JP2007221385A - 通信リンク確立方法および通信リンク確立プログラム - Google Patents

通信リンク確立方法および通信リンク確立プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】ソフトウェア無線装置において、通信リンク確立用の無線処理回路がなくても通信リンクを確立すること。
【解決手段】通信を開始する側の無線装置は、通信相手にリンク確認信号を送信し、それに対して通信相手からACK信号が返されてこない場合には、自身の通信方式を別の方式に切り替える。これを、通信相手からACK信号が返されてくるまで繰り返し行うことにより、最終的に自身の通信方式を通信相手の通信方法に一致させ、両無線装置間のリンクを確立する。他の無線装置により通信を開始させられる側の無線装置は、通信を開始する側の無線装置から送られてきた信号を受信し、同期の確立に失敗した場合に、自身の通信方式を別の方式に切り替える。これを、同期の確立に成功するまで繰り返し行うことにより、最終的に自身の通信方式を通信相手の通信方法に一致させ、両無線装置間のリンクを確立する。
【選択図】図10

Description

この発明は、ソフトウェア無線装置における通信リンク確立方法および通信リンク確立プログラムに関する。
従来より、複数の通信方式に対応可能な無線装置が提案されている。例えば、通信方式が異なる複数の無線通信網に対して、それぞれの無線通信網の通信方式で通信が可能な送信手段および受信手段と、複数の無線通信網から選択した無線通信網の通信回線に送信手段および受信手段を介して接続する制御手段と、受信手段により受信した受信信号に基づいて、無線通信網の通信回線のトラフィック情報を認識するトラフィック情報認識手段を備え、通信回線の接続に際して、制御手段が、複数の無線通信網の中からトラフィック情報認識手段により得られたトラフィック情報で示される通信回線の使用割合が小さい無線通信網を選択する構成の無線装置が公知である(例えば、特許文献1参照。)。
また、近年、複数の通信方式に対応可能なソフトウェア無線装置(SDR:ソフトウェア・ディファインド・ラジオ)の開発が盛んに行われている。例えば、無線信号を受信してベースバンド信号に変換する無線手段と、ベースバンド信号の処理を行う再構築可能なベースバンド信号処理手段と、ベースバンド信号処理手段を再構築する再構築手段と、を具備し、再構築手段が、ベースバンド信号処理手段に対して複数の無線通信方式間で異なる演算処理を行う部分のみを再構築する構成の無線装置が公知である(例えば、特許文献2参照。)。
特開2000−209644号公報 特開2004−153800号公報
しかしながら、複数の通信方式に対応可能な無線装置では、通信相手との通信を開始する前に、通信方式を通信相手と同じ方式に合わせる必要がある。そのため、従来の無線装置では、本来のデータの送受信を開始する前に、専用の無線チャネルを介して通信相手と通信して相手の通信方式を取得し、その方式に自身の通信方式を合わせることによって通信相手とのリンクを確立している。従って、本来の複数の通信方式のための無線処理回路とは別に、通信リンク確立用の無線処理回路が必要であり、冗長な構成となってしまうという問題点がある。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、ソフトウェア無線装置において、通信リンク確立用の無線処理回路がなくても通信リンクを確立することができる通信リンク確立方法を提供することを目的とする。また、この発明は、ソフトウェア無線装置において、その通信リンク確立方法を実現するための通信リンク確立プログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる通信リンク確立方法および通信リンク確立プログラムは、複数の通信方式に対応可能なソフトウェア無線装置において、通信を開始する側の無線装置は、通信相手にリンク確認信号を送信し、それに対して通信相手からACK信号が返されてくるのを待機する。ACK信号が返されてこない場合には、通信を開始する側の無線装置は、自身の通信方式を別の方式に切り替え、再度、通信相手にリンク確認信号を送信する。これを、通信相手からACK信号が返されてくるまで繰り返し行うことにより、最終的に自身の通信方式を通信相手の通信方法に一致させ、両無線装置間のリンクを確立する。
