JP2007217622A - 高拡散高反射用粉体塗料及びその塗料を用いた反射板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 安定して高拡散高反射率の反射板を作製効率高く得ることのできる粉体塗料を提供すること。
【解決手段】 酸価20〜200の酸基含有ポリエステル樹脂を95〜25重量部とエポキシ当量200〜1000のグリシジル基含有アクリル樹脂を5〜75重量部とを成分とする基本樹脂100重量部に対し、屈折率2.7以上で平均粒径が0.2〜0.3μmの酸化チタンを50〜200重量部含んで粉体塗料を作成し、アルミニウムなどの板に塗布焼成して、平均拡散反射率90%以上、平均全反射率90%以上の塗膜を形成する。
【選択図】 なし
【解決手段】 酸価20〜200の酸基含有ポリエステル樹脂を95〜25重量部とエポキシ当量200〜1000のグリシジル基含有アクリル樹脂を5〜75重量部とを成分とする基本樹脂100重量部に対し、屈折率2.7以上で平均粒径が0.2〜0.3μmの酸化チタンを50〜200重量部含んで粉体塗料を作成し、アルミニウムなどの板に塗布焼成して、平均拡散反射率90%以上、平均全反射率90%以上の塗膜を形成する。
【選択図】 なし
Description
本発明は表示灯などの反射板に使用する高拡散高反射率の粉体塗料に関するものである。
表示灯などでは表示面の照度を均一化するために、蛍光灯や導光板などの光源の背後に、高拡散反射率を有した白色のフィルムをアルミニウムの支持台に貼り付けた反射板が配置されている。しかし、このような反射板の作製では、フィルムにしわが寄りやすい等により特に凹凸のある反射面に施工する場合、熟練を要し、均一に貼り付ける手間もかかって能率が悪く、また、フィルム自体が高価であり、反射板の作製に要するコストが高いという問題がある。また、微量ではあるが接着剤から発生する揮発成分も環境上好ましくはない。
この問題を解消する手段として、アルミニウム板の表面に樹脂100重量部に対し酸化チタン150〜300重量部含有する下塗り層と酸化チタン100〜250重量部含有する上塗り層とを合計60〜130μmの溶剤型塗料を塗着しこれを焼き付けて高拡散反射率の反射板を作製することが考えられている。このようにアルミニウム板に塗料を塗着しこれを焼き付けて作製すると、作製は容易であり、安価な塗料で作製することができ、その分製造コストの削減を図ることが期待できる。
特開平4−296819公報
特開2002−172735公報
しかし、従来の溶剤型塗料では、塗着と焼成を2度あるいは3度と繰り返なければ所望の高拡散反射率の反射板を得ることができず、作製効率は悪く、安定して高拡散反射率の反射板を得ることが困難であるといった問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、安定して高拡散高反射率の反射板を作製効率高く得ることのできる粉体塗料を提供し、斯かる問題を解消する点にある。
本発明は、酸価20〜200の酸基含有ポリエステル樹脂を95〜25重量部とエポキシ当量200〜1000のグリシジル基含有アクリル樹脂を5〜75重量部とを成分とする基本樹脂100重量部に対し、屈折率2.7以上で平均粒径が0.2〜0.3μmの酸化チタンを50〜200重量部含んでなる粉体塗料であることを主要な特徴とする。
本発明に係る粉体塗料では、1度の塗着と焼成により隠蔽性および拡散性が高く、かつ可視光線の波長のほぼ全範囲において反射率が平均して高い高反射率の反射板を得ることができる。また、揮発成分が極めて少ないので、ガス焼付炉の有効な利用が図れ、塗着と焼成が1度で済む作製効率の高いこととあいまって塗装に要する生産コストの低減が図れる。さらに、あらゆる形状物に自由に高拡散高反射率の膜を簡単に施すことができるとともに、反射板間にバラツキが少なく常に安定した高拡散高反射率を呈する白色の塗装面が得られ、信頼性の高い反射板とすることができる。
安定して高拡散高反射率の反射板を作製効率高く得ることのできる粉体塗料を提供する目的で、発明者等は鋭意研究した結果、それぞれ、特定の酸基含有ポリエステル樹脂(A)と特定のグリシジル基含有アクリル樹脂(B)及び必要に応じそれら樹脂と反応する化合物である補助硬化剤(C)を含んでなる基本樹脂に特定の酸化チタンを特定量含有する粉体塗料が、上述した目的に合致することを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、酸価20〜200の酸基含有ポリエステル樹脂(A)を95〜25重量部、好ましくは80〜40重両部とエポキシ当量200〜1000のグリシジル基含有アクリル樹脂(B)を5〜75重量部、好ましくは20〜60重量部とを必須の成分とし、必要に応じて補助硬化剤(C)を0.1〜30重量部からなる基本樹脂100重量部に対し、屈折率2.7以上平均粒径が0.2〜0.3μmの酸化チタンを50〜200重量部、好ましくは60〜150重両部含んでなる粉体塗料にすると、その塗装被膜は微視的に見た場合均一なリンクル模様を生ずることから高度の拡散反射率と全反射率を有する塗膜が得られる。
本発明に係る粉体塗料用樹脂組成物の、第一の必須構成成分たる、前記した酸基含有ポリエステル樹脂(A)とは、主として、多価アルコールと、多塩基酸との脱水縮合反応により生成する樹脂を指し、特に、末端官能基として酸基を含むという形の樹脂を指すものである。
