JP2007217685A - 耐熱性軟質樹脂組成物 - Google Patents

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治之 鈴木
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Abstract

【課題】本発明は、単独成形体又は複合成形体として、耐熱性、軟質性に優れ、ポリスチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂との熱融着性に優れた耐熱性軟質樹脂組成物を提供することを課題としている。
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)、軟質オレフィン系樹脂(B)、及びスチレン系エラストマー(C)の各成分を含み、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の合計100質量%を基準として、(A)が20〜78質量%、(B)が20〜60質量%、(C)が2〜20質量%であり、
前記軟質オレフィン系樹脂(B)が、成分(B)100質量%を基準として、非晶性オレフィン系重合体(B1)30〜100質量%、及び結晶性オレフィン系重合体(B2)0〜70質量%である。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性および軟質性に優れるとともに、ポリスチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂との熱融着性にも優れた耐熱性軟質樹脂組成物に関するものである。
建築材料や日用品、電化製品、包装材料等その他様々な分野において、ポリスチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を用いた成形品が広く使用されている。これらポリスチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂のそれぞれの長所を活かしつつ、その短所を補う目的で、ポリスチレン系樹脂と、ポリプロピレン系樹脂と、スチレン系エラストマーやエチレン系コポリマー等の相溶化剤とを混合してなる樹脂組成物が種々提案されている。例えば、特許文献1から特許文献4には、ポリスチレンとポリオレフィンに対し、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等を混合してなる樹脂組成物が挙げられている。また、特許文献5には、ポリオレフィンと、芳香族ビニル重合体と、エチレン−アクリル酸エステル共重合体やエチレン−メタクリル酸エステル共重合体等とを混合してなる樹脂組成物も挙げられている。また、特許文献6には、エチレン−アクリル酸エステル共重合体又はエチレン−メタクリル酸エステル共重合体と、ポリスチレン系樹脂と、ポリオレフィン系樹脂とを混合してなる樹脂組成物を、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂のバインダーとして用いることが提案されている。
また、建築材料や日用品、電化製品、包装材料等その他様々な分野においては、軟質塩化ビニル樹脂、半硬質塩化ビニル樹脂といった柔軟性を有する軟質樹脂を用いた成形品が広く使用されている。これら塩化ビニル系の軟質樹脂は、単独で各種成形品に使用されるだけでなく、硬質塩化ビニル樹脂等の硬質樹脂との複合成形体として使用されることも少なくない。近年、環境問題に端を発した軟質塩化ビニル樹脂や半硬質塩化ビニル樹脂から塩化ビニル樹脂以外の軟質樹脂への代替の動きの中で、ポリスチレン系又はポリオレフィン系の各種軟質樹脂が提案されている。また、これら軟質樹脂と、硬質樹脂としてのポリスチレン系又はポリプロピレン系樹脂とからなる複合成形体も提案されている。さらに、これら軟質樹脂は、ポリスチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とのバインダーとしての機能を持つことから、ポリスチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とからなる複合成形体を得るために用いることも可能である。
ポリスチレン系樹脂と複合成形可能な軟質樹脂としては、例えば、特許文献7には、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体及びスチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体より選ばれる少なくとも1つの樹脂;その1つの樹脂とポリスチレン又はポリプロピレンとの組成物;エチレン−プロピレンゴムとポリプロピレンとの組成物;スチレングラフトエチレン−プロピレンゴム;が挙げられている。また、特許文献8、特許文献9には、エラストマーとして、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体とポリスチレンとエチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−エチルアクリレート共重合体との混合物;スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体とポリスチレンとポリプロピレンとの混合物;スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体とポリスチレンとポリプロピレンと熱可塑性ポリウレタンとの混合物;が挙げられている。これらの軟質樹脂は、ポリプロピレン系樹脂とも複合成形することが可能である。
しかしながら、これら従来の軟質樹脂はポリスチレン系樹脂が主体となっているため、例えばポリプロピレン系樹脂との複合成形品で耐熱性を必要とする用途には不十分な場合がある。耐熱性に優れる樹脂組成物としては、例えば、特許文献10にはポリフェニレンエーテル系樹脂またはこれとポリスチレン系樹脂にポリオレフィン系樹脂及び特定構造のスチレン−共役ジエンブロック重合体からなる樹脂組成物が挙げられているが、これは軟質性に乏しいものである。
