JP5438337B2 - 熱伝導性シート、及び、その製造方法 - Google Patents

熱伝導性シート、及び、その製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体パッケージなどの電子部品と、この電子部品が発熱する熱を放熱させる金属製放熱部材との間に配置される熱伝導性シート、及び、この熱伝導性シートの製造方法に関する。
近年、電子機器は小型化の傾向をたどる一方、アプリケーションの多様性のために電力消費量はそれほど変化させることができないため、機器内における放熱対策がより一層重要視されている。
上述した電子機器における放熱対策として、銅やアルミなどといった熱伝導率の高い金属材料で作製された放熱板やヒートパイプ、あるいはヒートシンクなどが広く利用されている。これらの熱伝導性に優れた放熱部品は、放熱効果または機器内の温度緩和を図るため、電子機器内における発熱部である半導体パッケージなどの電子部品に近接するようにして配置される。また、これらの熱伝導性に優れた放熱部品は、発熱部である電子部品から低温場所へ亘って配置される。また、電子部品と金属放熱部品とを接着させたときに生じる空間を埋めるため、可撓性を有する熱伝導性シートが、電子部品と金属放熱部品との間に配置される。
電子機器内における発熱部は、電流密度が高い半導体素子などの電子部品である。電流密度が高いということは、不要輻射の成分となりうる電界強度または磁界強度が大きい。このため金属で作製された放熱部品を電子部品の近辺に配置すると、熱とともに電子部品内を流れる電気信号の高調波成分をも拾ってしまうケースがしばしば見られる。
具体的には、放熱部品は、金属材料で作製されているため、それ自体が高調波成分のアンテナとして働いてしまうことや、高調波成分の伝達経路として働いてしまうという現象が生じる。
このような背景により、熱伝導性シートは、放熱部品がアンテナとして働いてしまうのを抑制するため、すなわち磁界のカップリングを断ち切るために、磁性材料を含有するものがある(特許文献1)。このような熱伝導性シートは、例えばフェライトなどの高透磁率を有する磁性材料を、シリコーン系やアクリル系などの高分子材に含有させることにより、熱伝導特性と電磁波抑制特性の両者の機能を実現している。
特開2006−310812号公報
上述した熱伝導性シートでは、磁性材料をシート内に含有しても、磁性金属粒子の配向が揃わないことによって磁気的結合が弱いと比透磁率が低く、十分な電磁波抑制効果を得ることができないという問題がある。
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、熱伝導特性と電磁波抑制特性の両者の機能が良好な熱伝導性シートを提供することを目的とする。
上記のように、熱伝導性を有しながら電磁波を抑制するという目的にて樹脂に含有される磁性金属粒子の磁気的結合を強めるために、発明者らは磁性金属粒子を可撓性樹脂に含有させる処理方法に着目し、下記の熱伝導性シートを発明するに至った。
すなわち、本発明は、電子部品と、この電子部品が発熱する熱を放熱させる金属製放熱部材との間に配置される熱伝導性シートにおいて、球形状の磁性金属粒子を含有する可撓性樹脂からなり、当該熱伝導性シートの面方向に対して平行方向に磁場印加処理が施されていることを特徴とする。
また、本発明は、電子部品と、この電子部品が発熱する熱を放熱させる金属製放熱部材との間に配置される熱伝導性シートの製造方法において、磁性金属粒子を、可撓性樹脂と混合する混合工程と、混合工程により混合された球形状の磁性金属粒子と可撓性樹脂とを、シート状に成形する成形工程と、成形工程により成形されたシートに対して、その面方向に対して平行方向に磁場を印加する磁場印加工程と、磁場印加工程により磁場が印加されたシートを硬化させる硬化工程とを有する。
また、本発明は、電子部品と、この電子部品が発熱する熱を放熱させる金属製放熱部材との間に配置される熱伝導性シートにおいて、磁性金属粒子を含有する可撓性樹脂からなり、当該熱伝導性シートの面に対する垂直方向に回転軸を設定して回転させながら、当該熱伝導性シートの面方向に対して平行方向に磁場印加処理が施されていることを特徴とする。