また、他の無線装置により通信を開始させられる側の無線装置は、通信を開始する側の無線装置から送られてきた信号を受信し、同期の確立に失敗した場合に、自身の通信方式を別の方式に切り替える。これを、同期の確立に成功するまで繰り返し行い、同期が確立したら、通信を開始する側の無線装置にACK信号を返すことにより、最終的に自身の通信方式を通信相手の通信方法に一致させ、両無線装置間のリンクを確立する。
この発明によれば、通信を開始する側の無線装置は、ACK信号の有無に基づいて自身の通信方式を切り替えるので、通信リンク確立用の冗長な無線処理回路がなくても、通信相手との間にリンクを確立できる。また、他の無線装置により通信を開始させられる側の無線装置は、同期確立の成功または失敗に基づいて自身の通信方式を切り替えるので、通信リンク確立用の冗長な無線処理回路がなくても、通信相手との間にリンクを確立できる。
本発明にかかる通信リンク確立方法および通信リンク確立プログラムによれば、ソフトウェア無線装置において、通信リンク確立用の無線処理回路がなくても通信リンクを確立することができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる通信リンク確立方法および通信リンク確立プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
(無線装置の構成およびデータの流れ)
図1は、本発明方法を適用可能な無線装置の構成とデータの流れを示す図である。図1において、符号1および2は、無線装置である。これらの無線装置1,2は、いずれも送信側および受信側となる。便宜上、一方を無線装置#a1とし、もう一方を無線装置#b2として説明する。無線装置#a1は、MAC(メディア・アクセス・コントロール)処理部11、デジタルベースバンド部12および外部インタフェース部13を備えている。無線装置#b2は、MAC処理部21、デジタルベースバンド部22および外部インタフェース部23を備えている。
MAC処理部11,21は、送信側である場合には、テキストデータや音声データや画像データ等の送信対象のPCデータをパケットに分割し、無線通信に適したMACデータ(MAC層のデータ)に変換する。一方、受信側である場合には、MAC処理部11,21は、分割されたパケットをデータに再構築し、MACデータをテキストデータや音声データや画像データ等の元のPCデータに変換する。MAC処理部11,21は、MACデータまたはACKデータを蓄積するバッファ111,211を備えている。
デジタルベースバンド部12,22は、送信側である場合には、MACデータに対するベースバンド処理として変調処理を行い、一方、受信側である場合には、MACデータに対するベースバンド処理として復調処理を行う。外部インタフェース部13,23は、デジタルベースバンド部12が通信相手の無線装置とデータの送受信を行うためのインタフェースである。
ここで、特に限定しないが、例えば無線装置#a1および無線装置#b2は、ともにパーソナルコンピュータ3,4等に接続または内蔵された無線LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)機能を実現する装置であるとする。無線装置#a1のMAC処理部11は、パーソナルコンピュータ(以下、PC#cとする)3に接続されている。無線装置#b2のMAC処理部21は、パーソナルコンピュータ(以下、PC#dとする)4に接続されている。
無線装置#a1を送信側とし、無線装置#b2を受信側としてデータの流れを説明する。無線装置#a1と無線装置#b2の間でデータの送受信を行うには、まず、無線装置#a1と無線装置#b2の間のリンクを確立する必要がある。そのために、例えば無線通信を開始する側の無線装置#a1は、通信相手となる無線装置#b2へリンク確認信号を送信する。無線装置#b2は、リンク確認信号を受信し、無線装置#a1とのリンクを確立できた場合に、無線装置#a1へACKデータを返す。
