JP2007211247A - 光学的立体造形用樹脂組成物および光学的立体造形方法 - Google Patents

光学的立体造形用樹脂組成物および光学的立体造形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酸素による硬化阻害が起こらず、後硬化処理が不要であり、変形が少ないという優れた特徴を有し、また硬化時の収縮も小さく、所望の寸法の造形物を得ることが容易であり、しかも照射エネルギーに対して感度が高い光学的造形用樹脂組成物及びこれを用いた光学的立体造形方法を提供する。
【解決手段】必須の構成成分として、(1)分子中にオキセタン環を有するカチオン重合性有機物質と、(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤と、必要に応じて、(3)上記特定のカチオン重合性有機物質以外のカチオン重合性有機物質と、(4)ラジカル重合性有機化合物と、(5)エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤とを含有する光学的立体造形用樹脂組成物及び光学的立体造形方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学的立体造形用樹脂組成物及びこれを用いた光学的立体造形方法に関し、詳しくは照射エネルギーに対し高感度である光学的立体造形用樹脂組成物及びこれを用いた光学的立体造形方法に関する。
光学的立体造形とは、特開昭60−247515号公報に記載されている様に、光硬化性を有する各種樹脂を容器に入れ、上方からアルゴンレーザ、ヘリウムカドミウムレーザ、半導体レーザ等のビームを該樹脂の任意の部位に照射し、照射を連続的に行うことによって、樹脂の上記ビーム照射部位を硬化させ、これにより目的とする平面を創生して硬化層を形成する。続いて、該硬化層上に前述の光硬化性を有する樹脂をさらに1層分供給して、これを上記と同様にして硬化し、前述の硬化層と連続した硬化層を得る積層操作を行い、この操作を繰り返すことによって目的とする三次元の立体物を得る方法である。
特開昭60−247515号公報
従来、上記光学的立体造形に用いられていた樹脂としては、まずラジカル重合性樹脂組成物があり、例えば特開平2−228312号公報や特開平5−279436号公報には、(メタ)アクリル樹脂を中心とした立体造形用樹脂組成物が開示されている。また、特開平2−145616号公報には、変形の低減を目的として、液状樹脂と見かけ上比重差が0.2未満である微小粒子を含む光学的立体造形用樹脂が開示されている。さらに、造形物の精度向上のために特開平3−15520号公報にはエチレン系不飽和モノマー、光開始剤及び不溶性潜在放射線偏光物質からなる組成物の報告が、また特開平3−41126号公報にはエチレン系不飽和モノマー、光開始剤及び可溶性潜在放射線偏光物質からなる組成物の報告が、夫々なされている。さらにまた、特開平4−85314号公報にはシリコーンウレタンアクリレート、多官能エチレン性不飽和結合を有する化合物及び重合開始剤を含む樹脂組成物が開示されている。
特開平2−228312号公報 特開平5−279436号公報 特開平2−145616号公報 特開平3−15520号公報 特開平3−41126号公報 特開平4−85314号公報
また、他の光学的立体造形用樹脂としては、カチオン重合性樹脂組成物が知られている。例えば、特開平1−213304号公報には、エネルギー線硬化型カチオン重合性有機化合物とエネルギー線感受性カチオン重合開始剤とを含有することを特徴とする発明が記載されている。また、特開平2−28261号公報には、エネルギー線硬化型カチオン重合性有機化合物に一部エネルギー線硬化型ラジカル重合性有機化合物を配合した低収縮率、高解像度の樹脂が開示されている。さらに、特開平2−80423号公報には、エポキシ樹脂にビニルエーテル樹脂と、エネルギー線感受性カチオン重合開始剤と、ラジカル硬化性樹脂と、エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤とを配合した樹脂組成物が開示されている。さらにまた、特開平2−75618号公報には、エネルギー線硬化性カチオン重合性有機化合物、エネルギー線感受性カチオン重合開始剤、エネルギー線硬化性ラジカル重合性有機化合物、エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤及び水酸基含有ポリエステルを含有することを特徴とする光学的造形用樹脂組成物が開示されている。
特開平1−213304号公報 特開平2−28261号公報 特開平2−80423号公報 特開平2−75618号公報
また、近年、4員環環状エーテルであるオキセタン環の1つもしくは複数を重合性官能基として有するオキセタンモノマーが、対応するエポキシモノマーと同等あるいはそれ以上の光硬化性を有することが報告されている(ジャーナルオブ マクロモレキュラーサイエンス A29巻、10号、915頁、1992年、同A30巻、2&3号、173頁、1993年、同A30巻、2&3号、189頁、1993年)。また、特開平6−16804号公報には、多官能オキセタンモノマーを主成分とする光硬化型組成物が速い硬化性を有するものとして提案されている。さらに、特開平7−53711号公報には分子中に2個以上のオキセタン環を有する化合物、分子中に1個以上のオキシラン環を有する化合物及び活性エネルギー線の照射によりカチオン重合を開始させる化合物からなる活性エネルギー線硬化型組成物が、特開平7−62082号公報には分子中に1個のオキセタン環を有する化合物、分子中に1個以上のオキシラン環を有する化合物及び活性エネルギー線の照射によりカチオン重合を開始させる化合物からなる活性エネルギー線硬化型組成物が、夫々開示されている。