特公昭62−12812号公報 特開平3−157436号公報 特開平5−186660号公報 特許第3478550号公報 特公昭53−27744号公報 特開平5−125133号公報 特開平4−290745号公報 特開平10−278179号公報 特開平10−278180号公報 特開平7−165998号公報
本発明は、単独成形体又は複合成形体として、耐熱性、軟質性に優れ、ポリスチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂との熱融着性に優れた耐熱性軟質樹脂組成物を提供することを課題としている。
本願発明者は、上記課題を解決するために種々の検討を行った結果、ポリフェニレンエーテル系樹脂に特定の軟質オレフィン系樹脂及びスチレン系エラストマーを組み合わせることにより、耐熱性、軟質性に優れ、ポリスチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂との熱融着性に優れた耐熱性軟質樹脂組成物になり得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第1の本発明は、
ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)、軟質オレフィン系樹脂(B)、及びスチレン系エラストマー(C)の各成分を含み、
成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の合計100質量%を基準として、
ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)が20〜78質量%、軟質オレフィン系樹脂(B)が20〜60質量%、及びスチレン系エラストマー(C)が2〜20質量%であり、
前記軟質オレフィン系樹脂(B)が、成分(B)100質量%を基準として、
非晶性オレフィン系重合体(B1)30〜100質量%、及び
結晶性オレフィン系重合体(B2)0〜70質量%であることを特徴とする耐熱性軟質樹脂組成物に関する。
第2の本発明は、上記第1の発明において、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)が、成分(A)100質量%を基準として、ポリフェニレンエーテル樹脂(A1)99〜1質量%、及びポリスチレン系樹脂(A2)が1〜99質量%からなる変性ポリフェニレンエーテル樹脂であることを特徴とする耐熱性軟質樹脂組成物に関する。
第3の本発明は、上記第1または第2の発明において、軟質オレフィン系樹脂(B)が、成分(B)100質量%を基準として、非晶性プロピレン系重合体(B3)30〜100質量%、及び結晶性プロピレン系重合体(B4)0〜70質量%からなる軟質プロピレン系樹脂であることを特徴とする耐熱性軟質樹脂組成物に関する。
第4の本発明は、上記第2または第3の発明において、前記ポリスチレン系樹脂(A2)が、耐衝撃性ポリスチレンであることを特徴とする耐熱性軟質樹脂組成物に関する。
本発明の耐熱性軟質樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂と特定の構造を有する軟質オレフィン系樹脂及びスチレン系エラストマーを組み合わせることにより、耐熱性、軟質性に優れ、ポリスチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂との熱融着性に優れる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の耐熱性軟質樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)、軟質オレフィン系樹脂(B)、及びスチレン系エラストマー(C)の各成分を含む。
ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)
本発明において使用されるポリフェニレンエーテル系樹脂(A)としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレンエーテル、ポリ(2,6−ジクロロメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジブロモメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジトリル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジベンジル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、その他公知のポリフェニレンエーテル系樹脂が挙げられる。これらの中でも特に好ましい樹脂は、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルである。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)としては、アルキル3置換フェノール、例えば2,3,6−トリメチルフェノールを一部含有する共重合体や、スチレン系化合物がグラフトした共重合体なども使用できる。
更にポリフェニレンエーテル系樹脂(A)は、変性剤により変性されて極性基を有していてもよい。上記極性基としては、例えば、酸ハライド基、カルボニル基、酸無水物基、酸アミド基、カルボン酸エステル基、酸アジド基、スルフォン基、ニトリル基、シアノ基、イソシアン酸エステル、アミノ基、イミド基、水酸基、エポキシ基、オキサゾリニル基、チオール基などが挙げられる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)は流動性を改良するために、ポリフェニレンエーテル樹脂(A1)にポリスチレン系樹脂(A2)を配合した変性ポリフェニレンエーテル樹脂を用いることが好ましく、ポリフェニレンエーテル樹脂(A1)含有量が、成分(A)100質量%を基準として、99〜1質量%、好ましくは90〜30質量%の範囲であり、ポリスチレン系樹脂(A2)の含有量が、成分(A)100質量%を基準として、1〜99質量%、好ましくは10〜70質量%の範囲である。ポリフェニレンエーテル樹脂(A1)の含有量が上記範囲の下限値以上であり、並びに、ポリスチレン系樹脂(A2)の含有量が上記範囲の上限値以下である場合には、本発明の樹脂組成物の耐熱性が向上できる傾向にあり、また、ポリフェニレンエーテル樹脂(A1)の含有量が上記範囲の上限値以下であり、並びに、ポリスチレン系樹脂(A2)の含有量が上記範囲の下限値以上で
