半導体装置の微細化によって、RC(R:Resistance、C:Capacitance)遅延は深刻な問題となっている。対策のひとつとして層間絶縁膜に低誘電率膜を適用し、線間容量及び層間容量を低減することでRC遅延を小さくする検討が進められている。現在主流のデュアルダマシン法(Dual-Damascene Scheme)は、1種類の層間絶縁膜を適用したホモジニアス構造によるVia 1st Trench Last方法である(例えば、非特許文献1参照。)。
しかし、層間膜に誘電率が3より低い絶縁膜を適用した場合は、配線溝や接続孔を形成する反応性イオンエッチング(RIE)工程で受けるプラズマ(Plasma)ダメージに起因した層間容量の上昇が確認されている。また、層間容量よりも線間容量の方が回路スピードへの影響が大きく、線間容量の低減が重要となっている。その回避策として、ダメージを受けた配線間の絶縁膜を除去し、除去した領域に再度低誘電率の絶縁膜を形成して埋め戻すプロセスが考えられる。プラズマダメージを受けない本来の低誘電率膜の特性を確保でき、容量低減に効果があると考えられる。
1種類の低誘電率膜を適用するホモジニアス構造の多層配線の形成例を、図18の製造工程断面図によって説明する。
図18(1)に示すように、下地絶縁膜110上に配線間の第1絶縁膜111を、例えば炭素を含む酸化シリコン膜で形成する。通常のレジストマスク(図示せず)を用いたエッチング技術によって第1絶縁膜111に第1配線溝112形成する。その後、上記レジストマスクを除去する。
次に、図18(2)に示すように、第1配線溝112表面および第1絶縁膜111表面にバリア膜113を形成する。さらに銅シード膜(図示せず)を形成する。その後、めっき法によって、第1配線溝112を埋め込むように、第1絶縁膜111上に銅膜114を形成する。
次に、図18(3)に示すように、化学的機械研磨(以下、CMPという)によって、第1絶縁膜111上の余剰な銅膜(銅シード膜も含む)114、バリア膜113を除去し、配線溝112内部にバリア膜113を介して銅膜114(銅シード層も含む)からなる第1配線115を形成する。この工程ではCMPを行っているため、第1配線115表面および第1絶縁膜111表面は同一面上になるように平坦化されている。
次に、図18(4)に示すように、第1絶縁膜111表面のプラズマダメージを受けている領域を、エッチングによって除去する。この結果、第1配線115、115間に溝116が形成される。
次に、図19(5)に示すように、溝116を埋め込むように第1絶縁膜111上に第2絶縁膜117を、例えば炭素を含む酸化シリコン膜で形成する。
次に、図19(6)に示すように、CMPによって、第1配線115上の第2絶縁膜117を除去するとともに、第1配線115表面および第2絶縁膜117表面が同一面上になるように平坦化する。
次に、図19(7)に示すように、第1配線115上を被覆するようにバリア膜118を、例えば炭化シリコン膜で形成する。
次に、図19(8)に示すように、バリア膜118上に第3絶縁膜121を、例えば炭素を含む酸化シリコン膜で形成する。
次に、図20(9)に示すように、第3絶縁膜121上に、ビアホールパターン132を形成したエッチングマスク131を、例えばレジスト膜で形成する。
次に、図20(10)に示すように、エッチングマスク131〔前記図20(9)参照〕を用いたエッチング技術により、上記第3絶縁膜121にビアホール122を形成する。
次に、図21(11)に示すように、第3絶縁膜121上に、第2配線溝パターン133を形成したエッチングマスク134を、例えばレジスト膜で形成する。その際、ビアホール122内にはレジスト膜が埋め込まれる。
次に、図21(12)に示すように、エッチングマスク134〔前記図21(11)参照〕を用いたエッチング技術により、上記第3絶縁膜121に第2配線溝123を形成する。
次に、図21(13)に示すように、第2配線溝123表面および第3絶縁膜121表面にバリア膜124を形成する。さらに銅シード膜(図示せず)を形成する。その後、めっき法によって、第2配線溝123を埋め込むように、第3絶縁膜121上に銅膜125を形成する。
次に、図22(14)に示すように、化学的機械研磨(以下、CMPという)によって、第3絶縁膜121上の余剰な銅膜(銅シード膜も含む)125、バリア膜124を除去し、第2配線溝123内部にバリア膜124を介して銅膜125(銅シード層も含む)からなる第2配線126を形成する。この工程ではCMPを行っているため、第2配線126表面および第3絶縁膜121表面は同一面上になるように平坦化されている。
次に、図22(15)に示すように、第3絶縁膜121表面の絶縁膜の誘電率を上昇させるダメージ、例えばプラズマダメージを受けている領域を、エッチングによって除去する。この結果、第2配線126、126間に溝127が形成される。
次に、図22(16)に示すように、溝127を埋め込むように第3絶縁膜121上に第4絶縁膜128を、例えば炭素を含む酸化シリコン膜で形成する。
次に、図23(17)に示すように、CMPによって、第2配線126上の第4絶縁膜128を除去するとともに、第2配線126表面および第4絶縁膜128表面が同一面上になるように平坦化する。
次に、図23(18)に示すように、第2配線126上を被覆するバリア膜129を、例えば炭化シリコン膜で形成する。
上述したように、炭素を含む酸化シリコン膜で層間絶縁膜を形成するように、1種類の低誘電率膜を適用するホモジニアス構造は、第1配線115、115間、第2配線126、126間のダメージを受けた第1絶縁膜111部分、第3絶縁膜121部分をRIEにて除去する際、除去領域の底部にエッチングストッパーが形成されていないので、ウエハ(Wafer)面内やパターン(Pattern)間差によるエッチング量のバラツキが大きくなる。そのため、溝116、127が埋め戻し時には高アスペクト比状態となる箇所が存在し、その結果、第2絶縁膜117による溝116の埋め込みや、第4絶縁膜128による溝127の埋め込みが不十分となり、膜中に空隙119、130を発生させることになり、配線の信頼性を悪化させるおそれがあった。
M.Fukasawa, S.Lane, M.Angyal, K.Chanda, F.Chen, C.Christiansen, J.Fitzsimmons, J.Gill, K.Ida, K.Inoue, K.Kumar, B.Li, P.McLaughlin, I.Melville, M.Minami, S.Nguyen, C.Penny, A.Sakamoto, Y.Shimooka, M.Ono, D.McHerron, T.Nogami and T.Ivers著 「BEOL Process Integration with Cu/SiOH(k=2.8) Low-k Interconnects at 65nm Groundrules」2005年IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers) IITC(International Interconnect Technology Conference)
請求項1に係る本発明の一実施の形態例(第1実施例)を、図1〜図5の製造工程断面図によって説明する。
図1(1)に示すように、図示しない基板に堆積された下地絶縁膜10上に、第1絶縁膜11を形成した後に第1絶縁膜11に対して選択的にエッチング可能な犠牲膜12を形成する。上記第1絶縁膜11と上記犠牲膜12とは、上記犠牲膜12をエッチングした際の第1絶縁膜11に対するのエッチング選択比〔(犠牲膜のエッチング速度)/(第1絶縁膜のエッチング速度)〕が例えば10以上であることが好ましい。例えば、上記第1絶縁膜11を有機系の絶縁膜で形成し、犠牲膜12を無機系の絶縁膜で形成する。
上記有機系の絶縁膜としては、例えばポリアリールエーテル膜(比誘電率:2.5程度)を用いることができる。このポリアリールエーテル膜は、前駆体をスピンコート法により堆積した後、350℃〜450℃のキュア処理を行って形成することができる。