ジャーナル オブ マクロモレキュラーサイエンスA29巻、10号、915頁、1992年、同A30巻、2&3号、173頁、1993年、同A30巻、2&3号、189頁、1993年 特開平6−16804号公報 特開平7−53711号公報 特開平7−62082号公報
しかしながら、ラジカル重合性樹脂やそれを主成分とした光学的立体造形用樹脂組成物は、ラジカル重合を用いているため、何れの樹脂(組成物)を用いた場合でも酸素による硬化阻害が起こり、硬化時の硬化率が低くなってしまうことから、造形時に必ず硬化に関与する光または熱を与える「後硬化処理」をする必要があり、この後硬化処理に際して造形物が変形しやすい欠点を有していた。また、これらの樹脂は硬化時の収縮も大きく、所望の寸法の造形物を得ることが困難であった。
また、上記特開平1−213304号公報、特開平2−28261号公報、特開平2−75618号公報記載のようなカチオン硬化型光学的立体造形用樹脂は、酸素による硬化阻害が起こらず、樹脂中の活性子により光遮断後も硬化が進行することから、後硬化処理が不要であり、変形が少ないという優れた特徴を有し、また硬化時の収縮も小さく、所望の寸法の造形物を得ることが容易であるが、照射エネルギーに対して感度が十分ではないという欠点があった。
さらに、上記オキセタン環を有する化合物を使用する活性エネルギー線硬化性組成物等については、その硬化収縮について未だ不明である。即ち、光学的立体造形においては多くの硬化層を積層するため、光学的立体造形用樹脂は他の光硬化性樹脂の用途に比して造形物の寸法精度に与える樹脂の硬化収縮の影響が大きいため、これらオキセタン環を有する化合物が光学的立体造形に使用できるかどうかは不明であった。
そこで本発明の目的は、酸素による硬化阻害が起こらず、後硬化処理が不要であり、変形が少ないという優れた特徴を有し、また硬化時の収縮も小さく、所望の寸法の造形物を得ることが容易であり、しかも照射エネルギーに対して感度が高い光学的立体造形用樹脂組成物及びこれを用いた光学的立体造形方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、必須の構成成分として、
(1)下記一般式(I)、
Figure 2007211247
(式中、mは1、2、3または4であり、
mが1の場合、R1は低級アルキル基、R2は水素原子、ブチル基またはベンジル基、Zは酸素原子であり、
mが2、3または4の場合、R1は低級アルキル基、R2は下記一般式(IV)、
Figure 2007211247
で表される多価基であって、式中のR7が水素原子である基、またはヘキサメチレン基、Zは酸素原子である)で表されるオキセタン環含有カチオン重合性有機物質、
および/または下記一般式(IX)、
Figure 2007211247
で表されるオキセタン環含有カチオン重合性有機物質と、
(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤と、
を含有することを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物である。
また、本発明は、上記光学的立体造形用樹脂組成物にさらに、
(3)分子中にオキセタン環を有する化合物以外のカチオン重合性有機物質
を含有することを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物である。
さらに、本発明は、上記光学的立体造形用樹脂組成物にさらに、
(4)ラジカル重合性有機化合物と、
(5)エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤と、
を含有することを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物である。
さらにまた、本発明は、エネルギー線硬化性樹脂組成物の任意の表面に、エネルギー線を照射し、該樹脂組成物のエネルギー線照射表面を硬化させて所望の厚さの硬化層を形成し、該硬化層上に前述のエネルギー線硬化性樹脂組成物をさらに供給して、これを同様に硬化させ前述の硬化層と連続した硬化物を得る積層操作を行い、この操作を繰り返すことによって三次元の立体物を得る光学的立体造形法において、上記エネルギー線硬化性樹脂組成物が、上記光学的立体造形用樹脂組成物であることを特徴とする光学的立体造形方法である。
本発明の光学的造形用樹脂組成物によれば、酸素による硬化阻害が起こらず、後硬化処理が不要であり、変形が少なく、硬化時の収縮も小さく、所望の寸法の造形物を得ることが容易であり、しかも照射エネルギーに対して高い感度を有する。よって、光学的立体造形方法に好適に用いることができる。
本発明の(1)分子中にオキセタン環を有するカチオン重合性有機物質としては種々のものを使用することができ、好ましい化合物としては下記一般式(I)、
Figure 2007211247
で表される化合物を挙げることができる。
ここで、式(I)においてmは1、2、3または4である。
