JP2007225722A - 光コネクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の光ファイバの接続方法を用いて光ファイバを接続したならば、コストの上昇を招いたり、接続損失の増大や信頼性の低下を招いたりする。
【解決手段】第一の光ファイバ11が内蔵されたフェルール7と、該フェルール7の後端に連接された光ファイバ接続器9とを備え、該光ファイバ接続器9の後端側9aから挿入された第二の光ファイバ12の端面と前記第一の光ファイバ11の後端側端面11aとが突合せ接続されて成る光コネクタにおいて、前記第一の光ファイバ11の後端側端面11aに架橋硬化型屈折率整合体6が付着しており、該架橋硬化型屈折率整合体6は前記第一の光ファイバ11の後端側端面11aに塗布した架橋硬化型屈折率整合剤を架橋硬化させる。
【選択図】 図1
【解決手段】第一の光ファイバ11が内蔵されたフェルール7と、該フェルール7の後端に連接された光ファイバ接続器9とを備え、該光ファイバ接続器9の後端側9aから挿入された第二の光ファイバ12の端面と前記第一の光ファイバ11の後端側端面11aとが突合せ接続されて成る光コネクタにおいて、前記第一の光ファイバ11の後端側端面11aに架橋硬化型屈折率整合体6が付着しており、該架橋硬化型屈折率整合体6は前記第一の光ファイバ11の後端側端面11aに塗布した架橋硬化型屈折率整合剤を架橋硬化させる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光コネクタに関するものであり、特に、光ファイバの敷設現場において行われる光ファイバの接続作業が簡易に行えるようにすることを目的とした光コネクタに関するものである。
現在、光ファイバの接続方法としては、光ファイバ同士、あるいは、その内部に光ファイバを内蔵したフェルール同士を突合わせる、物理的な接続方法が一般的に広く用いられている。例えば、このような物理的な接続方法としては、メカニカルスプライスを用いた接続方法、光コネクタを用いた接続方法などが挙げられる。そして、一般的には、永久接続(光ファイバを接続した後において、基本的に着脱が行われない接続)の場合にはメカニカルスプライスを用いた接続方法が好適である。また、永久接続とは異なり、頻繁に着脱が行われる場合には光コネクタを用いた接続方法が好適である。そして、実際、永久接続の場合にはメカニカルスプライスを用いた接続方法が、頻繁に着脱が行われる場合には光コネクタを用いた接続方法が広く用いられている。
メカニカルスプライスを用いた接続方法、光コネクタを用いた接続方法のいずれも、光ファイバの端面に、光ファイバの軸方向の押圧力をかける物理的な接続方法であるので、特に、頻繁に着脱が行われることが予定されている光コネクタを用いた接続方法においては、光ファイバが損傷することを防止するために、光ファイバをフェルールに挿入して保護することにより、光ファイバの端面同士が物理的に接触することを可能にしている(特開平8−114724号公報(特許文献1)を参照)。
このような、(メカニカルスプライスを用いた接続方法、光コネクタを用いた接続方法などの)物理的な接続方法では、光ファイバの端面の形状が接続特性に大きな影響を及ぼす。例えば、光ファイバの端面の角度がずれていたり、光ファイバの端面の形状が荒れていたりすると、突合わせて互いに接触させた光ファイバの端面の間に空気が入り、光ファイバの端面でのフレネル反射が大きくなるため、光ファイバの接続損失が増大する。このような光ファイバの接続損失の増大を防ぐための方法としては、光ファイバをカッティングした後に、光ファイバの端面やフェルールを研磨処理する方法が知られている。
また、光ファイバをカッティングした後に、光ファイバの端面やフェルールを研磨処理しないで、光ファイバをカッティングしたままの状態で光ファイバ同士を接続する方法としては、光ファイバの接続端面に、光ファイバのコアの屈折率と同等の屈折率又は光ファイバのコアの屈折率に近似した屈折率を有する、液状又はグリース状の屈折率整合剤を介在させる方法が知られている(特開平11−72641号公報(特許文献2)、特開平11−101919号公報(特許文献3)を参照)。この屈折率整合剤を介在させる方法は、屈折率整合剤を光ファイバの端面に塗布したり、屈折率整合剤を光ファイバの接続部に充填したりして、光ファイバ同士を突合わせるものであり、それにより、光ファイバの接続端面への空気の侵入を防ぎ、空気によって生じるフレネル反射を低下させ、接続損失を低減させるものである。