ある場合には、本発明の樹脂組成物の流動性及び成形加工性が向上できる傾向にある。
本発明において使用されるポリスチレン系樹脂(A2)とは、ビニル芳香族単量体単位を主体とした重合体1種又は2種以上からなるものである。ただし、ポリスチレン系樹脂(A2)は、後述するスチレン系エラストマー(C)を含まない。上記ポリスチレン系樹脂(A2)としては、例えば、ポリスチレン(GPPS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS)、スチレン−アクリル酸共重合体(SAc)、スチレン−メタクリル酸共重合体(SMAc)、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(MS)、スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMAH)、あるいは、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−非共役ジエン−スチレン共重合体(AES)、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)等のゴム変性スチレン系樹脂を使用できる。これらの中でも、加工性や軟質オレフィン系樹脂(B)の分散性の観点から、ゴム変性スチレン系樹脂が好ましく、特に耐衝撃性ポリスチレンが好ましい。これらのポリスチレン系樹脂(A2)は2種以上を併用することもできる。
ポリスチレン系樹脂(A2)が耐衝撃性ポリスチレン等のゴム変性スチレン系樹脂である場合には、通常、主としてビニル芳香族単量体単位を主体とした重合体からなる硬質成分のマトリックス中に、重合時にビニル芳香族単量体単位を主体とした重合体を内包し架橋したゴムから形成される分散粒子成分が存在しているものを指す。
本発明に係るポリフェニレンエーテル系樹脂(A)が、ポリフェニレンエーテル樹脂(A1)とポリスチレン系樹脂(A2)とを含む場合において、本発明の耐熱性軟質樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル樹脂(A1)とポリスチレン系樹脂(A2)とを含むポリフェニレンエーテル系樹脂(A)を用いて調製されてもよく、また、ポリフェニレンエーテル樹脂(A1)とポリスチレン系樹脂(A2)とがそれぞれ独立して添加されて調製され、耐熱性軟質樹脂組成物中にポリフェニレンエーテル樹脂(A1)とポリスチレン系樹脂(A2)とが含有されるようになってもよい。
軟質オレフィン系樹脂(B)
本発明において使用される軟質オレフィン系樹脂(B)は、非晶性オレフィン系重合体(B1)、および結晶性オレフィン系重合体(B2)から形成されており、非晶性オレフィン系重合体(B1)の含有量が、成分(B)100質量%を基準として、30〜100質量%、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、結晶性オレフィン系重合体(B2)の含有量が、成分(B)100質量%を基準として、0〜70質量%、好ましくは10〜50質量%の範囲である。
非晶性オレフィン系重合体(B1)の含有量が上記範囲の下限値以上であり、並びに、結晶性オレフィン系重合体(B2)の含有量が上記範囲の上限値以下である場合には、本発明の樹脂組成物の軟質性が向上できる傾向にあり、また、ポリスチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂との熱融着性が向上できる傾向にある。
本発明で非晶性オレフィン系重合体(B1)とは、オレフィン単量体単位を含有する重合体であって、示差走査熱量測定(DSC)における−100〜200℃での結晶融解ピーク熱量が10J/g以下の重合体であり、より好ましくは上記範囲で結晶融解ピークが観測されない重合体である。この結晶融解ピーク熱量については、示差走査熱量計、例えばセイコー電子工業社製DSC220Cを用い、以下の条件で測定して求められる。試料約10mgを室温から30℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、昇温完了後5分間保持する。次いで、200℃から10℃/分の降温速度で−100℃まで降温し、降温完了後5分間保持する。次いで、−100℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し
、その際に観察されるピーク面積から結晶融解ピーク熱量を求める。
ここでいう非晶性オレフィン系重合体(B1)とは、α−オレフィン単量体単位を主体とする重合体である。このα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等が例示される。これらα−オレフィンの中でも、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましく、プロピレンが特に好ましい。これらα−オレフィンは2種以上併用してもよい。
非晶性オレフィン系重合体(B1)は、α−オレフィン以外の単量体単位を含有していてもよい。そのような単量体単位を構成する単量体としては、例えば、エチレン、ポリエン化合物、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物等が挙げられる。
非晶性オレフィン系重合体(B1)の好ましい具体例としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン以外のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体、プロピレン以外のα−オレフィンとプロピレンとエチレンとの共重合体等が挙げられ、このうち、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体がより好ましい。本発明に係る非晶性オレフィン系重合体(B1)としては、これらの中でも、非晶性プロピレン系重合体(B3)が好ましく、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体から選ばれる非晶性プロピレン系共重合体(B3)が特に好ましい。これら非晶性オレフィン系共重合体(B1)は2種以上併用してもよい。
