JP4567218B2 - 導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物及びその成形品に関する。さらに詳しくは、本発明は、耐熱性が高く、成形性に優れ、成形後の寸法調整のためのアニーリングを必要としない導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物及びその成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報産業、電子産業の急成長とともに、IC、LSIなどのコンピューター関係に使用される電子部品の進歩も著しく、様々な形態、大きさを持つIC、LSIが極めて大量に消費されている。これらを収納、搬送するトレーは、樹脂トレーが一般的であり、汎用樹脂からエンジニアリングプラスチックスに到るまで、多種多様のものが様々な組成で使用されている。ポリフェニレンエーテル樹脂を用いたICトレーは、材料の経済価格と機能のバランスに優れることから、近年その需要が急速に広がっている。通常、ICトレーは、導電性をはじめとして耐熱性、寸法安定性などに厳しい規格が設けられており、溶融成形後に熱処理することなく規定通りの寸法に仕上げられ、以後のICのベーキング操作に耐え得る素材は少ない。
従来、耐熱性の高い樹脂として、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィドなどの樹脂をベースとし、カーボンブラックやカーボンファイバー、ガラス繊維などによって導電化、補強された樹脂組成物が用いられている。しかし、いずれも高価な樹脂であることと、カーボンファイバーなどを複合化することによって材料コストアップを招来するという問題があった。
比較的安価なエンジニアリングプラスチックスとして、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂なども用いられているが、ポリカーボネート樹脂は耐熱性が不十分であり、非結晶性樹脂であるために繊維強化したところで耐熱性は向上しない。ポリフェニレンエーテル樹脂は、カーボンブラック、カーボンファイバーなどによって導電化され、比較的経済性も高く耐熱性も150〜170℃の水準に任意に組成が設定できるなど、材料設計の自由度が大きいという利点がある。一般的に、ICは150℃以上のベーキング操作が必要であり、これに耐え得る素材として、ポリフェニレンエーテル樹脂が急速にその需要を広めるに到っている。ところが、ポリフェニレンエーテル樹脂は非結晶性樹脂であり、加工性を高めるために通常ポリスチレン樹脂をポリマーアロイ化させる手法が取られており、耐熱性を高めるためにはポリスチレン樹脂の添加量を極力低く抑えることが必要である。このことは、すなわち材料の流動性の低下を招くために、成形性が極端に悪化するという問題が生ずる。ICトレーの寸法調整のために、通常カーボンブラックの他に無機系の充填材や、強化成分であるスチレン系エラストマーなども同時に添加される。このことも、流動性低下を引き起こす要因になる。
さらに、現在、ポリフェニレンエーテル樹脂系のICトレーは、耐熱性は150℃以上に任意に設計することができるが、成形後アニーリングによって成形歪を除去し、寸法を調整する操作が一般的になされている。金型は、このアニーリング後の寸法変化を想定して作られるために、難しい設計技術が必要となっている。アニーリング後のトレーについても、以後のベーキング時の寸法公差が厳しく設定されている。
耐熱性が170℃以上であれば、通常このアニーリングによる寸法変化が小さく、アニーリングにおける成形収縮率も小さい。ところが、材料としての流動性が大きく低下するために、成形性が著しく損われる。寸法変化を抑制するために添加されるガラス繊維、カーボンファイバー、無機系充填材などは、成形加工性を悪化させるのみならず、成形品の外観をも悪化させ、反り、変形などの不良の原因となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐熱性が高く、成形性に優れ、成形後の寸法調整のためのアニーリングを必要とせず、ICトレー用として好適に用いることができる導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物及びその成形品を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン系エラストマー及びカーボンブラックを主成分とし、低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂とポリプロピレン樹脂を配合してなる導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物が、耐熱性が高く、成形性に優れ、アニーリングしたときの成形収縮率の変化が小さく、成形後の寸法調整のためのアニーリングを必要としないことを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)(A)ポリフェニレンエーテル樹脂45〜80重量%、ポリスチレン樹脂2〜10重量%、スチレン系エラストマー2〜10重量%及びカーボンブラック5〜35重量%を主成分とし、(A)主成分100重量部に対し、(A)成分とは別に、クロロホルムを溶媒として25℃で測定した固有粘度が0.2dL/g以下であり、ガラス転移点が150℃以上である(B)低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂1〜15重量部、及び、(C)ポリプロピレン樹脂1〜15重量部を配合してなることを特徴とする溶融混練して成形する導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物、
