JP2007221064A - 電磁波対策シート、電磁波対策シートの製造方法、および電子部品の電磁波対策構造 - Google Patents

電磁波対策シート、電磁波対策シートの製造方法、および電子部品の電磁波対策構造 Download PDF

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Abstract

【課題】十分な電磁波対策効果を確保しながら従来品よりも薄い構造にすることができ、特に900MHz以下の周波数帯において電磁波対策効果が大きく、電子部品からの放熱も妨げにくい電磁波対策シートの提供。
【解決手段】電磁波対策シート1は、透磁率7以上の第1層11と、誘電率10以上の第2層12とを積層した構造になっている。第1層11は、金属磁性材料の扁平粉末をマトリクス樹脂中に分散させてなる複合磁性材料によって形成され、第2層12は、誘電材料の粉末をマトリクス樹脂中に分散させてなる非導電性の複合誘電材料によって形成されている。このように構成された電磁波対策シート1は、プリント配線板21上に実装された電子部品22に対して、第2層12と電子部品22とが接触するように貼付され、これにより、電子部品22から放射される電磁波を減衰させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子部品から放射される電磁波を抑制するのに好適な電磁波対策シートと、前記電磁波対策シートの製造方法、および前記電磁波対策シートを利用して構成された電子部品の電磁波対策構造に関する。
従来、電子機器等から発生する電磁波放射ノイズについては、日本のVCCI(情報処理装置等電波障害自主規制協議会)をはじめとする世界各国の規定によって対策が求められている。そのため、例えば、ICなどの放射ノイズ源上に磁性シートを直接貼り付けることにより、放射ノイズ対策を行う製品が既に使用されている。
また、この種の電磁波対策シートの中には、積層構造とされたものもある。例えば、下記特許文献1においては、磁性体粉末および熱伝導性粉末をマトリクス樹脂中に分散させてなる電磁波吸収放熱層と導電性シールド層とを積層した構造の電子部品用シートが提案されていた。
特開2002−198686号公報
ところで、きわめて小型化が進んだ電子機器において、ICなどの放射ノイズ源と筐体やヒートスプレッダとの間に電磁波対策シートを挟み込む場合、電磁波対策シートを可能な限り薄くしたいという要望がある。また、放射ノイズ源が発熱性の電子部品である場合には、電磁波対策シートが過度に厚いと、電子部品からの放熱が妨げられて電子部品の故障を誘発するおそれがあるため、電子部品からの放熱を促す観点からも、電磁波対策シートを可能な限り薄くしたいという要望がある。
しかし、従来の電磁波対策シートで、放射ノイズ源から放射される電磁波を十分に減衰させるには、ある程度厚さを確保せざるを得ず、特に900MHz以下の周波数帯で電磁波対策効果を得ようとする場合には、どうしても電磁波対策シートが厚くなりがちであった。そのため、電子部品とその周辺の構造によっては、従来の電磁波対策シートでは挟み込むことができない、といった問題があり、また、挟み込むことはできるとしても、厚い電磁波対策シートが放射ノイズ源からの放熱を妨げてしまう、といった問題があった。
また、電子部品からの放熱を促すための手段に関しては、上記特許文献1に記載のように、磁性体粉末に加えて熱伝導性粉末をもマトリクス樹脂中に分散させることが提案されていたが、熱伝導性粉末を加えた分だけ相対的に磁性体粉末の配合比が低下すると、電磁波対策効果が低下してしまう、という問題があった。あるいは、熱伝導性粉末を加えた分だけ相対的にマトリクス樹脂の配合比が低下すると、シートの脆性が高くなり、シートの柔軟性および他部材との密着性が低下してしまう、という問題があった。
こうした背景の下、本件発明者らは、900MHz以下の周波数帯における電磁波対策効果が高く、同等な効果を有する従来品よりも薄くすることができる電磁波対策シートを開発すべく検討を重ねた。その結果、透磁率を最適化した層と誘電率を最適化した層とを積層することにより、特に900MHz以下の周波数帯において電磁波対策効果が大きくなり、積層体の薄型化を達成できること、また、この薄型化に伴って電子部品からの放熱が妨げられなくなることを見いだした。