本発明で結晶性オレフィン系重合体(B2)とは、オレフィン単量体単位を含有する重合体であって、示差走査熱量測定(DSC)における−100〜200℃での結晶融解ピーク熱量が10J/gよりも大きい重合体であり、上記結晶融解ピーク熱量が、好ましくは30J/g以上、より好ましくは60J/g以上である、重合体である。
上記結晶性オレフィン系重合体(B2)には、オレフィン単量体単位が含まれており、オレフィン単量体の単独重合体、あるいは共重合体である。このオレフィン単量体としては、例えば、エチレン、α−オレフィンが挙げられる。α−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。これらα−オレフィンは2種以上併用してもよい。これら結晶性オレフィン系重合体(B2)としては、プロピレン単独重合体、プロピレン以外のオレフィンとプロピレンとの共重合体が好ましく、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体から選ばれる結晶性プロピレン系重合体(B4)がより好ましい。上記結晶性オレフィン系重合体(B2)としては、2種以上の重合体を併用してもよく、単独重合体と共重合体とを併用してもよい。
軟質オレフィン系樹脂(B)のメルトフローレート(温度230℃、荷重21.2N)
は、好ましくは0.5〜50g/10分の範囲であり、さらに好ましくは2〜30g/10分の範囲である。メルトフローレートが上記範囲の下限値以上である場合には、軟質オレフィン系樹脂(B)の分散性が良好に維持でき、その分散径が大きくならない傾向にある。また、メルトフローレートが上記範囲の上限値以下である場合には、本発明の樹脂組成物表面への低分子量成分のブリードアウトを抑制できる傾向にある。
スチレン系エラストマー(C)
本発明において使用されるスチレン系エラストマー(C)は、芳香族ビニル単量体と、共役ジエン単量体と、必要に応じてエチレンまたはα−オレフィンとを含む単量体組成物
の共重合体および/またはその水素添加物である。
本発明に係るスチレン系エラストマー(C)としては、具体的には、例えば、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水素添加物や、芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体及び/又はその水素添加物、芳香族ビニル−共役ジエン交互共重合体及び/又はその水素添加物等が挙げられる。
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体としては、芳香族ビニル重合体ブロックDと共役ジエン重合体ブロックEからなり、ブロック構造が(D−E)n−D型もしくは(D−E)n型(nは1〜10の整数)であるものが好ましい。
スチレン系エラストマー(C)中の芳香族ビニル単量体単位の含有量は、成分(C)100質量%を基準として、30〜80質量%が好ましい。芳香族ビニル単量体単位の含有量が上記範囲の下限値以上である場合には、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)との親和性が優れる傾向にある。また、芳香族ビニル単量体単位の含有量が上記範囲の上限値以下である場合には、軟質オレフィン系樹脂(B)との親和性に優れる傾向にある。
スチレン系エラストマー(C)に用いられる芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、N,N
−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。これら芳香族ビニル単量体は2種以上を併用することもできる。
スチレン系エラストマー(C)に用いられる共役ジエン単量体としては、例えば、1,
3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジ
エン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等が挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエン
、イソプレンが好ましい。これら共役ジエン単量体は2種以上を併用することもできる。
上記スチレン系エラストマー(C)は、酸無水物基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基などから選ばれた少なくとも1種の官能基を含有していてもよい。また上記スチレン系エラストマー(C)は、変性共重合体と未変性共重合体との混合物であってもよい。
スチレン系エラストマー(C)において、そのエラストマーに含まれる共役ジエン単量体単位は水素添加されていてもよいが、共役ジエン単量体単位中の不飽和結合の水素添加率は、成分(C)中の共役ジエン単量体単位100モル%を基準として、50モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上が特に好ましい。水素添加率が上記範囲の下限値以上である場合には、例えば成形する際に、押出機内での滞留やリサイクル時の熱履歴などにより、未溶融の架橋ゲルの発生を防止できる傾向にある。
耐熱性軟質樹脂組成物
本発明の耐熱性軟質樹脂組成物において、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)の含有量は、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の合計100質量%を基準として、20〜78質量%であり、好ましくは30〜60質量%である。ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)の含有量が上記範囲の下限値以上である場合には、本発明の樹脂組成物の耐熱性、成形加工性を向上する傾向にある。また、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)の含有量が上記範囲の上限値以下である場合には、本発明の樹脂組成物の軟質性が向上できる傾向にある。