(2)樹脂組成物の特性が、熱変形温度が182N荷重で160℃以上であり、メルトフロー値が、300℃、98N荷重下で5g/10分以上である第1項記載の溶融混練して成形する導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物、及び、
(3)第1項又は第2項の溶融混練して成形する導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を、金型温度100〜175℃で成形し、150℃で5時間アニーリングしたとき、アニーリング前後の成形収縮率の差が0.8/1,000以下である導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の成形品、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン系エラストマー及びカーボンブラックを主成分とし、(A)主成分100重量部に対し、クロロホルムを溶媒として25℃で測定した固有粘度が0.2dL/g以下であり、ガラス転移点が150℃以上である(B)低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂1〜15重量部、及び、(C)ポリプロピレン樹脂1〜15重量部を配合してなる組成物である。
本発明に用いるポリフェニレンエーテル樹脂は、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノールなどの酸化カップリングにより製造されるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン)エーテルなど、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールなどの共重合体、これらの重合体が無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸などにより変性された重合体などである。通常のポリフェニレンエーテル樹脂は、それ単独では加工が困難であるために、共重合体とするか、あるいは、ポリスチレン樹脂などとブレンドすることにより改質されるが、通常はポリスチレン樹脂とのブレンドが一般的である。
本発明に用いるポリスチレン樹脂としては、例えば、汎用ポリスチレン(GPPS)、ゴム成分で強化された耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン成分の多いスチレン−ブタジエン共重合体(ハイスチレンSBS)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体などを挙げることができる。
本発明に用いるスチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ブテン共重合体などを挙げることができる。これらの共重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
【0006】
本発明に用いる(B)低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂は、クロロホルムを溶媒として25℃で測定した固有粘度が0.2dL/g以下であり、ガラス転移点が150℃以上である。このような低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂は、ポリフェニレンエーテル樹脂の合成過程において、反応槽から分離することができる。固有粘度0.2dL/g以下の低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂は、通常は重量平均分子量が10,000以下であり、数平均分子量が5,000以下である。(A)主成分100重量部に対し、(B)低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂1〜15重量部、より好ましくは3〜10重量部を配合することにより、樹脂組成物の流動性を向上することができる。低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂の固有粘度が0.2dL/gを超えると、流動性の向上効果が不十分となるおそれがある。ガラス転移点が150℃未満であると、成形品の熱変形温度を高く維持することが困難になるおそれがある。低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂の配合量が主成分100重量部に対し1重量部未満であると、流動性の向上効果が不十分となるおそれがある。低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂の配合量が主成分100重量部に対し15重量部を超えると、熱変形温度が低下するとともに、衝撃強度が低下するおそれがある。
