JP2007224389A - 耐熱性、鋳造性、耐食性に優れたダイカスト用マグネシウム合金 - Google Patents

耐熱性、鋳造性、耐食性に優れたダイカスト用マグネシウム合金 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、鋳造性、耐食性に優れたダイカスト用マグネシウム合金を提供すること。
【解決手段】Al、希土類元素、及びMnを含有する、耐熱性、鋳造性、耐食性に優れたマグネシウム合金である。Mnの含有量は0.05〜1.0重量%である。Alの含有量をa質量%、R.E.の含有量をb質量%とすると、a≧2.5、2.5≧b/a≧1.5−2.5/a、且つ31.3/a−4.3≧b/aである。残部が、Mg及び不可避不純物からなる。定常部断面における所定の面積を100%とすると、所定面積内のMg−Al化合物の面積率が0.1%以下である。
【選択図】図3

Description

本発明は、ダイカスト鋳造等に用いられるダイカスト用マグネシウム合金に関する。
耐熱性と鋳造性を両立させることを目的として、ダイカスト用耐熱マグネシウム合金や、種々のダイカスト用マグネシウム合金(特許文献1〜3)が提案されている。これらのダイカスト用マグネシウム合金はAlや希土類元素(R.E.)等を含有しており、耐熱性がある程度向上したため、マグネシウム合金の適用範囲の拡大に寄与した。しかし、より熱負荷の高い部品への適用と低コスト化のためには、汎用合金並のダイカスト鋳造性が求められている。上記ダイカスト用耐熱Mg合金においては、要求される耐熱性と、鋳造性とを十分にカバーできない。
ダイカスト用マグネシウム合金の最も大きな課題はダイカスト鋳造時の割れである。鋳造割れによる不良品の多発により製造コストアップにつながると同時に、微細な鋳造割れ欠陥により材料本来の耐熱性を発現することができない。従来技術では、この鋳造割れを十分に抑制することができない。そのため、優れた鋳造性と耐熱性を有し、更に耐食性に優れたダイカスト用マグネシウム合金の開発が望まれている。
特開平9−291332号公報 特開2001−316752号公報 特開2002−129272号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、耐熱性、鋳造性、耐食性に優れたダイカスト用マグネシウム合金を提供しようとするものである。
本発明は、Al、希土類元素(以下、R.E.とする)、及びMnを含有する、耐熱性、鋳造性、耐食性に優れたマグネシウム合金であって、
上記Mnの含有量は0.05〜1.0重量%であり、
上記Alの含有量をa質量%、上記R.E.の含有量をb質量%とすると、a≧2.5、2.5≧b/a≧1.5−2.5/a、且つ31.3/a−4.3≧b/aであり、
残部が、Mg及び不可避不純物からなり、
定常部断面における所定の面積を100%とすると、所定面積内のMg−Al化合物の面積率が0.1%以下であることを特徴とするダイカスト用マグネシウム合金にある(請求項1)。
本発明のダイカスト用マグネシウム合金(以下、適宜、マグネシウム合金)は、含有する成分とその含有量を適正化することにより、耐熱性、鋳造性、耐食性に優れたマグネシウム合金を得ることができる。
即ち、上記マグネシウム合金は、Al、R.E.、及びMnを含有する。
上記Alは、上記マグネシウム合金において、鋳造性、耐食性を向上する効果を有する。
上記R.E.は、上記マグネシウム合金中に一部固溶するため、耐食性を大きく向上することができる。
また、AlとR.E.とが、熱的に安定なAl−R.E.系化合物を生成する。該Al−R.E.系化合物は、腐食の原因となるFeやNi等の不純物を化合物中に取り込むため、マグネシウム合金は、優れた耐食性を得ることができる。
また、上記Mnを含有することによって、耐食性を向上することができる。
また、上記Alの含有量をa質量%、上記R.E.の含有量をb質量%とすると、a≧2.5、2.5≧b/a≧1.5−2.5/a、且つ31.3/a−4.3≧b/aである。