このACKデータは、無線装置#b2のMAC処理部21から出力され、外部インタフェース部23を介して、デジタルベースバンド部22へ送られ、そこで変調される。そして、その変調されたDAデータは、外部インタフェース部23から図示省略したアンテナを介して、無線装置#a1へ送信される。
無線装置#a1は、無線装置#b2から送られてきたDAデータを、図示省略したアンテナを介して外部インタフェース部13で受信する。その受信データは、デジタルベースバンド部12へ送られ、そこでACKデータに復調される。そのACKデータは、外部インタフェース部13を介してMAC処理部11へ送られ、バッファ111に蓄積される。無線装置#a1は、その蓄積されたACKデータを解析して、無線装置#b2とのリンクを確立できるか否かを判定する。
無線装置#a1と無線装置#b2の間のリンクが確立した後、送信側の無線装置#a1において、PC#c3から入力されたPCデータは、MAC処理部11によりMACデータに変換される。そのMACデータは、外部インタフェース部13を介して、デジタルベースバンド部12へ送られ、そこで変調される。その変調されたDAデータは、外部インタフェース部13から図示省略したアンテナを介して、無線装置#b2へ送信される。
受信側の無線装置#b2は、無線装置#a1から送られてきたDAデータを、図示省略したアンテナを介して外部インタフェース部23で受信する。その受信データは、デジタルベースバンド部22に送られ、そこでMACデータに復調される。そのMACデータは、外部インタフェース部23を介してMAC処理部21へ送られ、バッファ211に蓄積される。無線装置#b2は、その蓄積されたMACデータを解析し、エラーなくすべてのパケットを受信したか否かを判断する。すべてのパケットを正常に受信していれば、蓄積されたMACデータは、元のPCデータに変換される。そのPCデータは、PC#d4に出力される。
図2は、送信側無線装置のMAC処理部の構成とデータの流れを示す図である。図2に示すように、無線装置#a1のMAC処理部11は、CPU(中央処理装置)112、ACK解析処理部113、データ送信部114、同期確認処理部115およびACK送信部116を備えている。CPU112は、MAC処理部11の全体を制御する。ACK解析処理部113は、上述したACKデータの解析を行う。データ送信部114は、送信対象のPCデータをMACデータに変換して外部インタフェース部13に渡す。
図3は、受信側無線装置のMAC処理部の構成とデータの流れを示す図である。図3に示すように、無線装置#b2のMAC処理部21は、CPU(中央処理装置)212、ACK解析処理部213、データ送信部214、同期確認処理部215およびACK送信部216を備えている。CPU212は、MAC処理部21の全体を制御する。同期確認処理部215は、MAC処理部21でCCA(RSSI(レシーヴ・シグナル・ストレングス・インジケータ))を検出してデータを受信していることを検知した時に、デジタルベースバンド部22から与えられる同期確立の有無情報に基づいて、同期を確立できたか否かを判断する。ACK送信部216は、同期が確立された場合にACKデータを送信する。
なお、無線装置#b2が送信側となり、無線装置#a1が受信側となる場合には、無線装置#b2のACK解析処理部213およびデータ送信部214は、それぞれ無線装置#a1のACK解析処理部113およびデータ送信部114と同様に動作する。また、無線装置#a1の同期確認処理部115およびACK送信部116は、それぞれ無線装置#b2の同期確認処理部215およびACK送信部216と同様に動作する。
(リンク確立時の通信方式の推定方法)
[送信側の無線装置がソフトウェア無線装置である場合]
次に、無線装置#a1と無線装置#b2の間でリンクを確立する際の、通信方式の推定方法について説明する。まず、送信側の無線装置#a1が複数の通信方式に対応可能なソフトウェア無線装置であり、その無線装置#a1が受信側の無線装置#b2の通信方式を推定する場合の処理手順について説明する。この場合、無線装置#a1のデジタルベースバンド部12は、通信方式に合わせて配線パターン等を再構成可能なリコンフィギュラブル回路で構成されている。また、MAC処理部11および外部インタフェース部13は、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)で構成されている。
