JP5221578B2 - 光コネクタ - Google Patents
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Description
しかしながら、コネクタ結合時に、シート全体に想定外の大きな歪みが付与されると、ソフト層に密度変化が生じ、ハード層の屈折率との間に差が出る。このため、両者の界面では光が反射され伝送損失の生じる虞がある。
(1) フェルールが本体から突出し、前記フェルールと前記本体がハウジングで覆われ、前記本体と前記フェルールに光ファイバが挿通された光コネクタであって、
前記フェルールの先端面に屈折率調整シートが接着され、
前記屈折率調整シートがソフト層とハード層とからなり、
前記ソフト層が前記フェルール先端面に接着され、
前記ソフト層のガラスに対する剪断粘着力が1.0から30kgf/25mmの間のいずれかの値であり、かつヤング率が0.01から5MPaの間のいずれかの値であり、
前記ハード層のヤング率が100から1000MPaの間のいずれかの値であり、
前記ソフト層の厚さが10μm以上であり、前記ハード層の厚さが5μm以上であり、両層の厚さの和が60μm以下であり、
波長1.31μmの光に対する前記ソフト層の屈折率が1.39から1.45の間の値であり、前記ハード層の屈折率が1.44から1.48の間の値であり、前記ソフト層の屈折率が前記ハード層の屈折率よりも小さく、その差が0.01以上0.07以下であることを特徴とする光コネクタ。
図1は本発明に係る光コネクタにおいて、屈折率調整シートを備えた単心光ファイバを接続する場合のフェルールの一例を表す断面図、図2は図1に示した屈折率調整シート近傍の要部拡大図である。
本実施の形態の光コネクタに適用される屈折率調整シート1は、光ファイバ3を挿通し固定する一対のフェルール5間、又はフェルール5を含む一対のプラグ間に設けられる。
ソフト層9は、フェルール5の先端面13から数μm程度突き出しているガラスファイバ3aの端面と粘着していることが重要であり、特に、オス型光コネクタ内のガラスファイバ3aに本屈折率調整シート1が強固に粘着していることが重要である。ガラスファイバ3aと強固な粘着性が必要になる理由は、本屈折率調整シート1がガラスファイバ3aに直接粘着して光接続されるためである。さらに、繰り返し着脱される場合の剥がれ抑止に、強固な粘着力が必要なためである。これらの理由から、ソフト層9のヤング率は、0.01から5MPaの間のいずれかの値であることが好ましい。
幅25mm長さ60mmの試験片(ソフト層)を市販のプレパラート用ガラスに挟んでガラスをよく押しつけて試験片とガラスとを貼り付ける。一方のガラスを固定し、他方のガラスをガラス面と平行かつ試験片の長さ方向にそって200mm/分の速さで動かす。このときの最大値をガラスに対する剪断粘着力とする。
また、ソフト層の厚みとハード層の厚みの和を60μm以下とする。ハード層を含めた光学シートの膜厚が過剰の場合には、光学シートによる接続損失量の増加に繋がるためである。ソフト材の厚みは、概ね30μm以下が望ましい。
ハード層11は、ソフト層9の上にコーティングされ、比較的硬めの材質で構成されることが必要となる。これは、光コネクタ同士を接続する際に、人為的に圧力が本屈折率調整シート1に付与されるため、外圧により破壊されないためである。また、ハード層11には繰り返し光ファイバが突き当てられても破壊しない程度の強度が必要となる。具体的には、ヤング率が100MPa以上に設定される。圧力に耐えるという目的のためにはヤング率の上限は無い。但し、現実的には1000MPa以上のヤング率としても耐久性はあまり変わらない。一方、硬すぎた場合(1000MPaを超えるハード層の場合)には、ハード層の粘性が小さくなり、着脱時の歪みを吸収せず、ダイレクトにソフト層9に歪エネルギーを伝播させてしまうことになる。したがって、ハード層11は、ヤング率100〜1000MPaに設定することができる。
ソフト層・ハード層の透過係数は、概ね<2.5×10-3(l/μm)を採用している。これによって、コネクタ接続特性(≦0.5dB)を達成できる。
屈折率調整シート1は、ソフト層が所定のフィルム製造方法(多層共押出製法)を用いて製造される。ハード層は前記ソフト層の上に、紫外線硬化型樹脂を紫外線により塗布・硬化させる。本積層型光学シートを所定の大きさに打ち抜いて得る。
図3は屈折率調整シートの貼られた光コネクタの断面図である。
光ファイバ3を布設して端部に光コネクタ(現地付け光コネクタ)100を付ける。現地付けの光コネクタ100では、光ファイバ3を切断して端面を研磨しないでフェルール5に差す。この際、端面が研磨されていないので微少な凹凸がある。相手の光ファイバは工場でコネクタ付けされたものであり、端面が研磨されている。これらを接続すると、現地付け光コネクタ100側は光ファイバ3の端面を研磨していないので、両者の間に微少な隙間ができる。そこで接続損失が大きくなる。これをなくすために屈折率調整シート1を両者の間に入れる。屈折率調整シート1は、このために光ファイバ保持孔7の開口するフェルール5の先端面13に設けられる。
図4は被覆除去部の構成を示す拡大図である。
図3に示すフェルール5の光ファイバ保持孔7は、外被付き光ファイバ3cの外径(図4の外径d1)と略同一(正確には、僅かに大きい)の内径を有する第1孔部33と、外被付き光ファイバ3cの先端の被覆3bを除去したガラスファイバ3aの外径(図4の外径d3)と略同一(正確には、僅かに大きい)の内径D1を有する第2孔部35と、第1孔部33と第2孔部35との間に位置して外被付き光ファイバ3cの先端部で除去した被覆3bを収容する空間である被覆受け部37とを備えている。図示のように、被覆受け部37は、第1孔部33よりも広い空間に形成されている。
