる。したがって、濃度センサ51の、取付部材53からの取外しや位置調整が容易に行えるようになっている。
図4,図5に示すように、濃度センサ51は、その取付状態において、センサ基盤55が取付板金61に対して直角で、かつ長手方向が画像形成装置本体Mの前後方向を向くように配置されている。また、取付板金61における濃度センサ51のセンサ表面Sに対応する位置には、上述の長方形状の窓部67が形成されていて、センサ表面Sが中間転写ベルト15に対して平行に対面するようになっている。また、センサ表面Sの高さ方向の位置については、取付板金61の裏面とほぼ一致するように設定されている。
図4に示すように、濃度センサ51のセンサ表面Sは、左右方向の中心(中間転写ベルト15の回転方向に沿った方向の中心)が、中間転写ベルト15の表面の検知位置Aを向くようになっている。ここで、検知位置Aとは、中間転写ベルト15の張り側15aの表面に位置する部分であって、中間転写ベルト15とテンションローラ16との接点Bからわずかに下流側の位置である。この位置は、検知精度を確保しやすい。すなわち、この位置は、中間転写ベルト15における張り側15aであり、かつテンションローラ16に近接しているため、中間転写ベルト15の緩み側やローラから離れた部分と比較して、ベルト自体の表裏方向の振れが少ない。また、この位置は、中間転写ベルト15のうちのローラに巻き掛けられた部分が曲面を構成するのとは異なり、平面状である。以上の理由により、この位置は、検知精度を確保するには、好適な位置である。ただし、この位置は、飛散トナーが発生しやすいという欠点もある。つまり、中間転写ベルト15の表面に担持されたトナーは、前述のように電気的な力で保持されている。一方、中間転写ベルト15には厚みがあるため、テンションローラ16に掛かると表面側に伸びが発生し、テンションローラ16から外れると伸びが解消される。つまり検知位置Aが設置されている位置は、一端、伸びた中間転写ベルト15の表面が元に復帰する位置近傍であるため、ベルト表面に弱い力で担持されているトナーは、飛散しやすくなる。つまり、検知位置に対向するように配置されたセンサ表面Sは、ほぼ上方を向けられていることもあり、飛散トナーが付着しやすい。このため、濃度センサ51が他の箇所に配設されている場合に比べて、清掃機構50が一層、有効なものとなる。
次に、図4〜図15を参照して、本実施形態に係る清掃機構50について詳述する。なお、これらの図においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。図4〜図15のうち、図4〜図6については上述のとおりである。すなわち、図4は、開閉カバー47が閉位置に、また清掃部材52が退避位置に配置された状態を説明する図である。図5は、開閉カバー47が開方向に移動されて清掃部材52が清掃位置に配置された状態を説明する図である。図6は、濃度センサ51の位置を説明する斜視図である。そして、図7は、単体としての取付板金61を前側の左斜め上方から見た斜視図である。図8は、図7と同方向から見た、取付状態の清掃部材52を示す。図9は、単体としての清掃部材52を、左側の前方斜め上方から見た斜視図である。なお、同図の上部に矢印で示す方向をそれぞれ、清掃部材52の前後左右上下とする。この方向は、図1に示す画像形成装置本体Mについての前後左右上下とほぼ一致する。図10は、単体としての清掃部材52を、下方から見た斜視図である。図11〜図15は、清掃部材52の動作を説明する図であり、この順に、開閉カバー47が、閉位置にある状態、少し開かれた状態、さらに開かれた状態、開状態から少し閉じられた状態、さらに閉じられた状態を示している。
図8に示すように、清掃機構50は、濃度センサ51のセンサ表面Sを清掃する清掃部材52と、この清掃部材52の往復移動をガイドするガイド部材68,69と、清掃部材52を付勢する引っ張りばね64(付勢手段)と、清掃部材52を往復移動させる開閉カバー(開閉部材)47とを備えている。そして、清掃部材52とガイド部材68,69との間には余裕部分Yが設けてあり、さらに、この余裕部分Aを利用して、清掃部材52に幅方向(往復移動が行われる平面上における、往復移動方向に直交する方向)への振れを発生させる振れ発生手段が設けてある。なお、本実施形態では、振れ発生手段は、上述の2本の引っ張りばねのばね定数を異ならせることで構成されている。