本発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、その目的は、十分な電磁波対策効果を確保しながら従来品よりも薄い構造にすることができ、特に900MHz以下の周波数帯において電磁波対策効果が大きく、電子部品からの放熱も妨げにくい電磁波対策シートと、そのような電磁波対策シートの製造方法、そのような電磁波対策シートを利用した電子部品の電磁波対策構造を提供することにある。
以下、本発明の構成について説明する。
本発明の電磁波対策シートは、透磁率7以上の第1層と、誘電率10以上の第2層とを積層してなることを特徴とする。
このように構成された電磁波対策シートによれば、透磁率7以上の第1層と、誘電率10以上の第2層とを積層した構造になっているので、900MHz以下の周波数帯における電磁波対策効果が高く、同等な効果を有する従来品よりも薄くすることができる。この効果は、本件発明者らが種々の材料を組み合わせて実験を重ねる中で確認したものであり、その詳細については、本発明の実施形態として後述するが、本発明において、透磁率7以上の第1層と、誘電率10以上の第2層とを積層することはきわめて重要である。
仮に第1層および第2層を積層した構造を採用した場合であっても、第1層が透磁率7以上でない場合、もしくは、第2層が誘電率10以上でない場合は、電磁波の減衰量が最大となるピーク周波数は900MHzを超過した周波数帯へシフトしてしまう。そのため、900MHz以下の周波数帯における電磁波の減衰量は小さくなり、900MHz以下の周波数帯において所期の効果を得ることは難しくなる。もちろん、第1層が透磁率7以上でない場合、もしくは、第2層が誘電率10以上でない場合であっても、各層を過剰に厚くすることで、電磁波の減衰量をある程度大きくすることはできるが、それでは既に指摘した従来品と同様の問題(すなわち、電磁波対策シートが過剰に厚くなり、放熱を妨げるといった問題)を招く。
この点、本発明においては、透磁率7以上の第1層と、誘電率10以上の第2層とを積層した構造を採用したので、各層を過剰に厚くしなくても、900MHz以下の周波数帯における電磁波の減衰量を大きくすることができる。
したがって、本発明の電磁波対策シートによれば、きわめて小型化が進んだ電子機器において、ICなどの放射ノイズ源と筐体やヒートスプレッダとの間に電磁波対策シートを挟み込む場合でも、容易に電磁波対策シートを挟み込むことができるようになり、そのような小型電子機器から放射される電磁波を抑制することができる。また、本発明の電磁波対策シートによれば、シート厚を従来品より薄くすることができるので、放射ノイズ源が発熱性の電子部品である場合でも、電磁波対策シートが電子部品からの放熱を妨げることはなく、過熱に起因する電子部品の故障を抑制することができる。
なお、透磁率および誘電率は大きくなるほど、より低周波側での効果が期待できるので、特に上限値は限定されず、電磁波対策の対象となる周波数に応じて、任意に透磁率ないし誘電率を大きくすればよい。より具体的な一例を挙げれば、例えば、減衰効果のピークを800MHz前後に設定したい場合であれば、透磁率7〜30、誘電率10〜150程度が好適であるが、減衰効果のピークをさらに低周波側へシフトさせたい場合は、透磁率および誘電率をさらに大きくしてもよい。
また、本発明の電磁波対策シートは、前記第1層および前記第2層の積層方向についての体積抵抗率が、106〜1014Ω・cmであると好ましい。
このように構成されていると、ICのような電子部品の上に直接貼り付けた場合でも、電子部品が備える端子間、あるいは、電子部品とその周辺にある別の電子部品や筐体との間で、電磁波対策シートを介した短絡が発生しなくなる。したがって、別途、短絡対策のための部材を設ける必要が無くなり、あるいは、過度に慎重な貼り付け作業を強いられることが無くなり、電磁波対策シートを利用する製品の製造コスト低減および生産性の向上を図ることができる。
また、本発明の電磁波対策シートは、前記第1層が、金属磁性材料からなるアスペクト比3以上の扁平粉末をマトリクス樹脂中に分散させてなる複合磁性材料によって形成されていると好ましい。