ところで、粉体塗料用として実用に供する場合における、当該ポリエステル樹脂としては、就中、酸価が20〜200(mgKOH/g;以下同様)なる範囲内であることが望ましい。酸価が20よりも小さい場合には、反応性が劣るほか、得られる塗膜の、とりわけ、機械的物性などが非常に劣るものとなり易いし、一方、200よりも大きい場合には反応速度が早くなり、塗膜の、とりわけ、平滑性などが極めて劣悪なものとなり易くなるので、いずれの場合も好ましくない。
また、当該酸基含有ポリエステル樹脂(A)の構造は、上述したような樹脂諸特性値の範囲内であれば、特に制限されるものではなく、分岐構造のものでも、線状構造のものでもよいが、塗膜外観、即ち塗膜の平滑性などを考えた場合には、線状構造のもの、つまり、分子鎖の末端部位ないしは中間部位に、若干の分岐構造の部分が存在しているようなものでも、全体として、実質的に線状のものであると見られるような範囲までをも含めた形の、そうした、いわゆる線状構造と呼び得るようなものの使用が望ましい。
当該酸基含有ポリエステル樹脂(A)の調製方法については、特に制限はなく、公知慣用の種々の方法が利用し適用できるし、その際の原料として使用し得る多価アルコールならびに多塩基酸もまた、公知慣用の種々の化合物が使用できる。
まず、上記した多価アルコールとして特に代表的なもののみを挙げるにとどめれば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビス−ヒドロキシエチル・テレフタレート、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールなどであり、さらには、モノエポキシ化合物もまた、この多価アルコール成分として使用することができる。
他方、上記した多塩基酸として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、メチルテレフタル酸またはトリメリット酸あるいは其れ等の無水物;ピロメリット酸あるいは其の無水物;アジピン酸、セバチン酸またはコハク酸あるいは其れ等の無水物;マレイン酸あるいは其の無水物;フマル酸またはテトラヒドロフタル酸あるいは其れ等の無水物;メチルテトラヒドロフタル酸あるいは其の無水物;ヘキサヒドロフタル酸あるいは其の無水物;さらには、メチルヘキサヒドロフタル酸あるいは其の無水物などである。
次いで、本発明に係る粉体塗料用樹脂組成物の、第二の必須構成成分たる、前記したグリシジル基含有アクリル樹脂(B)とは、主として、分子の末端または側鎖に、グリシジル基を有するビニル系共重合体をさすものである。本発明においては、それぞれ、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルアクリレートおよびβ−メチルグリシジルメタクリレートよりなる群から選ばれる、少なくとも1種の化合物を、単独使用または2種以上の併用により、あるいは此等の化合物と共重合可能なる其の他のビニル系単量体類をも併用して、共重合せしめるということによって得られる共重合体が、好適に使用できる。
ところで、粉体塗料用として実用に供する場合における、当該アクリル樹脂としては、エポキシ当量が200〜1000のグリシジル基の範囲内であることが望ましい。 エポキシ当量が200よりも小さい場合は反応性が早すぎて、とりわけ、平滑性などが劣り、機械的物性や貯蔵安定性も劣ることになる。一方、1000よりも大きい場合は、反応速度が遅くなり、機械的物性が低下し、光沢も十分低下しない。また、軟化点が100℃より低いとポリエステル樹脂との相溶性が良くなり、所望の光沢が得られず、150℃より高くなると粉体塗料を作成する段階で押し出し機で十分溶融せず、従って良好な塗膜の外観と機械的性能が得られない。
溶解性パラメーターはポリエステル樹脂との相溶性に関係する重要な因子であり、当該パラメーターが10より大きいとポリエステル樹脂との相溶性が良くなって、光沢値が高くなる。一方9より小さいと、ポリエステル樹脂との相溶性が全くなくなり、均一な塗膜が得られなくなる。数平均分子量が4000以下ではポリエステル樹脂と相溶し易くなり、低い光沢値が得られない。
当該グリシジル基含有アクリル共重合体(B)を調製する際に使用できる其の他のビニル単量体類として特に代表的なもののみを挙げるにとどめれば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートもしくはシクロヘキシルアクリレートの如き、各種のアクリル酸エステル類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−、iso−ないしはtert−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートもしくはベンジルメタクリレートの如き、各種のメタクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸もしくはフマル酸の如き、各種のカルボキシル基含有単量体類;イタコン酸、マレイン酸もしくはフマル酸のなどのような種々の多価カルボキシル基含有単量体と、炭素数が1〜18なるモノアルキルアルコールとのモノ−