図8〜図10に示すように、清掃部材52は、スライダ70とこのスライダ70によって保持された払拭部材71とによって構成されている。スライダ70は、例えば合成樹脂によって形成され、また払拭部材71は、例えば、アクリルパイルシールによって形成されている。
スライダ70は、図9に示すように、その機能上、上下方向に3つの部分a,b,cに分かれていて、上から順に、取付ベース72、被ガイド部73、押圧部74となっている。スライダ70は、取付板金61に対する取付状態において、上述の取付ペース72が、取付板金61の上面側に位置し、被ガイド部73が取付板金61の厚さに対応するように位置し、押圧部74が取付板金61の下面側に位置するようになっている。取付ベース72は、左右方向に長い長方形の板状に形成されている。取付ベース72は、左半部に、上下方向(表裏方向)に貫通された長方形状の窓部75を有している。窓部75の前後方向及び左右方向の幅は、センサ表面Sのこれらよりも大きく設定されている。すなわち、清掃部材52が後述する退避位置に配置された際にこの窓部75がセンサ表面Sに対応する位置に配置され、このときセンサ表面Sを完全に露出させて、センサ表面Sが中間転写ベルト15の表面に対向するようにしている。
窓部75の4つの周縁部のうちの左端側に位置する部分には、前後方向に長い板状の取付部76が形成されている。この取付76部は、前端側と後端側とに設けられたスリット77,77によって右端側が自由端になっており、さらに自由端側が下方に位置するように全体が傾斜されている。取付部は76、左端側に位置する基端部を基準に、右端側の自由端側が弾性変形することができる。この取付部76には、払拭部材71が取り付けられている。
払拭部材71としては、長方形状のシート状の部材を使用している。この払拭部材71を、取付部76の表面側から裏面側に「U」字形に折り返すようにして、例えば、両面シールによって貼着している。これより、払拭部材71は、取付ベース72に対し、取付部76の傾斜に倣って傾斜することになり、図10に示すように、頂部近傍の一部が下方に突出されて摺擦部78となっている。清掃部材52は、この払拭部材71の摺擦部78によって、上述の濃度センサ51のセンサ表面Sを摺擦することになる。この際、払拭部材71は、取付ベース72の取付部76が適度に弾性変形することで、センサ表面Sに押し付けられるようになっている。払拭部材71の幅(前後方向の長さ)は、上述のセンサ表面Sの幅よりも広く設定されている。本実施形態では、払拭部材71としてアクリルパイルシールが使用されている。アクリルパイルシールは、そのパイル部分(起毛部分)が押し潰された状態で、センサ表面Sを摺擦して、センサ表面Sに付着しているトナー、紙粉、塵埃等の異物を払拭するものである。ここで、本実施形態では、払拭部材71は、上方に向けられたセンサ表面Sを摺擦してセンサ表面Sの異物を除去するものである。したがって、例えば、払拭部材71が不織布で構成されている場合には、払拭した異物を不織布が保持してしまい、次にセンサ表面Sを摺擦したときに、逆に、保持していた異物がセンサ表面Sに落下するおそれがある。この点、アクリルパイルシールは、払拭した異物を保持しにくいため、上述のようなおそれがない。反面、アクリルパイルシールは、長期に使用に伴って起毛部分のへたれに癖がつきやすい。このため、例えば、摺擦時の動作が単純な往復移動であったりすると、センサ表面Sに起毛部分による筋がついて拭きむらが発生しやすい。これに対して本実施形態では、後述するように、摺擦時の払拭部材の動作が複雑で不規則になるようにしている。したがって、アクリルパイルシール等の癖がつきやすい払拭部材71を使用した場合でも、長期にわたって、センサ表面Sの良好な清掃が可能となる。