mが1の場合にはZは酸素原子又は硫黄原子であり、Rは水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基であり、Rは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基或いは3−ブテニル基等の炭素数1〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、、メトキシベンジル基或いはフェノキシエチル基等のアリール基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基或いはペンチルカルボニル基等の炭素数1〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルカルボニル基或いはブチルカルボニル基等の炭素数1〜6個のアルコキシカルボニル基、エトキシカルバモイル基、プロピルカルバモイル基或いはブチルカルバモイル基等の炭素数1〜6個のアルコキシカルバモイル基等が挙げられる。
mが1の場合Rは低級アルキル基のものが好ましく、エチル基のものがさらに好ましい。またRは好ましくは水素原子、ブチル基、ベンジル基である。Zは、好ましくは酸素原子である。
mが2、3または4の場合にはZは酸素原子又は硫黄原子である。Rは水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基又はフリル基である。Rは、例えば下記一般式(II)で示される炭素数1〜12の線状または分岐アルキレン基、線状或いは分岐ポリ(オキシアルキレン)基である。
Figure 2007211247
上記式(II)においてRはメチル基、エチル基又はプロピル基等の低級アルキル基である。
また、Rは下記一般式(III)、(IV)及び(V)からなる群から選択される多価基でもあり得る。
Figure 2007211247
式(III)において、nは0〜2000の整数である。Rは同一でも異なっていてもよく、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜10個のアルキル基及び下記一般式(VI)から成る群から選択される基である(但し、Rとして一般式(VI)が選択されるのはm=3又は4のときである。)。
Figure 2007211247
式(VI)において、jは0又は1〜100の整数であり、Rは1〜10の炭素原子を有するアルキルである。Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基である。
Figure 2007211247
式(IV)において、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜10個のアルキル基、炭素数1〜10個のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシレート基又はカルボキシル基である。
Figure 2007211247
式(V)において、Rは酸素原子、硫黄原子、NH、SO、SO、CH、C(CH又はC(CFである。
mが2、3または4の場合には本発明では、上記式(I)においてRが低級アルキル基のものが好ましく、エチル基のものがより好ましい。Rとしては、式(IV)においてRが水素原子である基、ヘキサメチレン基、式(II)においてRがエチル基のものが好ましい。又、R及びRは、好ましくはメチル基である。Zは、好ましくは酸素原子である。
上記以外の好ましい具体例としては、下記一般式(VII)及び式(VIII)の化合物を挙げることができる。
Figure 2007211247
Figure 2007211247
式(VII)において、rは25〜200の整数であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基である。
また、下記一般式(IX)から(XI)に示される構造のオキセタン化合物も用いることができる。
Figure 2007211247
Figure 2007211247
Figure 2007211247
本発明では、1分子中に2個以上のオキセタン環を有する化合物がさらに好ましい。
なお、本発明では、上記分子中にオキセタン環を有する化合物の2種またはそれ以上を併用することができる。
本発明に使用する(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤とは、エネルギー線照射によりよりカチオン重合を開始させる物質を放出させることが可能な化合物であり、特に好ましいものは、照射によってルイス酸を放出するオニウム塩である複塩、またはその誘導体である。かかる化合物の代表的なものとしては、一般式、
[A]m+[B]m−
で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
ここで陽イオン[A]m+はオニウムであるのが好ましく、その構造は、例えば、
[(R14Q]m+
で表すことができる。
更にここで、R14は炭素数が1〜60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでもよい有機の基である。aは1〜5なる整数である。a個のR14は各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つは、芳香環を有する上記の如き有機の基であることが好ましい。QはS,N,Se,Te,P,As,Sb,Bi,O,I,Br,Cl,F,N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団である。また、陽イオン[A]m+中のQの原子価をqとしたとき、m=a−qなる関係が成り立つことが必要である(但し、N=Nは原子価0として扱う)。
また、陰イオン[B]m−は、ハロゲン化物錯体であるのが好ましく、その構造は例えば、