またはジエステル類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテルもしくは6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテルなどのような種々の水酸基を有するビニルエーテル類;または此等の、上掲したような種々のビニルエーテルと、ε−カプロラクトンとの付加反応生成物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アリルエーテル、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アリルエーテル、3−ヒドロキシブチル(メタ)アリルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル(メタ)アリルエーテル、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アリルエーテルもしくは6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アリルエーテルの如き、各種の水酸基含有アリルエーテル;または此等の、上掲したような各種のアリルエーテルと、ε−カプロラクトンとの付加反応生成物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートもしくはポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートの如き、各種の水酸基含有(メタ)アクリレート類;また此等の、上掲したような各種の(メタ)アクリレートと、ε−カプロラクトンの付加反応主成分(付加反応物を構成する主成分)などであるし、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドもしくはN−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの如き、各種のアミノ基含有アミド系不飽和単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートもしくはジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートの如き、各種のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、ピロリジニルエチル(メタ)アクリレートもしくはピペリジニルエチル(メタ)アクリレートの如き、各種のアミノ基含有単量体;エチレン、プロピレンもしくはブテン−1の如き、各種のα−オレフィン類;塩化ビニルもしくは塩化ビニリデンの如き、フルオロオレフィンを除く、各種のハロゲン化オレフィン類(ハロ・オレフィン類);スチレン、α−メチルスチレンもしくはビニルトルエンの如き、各種の芳香族ビニル単量体;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランもしくはγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランの如き、各種の加水分解性シリル基含有単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ(iso−)酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、C9 なる分岐状(分枝状)脂肪族カルボン酸ビニル、C10なる分岐状脂肪族カルボン酸ビニル、C11なる分岐脂肪族カルボン酸ビニルもしくはステアリン酸ビニルの如き、各種の脂肪族カルボン酸ビニル類;シクロヘキサンカルボン酸ビニル、メチルシクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニルもしくはp−tert−ブチル安息香酸ビニルの如き、環状構造を有するカルボン酸の、各種のビニルエステル類などである。
当該グリシジル基含有アクリル共重合体(B)の調製方法については、特に制限はなく、公知慣用の種々の方法が利用し適用できるけれども、とりわけ、上掲したような種々の単量体類を、溶液中で、ラジカル重合反応せしめたのちに、脱溶剤せしめるということによって、目的とする重合体を得るというような方法によるのが、分子量の調節が容易であるという面で、特に推奨することが出来る。
また、SP値(溶解性パラメーター)の測定方法は次の方法により計算して求めることができる。
SP(溶解性パラメーター)測定法
1.樹脂0.5gをTHF10mlに溶解する。
2.ヘキサンを加え、濁った時点の滴定量(h
ml)を読む。(25℃)
3.同様に脱イオン水を加え、濁った時点の滴定量(d ml)を読む。
(25℃)
4.次式に従ってSP値を求める。
SP=(√Vh ×δh + √Vd ×δd)/(√Vh + √Vd)
Vh=h/(h+10)、Vd=d/(d+10)
δh=9.38×(10/(10+h))+7.24×h/(10+h)
δd=9.38×(10/(10+d))+23.43×d/(10+d)
9.38はTHFのSP、7.24はヘキサンのSP、23.43は脱イオン水のSP
[ref.: SUH,CLARKE[J.