取付ベース72における窓部75の前側と後側とには、それぞれフック80,80が形成されている。フック80,80は、それぞれ取付ベース72から前方及び後方に突出するように形成されていて、開口部が左方に向けられている。フック80,80は、左右方向の位置については、払拭部材71の右端とほぼ同じ位置に配置されている。これらフック80,80には、後述する付勢部材としての引っ張りばね64,64の先端64b,64bが掛けられる。
被ガイド部73は、図9に示すように、前端側に前の被ガイド面73aを有し、また、図10に示すように、後端側における、前の被ガイド面73aに対応する位置に後の被ガイド面73bを有している。これら前後の被ガイド面73a,73bは、上述の取付板金61のガイド部68,69によって直接的にガイドされる部分である。被ガイド面73a,73bは、上述の取付ベース72のフック80,80よりも左側の部分に設けてある。このように、被ガイド面73a,73bの左右方向の長さは、取付ベース72の左右方向の長さに対して、半分以下に設定されている。清掃部材52は、このように実質的にガイドされる部分の長さが短いため、往復移動中に、幅方向に振れやすくなっている。この前後の被ガイド面73a,73b間の距離が、清掃部材52の幅(前後方向の長さ)W2である。上述のように、この清掃部材52の幅W2と、窓部75の幅W1との差が、余裕部分Yに相当する。ここで、余裕部分Yについて、清掃部材52を往復移動のみさせる場合には、余裕部分Yは、0.1mm程度とれば十分である。これに対して本実施形態では、片側で0.25〜1mm程度(両側では0.5〜2mm程度)設けてある。これにより、清掃部材52に、幅方向に振れが発生するようにしている。
押圧部74は、前後方向に長いブロック状に形成されている。押圧部74の上面は、平面状に形成されたスライド面81となっており、このスライド面81は、スライダ70の左端側部分に対して、左方及び前方及び後方に突出するように形成されている。このスライド面81のうち、前方及び後方に突出する前スライド面81a、後スライド面81bは、清掃部材52が取付板金61の窓部67に組み込まれた際に、窓部67のガイド部材68,69の裏面に接触し、清掃部材52が往復移動する際に葉、この裏面に摺擦されるようになっている。
ここで、清掃部材52におけるフック80と押圧部74との位置関係について、本実施形態では、図9に示すように、窓部67の裏面(下面)側に位置する押圧部74は清掃部材52の左端側に位置し、一方、窓部67の表面(上面)側に位置するフック80は、押圧部材74よりも右方に位置する。したがって、その構造上、本実施形態では、清掃部材52は、取付板金61の表面側に位置する取付ベース72の左端側が、ある程度下降して、窓部67に沈みこむことが可能となっている。つまり、取付板金61に対して、払拭部材71が昇降できるようになっている。このことと、上述のように、払拭部材71が弾性変形可能な取付部76に取り付けられていることとが相俟って、払拭部材71がセンサ表面Sを摺擦する際には、払拭部材71と押圧部74との間にセンサ表面Sを弾性的に挟み込むように、つまり払拭部材71は、センサ表面Sに対して適度な押圧力で押圧された状態で摺擦されるようになる。
取付ベース72の右端側には、後述する開閉カバー47の係合部47bに係脱する当接部82が設けられている。本実施形態では、当接部82は、前後方向にまっすぐに形成されており、前端と後端とは、円弧状の支点82a,82bが形成されている。これらの支点は、後述するように、清掃部材52が往復移動方向に対して傾いたときに、開閉カバー47の係合部47bに対して点接触して、清掃部材52の不安定な状態を積極的に作り出すためのものである。
上述構成の清掃部材52は、取付板金61の窓部67に組み込む際には、取付板金61の下方でほぼ垂直に立てた状態で、清掃部材52の右端側部分を、窓部67の切欠68a,69a近傍を下方から上方に通過させ、さらに切欠68a,69aにフック80,80を通過させ、その後、清掃部材52の右端側を倒して全体を取付板金61に平行にすることで、組付けを完了する。この状態において、図8に示すように、ガイド部材68,69と、清掃部材52との間には、上述の余裕部分Yが形成されることになる。
