JP2007212237A - 等速自在継手のボール欠品有無検出装置と検出方法 - Google Patents

等速自在継手のボール欠品有無検出装置と検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】等速自在継手のボールの欠品有無を正確かつ低コストに検出すること。
【解決手段】外方部材25の内側にエアー供給管2aによってエアーを供給する。ケージの外側開口から吹き出すエアーの流量をエアー流量計19で検出し、その流量が所定値よりも低い場合にボール欠品と判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、継手内に供給したエアーがケージの外側開口から吹き出す際の流量によってボールの欠品の有無を検出するようにした装置と方法に関する。
等速自在継手の外方部材に対して、内方部材、ボールおよびケージの組立体を組み付けたサブアッシー状態で、ボールの組み込み不良(ボール欠品)の有無を検査する工程がある。従来のボール欠品検査方法は、外方部材に蛍光灯を覆い被せる一方、外方部材の内部に光量センサーを挿入し、外方部材と内方部材との間の隙間から漏れて差し込む光の量を光量センサーで測定してその光量の大きさによってボール欠品の有無を判別するものであった。
従来のボール欠品検出方法は、外方部材と内方部材との間に組み込まれる6個ないし8個のボールのうち1個でも組み込み不良があった場合、そこから洩れる光を検出する方式である。このため、蛍光灯の使用時間に伴いその光量が自然低下すると、ボールの組込み不良があってもボール欠品なしと判定してしまうという問題があった。また、蛍光灯の寿命が比較的短く頻繁に交換する必要があり、蛍光灯の交換費用と交換のための作業工数がかかっていた。
本発明は、等速自在継手のボールの欠品有無を正確かつ低コストに検出することを目的とする。
前記課題を解決するため、請求項1に係る本発明は、内球面に複数のトラック溝を形成した外方部材と、外球面に前記外方部材のトラック溝と対をなす複数のトラック溝を形成した内方部材と、前記外方部材のトラック溝と内方部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、前記外方部材の内球面と内方部材の外球面との間に介在してボールを保持するケージとを備えた等速自在継手のボールの欠品有無を検出する検出装置において、前記外方部材の内側にエアーを供給するエアー供給管と、前記ケージの外側開口から吹き出すエアーの流量を検出するエアー流量計とを備えたことを特徴とする。
この発明は、エアー供給管によって外方部材の内側に供給したエアーがケージの外側開口から吹き出す際の流量に着目している。ボールの欠品がある場合はそこからエアーが漏れるため、その分だけケージの外側開口から吹き出すエアー流量が低下する。この流量の低下をエアー流量計で検出してボール欠品を検出するのである。
請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記ケージの外側開口を蓋板で覆うとともに、この蓋板の内側のエアーを前記エアー流量計に導入するようにしたものである。
ケージの外側開口を開放したままでも、エアー流量計に至る排気管の入口を例えばエアー供給管の出口付近に配置することによってボール欠品の有無を検出可能である。しかし、ケージの外側開口を蓋板で閉塞しておけば継手内部にエアー溜まりを形成することができるので、エアー流量計に至る排気管の入口を前記エアー溜まりの任意の部位に配置することができるとともに、ボール欠品位置以外からのエアー漏れをなくして検出精度を高めることができる。またエアーの排気ロスがなくなるためエアー供給源のエネルギーを節約できる。
請求項3に係る発明は、請求項2の発明において、前記蓋板に内筒と外筒を備えた二重管を連結し、前記内筒によって前記エアー供給管を構成するとともに、前記内筒と外筒との間を通して蓋板の内側のエアーを前記エアー流量計に導入するようにしたものである。
このようにエアーの供給と排気を二重管により行うことで装置を簡略化することができる。
請求項4に係る発明は、内球面に複数のトラック溝を形成した外方部材と、外球面に前記外方部材のトラック溝と対をなす複数のトラック溝を形成した内方部材と、前記外方部材のトラック溝と内方部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、前記外方部材の内球面と内方部材の外球面との間に介在してボールを保持するケージとを備えた等速自在継手のボールの欠品有無を検出する検出方法において、前記外方部材の内側にエアーを供給する一方、前記ケージの外側開口から吹き出すエアーの流量をエアー流量計で検出し、前記エアーの流量が所定値よりも大きいか否かによって前記ボールの欠品有無を検出するようにしたものである。