一方、無機系の絶縁膜としては、例えば炭化酸化シリコン(SiOC)膜を用いることができる。このSiOC膜の成膜方法は、一例として、平行平板型プラズマCVD装置を用い、シリコン源としてメチルシランを用いる。また成膜条件としては基板温度を300℃〜400℃に設定し、プラズマパワーを150W〜350W、成膜雰囲気の圧力を100Pa〜1000Pa程度に設定する。
このように、第1絶縁膜11を有機系の絶縁膜、犠牲膜を無機系の絶縁膜とすることで、エッチング選択比は100程度もしくはそれ以上となる。また、第1絶縁膜11と犠牲膜12は、第1絶縁膜11に対して犠牲膜12が選択的にエッチング可能な膜であれば、共に有機系の絶縁膜であっても、無機系の絶縁膜であってもよい。
次いで、上記犠牲膜12上に配線溝を形成するためのレジストパターン(図示せず)を形成した後、異方性加工(例えば反応性イオンエッチング:RIE)によって犠牲膜12と第1絶縁膜11に凹部(第1配線溝)13を形成する。この第1配線溝13がシングルダマシン開口部となる。
次に、図1(2)に示すように、第1配線溝13内部を含む犠牲膜12表面にバリア膜14と銅シード膜(図示せず)を形成する。バリア膜はスパッタ法によりタンタル(Ta)膜もしくはタンタル窒化膜(TaN)で形成する。また銅シード膜はスパッタ法により銅で形成される。次いで、第1配線溝13を埋め込むように犠牲膜12上に導電体膜15を形成する。この導電体膜15は、めっき法によって銅で形成される。
次に、図1(3)に示すように、化学機械研磨(CMP)法により、導電体膜15、バリア膜14等の不要部分を除去する。この結果、第1配線溝13内部にバリア膜14を介して導電体膜15(銅シード膜も含む)からなる導電体(第1配線)16が形成される。
次に、図1(4)に示すように、犠牲膜12〔前記図1の(3)参照〕を第1絶縁膜11に対して選択的にエッチングして除去する。このエッチングは、一例としてフロロカーボン系のガス、例えば、四フッ化メタン(CF4)、オクタフルオロシクロペンテン(C5F8)をエッチングガスに用いて行う。また誘電率を低下させるダメージを受けている犠牲膜12を剥離除去する際は、下地の第1絶縁膜11にエッチングダメージを与えないように、基盤バイアスを抑え(例えば、600V〜900V程度の基盤バイアスとする。)、かつ、堆積(Depo)性の高いジフルオロメタン(CH2F2)ガスを例えば四フッ化メタン(CF4)などのメインガスに対して10%程度の流量で添加する。一例としてガスとその流量比は四フッ化メタン(CF4):アルゴン(Ar):酸素(O2):ジフルオロメタン(CH2F2)を24:80:1:3とする。これにより第1絶縁膜11に対する選択エッチング性を確保しつつ、堆積物による保護膜によって、イオンアタックによるダメージを抑えることが可能となる。上記誘電率を低下させるダメージ(以下単にダメージという)には、例えばエッチング時のプラズマによるダメージがある。
次に、図1(5)に示すように、犠牲膜12〔前記図1の(3)参照〕の除去領域17を埋め込むように第1絶縁膜11上に第2絶縁膜18を形成する。この第2絶縁膜18には、例えば、炭化酸化シリコン(SiOC)膜を用い、例えばCVD法により成膜する。
次に、図1(6)に示すように、化学機械研磨(CMP)により、第1配線16表面が露出するように、第2絶縁膜18の不要部分を除去する。これにより、第2絶縁膜18表面および第1配線16表面が平坦な面に形成される。この平坦化プロセスにエッチバック技術を用いずにCMPを用いたことにより、第2絶縁膜18はダメージを受けることなく表面が平坦化される。
次に、図2(7)に示すように、第1配線16表面を被覆するように上記第2絶縁膜18上に、銅の拡散を防止するとともに銅の酸化を防止する拡散防止膜19を形成する。この拡散防止膜19は銅の拡散を防止するとともに銅の酸化を防止することが可能な絶縁膜で形成される。このような絶縁膜として、例えば炭化シリコン(SiC)膜、窒化シリコン(SiN)膜等がある。ここでは、比較的低誘電率な炭化シリコン膜(誘電率=3.8程度)を用いた。
次に、上層配線の形成技術を説明する。ここでは一例として、デュアルダマシン構造の製造方法で説明する。図2(8)に示すように、上記拡散防止膜19上にビア層の絶縁膜として第3絶縁膜21を形成し、次いで配線層の絶縁膜として第4絶縁膜22、犠牲膜23を順に積層して形成し、さらに有機犠牲膜24を形成する。上記第3絶縁膜21、犠牲膜23は、例えば無機系の絶縁膜で形成され、上記第4絶縁膜22、有機犠牲膜24は有機系の絶縁膜で形成される。
上記有機系の絶縁膜としては、例えばポリアリールエーテル膜(比誘電率:2.5程度)を用いることができる。このポリアリールエーテル膜は、前駆体をスピンコート法により堆積した後、350℃〜450℃のキュア処理を行って形成することができる。
一方、無機系の絶縁膜としては、例えば炭化酸化シリコン(SiOC)膜を用いることができる。このSiOC膜の成膜方法は、一例として、平行平板型プラズマCVD装置を用い、シリコン源としてメチルシランを用いる。また成膜条件としては基板温度を300℃〜400℃に設定し、プラズマパワーを150W〜350W、成膜雰囲気の圧力を100Pa〜1000Pa程度に設定する。
このように、第4絶縁膜22および有機犠牲膜24を有機系の絶縁膜、第3絶縁膜21および犠牲膜23を無機系の絶縁膜とすることで、第3絶縁膜21および犠牲膜23に対する第4絶縁膜22および有機犠牲膜24のエッチング選択比は100程度もしくはそれ以上を得ることができる。また、第3絶縁膜21と犠牲膜23は、第3絶縁膜21に対して犠牲膜23が選択的にエッチング可能な膜であれば、共に有機系の絶縁膜であっても、無機系の絶縁膜であってもよい。
さらに、第1ハードマスク41、第2ハードマスク42を順に積層して形成する。第1ハードマスク41は、例えば窒化シリコン膜で形成され、第2ハードマスク42は酸化シリコン膜で形成される。このように、第1ハードマスク41と第2ハードマスク42とはエッチング選択性の高い材料の組み合わせを用いる。すなわち、第2ハードマスク42をエッチングマスクに用いて第1ハードマスク41をエッチングできる材料の組み合わせを選択する。
次に、図2(9)に示すように、上記第2ハードマスク42上に第2配線溝パターンを形成する際のエッチングマスクとなるレジストパターン43を形成する。そして、このレジストパターン43を用いて第2ハードマスク42をエッチング加工する。
この結果、図3(10)に示すように、第2ハードマスク42に第2配線溝パターン44が形成される。その後、上記レジストパターン43〔前記図2の(9)参照〕を除去する。
次に、図3(11)に示すように、上記第1ハードマスク41上に第2ハードマスク42を被覆するようにビアホールパターン46が形成されたレジストパターン45を形成する。上記レジストパターン45、第1ハードマスク41、第2ハードマスク42等をエッチングマスクに用いて、有機犠牲膜24、犠牲膜23、第4絶縁膜22、第3絶縁膜21をエッチング加工する。
このエッチング加工の詳細を図6および図7の製造工程断面図によって説明する。
図6(1)に示すように、レジストパターン45をエッチングマスクに用いて第1ハードマスク41をエッチング加工し、ビアホールパターン46を延長形成する。
さらに、図6(2)に示すように、第1ハードマスク41および第2ハードマスク42をエッチングマスクにして有機犠牲膜24をエッチングし、ビアホールパターン46を延長形成する。このとき、レジストパターン45もエッチングされる。このエッチングでレジストパターン45が完全にエッチングされて除去されても、第1ハードマスク41がエッチングマスクとなるので支障はない。また、上記エッチング加工においてレジストパターン45が残った場合には、レジストパターン45を除去する。
次に、図6(3)に示すように、配線溝パターンが形成された第2ハードマスク42をエッチングマスクに用いて、ドライエッチング法により、第1ハードマスク41に第2配線溝パターン44を延長形成する。その際、犠牲膜23の上層にビアホールパターン46が延長形成される。