図8に示すように、本実施形態では、付勢手段として2本の引っ張りばね64,64(付勢部材)を使用している。前側の引っ張りばね64は、その基端部64aを前述の前側の取付部65に掛け、先端部64bを清掃部材52の前側のフック80に掛けている。前後方向に沿っての位置について、前側の取付部65は前側のフック80よりもさらに前端側に位置しているので、前側の引っ張りばね64は、基端部64aが先端部64bよりも前側に位置するように斜めに張設されている。この引っ張りばね64は、清掃部材52を主に退避位置側から清掃位置側に向けて(右側に向けて)付勢し、かつ前側にも付勢している。一方、後側の引っ張りばね64は、その基端部64aを前述の後側の取付部65に掛け、先端部64bを清掃部材52の後側のフック80に掛けている。前後方向に沿っての位置について、後側の取付部65は後側のフック80よりもさらに後側に位置しているので、後側の引っ張りばね65は、基端部64aが先端部64bよりも後端側に位置するように斜めに張設されている。この後側の引っ張りばね64は、清掃部材52を主に退避位置側から清掃位置側に向けて(右側に向けて)付勢し、かつ後側にも付勢している。
本実施形態では、上述の2本の引っ張りばね64,64のばね定数を異ならせることで、振れ発生手段を構成している。つまり、ばね定数を異ならせることで、清掃部材52に対して同一平面内で回転する方向のモーメントを発生させている。これにより、清掃部材52が往復移動する際に、往復移動方向に対して直交する方向の振れが発生するようにしている。なお、以下では、前側の引っ張りばね64のばね定数が、後側の引っ張りばね64のばね定数よりも大きい場合を例に説明する。
開閉部材としての開閉カバー47は、図1に示すように、画像形成装置本体Mの右側面に配設されており、図4,図5に示すように、下端の支点47aを中心として、上側が揺動可能である。図4は、開閉カバー47が閉位置に配置された状態を示し、また、図5は、開閉カバー47が閉位置から開位置(不図示)に向かって開方向(矢印R47a方向)に移動する途中の状態を示している。開閉カバー47は、ユーザやサービスマンが図4に示す閉位置から上側を右方に引くことで、図5中の開方向(矢印R47a方向)に移動して、開位置(不図示)に配置される。なお、開閉カバー47は、開位置においては、安定した状態で、ほぼ水平に配置される。図4に示すように、開閉カバー47は、内側部分に、上述の清掃部材52の当接部82に係脱する係合部47bを有している。
図4,図11に示すように、開閉カバー47の閉位置に対応して、清掃部材52は、センサ表面Sから退避した退避位置に配置される。すなわち、閉位置に配置された(閉状態の)開閉カバー47の係合部47bによって清掃部材52の当接部82が、引っ張りばね64,64の付勢力に抗して左方に押され、これにより、清掃部材52が退避位置に配置される。このとき、清掃部材52は、濃度センサ51のセンサ表面Sから退避され、センサ表面Sは中間転写ベルト15の表面に対向するようになる。一方、図5,図13,図14に示すように、清掃部材52は、引っ張りばね64,64によって開閉カバー47の開方向に付勢されているので、開閉カバー47が開方向に移動されると、その開動作(矢印R47a方向の動作)に連動して引っ張りばね64,64の付勢力により、清掃位置側に移動して、払拭部材71がセンサ表面Sを摺擦して、センサ表面Sに付着していた異物を払拭する。上述のように、清掃部材52は、開閉カバー47の閉位置から開位置への開動作に連動して、退避位置から清掃位置に移動し、このとき払拭部材71がセンサ表面Sを摺擦して、センサ表面Sに付着していた異物を払拭する。また、清掃部材52は、逆に開閉カバー47の開位置から閉位置への閉動作に連動して、清掃位置から退避位置に移動し、このときも払拭部材71がセンサ表面Sを摺擦して、センサ表面Sに付着していた異物を払拭する。このように、清掃部材52は、開閉カバー47の開閉動作に連動して、センサ表面Sを払拭部材71で摺擦する、いわゆるクリーニング動作を行う。この際、清掃部材52の押圧部74により、払拭部材71は、センサ表面Sに押圧された状態で摺擦されるので、センサ表面Sの異物を確実に払拭することができる。