本発明は、熱伝導性シートの面方向に磁場印加処理が施されいるので、反磁界が小さくなるように、磁性金属粒子の配向を揃えることで磁気的結合を強めることができ、結果として、熱伝導特性と電磁波抑制効果の両者の機能が良好な熱伝導性シートを提供することができる。
本発明が適用された熱伝導性シートが実装される回路基板の構成を示す図である。 回路基板における遠方電界強度の周波数特性を示すグラフである。 熱伝導性シートの特性に応じた回路基板における遠方電界強度の周波数特性を示すグラフである。 シートにおける熱伝導性材料の充填量とシート全体の熱伝導率との関係を算出したグラフである。 磁場印加処理について説明するための図である。 磁場印加処理を行う構成例について説明するための図である。 磁場印加処理を行う構成例について説明するための図である。 磁場印加処理を行う構成例について説明するための図である。 熱伝導性シートに係る複素比透磁率の周波数特性について説明するための図である。 球状磁性金属粒子の体積率の変化に応じた複素比透磁率の虚数部の変化を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。
本発明が適用された熱伝導性シートは、半導体パッケージなどの電子部品と、この電子部品が発熱する熱を放熱させる金属製放熱部材との間に配置される。
<熱伝導性シートが貼着される回路基板>
例えば本発明が適用された熱伝導性シートは、図1に示すような、回路基板1に貼着される。すなわち、図1に示す熱伝導性シート11は、発熱部である高周波基板17と、高周波基板17が発熱する熱を放熱させる放熱金属板12との間に配置される。具体的に、熱伝導性シート11は、一方の面11aが高周波基板17を構成する半導体パッケージを封止する樹脂モールド13と、他方の面11bが放熱金属板12とそれぞれ密着するように、回路基板1に貼着される。
高周波基板17は、誘電体基板16の一方の面にGND電極となる銅箔15と、もう一方の面にパターニングにより構成された銅の信号線14からなるものでマイクロストリップラインを構成している。
高周波基板17は、不要輻射の影響が生じないようにするため、それ自体が動作した際の遠方電界強度が所定の値以下に抑制するように設計されている。しかしながら、このような高周波基板17を有する回路基板1では、放熱金属板12が、熱伝導性シート11を介して対向する高周波基板17の信号線14内を流れる電気信号の高調波成分を拾ってしまい、高調波成分のアンテナとして機能し、結果的に遠方電界強度を増大させてしまう。
<熱伝導性シート>
このように放熱金属板12がアンテナとして作用するのを抑制するため、熱伝導性シート11は、電子部品から放出される電磁波を吸収する電磁波吸収材料として、磁性金属粒子を含有する可撓性樹脂からなり、この熱伝導性シートの面方向に磁場印加処理が施されている。
具体的に、熱伝導性シート11は、シリコン樹脂などの可撓性樹脂に、次のような磁性金属粉末が含有される。
すなわち、熱伝導性シート11は、磁性金属粒子として、粉末作製の観点から比較的作製しやすい、ボロン(B)や炭素(C)などを添加した磁性金属アモルファス粉末を含有している。磁性金属アモルファス粉末は、例えば、Fe−Si−B系、Fe−Si−B−C系、Co−Si−B系、Co−Zr系、Co−Nb系、Co−Ta系などがあげられる。
なお、熱伝導性シート11に含有される磁性金属粒子は、上述した磁性金属アモルファスのみに限らず、結晶系、微結晶系の磁性材料を用いることもできる。結晶系の磁性金属粒子としては、Fe系、Co系、Ni系、あるいはFe−Ni系、Fe−Co系、Fe−Al系、Fe−Si系、Fe−Si−Al系、Fe−Ni−Si−Al系などがあげられ、微結晶系の磁性金属粒子としては、これら結晶系材料にN、C、O、B等を微量加えて微細結晶化させた材料である。