図4は、送信側無線装置における通信方式推定処理の一例を示すフローチャートである。図4に示すように、予め、通信方式を切り替えるまでのACK取得失敗回数を設定する(ステップS1)。このACK取得失敗回数は、ユーザがPC#c3を操作して、そのPC#c3のハードディスク、PC#c3に接続されたフレキシブルディスク、CD−ROM、MOまたはDVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録された通信リンク確立プログラム、あるいはインターネット等のネットワークからダウンロードした通信リンク確立プログラムを、無線装置#a1に記憶させることにより、設定される。
通信リンク確立プログラムは、MAC処理部11のCPU112内のメモリ(図1および図2では、省略)に格納される。なお、通信リンク確立プログラムとは別に、ACK取得失敗回数のみを設定できるようになっていてもよい。また、無線装置#a1の電源がオフになっても、通信リンク確立プログラムやACK取得失敗回数の設定値が消えてしまわないように、それらプログラムや設定値をフラッシュメモリ等の電気的に消去可能で、かつ書き換え可能な不揮発性メモリに記憶させてもよい。
CPU112は、通信リンク確立プログラムを実行する。それによって、無線装置#a1は、通信相手にリンク確認信号を送信する(ステップS2)。そして、その通信相手からACK信号が返されてくるのを待機する(ステップS3)。そして、ACK信号を正しく受信できたか否かを解析する(ステップS4)。その結果、ACK信号を受信できていれば(ステップS5:Yes)、リンク確立に成功したことになり、通信方式の推定処理を終了し(ステップS6)、データの送信を開始する(ステップS10)。これにより、一連の処理を終了する。
一方、ACK信号を受信できなければ(ステップS5:No)、ACK信号の取得に失敗した回数が設定回数以下であるか否かを判断する(ステップS7)。設定回数以下であれば(ステップS7:Yes)、リンク確認信号を再送信し(ステップS8)、ステップS4のACK信号の解析処理に戻る。設定回数を超えていれば(ステップS7:No)、通信方式切り替え処理を行って通信方式を切り替え(ステップS9)、ステップS2のリンク確認信号の送信処理に戻る。
図5は、通信方式が一致している場合のリンク確立処理の一例を示すシーケンス図である。図5に示すように、送信側の無線装置と受信側の無線装置がともにA通信方式で無線通信可能な状態にあるとする。この場合、送信側の無線装置は、通信相手の無線装置へA通信方式でリンク確認信号を送信する(ステップS21)。受信側の無線装置は、A通信方式でリンク確認信号を受信するので、同期の確立に成功する(ステップS22)。そして、受信側の無線装置は、送信側の無線装置へACK信号を返す(ステップS23)。送信側の無線装置は、そのACK信号を受信し、通信相手の無線装置とリンクを確立できたと判断して(ステップS24)、データ送信を開始する(ステップS25)。
図6は、送信側が通信方式を切り替える場合のリンク確立処理の一例を示すシーケンス図である。具体的には、受信側の通信方式が固定であり、送信側と受信側で通信方式が一致していない状態からリンク確立処理を示している。図6に示すように、送信側の無線装置がB通信方式で無線通信可能な状態にあり、受信側の無線装置がA通信方式で無線通信可能な状態にあるとする。この場合、送信側の無線装置は、通信相手の無線装置へB通信方式でリンク確認信号を送信する(ステップS31)。受信側の無線装置は、A通信方式でリンク確認信号を受信するので、同期の確立に失敗する(ステップS32)。従って、受信側の無線装置は、ACK信号を返さない。
送信側の無線装置は、予めリンク確立プログラムにより設定された時間内にACK信号を受信しない(ステップS33)。従って、送信側の無線装置は、通信相手の無線装置へB通信方式でリンク確認信号を再送する。これを予めリンク確立プログラムにより設定された回数だけ行う(ステップS34、S35、S36)。送信側の無線装置は、設定回数だけリンク確認信号の再送を行っても通信相手からACK信号を受信しない(ステップS37)。従って、送信側の無線装置は、自身の通信方式を別の方式に切り替える(ステップS38)。例えば、送信側の無線装置は、自身の通信方式をB通信方式からA通信方式に切り替える(C通信方式に切り替えることもある)。