Polym.Sci. A-1, Vol.5, 1671-1681(19)に開示された算式に準拠する。]
なお、請求項5でいう酸基含有アクリル樹脂の溶解性パラメーター(SP)は、上記算式による。
また、SP値(溶解性パラメーター)の測定方法は次の方法により計算して求めることができる。
SP(溶解性パラメーター)測定法
1.樹脂0.5gをTHF10mlに溶解する。
2.ヘキサンを加え、濁った時点の滴定量(h
ml)を読む。(25℃)
3.同様に脱イオン水を加え、濁った時点の滴定量(d ml)を読む。
(25℃)
4.次式に従ってSP値を求める。
SP=(√Vh ×δh + √Vd ×δd)/(√Vh + √Vd)
Vh=h/(h+10)、Vd=d/(d+10)
δh=9.38×(10/(10+h))+7.24×h/(10+h)
δd=9.38×(10/(10+d))+23.43×d/(10+d)
9.38はTHFのSP、7.24はヘキサンのSP、23.43は脱イオン水のSP
[ref.: SUH,CLARKE[J.
Polym.Sci. A-1, Vol.5, 1671-1681(19)に開示された算式に準拠する。]
なお、請求項5でいう酸基含有アクリル樹脂の溶解性パラメーター(SP)は、上記算式による。
次いで、本発明に係る粉体塗料用樹脂組成物の第三の構成成分たる補助硬化剤(C)は、当該酸基含有ポリエステル樹脂(A)又はグリシジル基含有アクリル樹脂(B)と反応可能な物質であれば特に限定しない。酸基含有ポリエステル樹脂(A)と反応可能な補助硬化剤(C)としては、β―ヒドロキシアルキルアミド、エポキシ樹脂、当該酸基含有ポリエステル樹脂(A)と相溶性が良いアクリル樹脂などが挙げられ、またグリシジル基含有アクリル樹脂(B)と反応可能な補助硬化剤(C)としては、ドデカン二酸(DDA)などが挙げられる。
この補助硬化剤(C)を添加する目的は、溶解性パラメーターが10より小さい、当該酸基含有ポリエステル樹脂(A)と相溶性が悪いアクリル樹脂が骨格に入ってくると、塗膜が脆くなり易いため、長期間の付着性を維持するためには、基材の伸縮に対し追随する必要があり、基本樹脂の機械的物性を補うために、必要に応じて0.1〜30重量部、補助硬化剤として加えることが出来る。
酸化チタンについては、最高の反射率を得るための酸化チタンの種類と量が必要である。すなわち、屈折率2.7以上、球形結晶構造で、アルミナおよびシリカ、または、アルミナ、シリカおよびジルコニアからなる不活性無機酸化物含有被覆層を有し、平均粒径0.2〜0.3μmの酸化チタンを樹脂100重量部に対し、50〜200重量部含ませることが必要である。
また、硬化触媒及び酸化防止剤として燐系の添加剤を、それぞれ0.02〜1重量%を含有させることにより、焼付け時の色焼けを大幅に低減することができる。
以上までに掲げて来たような、各必須構成成分から、目的とする粉体塗料を調製する方法としては、公知慣用の種々の方法が用いられるが、それらのうちでも特に代表的なる方法としては、まず、そうした各必須構成成分に着色顔料や流展剤などを混合せしめ、さらに、かくして得られる混合物を溶融混練せしめ、次いで、微粉砕工程、そして、分級工程を経て、粉体塗料と為すという、いわゆる機械的粉砕方式などがある。
ここにおいて、かくして得られる、本発明に係る粉体塗料用樹脂組成物を、粉体塗料として利用し適用する際に用いられる、いわゆる被塗物基材として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アルミニウム、ステンレス・スチール、クロム・メッキ、トタン板またはブリキ板の如き、各種の金属素材または金属製品類;ガラス類などであり、具体的には、誘導灯、サイン灯、ダウンライト、液晶画面等の反射板であり、種々の鉄または非鉄金属類、及びガラス板等の諸素材類ないしは諸製品類などである。