本発明の耐熱性軟質樹脂組成物において、軟質オレフィン系樹脂(B)の含有量は、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の合計を100質量%として、20〜60質量%であり、好ましくは30〜50質量%である。軟質オレフィン系樹脂(B)の含有量が上記範囲の下限値以上である場合には、本発明の樹脂組成物の柔軟性が向上する傾向にある。また、軟質オレフィン系樹脂(B)の含有量が上記各範囲の上限値以下である場合には、本発明の樹脂組成物の成形加工性を向上させる傾向にある。
本発明の耐熱性軟質樹脂組成物において、スチレン系エラストマー(C)の含有量は、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の合計を100質量%として、2〜20質量%である。スチレン系エラストマー(C)の含有量が上記範囲の下限値以上である場合には、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)と軟質オレフィン系樹脂(B)との相溶化能を向上できる傾向にあり、組成物中の軟質オレフィン系樹脂(B)の分散径が大きくならない傾向にある。また、スチレン系エラストマー(C)の含有量が上記範囲の上限値以下である場合には、十分な相溶化改善効果を維持しつつ原料コストを低減できる傾向にある。
本発明の耐熱性軟質樹脂組成物には、上述した主成分(A)〜(C)に加えて、必要に応じてその他の樹脂成分、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン系アイオノマー、ブチルゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、ロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂、合成石油樹脂、クロマン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、ポリ乳酸等や、非晶性オレフィン系重合体(C1)に該当しないエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、環状オレフィン系樹脂等を配合してもよい。また、更に必要に応じて、流動パラフィンなどのオイル類や、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、老化防止剤、滑剤、帯電防止剤、防錆剤、発泡剤、発泡核剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、抗菌剤、着色剤、分散剤、有機顔料、無機顔料等を配合してもよい。
本発明の耐熱性軟質樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、各成分を混練する方法が挙げられる。具体的には、例えば、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等のバッチ式混練機で混練もしくは加熱混練、または、単軸押出機、二軸混練押出機等の連続式混練機を用いて加熱溶融混練、その他公知の方法により本発明の樹脂組成物を製造できる。
本発明の耐熱性軟質樹脂組成物は成形材料として使用でき、様々な成形品を得ることができる。成形法としては、例えば、射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形、Tダイフィルム成形、インフレーションフィルム成形、シート成形、カレンダ成形、パイプ成形、異形押出成形、中空成形、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、射出発泡成形、押出発泡成形、型物発泡成形、その他公知の成形法が挙げられる。また、本発明の樹脂組成物は、ポリスチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂と複合成形することもできる。複合成形法としては、例えば、2色射出成形、多色射出成形、インサート成形、多層押出成形、ラミネート成形、その他公知の成形法が挙げられる。
実施例
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例においては、以下の各成分を使用した。
(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂:
変性ポリフェニレンエーテル樹脂(m−PPE)として、日本ジーイープラスチックス
株式会社製、商品名:Noryl PPO534−801(比重=1.08、荷重たわみ温度(1.82MPa)=160℃)を用いた。
(A2)ポリスチレン系樹脂:
耐衝撃性ポリスチレン(HIPS−1)として、日本ポリスチレン株式会社製、商品名:日本ポリスチCR530(比重=1.04、MFR(温度200℃、49N荷重)=2.9g/10分)を用いた。
また、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS−2)として、日本ポリスチレン株式会社製、商品名:日本ポリスチH758K(比重=1.04、MFR=1.7g/10分)を用いた。
(B)軟質オレフィン系樹脂:
軟質オレフィン系樹脂(SOP−1)として、住友化学株式会社製、商品名:住友タフセレンT5722(比重=0.87、MFR(温度230℃、21.2N荷重)=10g/10分、非晶性プロピレン系重合体(B3)/結晶性プロピレン系重合体=質量比70/30)を用いた。
また、軟質オレフィン系樹脂(SOP−2)として、住友化学株式会社製、商品名:住友タフセレンT1722(比重=0.87、MFR(温度230℃、21.2N荷重)=0.6g/10分、非晶性プロピレン系重合体(B3)/結晶性プロピレン系重合体(B4)=質量比70/30)を用いた。