[LXm−
で表すことができる。
更にここで、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(Metalloid)であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xはハロゲン原子である。bは3〜7なる整数である。また、陰イオン[B]m−中のLの原子価をpとしたとき、m=b−pなる関係が成り立つことが必要である。
上記一般式の陰イオン[LXm−の具体例としてはテトラフルオロボレート(BF、ヘキサフルオロフォスフェート(PF、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF、ヘキサフルオロアルセネート(AsF、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl等が挙げられる。
また、陰イオンBm−は、
[LXb−1 (OH)]m−
で表される構造のものも好ましく用いることができる。L、X、bは上記と同様である。また、その他用いることができる陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO、フルオロスルホン酸イオン(FSO、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオン等が挙げられる。
本発明では、この様なオニウム塩の中でも、下記のイ)〜ハ)の芳香族オニウム塩を使用するのが特に有効である。これらの中から、その1種を単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
イ)フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどのアリールジアゾニウム塩
ロ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなどのジアリールヨードニウム塩
ハ)トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4−[4’−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−[4’−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェートなどのトリアリールスルホニウム塩等が好ましい。
また、その他好ましいものとしては、(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1,2,3,4,5,6,−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン〕−アイアン−ヘキサフルオロホスフェート等の鉄−アレーン錯体や、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウムなどのアルミニウム錯体とトリフェニルシラノールなどのシラノール類との混合物なども挙げられる。
これらの中でも実用面と光感度の観点から芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄−アレーン錯体を用いることが好ましい。
本発明に使用する(3)分子中にオキセタン環を有する化合物以外のカチオン重合性有機物質とは、エネルギー線照射により活性化したエネルギー線感受性カチオン重合開始剤により高分子化または架橋反応を起こす化合物で、分子中にオキセタン環を有する化合物以外の物質をいう。
例えば、エポキシ化合物、オキセタン環を有する化合物以外の環状エーテル化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物、ビニル化合物などであり、これらの1種または2種以上を使用することができる。中でも入手するのが容易であり、取り扱いに便利なエポキシ化合物が適している。該エポキシ化合物としては、芳香族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが適している。
前記芳香族エポキシ樹脂の具体例としては、少なくとも1個の芳香族環を有する多価フェノールまたは、そのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、またはこれらに更にアルキレンオキサイドを付加させた化合物のグリシジルエーテルやエポキシノボラック樹脂などがあげられる。
また、前記脂環族エポキシ樹脂の具体例としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテルまたはシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキサンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等が挙げられる。
また前記脂肪族エポキシ樹脂の具体例としては、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのビニル重合により合成したホモポリマー、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートとその他のビニルモノマーとのビニル重合により合成したコポリマー等が挙げられる。代表的な化合物として、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテルなどの多価アルコールのグリシジルエーテル、またプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。さらに、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルやフェノール、クレゾール、ブチルフェノール、また、これらにアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