上記第1ハードマスク41のSiN膜に第2配線溝パターン44を形成するエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置を用いて、エッチングガスとしてジフルオルメタン(CH2F2)、酸素(O2)およびアルゴン(Ar)を用い、ガス流量比(CH2F2:O2:Ar)を2:1:5とし、バイアスパワーを100Wに設定する。このエッチング条件におけるSiO2膜に対するエッチング選択比(SiN/SiO2)は3程度得ることができる。また、このエッチング条件におけるSiOC膜に対するエッチング選択比(SiN/SiOC)は約1程度であるため、このエッチングによりSiOC膜からなる犠牲膜23へビアホールパターン46の開口は途中開口となる。
そこで、図7(4)に示すように、有機犠牲膜24をエッチングマスクに用いて、犠牲膜23にビアホールパターン46を開口する。その際、第4絶縁膜22にもビアホールパターン46が一部形成される。このエッチングでは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置を用い、エッチングガスとしてのオクタフルオロシクロペンテン(C5F8)、一酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)、酸素(O2)を用い、ガス流量比(C5F8:CO:Ar:O2)を1:10:5:1とし、バイアスパワーは1600W、基板温度は20℃に設定し、犠牲膜23に対するビアホールパターン46の完全開口を行った。
続いて、図7(5)に示すように、第2ハードマスク42〔前記図7(4)参照〕をエッチングマスクに用いて、有機犠牲膜24に第2配線溝パターン44を延長形成する。このとき、上記ビアホールパターン46は第4絶縁膜22に延長形成される。上記有機犠牲膜24への第2配線溝パターン44の延長形成は、高密度プラズマエッチング装置によるアンモニア(NH3)ガスを用いた異方性エッチングにより行う。
次に、図7(6)に示すように、第1ハードマスク41〔前記図7(5)参照〕と有機犠牲膜24をマスクとして、第3絶縁膜21、第4絶縁膜22および犠牲膜23をエッチングし、犠牲膜23および第4絶縁膜22の途中まで第2配線溝パターン44を延長形成するとともに、ビアホールパターン46を拡散防止膜19の直上まで延長形成する。
そして、図3(12)に示すように、ビアホールパターン46〔前記図7の(6)参照〕を延長形成して形成されたビアホール26底部にある拡散防止膜19をエッチングして、上記ビアホール26を第1配線16に到達させる。それとともに、上記第4絶縁膜22に第2配線溝パターン44〔前記図7の(3)参照〕を延長形成して凹部(第2配線溝)25を形成する。このエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置を用い、エッチングガスとしてのオクタフルオロシクロペンテン(C5F8)、一酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)、酸素(O2)を用い、ガス流量比(C5F8:CO:Ar:O2)を1:10:5:5とし、バイアスパワーは1600W、基板温度は20℃に設定する。このエッチングによって、有機犠牲膜24〔前記図7の(3)参照〕も除去される。
上記第4絶縁膜22に第2配線溝25を形成するエッチングと有機犠牲膜24を除去するエッチングは、通常の高密度プラズマエッチング装置を用い、エッチングガスには例えばアンモニア(NH3)を用いた。RFパワーは150W、基板温度は20℃に設定した。このエッチング条件におけるSiOC膜からなる第3絶縁膜21、犠牲膜23に対するエッチング選択比は100以上得られるため、第2配線溝25の開口は深さばらつき無く、制御性良く行うことができる。
上記ビアホール26底部にあるSiC膜からなる拡散防止膜19のエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置を用い、エッチングガスとしてジフルオルメタン(CH2F2)、酸素(O2)、アルゴン(Ar)を用い、ガス流量比(CH2F2:O2:Ar)を2:1:5とし、バイアスパワーを100Wに設定する。
このようにして、第4絶縁膜22および犠牲膜23に形成された第2配線溝25と第3絶縁膜21に形成されたビアホール26からなるデュアルダマシン開口部が形成される。
次に、図4(13)に示すように、第2配線溝25およびビアホール26の内面にバリア膜27と銅シード膜(図示せず)を形成する。このバリア膜27は、例えばスパッタリング法によりタンタル(Ta)膜を成膜して形成することができる。続いて、第2配線溝25およびビアホール26の内部を埋め込むように導電体膜28を形成する。この導電体膜28は、例えば電解めっき法もしくはスパッタリング法により銅(Cu)膜を堆積して形成される。
次に、図4(14)に示すように、堆積したバリア膜27および導電体膜28のうち、配線パターンとして不要な部分を化学機械研磨(CMP)法により除去することにより、第2配線溝25の内部にバリア膜27を介して導電体膜28からなる導電体(第2配線)29が形成されるとともに、ビアホール26の内部にバリア膜27を介して上記第1配線16と上記第2配線29とを接続するもので導電体膜28からなるビア30が形成される。このようにして、いやゆるデュアルダマシン(Dual-Damascene)構造の多層配線構造が得られる。
次に、図4(15)に示すように、犠牲膜23〔前記図4の(14)参照〕を第4絶縁膜22に対して選択的にエッチングして除去する。このエッチングは、一例として、フロロカーボン系のガス、例えば、四フッ化メタン(CF4)、オクタフルオロシクロペンテン(C5F8)をエッチングガスに用いて行う。また、第2配線溝25およびビアホール26を形成する際にダメージを受けている犠牲膜23を剥離除去する際は、下地の第4絶縁膜22にエッチングダメージを与えないように、(例えば、600V〜900V程度の基盤バイアスとする。)、かつ堆積(Depo)性の高いジフルオロメタン(CH2F2)ガスを例えばメタン(CF4)などのメインガスに対して10%程度の流量で添加する。一例としてガスとその流量比は四フッ化メタン(CF4):アルゴン(Ar):酸素(O2):ジフルオロメタン(CH2F2)を24:80:1:3とする。これにより第4絶縁膜22に対する選択エッチング性を確保しつつ、堆積物による保護膜によって、イオンアタックによるダメージを抑えることが可能となる。
次に、図5(16)に示すように、犠牲膜23〔前記図4の(14)参照〕の除去領域31を埋め込むように第4絶縁膜22上に第5絶縁膜32を形成する。この第5絶縁膜32には、例えば、炭化酸化シリコン(SiOC)膜を用い、例えばCVD法により成膜する。
次に、図5(17)に示すように、化学機械研磨(CMP)により、第2配線29表面が露出するように、第5絶縁膜32の不要部分を除去する。これにより、第5絶縁膜32表面および第2配線29表面が平坦な面に形成される。この平坦化プロセスにエッチバック技術を用いずにCMPを用いたことにより、第5絶縁膜32はダメージを受けることなく表面が平坦化される。
次に、図5(18)に示すように、第2配線29表面を被覆するように上記第5絶縁膜32上に、銅の拡散を防止するとともに銅の酸化を防止する拡散防止膜33を形成する。この拡散防止膜33は銅の拡散を防止するとともに銅の酸化を防止することが可能な絶縁膜で形成される。このような絶縁膜として、例えば炭化シリコン(SiC)膜、窒化シリコン(SiN)膜等がある。ここでは、比較的低誘電率な炭化シリコン膜(誘電率=3.8程度)を用いた。
なお、例えば、上記酸化防止層19、33は、CVD法により形成される窒化シリコン(SiN)膜としてもよく、また、炭化シリコン(SiC)膜中に窒素(N)、水素(H)、酸素(O)等の軽元素を含有した膜として用いることも可能である。