ここで、非晶性プロピレン系重合体(B3)は、住友化学株式会社製、商品名:住友タフセレンX1102(比重=0.86、MFR(温度190℃、98.1N)=1.3g/10分)を原体として用いられたものであり、示差走査熱量測定(DSC)における−100〜200℃での結晶融解ピーク熱量は観測されなかった(N.D.)。
(B4)ポリプロピレン樹脂:
ランダムポリプロピレン(RPP−1)として、住友化学株式会社製、商品名:住友ノーブレンW151(比重=0.90、MFR(温度230℃、21.2N荷重)=8g/10分)を用いた。
また、ランダムポリプロピレン(RPP−2)として、住友化学株式会社製、商品名:住友ノーブレンFL6632G(比重=0.90、MFR(温度230℃、21.2N荷重)=6g/10分)を用いた。
(C)スチレン系エラストマー:
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS−1)として、JSR株式会社製、商品名:ダイナロン8903P(比重=0.92、MFR(温度230℃、21.2N荷重)=26g/10分、スチレン含量=35質量%)を用いた。
また、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS−2)として、JSR株式会社製、商品名:ダイナロン9901P(比重=0.97、MFR(温度230℃、21.2N荷重)=3g/10分、スチレン含量=53質量%)を用いた。
[実施例1]
ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)であるm−PPEが60質量%、軟質オレフィン系樹脂(B)であるSOP−1が30質量%、スチレン系エラストマー(C)であるSEBS−1が10質量%となる割合で配合し、40mmφ単軸押出機を使用して、温度28
0℃、スクリュー回転数100rpmの条件で溶融混練し、押出されたストランドを水冷してペレタイザーに通し、ペレットを得た。
このペレットを、住友重機械(株)製SG180M型射出成形機を使用して、温度245℃、冷却温度20℃、冷却時間40秒の条件にて射出成形し、所定形状の試験片を作製した。この試験片を用いて、曲げ弾性率、デュロメータD硬度、シャルピー衝撃強度を測定し、耐熱性評価を行った。またPS又はPPとの熱融着性評価も行った。それらの結果を表1に示す。
ここで、各性状の測定あるいは評価方法は以下の(1)〜(6)のとおりである。
(1)曲げ弾性率:
JIS K7139に従い、多目的試験片A形を射出成形にて作製し、JIS K7171に従い、試験片を長さ80mm×幅10mm×厚み4mmに調整したものを用いて、3点曲げ試験機を使用して、支点間距離64mm、曲げ速度1mm/分、温度23℃の条件で測定した。
(2)デュロメータD硬度:
JIS K7139に従い、多目的試験片A形を射出成形にて作製し、JIS K7215に従い、試験片を長さ80mm×幅10mm×厚み4mmに調整したものを用いて、先端にD型圧子をつけたデュロメータ硬度計にて5kgの荷重を静かにかけて直ぐの値を読取り、測定値とした。
(3)シャルピー衝撃強度:
JIS K7139に従い、多目的試験片A形を射出成形にて作製し、JIS K7111に従い、試験片を長さ80mm×幅10mm×厚み4mmに調整し、ノッチ部の深さが2.0mm、ノッチ角度が45°、先端Rが0.25mmのノッチ加工したものを用いて、JIS K7111に従い、エッジワイズの方向にて、シャルピーインパクトテスターを使用して、温度23℃の条件で測定した。
(4)耐熱性評価:
JIS K7139に従い、多目的試験片A形を射出成形にて作製し、このダンベル状試験片をステンレス製容器に置かれた20mm幅×6mm高さの断面積の金属棒上に左右均等になるように静置し、ギヤオーブンにて100℃、1時間後の試験片の収縮変形度合および試験片端部の熱垂れ変形度合について、以下の基準にて判定した。また、そのまま続けて110℃に昇温し、同じく1時間静置後に再度同様に判定し、130℃まで評価を行った。
試験片の収縮変形度合
「◎」:全く収縮しないもの
「○」:1%以下収縮したもの
「△」:1〜10%収縮したもの
「×」:10〜20%収縮したもの
「××」:20%以上収縮したもの
試験片端部の熱垂れ度合
「◎」:全く変形なし
「○」:やや垂れ下がるが、試験片端部は接地しない。
「△」:やや垂れ下がり、試験片端部が線で接触する。
「×」:垂れ下がり、試験片端部が完全に面で接触する。
「××」:垂れ下がり、試験片の半分以上が面で接触する。
(5)PS又はPPとの熱融着性:
PSとして耐衝撃性ポリスチレン(HIPS−2)を使用し、65mmφシート成形機を用いて温度210℃の条件で厚み0.5mmのシートを作製した。また、PPとしてラ
ンダムポリプロピレン(RPP−2)を使用し、熱プレス成形機を用いて温度230℃、圧力4.9MPaの条件で5分間圧縮成形を行い、厚み0.5mmのシートを作製した。これらシートを上記の曲げ弾性率測定用に成形した4mm厚みの射出成形試験片に重ね合わせ、それを1mmのSUS板の上に乗せ、さらに1mmのSUS板を重ねた状態でセットし、温度230℃、圧力0.98MPaの条件で2分間熱融着させ、その後急速に冷却し
、積層サンプルを作製した。
これら積層サンプルの熱融着性評価については、手で剥離する官能試験を行い、以下の基準で判定した。
「◎」:非常に良好に融着している(剥離できない)。
「○」:良好に融着している(剥離は可能だが困難であり、剥離面が白化する)。
「△」:接着感は有るが融着していない(綺麗に剥離できる)。
「×」:接着感が無い(簡単に剥離できる、もしくは基材が層剥離する)。
(6)非晶オレフィン系重合体(B1)の結晶融解ピーク熱量:
セイコー電子工業社製DSC220Cを用い、以下の条件で測定して求めた。試料約10mgを室温から30℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、昇温完了後5分間保持する。次いで、200℃から10℃/分の降温速度で−100℃まで降温し、降温完了後5分間保持する。次いで、−100℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、その際に観察されるピーク面積から結晶融解ピーク熱量を求めた。
[実施例2]