そして、送信側の無線装置は、通信相手の無線装置へA通信方式でリンク確認信号を送信する(ステップS39)。受信側の無線装置は、A通信方式でリンク確認信号を受信し、同期の確立に成功するので、送信側の無線装置へACK信号を返す(ステップS40)。送信側の無線装置は、そのACK信号を受信し、通信相手の無線装置とリンクを確立できたことを知り、データ送信を開始する。送信側の無線装置は、切り替えた自身の通信方式が受信側の無線装置の通信方式と異なる場合には、受信側の無線装置からACK信号が返されるまで、自身の通信方式の切り替えを行う。
図7は、受信側の通信方式が固定である場合に、送信側の無線装置が受信側の無線装置の通信方式を推定する回数の一例を示す図である。図7において、符号100は、送信側の無線装置の通信方式の切り替えパターンを示す表であり、符号200は、受信側の無線装置の通信方式が固定であることを示す表である。図7に示す例では、受信側の無線装置の通信方式は、A方式に固定されている。送信側の無線装置は、A、B、C、DおよびEの5つの通信方式に対応可能であり、例えばB通信方式から開始して、同じ通信方式で3回リンク確認信号を送ってもACK信号を受信しない場合に自身の通信方式を切り替える。
図7に丸で囲んで示すように、送信側の無線装置の通信方式がB方式から昇順でA方式に至るまでの通信方式の推定回数は13回である。一方、B方式から降順でA方式に至るまでの通信方式の推定回数は4回である。両パターンの平均値は、8.5回である。つまり、送信側の無線装置が受信側の無線装置の通信方式を平均して8〜9回程度、推定すれば、リンクが確立することになる。ここで、上記A、B、C、DおよびEの通信方式は、例えばIEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.16、IEEE802.15.3、W−CDMA、CDMA2000、PDC、GSMおよびPHS等の通信方式である。
[受信側の無線装置がソフトウェア無線装置である場合]
次に、受信側の無線装置#b2が複数の通信方式に対応可能なソフトウェア無線装置であり、その無線装置#b2が送信側の無線装置#a1の通信方式を推定する場合の処理手順について説明する。この場合、無線装置#b2のデジタルベースバンド部22は、通信方式に合わせて配線パターン等を再構成可能なリコンフィギュラブル回路で構成されている。また、MAC処理部21および外部インタフェース部23は、FPGAで構成されている。
図8は、受信側無線装置における通信方式推定処理の一例を示すフローチャートである。具体的には、受信側の無線装置における通信方式推定処理の一例を示している。図8に示すように、予め、通信方式を切り替えるまでの同期確立失敗回数を設定する(ステップS51)。この同期確立失敗回数は、ユーザがPC#d4を操作して、そのPC#d4のハードディスク、PC#d4に接続されたフレキシブルディスク、CD−ROM、MOまたはDVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録された通信リンク確立プログラム、あるいはインターネット等のネットワークからダウンロードした通信リンク確立プログラムを、無線装置#b2に記憶させることにより、設定される。
通信リンク確立プログラムは、MAC処理部21のCPU212内のメモリ(図1および図3では、省略)に格納される。なお、通信リンク確立プログラムとは別に、同期確立失敗回数のみを設定できるようになっていてもよい。また、無線装置#b2の電源がオフになっても、通信リンク確立プログラムや同期確立失敗回数の設定値が消えてしまわないように、それらプログラムや設定値をフラッシュメモリ等に記憶させてもよい。