また、熱伝導性シート11は、可撓性樹脂として、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル等の樹脂や、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、エチレンブロピレンゴム等のゴムが用いられるが、これらに限るものではない。また、熱伝導性シート11には、難燃剤、反応調整剤、架橋剤、シランカップリング剤などの表面処理剤が適量含んでいるようにしてもよい。
以上のような構成からなる熱伝導性シート11は、シートの面方向に磁場印加処理が施されているので、反磁界が小さくなるように、磁性金属粒子の配向を揃えることで磁気的結合を強めることができ、結果として、良好な熱伝導特性と良好な電磁波抑制特性とをともに実現することができる。
また、熱伝導性シート11は、シートの面に対する垂直方向に回転軸を設定して回転させながら、シートの面方向に磁場を印加する回転磁場処理が施されていることで、更に複素比透磁率の虚数部の値を高くすることができ、特に良好な電磁波抑制特性を実現することができる。これは、「回転磁場処理」により磁性金属粒子を振動させることで、シート内での磁性金属粒子の分散性が「一方向磁場処理」に比べて良くなり、磁性金属粒子の配向が揃いやすく、結果として磁性特性が向上するからである。
熱伝導性シート11は、いかなる形状の磁性金属粒子を用いても、磁場処理を施すことにより、磁性金属粒子の配向を揃えることで磁気的結合を強めることができるが、特に球状の磁性金属粒子を用いた場合に電磁波特性を良好にすることができる。
例えば、扁平形状の磁性金属粒子では、磁場印加処理を施すことで、磁性金属粒子の配向を揃えることで磁気的結合を強めることができるが、たとえ磁場処理を施さない状態でも、シート作製時に圧力を加えて薄く延ばす時に、扁平形状磁性金属粒子が押圧され扁平面がシート面内に揃い易く、そのためシート全体でみると磁性体の磁化が面内成分を持つことになり、シート面内方向で反磁界が小さくなるため複素透磁率を高くできる。
これに対して、球状磁性金属粒子では、等方的な形状のため押圧しても磁性金属粒子が特定の方向に揃うことがなく、それぞれの磁性金属粒子が互いに磁気的な結合を持たない場合は、等方的な反磁界により複素比透磁率の虚数部が理論上3を超えない。しかし、熱伝導性シート11では、磁場処理を施すことで、可撓性樹脂材料の粘度が磁性金属粒子の移動あるいは偏在が可能な程度に軟らかく、また印加する磁場が十分な強度を有する場合には、球状磁性金属粒子が、磁気的エネルギーを最小とするように再配列する。このため、熱伝導性シート11は、磁場がシート面に平行に加えられることで、シート面方向で反磁界が小さくなり、この結果、複素比透磁率が向上する。
球状磁性金属粒子に対する磁場印加による電磁波抑制特性は、シートに占める磁性金属粒子の含有量に関わらず向上するが、磁性金属粒子の含有量が少ないと電磁石に近いシートの側面側に磁性金属粒子が局在したり、磁性金属粒子と可撓性樹脂とが層分離を起こすなどの不具合が生じる。
具体的に、十分な電磁波吸収効果を発揮するためには、球状磁性金属粒子をどの程度充填する必要があるのかを調べるために次のようなシミュレーションを行った。上述した回路基板1を解析用モデルとし、シミュレーションにはアンソフト社製の電磁界シミュレーターHFSSを用い、次のように各条件を設定して3m遠方での電界強度を算出した。
図2は電磁波吸収性熱伝導シート11を省いた状態で、放熱金属板12がある場合とない場合の遠方電界強度を比較したものである。図2から明らかなように、高周波基板17に熱伝導性シート11を介さない状態で放熱金属板12が積層されていると、高周波基板17と放熱金属板12の間での電磁気的な結合により平行平板共振が発生し、この共振に対応した周波数で電界の放射が強くなる。本例では、高周波基板17から発信される高調波の周波数が、1.1GHz、2.1GHz付近で強い電界放射がみられる。