金属磁性材料としては、Fe−Si合金、Fe−Ni合金、Fe−Co合金、Fe−Si−Al合金、Fe−Si−Cr合金、鉄、鉄基ナノ結晶粉末およびアモルファスなどを挙げることができるが、この中でも、Fe−Si−Al合金を配合すると第1層を高透磁率とすることができるので好ましい。また、これらの金属磁性材料は、例えば粒径D50=20〜60μmの扁平粉末とされているとよい。この粒径が過度に小さくなると粉末が凝集しやすくなって分散性が低下する傾向があり、一方、粒径が過度に大きくても分散性が低下する傾向があり、いずれの場合とも透磁率の低下を招く要因となる。また、扁平粉末を用いると、球状あるいは粉砕物状の粉末を用いた場合に比べ、第1層をより高透磁率にすることができる。さらに、金属磁性材料の扁平粉末は、第1層を形成する複合磁性材料全体に対する体積比で30〜50%配合されていると好ましい。この配合比を30〜50%の範囲内で調節することにより、第1層の磁気特性をコントロールして、電磁波対策シートの性能を最適化することができる。なお、この配合比が30%を下回ると磁性材料粉末の充填密度が過度に下がるため、電磁波を減衰させる効果が弱くなる。また、この配合比が50%を上回るとマトリクス樹脂の連続性が損なわれて複合磁性材料の柔軟性が低下するとともに脆性が高くなるため、第1層を薄くて柔軟な層にすることが難しくなる。
このように構成された電磁波対策シートによれば、第1層を形成する複合磁性材料の磁気特性が高まり、第1層の厚さをきわめて薄くしても磁性層としての高い効果を十分に確保することができるので、例えば第1層を0.1mm以下にすることも可能となり、従来品以上に電磁波対策シートの薄型化を達成することができる。また、このように第1層を薄型化すれば、第1層は電子部品からの放熱をきわめて妨げにくいものとなる。
なお、透磁率7以上の第1層を形成することができるのであれば、上述のような金属磁性材料とは異なる磁性材料を利用して、本発明の電磁波対策シートを構成することも可能である。金属磁性材料以外の磁性材料としては、例えば、Ni系フェライト磁性体、Mg系フェライト磁性体、Mn系フェライト磁性体、Ba系フェライト磁性体、Sr系フェライト磁性体などを挙げることができる。
また、本発明の電磁波対策シートは、前記第2層が、非導電性材料によって形成されていると好ましい。
このように構成されている場合、第2層側がICのような電子部品と接触するような向きにして、電磁波対策シートを電子部品上に直接貼り付ければ、電子部品が備える端子間で、電磁波対策シートを介した短絡が発生するのを、より確実に防止することができる。また、何らかの原因で第2層に含まれる成分が電子部品側に脱落したような場合にも、その脱落した成分を介した短絡が発生するのを防止することができる。
また、本発明の電磁波対策シートは、前記第2層が、誘電材料の粉末をマトリクス樹脂中に分散させてなる複合誘電材料によって形成されていると好ましい。
誘電材料としては、誘電率10以上の第2層を形成することができるような材料が選定され、一例を挙げれば、炭化ケイ素、チタン酸バリウムなどを用いることができるが、この中でも、炭化ケイ素を用いると好ましい。また、誘電材料は、例えば粒径D50=1〜100μmの粉末とされているとよく、この粒径が過度に小さくなると粉末が凝集しやすくなって分散性が低下する傾向があり、一方、粒径が過度に大きくても分散性が低下する傾向があり、いずれの場合とも誘電率の低下を招く要因となる。また、誘電材料の粉末は、第2層を形成する複合誘電材料全体に対する体積比で10〜55%配合されていると好ましい。この配合比を10〜55%の範囲内で調節することにより、第2層の特性をコントロールして、電磁波対策シートの性能を最適化することができる。なお、この配合比が10%を下回ると誘電材料粉末の充填密度が過度に下がるため、電磁波を減衰させる効果が弱くなる。また、この配合比が55%を上回るとマトリクス樹脂の連続性が損なわれて複合誘電材料の柔軟性が低下するとともに脆性が高くなるため、第2層を薄くて柔軟な層にすることが難しくなる。
さらに、以上説明したような電磁波対策シートは、前記第1層を形成するための第1の流動性原料組成物を、第1の基材上にコーティングして硬化させることにより、前記第1層と前記第1の基材とを積層してなる第1の積層体を形成し、前記第2層を形成するための第2の流動性原料組成物を、第2の基材上にコーティングして硬化させることにより、前記第2層と前記第2の基材とを積層してなる第2の積層体を形成し、前記第1層と前記第2層が接触するように、前記第1の積層体と前記第2の積層体とを積層して、前記第1の基材および前記第2の基材を除去することによって製造することができる。