ガラスファイバ3aの外径に略等しい(僅かに大きい)内径D1の第2孔部35の端部は、テーパ部39aにより、外被付き光ファイバ3cの第1被覆3b1の内径d3よりも大きく、第1被覆3b1の外径d2よりも小さい寸法D2に設定されている。
一方、第2孔部35の端部に連なる被覆受け部37側の壁面に形成したテーパ部39bは、D2よりも大きく、第1被覆3b1の外径d2よりも小さい寸法D3の位置から徐々に傾斜したテーパ面となっている。
したがって、被覆除去部39の先端部には、D2とD3で挟まれる僅かな幅ではあるが、外被付き光ファイバ3cとの衝突を受ける平坦面39cが残された形状になっている。
また、第2孔部35はその端部内周面がテーパ部39aに設定されているため、被覆が除去されたガラスファイバ3aを良好に第2孔部35内に案内することができる。
[具体的な樹脂組成]
ソフト層は、[A]アルキル(メタ)アクリレート100重量部に対して、[B]水酸基含有(メタ)アクリル系モノマー0.01〜5重量部を共重合性分として含有し、本(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとする。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートの何れかのモノマーから構成される。更に、上記アルキル(メタ)アクリレート100重量部([A]に相当する部分)に対して、架橋剤を0.02〜2重量部、硬化剤としてイソシアネート化合物を0.001〜2重量部、必要に応じ、粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等を、また本発明の目的を逸脱しない範囲で各種の添加剤を適宜に使用できる。
なお、ソフト材となるシートの作製方法は、本樹脂組成物をスクリーンコーター上に反転塗工し、熱オーブンで所定時間一定温度を付与させる。その後、室温で一週間以上放置し、所定形状になるようにシート裁断を行った。
積層シートは、[A]の粘着シート上に[B]のハード樹脂をコーティングすることで行われる。具体的には、ハード層となる紫外線硬化型樹脂液を一定膜厚となる様に塗布・UV硬化させる。その後、所定の形状(φ1.5〜2.0mm、厚み:15〜100μm)となるように、一定形状のサンプルを切出すことによって行われる。これを後述のフェルール上に貼り付けることによって行う。
幅25mm長さ60mmの試験片(ソフト層)を市販のプレパラート用ガラスに挟んでガラスをよく押しつけて試験片とガラスとを貼り付ける。一方のガラスを固定し、他方のガラスをガラス面と平行かつ試験片の長さ方向に沿って200mm/分の速さで動かす。このときの最大値をガラスに対する剪断粘着力とする。
[屈折率の測定]
屈折率は、市販のアッベの屈折率計を用いて、積層シートのソフト層側から該ソフト層の屈折率を測定した。
[ヤング率の測定(ハード材)]
市販の引張試験器(島津製作所製)を用いて、JIS7113に基づいて、JIS2号ダンベルを使用し、引張り速度1mm/分で引張り試験を行ない、2.5%歪の割線式を使用して算出した。
[シートの厚み測定]
市販マイクロゲージを用いて、当該シートサンプルを直接的に計測した。
上記した所定形状(φ1.5〜2.0mm、厚み:15〜100μm)のサンプルを用いて、直接フェルール頭頂部に貼り付ける。貼付け後、光学顕微鏡でフェルール上部を確認し、ソフト材の貼付けが不十分な場合には、剥離が認められる。この剥離検査で剥離が認められると、「×」と判定する。
実施例1〜実施例5は、図5中の各剪断粘着力、屈折率、厚みの屈折率調整シートを用いることで、課題とする光学特性(コネクタ接続損失・反射特性)が、何れも特性良好となる結果が得られた。
比較例2はソフト層の屈折率が高すぎる。歪みを受けて屈折率が高くなると高くなりすぎることが知見できた。
3 光ファイバ
3a ガラスファイバ(コア)
3c 外被付き光ファイバ
5 フェルール
7 光ファイバ保持孔
9 ソフト層
11 ハード層
13 先端面
23 固定用蓋部材(固定手段)
100 光コネクタ(プラグ)
T 両層の厚さの和
tH ハード層の厚さ
tS ソフト層の厚さ
Claims (1)
- フェルールが本体から突出し、前記フェルールと前記本体がハウジングで覆われ、前記本体と前記フェルールに光ファイバが挿通された光コネクタであって、
前記フェルールの先端面に屈折率調整シートが接着され、
前記屈折率調整シートが、前記光ファイバの端面と密着されるソフト層と、ハード層とからなり、
前記ソフト層が前記フェルール先端面に接着され、
前記ソフト層のガラスに対する剪断粘着力が1.0から30kgf/25mmの間のいずれかの値であり、かつヤング率が0.01から5MPaの間のいずれかの値であり、
前記ハード層のヤング率が100から1000MPaの間のいずれかの値であり、
前記ソフト層の厚さが10μm以上であり、前記ハード層の厚さが5μm以上であり、両層の厚さの和が60μm以下であり、
波長1.31μmの光に対する前記ソフト層の屈折率が1.39から1.45の間の値であり、ハード層の屈折率が1.44から1.48の間の値であり、ソフト層の屈折率がハード層の屈折率よりも小さく、その差が0.01以上0.07以下であることを特徴とする光コネクタ。
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