本発明に用いる(C)ポリプロピレン樹脂に特に制限はないが、アイソタクチックポリプロピレンであることが好ましく、JIS K 6921−1付属書に規定される各種のポリプロピレン成形材料を用いることができる。(A)主成分100重量部に対して(C)ポリプロピレン樹脂1〜15重量部、より好ましくは3〜10重量部を配合することにより、樹脂組成物の流動性を向上することができる。ポリプロピレン樹脂の配合量が主成分100重量部に対して1重量部未満であると、流動性の向上効果が不十分となるおそれがある。ポリプロピレン樹脂の配合量が主成分100重量部に対して15重量部を超えると、熱変形温度が低下するとともに、衝撃強度が低下し、成形品の表層剥離を引き起こすおそれがある。
本発明に用いるカーボンブラックに特に制限はなく、例えば、オイルファーネス法によって製造されるファーネスブラック、特殊ファーネス法によって製造されるケッチェンブラック、アセチレンガスを原料として製造されるアセチレンブラック、閉鎖空間で原料を直燃して製造されるランプブラック、天然ガスの熱分解により製造されるサーマルブラック、拡散炎をチャンネル鋼の底面に接触させて捕集するチャンネルブラックなどを挙げることができる。
【0007】
本発明において、(A)主成分を構成するポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン系エラストマー及びカーボンラックの配合割合に特に制限はないが、ポリフェニレンエーテル樹脂45〜80重量%、ポリスチレン樹脂2〜10重量%、スチレン系エラストマー2〜10重量%、カーボンブラック5〜35重量%であることが好ましい。ポリフェニレンエーテル樹脂の配合割合が45重量%未満であると、耐熱性が低下するおそれがある。ポリフェニレンエーテル樹脂の配合割合が80重量%を超えると、流動性が低下するおそれがある。ポリスチレン樹脂の配合割合が2重量%未満であると、流動性が低下するので加工性が悪くなるおそれがある。ポリスチレン樹脂の配合割合が10重量%を超えると、耐熱性が低下するおそれがある。スチレン系エラストマーの配合割合が2重量%未満であると、機械的強度が低下するおそれがある。スチレン系エラストマーの配合割合が10重量%を超えると、耐熱性が低下するおそれがある。カーボンブラックの配合割合が5重量%未満であると、導電性が不十分となるおそれがある。ICトレーは、体積抵抗率106Ω・cm以下であることが好ましく、体積抵抗率が106Ω・cmを超えるとICトレーとしの使用は困難となる。カーボンブラックの配合割合が35重量%を超えると、機械特性の中で、特に衝撃強さが低下する他流動性も大幅に低下するおそれがある。
本発明の樹脂組成物は、ASTM D648で定める熱変形温度が、182N荷重で160℃以上であることが好ましく、170℃以上であることがより好ましい。熱変形温度が182N荷重で160℃未満であると、耐熱性が不足するおそれがある。本発明の樹脂組成物は、金型温度107℃で成形し、150℃で5時間アニーリングしたときのアニーリング前後の成形収縮率の差が0.8/1,000以下であることが好ましく、0.5/1,000以下であることがより好ましい。熱変形温度が182N荷重で160℃以上であると、樹脂組成物を金型温度107℃以上で成形して得られるICトレーを、150〜170℃で5〜25時間アニーリングしたときの成形収縮率の差を0.8/1000以下に抑えることが可能となる。この条件を満足する成形品であるICトレーは、成形収縮率が低いのでアニーリング工程が不要となり、製造工程を大幅に合理化することができる。また、アニーリングによる寸法変化を考慮した金型設計をする必要がなく、製品の歩留りを大幅に向上することができる。さらに、樹脂組成物を成形して得られるICトレーは、150℃のベーキングに十分に耐えるICトレーとなる。
【0008】
本発明の樹脂組成物は、ASTM D1238で定めるメルトフロー値が、300℃、98N荷重で5g/10分以上であることが好ましく、7g/10分以上であることがより好ましい。メルトフロー値が300℃、98N荷重で5g/10分未満であると、流動性が不足して成形品の寸法性や表面性が不良になるおそれがある。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて他の成分を添加することができる。添加する他の成分としては、例えば、合成樹脂、無機充填剤、可塑剤、熱安定剤、加工助剤、着色剤などを挙げることができる。