この他、第1層に対して第2層を形成するための第2の流動性原料組成物を塗工する方法、あるいは、第2層に対して第1層を形成するための第1の流動性原料組成物を塗工する方法でも、所期の電磁波対策シートを製造することができる。
そして、本発明の電磁波対策シートを、前記第2層と電子部品が接触するように、前記電子部品に貼付することにより、本発明の電子部品の電磁波対策構造を構成することができる。
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
(1)電磁波対策シートの構造
図1(a)に示すとおり、本発明の一実施形態として例示する電磁波対策シート1は、透磁率7以上の第1層11と、誘電率10以上の第2層12とを積層した構造になっており、全体としてはシート状になっている。
第1層11は、金属磁性材料の扁平粉末をマトリクス樹脂中に分散させてなる複合磁性材料によって形成されたもので、本実施形態において、金属磁性材料の偏平粉末としては、Fe−Si−Al合金を原料として、水アトマイズ法によって得た球状粉体をアトライタ加工によって扁平化したもの(粒径D50=50μm、アスペクト比3以上)を使用している。また、マトリクス樹脂としては、塩素化ポリエチレン(昭和電工株式会社製、エラスレン(登録商標))を使用している。
第2層12は、誘電材料の粉末をマトリクス樹脂中に分散させてなる非導電性の複合誘電材料によって形成されたもので、本実施形態において、誘電材料の粉末としては、炭化ケイ素粉末(昭和電工株式会社製、デンシック(登録商標)、粒径D50=80μm)を使用している。また、マトリクス樹脂としては、液状シリコーン(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、SE1885)を使用している。
このように構成された電磁波対策シート1は、例えば、図1(b)に示すように、プリント配線板21上に実装された電子部品22(例えばIC)に対して、第2層12と電子部品22とが接触するように貼付され、これにより、電子部品22から放射される電磁波を減衰させることができる。
また、電子部品22が発熱性の電子部品である場合、電子部品22からの放熱を促すため、ヒートシンク23などの部材が設けられることがあるが、この場合、電磁波対策シート1は、電子部品22とヒートシンク23との間に挟み込むができる。このような構造を採用した場合でも、電磁波対策シート1は、後述する通り、きわめて薄い構造(本実施形態の場合、厚さ1.1mm)になっているので、電磁波対策シート1が電子部品22からヒートシンク23への熱移動を妨げることはない。
(2)電磁波対策シートの製法
次に、本発明の電磁波対策シートの製法について、一例を説明する。
まず、上記第1層11を形成するため、塩素化ポリエチレンをトルエンに溶解させ、さらに金属磁性材料の扁平粉末を混合、攪拌することにより、第1の流動性原料組成物を得た。そして、この第1の流動性原料組成物に含まれる気泡を除去するため、30分間真空脱泡した後、第1の流動性原料組成物を第1の基材(本実施形態においてはPETフィルム)にコーティングし、70℃で20分間加熱してトルエンを揮発させることにより、第1層11と第1の基材とを積層してなる第1の積層体を形成した。
なお、第1層11の厚さは0.1mmとした。また、金属磁性材料の扁平粉末の配合量は、第1層11を形成する複合磁性材料(塩素化ポリエチレンおよび金属磁性材料粉末)に対する体積比を、50%,40%,30%の3通りに変化させ、更に過熱プレス機を用い、110℃にて1分間保持することで、物性が異なる3種の第1層11を試作した。これら3種の第1層11の透磁率μr’を、インピーダンス・マテリアルアナライザ(アジレントテクノロジー社製、E4991A)で測定したところ、透磁率μr’は、それぞれ16.0,10.3,7.0であった。