上記第2絶縁膜18、第3絶縁膜21、第5絶縁膜32、犠牲膜12、23は、例えばSiOC膜の代わりにCVD法により成膜されたSiOF膜、スピンコート法により形成されるメチルシルセスキオキサン(MSQ)膜やハイドロゲンシルセキオサン(HSQ)膜等のシリコン系低誘電率膜を用いることができる。上記第1絶縁膜11、第4絶縁膜22は、ポリアリールエーテル膜の代わりに、ポリアリレンエーテル膜、アモルファスカーボン膜、ポリテトラトラフロロエチレン膜、ベンゾシクロブテン(BCB)膜、ポリイミド膜等の誘電率が3.0以下のいわゆる低誘電率有機膜を用いることができる。また、第2絶縁膜18、第5絶縁膜32は、上記誘電率膜、無機膜の他に、キセロゲル膜、多孔質構造を有する比誘電率が2.5以下のMSQ膜や有機ポリマー等の適用することも可能であり、また上記に挙げた低誘電率膜の複数種類を組み合わせた積層膜とすることも可能である。
また、各配線を形成する前には、薬液による後処理と水素アニール処理により、各配線溝やビアホールの側壁に残留するエッチング付着物や、ビアホール26底部の銅(Cu)変質層を除去することが好ましい。
第1実施例では、第1絶縁膜11上に第1絶縁膜11に対して選択的にエッチングされる犠牲膜12を形成した後、犠牲膜12、第1絶縁膜11に形成した第1配線溝13内に第1配線16を形成することから、第1配線溝13形成時に犠牲膜12にダメージ、例えばエッチングによるダメージが生じる。しかしながら、その後、犠牲膜12を除去することから、ダメージを受けている絶縁膜は除去され、さらに犠牲膜12の除去領域17に第2絶縁膜18を埋め込むことから、第1配線16が形成される層の絶縁膜はダメージを受けない絶縁膜になる。また、ダメージを受けている犠牲膜12が完全に除去されるので、第1配線16が形成される層の絶縁膜にダメージが残らない。
しかも、第2絶縁膜18表面を平坦化するプロセスはCMPによることから、平坦化の際にもダメージを受けることはない。また、犠牲膜12の除去時には第1絶縁膜11がエッチングストッパとなるので、第1絶縁膜11が不必要に掘り込まれることがない。したがって、第2絶縁膜18は膜中に空隙を発生すること無く成膜される。
第2配線29が形成される絶縁膜についても第1配線16と同様に、第2配線溝25、ビアホール26を形成する際にダメージを受けた犠牲膜23を除去して、その除去領域31にダメージを受けていない第5絶縁膜32を形成することから、第2配線29が形成される層の絶縁膜はダメージを受けない絶縁膜になる。しかも、第5絶縁膜32表面を平坦化するプロセスはCMPによることから、平坦化の際にもダメージを受けることはない。また、犠牲膜23の除去時には第4絶縁膜22がエッチングストッパとなるので、第4絶縁膜22が不必要に掘り込まれることがない。したがって、第5絶縁膜32は膜中に空隙を発生すること無く成膜される。
よって、ダメージを受けている犠牲膜12、23が完全に除去されて、犠牲膜12、23の除去領域17、31にダメージを受けていない第2絶縁膜18、第5絶縁膜32が形成されるため、配線間の絶縁膜容量の低減が可能となる。また、犠牲膜12、23のみを除去できるため、ダメージの入る深さをカバーできる厚みに犠牲膜12、23を形成することで、犠牲膜12、23の厚さを最小限にすることができるので、犠牲膜12、23を除去した除去領域17、31の深さが深くならずにすむ。要するに、誘電率を低下させるダメージを受けた絶縁膜の除去量を適正化して、最小限の除去量ですむようにしている。このため、第2絶縁膜18、第5絶縁膜32を成膜する際に膜内部に空隙が生じることがなくなるので、配線信頼性の向上が図れる。
次に、請求項3に係る本発明の一実施の形態例(第2実施例)を、図8〜図12の製造工程断面図によって説明する。なお、第1実施例と同様な構成部品には同一符号を付与して説明する。
図8(1)に示すように、図示しない基板に堆積された下地絶縁膜10上に、第1絶縁膜11を形成した後に第1絶縁膜11に対して選択的にエッチング可能な犠牲膜12を形成する。上記第1絶縁膜11と上記犠牲膜12とは、上記犠牲膜12をエッチングした際の第1絶縁膜11に対するのエッチング選択比〔(犠牲膜のエッチング速度)/(第1絶縁膜のエッチング速度)〕が例えば10以上であることが好ましい。例えば、上記第1絶縁膜11を有機系の絶縁膜で形成し、犠牲膜12を無機系の絶縁膜で形成する。
上記有機系の絶縁膜としては、例えばポリアリールエーテル膜(比誘電率:2.5程度)を用いることができる。このポリアリールエーテル膜は、前駆体をスピンコート法により堆積した後、350℃〜450℃のキュア処理を行って形成することができる。
一方、無機系の絶縁膜としては、例えば炭化酸化シリコン(SiOC)膜を用いることができる。このSiOC膜の成膜方法は、一例として、平行平板型プラズマCVD装置を用い、シリコン源としてメチルシランを用いる。また成膜条件としては基板温度を300℃〜400℃に設定し、プラズマパワーを150W〜350W、成膜雰囲気の圧力を100Pa〜1000Pa程度に設定する。
このように、第1絶縁膜11を有機系の絶縁膜、犠牲膜を無機系の絶縁膜とすることで、エッチング選択比は100程度もしくはそれ以上となる。また、第1絶縁膜11と犠牲膜12は、第1絶縁膜11に対して犠牲膜12が選択的にエッチング可能な膜であれば、共に有機系の絶縁膜であっても、無機系の絶縁膜であってもよい。
次いで、上記犠牲膜12上に配線溝を形成するためのレジストパターン(図示せず)を形成した後、異方性加工(例えば反応性イオンエッチング:RIE)によって犠牲膜12と第1絶縁膜11に凹部(第1配線溝)13を形成する。この第1配線溝13がシングルダマシン開口部となる。
次に、図8(2)に示すように、第1配線溝13内部を含む犠牲膜12表面にバリア膜14と銅シード膜(図示せず)を形成する。バリア膜はスパッタ法によりタンタル(Ta)膜もしくはタンタル窒化膜(TaN)で形成する。また銅シード膜はスパッタ法により銅で形成される。次いで、第1配線溝13を埋め込むように犠牲膜12上に導電体膜15を形成する。この導電体膜15は、めっき法によって銅で形成される。
次に、図8(3)に示すように、化学機械研磨(CMP)法により、導電体膜15、バリア膜14等の不要部分を除去する。この結果、第1配線溝13内部にバリア膜14を介して導電体膜15(銅シード膜も含む)からなる導電体(第1配線)16が形成される。
次に、図8(4)に示すように、第1配線16表面のみに、銅の拡散を防止するとともに銅の酸化を防止する拡散防止膜20を形成する。この拡散防止膜20は、無電解めっき法にて、コバルトタングステンリン(CoWP)、もしくはコバルトタングステンホウ素(CoWB)などの金属層を銅の第1配線16表面上に自己整合的に成長させて形成される。
次に、図8(5)に示すように、犠牲膜12〔前記図1の(3)参照〕を第1絶縁膜11に対して選択的にエッチングして除去する。このエッチングは、一例として、フロロカーボン系のガス、例えば、四フッ化メタン(CF4)、オクタフルオロシクロペンテン(C5F8)をエッチングガスに用いて行う。また誘電率を低下させるダメージを受けている犠牲膜12を剥離除去する際は、下地の第1絶縁膜11にエッチングダメージを与えないように、基盤バイアスを抑え(例えば、600V〜900V程度の基盤バイアスとする。)、かつ、堆積(Depo)性の高いジフルオロメタン(CH2F2)ガスを例えば四フッ化メタン(CF4)などのメインガスに対して10%程度の流量で添加する。一例としてガスとその流量比は四フッ化メタン(CF4):アルゴン(Ar):酸素(O2):ジフルオロメタン(CH2F2)を24:80:1:3とする。これにより第1絶縁膜11に対する選択エッチング性を確保しつつ、堆積物による保護膜によってイオンアタックによるダメージを抑えることが可能となる。
次に、図8(6)に示すように、犠牲膜12〔前記図1の(3)参照〕の除去領域17を埋め込むように第1絶縁膜11上に第2絶縁膜18を形成する。この第2絶縁膜18には、例えば、炭化酸化シリコン(SiOC)膜を用い、例えばCVD法により成膜する。
次に、図8(7)に示すように、化学機械研磨(CMP)により、拡散防止膜20表面が露出するように、第2絶縁膜18の不要部分を除去する。これにより、第2絶縁膜18表面および拡散防止膜20表面が平坦な面に形成される。この平坦化プロセスにエッチバック技術を用いずにCMPを用いたことにより、第2絶縁膜18はダメージを受けることなく表面が平坦化される。