本発明で用いることができる(3)分子中にオキセタン環を有する化合物以外のカチオン重合性有機物質のエポキシ化合物以外の具体例としては、テトラヒドロフラン、2,3−ジメチルテトラヒドロフラン等のトリオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキサシクロオクタン等の環状エーテル化合物、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等の環状ラクトン化合物、エチレンスルフィド等のチイラン化合物、トリメチレンスルフィド、3,3−ジメチルチエタン等のチエタン化合物、テトラヒドロチオフェン誘導体等の環状チオエーテル化合物、エポキシ化合物とラクトンとの反応によって得られるスピロオルトエステル化合物、スピロオルトカーボナート化合物、環状カーボナート化合物、エチレングリコールジビニルエーテル、アルキルビニルエーテル、3,4−ジヒドロピラン−2−メチル(3,4−ジヒドロピラン−2−カルボキシレート)、トリエチレングリコールジビニルエーテル等のビニルエーテル化合物、スチレン、ビニルシクロヘキセン、イソブチレン、ポリブタジエン等のエチレン性不飽和化合物及び上記誘導体等が挙げられる。
また、上記の(3)分子中にオキセタン環を有する化合物以外のカチオン重合性有機物質の中では分子中にシクロヘキサンオキシド構造を有するエポキシ化合物を、分子中にオキセタン環を有する化合物以外のカチオン重合性有機物質全量に対して50重量部以上用いるのが特に好ましい。残りの50重量部以下の成分は、その他のエポキシ樹脂やその他のカチオン重合性有機物質であってよい。
本発明において、(3)分子中にオキセタン環を有する化合物以外のカチオン重合性有機物質の配合量は、(1)分子中にオキセタン環を有するカチオン重合性有機物質100重量部に対して500重量部以下であることが好ましく、200重量部以下であることが特に好ましい。500重量部より多いと硬化性が十分でない。
また、(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の配合量は、(1)分子中にオキセタン環を有するカチオン重合性有機物質と(3)分子中にオキセタン環を有する化合物以外のカチオン重合性有機物質の総量に対して0.05〜10重量部であり、好ましくは0.5〜10重量部である。0.1重量部に満たなければ該樹脂硬化物が十分硬化せず、10重量部より多ければ、十分な強度を有する樹脂が得られない。
本発明に使用する(4)ラジカル重合性有機化合物とは、エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤の存在下、エネルギー線照射により高分子化または架橋反応するラジカル重合性有機化合物で、好ましくは1分子中に少なくとも1個以上の不飽和二重結合を有する化合物である。
かかる化合物としては、例えばアクリレート化合物、メタクリレート化合物、アリルウレタン化合物、不飽和ポリエステル化合物、スチレン系化合物等が挙げられる。
かかるラジカル重合性有機化合物の中でもメタ(アクリル)基を有する化合物は、合成、入手が容易で、かつ取り扱いも容易であり、好ましい。例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アルコール類の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
ここで、エポキシ(メタ)アクリレートとは、例えば、従来公知の芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などと、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるアクリレートである。これらのエポキシアクリレートのうち、特に好ましいものは、芳香族エポキシ樹脂のアクリレートであり、少なくとも1個の芳香核を有する多価フェノールまたはそのアルキレンオキサイド付加体のポリグリシジルエーテルを、(メタ)アクリル酸と反応させて得られる(メタ)アクリレートである。例えば、ビスフェノールA、またはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロロヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテルを、(メタ)アクリル酸と反応させて得られる(メタ)アクリレート、エポキシノボラック樹脂と(メタ)アクリル酸を反応して得られる(メタ)アクリレート等が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートとして好ましいものは、1種または2種以上の水酸基含有ポリエステルや水酸基含有ポリエーテルに水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとイソシアネート類を反応させて得られる(メタ)アクリレートや、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとイソシアネート類を反応させて得られる(メタ)アクリレート等である。