また、その他には、固体状の屈折率整合部材(以下、「フィルム」という。)を用いる方法が知られている(特許第2676705号公報(特許文献4)、特開2001−324641号公報(特許文献5)、特開昭55−153912号公報(特許文献6)を参照)。
特開平8−114724号公報
特開平11−72641号公報
特開平11−101919号公報
特許第2676705号公報
特開2001−324641号公報
特開昭55−153912号公報
しかしながら、上記従来方法の中の、光ファイバの端面やフェルールを研磨処理する方法は、光ファイバ、特に、その内部に周期的な複数の空孔部を有する光ファイバ(以下、「ホーリーファイバ」という。)を用いて、光ファイバの敷設現場において光ファイバの接続作業を行う際に、光ファイバの端面などの研磨処理を行うのに多大な時間や人件費を要し、そしてなによりも光ファイバの端面などの研磨処理を行うための研磨装置を準備しなくてはならず、光ファイバの接続作業を簡易に行うための接続方法としては適さない。また、ホーリーファイバの端面の研磨処理を行うと、ホーリーファイバの空孔部に、研磨処理の際に生じた研磨カスや(研磨処理の際に用いた)研磨剤が侵入してしまい、接続損失の増大や信頼性の低下を招く恐れがある。
一方、上記特許文献2、3記載の、光ファイバの接続端面に屈折率整合剤を介在させる方法は、シリコーン系やパラフィン系の液状又はグリース状の屈折率接合剤が一般に使用されているために、これらの屈折率整合剤をその内部に有する光コネクタを用いて光ファイバ同士の接続を行った場合には、屈折率整合剤がホーリーファイバの空孔部に侵入してしまうという問題が生じる。通常、屈折率整合剤の屈折率には温度依存性があり、ホーリーファイバの空孔部に侵入した屈折率整合剤の屈折率の変化に応じて、ホーリーファイバの伝送損失が著しく変化するという問題が生じる。また、屈折率整合剤がホーリーファイバの空孔部に侵入することにより、光ファイバの端面の間における屈折率整合剤が減少し、光ファイバの端面の間に空隙や気泡が発生し易くなり、ホーリーファイバの光学特性が著しく低下するという問題も生じる。
また、ホーリーファイバの端面における空孔部を、光ファイバを接続する前に封止するという方法もあるが、これを光ファイバの敷設現場において行うためには、専用の装置が必要であり、また、ホーリーファイバの端面における空孔部を封止するための処理に多くの時間を要するため、光ファイバを接続するためのコストの上昇を招き、光ファイバの接続作業を簡易に行うための接続方法としては適さない。
また、上記特許文献4、5、6記載の、フィルムを用いる方法は、光ファイバの径が80μm又は125μmなどと非常に細いために、光ファイバの端面にフィルムを精度良く付けることが非常に難しく、また、光ファイバの端面にフィルムを付けるためには、フィルムが接着性又は粘着性を有することが必要とされる。このため、光ファイバの敷設現場において光ファイバの接続作業を行う際に、フィルムにゴミなどの異物が付着し易く、光ファイバの信頼性の低下を招いたり、光ファイバの接続作業における作業性の低下を招いたりするという問題が生じる。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の発明は、第一の光ファイバが内蔵されたフェルールと、該フェルールの後端に連接された光ファイバ接続器とを備え、該光ファイバ接続器の後端側から挿入された第二の光ファイバの端面と前記第一の光ファイバの後端側端面とが突合わせ接続されて成る光コネクタにおいて、前記第一の光ファイバの後端側端面に架橋硬化型屈折率整合体が付着しており、該架橋硬化型屈折率整合体は前記第一の光ファイバの後端側端面に塗布した架橋硬化型屈折率整合剤を架橋硬化させたものであることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、さらに、前記屈折率整合体が、屈折率1.46±0.05以内、光透過率80%以上、破断伸び50%以上、ガラス粘着力50g/10mm幅以上であることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、さらに、前記架橋硬化型屈折率整合体の厚さが5〜50μmであることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、さらに、前記光ファイバ接続器の後端側から挿入された第二の光ファイバの端面と接する前記架橋硬化型屈折率整合体の表面形状が球面状であることを特徴とするものである。