次に、上層配線の形成技術を説明する。ここでは一例として、デュアルダマシン構造の製造方法で説明する。図9(8)に示すように、上記拡散防止膜20を被覆するように第2絶縁膜18上に、ビア層の絶縁膜として第3絶縁膜21を形成し、次いで配線層の絶縁膜として第4絶縁膜22、犠牲膜23を順に積層して形成し、さらに有機犠牲膜24を形成する。上記第3絶縁膜21、犠牲膜23は、例えば無機系の絶縁膜で形成され、上記第4絶縁膜22、有機犠牲膜24は有機系の絶縁膜で形成される。
上記有機系の絶縁膜としては、例えばポリアリールエーテル膜(比誘電率:2.5程度)を用いることができる。このポリアリールエーテル膜は、前駆体をスピンコート法により堆積した後、350℃〜450℃のキュア処理を行って形成することができる。
一方、無機系の絶縁膜としては、例えば炭化酸化シリコン(SiOC)膜を用いることができる。このSiOC膜の成膜方法は、一例として、平行平板型プラズマCVD装置を用い、シリコン源としてメチルシランを用いる。また成膜条件としては基板温度を300℃〜400℃に設定し、プラズマパワーを150W〜350W、成膜雰囲気の圧力を100Pa〜1000Pa程度に設定する。
このように、第4絶縁膜22および有機犠牲膜24を有機系の絶縁膜、第3絶縁膜21および犠牲膜23を無機系の絶縁膜とすることで、第3絶縁膜21および犠牲膜23に対する第4絶縁膜22および有機犠牲膜24のエッチング選択比は100程度もしくはそれ以上を得ることができる。また、第3絶縁膜21と犠牲膜23は、第3絶縁膜21に対して犠牲膜23が選択的にエッチング可能な膜であれば、共に有機系の絶縁膜であっても、無機系の絶縁膜であってもよい。
さらに、第1ハードマスク41、第2ハードマスク42を順に積層して形成する。第1ハードマスク41は、例えば窒化シリコン膜で形成され、第2ハードマスク42は酸化シリコン膜で形成される。このように、第1ハードマスク41と第2ハードマスク42とはエッチング選択性の高い材料の組み合わせを用いる。すなわち、第2ハードマスク42をエッチングマスクに用いて第1ハードマスク41をエッチングできる材料の組み合わせを選択する。
次に、図9(9)に示すように、上記第2ハードマスク42上に第2配線溝パターンを形成する際のエッチングマスクとなるレジストパターン43を形成する。そして、このレジストパターン43を用いて第2ハードマスク42をエッチング加工する。
この結果、図9(10)に示すように、第2ハードマスク42に第2配線溝パターン44が形成される。その後、上記レジストパターン43〔前記図9の(9)参照〕を除去する。
次に、図10(11)に示すように、上記第1ハードマスク41上に第2ハードマスク42を被覆するようにビアホールパターン46が形成されたレジストパターン45を形成する。上記レジストパターン45、第1ハードマスク41、第2ハードマスク42等をエッチングマスクに用いて、有機犠牲膜24、犠牲膜23、第4絶縁膜22、第3絶縁膜21をエッチング加工する。
このエッチング加工の詳細を前記図6および図7の製造工程断面図によって説明したプロセスと同様となる。
そして、図10(12)に示すように、ビアホールパターン46〔前記図7の(6)参照〕を延長形成して形成されたビアホール26底部にある拡散防止膜20をエッチングして、上記ビアホール26を第1配線16に到達させる。それとともに、上記第4絶縁膜22に第2配線溝パターン44〔前記図7の(3)参照〕を延長形成して凹部(第2配線溝)25を形成する。このエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置を用い、エッチングガスとしてのオクタフルオロシクロペンテン(C5F8)、一酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)、酸素(O2)を用い、ガス流量比(C5F8:CO:Ar:O2)を1:10:5:5とし、バイアスパワーは1600W、基板温度は20℃に設定する。このエッチングによって、有機犠牲膜24〔前記図7の(3)参照〕も除去される。
上記第4絶縁膜22に第2配線溝25を形成するエッチングと有機犠牲膜24を除去するエッチングは、通常の高密度プラズマエッチング装置を用い、エッチングガスには例えばアンモニア(NH3)を用いた。RFパワーは150W、基板温度は20℃に設定した。このエッチング条件におけるSiOC膜からなる第3絶縁膜21、犠牲膜23に対するエッチング選択比は100以上得られるため、第2配線溝25の開口は深さばらつき無く、制御性良く行うことができる。
上記ビアホール26底部にある拡散防止膜20のエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置を用い、エッチングガスとしてジフルオロメタン(CH2F2)、四フッ化メタン(CF4)、酸素(O2)、アルゴン(Ar)を用い、ガス流量比(CH2F2:CF4:O2:Ar)を1:1:1:10とし、バイアスパワーを100Wに設定する。
このようにして、第4絶縁膜22および犠牲膜23に形成された第2配線溝25と第3絶縁膜21に形成されたビアホール26からなるデュアルダマシン開口部が形成される。
次に、図10(13)に示すように、第2配線溝25およびビアホール26の内面にバリア膜27と銅シード膜(図示せず)を形成する。このバリア膜27は、例えばスパッタリング法によりタンタル(Ta)膜を成膜して形成することができる。続いて、第2配線溝25およびビアホール26の内部を埋め込むように導電体膜28を形成する。この導電体膜28は、例えば電解めっき法もしくはスパッタリング法により銅(Cu)膜を堆積して形成される。
次に、図11(14)に示すように、堆積したバリア膜27および導電体膜28のうち、配線パターンとして不要な部分を化学機械研磨(CMP)法により除去することにより、第2配線溝25の内部にバリア膜27を介して導電体膜28からなる導電体(第2配線)29が形成されるとともに、ビアホール26の内部にバリア膜27を介して上記第1配線16と上記第2配線29とを接続するもので導電体膜28からなるビア30が形成される。このようにして、いやゆるデュアルダマシン(Dual-Damascene)構造の多層配線構造が得られる。
次に、図11(15)に示すように、第2配線29表面のみに、銅の拡散を防止するとともに銅の酸化を防止する拡散防止膜34を形成する。この拡散防止膜34は、無電解めっき法にて、コバルトタングステンリン(CoWP)、もしくはコバルトタングステンホウ素(CoWB)などの金属層を銅の第2配線29表面上に自己整合的に成長させて形成される。
次に、図11(16)に示すように、犠牲膜23〔前記図4の(14)参照〕を第4絶縁膜22に対して選択的にエッチングして除去する。このエッチングは、一例として、フロロカーボン系のガス、例えば、四フッ化メタン(CF4)、オクタフルオロシクロペンテン(C5F8)をエッチングガスに用いて行う。また、第2配線溝25およびビアホール26を形成する際にダメージを受けている犠牲膜23を剥離除去する際は、下地の第4絶縁膜22にエッチングダメージを与えないように、基盤バイアスを抑え(例えば、600V〜900V程度の基盤バイアスとする。)、かつ、堆積(Depo)性の高いジフルオルメタン(CH2F2)ガスを例えば四フッ化メタン(CF4)などのメインガスに対して10%程度の流量で添加する。一例としてガスとその流量比は四フッ化メタン(CF4):アルゴン(Ar):酸素(O2):ジフルオロメタン(CH2F2)を24:80:1:3とする。これにより第4絶縁膜22に対する選択エッチング性を確保しつつ、堆積物による保護膜によって、イオンアタックによるダメージを抑えることが可能となる。
次に、図12(17)に示すように、犠牲膜23〔前記図4の(14)参照〕の除去領域31を埋め込むように第4絶縁膜22上に第5絶縁膜32を形成する。この第5絶縁膜32には、例えば、炭化酸化シリコン(SiOC)膜を用い、例えばCVD法により成膜する。