上記範囲を満たすことで、Al及びR.E.の含有量は適正化される。この場合には、上記Al−R.E.系化合物の晶出の際にAlを消費し、熱的に不安定なMg−Al化合物(以下、β相)の晶出を抑制することができる。それ故、定常部断面における所定の面積を100%とすると、熱的に不安定なβ相の面積率が0.1%以下となり、優れた耐熱性を得ることができる。更に、上記β相の晶出が抑制されることで、マグネシウム合金は、擬二次元凝固を示す。そのため、固液共存温度範囲が小さくなり、凝固時の温度バランスが良好になるため、鋳造割れを抑制することができる。
本発明のダイカスト用マグネシウム合金は、上述したように、Mnを含有し、その含有量が0.05〜1.0重量%である。
上記Mnの含有量が0.05質量%未満の場合には、マグネシウム合金の耐食性が低下するという問題があり、一方、上記Mnの含有量が1.0質量%を超える場合には、溶湯中でMnと、Alと、R.E.とが比重の大きな化合物を形成して沈降するため、スラッジの発生量を多くすると共に、合金中のAl量及びR.E.量を低下させるという問題がある。
また、上記Alの含有量をa質量%、上記R.E.の含有量をb質量%とすると、a≧2.5、2.5≧b/a≧1.5−2.5/a、且つ31.3/a−4.3≧b/aである。
a<2.5の場合、には、Al含有による鋳造性向上効果を確保できないと共に、安定なAl−R.E.系化合物相の絶対量が不足して十分な耐熱性が得られないという問題がある。
上記Al−R.E.系化合物としては、例えば、Al2Ce化合物、Al11Ce3化合物、Al2La化合物、Al11La3化合物、Al2Nd化合物、Al11Nd3化合物、Al2Pr化合物、Al11Pr3化合物等が挙げられる。
b/a>2.5、つまりb>2.5aの場合には、Mg−R.E.系化合物が相対的に増加するため、鋳造性が大きく低下すると共に、耐食性が損なわれるという問題がある。該Mg−R.E.系化合物としては、例えば、Mg9Ce化合物、Mg12Ce化合物、Mg3Ce化合物、Mg9La化合物、Mg12La化合物、Mg3La化合物、Mg9Pr化合物等がある。一方、b/a<1.5−2.5/a、つまり、b<1.5a−2.5の場合には、熱的に不安定なβ相が晶出するため、耐熱性が低下するという問題がある。また、b/a>31.3/a−4.3、つまりb>31.3−4.3aの場合には、スラッジ量が増加するのみであり、高Al、高R.E.のマグネシウム合金を得ることができないという問題がある。
また、残部が、Mg及び不可避不純物からなる。
本発明のダイカスト用マグネシウム合金における必須元素は、マグネシウムの他には、Al、R.E.、Mnである。その他の元素は基本的には不可避不純物として含まれる程度である。
また、定常部断面における所定の面積を100%とすると、Mg−Al化合物の面積率が0.1%以下である。
上記Mg−Al化合物しては、例えば、Mg17Al12化合物(β層)がある。
上記面積率が0.1%を超える場合には、熱的に不安定な上記β相により、マグネシウム合金の耐熱性が低下するという問題がある。
また、上記R.E.としてCeを主成分とするミッシュメタル(以下、Mmとする)を用いることが好ましい(請求項2)。
上記R.E.は高価な合金元素であるため、多量の添加はコストアップにつながる。そのため、安価なMmを用いることが経済的であり、有効である。ここで、主成分とは、50重量%以上を占める成分と定義する。
また、上記ダイカスト用マグネシウム合金は、更に、Sr:1.5重量%以下、Ca:1.0重量%以下、Si:1.0重量%以下、及びSn:2.0重量%以下から選ばれる1種又は2種以上を含有することが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記Al−R.E.系化合物相と異なる相ではあるが、耐熱性に関して上記Al−R.E.系化合物相と同様の効果を示す相が形成されるため、耐熱性を向上することができる。
上記Srを添加する場合には、更に、鋳物の耐食性を向上することができる。
上記Srの含有量が1.5質量%を超える場合には、晶出するMg−Sr系化合物が増加するため、鋳造性が大きく低下するおそれがある。