CPU212は、通信リンク確立プログラムを実行する。それによって、無線装置#b2は、IDLE状態で通信相手からの受信を待機する(ステップS52)。MAC処理部21がCCA(RSSI)を検出すると、無線装置#b2は、受信モードとなる(ステップS53)。そして、同期を確立できたか否かを解析する(ステップS54)。その結果、同期を確立できていれば(ステップS55:Yes)、リンク確立に成功したことになり、通信方式の推定処理を終了し(ステップS56)、通信相手にACK信号を送信する(ステップS59)。これにより、一連の処理を終了する。
一方、同期を確立できなければ(ステップS55:No)、同期の確立に失敗した回数が設定回数以下であるか否かを判断する(ステップS57)。設定回数以下であれば(ステップS57:Yes)、ステップS52の受信待機状態に戻る。設定回数を超えていれば(ステップS57:No)、通信方式切り替え処理を行って通信方式を切り替え(ステップS58)、ステップS52の受信待機状態に戻る。
送信側と受信側で通信方式が一致している状態でリンクを確立する際のシーケンスは、図5に示す通りである。図9は、受信側が通信方式を切り替える場合のリンク確立処理の一例を示すシーケンス図である。具体的には、送信側の通信方式が固定であり、送信側と受信側で通信方式が一致していない状態からリンクを確立する処理を示している。図9に示すように、送信側の無線装置がB通信方式で無線通信可能な状態にあり、受信側の無線装置がA通信方式で無線通信可能な状態にあるとする。この場合、送信側の無線装置は、通信相手の無線装置へB通信方式でリンク確認信号を送信する(ステップS61)。受信側の無線装置は、A通信方式でリンク確認信号を受信するので、同期の確立に失敗する。従って、受信側の無線装置は、ACK信号を返さない。
送信側の無線装置は、ACK信号を受信しないので、通信相手の無線装置へB通信方式でリンク確認信号を再送するが、その都度、受信側の無線装置では、同期の確立に失敗する。これを予めリンク確立プログラムにより設定された回数だけ行う(ステップS62)。受信側の無線装置は、設定回数だけ同期の確立に失敗する(ステップS63)と、自身の通信方式を別の方式に切り替える(ステップS64)。例えば、受信側の無線装置は、自身の通信方式をA通信方式からB通信方式に切り替える(C通信方式に切り替えることもある)。
その後、受信側の無線装置は、送信側の無線装置からB通信方式で送信されたリンク確認信号をB通信方式で受信する(ステップS65)と、同期の確立に成功するので、送信側の無線装置へACK信号を返す(ステップS66)。送信側の無線装置は、そのACK信号を受信し、通信相手の無線装置とリンクを確立できたことを知り、データ送信を開始する。受信側の無線装置は、切り替えた自身の通信方式が送信側の無線装置の通信方式と異なる場合には、リンク確認信号を受信して同期がとれるまで、自身の通信方式の切り替えを行う。
[送信側および受信側の無線装置がソフトウェア無線装置である場合]
次に、送信側の無線装置#a1と受信側の無線装置#b2がともに複数の通信方式に対応可能なソフトウェア無線装置であり、両無線装置が互いに相手の無線装置の通信方式を推定する場合について説明する。無線装置#a1および無線装置#b2の構成は、それぞれ上述した無線装置#a1および無線装置#b2がソフトウェア無線装置である場合と同じである。送信側の無線装置における通信方式推定処理のフローチャートおよび受信側の無線装置における通信方式推定処理のフローチャートは、それぞれ図4および図8に示す通りである。
送信側と受信側で通信方式が一致している状態でリンクを確立する際のシーケンスは、図5に示す通りである。図10は、送信側と受信側がともに通信方式を切り替える場合のリンク確立処理の一例を示すシーケンス図である。具体的には、送信側も受信側も通信方式が可変であり、送信側と受信側で通信方式が一致していない状態からリンクを確立する処理を示している。図10に示すように、送信側の無線装置がB通信方式で無線通信可能な状態にあり、受信側の無線装置がA通信方式で無線通信可能な状態にあるとする。
また、送信側の無線装置および受信側の無線装置は、A、B、C、DおよびEの5つの通信方式に対応可能であるとする。さらに、送信側の無線装置は、同じ通信方式で3回リンク確認信号を送ってもACK信号を受信しない場合に自身の通信方式を昇順で切り替えるとする。一方、受信側の無線装置は、同期確立を失敗するたびに自身の通信方式を降順で切り替えるとする。