ここで使用する水酸基含有ポリエステルとして好ましいものは、1種または2種以上の多価アルコールと、1種または2種以上の多塩基酸との反応によって得られる水酸基含有ポリエステルであって、脂肪族多価アルコールとしては、例えば1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、テレフタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸などが挙げられる。
水酸基含有ポリエーテルとして好ましいものは、多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られる水酸基含有ポリエーテルであって、多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のものが例示できる。アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとして好ましいものは、多価アルコールと(メタ)アクリル酸のエステル化反応によって得られる水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルであって、多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のものが例示できる。
かかる水酸基含有(メタ)アクリル酸のうち、二価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応によって得られる水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルは特に好ましく、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
イソシアネート類としては、分子中に少なくとも1個以上のイソシアネート基を持つ化合物が好ましく、トリレンジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの2価のイソシアネート化合物が特に好ましい。
ポリエステル(メタ)アクリレートとして好ましいものは、水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレートである。ここで使用する水酸基含有ポリエステルとして好ましいものは、1種または2種以上の多価アルコールと、1種または2種以上の1塩基酸、多塩基酸とのエステル化反応によって得られる水酸基含有ポリエステルであって、多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のものが例示できる。1塩基酸としては、例えばギ酸、酢酸、酪酸、安息香酸が挙げられる。多塩基酸としては、例えばアジピン酸、テレフタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸が挙げられる。
ポリエーテル(メタ)アクリレートとして好ましいものは、水酸基含有ポリエーテルと、メタ(アクリル)酸とを反応させて得られるポリエーテル(メタ)アクリレートである。ここで使用する水酸基含有ポリエーテルとして好ましいものは、多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られる水酸基含有ポリエーテルであって、多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のものが例示できる。アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられる。
アルコール類の(メタ)アクリル酸エステルとして好ましいものは、分子中に少なくとも1個の水酸基を持つ芳香族または脂肪族アルコール、及びそのアルキレンオキサイド付加体と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートであり、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性有機化合物100重量部のうち50重量部以上が、分子中に(メタ)アクリル基を有する化合物であることが好ましい。
本発明における(4)ラジカル重合性有機化合物の配合は、カチオン重合性有機物質100重量部に対して200重量部以下であることが好ましく、100重量部以下であることが特に好ましい。
(4)ラジカル重合性有機化合物を配合した本発明の樹脂組成物は、これらを配合しない場合に比べて、光学的立体造形を行った際の硬化速度が更に上昇し、光学的立体造形用樹脂組成物として好ましいものとなる。
本発明に使用する(5)エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤は、エネルギー照射によってラジカル重合を開始させることが可能な化合物であり、アセトフェノン系化合物、ベンジル系化合物、チオキサントン系化合物などのケトン系化合物が好ましい。
アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ターシャリブチルジクロロアセトフェノン、p−ターシャリブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
ベンジル系化合物としては、ベンジル、アニシル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物としては、例えばベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