次に、図12(18)に示すように、化学機械研磨(CMP)により、拡散防止膜34表面が露出するように、第5絶縁膜32の不要部分を除去する。これにより、拡散防止膜34表面に合わせて第5絶縁膜32表面が平坦な面に形成される。この平坦化プロセスにエッチバック技術を用いずにCMPを用いたことにより、第5絶縁膜32はダメージを受けることなく表面が平坦化される。また、拡散防止膜34が研磨ストッパとなるので、研磨制御性がよい。
なお、上記拡散防止膜20、34は、コバルトタングステンリン(CoWP)やコバルトタングステンホウ素(CoWB)以外にも化学気相成長(CVD)法による選択タングステン(W)を適用することも可能である。
例えば、上記第2絶縁膜18、第3絶縁膜21、第5絶縁膜32、犠牲膜12、23は、SiOC膜の代わりにCVD法により成膜されたSiOF膜、スピンコート法により形成されるメチルシルセスキオキサン(MSQ)膜やハイドロゲンシルセキオサン(HSQ)膜等のシリコン系低誘電率膜を用いることができる。上記第1絶縁膜11、第4絶縁膜22は、ポリアリールエーテル膜の代わりに、ポリアリレンエーテル膜、アモルファスカーボン膜、ポリテトラトラフロロエチレン膜、ベンゾシクロブテン(BCB)膜、ポリイミド膜等の誘電率が3.0以下のいわゆる低誘電率有機膜を用いることができる。また、第2絶縁膜18、第5絶縁膜32は、上記誘電率膜、無機膜の他に、キセロゲル膜、多孔質構造を有する比誘電率が2.5以下のMSQ膜や有機ポリマー等の適用することも可能であり、また上記に挙げた低誘電率膜の複数種類を組み合わせた積層膜とすることも可能である。
また、各配線を形成する前には、薬液による後処理と水素アニール処理により、各配線溝やビアホールの側壁に残留するエッチング付着物や、ビアホール26底部の銅(Cu)変質層を除去することが好ましい。
第2実施例では、第1絶縁膜11上に第1絶縁膜11に対して選択的にエッチングされる犠牲膜12を形成した後、犠牲膜12、第1絶縁膜11に形成した第1配線溝13内に第1配線16を形成することから、第1配線溝13形成時に犠牲膜12にダメージ、例えばエッチングによるダメージが生じる。しかしながら、その後、犠牲膜12を除去することから、ダメージを受けている絶縁膜は除去され、さらに犠牲膜12の除去領域17に第2絶縁膜18を埋め込むことから、第1配線16が形成される層の絶縁膜はダメージを受けない絶縁膜になる。また、ダメージを受けている犠牲膜12が完全に除去されるので、第1配線16が形成される層の絶縁膜にダメージが残らない。しかも、第2絶縁膜18表面を平坦化するプロセスはCMPによることから、平坦化の際にもダメージを受けることはない。また、犠牲膜12の除去時には第1絶縁膜11がエッチングストッパとなるので、第1絶縁膜11が不必要に掘り込まれることがない。したがって、第2絶縁膜18は膜中に空隙を発生すること無く成膜される。
第2配線29が形成される絶縁膜についても第1配線16と同様に、第2配線溝25、ビアホール26を形成する際にダメージを受けた犠牲膜23を除去して、その除去領域31にダメージを受けていない第5絶縁膜32を形成することから、第2配線29が形成される層の絶縁膜はダメージを受けない絶縁膜になる。しかも、第5絶縁膜32表面を平坦化するプロセスはCMPによることから、平坦化の際にもダメージを受けることはない。また、犠牲膜23の除去時には第4絶縁膜22がエッチングストッパとなるので、第4絶縁膜22が不必要に掘り込まれることがない。したがって、第5絶縁膜32は膜中に空隙を発生すること無く成膜される。
よって、ダメージを受けている犠牲膜12、23が完全に除去されて、犠牲膜12、23の除去領域17、31にダメージを受けていない第2絶縁膜18、第5絶縁膜32が形成されるため、配線間の絶縁膜容量の低減が可能となる。また、犠牲膜12、23のみを除去できるため、ダメージの入る深さをカバーできる厚みに犠牲膜12、23を形成することで、犠牲膜12、23の厚さを最小限にすることができるので、犠牲膜12、23を除去した除去領域17、31の深さが深くならずにすむ。要するに、誘電率を低下させるダメージを受けた絶縁膜の除去量を適正化して、最小限の除去量ですむようにしている。このため、第2絶縁膜18、第5絶縁膜32を成膜する際に膜内部に空隙が生じることがなくなるので、配線信頼性の向上が図れる。
また、上記拡散防止膜20、34を形成することにより、犠牲膜12、23を除去する際に、拡散防止膜20,34が第1配線18、第2配線29を保護するので、配線にエッチングダメージが入るのを防止することができる。また、エッチング時に銅からなる第1配線18、第2配線29が汚染されるのが防止できる。したがって、配線抵抗の上昇を防止するとともに、配線信頼性が確保される。さらに、上記したように、拡散防止膜20、34が第2絶縁膜18、第5絶縁膜32の研磨時の研磨ストッパになるので、絶縁膜の過剰研磨を防止することができるとともに、拡散防止膜20、34表面に合わせた平坦化が可能となる。このように、拡散防止膜20、34は形状安定に寄与するだけでなく、ストレスマイグレーション(SM)、エレクトロマイグレーション(EM)への抑制効果が期待できる。さらに、拡散防止膜20、34は、第1配線18表面、第2配線29表面のみに形成されることから、犠牲膜12、23を除去するエッチングを阻害しない。これによって、配線を保護する拡散防止膜20、34を形成した後に犠牲膜12、23のエッチングを行うことが可能になっている。
請求項5に係る本発明の一実施の形態例(第3実施例)を、図13〜図17の製造工程断面図によって説明する。この第3実施例は、前記第2実施例において、第2絶縁膜18を塗布法により形成し、第3絶縁膜21を形成しない製造方法である。以下、その詳細を説明する。なお、第1、第2実施例と同様な構成部品には同一符号を付与して説明する。
図13(1)に示すように、図示しない基板に堆積された下地絶縁膜10上に、第1絶縁膜11を形成した後に第1絶縁膜11に対して選択的にエッチング可能な犠牲膜12を形成する。上記第1絶縁膜11と上記犠牲膜12とは、上記犠牲膜12をエッチングした際の第1絶縁膜11に対するのエッチング選択比〔(犠牲膜のエッチング速度)/(第1絶縁膜のエッチング速度)〕が例えば10以上であることが好ましい。例えば、上記第1絶縁膜11を有機系の絶縁膜で形成し、犠牲膜12を無機系の絶縁膜で形成する。
上記有機系の絶縁膜としては、例えばポリアリールエーテル膜(比誘電率:2.5程度)を用いることができる。このポリアリールエーテル膜は、前駆体をスピンコート法により堆積した後、350℃〜450℃のキュア処理を行って形成することができる。
一方、無機系の絶縁膜としては、例えば炭化酸化シリコン(SiOC)膜を用いることができる。このSiOC膜の成膜方法は、一例として、平行平板型プラズマCVD装置を用い、シリコン源としてメチルシランを用いる。また成膜条件としては基板温度を300℃〜400℃に設定し、プラズマパワーを150W〜350W、成膜雰囲気の圧力を100Pa〜1000Pa程度に設定する。
このように、第1絶縁膜11を有機系の絶縁膜、犠牲膜を無機系の絶縁膜とすることで、エッチング選択比は100程度もしくはそれ以上となる。また、第1絶縁膜11と犠牲膜12は、第1絶縁膜11に対して犠牲膜12が選択的にエッチング可能な膜であれば、共に有機系の絶縁膜であっても、無機系の絶縁膜であってもよい。
次いで、上記犠牲膜12上に配線溝を形成するためのレジストパターン(図示せず)を形成した後、異方性加工(例えば反応性イオンエッチング:RIE)によって犠牲膜12と第1絶縁膜11に凹部(第1配線溝)13を形成する。この第1配線溝13がシングルダマシン開口部となる。
次に、図13(2)に示すように、第1配線溝13内部を含む犠牲膜12表面にバリア膜14と銅シード膜(図示せず)を形成する。バリア膜はスパッタ法によりタンタル(Ta)膜もしくはタンタル窒化膜(TaN)で形成する。また銅シード膜はスパッタ法により銅で形成される。次いで、第1配線溝13を埋め込むように犠牲膜12上に導電体膜15を形成する。この導電体膜15は、めっき法によって銅で形成される。