なお、これにより、以下のような効果がある。架橋硬化型屈折率整合体の表面が平坦の場合と比較し、第二の光ファイバを押し込んだときに変形しやすいため、光ファイバの端面同士を近づけやすい(効果1)。架橋硬化型屈折率整合体の表面が平坦の場合は、第二の光ファイバを押し込んだときに第二の光ファイバの端面(特に、光ファイバの中心部分)と架橋硬化型屈折率整合体との間に空気層が残る虞がある。この現象は、特に、第二の光ファイバの端面が直角にカッティングされているときでも発生する虞があるが、斜めにカッティングされているときは、第二の光ファイバを押し込んでも、架橋硬化型屈折率整合体の弾性力により押し戻され、第二の光ファイバのコアが架橋硬化型屈折率整合体に接触しないことがある。これに対し、架橋硬化型屈折率整合体の表面形状が球面状の場合は、第二の光ファイバの端面の中心部分から架橋硬化型屈折率整合体に接触するため、第二の光ファイバの端面(特に、光ファイバの中心部分)と架橋硬化型屈折率整合体との間に空気層が残ることがない(効果2)。
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、さらに、前記架橋硬化型屈折率整合体が前記第一の光ファイバの端面にのみ付着していることを特徴とするものである。なお、これにより、以下のような効果がある。第一の光ファイバの側面にも架橋硬化型屈折率整合体が付着していると、架橋硬化型屈折率整合体が付着した第一の光ファイバの後端部分を溝(V溝)にセットしたとき、第二の光ファイバと軸ずれを起こしやすい。これに対し、架橋硬化型屈折率整合体が前記第一の光ファイバの端面にのみ付着している場合には、第二の光ファイバとの軸ずれを防止することができる(効果1)。また、第一の光ファイバの側面にも架橋硬化型屈折率整合体が付着していると、架橋硬化型屈折率整合体が付着した第一の光ファイバの後端部分を溝(V溝)にセットする際に、のちに第二の光ファイバをセットする溝(V溝)部分に架橋硬化型屈折率整合体が付着し、第二の光ファイバをセットする際に悪影響を及ぼす。これに対し、架橋硬化型屈折率整合体が前記第一の光ファイバの端面にのみ付着している場合には、第二の光ファイバをセットする際の悪影響を防止することができる(効果2)。また、第一の光ファイバの側面にも架橋硬化型屈折率整合体が付着していると、第一の光ファイバの後端部分を溝(V溝)の上から押え付けた時に、第一の光ファイバの側面側の架橋硬化型屈折率整合体が裂け、第二の光ファイバの着脱を繰り返したときに、その裂け目が成長して架橋硬化型屈折率整合体に及ぶ虞がある。これに対し、架橋硬化型屈折率整合体が前記第一の光ファイバの端面にのみ付着している場合には、そのような虞がない(効果3)。なお、架橋硬化型屈折率整合体を前記第一の光ファイバの端面にのみ付着させるための方法としては、第一の光ファイバの側面に撥水処理を施し、屈折率整合剤を第一の光ファイバの端面に塗布したときに、屈折率整合剤が第一の光ファイバの側面に回り込まないようにすることが考えられる。
また、本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、さらに、前記架橋硬化型屈折率整合体が前記第一の光ファイバの端面から側面に亘って付着していることを特徴とするものである。なお、これにより、以下のような効果がある。第一の光ファイバの端面にしか架橋硬化型屈折率整合体が付着していないと、第二の光ファイバを着脱したときに、架橋硬化型屈折率整合体が第一の光ファイバの端面から剥がれる虞がある。これに対し、架橋硬化型屈折率整合体が前記第一の光ファイバの側面に亘って付着している場合には、剥がれにくくなる。
また、本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかにおいて、さらに、前記光ファイバ接続器が、その後端側から挿入された第二の光ファイバよりも大きい断面積を有する溝が形成されたプレートを有することを特徴とするものである。