かくして得られる、本発明の粉体塗料用樹脂組成物は、常法により、上掲したような種々の被塗物基材類に塗布され、次いで、常法に従って、焼き付け乾燥せしめるということによって、塗膜の、とりわけ、拡散反射率と全反射率が高く硬化性、外観、ならびに機械的物性などに優れた塗膜を与えることが出来るものである。
次に、実施例および比較例により、本発明を具体的に説明する。なお、以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて重量基準であるものとする。また、本発明は、以下に示す実施例に限られるものではない。
ポリエステル樹脂[CC2630−2(注1)] 42.00
アクリル樹脂[SYNTHACRYL 710(注2)] 18.00
顔料[タイペークCR90(注3)] 45.00
レベリング剤[BYK360P(注4)] 1.00
ベンゾイン 0.30
酸化防止剤[SANDOSTAB P−EPQ POWDER(注5)] 0.5
注1:ダイセル・サイテック株式会社製ポリエステル樹脂
注2:ダイセル・サイテック社製アクリル樹脂(SP値 9.5)
注3:石原産業社製酸化チタン
注4:ビックケミー社製レベリング剤
注5:クラリアントジャパン社製、燐系酸化防止剤
アクリル樹脂[SYNTHACRYL 710(注2)] 18.00
顔料[タイペークCR90(注3)] 45.00
レベリング剤[BYK360P(注4)] 1.00
ベンゾイン 0.30
酸化防止剤[SANDOSTAB P−EPQ POWDER(注5)] 0.5
注1:ダイセル・サイテック株式会社製ポリエステル樹脂
注2:ダイセル・サイテック社製アクリル樹脂(SP値 9.5)
注3:石原産業社製酸化チタン
注4:ビックケミー社製レベリング剤
注5:クラリアントジャパン社製、燐系酸化防止剤
以上の塗料配合組成比で以って、まず、各成分をヘンシェルミキサー(三井三池製作所製)にて予備混合し、ついでそれぞれの混合物を、「PCM30型」(池貝鉄工製)なる型式の二軸混練機によって加熱混練せしめた。かくして得られた混練物を粗粉砕せしめたのち、サンプルミル(ダルトン社製)にて微粉砕せしめるということによって、平均粒径が30〜40マイクロメーター(μm)なる粉体塗料を調製せしめた。
しかる後その粉体塗料を、0.8mm厚の燐酸亜鉛処理鋼板上に静電粉体塗装せしめ、さらに、180℃の温度で、20分間の焼き付けを行なうということによって、塗装膜厚70μmである粉体硬化塗膜を得た。
ポリエステル樹脂[CC2630−2(注1)] 42.00
補助硬化剤[Primid XL552 (注6)] 1.20
アクリル樹脂[SYNTHACRYL 710(注2)] 14.80
顔料[タイペークCR90(注3)] 48.00
レベリング剤[BYK360P(注4)] 1.00
ベンゾイン 0.30
酸化防止剤[SANDOSTAB P−EPQ POWDER(注5)] 0.5
注6:エムス社製β-ヒドロキシアルキルアミド
以上の塗料配合組成比で以って、実施例1と同方法で塗装膜厚70μmである各種の粉体硬化塗膜を得た。
補助硬化剤[Primid XL552 (注6)] 1.20
アクリル樹脂[SYNTHACRYL 710(注2)] 14.80
顔料[タイペークCR90(注3)] 48.00
レベリング剤[BYK360P(注4)] 1.00
ベンゾイン 0.30
酸化防止剤[SANDOSTAB P−EPQ POWDER(注5)] 0.5
注6:エムス社製β-ヒドロキシアルキルアミド
以上の塗料配合組成比で以って、実施例1と同方法で塗装膜厚70μmである各種の粉体硬化塗膜を得た。
(比較例1)
エポキシ樹脂[エピクロン AM020P(注7)] 16.50
ポリエステル樹脂[CC1701−0(注8)]