成分(A)であるm−PPEの配合量を40質量%に、成分(B)であるSOP−1の配合量を50質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法にてペレットを作製し、同様に評価した。その結果を表1に示す。
[実施例3]
成分(A)であるm−PPEの配合量を30質量%に、成分(B)であるSOP−1の配合量を60質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法にてペレットを作製し、同様に評価した。その結果を表1に示す。
[実施例4]
成分(A)として、m−PPE20質量%と、HIPS−1(成分(A2))20質量%とを用いたこと以外は、実施例2と同様の方法にてペレットを作製し、同様に評価した。その結果を表1に示す。
[実施例5]
成分(B)として、SOP−1を25質量%と、RPP−1(成分(B4))を25質量%とを用いたこと以外は、実施例2と同様の方法にてペレットを作製し、同様に評価した。その結果を表1に示す。
[実施例6]
成分(B)としてSOP−1に替えてSOP−2を用い、成分(C)としてSEBS−1に替えてSEBS−2を用いたこと以外は、実施例2と同様の方法にてペレットを作製し、同様に評価した。その結果を表1に示す。
[実施例7]
成分(A)であるm−PPEの配合量を47質量%に、成分(B)であるSOP−1の配合量を50質量%に、成分(C)であるSEBS−1の配合量を3質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法にてペレットを作製し、同様に評価した。その結果を表1に示す。
[比較例1]
成分(A)(ポリスチレン系樹脂(A2))であるHIPS−1が100質量%のペレットを用いて、住友重機械(株)製SG180M型射出成形機を使用して、温度210℃、冷却温度50℃、冷却時間20秒の条件にて射出成形し、所定形状の試験片を作製した。この試験片を用いて、実施例1と同様に、曲げ弾性率、デュロメータD硬度、シャルピー衝撃強度を測定し、耐熱性評価を行った。またPS又はPPとの熱融着性評価も行った。それらの結果を表1に示す。
[比較例2]
ポリスチレン系樹脂(A2)であるHIPS−1が60質量%、軟質オレフィン系樹脂(B)であるSOP−1が30重量%、スチレン系エラストマー(C)であるSEBS−1が10質量%となる割合で配合し、40mmφ単軸押出機を使用して、温度230℃、スクリュー回転数100rpmの条件で溶融混練し、押出されたストランドを水冷してペレタイザーに通し、ペレットを得た。
このペレットを、住友重機械(株)製SG180M型射出成形機を使用して、温度185℃、冷却温度20℃、冷却時間100秒の条件にて射出成形し、所定形状の試験片を作製した。この試験片を用いて、実施例1と同様に、曲げ弾性率、デュロメータD硬度、シャルピー衝撃強度の測定、耐熱性評価、ならびにPS又はPPとの熱融着性評価を行った。それらの結果を表1に示す。
[比較例3]
ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)であるm−PPEが60質量%、スチレン系エラストマー(C)であるSEBS−1が40質量%となる割合で配合し、40mmφ単軸押出機を使用して、温度280℃、スクリュー回転数100rpmの条件で溶融混練し、押出されたストランドを水冷してペレタイザーに通し、ペレットを得た。
このペレットを、住友重機械(株)製SG180M型射出成形機を使用して、温度245℃、冷却温度20℃、冷却時間40秒の条件にて射出成形し、所定形状の試験片を作製した。この試験片を用いて、曲げ弾性率、デュロメータD硬度、シャルピー衝撃強度を測定し、耐熱性評価を行った。またPS又はPPとの熱融着性評価も行った。それらの結果を表1に示す。
[比較例4]
成分(B)であるSOP−1をRPP−1(結晶性プロピレン系重合体(B4))に変更し、射出成形時の温度を255℃に変更した以外は実施例2と同様の方法にてペレットを作製し、同様に評価した。その結果を表1に示す。
[比較例5]
成分(B)として、SOP−1を50質量%配合するのに替えて、SOP−1を10質量%およびRPP−1を40質量%配合したこと以外は実施例2と同様の方法にてペレットを作製し、同様に評価した。その結果を表1に示す。
[比較例6]
成分(A)であるm−PPEが10質量%、成分(B)であるSOP−1が80質量%
、成分(C)であるSEBS−1が10質量%となる割合で配合し、40mmφ単軸押出機を使用して、温度280℃、スクリュー回転数100rpmの条件で溶融混練したが、非常に粘度が低下した状態となり安定したストランドを得ることが出来なかった。
[比較例7]
成分(A)であるm−PPEが80質量%、成分(B)であるSOP−1が15質量%に、成分(C)であるSEBS−1が5質量%となる割合で配合するように変更した以外は実施例1と同様の方法にてペレットを作製し、同様に評価した。その結果を表1に示す。
[比較例8]
成分(A)であるm−PPEが50質量%、成分(B)であるSOP−1が50質量%となる割合で配合し、実施例1と同様の方法にてペレットを作製し、同様に評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2007217685
Figure 2007217685
[実施例8]
ポリフェニレン系エーテル樹脂(A)の構成成分となるポリスチレン系樹脂(A2)であるHIPS−2が60質量%、軟質オレフィン系樹脂(B)であるSOP−2が30質量%、スチレン系エラストマー(C)であるSEBS−2が10質量%となる割合で配合し、40mmφ単軸押出機を使用して、温度230℃、スクリュー回転数100rpmの条件で溶融混練し、押出されたストランドを水冷してペレタイザーに通し、軟質樹脂組成物(F)のペレットを得た。さらに、得られた軟質樹脂組成物(F)が80質量%、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)であるm−PPEが20質量%となる割合で配合し、40mmφ単軸押出機を使用して、温度280℃、スクリュー回転数100rpmの条件にて溶融混練し、押出されたストランドを水冷してペレタイザーに通し、目的のペレットを得た。