本発明の樹脂組成物を溶融混練してなるペレット状コンパウンドの製造方法に特に制限はなく、通常の熱可塑性樹脂の混合、混練に用いられる装置、設備を用いて容易に製造することができる。例えば、各成分をタンブラー、ヘンシェルミキサーなどの予備混合機に同時に仕込んで均一に混合したのち混練することができ、あるいは、混練機へ特定成分を別々に定量フィーダーや容量フィーダーなどを用いて供給することもできる。各成分の混合物を溶融混練機に供給して溶融混練し、ダイから押し出し、ペレタイザーなどを用いてペレット化することができる。使用する混練機としては、例えば、ベント付き単軸押出機、異方向二軸押出機、同方向二軸押出機などを好適に用いることができる。また、押出機に代えて、スーパーミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、タンブラー、コニーダーなどの混練機を用いることもできる。
【0009】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、寸法性と表面性の評価及び成形収縮率の変化は、下記の方法により評価した。
(1)寸法性と表面性
型締力220tの射出成形機を用い、縦315mm×横135mmのICトレーを成形し、トレーの外観を評価する。ひけ、反りがなく、規定寸法である縦315±0.25mm、横135±0.25mmを満たしていることを寸法性良好と判定する。
○:寸法性良好で、表面性良好又は若干表面性が悪いが使用できる水準。
△:寸法性は良好だが、フラッシュマークなどの外観不良がある。
×:ショートショットの発生など寸法安定性が悪く、かつ外観不良。
○ が使用できる水準である。
(2)成形収縮率の評価
成形後室温まで放冷されたICトレーすなわち生地について、縦、横の寸法を三次元測定器を用いて測定し、生地の成形収縮率(a)を算出する。さらに、150℃で5時間アニーリングし、室温まで放冷したのち、同様にして縦、横の寸法を測定し、アニーリング後の成形収縮率(b)を算出する。アニーリング前後の成形収縮率の差(c)を求め、縦方向の長さ315mmに対する寸法差315×(c)/1,000を計算する。ICトレーの寸法公差は、縦、横ともに±0.25mmであり、したがって寸法差は0.5mm以下が良好である。
【0010】
実施例1
ポリフェニレンエーテル樹脂パウダー[GEプラスチック、PPO640]67重量部、耐衝撃性ポリスチレン[BASF、576H]5重量部、スチレン−エチレン−ブテントリブロック共重合体[(株)クラレ、セプトン8004]5重量部、クロロホルムを溶媒として25℃で測定した固有粘度0.12dL/g、ガラス転移点165℃、重量平均分子量6,300の低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂6重量部、ブロック型ポリプロピレン樹脂[(株)トクヤマ、PN640]5重量部及びカーボンブラック[日鉄化学(株)、ニテロン#10]23重量部を配合し、同方向二軸押出機を用い、300〜330℃で溶融混練して、導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物のペレットを製造した。このペレットのASTM D1238で定めるメルトフロー値は、300℃、98N荷重下で、10g/10分であった。
得られたペレットについて、型締力80tの射出成形機を用い、金型温度107℃で物性測定用の試験片を成形した。ASTM D256で定めるアイゾット衝撃強度は1/4ノッチ付き強度で65J/mであり、ASTM D790で定める曲げ弾性率は2,800MPaであり、ASTM D648で定める熱変形温度は182N荷重で174℃であり、SRIS2301で定める体積抵抗率を抵抗率計「三菱化学(株)、ロレスタ」を用いて印加電圧90Vで測定したところ、104Ω・cmであった。
型締力220tの射出成形機を用い、金型温度を107℃として、ICトレーを成形した。ICトレーは、寸法性、表面性ともに良好であった。生地の成形収縮率は9.2/1,000であり、アニーリング後の成形収縮率は9.8/1,000であり、アニーリング前後の成形収縮率の差は0.6/1,000であった。したがって、ICトレーの縦方向のアニーリング前後の寸法差は、315×0.6/1,000=0.19mmとなる。
実施例2〜5
金型温度を126℃、141℃、158℃又は171℃とした以外は、実施例1と同様にしてICトレーを成形し、評価を行った。
【0011】
比較例1
ポリフェニレンエーテル樹脂パウダー[GEプラスチック、PPO640]57重量部、耐衝撃性ポリスチレン[BASF、576H]18重量部、スチレン−エチレン−ブテントリブロック共重合体[(株)クラレ、セプトン8004]3重量部及びカーボンブラック[日鉄化学(株)、ニテロン#10]22重量部を配合し、実施例1と同様にして、導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物のペレットを製造し、メルトフロー値を測定した。メルトフロー値は、8g/10分であった。
得られたペレットについて、実施例1と同様にして、金型温度107℃で物性測定用の試験片を成形した。実施例1と同様にして測定したアイゾット衝撃強度は33J/mであり、曲げ弾性率は2,800MPaであり、熱変形温度は153℃であり、体積抵抗率は103Ω・cmであった。