図3は、回路基板1において熱伝導性シート11を含めた状態で、熱伝導性シート11の複素比透磁率の実数部を10に固定して虚数部の値のみを変えたときの遠方電界強度の周波数特性を比較したものである。図2と図3との解析結果を比較すると、虚数部の値が1では放射電界強度のピークを抑制できるが、図2の放射金属板無しの結果と比べると周波数全体に亘り放射電界強度が高い。これに対して、虚数部の値が3では上記周波数の放射電界ピークは完全に抑えられ、また周波数全体に亘り図2の放射金属板無しの結果とほぼ同等な電界強度特性となっている。また、虚数部の値が5の場合は、更に放射電界強度が下がる。以上の解析結果から、熱伝導性シート11の複素比透磁率の虚数部が大きいほど、放射電界に対する低減効果が大きい傾向にある。特に、熱伝導性シート11は、虚数部の値が3以上であれば平行平板共振の影響を取り除けることができ、放熱金属板12を高周波基板17に近接させたとしても、不要輻射を増大させないようにすることができる。
本願の発明者らは、このような特性に注目して、磁性金属粒子の大きさや粒度分布にもよるが、熱伝導性シート11に占める球状磁性金属粒子の体積率を50vol%以上にすると、複素比透磁率の虚数部の値を3以上にすることができ、放熱金属板12を高周波基板17に近接させたとしても、不要輻射を増大させないようにすることができることを見出した。したがって、熱伝導性シート11は、球形状の磁性金属粒子が50vol%以上で充填されていることで、層分離を起こすなどの不具合を防止するとともに、放熱金属板12を高周波基板17に近接させたとしても、不要輻射を増大させないようにすることができる。
また、熱伝導性シート11は、球状の磁性金属粒子を用いた場合には、シート内での分散性が良いため、磁性金属粒子よりも平均粒径が小さい他の粒子を更に充填することができる。
例えば、熱伝導性シート11は、球状の磁性金属粒子を可撓性樹脂に含有させることで熱伝導性材料として機能するが、さらに球状の磁性金属粒子より熱伝導率の高い熱伝導性粒子を含有させることで熱伝導率を向上させることができる。
熱伝導性シート11における熱伝導性材料の充填量に応じた熱伝導率の変化について説明する。熱伝導率は、Bruggemanの式によると以下のような関係がある。
Figure 0005438337
ここで、λはシート全体の熱伝導率、λは熱伝導性材料の熱伝導率、λは母材の高分子材の熱伝導率、φは熱伝導性材料のシートに占める体積率である。
図4は、上記のBruggemanの式を用い、シートにおける熱伝導性材料の充填量とシート全体の熱伝導率との関係を算出したグラフを示す。母材の高分子材の熱伝導率を0.2W/mKとし、熱伝導性材料の熱伝導率を10、30、50、70W/mKとした。ここで、熱伝導性シート11は、磁気特性が高い磁性金属粒子と、磁性金属粒子よりも熱伝導率が高い熱伝導性粒子との両方を含有する場合、これらの含有比率に起因して、仮想的に1種類の熱伝導性材料としてみなしたときの熱伝導率が変化する。このため、含有比率に応じて熱伝導率が変化するが、図4から明らかなように、シート全体の熱伝導率は熱伝導性材料の充填量の増加に応じて単調に増加し、特に熱伝導性材料の充填量が約65%以上になると、シート全体の熱伝導率も急激に増加する。
したがって、熱伝導特性が重視される用途では、磁性金属粒子の充填量を電磁波吸収効果を発揮する最低の体積率である50vol%程度にして、より熱伝導率の高い熱伝導性充填剤を加えていくのが好ましい。この場合、同一粒径の熱伝導性金属粉を加えてもよいが、特に平均粒径が、磁性金属粉に比べて1/3〜1/20程度の小さいものを用いると充填量を上げることができる。
この熱伝導性粒子として、熱伝導性シート11は、アルミナ、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミ、炭化珪素などの高熱伝導性セラミックス、また銅やアルミなどの金属に絶縁体をコーティングした粉末を含有する。なお、熱伝導性シート11では、熱伝導性粒子として、1種あるいは数種を混ぜて用いるようにしてもよく、また同一材料においても平均粒径を変えて用いるようにしてもよい。更に熱伝導性を高めるために、熱伝導性シート11には、熱伝導性粒子として、カーボンブラックやダイヤモンドを加えてもよい。