一方、上記第2層12を形成するため、液状シリコーンに炭化ケイ素粉末を混合、攪拌することにより、第2の流動性原料組成物を得た。そして、この第2の流動性原料組成物に含まれる気泡を除去するため、30分間真空脱泡した後、第2の流動性原料組成物を第2の基材(本実施形態においてはPETフィルム)にコーティングし、150℃で5分間加熱して硬化させることにより、第2層12と第2の基材とを積層してなる第2の積層体を形成した。
なお、第2層12の厚さは1mmとした。また、炭化ケイ素粉末の配合量は、第2層12を形成する複合誘電材料(シリコーンおよび誘電材料粉末)に対する体積比を、60%,40%,20%の3通りに変化させることにより、物性が異なる3種の第2層12を試作した。これら3種の第2層12の誘電率εr’を、インピーダンス・マテリアルアナライザ(アジレントテクノロジー社製、E4991A)で測定したところ、誘電率εr’は、それぞれ42,29,10であった。
そして、以上の工程によって得られた第1の積層体と第2の積層体を、第1層11と第2層12が接触する向きにして積層し、第1の基材および第2の基材を引き剥がすことにより、目的とする電磁波対策シートを得た。
(3)性能試験
次に、上記製法で製造した電磁波対策シートの試作品について、性能試験を行った。
以下の性能試験においては、比較のため、透磁率1の第1層11、および誘電率5の第2層12を加えることにより、物性が異なる4種の第1層11と、物性が異なる4種の第2層12とを用意し、これらを組み合わせることにより、8種の評価品を作製して試験を行った。なお、評価品のサイズは、すべて70mm×20mm×1.1mm(内、第1層:0.1mm、第2層:1mm)とした。
試験方法は、シグナルジェネレーターを用いて、60mm×13mmのアンテナからノイズを放射させ、そのアンテナ上に評価品を設置した際の放射レベルを、バイログアンテナを用いてスペクトラムアナライザーにて測定する、という方法をとった。測定環境は電波暗室である。
上記8種の評価品について、それぞれの特性および試験結果を下記表1にまとめて示す。
上記表1に示した結果から、透磁率7以上の第1層11と、誘電率10以上の第2層12とを積層した評価品(実施例1〜6)については、いずれも減衰効果を得られるピーク周波数が900MHz以下の周波数帯になることがわかる。一方、透磁率7以上の第1層11を備えていても、誘電率10以上の第2層12を備えていない場合(比較例1)、あるいは、誘電率10以上の第2層12を備えていても、透磁率7以上の第1層11を備えていない場合には(比較例2)、減衰効果を得られるピーク周波数が900MHz以下にならないことがわかる。
また、第1層11と第2層12とを積層せず、第1層11単独または第2層12単独で、上記と同じ性能試験を行ってみたところ、いずれの場合とも、減衰効果を得られるピーク周波数が900MHz以下にならないことが判明した。
このことから、透磁率7以上の第1層11、もしくは誘電率10以上の第2層12のいずれか一方を単に備えるだけでは、減衰効果を得られるピーク周波数が900MHz以下の周波数帯にある電磁波対策シートとはならないことがわかる。すなわち、減衰効果を得られるピーク周波数が900MHz以下の周波数帯にある電磁波対策シートを得るには、透磁率7以上の第1層11と誘電率10以上の第2層12とを積層することが重要であると考えられる。
図2は、上記表1中の実施例1、比較例1、および比較例2について、横軸に周波数、縦軸に放射レベルをとって、測定結果をグラフ化したものである。グラフ中には、評価品を設置する前の放射レベルについても、測定結果を併記した。
このグラフからも、実施例1は、比較例1,2に比べ、900MHz以下の電磁波について減衰効果が高いことがわかる。
減衰効果の大きい周波数は、透磁率と誘電率の組合せにより適宜調整することができるが、双方の値が大きいほど、減衰効果の大きい周波数が低周波側になりやすい傾向にある。
以上の説明から明らかなように、上記実施例1〜6として示した電磁波対策シートにおいては、透磁率7以上の第1層と、誘電率10以上の第2層とを積層した構造を採用したので、僅か1.1mmというきわめて薄い構造になっているにもかかわらず、900MHz以下の周波数帯における電磁波の減衰量を大きくすることができる。