このペレットを、日精樹脂工業(株)製PS80E5ASE型射出成形機を使用して、温度245℃、冷却温度60℃、冷却時間60秒の条件にて射出成形し、所定形状の試験片を作製した。この試験片を用いて、曲げ弾性率、Izod衝撃強度、ビカット軟化点を測定した。ここで、各性状の測定あるいは評価方法は以下の(a)〜(d)のとおりである。また、PSまたはPPとの熱融着性について、実施例1と同様に評価した。これらの結果を表3に示す。
(a)メルトフローレート(MFR):
JIS K7210に従い、温度200℃、荷重49N、及び、温度250℃、荷重98Nの2つの条件で測定した。
(b)曲げ弾性率:
JIS K7203に従い、長さ127mm×幅12.7mm×厚み3.2mmの射出成形試験片を作製し、3点曲げ試験機を使用して、支点間距離50.8mm、曲げ速度20
mm/分、温度23℃の条件で測定した。
(c)Izod衝撃強度:
JIS K7110に従い、長さ63mm×幅6.4mm×厚み12.7mmで、ノッチ部の深さが2.54mm、先端Rが0.25mmの成形ノッチを有する射出成形試験片を作製し、Izodインパクトテスターを使用して、温度23℃の条件で測定した。
(d)ビカット軟化点:
JIS K7206に従い、長さ127mm×幅12.7mm×厚み3.2mmの射出成形試験片を作製し、安田精機製作所製ヒートデストーションテスターを使用して、荷重9.8N、昇温速度50℃/時間の条件下で測定した。
[実施例9]
軟質樹脂組成物(F)の配合割合を70質量%、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)であるm−PPEの配合割合を30質量%に変更したこと以外は、実施例8と同様の方法にてペレットおよび試験片を作成し、実施例8と同様に評価した。その結果を表3に示す。
[比較例9]
ポリフェニレン系エーテル樹脂(A)の構成成分となるポリスチレン系樹脂(A2)であるHIPS−2が60質量%、軟質オレフィン系樹脂(B)であるSOP−2が30質量%、スチレン系エラストマー(C)であるSEBS−2が10質量%となる割合で配合し、40mmφ単軸押出機を使用して、温度230℃、スクリュー回転数100rpmの条件にて溶融混練し、押出されたストランドを水冷してペレタイザーに通し、ペレットを得た。
このペレットを、日精樹脂工業(株)製PS80E5ASE型射出成形機を使用して、温度180℃、冷却温度50℃、冷却時間60秒の条件にて射出成形し、所定形状の試験片を作製した。この試験片を用いて、実施例8と同様にして、曲げ弾性率、Izod衝撃強度、ビカット軟化点を測定した。その結果を表3に示す。
[比較例10]
ポリフェニレン系エーテル樹脂(A)の構成成分となるポリスチレン系樹脂(A2)であるHIPS−2が60質量%、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)であるm−PPEが40質量%となる割合で配合し、40mmφ単軸押出機を使用して、温度280℃、スクリュー回転数100rpmの条件で溶融混練し、押出されたストランドを水冷してペレタイザーに通し、ペレットを得た。
このペレットを、日精樹脂工業(株)製PS80E5ASE型射出成形機を使用して、温度245℃、冷却温度60℃、冷却時間60秒の条件で射出成形し、所定形状の試験片を作製した。この試験片を用いて、実施例8と同様にして、曲げ弾性率、Izod衝撃強度、ビカット軟化点を測定した。その結果を表3に示す。
[比較例11]
ポリスチレン系樹脂(A2)であるHIPS−2が100質量%のペレットを、日精樹脂工業(株)製PS80E5ASE型射出成形機を使用して、温度210℃、冷却温度50℃、冷却時間20秒の条件で射出成形し、所定形状の試験片を作製した。この試験片を用いて、実施例8と同様にして、曲げ弾性率、Izod衝撃強度、ビカット軟化点を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2007217685
本発明の耐熱性軟質樹脂組成物は、その優れた特徴を利用して、例えば、階段すべり止めや、傷つき防止保護シート付き壁、目地材、被覆管等の建築材料として、また、デスクの縁周りや、玩具等の日用品として好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)、軟質オレフィン系樹脂(B)、及びスチレン系エラストマー(C)の各成分を含み、
    成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の合計100質量%を基準として、
    ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)が20〜78質量%、軟質オレフィン系樹脂(B)が20〜60質量%、及びスチレン系エラストマー(C)が2〜20質量%であり、
    前記軟質オレフィン系樹脂(B)が、成分(B)100質量%を基準として、
    非晶性オレフィン系重合体(B1)30〜100質量%、及び
    結晶性オレフィン系重合体(B2)0〜70質量%であることを特徴とする耐熱性軟質樹脂組成物。
  2. ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)が、成分(A)100質量%を基準として、
    ポリフェニレンエーテル樹脂(A1)99〜1質量%、及び
    ポリスチレン系樹脂(A2)が1〜99質量%
    からなる変性ポリフェニレンエーテル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の耐熱性軟質樹脂組成物。
  3. 軟質オレフィン系樹脂(B)が、成分(B)100質量%を基準として、
    非晶性プロピレン系重合体(B3)30〜100質量%、及び
    結晶性プロピレン系重合体(B4)0〜70質量%
    からなる軟質プロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐熱性軟質樹脂組成物。
  4. 前記ポリスチレン系樹脂(A2)が、耐衝撃性ポリスチレンであることを特徴とする請求項2または3に記載の耐熱性軟質樹脂組成物。
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