また、本発明の請求項8に記載の発明は、請求項7において、さらに、前記溝がV溝であることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかにおいて、さらに、前記第二の光ファイバがホーリーファイバであることを特徴とするものである。
本発明によれば、光ファイバの敷設現場において光ファイバ(特に、ホーリーファイバ)の接続作業を行う際に、光ファイバをカッティングした後に、光ファイバの端面などの研磨処理を必要とせず、光ファイバをカッティングしたままの状態で光ファイバ同士を接続することが可能になる。また、(温度依存性などに起因する)経時変化の影響を受けにくく、繰り返し着脱することが容易で、光伝送特性の安定性に優れた、良好な接続特性が得られる光コネクタを提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面に基いて詳述する。
図1は、本発明の実施形態に係る光コネクタ(光ファイバの突合せ接続後)を示す断面図である。
図1に示す光コネクタ18は、第一の光ファイバ11が内蔵されたフェルール7と、フェルール7の後端7aに連接された(プレート8、クランプ10などからなる)光ファイバ接続器9とを備えている。そして、光コネクタ18により、光ファイバ接続器9の後端側9aから挿入された第二の光ファイバ12の端面と前記第一の光ファイバ11の後端側端面11aとが突合せ接続されている。
第一の光ファイバ11の後端側端面11aには架橋硬化型屈折率整合体6が付着しており、架橋硬化型屈折率整合体6は第一の光ファイバ11の後端側端面11aに塗布した架橋硬化型屈折率整合剤を架橋硬化させたものである。
屈折率整合性を有する有機材料(屈折率整合剤)としては、例えば、アクリル系、エポキシ系、ビニル系、エチレン系、シリコーン系、ウレタン系、ポリアミド系、フッ素系、ポリプタジエン系、ポリカーボネート系などの有機材料から、必要に応じて所望の光学特性(屈折率、光透過率など)を有するものを適宜選択することができ、これらのうちの特定のものに限定されるものではない。
そして、架橋硬化型屈折率整合剤とは、上記屈折率整合剤のうち、熱や光、湿気、電子線などに反応し、液状から固体状に変化する(架橋硬化する)ものであり、架橋硬化したもの(架橋硬化型屈折率整合体6)が付着された光ファイバの接続部において光伝送が可能となるものであればよい。
架橋硬化型屈折率整合体6の屈折率は、1.46±0.05以内であるのが好ましい。屈折率が1.46±0.05の範囲を外れると、接続損失の増加や反射減衰量の低下が著しくなるからである。また、架橋硬化型屈折率整合体6の屈折率は、1.46±0.01以内であるのがさらに好ましい。
架橋硬化型屈折率整合体6の屈折率の変化率は、−40〜70℃において±2%以内であるのが好ましい。
架橋硬化型屈折率整合体6の光透過率は、80%以上であるのが好ましい。光透過率が80%未満になると、接続部での接続損失が1dBを超えるからである。また、架橋硬化型屈折率整合体6の光透過率は、90%以上であるのがさらに好ましい。
架橋硬化型屈折率整合体6の破断伸びは、50%以上であるのが好ましい。破断伸びが50%未満になると、接続時に押圧により変形した際に、架橋硬化型屈折率整合体6に亀裂や崩れが生じ易くなるからである。また、架橋硬化型屈折率整合体6の破断伸びは、100%以上であるのがさらに好ましい。
なお、「架橋硬化型屈折率整合体の破断伸び」とは、石英スライドガラス板の上に、厚さ100μmの架橋硬化型屈折率整合剤のフィルム層を形成し、それを硬化させることにより作製した架橋硬化型屈折率整合体からなるフィルムを、10mm幅の短冊状に加工し、当該フィルムを引張速度50nm/minで引張った際に破断するまでの伸び率のことである。
架橋硬化型屈折率整合体6のガラス粘着力は、50g/10mm幅以上であるのが好ましい。ガラス粘着力が50g/10mm幅未満になると、光コネクタから光ファイバを繰り返し脱着した際に、架橋硬化型屈折率整合体6が脱落し易くなるからである。