38.50
顔料[タイペークCR90(注3)] 43.50
レベリング剤[BYK360P(注4)] 1.00
ベンゾイン 0.50
酸化防止剤[SANDOSTAB P−EPQ POWDER(注5)] 0.5
注7:大日本インキ化学工業社製エポキシ樹脂
注8:ダイセル・サイテック社製ポリエステル樹脂
以上の塗料配合組成比で以って、実施例1と同方法で塗装膜厚70μmである各種の粉体硬化塗膜を得た。
エポキシ樹脂[エピクロン AM020P(注7)] 16.50
ポリエステル樹脂[CC1701−0(注8)]
38.50
顔料[タイペークCR90(注3)] 43.50
レベリング剤[BYK360P(注4)] 1.00
ベンゾイン 0.50
酸化防止剤[SANDOSTAB P−EPQ POWDER(注5)] 0.5
注7:大日本インキ化学工業社製エポキシ樹脂
注8:ダイセル・サイテック社製ポリエステル樹脂
以上の塗料配合組成比で以って、実施例1と同方法で塗装膜厚70μmである各種の粉体硬化塗膜を得た。
(比較例2)
エポキシ樹脂[エポトート YD-903N(注9)] 35.40
架橋剤[OSK-68(注10)] 2.0
ポリエステル樹脂[CC1701−0(注8)]
24.50
顔料[タイペークCR90(注3)] 52.00
レベリング剤[BYK360P(注4)] 1.00
ベンゾイン 0.30
酸化防止剤[SANDOSTAB P−EPQ POWDER(注5)] 0.5
注9:東都化成社製エポキシ樹脂
注10:デグサジャパン社製架橋剤、錯塩混合物
以上の塗料配合組成比で以って、実施例1と同方法で塗装膜厚70μmである各種の粉体硬化塗膜を得た。
エポキシ樹脂[エポトート YD-903N(注9)] 35.40
架橋剤[OSK-68(注10)] 2.0
ポリエステル樹脂[CC1701−0(注8)]
24.50
顔料[タイペークCR90(注3)] 52.00
レベリング剤[BYK360P(注4)] 1.00
ベンゾイン 0.30
酸化防止剤[SANDOSTAB P−EPQ POWDER(注5)] 0.5
注9:東都化成社製エポキシ樹脂
注10:デグサジャパン社製架橋剤、錯塩混合物
以上の塗料配合組成比で以って、実施例1と同方法で塗装膜厚70μmである各種の粉体硬化塗膜を得た。
(比較例3)
ポリエステル樹脂[CC2630−2(注1)] 42.00
アクリル樹脂[ファインディックA261(注11)]12.40
顔料[タイペークCR90(注3)] 45.00
レベリング剤[BYK360P(注4)] 1.00
ベンゾイン 0.30
酸化防止剤[SANDOSTAB P−EPQ POWDER(注5)] 0.5
注11:大日本インキ化学工業社製アクリル樹脂(SP値 10.6)
以上の塗料配合組成比で以って、実施例1と同方法で塗装膜厚70μmである各種の粉体硬化塗膜を得た。
ポリエステル樹脂[CC2630−2(注1)] 42.00
アクリル樹脂[ファインディックA261(注11)]12.40
顔料[タイペークCR90(注3)] 45.00
レベリング剤[BYK360P(注4)] 1.00
ベンゾイン 0.30
酸化防止剤[SANDOSTAB P−EPQ POWDER(注5)] 0.5
注11:大日本インキ化学工業社製アクリル樹脂(SP値 10.6)
以上の塗料配合組成比で以って、実施例1と同方法で塗装膜厚70μmである各種の粉体硬化塗膜を得た。
以上のようにして得た実施例1〜3と比較例1および2のそれぞれの塗板を、諸性能の評価判定試験に供したが、それらの評価判定試験の結果は、まとめて、表1に示す。
なお、この評価判定試験の要領は、次の通りである。
(1)鏡面光沢度:JIS K5600−4−7(60度/60度法)
(2)耐屈曲性:JIS K5600−5−1