したがって、このような積層構造を持つ電磁波対策シートによれば、きわめて小型化が進んだ電子機器において、ICなどの放射ノイズ源と筐体やヒートスプレッダとの間に電磁波対策シートを挟み込む場合でも、容易に電磁波対策シートを挟み込むことができるようになり、そのような小型電子機器から放射される電磁波を抑制することができる。また、シート厚を従来品より薄くすることができるので、放射ノイズ源が発熱性の電子部品である場合でも、電磁波対策シートが電子部品からの放熱を妨げることはなく、過熱に起因する電子部品の故障を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態においては、金属磁性材料の扁平粉末、誘電材料粉末、各層のマトリクス樹脂について、具体的な物質名や物性を例示したが、各層に要求される物性を満足できれば、上記実施形態で例示したものに限らず、任意に各層を構成するための材料を選定することができる。
また、上記実施形態では、第1層11や第2層12の厚さについても、具体的な数値を例示したが、これも目的とするピーク周波数や目的とするシート厚を考慮して適宜最適化することができる。
(a)は本発明の実施形態として例示した電磁波対策シートの斜視図、(b)は電子部品の電磁波対策構造の縦断面図。 性能試験の測定結果を示すグラフ。
符号の説明
1・・・電磁波対策シート、11・・・第1層、12・・・第2層、21・・・プリント配線板、22・・・電子部品、23・・・ヒートシンク。

Claims (11)

  1. 透磁率7以上の第1層と、誘電率10以上の第2層とを積層してなる
    ことを特徴とする電磁波対策シート。
  2. 前記第1層および前記第2層の積層方向についての体積抵抗率が、106〜1014Ω・cmである
    ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波対策シート。
  3. 前記第1層が、金属磁性材料からなるアスペクト比3以上の扁平粉末をマトリクス樹脂中に分散させてなる複合磁性材料によって形成されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電磁波対策シート。
  4. 前記金属磁性材料が、粒径D50=20〜60μmのFe−Si−Al合金であり、前記複合磁性材料に対する体積比で30〜50%配合されている
    ことを特徴とする請求項3に記載の電磁波対策シート。
  5. 前記第2層が、体積抵抗率106〜1014Ω・cmの非導電性材料によって形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電磁波対策シート。
  6. 前記第2層が、誘電材料の粉末をマトリクス樹脂中に分散させてなる複合誘電材料によって形成されている
    ことを特徴とする請求項5に記載の電磁波対策シート。
  7. 前記誘電材料が、粒径D50=1〜100μmの炭化ケイ素であり、前記複合誘電材料に対する体積比で10〜55%配合されている
    ことを特徴とする請求項6に記載の電磁波対策シート。
  8. 減衰量が最大となるピーク周波数が900MHz以下の周波数帯にある
    ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の電磁波対策シート。
  9. 透磁率7以上の第1層と、誘電率10以上の第2層とを積層する
    ことを特徴とする電磁波対策シートの製造方法。
  10. 前記第1層を形成するための第1の流動性原料組成物を、第1の基材上にコーティングして硬化させることにより、前記第1層と前記第1の基材とを積層してなる第1の積層体を形成し、
    前記第2層を形成するための第2の流動性原料組成物を、第2の基材上にコーティングして硬化させることにより、前記第2層と前記第2の基材とを積層してなる第2の積層体を形成し、
    前記第1層と前記第2層が接触するように、前記第1の積層体と前記第2の積層体とを積層して、前記第1の基材および前記第2の基材を除去する
    ことを特徴とする請求項9に記載の電磁波対策シートの製造方法。
  11. 請求項1〜請求項8のいずれかに記載の電磁波対策シートを、前記第2層と電子部品が接触するように、前記電子部品に貼付してなる
    ことを特徴とする電子部品の電磁波対策構造。
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