また、第一の光ファイバ11の端面に取り付けられた架橋硬化型屈折率整合体6のガラス粘着力は、第一の光ファイバ11の端面側よりも、架橋硬化型屈折率整合体6の表面においてより小さい方が好ましい。第一の光ファイバ11の端面に取り付けられた架橋硬化型屈折率整合体6のガラス粘着力が、第一の光ファイバ11の端面側と、架橋硬化型屈折率整合体6の表面とで同等か、第一の光ファイバ11の端面側よりも架橋硬化型屈折率整合体6の表面においてより大きいと、光コネクタ18では第二の光ファイバ12の着脱が繰り返されるため、第二の光ファイバ12を抜いた際に、第二の光ファイバ12の側に架橋硬化型屈折率整合体6が脱落・付着してしまい易くなるからである。
なお、「架橋硬化型屈折率整合体のガラス粘着力」とは、石英スライドガラス板の上に、厚さ100μmの架橋硬化型屈折率整合剤のフィルム層を形成し、それを硬化させることにより作製した架橋硬化型屈折率整合体からなるフィルムを、10mm幅の短冊状に加工し、JIS Z0237の「90°引きはがし法」に準拠し、剥離速度50mm/minで石英スライドガラス板との90°剥離する際の荷重から求めた値である。
架橋硬化型屈折率整合体6の厚さは、5〜50μmとするのが良い。厚さが5μm未満であると、架橋硬化型屈折率整合体6の量が不足していることから十分な屈折率整合性が得られにくくなること、また、光ファイバ同士が直接接触し易くなり、それにより、光ファイバの端面にキズなどが生じ易くなるからである。また、厚さが50μmより大きいと、光ファイバ同士の端面の間の間隔が広くなり易く、軸ずれや温度変化に起因する膨張・収縮の影響を受け易くなるからである。好ましくは、架橋硬化型屈折率整合体6の厚さは、10〜40μmであるのが良く、さらに好ましくは、架橋硬化型屈折率整合体6の厚さを、15〜30μmとするのが良い。
なお、「架橋硬化型屈折率整合体の厚さ」とは、第一の光ファイバ11の端面に円形球面状乃至台形状に付着された架橋硬化型屈折率整合体6における、第一の光ファイバ11の端面から最も厚い部分における厚さのことである。
本発明の第一の実施形態について説明する。
架橋硬化型屈折率整合剤として、n−ブチルアクリレート/メチルアクリレート/アクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(配合比=82/15/2.7/0.3(重量部))からなるアクリル系樹脂の50%酢酸エチル溶液100重量部に、架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名:コロネートL)1.0重量部を配合して混合した。
上記のようにして得られたアクリル系粘着材塗布液(架橋硬化型屈折率整合剤)を架橋硬化させた架橋硬化型屈折率整合体を、分光光度計にて1300〜1600nmの波長領域における光透過率を測定したところ、93〜95%であった。また、架橋硬化型屈折率整合体の屈性率をアッベ屈折率計で測定したところ、常温(23±2℃)にて1.465±0.005以内であった。
また、架橋硬化型屈折率整合体の破断伸びを測定したところ、200〜300%であったし、架橋硬化型屈折率整合体のガラス粘着力を測定したところ、500〜1000g/10mm幅であった。
上記のようにして得られた架橋硬化型屈折率整合体を、以下のように用いた。
図2は、端面に架橋硬化型屈折率整合体が付着された、本発明の実施形態に係る光コネクタに内蔵されることとなる光ファイバ5の一例を示す側面図である。また、図3は、図2に示す光ファイバ5の端部の拡大図である。
図2に示すように、まず、光ファイバ心線4(日立電線株式会社製、商品名:BBG−SM−WF(外径250μm、ファイバ径125±1μm))の被覆層を200mm除去し、被覆層が除去されて剥き出しとなった、ガラスからなる光ファイバ5の表面をアルコール洗浄した後、光ファイバ5の端部をファイバカッターにて直角にカット(角度誤差:1°以下)し、上記のようにして得られた架橋硬化型屈折率整合剤を光ファイバ5の端面にポッティングして付け架橋硬化(常温放置による架橋硬化)させることにより架橋硬化型屈折率整合体6を付着させた(図3を参照)。架橋硬化型屈折率整合体6の厚さは20〜25μmとした。