その他の(5)エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)]チタニウムなどが挙げられる。
これらの(5)エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤は、1種あるいは2種以上のものを所望の性能に応じて配合して使用することができる。
これら(5)エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤を配合した本発明の樹脂組成物は、これらを配合しない場合に比べて、光学的立体造形を行った際の硬化速度が更に上昇し、光学的立体造形用樹脂組成物として好ましいものとなる。
以上のような(5)エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤は、(4)ラジカル重合性有機化合物に対して、0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜10重量%配合される。この範囲を上回ると十分な強度を有する硬化物が得られず、下回ると樹脂が十分硬化しない。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物には、必須ではないが必要に応じて光増感剤などを配合することができる。例えば、アントラセン誘導体、ピレン誘導体等の光増感剤を併用することにより、これらを配合しない場合に比べて光造形を行った際の硬化速度がさらに向上し、樹脂組成物として好ましいものになる。
また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物には、必須ではないが必要に応じて1分子中に2個以上の水酸基を有する有機化合物を配合することができる。例えば、多価アルコール、水酸基含有ポリエーテル、水酸基含有ポリエステル、多価フェノールなどの1分子中に2個以上の水酸基を有する有機化合物を配合することによって、造形物の衝撃強度を高めることができる。
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスルトール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。
水酸基含有ポリエーテルとは、1種または2種以上の多価アルコールまたは多価フェノールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加して得られる化合物である。これに用いられる多価アルコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。多価フェノールの例としてはビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂などが挙げられる。またアルキレンオキサイドの例としては、ブチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド等が挙げられる。
水酸基含有ポリエステルとは、1種または2種以上の多価アルコールや多価フェノールと1種または2種以上の1塩基酸や多塩基酸とのエステル化反応によって得られる水酸基含有ポリエステル、及び1種または2種以上の多価アルコールや多価フェノールと1種または2種以上のラクトン類とのエステル化反応によって得られる水酸基含有ポリエステルである。多価アルコールや多価フェノールの例としては前述のものと同様のものが挙げられる。1塩基酸としては例えば、ギ酸、酢酸、酪酸、安息香酸などが挙げられる。多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸などが挙げられる。ラクトン類としてはβープロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられる。
多価フェノールとは、芳香環に直接結合した水酸基を1分子中に2個以上含有する化合物であり、前述のものと同様のものが挙げられる。
また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物には、必須ではないが必要に応じて熱可塑性高分子化合物を配合することができる。熱可塑性高分子化合物は、室温において液体または固体であり、室温において樹脂組成物と均一に混和する高分子化合物である。
かかる熱可塑性高分子化合物の代表的なものとしては、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリカーボナート、ポリスチレン、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブテン、スチレンブタジエンブロックコポリマー水添物などが挙げられる。また、これらの熱可塑性高分子化合物に水酸基、カルボキシル基、ビニル基、エポキシ基などの官能基を導入した物を用いることもできる。かかる熱可塑性高分子化合物について本発明に対して望ましい数平均分子量は1000〜500000であり、さらに好ましい数平均分子量は5000〜100000である。この範囲外であっても使用できないわけではないが、あまり低分子量であると強度を改善するという効果が十分得られず、あまり高分子量であっては樹脂組成物の粘度が高くなり、光学的立体造形用樹脂組成物として好ましいものとは言えなくなる。