さらに本発明においては、清掃部材52とガイド部材68,69との間に余裕部分Yを設け、振れ発生手段として、前後の引っ張りばね64,64のばね定数を変えているので、清掃部材52は、上述のクリーニング動作時に、往復移動に加え、幅方向の振れが加わり、これらの運動が合成された状態で、クリーニング動作を行うようになっている。
図11〜図15を参照して、本発明の特徴的なクリーニング動作について詳述する。このうち図11は、開閉カバー47が閉位置に配置されて、清掃部材52が退避位置に配置された状態を示す。図12は、開閉カバー47の矢印R47a方向の開動作が開始された直後の清掃部材52の状態を示す。図13は、図12の状態からさらに開閉カバー47が開かれた際の、清掃部材52の状態を示す。図14は、矢印R47b方向の閉動作が開始された直後の清掃部材52の状態を示す図である。そして、図15は、図14の状態からさらに開閉カバー47が閉じられた際の、清掃部材52の状態を示す。
図11に示すように、開閉カバー47が閉位置に配置されると、清掃部材52は、この開閉カバー47により、引っ張りばね64,64の付勢力に抗して左方に押されて、退避位置に配置される。このとき、センサ表面Sは、窓部75によって露出されるので、中間転写ベルト(図2参照)表面に対向することができる。つまり、濃度センサ51は、中間転写ベルト15の表面に形成されたトナー像の濃度を検知することができる。
本発明においては、図8に示すように、清掃部材52の幅W2よりも、窓部67の幅W1を大きく設定して、清掃部材52とガイド部材68,69との間に、積極的に余裕部分Yを設けるようにしている。本実施形態においては、上述のように、前の引っ張りばね64のばね定数が、後の引っ張りばね64のばね定数よりも大きく設定されている。したがって、図11中の清掃部材52に対する前後の引っ張りばね64,64によるモーメントについては、これを左回りに回転させようとするモーメントが上回る。しかし、清掃部材52の右端の当接部82が、ほぼその全幅にわたって開閉カバー47の係合部47bに当接していることに基づき、図11に示す姿勢で安定している。
この状態から、図12に示すように、開閉カバー47の開方向の開動作を開始すると、前後の引っ張りばね64による付勢力の差により、清掃部材52が左回りに振れる。そして、さらに開閉カバー47の開動作が続行されると、清掃部材52の後側のガイド面73bの右端側が後のガイド部69に衝突し、また前のガイド面73aの左端側が前のガイド部68に衝突し、その反動で、清掃部材52には、これを右回りに回転させる力が作用し、図13に示すように右方向へ振れる。清掃部材52は、開閉カバー47の動作に連動して、退避位置から清掃位置へ移動する際に、上述のような左回り及び右回りの振れが繰り返される。そして、開閉カバー47が開位置に配置されて、当接部から離間されると、図14に示す清掃位置で安定して停止する。この状態において、濃度センサ51のセンサ表面Sは、清掃部材52の払拭部材71によってほぼ全面が覆われるので、開閉カバー47の開放状態において、ユーザやサービスマンによって誤ってセンサ表面Sを損傷させたり、汚染させたりするおそれがない。
また、開位置にあった開閉カバー47が、図14の閉方向(矢印R47b方向)に閉動作されると、開閉カバー47は、清掃部材52の当接部82の前側の支点82aに当接する。これにより、清掃部材52には、右回りのモーメントが作用し、図15に示すように、逆方向に振れる。このように、開閉カバー47の閉動作時、すなわち清掃部材52が清掃位置から退避位置に移動する際にも、左回り及び右回りの振れが繰り返される。