次に、図13(3)に示すように、化学機械研磨(CMP)法により、導電体膜15、バリア膜14等の不要部分を除去する。この結果、第1配線溝13内部にバリア膜14を介して導電体膜15(銅シード膜も含む)からなる導電体(第1配線)16が形成される。
次に、図13(4)に示すように、第1配線16表面のみに、銅の拡散を防止するとともに銅の酸化を防止する拡散防止膜20を形成する。この拡散防止膜20は、無電解めっき法にて、コバルトタングステンリン(CoWP)、もしくはコバルトタングステンホウ素(CoWB)などの金属層を銅の第1配線16表面上に自己整合的に成長させて形成される。
次に、図13(5)に示すように、犠牲膜12〔前記図1の(3)参照〕を第1絶縁膜11に対して選択的にエッチングして除去する。このエッチングは、一例として、フロロカーボン系のガス、例えば、四フッ化メタン(CF4)、オクタフルオロシクロペンテン(C5F8)をエッチングガスに用いて行う。また誘電率を低下させるダメージを受けている犠牲膜12を剥離除去する際は、下地の第1絶縁膜11にエッチングダメージを与えないように、基盤バイアスを抑え(例えば、600V〜900V程度の基盤バイアスとする。)、かつ、堆積(Depo)性の高いジフルオロメタン(CH2F2)ガスを例えば四フッ化メタン(CF4)などのメインガスに対して10%程度の流量で添加する。一例としてガスとその流量比は四フッ化メタン(CF4):アルゴン(Ar):酸素(O2):ジフルオロメタン(CH2F2)を24:80:1:3とする。これにより第1絶縁膜11に対する選択エッチング性を確保しつつ、堆積物による保護膜によってイオンアタックによるダメージを抑えることが可能となる。
次に、図13(6)に示すように、犠牲膜12〔前記図1の(3)参照〕の除去領域17を埋め込むように第1絶縁膜11上に第2絶縁膜18を形成する。その際、この第2絶縁膜18によって、上層のビアが形成される絶縁膜部分(前記第2実施例の第3絶縁膜21に相当する部分)も同時に形成する。したがって、拡散防止膜20上の第2絶縁膜18の膜厚はビアが形成される絶縁膜の膜厚とする。この第2絶縁膜18には、無機系絶縁膜として炭化酸化シリコン(SiOC)膜を用い、例えば塗布法により成膜する。これにより、第2絶縁膜18表面が平坦な面に形成される。したがって、この第2絶縁膜18に関しては平坦化工程を必要としない。
次に、上層配線の形成技術を説明する。ここでは一例として、デュアルダマシン構造の製造方法で説明する。図14(7)に示すように、上記第2絶縁膜18上に配線層の絶縁膜として第4絶縁膜22、犠牲膜23を順に積層して形成し、さらに有機犠牲膜24を形成する。上記犠牲膜23は、例えば無機系の絶縁膜で形成され、上記第4絶縁膜22、有機犠牲膜24は有機系の絶縁膜で形成される。
上記有機系の絶縁膜としては、例えばポリアリールエーテル膜(比誘電率:2.5程度)を用いることができる。このポリアリールエーテル膜は、前駆体をスピンコート法により堆積した後、350℃〜450℃のキュア処理を行って形成することができる。
一方、無機系の絶縁膜としては、例えば炭化酸化シリコン(SiOC)膜を用いることができる。このSiOC膜の成膜方法は、一例として、平行平板型プラズマCVD装置を用い、シリコン源としてメチルシランを用いる。また成膜条件としては基板温度を300℃〜400℃に設定し、プラズマパワーを150W〜350W、成膜雰囲気の圧力を100Pa〜1000Pa程度に設定する。
このように、第4絶縁膜22および有機犠牲膜24を有機系の絶縁膜、第2絶縁膜18および犠牲膜23を無機系の絶縁膜とすることで、第3絶縁膜21および犠牲膜23に対する第4絶縁膜22および有機犠牲膜24のエッチング選択比は100程度もしくはそれ以上を得ることができる。また、第3絶縁膜21と犠牲膜23は、第3絶縁膜21に対して犠牲膜23が選択的にエッチング可能な膜であれば、共に有機系の絶縁膜であっても、無機系の絶縁膜であってもよい。
さらに、第1ハードマスク41、第2ハードマスク42を順に積層して形成する。第1ハードマスク41は、例えば窒化シリコン膜で形成され、第2ハードマスク42は酸化シリコン膜で形成される。このように、第1ハードマスク41と第2ハードマスク42とはエッチング選択性の高い材料の組み合わせを用いる。すなわち、第2ハードマスク42をエッチングマスクに用いて第1ハードマスク41をエッチングできる材料の組み合わせを選択する。
次に、図14(8)に示すように、上記第2ハードマスク42上に第2配線溝パターンを形成する際のエッチングマスクとなるレジストパターン43を形成する。そして、このレジストパターン43を用いて第2ハードマスク42をエッチング加工する。
この結果、図15(9)に示すように、第2ハードマスク42に第2配線溝パターン44が形成される。その後、上記レジストパターン43〔前記図9の(9)参照〕を除去する。
次に、図15(10)に示すように、上記第1ハードマスク41上に第2ハードマスク42を被覆するようにビアホールパターン46が形成されたレジストパターン45を形成する。上記レジストパターン45、第1ハードマスク41、第2ハードマスク42等をエッチングマスクに用いて、有機犠牲膜24、犠牲膜23、第4絶縁膜22、第2絶縁膜18をエッチング加工する。
このエッチング加工の詳細を前記図6および図7の製造工程断面図によって説明したプロセスと同様となる。
そして、図15(11)に示すように、ビアホールパターン46〔前記図7の(6)参照〕を延長形成して形成されたビアホール26底部にある拡散防止膜20をエッチングして、上記ビアホール26を第1配線16に到達させる。それとともに、上記第4絶縁膜22に第2配線溝パターン44〔前記図7の(3)参照〕を延長形成して凹部(第2配線溝)25を形成する。このエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置を用い、エッチングガスとしてのオクタフルオロシクロペンテン(C5F8)、一酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)、酸素(O2)を用い、ガス流量比(C5F8:CO:Ar:O2)を1:10:5:5とし、バイアスパワーは1600W、基板温度は20℃に設定する。このエッチングによって、有機犠牲膜24〔前記図7の(3)参照〕も除去される。
上記第4絶縁膜22に第2配線溝25を形成するエッチングと有機犠牲膜24を除去するエッチングは、通常の高密度プラズマエッチング装置を用い、エッチングガスには例えばアンモニア(NH3)を用いた。RFパワーは150W、基板温度は20℃に設定した。このエッチング条件におけるSiOC膜からなる第2絶縁膜18、犠牲膜23に対するエッチング選択比は100以上得られるため、第2配線溝25の開口は深さばらつき無く、制御性良く行うことができる。
上記ビアホール26底部にある拡散防止膜20のエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置を用いエッチングガスとしてジフルオロメタン(CH2F2)、四フッ化メタン(CF4)、酸素(O2)、アルゴン(Ar)を用い、ガス流量比(CH2F2:CF4:O2:Ar)を1:1:1:10とし、バイアスパワーを100Wに設定する。
このようにして、第4絶縁膜22および犠牲膜23に形成された第2配線溝25と第3絶縁膜21に形成されたビアホール26からなるデュアルダマシン開口部が形成される。
次に、図16(12)に示すように、第2配線溝25およびビアホール26の内面にバリア膜27と銅シード膜(図示せず)を形成する。このバリア膜27は、例えばスパッタリング法によりタンタル(Ta)膜を成膜して形成することができる。続いて、第2配線溝25およびビアホール26の内部を埋め込むように導電体膜28を形成する。この導電体膜28は、例えば電解めっき法もしくはスパッタリング法により銅(Cu)膜を堆積して形成される。