上述したように、熱伝導性シート11は、球状の磁性金属粒子を可撓性樹脂に含有させることで熱伝導性材料として機能するが、更に球状の磁性金属粒子より熱伝導率の高い熱伝導性粒子を含有させることで熱伝導率を向上させることができる。また、熱伝導性シート11は、熱伝導性粒子が含有されることによって、磁性金属粒子の間に配置されるため、磁場印加処理を施すことによる弊害、具体的には、電磁石に近いシートの側面側に磁性粉が局在したり、磁性金属粒子と可撓性樹脂とが層分離を起こすなどの弊害を防止することができる。
特に、熱伝導性シート11は、熱伝導性粒子の平均粒径が、磁性金属粉の平均粒径に比べて小さいものを用いると充填量を上げることができる。なお、熱伝導性シート11は、磁性金属粒子と熱伝導性粒子との平均粒径比を調節することにより、球状の磁性金属粒子の分散性の良さを利用して、シートに占める体積率の和が最大80vol%程度となるように、磁性金属粒子と熱伝導性粒子とを含有することができる。
<熱伝導性シートの製造方法>
次に、熱伝導性シート11の製造方法について説明する。熱伝導性シート11は、原料の混合、成型、磁場印加、硬化工程を経て製造される。
まず、混合工程においては、ロールミル、ニーダー等の混合機あるいは攪拌機を用いて、磁性金属粒子を、可撓性樹脂と混合する。
成型工程においては、ドクターブレード法、カレンダーロール法、押し出し法、プレス法等を用いて、混合工程により混合された磁性金属粒子と可撓性樹脂とを、シート状に成型する。
磁場印加工程においては、図5に示すように、S、N極が対向した電磁石2の間に、成型工程により成型されたシート3の面に平行に磁場が加わるようにセラミクス板3aに挟んだ状態で固定して、磁場の方向Bを固定あるいは回転させながら磁場を印加する。これ以外にも、例えば、図6の断面図に示されるように空芯ソレノイド102の中をベルトコンベア103にシート101を載せて動かしながら磁場を加える方法、図7の断面図に示されるように同極の電磁石202を対向させて、その間をベルトコンベア203にシート201を載せて動かしながら磁場を加える方法、図8の断面図に示されるように異極の電磁石302の空隙の間をベルトコンベア303にシート301を載せて動かしながら磁場を加える方法等を用いるようにしてもよい。これらに限らず成型品の面に対し平行に磁場を印加できる方法であればいずれの方法でも良い。また、磁場の強さは成型品の大きさや、電磁石との空間的配置により変わってくるが、最大200〜4000エルステッド程度で、固定磁場、あるいは連続、段階的に変わる変動磁場としてもよく、更に極性も変わる交流磁場としてもよい。
硬化工程においては、熱風乾燥機、遠赤外線乾燥機、マイクロ波乾燥機を用いて、磁場印加工程により磁場が印加されたシートを硬化させる。なお、本工程においては、これらに限らず適度な温度を加えることのできる装置を用いるようにしてもよい。硬化温度は通常50〜200℃としている。
本製造方法においては、製造時間の短縮化を図るため、例えばベルトコンベアで成型品を運びながら磁場印加工程と硬化工程を同時に行うのが好ましいが、成型品の粘度がある程度高い状態であれば、磁場により配向された磁性金属粒子は磁気的エネルギーの低い状態で固着させているので、磁場印加工程と硬化工程を別々に行うようにしてもよい。
次に、熱伝導性シート11の実施例として、次のような3種類のシートa、b、cを用いて、電磁波抑制効果について説明する。
すなわち、磁性金属粒子の体積率が互いに異なる3種類のシートa、b、cを次のようにして作製した。まず、分子鎖両末端にのみアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンと側鎖にのみケイ素原子に直接結合した水素原子をもつメチルハイドロジェンポリシロキサンと白金族系付加反応触媒を1%未満含んだシリコーン混合物100gと、カップリング剤21gを可撓性樹脂材料とした。この可撓樹脂材料に、磁性金属粒子として、平均粒径が10μmの球状磁性アモルファス合金を次の3種類の体積率、すなわち、40vol%(シートa)、60vol%(シートb)、67vol%(シートc)となるように加え、真空攪拌機にて攪拌した後に、厚さが1.5mmのシート形状にした。そして、シート面に平行に磁場が加わるように、磁場の方向を固定あるいは回転させながら1000エルステット磁場を加えて100℃で10分間の環境下で硬化させることで、3種類のシートa、b、cを作製した。