また、上記Caを添加する場合には、更に、溶湯の防燃効果を得ることができる。
上記Caの含有量が1.0質量%を超える場合には、晶出するMg−Ca系化合物が増加するため、鋳造性が大きく低下するおそれがある。
また、上記Si、Snを添加する場合には、更に、鋳造性を向上することができる。
上記Siの含有量が1.0質量%を超える場合には、溶湯中でSiとR.E.とが比重の大きな化合物を形成して沈降するため、合金中のR.E量を低下させるおそれがあり、上記Snの含有量が2.0質量%を超える場合には、溶湯中でSnとR.E.とが比重の大きな化合物を形成して沈降するため、合金中のR.E.量を低下させるおそれがある。
また、晶出する化合物の定常部断面における合計面積を100%とすると、Al−R.E.系化合物の面積率が95%以上であることが好ましい(請求項4)。
上記Al−R.E.系化合物は熱的に安定であるため、マグネシウム合金の耐熱性を向上することができる。該Al−R.E.系化合物は、マグネシウム合金中の不純物を化合物内に取り込むため、ダイカスト用マグネシウム合金の耐食性を向上することができる。そのため、Al−R.E.系化合物の面積率が95%以上であることが好ましい。
上記Al−R.E.系化合物の面積率が95%未満の場合には、ダイカスト用マグネシウム合金の耐熱性及び耐食性が低下するおそれがある。
また、上記Alの含有量をa質量%、上記R.E.の含有量をb質量%とすると、a≧2.5、2.3≧b/a≧1.6−2.3/a、且つ31.3/a−4.3≧b/aであることが好ましい(請求項5)。
この場合には、Al及びR.E.の含有量が更に適正化される。熱的に不安定なMg−Al化合物は晶出せず、熱的に安定なAl−R.E.系化合物が晶出し、優れた耐熱性を得ることができる。また、固液共存温度範囲が更に小さくなり、凝固時の温度バランスが良好になるため、鋳造割れを抑制することができる。
b/a>2.3の場合には、Mg−R.E.系化合物が相対的に増加するため、鋳造性が低下するおそれがあり、一方、b/a<1.6−2.3/aの場合には、熱的に不安定なβ相が晶出、あるいは析出して、耐熱性が低下するおそれがある。
(実施例1)
本発明のダイカスト用マグネシウム合金にかかる実施例について、説明する。
本例では、表1に示す組成のマグネシウム合金を用いて鋳造を行い、組成分析を行った。
上記鋳造は、まず、SUS430製溶解るつぼを用いて溶湯を準備した。純Mg(99.9%)インゴット、純Al(99.9%)インゴット、Mg−3.3Mn合金を上記るつぼに投入し、その後、炉において、防燃ガスとして少量のSF6ガスを吹き付けた状態で溶解を行い、溶湯温度が750℃に至るまで加熱した。更に、所定量のMm(52%Ce−25%La−16%Nd−6%Pr合金)を上記るつぼ内に投入して溶湯の攪拌を行った。溶湯温度を720℃とした後、炉中で30分間沈静保持した。その後、るつぼを炉から取り出し、堅型ダイカスト機を用いて鋳造を行い、ダイカスト鋳物を作製した。
<鋳造条件>
射出速度:0.3m/s
射出圧力:28MPa
加圧時間:5s
金型温度:室温
射出溶湯温度:液相線温度+30℃
金型形状:20mm×20mm×48mm(以下、A形状)
上記組成分析は、上記鋳造によって得られたダイカスト鋳物の一部から試料を削り出して、誘導プラズマ(ICP)発光分析により上記ダイカスト鋳物の組成分析を行った。結果を表1に示す。また、図1にダイカスト鋳物のAlとMm(Ce+La+Nd+Pr)の配合値と分析値との関係を示す。図1において、横軸はAl量、縦軸はMm量とし、配合値(○印)と、分析値(●印)とを示す。
図1より知られるごとく、Al及びMmの配合量が破線Kを上回ると、AlとMmはAl−R.E.系化合物として晶出、沈降してるつぼ底にスラッジとして検出され、ダイカスト鋳物のAl及びMmの分析値は、配合量に比べて大きく低下した。これにより、Mg−Al−Mm−Mn合金は、図1に示した破線K(31.3/a−4.3=b/a、Alの含有量をa質量%、上記R.E.の含有量をb質量%とする)以上のAlとMmを加えてもスラッジ量が増加するのみであり、高Al、高Mmのマグネシウム合金鋳物を得られないことがわかる。