そして、図4に示したような、フェルール7、(プレート8、プレート8を覆いプレート8同士を強く結合させるためのバネの役割を果たすクランプ10、プレート8に形成された第二の光ファイバ12を挿入するための溝16、楔15を挿入するための楔挿入溝17からなる)光ファイバ接続器9、ハウジング13からなる光コネクタ18に、架橋硬化型屈折率整合体6が付着された光ファイバ5をカッティングし、挿入固定した。そして、フェルール7の前端で光ファイバ5をカッティングし、フェルール7の前端を研磨処理することにより、第一の光ファイバ11を組み込んだ。このようにして作製された光コネクタ18を10個用意した。
次に、光ファイバの敷設の際に使用する第二の光ファイバ12として用いるホーリーファイバ(日立電線株式会社製、商品名:BBG−HF(外径250μm、ファイバ径125±1μm))の片端の被覆層を除去し、被覆層が除去されて剥き出しとなった、ガラスからなる第二の光ファイバ12の表面をアルコール洗浄した後、第二の光ファイバ12の端部をファイバカッターにて直角にカット(角度誤差:1°以下)し、用意した光コネクタ18に挿入して光ファイバ接続器9による接続を行った。なお、図8は、本発明の実施形態に係る光コネクタに挿入される第二の光ファイバ12の一例を示す断面図である。
第二の光ファイバ12を接続した直後の接続損失(dB)、反射減衰量(dB)、第二の光ファイバ12を接続した後、常温(23±2℃)にて24時間放置後の損失増加量(dB)及び接続部の(1)連続温湿度サイクル試験(温度85℃×336時間→温度60℃×湿度95%×336時間→温度−40℃〜75℃/8時間×42サイクル)、(2)温度サイクル試験(温度−40〜70℃/6時間×10サイクル)、(3)温湿度サイクル試験((温度25℃×湿度93%〜温度65℃×湿度93%〜温度25℃×湿度93%〜温度65℃×湿度93%〜温度25℃×湿度93%〜温度−10℃〜温度25℃×湿度93%〜温度65℃×湿度93%〜温度25℃×湿度93%〜温度65℃×湿度93%〜温度25℃×湿度93%)×5サイクル)、(4)低温試験(温度−40℃×240時間)、による損失増加量(dB)を測定した(それぞれの試験における温度条件を図9〜図12に示した。)。試験(1)には、用意した10個の光コネクタ18のうちの5個を使用し、残り5個を使用して、試験(2)〜試験(4)を順次行った。試験(1)〜試験(4)の結果は表1に示した。
なお、光コネクタ18に第一の光ファイバ11を挿入して光ファイバ接続器9による接続を行う過程を、図5〜図7に示した。まず、光ファイバ接続器9を構成するプレート8に形成された楔挿入溝17に、治具14に形成された楔15を挿入する(図5を参照)。そして、それにより拡大された溝16a(図6(b)を参照)に第二の光ファイバ12を挿入し(図7を参照)、第一の光ファイバ11と第二の光ファイバとを接続させるのである。なお、溝16は特定の形状に限定されなるものではないが、V溝(断面がV字形の溝)の場合に、最も好ましい特性が得られる。第二の光ファイバ12の端面と第一の光ファイバ11の後端側端面11aとが突合せ接続する際に、突合せ接続に直接寄与しない架橋硬化型屈折率整合体6がV溝内の空間に逃げ、それにより良好な接続特性が得られるからである。
本発明の第二の実施形態について説明する。
架橋硬化型屈折率整合剤として、SD4590/BY24−741/SRX212/トルエン(配合比=100/1.0/0.9/50(重量部))からなる付加型シリコーン系粘着材塗布液(SD4590、BY24−741、SRX212はいずれも、東レ・ダウコーニング株式会社製)を用意した。
上記のようにして得られた付加型シリコーン系粘着材塗布液(架橋硬化型屈折率整合剤)を架橋硬化させた架橋硬化型屈折率整合体を、分光光度計にて1300〜1600nmの波長領域における光透過率を測定したところ、92〜94%であった。また、架橋硬化型屈折率整合体の屈折率をアッベ屈折率計で測定したところ、常温(23±2℃)にて1.465±0.005以内であった。
また、架橋硬化型屈折率整合体の破断伸びを測定したところ、200〜300%であったし、架橋硬化型屈折率整合体のガラス粘着力を測定したところ、500〜1000g/10mm幅であった。
上記のようにして得られた架橋硬化型屈折率整合体を、以下のように用いた。
図2は、端面に架橋硬化型屈折率整合体が付着された、本発明の実施形態に係る光コネクタに内蔵されることとなる光ファイバ5の一例を示す側面図である。また、図3は、図2に示す光ファイバ5の端部の拡大図である。