ボール欠品がない状態でのケージの外側開口から吹き出すエアー流量は、継手の型式毎にほぼ一定となる。またボール欠品が1個の場合は当該エアー流量よりも少なくなるが、その流量もほぼ一定となる。これら2つの流量の間にしきい値を設定することにより、ボールの欠品有無を高精度に検出することができる。
本発明は前述の如く、外方部材の内側に供給したエアーがケージの外側開口から吹き出す際のエアー流量によってボール欠品有無を検出するようにしたので、従来の蛍光灯の光量によるボール欠品有無検出に比べて、光量低下によるボール欠品見逃しといった誤作動のおそれがなく、不測にエアー供給管の詰まり等が発生した場合でもボール欠品有りと判定するため不良品をパスさせることがない。しかもエアー供給システムは既存のものを利用可能であるから新規の設備投資が僅かで済み、装置部品の劣化の心配等もないので維持費が極めて少なくて済む。
以下、本発明の実施の形態を図に基づき説明する。図1(A)(B)は本発明に係るボール欠品有無検出装置1を示す。装置1は内筒2aと外筒2bからなる縦型の二重管2を有し、この二重管2の内筒2aが支柱3の上腕部3aで上下動可能に支持され、外筒2bが下腕部3bで上下動可能に支持される。外筒2bから突き出た内筒2aの上端部に側方に張り出したブラケット4が固定され、このブラケット4の下面に近接センサ5が取り付けられる。支柱3の上腕部3aにロッドが上向きに固定され、このロッド6の上端に近接センサ5が当接する。これにより、二重管2の重量が上腕部3aを介して支柱3に支持される。支柱3は昇降シリンダ8によって昇降されるようになっている。
二重管2の内筒2aはエアー供給管となるもので、その上端にエアーチューブ7が接続される。また、二重管2の下端外周には、図2に拡大図示するように、二重管2の半径方向に延在した円板状の蓋板10と、この蓋板10のボスを兼用し前記外筒2bに連結されたスリーブ11が固定される。蓋板10はボール欠品を検査する等速自在継手12のケージ13の外側開口を閉塞可能な直径とする。なお、蓋板10に代えて図3のように内部に所定容積のエアー溜まりを有するカップ状の蓋体14をケージ13の外側開口に被せてもよい。また、エアーの供給については流量検出側とエアー供給側を入れ替えても良い。
蓋板10の代わりに内方部材26の内径入口に嵌合するテ―パノズルを使用し、このテーパノズルの先端開口から二重管2の内筒2aの先端を継手内に突出させてもよい。この場合、内筒2aから出たエアーはテーパノズルの先端開口隙間から後述のエアー流量計を通して排気される。等速自在継手の型式によって、蓋板方式又はテーパノズル方式のいずれか適切な方を選択すればよい。
スリーブ11と支柱3の下腕部3bとの間に圧縮ばね15が配設される。常時はこの圧縮ばね15の附勢力が近接センサ5を介してロッド6に作用する。圧縮ばね15の周囲は下腕部3bから下方に延在する円筒カバー16で覆われる。スリーブ11の上部外周は円筒カバー16の内周面に摺動自在に嵌合される。
スリーブ11の上端には外筒2bが連結され、この連結部分に隣接して連結環17が配設される。連結環17は外筒2bの下端部に当接し、かつ、内筒2aとスリーブ11との間の隙間を閉塞する。
スリーブ11の側面に排気口18が形成され、この排気口18にエアー流量計19が接続される。排気口18は二重管2のスリーブ11と内筒2aとの間の空間に連通される。
ボール欠品有無検出装置1は以上のように構成され、この装置1を使って等速自在継手12のボール欠品有無が以下のように検出される。図1のサブアッセンブリ状態の等速自在継手12は、軸部25aとカップ状部25bからなる外方部材25がカップ状部25bの開口を上にして示される。この等速自在継手12は通常の固定式等速自在継手であって、内球面25cに複数のトラック溝25dを形成した外方部材25と、外球面26cに外方部材25のトラック溝25dと対をなす複数のトラック溝26dを形成した内方部材26と、外方部材のトラック溝25dと内方部材26のトラック溝26dとの間に介在してトルクを伝達する複数のボール27と、外方部材25の内球面25cと内方部材26の外球面26cとの間に介在してボール27を保持するケージ13とを備える。
等速自在継手12は縦置き状態で連続的にボール欠品有無検出装置まで搬送される。蓋板10の下方まで搬送された等速自在継手12はそこで一旦停止し、続いて昇降シリンダ8によって装置1全体が図1の高さまで下降される。これにより、蓋板10の下面がケージ13に当接する。装置1の下降端の検出信号を受けて一定圧のエアーが内筒2aの上端に自動的に供給される。内筒2aに供給されたエアーは内筒2aの下端から外方部材25の内部に吹き出し、ケージ13と蓋板10で囲まれた領域を経由し、排気口18からエアー流量計19を通って外部に排気される。