(実施例2)
本例は、表2に示す組成のマグネシウム合金を用いて鋳造を行い、組織観察、β相面積率、軸力保持率、鋳造性を測定した。
まず、上記実施例1と同様にして、表2に示す組成のマグネシウム合金を溶製して、上記A形状のダイカスト鋳物を作製した。得られたダイカスト鋳物の一部を切り出した試料について、組織観察を行い、組織写真によりβ相の面積を測定し、β相率(面積率)を算出した。
図2に、試料E1〜試料E8及び試料C1〜試料C10のAl、Mmの含有量を示す。同図は、横軸にAlの含有量(a、質量%)、縦軸にMmの含有量(b、質量%)をとる。直線Lはa=2.5を示し、直線Mはb/a=2.5を示し、直線Nはb/a=1.5−2.5/aを示し、直線Oはb/a=31.3/a−4.3示す。そのため、これらの直線に囲まれた領域Sは本発明の範囲を示す。また、図2において、符号P(○印)は本発明における実施例を示し、符号Q(×印)は本発明における比較例を示す。
また、A点は試料E5、B点は試料C4、C点は試料C7、D点は試料C8における点である。
上記組織観察は、上記試料を研磨し、10%酢酸水溶液を用いてエッチングした後、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて行った。晶出部位、晶出形態から化合物を分類した。エネルギー分散形X線分析装置(EDX)による分析も併せて行い、β相の確認を行った。
ダイカスト鋳物の組織の一例を図3〜図6に示す。
上記図3、図4、図5、図6はそれぞれ、試料E5(図2におけるA点)、試料C4(図2におけるB点)、試料C7(図2におけるC点)、試料E8(図2におけるD点)の組織の写真である。
図3より知られるごとく、本発明における実施例である試料E5は、化合物として、Al−R.E.系化合物3が観察された。
図4より知られるごとく、本発明の比較例である試料C4は、化合物としてAl−R.E.系化合物3、及びMg−R.E.系化合物4が観察された。
また、図5より知られるごとく、本発明の比較例である試料C7は、Al−R.E.系化合物3、及びMg−Al化合物5が観察された。
また、図6より知られるごとく、本発明の比較例である試料C8は、Al−R.E.系化合物3、及びMg−Al化合物5が観察された。
次に、β相率の測定は、SEM及び光学顕微鏡を用いて組織写真を撮影し、画像解析ソフト(ImagePro)を用いてβ相の面積率(β相率)を求めた。β相率は5視野の平均値とした。結果を表2に示す。
次に、軸力保持試験について説明する。後述の条件で鋳造を行い、2本の棒状部位を有するU字型形状のマグネシウムダイカスト鋳物を作製した。そして、上記ダイカスト鋳物の一方の棒状部位から、外径20mm、内径(ボルト貫通穴)9mm、高さ約10mmのリング形状の試料11(図8参照)を切り出した。
<鋳造条件>
射出速度:(プランジャー移動速度)を0.3〜0.35m/s
射出圧力:28MPa
金型温度:室温〜40℃
軸力の測定は、図8に示すように、試料11を、ボルト81に符合するようにネジをきったアルミニウム合金製のブロック83に、アルミニウム合金製のワッシャ82を介した状態で、鋼製のボルト81を用いて締結した。このときボルト81にかかる軸力(初期軸力)は8kNとする。軸力はボルト81に取り付けた歪ゲージ84を用いて測定した。この歪ゲージ84は、上記ボルト81の軸表面(表裏の二か所)に二枚取り付けた。そのゲージリード線85を、ボルト81の頭に設けた穴に通して外部へ引き出してある。
上記試料11を上記ブロック83に締結した状態のまま、175℃に設定した高温恒温槽内に挿入し、300時間保持した後、高温恒温槽より取り出し、室温まで冷却した。その後、ボルト81の軸力を再び測定し、これを残留軸力とした。上記初期軸力に対する残留軸力の割合を算出して、これを軸力保持率とした。軸力保持率は4〜10個の平均値として算出した。
その後、算出した軸力保持率について、同様の軸力保持試験により求めたダイカスト用アルミニウム合金ADC12の軸力保持率を100としたときの割合(ADC12合金比)を算出し、耐熱性を評価した。評価が○のものを合格、評価が×のものを不合格とした。結果を表2に示す。