送信側の無線装置は、通信相手の無線装置へB通信方式でリンク確認信号を送信する(ステップS71)。受信側の無線装置は、A通信方式でリンク確認信号を受信するので、同期の確立に失敗する。従って、受信側の無線装置は、ACK信号を返さずに、自身の通信方式をE方式に切り替える(ステップS72)。一方、送信側の無線装置は、予め設定された時間内にACK信号を受信しない(ステップS73)ので、通信相手の無線装置へB通信方式でリンク確認信号を再送する(ステップS74)。
送信側と受信側で通信方式が異なっている間、受信側の無線装置は、同期の確立に失敗し、その都度、自身の通信方式をD方式、C方式と切り替える(ステップS75、S76)。送信側の無線装置は、予め設定された回数だけB通信方式でリンク確認信号を再送する(ステップS77)。そして、送信側の無線装置は、そのリンク確認信号の再送に対してもACK信号を受信しない(ステップS78)場合には、自身の通信方式をC方式に切り替える(ステップS79)。
この段階で、送信側の無線装置が通信相手の無線装置へC通信方式でリンク確認信号を送信する(ステップS80)と、受信側の無線装置がC通信方式でリンク確認信号を受信するので、同期の確立に成功する(ステップS81)。従って、受信側の無線装置は、送信側の無線装置へACK信号を返す(ステップS82)。送信側の無線装置は、そのACK信号を受信し(ステップS83)、通信相手の無線装置とリンクを確立できたことを知り、データ送信を開始する。
図11は、送信側の通信方式および受信側の通信方式がともに可変である場合に、送信側の無線装置と受信側の無線装置の両方で通信方式を推定する回数の一例を示す図である。図11において、符号110は、送信側の無線装置の通信方式の切り替えパターンを示す表であり、符号210は、受信側の無線装置の通信方式の切り替えパターンを示す表である。
図11に示す例では、送信側の無線装置は、A、B、C、DおよびEの5つの通信方式に対応可能であり、例えばB通信方式から開始して、同じ通信方式で3回リンク確認信号を送ってもACK信号を受信しない場合に自身の通信方式を昇順で切り替える。受信側の無線装置は、A、B、C、DおよびEの5つの通信方式に対応可能であり、同期確立を失敗するたびに自身の通信方式を切り替える。受信側の切り替えパターンの表210には、通信方式をA方式、C方式、D方式およびE方式からそれぞれ昇順および降順で切り替えるパターンが示されている。
図11に丸で囲んで示すように、受信側の無線装置がA方式から始まる場合の通信方式の推定回数は、切り替えパターンが昇順の場合には2回で済み、降順の場合には4回である。また、C方式から始まる場合の通信方式の推定回数は、昇順と降順でそれぞれ6回と2回である。D方式から始まる場合の通信方式の推定回数は、昇順と降順でそれぞれ5回と3回である。E方式から始まる場合の通信方式の推定回数は、昇順と降順でそれぞれ3回と7回である。これらの平均値は、4回であり、平均して4回程度、通信方式の推定を行えば、リンクが確立することになる。
以上説明したように、実施の形態によれば、送信側の無線装置は、通信相手へ送信したリンク確認信号に対して通信相手からACK信号が返されてくれば、通信方式が一致してリンクを確立できたと判断し、ACK信号が返されてこなければ、通信方式が異なるとして自身の通信方式を切り替えるので、通信リンク確立用の冗長な無線処理回路がなくても、通信相手との間にリンクを確立できる。また、受信側の無線装置は、通信相手から送信されてきたリンク確認信号に基づいて同期の確立を試み、同期を確立できれば、通信方式が一致してリンクを確立できるので通信相手にACK信号を返し、同期を確立できなければ、通信方式が異なるとして自身の通信方式を切り替えるので、通信リンク確立用の冗長な無線処理回路がなくても、通信相手との間にリンクを確立できる。
なお、送信側の無線装置および受信側の無線装置における通信方式の切り替えパターンは、上記例に限らない。また、上述した無線装置#a1および無線装置#b2を、携帯電話機に内蔵し、携帯電話機の無線通信機能を実現する装置として用いることもできる。この場合には、図12に示すように、MAC処理部11,21は、パーソナルコンピュータの代わりに、テンキー5a,5b、マイク6a,6b、タッチパネル7a,7b、表示パネル8a,8bおよびスピーカ9a,9b等のマン・マシン・インタフェースに接続される。