さらに、実施例1と同様に、金型温度を107℃として、ICトレーを成形した。ICトレーは、表面性は良好であった。生地の成形収縮率は8.7/1,000であり、アニーリング後の成形収縮率は10.9/1,000であり、アニーリング前後の成形収縮率の差は2.2/1,000であった。したがって、ICトレーの縦方向のアニーリング前後の寸法差は、315×2.2/1,000=0.69mmとなる。
比較例2〜5
第2表に示す条件により、実施例1と同様にして、導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物のペレットを製造し、評価を行った。
実施例1〜5の結果を第1表に、比較例1〜5の結果を第2表に示す。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
[注]PPE:ポリフェニレンエーテル樹脂パウダー、GEプラスチック、PPO640
HIPS:耐衝撃性ポリスチレン、BASF、576H
SEBS:スチレン−エチレン−ブテントリブロック共重合体、(株)クラレ、セプトン8004
LM−PPE:固有粘度0.12dL/g、ガラス転移点165℃、重量平均分子量6,300のポリフェニレンエーテル樹脂
PP:ポリプロピレン樹脂、(株)トクヤマ、PN640
カーボンブラック:日鉄化学(株)、ニテロン#10
第1表に見られるように、実施例の樹脂組成物は、メルトフロー値、アイゾット衝撃強度、曲げ弾性率、熱変形温度、体積抵抗率のすべてについて、ICトレー用樹脂組成物に必要な水準を満たしている。また、実施例1〜5において、金型温度100〜175℃で成形したICトレーは、寸法性、表面性ともに良好であり、150℃で5時間アニーリングしても寸法変化は小さいので、射出成型品をアニーリングすることなく、そのままICトレー製品として使用することができる。このために、アニーリング工程を省略することができるばかりでなく、アニーリングによる寸法変化を考慮した金型設計をする必要がないので、製品の歩留りが大幅に向上し、かつアニーリング工程を省くので作業工数の削減、コスト削減が可能である。
これに対して、低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂とポリプロピレン樹脂を配合していない導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物から成形した比較例1〜3のICトレーは、アニーリング前後の成形収縮率の差が大きいか、あるいは、表面性が不良である。また、ポリプロピレン樹脂のみを配合した比較例4の組成物から成形したICトレーは、表面性が不良であり、低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂のみを配合した比較例5の組成物から成形したICトレーは、アニーリング前後の成形収縮率の差が大きい。
【0015】
【発明の効果】
本発明の導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は、ICトレーに必要とされる流動性、衝撃強度、曲げ弾性率、熱変形温度、導電性のすべてを満たす。また、その成形品は、寸法性、表面性ともに良好であり、アニーリングしてもその前後の寸法変化が小さいので、アニーリングを省略して工程を合理化し得るばかりでなく、アニーリングによる寸法変化を考慮した金型設計をする必要がなく、製品の歩留りを大幅に向上することができる。
Claims (3)
- (A)ポリフェニレンエーテル樹脂45〜80重量%、ポリスチレン樹脂2〜10重量%、スチレン系エラストマー2〜10重量%及びカーボンブラック5〜35重量%を主成分とし、(A)主成分100重量部に対し、(A)成分とは別に、クロロホルムを溶媒として25℃で測定した固有粘度が0.2dL/g以下であり、ガラス転移点が150℃以上である(B)低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂1〜15重量部、及び、(C)ポリプロピレン樹脂1〜15重量部を配合してなることを特徴とする溶融混練して成形する導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
- 樹脂組成物の特性が、熱変形温度が182N荷重で160℃以上であり、メルトフロー値が、300℃、98N荷重下で5g/10分以上である請求項1記載の溶融混練して成形する導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
- 請求項1又は請求項2の溶融混練して成形する導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を、金型温度100〜175℃で成形し、150℃で5時間アニーリングしたとき、アニーリング前後の成形収縮率の差が0.8/1,000以下である導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の成形品。
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