図2に示すように、まず、光ファイバ心線4(日立電線株式会社製、商品名:BBG−SM−WF(外径250μm、ファイバ径125±1μm))の被覆層を200mm除去し、被覆層が除去されて剥き出しとなった、ガラスからなる光ファイバ5の表面をアルコール洗浄した後、光ファイバ5の端部をファイバカッターにて直角にカット(角度誤差:1°以下)し、上記のようにして得られた架橋硬化型屈折率整合剤を光ファイバ5の端面にポッティングして付け架橋硬化(常温放置による架橋硬化)させることにより架橋硬化型屈折率整合体6を付着させた(図3を参照)。架橋硬化型屈折率整合体6の厚さは20〜25μmとした。
そして、図4に示したような、フェルール7、(プレート8、プレート8を覆いプレート8同士を強く結合させるためのバネの役割を果たすクランプ10、プレート8に形成された第二の光ファイバ12を挿入するための溝16、楔15を挿入するための楔挿入溝17からなる)光ファイバ接続器9、ハウジング13からなる光コネクタ18に、架橋硬化型屈折率整合体6が付着された光ファイバ5をカッティングし、挿入固定した。そして、フェルール7の前端で光ファイバ5をカッティングし、フェルール7の前端を研磨処理することにより、第一の光ファイバ11を組み込んだ。このようにして作製された光コネクタ18を10個用意した。
これらを使用して、実施例1と同様に、ホーリーファイバ(第二の光ファイバ12)との接続を行い、試験(1)〜試験(4)を順次行った。試験(1)〜試験(4)の結果は表1に示した。なお、図8は、本発明の実施形態に係る光コネクタに挿入される第二の光ファイバ12の一例を示す断面図である。
<比較例>
本発明の比較例について説明する。
本発明の比較例について説明する。
非架橋型屈折率整合剤として、OC−431A−LVP(Nye Lubricants.Inc製、屈折率1.45)を用意した。そして、この非架橋型屈折率整合剤を、以下のように用いた。
光ファイバ心線4(日立電線株式会社製、商品名:BBG−SM−WF(外径250μm、ファイバ径125±1μm))の被覆層を200mm除去し、被覆層が除去されて剥き出しとなった、ガラスからなる光ファイバ5の表面をアルコール洗浄した後、光ファイバ5の端部をファイバカッターにて直角にカット(角度誤差:1°以下)した。
そして、図4に示した光コネクタ18と同様な光コネクタに、光ファイバ5をカッティングし、挿入固定した。そして、フェルールの前端で光ファイバ5をカッティングし、フェルールの前端を研磨処理し、光コネクタ内の光ファイバの接続部に上記非架橋硬化型屈折率整合剤を充填した。このようにして作製された光コネクタ22(図示せず)を用意した。
これらを使用して、実施例1、2と同様に、ホーリーファイバ(第二の光ファイバ12)との接続を行い、試験(1)〜試験(4)を順次行った。試験(1)〜試験(4)の結果は表1に示した。なお、図8は、本発明の比較例に係る光コネクタに挿入される第二の光ファイバ12の一例を示す断面図である。
<試験の結果>
表1に実施例1、2と比較例の試験結果を示す。これから明らかなように、非架橋型屈折率整合剤を用いた比較例では、常温(23±2℃)にて24時間放置するだけで損失増加量が1dB以上増加しているのに対し、架橋硬化型屈折率整合体6を用いた実施例1、2では、常温(23±2℃)にて24時間放置した場合、各種温湿度試験においても、損失増加量が0.3dBより小さく、優れた光伝送特性を保持している。
表1に実施例1、2と比較例の試験結果を示す。これから明らかなように、非架橋型屈折率整合剤を用いた比較例では、常温(23±2℃)にて24時間放置するだけで損失増加量が1dB以上増加しているのに対し、架橋硬化型屈折率整合体6を用いた実施例1、2では、常温(23±2℃)にて24時間放置した場合、各種温湿度試験においても、損失増加量が0.3dBより小さく、優れた光伝送特性を保持している。
また、試験後、実施例1、2、比較例において用いた光コネクタを解体してホーリーファイバ(第二の光ファイバ12)の空孔部を観察したところ、比較例において用いたホーリーファイバ(第二の光ファイバ12)の空孔部においては、非架橋硬化型屈折率整合剤が数mmから十数mm程度侵入しているのが確認されたのに対し、実施例1、2において用いたホーリーファイバ(第二の光ファイバ12)の空孔部においては、架橋硬化型屈折率整合体6が最大でも、付着された厚さ程度侵入しているのが確認されたのみであった。