磁場印加処理による電磁波抑制の効果を解析するために、上記の3種類のシートa、b、cについて複素比透磁率を測定した。複素比透磁率の測定は次のようにして行った。まず、作製したシートを外径20mm、内径6mmのリング形状に打ち抜いて測定サンプルを作製した。そして、作製した測定サンプルをアジレントテクノロジー社製の測定器「Agilent 4291B RFインピーダンス/マテリアル・アナライザ」を使用して測定し、複素比透磁率の実数部と虚数部を得た。
図9(A)及び図9(B)は、球状磁性アモルファス粉を60vol%加えた熱伝導性シートbについて、磁場を加えないものと、「一方向磁場処理」と「回転磁場処理」との2種類の手法で磁場を加えたものとについて複素比透磁率の周波数特性を測定したもので、それぞれ実数部と虚数部の周波数特性を示すグラフである。この測定結果から明らかなように、磁場処理を施した方が、磁場処理を施さない場合に比べて、複素比透磁率の実数部、虚数部とも大きい。
また、複素比透磁率の虚数部は磁気エネルギーの吸収度合いをみる評価指標となるので、電磁波の発振周波数が500MHzでの複素透磁率の虚数部に着目して、上記の磁性金属粉の体積率が異なる3種類のシートa、b、cに対する磁場印加の効果を表1に示す。
Figure 0005438337
上記の表1の測定結果から明らかなように、いずれのシートa〜cにおいても、磁場処理を施した方が、磁場処理を施さない場合に比べて、複素比透磁率の虚数部の値が大きい。このようにして、磁場処理により透磁率が向上するのは、シート内において、反磁界が小さくなるように、磁性金属粒子の配向を揃えることで磁気的結合を強めることができるからである。このように、シートa〜cは、シートの面方向に磁場印加処理が施されている場合、反磁界が小さくなるように、磁性金属粒子の配向を揃えることで磁気的結合を強めることができ、結果として、良好な熱伝導特性と良好な電磁波抑制特性とをともに実現することができた。
また、上記の表1の測定結果から明らかなように、熱伝導性シートは、「回転磁場処理」が施されていることで、「一方向磁場処理」に比べて、更に複素比透磁率の虚数部の値を高くすることができ、特に良好な電磁波抑制特性を実現することができた。これは、「回転磁場処理」により磁性金属粒子を振動させることで、シート内での磁性金属粒子の分散性が「一方向磁場処理」に比べて良いため、磁性金属粒子の配向が揃いやすく、結果として磁性特性が向上するからである。
また、図10は、上述した表1の複素比透磁率の虚数部の測定結果を、球状磁性金属粒子の体積率の変化に応じた複素比透磁率の虚数部の変化を示すグラフとして表したものである。図10から明らかなように、一方向性の磁場を加えた場合で、複素比透磁率の虚数部で3以上の値を得るためには、体積率が50vol%以上となるように球状磁性金属粒子をシートに含有させる必要がある。すなわち、図10は、熱伝導性シートが、球形状の磁性金属粒子が50vol%以上で充填されていることで、良好な電磁波抑制特性を実現することができることを明示している。
熱伝導性粒子を含有する熱伝導性シート11に係る実施例として、次のような2種類のシートd、eを用いて、熱伝導特性の変化について説明する。
すなわち、磁性金属粒子の体積率が同一で、熱伝導性粒子の体積率が互いに異なる3種類のシートd、eを次のようにして作製した。まず、分子鎖両末端にのみアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンと側鎖にのみケイ素原子に直接結合した水素原子をもつメチルハイドロジェンポリシロキサンと白金族系付加反応触媒を1%未満含んだシリコーン混合物100gとカップリング剤21gを可撓性樹脂材料とした。この可撓性樹脂材料に、磁性金属粒子として平均粒径が10μmの球状磁性アモルファス合金を60vol%、更に熱伝導性粒子として1μmの窒化アルミ粉末を次の2種類の体積率、すなわち、8vol%(シートd)、16vol%(シートe)となるように加え、真空攪拌機にて攪拌した後に、厚さが1.7mmのシート形状に加工した。そして、対向した電磁石の間にシート面に平行に磁場が加わるようにセラミクス板に挟んだ状態で固定して、一方向性の1000エルステッド磁場を加えたあと、100℃で10分間の環境下で硬化させて、2種類のシートd、eを作製した。