以上のように、清掃部材52は、開閉カバー47の開閉動作に連動して、退避位置から清掃位置へ、また清掃位置から退避位置に往復移動することになるが、この際、清掃部材52は、余裕部分Yや振れ発生手段により、往復移動に直交する方向に振られるので、清掃部材52のクリーニング動作は、往復運動に振れが合成された複雑な動作となる。このため、払拭部材71は、センサ表面Sに付着している異物を、一定の軌跡ではなく複雑な軌跡で摺擦して払拭することができるので、拭きむらの発生を有効に防止することができる。
本実施形態では、上述の余裕部分Yを設け、振れ発生手段として、ばね定数の異なる引っ張りばね64,64を設けるほかに以下のような構成により、往復移動中の清掃部材52が、幅方向の動きに対して不安定となるような状況を積極的に創り出している。
清掃部材52全体の左右方向の長さに対して、ガイド部材68,69によってガイドされるガイド面73a,73bの左右方向の長さを短くしている。これにより、清掃部材52の振れを大きくすることができる。
また、清掃部材の重心G(図11参照)の位置を、引っ張りばね64と引っ張りばね64の延長上の交点よりも内側に入るように設定しているので、清掃部材52が、前後方向の振れに対して不安定となりやすい。
また、清掃部材52は、振れた際に、振れの中心となる支点82a,82bが開閉カバー47に対して点接触となり、しかも振れの中心が振れた方向により、支点82aから支点82bへ、またこの逆に異動することになる。そして、支点82a,82bが移動することで、2本の引っ張りばね64,64によるモーメントの大小関係が大きく変化する。
以上では、振れ発生手段を、前後の引っ張りばね64,64のばね定数を異ならせることで構成したが、本実施形態では、清掃部材52に対する、前後の引っ張りばね64,64による付勢力が異なるようにすれば十分である。この方法としては、上述の、ばね定数を異ならせるほかに、2本の引っ張りばね64,64の長さを変える、2本の引っ張りばね64,64の基端部64a,64aが掛けられる取付部65,65のうちの一方の前後方向の位置を変える、2本の引っ張りばね64,64の先端部64b,64bが掛けられる清掃部材52のフック80,80のうちの一方の左右方向の位置を変える、等がある。これらにより、2本の引っ張りばね64,64によって清掃部材52に作用するモーメントを、左回りと右回りとで異なるようにすることができ、往復移動中の清掃部材52を前後方向に不安定にすることができる。
なお、上述では、清掃部材52の当接部82が直線状に形成されていたが、これに代えて、例えば、当接部を、幅方向の中央に設けた半球状に形成するようにしてもよい。この場合には、清掃部材52は、開閉カバー47に対して常に点接触となり、不安定さが一層増すことになる。
<実施形態2>
図16,図17,図18,図19を参照して、実施形態2について説明する。これらのうち、図16は、取付板金61に形成された窓部83の形状を説明する図であり、窓部83を前側の左斜め上方から見た斜視図である。図17は開閉カバー47が閉位置にあるときの清掃部材52の状態を説明する図である。図18は開閉カバー47を開方向に開動作させたときの清掃部材52の動作を説明する図である。そして、図19は開閉カバー47を閉方向に閉動作させたときの清掃部材52の動作を説明する図である。なお、本実施形態において、上述の実施形態1と同様な構成の部材等については同じ符号を付して、重複説明は適宜省略するものとする。