本発明の第一の実施形態に係る第一の光ファイバ11の後端側端面に付着している架橋硬化型屈折率整合体6の厚さを変化させて、上記(2)温度サイクル試験(−40〜70℃/6時間×10サイクル)における架橋硬化型屈折率整合体6の厚さ(μm)と損失増加量(dB)との関係を測定した測定図を図13に示した。この図13に示した結果から、架橋硬化型屈折率整合体6の厚さが10μmより薄くなると損失増加量が増え始め、架橋硬化型屈折率整合体6の厚さが5μm以下となると急激に増大することが解る。また、架橋硬化型屈折率整合体6の厚さが35μmより厚くなると損失増加量が増え始め、架橋硬化型屈折率整合体6の厚さが50μmより厚くなると損失増加量が急激に増大することが解る。
本発明の光コネクタ18は第二の光ファイバ12として、ホーリーファイバのみならず、その内部に周期的な複数の空孔部を有さない、通常の光ファイバも使用することができる。
1 コア
2 空孔部
3 クラッド
4 光ファイバ心線
5 光ファイバ
6 架橋硬化型屈折率整合体
7 フェルール
7a フェルールの後端
8 プレート
9 光ファイバ接続器
9a 光ファイバ接続器の後端側
10 クランプ
11 第一の光ファイバ
11a 第一の光ファイバの後端側端面
12 第二の光ファイバ
13 ハウジング
14 治具
15 楔
16 溝
16a 拡大された溝
17 楔挿入溝
18 光コネクタ
2 空孔部
3 クラッド
4 光ファイバ心線
5 光ファイバ
6 架橋硬化型屈折率整合体
7 フェルール
7a フェルールの後端
8 プレート
9 光ファイバ接続器
9a 光ファイバ接続器の後端側
10 クランプ
11 第一の光ファイバ
11a 第一の光ファイバの後端側端面
12 第二の光ファイバ
13 ハウジング
14 治具
15 楔
16 溝
16a 拡大された溝
17 楔挿入溝
18 光コネクタ
Claims (9)
- 第一の光ファイバが内蔵されたフェルールと、該フェルールの後端に連接された光ファイバ接続器とを備え、該光ファイバ接続器の後端側から挿入された第二の光ファイバの端面と前記第一の光ファイバの後端側端面とが突合せ接続されて成る光コネクタにおいて、
前記第一の光ファイバの後端側端面に架橋硬化型屈折率整合体が付着しており、該架橋硬化型屈折率整合体は前記第一の光ファイバの後端側端面に塗布した架橋硬化型屈折率整合剤を架橋硬化させたものであることを特徴とする光コネクタ。 - 前記架橋硬化型屈折率整合体が、屈折率1.46±0.05以内、光透過率80%以上、破断伸び50%以上、ガラス粘着力50g/10mm幅以上であることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ。
- 前記架橋硬化型屈折率整合体の厚さが5〜50μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光コネクタ。
- 前記光ファイバ接続器の後端側から挿入された第二の光ファイバの端面と接する前記架橋硬化型屈折率整合体の表面形状が球面状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光コネクタ。
- 前記架橋硬化型屈折率整合体が前記第一の光ファイバの端面にのみ付着していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光コネクタ。
- 前記架橋硬化型屈折率整合体が前記第一の光ファイバの端面から側面に亘って付着していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光コネクタ。
- 前記光ファイバ接続器が、その後端側から挿入された第二の光ファイバよりも大きい断面積を有する溝が形成されたプレートを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光コネクタ。
- 前記溝がV溝であることを特徴とする請求項7に記載の光コネクタ。
- 前記第二の光ファイバがホーリーファイバであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の光コネクタ。
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