磁場印加処理による電磁波抑制の効果を解析するために、シートa、b、cに対して行った測定方法と同様の方法で、シートd、eについて複素比透磁率を測定した。
また、熱伝導率の測定は、次のようにしておこなった。まず、シートを1cm角程度の大きさに切り出し、これを金属性ヒートシンクと金属製ヒーターケースの間に挟んで、1kgfの力で加圧・接触させ、金属製ヒータケースに電力をかけて加熱する。金属製ヒータケースと金属性ヒートシンクの温度が一定になったところで、この間の温度差を計測した。ここで、熱伝導率は下記の式より算出した。
熱伝導率=(電力×サンプル厚み)/(温度差×測定面積)
熱伝導性シートd、eについて、上記の条件下で測定した複素比透磁率の虚数部μ”と、算出した熱伝導率とを下記の表2に示す。なお、表2においては、比較対象として、シートb、cにおける複素比透磁率の虚数部μ”と熱伝導率とを合わせて示す。
Figure 0005438337
上記の表2を見ると、磁性金属粒子のみ60vol%、67vol%充填した熱伝導性シートb、cでも、熱伝導性材料が高充填されているため、熱伝導率がそれぞれ1.8、2.1W/m・Kと大きな値であり、良好な熱伝導特性がある。これに対して、熱伝導性粒子を含有するシートd、eは、シートbと同等の電磁波抑制効果を実現しつつ、更に、シートb、cよりも良好な熱伝導特性を実現する。
1 回路基板、11 熱伝導性シート、12 放熱金属板、13 樹脂モールド、14 信号線、15 銅箔、16 誘電体基板、17 高周波基板

Claims (8)

  1. 電子部品と、この電子部品が発熱する熱を放熱させる金属製放熱部材との間に配置される熱伝導性シートにおいて、
    球形状の磁性金属粒子を含有する可撓性樹脂からなり、
    当該熱伝導性シートの面方向に対して平行方向に磁場印加処理が施されていることを特徴とする熱伝導シート。
  2. 当該熱伝導性シートに占める上記磁性金属粒子の体積率は50[vol%]以上であることを特徴とする請求項記載の熱伝導性シート。
  3. 上記可撓性樹脂には、上記磁性金属粒子よりも熱伝導率が高い熱伝導性粒子が更に含有されていることを特徴とする請求項記載の熱伝導性シート。
  4. 上記磁性金属粒子の平均粒径は、上記熱伝導性粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴とする請求項記載の熱伝導性シート。
  5. 上記磁場印加処理は、当該熱伝導性シートの面に対する垂直方向に回転軸を設定して回転させながら、当該熱伝導性シートの面方向に対して平行方向に磁場を印加する処理であることを特徴とする請求項1記載の熱伝導性シート。
  6. 電子部品と、この電子部品が発熱する熱を放熱させる金属製放熱部材との間に配置される熱伝導性シートの製造方法において、
    球形状の磁性金属粒子を、可撓性樹脂と混合する混合工程と、
    上記混合工程により混合された上記磁性金属粒子と可撓性樹脂とを、シート状に成形する成形工程と、
    上記成形工程により成形されたシートに対して、その面方向に対して平行方向に磁場を印加する磁場印加工程と、
    上記磁場印加工程により磁場が印加されたシートを硬化させる硬化工程とを有する熱伝導性シートの製造方法。
  7. 上記磁場印加工程は上記硬化工程と同時に行なわれることを特徴とする請求項記載の熱伝導性シートの製造方法。
  8. 電子部品と、この電子部品が発熱する熱を放熱させる金属製放熱部材との間に配置される熱伝導性シートにおいて、
    磁性金属粒子を含有する可撓性樹脂からなり、
    当該熱伝導性シートの面に対する垂直方向に回転軸を設定して回転させながら、当該熱伝導性シートの面方向に対して平行方向に磁場印加処理が施されていることを特徴とする熱伝導シート。
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