以上のように、本発明にかかる通信リンク確立方法および通信リンク確立プログラムは、複数の通信方式に対応可能なソフトウェア無線装置に有用であり、特に、例えばIEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.16、IEEE802.15.3、W−CDMA、CDMA2000、PDC、GSMおよびPHSの通信方式のうちの2以上の方式に対応可能な携帯電話機や無線LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)装置に適している。
本発明方法を適用可能な無線装置の構成とデータの流れを示す図である。 送信側無線装置のMAC処理部の構成とデータの流れを示す図である。 受信側無線装置のMAC処理部の構成とデータの流れを示す図である。 送信側無線装置における通信方式推定処理の一例を示すフローチャートである。 通信方式が一致している場合のリンク確立処理の一例を示すシーケンス図である。 送信側が通信方式を切り替える場合のリンク確立処理の一例を示すシーケンス図である。 送信側無線装置が受信側無線装置の通信方式を推定する回数の一例を示す図である。 受信側無線装置における通信方式推定処理の一例を示すフローチャートである。 受信側が通信方式を切り替える場合のリンク確立処理の一例を示すシーケンス図である。 送信側と受信側がともに通信方式を切り替える場合のリンク確立処理の一例を示すシーケンス図である。 送信側無線装置と受信側無線装置が互いに相手の通信方式を推定する回数の一例を示す図である。 本発明方法を適用可能な無線装置を有する携帯電話機の構成とデータの流れを示す図である。
符号の説明
1,2 無線装置

Claims (7)

  1. 複数の通信方式に対応可能なソフトウェア無線装置が通信相手の通信方式を推定して通信相手とのリンクを確立するにあたって、
    通信相手にリンク確認信号を送信するステップと、
    前記リンク確認信号に対して通信相手からACK信号が返されてこない場合に、自身の通信方式が通信相手の通信方式と異なると判断して、自身の通信方式を別の方式に切り替えるステップと、
    を含むことを特徴とする通信リンク確立方法。
  2. 通信相手からACK信号が返されてこない場合、再度、同じ通信方式でリンク確認信号を送信し、同じ通信方式でのリンク確認信号の送信回数が予め設定された回数を超えたときに自身の通信方式を別の方式に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の通信リンク確立方法。
  3. 通信相手からACK信号が返されてきた場合、通信相手とのリンクが確立できたと判断して通信相手に対してデータの送信を開始することを特徴とする請求項1または2に記載の通信リンク確立方法。
  4. 複数の通信方式に対応可能なソフトウェア無線装置が通信相手の通信方式を推定して通信相手とのリンクを確立するにあたって、
    受信待機状態で所定のレベルの受信信号を検出するステップと、
    前記受信信号に基づいて同期の確立を試みるステップと、
    同期の確立に失敗した場合に、自身の通信方式が通信相手の通信方式と異なると判断して、自身の通信方式を別の方式に切り替えるステップと、
    を含むことを特徴とする通信リンク確立方法。
  5. 同期の確立に失敗した場合、同じ通信方式での同期の確立に失敗した回数が予め設定された回数を超えたときに自身の通信方式を別の方式に切り替えることを特徴とする請求項4に記載の通信リンク確立方法。
  6. 同期の確立に成功した場合、通信相手に対してACK信号を送信することを特徴とする請求項4または5に記載の通信リンク確立方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一つに記載の通信リンク確立方法をコンピュータに実行させることを特徴とする通信リンク確立プログラム。
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