○…試験後に塗膜に割れ、剥がれなどの欠陥が見受けられない場合
×…試験後に塗膜に割れ、剥がれなどの欠陥が発生した場合
(3)耐光性:恒温槽内に水銀灯を垂直に設置し、水銀灯の中心から半径240mmのドラムを設け2回転/分で回転させ、試験塗膜をドラムに設置し照射するようにする。その恒温槽内の雰囲気温度が90℃にて塗膜に対する水銀灯照射を168時間行なった。評価は、試験前(未試験塗膜)と試験後の塗膜の色差(ΔE)の測定によって行なった。この ΔEの値が小さいほど耐光性が良好である事を意味する。
(4)拡散反射率:ミノルタ社製CM−2500d(積分球使用、拡散照明8°方向受光)を用い、波長560nmでの正反射光を除く反射率についてMgO白板を100とした時の百分率で表した。
(5)全反射率:ミノルタ社製CM−2500d(積分球使用、拡散照明8°方向受光)を用い、波長560nmでの正反射光を含む反射率をMgO白板を100とした時の百分率で表した。
なお、この評価判定試験の要領は、次の通りである。
(1)鏡面光沢度:JIS K5600−4−7(60度/60度法)
(2)耐屈曲性:JIS K5600−5−1
○…試験後に塗膜に割れ、剥がれなどの欠陥が見受けられない場合
×…試験後に塗膜に割れ、剥がれなどの欠陥が発生した場合
(3)耐光性:恒温槽内に水銀灯を垂直に設置し、水銀灯の中心から半径240mmのドラムを設け2回転/分で回転させ、試験塗膜をドラムに設置し照射するようにする。その恒温槽内の雰囲気温度が90℃にて塗膜に対する水銀灯照射を168時間行なった。評価は、試験前(未試験塗膜)と試験後の塗膜の色差(ΔE)の測定によって行なった。この ΔEの値が小さいほど耐光性が良好である事を意味する。
(4)拡散反射率:ミノルタ社製CM−2500d(積分球使用、拡散照明8°方向受光)を用い、波長560nmでの正反射光を除く反射率についてMgO白板を100とした時の百分率で表した。
(5)全反射率:ミノルタ社製CM−2500d(積分球使用、拡散照明8°方向受光)を用い、波長560nmでの正反射光を含む反射率をMgO白板を100とした時の百分率で表した。
実施例1及び2は、いずれも比較例1〜3に比し全反射率、拡散反射率および耐光性において優れていることが分かる。
Claims (6)
- 酸価20〜200の酸基含有ポリエステル樹脂を95〜25重量部とエポキシ当量200〜1000のグリシジル基含有アクリル樹脂を5〜75重量部とを成分とする基本樹脂100重量部に対し、屈折率2.7以上で平均粒径が0.2〜0.3μmの酸化チタンを50〜200重量部含んでなる平均拡散反射率90%以上、平均全反射率90%以上の塗膜を与える高拡散高反射用粉体塗料。
- 硬化触媒及び酸化防止剤として燐系の添加剤を、それぞれ0.02〜1重量%を含有してなる請求項1記載の高拡散高反射用粉体塗料。
- 不活性無機酸化物含有被覆層がアルミナおよびシリカ、またはアルミナ、シリカおよびジルコニアからなる酸化チタンである請求項1記載の高拡散高反射用粉体塗料。
- 酸基含有ポリエステル樹脂又はグリシジル基含有アクリル樹脂と反応可能な物質を補助硬化剤として0.1〜30重量部含んでなる請求項1記載の高拡散高反射用粉体塗料。
- 酸基含有アクリル樹脂の溶解性パラメーター(SP)が9以上10以下、軟化点100℃以上150℃以下、数平均分子量4000以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4に記載の高拡散高反射用粉体塗料。
- 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の粉体塗料組成物を塗装したことを特徴とする反射板。
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