次に、図16(13)に示すように、堆積したバリア膜27および導電体膜28のうち、配線パターンとして不要な部分を化学機械研磨(CMP)法により除去することにより、第2配線溝25の内部にバリア膜27を介して導電体膜28からなる導電体(第2配線)29が形成されるとともに、ビアホール26の内部にバリア膜27を介して上記第1配線16と上記第2配線29とを接続するもので導電体膜28からなるビア30が形成される。このようにして、いやゆるデュアルダマシン(Dual-Damascene)構造の多層配線構造が得られる。
次に、図16(14)に示すように、第2配線29表面のみに、銅の拡散を防止するとともに銅の酸化を防止する拡散防止膜34を形成する。この拡散防止膜34は、無電解めっき法にて、コバルトタングステンリン(CoWP)、もしくはコバルトタングステンホウ素(CoWB)などの金属層を銅の第2配線29表面上に自己整合的に成長させて形成される。
次に、図17(15)に示すように、犠牲膜23〔前記図4の(14)参照〕を第4絶縁膜22に対して選択的にエッチングして除去する。このエッチングは、一例として、フロロカーボン系のガス、例えば、四フッ化メタン(CF4)、オクタフルオロシクロペンテン(C5F8)をエッチングガスに用いて行う。また、第2配線溝25およびビアホール26を形成する際にダメージを受けている犠牲膜23を剥離除去する際は、下地の第4絶縁膜22にエッチングダメージを与えないように、基盤バイアスを抑え、例えば、600V〜900V程度の基盤バイアスとする。)、かつ、堆積(Depo)性の高いジフルオロメタン(CH2F2)ガスを例えば四フッ化メタン(CF4)などのメインガスに対して10%程度の流量で添加する。一例としてガスとその流量比は四フッ化メタン(CF4):アルゴン(Ar):酸素(O2):ジフルオロメタン(CH2F2)を24:80:1:3とする。これにより第4絶縁膜22に対する選択エッチング性を確保しつつ、堆積物による保護膜によって、イオンアタックによるダメージを抑えることが可能となる。
次に、図17(16)に示すように、犠牲膜23〔前記図4の(14)参照〕の除去領域31を埋め込むように第4絶縁膜22上に第5絶縁膜32を形成する。この第5絶縁膜32には、例えば、炭化酸化シリコン(SiOC)膜を用い、例えばCVD法により成膜する。
次に、化学機械研磨(CMP)により、拡散防止膜34表面が露出するように、第5絶縁膜32の不要部分を除去する。これにより、拡散防止膜34表面に合わせて第5絶縁膜32表面が平坦な面に形成される。この平坦化プロセスにエッチバック技術を用いずにCMPを用いたことにより、第5絶縁膜32はダメージを受けることなく表面が平坦化される。また、拡散防止膜34が研磨ストッパとなるので、研磨制御性がよい。
なお、上記拡散防止膜20、34は、コバルトタングステンリン(CoWP)やコバルトタングステンホウ素(CoWB)以外にも化学気相成長(CVD)法による選択タングステン(W)を適用することも可能である。
例えば、上記第2絶縁膜18、第5絶縁膜32、犠牲膜12、23は、SiOC膜の代わりにCVD法により成膜されたSiOF膜、スピンコート法により形成されるメチルシルセスキオキサン(MSQ)膜やハイドロゲンシルセキオサン(HSQ)膜等のシリコン系低誘電率膜を用いることができる。上記第1絶縁膜11、第4絶縁膜22は、ポリアリールエーテル膜の代わりに、ポリアリレンエーテル膜、アモルファスカーボン膜、ポリテトラトラフロロエチレン膜、ベンゾシクロブテン(BCB)膜、ポリイミド膜等の誘電率が3.0以下のいわゆる低誘電率有機膜を用いることができる。また、第2絶縁膜18、第5絶縁膜32は、上記誘電率膜、無機膜の他に、キセロゲル膜、多孔質構造を有する比誘電率が2.5以下のMSQ膜や有機ポリマー等の適用することも可能であり、また上記に挙げた低誘電率膜の複数種類を組み合わせた積層膜とすることも可能である。
また、各配線を形成する前には、薬液による後処理と水素アニール処理により、各配線溝やビアホールの側壁に残留するエッチング付着物や、ビアホール26底部の銅(Cu)変質層を除去することが好ましい。
第3実施例では、第1絶縁膜11上に第1絶縁膜11に対して選択的にエッチングされる犠牲膜12を形成した後、犠牲膜12、第1絶縁膜11に形成した第1配線溝13内に第1配線16を形成することから、第1配線溝13形成時に犠牲膜12にダメージ、例えばエッチングによるダメージが生じる。しかしながら、その後、犠牲膜12を除去することから、ダメージを受けている絶縁膜は除去され、さらに犠牲膜12の除去領域17に第2絶縁膜18を埋め込むことから、第1配線16が形成される層の絶縁膜はダメージを受けない絶縁膜になる。また、ダメージを受けている犠牲膜12が完全に除去されるので、第1配線16が形成される層の絶縁膜にダメージが残らない。しかも、第2絶縁膜18は、塗布法により形成されることから、その表面が平坦に形成され、ダメージを受けることはない。また、犠牲膜12の除去時には第1絶縁膜11がエッチングストッパとなるので、第1絶縁膜11が不必要に掘り込まれることがない。したがって、第2絶縁膜18は、塗布法により成膜されることもあって、その膜中に空隙を発生すること無く成膜される。
第2配線29が形成される絶縁膜についても第1配線16と同様に、第2配線溝25、ビアホール26を形成する際にダメージを受けた犠牲膜23を除去して、その除去領域31にダメージを受けていない第5絶縁膜32を形成することから、第2配線29が形成される層の絶縁膜はダメージを受けない絶縁膜になる。しかも、第5絶縁膜32表面を平坦化するプロセスはCMPによることから、平坦化の際にもダメージを受けることはない。また、犠牲膜23の除去時には第4絶縁膜22がエッチングストッパとなるので、第4絶縁膜22が不必要に掘り込まれることがない。したがって、第5絶縁膜32は膜中に空隙を発生すること無く成膜される。
よって、ダメージを受けている犠牲膜12、23が完全に除去されて、犠牲膜12、23の除去領域17、31にダメージを受けていない第2絶縁膜18、第5絶縁膜32が形成されるため、配線間の絶縁膜容量の低減が可能となる。また、犠牲膜12、23のみを除去できるため、ダメージの入る深さをカバーできる厚みに犠牲膜12、23を形成することで、犠牲膜12、23の厚さを最小限にすることができるので、犠牲膜12、23を除去した除去領域17、31の深さが深くならずにすむ。要するに、誘電率を低下させるダメージを受けた絶縁膜の除去量を適正化して、最小限の除去量ですむようにしている。このため、第2絶縁膜18、第5絶縁膜32を成膜する際に膜内部に空隙が生じることがなくなるので、配線信頼性の向上が図れる。
また、上記拡散防止膜20、34を形成することにより、犠牲膜12、23を除去する際に、拡散防止膜20,34が第1配線18、第2配線29を保護するので、配線にエッチングダメージが入るのを防止することができる。また、エッチング時に銅からなる第1配線18、第2配線29が汚染されるのが防止できる。したがって、配線抵抗の上昇を防止するとともに、配線信頼性が確保される。さらに、上記したように、拡散防止膜20、34が第2絶縁膜18、第5絶縁膜32の研磨時の研磨ストッパになるので、絶縁膜の過剰研磨を防止することができるとともに、拡散防止膜20、34表面に合わせた平坦化が可能となる。このように、拡散防止膜20、34は形状安定に寄与するだけでなく、ストレスマイグレーション(SM)、エレクトロマイグレーション(EM)への抑制効果が期待できる。さらに、拡散防止膜20、34は、第1配線18表面、第2配線29表面のみに形成されることから、犠牲膜12、23を除去するエッチングを阻害しない。これによって、配線を保護する拡散防止膜20、34を形成した後に犠牲膜12、23のエッチングを行うことが可能になっている。
また、塗布法により第2絶縁膜18を形成することから、第2絶縁膜18は表面が平坦な状態に形成される。このため、第3絶縁膜分を第2絶縁膜18で形成することが可能になり、第2実施例で実施していた第2絶縁膜18の平坦化工程(CMP工程)を省略することが可能となる。よって、プロセスの簡略化が可能となる。
上記各実施例に記載した製造条件の数値は、目的のエッチング、成膜等ができる範囲で、適宜、変更可能であり、上記数値に限定されることはない。