これらの図に示すように、本実施形態では、取付板金61に形成された、清掃部材52を取り付けるための窓部83について、その前端縁によって構成されるガイド部材84及び後端縁によって構成されるガイド部材85との間に余裕部分Yを設け、さらにこれに加えて、一方のガイド部材85には、凹状ガイド86を設けている。この凹状ガイド86は、ガイド部材85の左右方向の中間部分に、右端側ほど窓部83の幅が広くなるような傾斜部を設けることによって形成されている。さらに、清掃部材52における当接部82に、半球状の凸状当接部87を設け、開閉カバー47の係合部47bに対して、この凸状当接部87が点接触するようにしている。このため、清掃部材52は、その凸状当接部87を開閉カバー47の係合部47bに当接させた状態においても、極めて不安定な状態にある。このため、清掃部材52は、例えば、2本の引っ張りばね64,64のばね定数を同じに設定しているような場合であっても、各部材の製造上の寸法精度や組み立て精度の誤差に起因して、開閉カバー47の開閉動作に連動して往復移動中に図18に示す左回り、又は図19に示す右回りに振れることになる。そして、凹状ガイド86が設けられている分、清掃部材52が左回り又は右回りに振れやすくなり、さらにその振れが大きくなる。
<実施形態3>
図20,図21に、実施形態3を示す。このうち図20は、取付板金61に組み付けられた状態の清掃部材52を示す。また、開閉カバー47は、開位置に配置されている。図21は、開閉カバー47の開動作中の清掃部材の動作を説明する斜視図である。なお、本実施形態は、上述の実施形態1における係合部47bが、傾斜部(傾斜係合部)88に代わる点を除いて、他の構成は実施形態1と同じである。
本実施形態では、開閉カバー47には、清掃部材47に当接する係合部として、傾斜部88が設けてある。傾斜部88は、閉位置にあった開閉カバー47がその支点47aを中心にして開かれる際に、その開度が増加するに従って下降していく。このため、相対的に傾斜部88に対する、当接部78の当接位置が上昇し、かつ上昇に伴って先端側から後端側へと移動していく。清掃部材52側の当接部78を基準に考えれば、開閉カバー47の開動作に連動して、当接部78に対する傾斜部88の当接位置が、前端側から後端側へと移動していくことになる。そして、この当接位置が、当接部78の前後方向の中心に対して前側にあるときは、清掃部材52に対して傾斜部88から右回りのモーメントが作用し、前後方向の中心に対して後側にあるときは、左回りのモーメントが作用する。これらの右回り及び左回りのモーメントにより、清掃部材52は、右回りに振れ、また左回りに振れることになる。なお、開閉カバー47の閉動作に対しては、上述とは逆に清掃部材52に対して、まず左回りの、そしてその後、右回りの振れが発生することになる。
本実施形態によれば、上述のような傾斜部88を設けることにより、開閉カバー47の開閉動作に連動して退避位置と清掃位置との間を往復移動する清掃部材52に対して確実に、左回り及び右回りの振れを発生させることができる。したがって、払拭部材71により、センサ表面Sを拭きむらなく、良好に摺擦して異物を払拭することができる。
<実施形態4>
本実施形態は、取付板金の窓部のガイド部材と、清掃部材のガイド面とのうちの一方に凹凸部(不図示)を設け、他方にこれに係脱可能な係合部(不図示)を設けるものである。開閉カバーの開閉動作に連動して、清掃部材が左右方向に往復移動する際に、係合部が凹凸部に係脱するので、これにより、清掃部材に対して幅方向の振れが発生することになる。
以上に説明では、本発明に係る清掃機構50を、ベルト部材としての中間転写ベルト15の表面に担持搬送されるトナー像の濃度を検知する濃度センサ51のそのセンサ表面Sを清掃するものに適用した場合を例に説明した。本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ベルト部材が、ベルト状の感光体、いわゆる感光体ベルト(不図示)である場合も適用することができる。つまり、感光体ベルトの表面に担持搬送されるトナー像の濃度を検知する濃度センサの、そのセンサ表面を清掃するものに対しても適用することができる。
10……画像形成装置、15……中間転写ベルト(ベルト部材)、47……開閉カバー(開閉部材)、50……清掃機構、51……濃度センサ、52……清掃部材、64……引っ張りばね(付勢手段、付勢部材)、68,69……ガイド部材、71……払拭部材、74……押圧部、86……凹状ガイド、87……凸状当接部、88……傾斜部(傾斜係合部)、S……センサ表面、Y……余裕部分