(評価基準)
○:軸力保持率の割合(ADC12合金比)が70を超えるもの
×:軸力保持率の割合(ADC12合金比)が70以下のもの
次に、鋳造性について説明する。以下の条件で鋳造を行い、図7に示す形状(以下、B形状)のダイカスト鋳物を作製した。鋳造時にダイカスト鋳物に生じる割れの有無を観察し、鋳造性を評価した。結果を表2に示す。
<鋳造条件>
射出速度:1m/s
射出圧力:64MPa
加圧時間:5s
金型温度:200℃
射出溶湯温度:液相線温度+30℃
金型形状:厚みv(2mm)、幅w(50mm)、高さx(80mm)の板の上部に、厚みz(3mm)、幅w(50mm)、高さ(30mm)の肉厚部を有する形状
表2より知られるごとく、本発明の実施例である試料E1〜試料E8は、いずれの評価においても良好な結果を示した。
本発明の比較例である試料C1及び試料C2は、Alの含有量が本発明の下限を下回るため、熱的に安定なAl−R.E.系化合物の晶出が不十分であり、軸力保持率が低下し、耐熱性が不合格であった。
また、本発明の比較例である試料C3及び試料C4は、Alの含有量が本発明の下限を下回り、且つ、b/aが本発明の上限であるb/a=2.5を上回り、Mg−R.E.系化合物が生成し、鋳造時に割れが生じたため、鋳造性が不合格であった。
また、本発明の比較例である試料C5、試料C7、試料C9は、b/aが本発明の下限であるb/a=1.5−2.5/aを下回るため、熱的に不安定なβ相の晶出を抑制することができず、また、β相率が本発明の上限を上回るため、軸力保持率が低下し、耐熱性が不合格であった。
また、本発明の比較例である試料C6は、b/aが本発明の上限であるb/a=2.5を上回り、Mg−R.E.系化合物が晶出し、鋳造時に割れが生じたため、鋳造性が不合格であった。
また、本発明の比較例である試料C8は、b/aが本発明の上限であるb/a=31.3/a−4.3を上回るため、熱的に不安定なβ相の晶出を抑制することができず、また、β相率が本発明の上限を上回り、軸力保持率が低下したため、耐熱性が不合格であった。
また、本発明の比較例である試料C10は、b/aが本発明の上限であるb/a=31.3/Al−4.3を上回るため、軸力保持率が低下し、耐熱性が不合格であった。
(実施例3)
本例は、表3〜表5に示す組成のマグネシウム合金を用いて鋳造を行い、実施例2と同様にして軸力保持率を測定し、耐熱性を評価した。
Al量、Mm量、SR量、Ca量、Si量、Sn量、Mn量を変えた、表3〜表5に示す組成のマグネシウム合金を、上記実施例1と同様にして溶製し、上記実施例1と同様の方法で形状Aのダイカスト鋳物を鋳造した。また、上記実施例2と同様の方法で軸力保持率を求め、耐熱性を評価した。結果を表3〜表5にあわせて示す。評価が○のものを合格、評価が×のものを不合格とする。
(評価基準)
○:軸力保持率の割合(ADC12比)が70を超えるもの
×:軸力保持率の割合(ADC12比)が70以下のもの
表3〜表5より知られるごとく、本発明の実施例である試料E9〜試料E51は、いずれの評価においても、良好な結果を示した。
本発明の比較例である試料C11、試料C12、及び試料C13は、b/aが本発明の下限であるb/a=1.5−2.5/aを下回るため、軸力保持率が低下し、耐熱性が不合格であった。
(実施例4)
本例は、表6に示す組成のマグネシウム合金を用いて鋳造を行い、腐食速度を測定した。
表6に示す、Al量、Mm量を変えた種々の組成のマグネシウム合金を、上記実施例1と同様にして溶製し、上記実施例2と同様の方法で、B形状のダイカスト鋳物を鋳造した。肉厚部分から、試験片を切り出して、以下の条件で、5%NaCl水溶液中への浸漬腐食試験を行い、腐食速度を求め、耐食性を評価した。
<浸漬腐食試験条件>
試験片形状:20mm×20mm×3mm
測定温度:24℃
測定時間:300h
具体的には、図9に示すごとく、5%NaCl水溶液93を入れたビーカ91に、試験片保持台92を配設し、試験片保持台92上に試料12を載置する。試験片12は、5%NaCl水溶液93中で、以下の式1で示す反応を起こし、水素94の発生を伴って、試料12の腐食が進行する。