この際、外方部材25と内方部材26のトラック溝25d、26d相互間に配設される6個または8個のボール27のいずれか一つでも欠けていると、このボール欠品部分を通して外方部材25の内部のエアーが外部に漏れ出るため、その分だけエアー流量計19の流量は少なくなる。図4はボール欠品なしの継手とボール欠品1個の継手を検査した時のエアー流量計19の流量を示す。横軸は検査した継手の個体番号(合計100個)を示し、縦軸はエアー流量(リッター/分)を示す。使用した継手は型番「EUJ109」の固定式等速自在継手である。図4から分かるように、ボール欠品なしの継手では約3.1〜3.4リッタ/分の流量であったのに対し、ボール欠品1個の継手では約2.4〜2.8リッタ/分の流量であった。ボール欠品2個では2.0リッタ/分以下の流量となることは確実である。したがって、これら二つの流量の中間の例えば2.95リッタ/分をしきい値として設定すれば、ボール欠品の有無を確実に判定することができる。
カップ状部25aの底部から内筒2aの下側先端までの距離をボール外径−2mmとし、カップ状部25b内にボールが落下していた場合には、そのボールによって圧縮ばね15に抗して内筒2aが押し上げられる。内筒2aが押し上げられると近接センサ5がロッド6から離間し、この離間をセンサーにて検出した近接センサ5からの信号によってカップ状部25a内部にボールが落下していることを検出し、エアー流量検出をしないで、異常として測定を中止する。
継手のボール欠品有無の検出を終了すると、装置1をシリンダによって上方に引き上げることで継手12のケージ13を蓋板10から離間させる。その後継手12を水平方向に搬送し、ボール欠品有りの継手12は下流側のNG排出レーンに排出されボール欠品無しの継手12はそのまま下流側のOKワーク整列台に搬送される。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想に基づき種々の変形が可能である。例えば、前記実施形態では固定式等速自在継手のボール欠品有無検出について説明したが、本発明はこれに限らず摺動式等速自在継手などあらゆる型式の等速自在継手のボール欠品有無検出に適用可能である。
(A)は本発明に係るボール欠品有無検出装置の正面図、(B)は等速自在継手を省略した同装置の側面図。 ボール欠品有無検出装置の要部拡大断面図。 ボール欠品有無検出装置の変形例の要部拡大断面図。 エアー流量の検査結果を示すグラフ。
符号の説明
1 ボール欠品有無検出装置
2 二重管
2a 内筒
2b 外筒
3 支柱
3a 上腕部
3b 下腕部
4 ブラケット
5 近接センサ
6 ロッド
7 エアーチューブ
8 昇降シリンダ
10 蓋板
11 スリーブ
12 等速自在継手
13 ケージ
14 蓋体
16 円筒カバー
17 連結環
18 排気口
19 エアー流量計
25 外方部材
25a 軸部
25b カップ状部
25c 内球面
25d トラック溝
26 内方部材
26c 外球面
26d トラック溝
27 ボール

Claims (4)

  1. 内球面に複数のトラック溝を形成した外方部材と、外球面に前記外方部材のトラック溝と対をなす複数のトラック溝を形成した内方部材と、前記外方部材のトラック溝と内方部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、前記外方部材の内球面と内方部材の外球面との間に介在してボールを保持するケージとを備えた等速自在継手のボールの欠品有無を検出する検出装置において、前記外方部材の内側にエアーを供給するエアー供給管と、前記ケージの外側開口から吹き出すエアーの流量を検出するエアー流量計とを備えた等速自在継手のボール欠品有無検出装置。
  2. 前記ケージの外側開口を蓋板で覆うとともに、この蓋板の内側のエアーを前記エアー流量計に導入するようにした請求項1の等速自在継手のボール欠品有無検出装置。
  3. 前記蓋板に内筒と外筒を備えた二重管を連結し、前記内筒によって前記エアー供給管を構成するとともに、前記内筒と外筒との間を通して蓋板の内側のエアーを前記エアー流量計に導入するようにした請求項2の等速自在継手のボール欠品有無検出装置。
  4. 内球面に複数のトラック溝を形成した外方部材と、外球面に前記外方部材のトラック溝と対をなす複数のトラック溝を形成した内方部材と、前記外方部材のトラック溝と内方部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、前記外方部材の内球面と内方部材の外球面との間に介在してボールを保持するケージとを備えた等速自在継手のボールの欠品有無を検出する検出方法において、前記外方部材の内側にエアーを供給する一方、前記ケージの外側開口から吹き出すエアーの流量をエアー流量計で検出し、前記エアーの流量が所定値よりも大きいか否かによって前記ボールの欠品有無を検出するようにした等速自在継手のボール欠品有無検出方法。
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