式1:Mg+2H2O=Mg(OH)2+H2
上記試験片保持台92上に漏斗95を載置し、漏斗95の径が小さい側が管内に入るように、活栓付きビュレット97をスタンド96で保持した。上記活栓付きビュレット97内に発生した水素94を捕集した。下記の式2より、腐食速度としてマグネシウムの腐食減量を算出し、耐食性を評価した。評価が○のものを合格、評価が×のものを不合格とした。
式2:Y=X×24.32/(22.4×103
(Y:溶出Mg量(g)、X:発生水素ガス量(mL))
(評価基準)
汎用ダイカスト合金AZ91D合金は、耐食性に優れており、実用上耐食性の問題はないとされていることから、同様の浸漬腐食試験により求めたAZ91D合金の腐食速度を評価の基準とした。
○:腐食速度がAZ91Dの腐食速度以下の場合
×:腐食速度がAZ91Dの腐食速度より大きい場合
結果を表6に示す。
表6より知られるごとく、本発明の実施例である試料E52〜試料E56は、いずれの評価においても、良好な結果を示した。
本発明の比較例である試料C14は、Alの含有量が本発明の下限を下回り、且つ、b/aが本発明の上限であるb/a=2.5を上回るため、耐食性が不合格であった。
本発明の比較例である試料C15は、b/aが本発明の上限であるb/a=2.5を上回るため、耐食性不合格であった。
本発明の比較例である試料C16、試料C17、試料C18は、R.Eを含有していないため、耐食性が低下し、不合格であった。
実施例1における、Mg−Al−Mm合金のAl及びMmの配合量と鋳物のAl及びMmの分析値との関係を示すグラフ図。 実施例2における、AlとMmの含有量を示すグラフ図。 実施例2における、試料E5の組織を示す図。 実施例2における、試料C4の組織を示す図。 実施例2における、試料C7の組織を示す図。 実施例2における、試料C8の組織を示す図。 実施例2における、金型形状を示す説明図。 実施例2における、軸力保持試験を示す説明図 実施例4における、浸漬腐食試験を示す説明図。
符号の説明
2 マグネシウム
3 Al−R.E.系化合物

Claims (5)

  1. Al、希土類元素(以下、R.E.とする)、及びMnを含有する、耐熱性、鋳造性、耐食性に優れたマグネシウム合金であって、
    上記Mnの含有量は0.05〜1.0重量%であり、
    上記Alの含有量をa質量%、上記R.E.の含有量をb質量%とすると、a≧2.5、2.5≧b/a≧1.5−2.5/a、且つ31.3/a−4.3≧b/aであり、
    残部が、Mg及び不可避不純物からなり、
    定常部断面における所定の面積を100%とすると、所定面積内のMg−Al化合物の面積率が0.1%以下であることを特徴とするダイカスト用マグネシウム合金。
  2. 請求項1において、上記R.E.としてCeを主成分とするミッシュメタル(以下、Mmとする)を用いることを特徴とするダイカスト用マグネシウム合金。
  3. 請求項1又は2において、更に、Sr:1.5重量%以下、Ca:1.0重量%以下、Si:1.0重量%以下、及びSn:2.0重量%以下から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とするダイカスト用マグネシウム合金。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、晶出する化合物の定常部断面における合計面積を100%とすると、Al−R.E.系化合物の面積率が95%以上であることを特徴とするダイカスト用マグネシウム合金。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項において、上記Alの含有量をa質量%、上記R.E.の含有量をb質量%とすると、a≧2.5、2.3≧b/a≧1.6−2.3/a、且つ31.3/a−4.3≧b/aであることを特徴とするダイカスト用マグネシウム合金。
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