熱可塑性高分子化合物を配合した本発明の樹脂組成物は、これらを配合しない場合に比べて、光学的立体造形を行った際の硬化物の機械物性が更に上昇し、光学的立体造形用樹脂組成物として好ましいものとなる。
また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物には、必須ではないが必要に応じて充填剤を配合することができる。充填剤は無機および有機の粉末状、フレーク状、繊維状物質のことである。
無機の充填剤の例としては、ガラス粉末、マイカ粉末、シリカまたは石英粉末、炭素粉末、炭酸カルシウム粉末、アルミナ粉末、水酸化アルミニウム粉末、ケイ酸アルミニウム粉末、ケイ酸ジルコニウム粉末、酸化鉄粉末、硫酸バリウム粉末、カオリン、ドロマイト、金属粉末、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト、金属ホイスカー、炭酸カルシウムホイスカー、中空ガラスバルーンあるいはこれらの表面をカップリング剤で処理し、表面に有機基をつけたものなどが挙げられる。
有機の充填剤の例としては、パルプ粉末、ナイロン粉末、ポリエチレン粉末、架橋ポリスチレン粉末、架橋アクリル樹脂粉末、架橋フェノール樹脂粉末、架橋尿素樹脂粉末、架橋メラミン樹脂粉末、架橋エポキシ樹脂粉末、ゴム粉末あるいはこれらの表面にエポキシ基、アクリル基、水酸基などの反応性の基をつけたものなどが挙げられる。
また、本発明の硬化を損なわない限り熱感応性カチオン重合開始剤、顔料、染料などの着色剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤等の各種樹脂添加物等を添加することができる。上記熱感応性カチオン重合開始剤としては、例えば特開昭57−49613号、特開昭58−37004号公報記載の脂肪族オニウム塩類が挙げられる。
本発明においては、本発明の効果を阻害しない範囲で所望により、上記のような1分子中に2個以上の水酸基を含有する化合物、熱可塑性高分子化合物、充填剤、熱感応性カチオン重合開始剤、顔料、染料、着色剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤等の各種樹脂添加物等を通常の使用の範囲で併用することができるが、造形物の歪みの点で、本発明の光造形用樹脂組成物の総量に対して200重量%以下とするのが好ましい。
本発明の樹脂組成物を硬化させる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波等があり、紫外線が経済的にもっとも好ましい。紫外線の光源としては、紫外線レーザ、水銀ランプ、キセノンランプ、ナトリウムランプ、アルカリ金属ランプ等があるが、集光性が良好なことからレーザ光線が特に好ましい。
次に、本発明の光学的立体造形法について詳述する。本発明の光学的立体造形法を行うには、まず、必須の構成成分として、(1)分子中にオキセタン環を有するカチオン重合性有機物質、(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤、必要に応じて(3)分子中にオキセタン環を有する化合物以外のカチオン重合性有機物質、更に必要に応じて(4)ラジカル重合性有機物質、(5)エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤、その他の材料から光学的立体造形法用樹脂組成物を得る。
この工程は周知の工程によるのがよいが、例えば、これらの材料を十分混合する。具体的な混合方法としては、例えばプロペラの回転に伴う撹拌力を利用する撹拌法やロール練り込み法などが挙げられる。上記(1)〜(5)の好ましい配合比、また必要に応じて配合される添加剤の種類及びその配合比は、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物について述べたものと同じ範囲または種類を使用することができる。このようにして得られた光学的立体造形用樹脂組成物は概ね常温で液状である。
次に、上記樹脂組成物の任意の表面に、エネルギー線を照射し、該樹脂組成物のエネルギー線照射表面を硬化させて所望の厚さの硬化層を形成し、該硬化層上に前述のエネルギー線硬化性樹脂組成物をさらに供給して、これを同様に硬化させて前述の硬化層と連続した硬化層を得る積層操作を行い、この操作を繰り返すことによって三次元の立体物を得る。具体例を示せば、上記樹脂組成物を、例えば特開昭60−2475l5号公報に記載されているような容器に収納し、当該樹脂組成物表面に導光体を挿入し、前記容器と当該導光体とを相対的に移動しつつ、該導光体を介して当該樹脂組成物表面に硬化に必要な活性エネルギー線を選択的に供給することによって所望形状の固体を形成する、といった方法である。
本発明の光学的立体造形法に使用する活性エネルギー線の種類は、本発明の樹脂組成物を硬化させる活性エネルギー線と同じである。すなわち、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波等があり、紫外線が経済的にもっとも好ましい。紫外線の光源としては、紫外線レーザ、水銀ランプ、キセノンランプ、ナトリウムランプ、アルカリ金属ランプ等があるが、集光性が良好なことからレーザ光線が特に好ましい。
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明する。なお、本実施例では「部」は「重量部」を意味するものとする。
実施例1
(1)分子中にオキセタン環を有するカチオン重合性有機物質(以下「オキセタン」と略す)として下記式で示されるオキセタン1を85部、オキセタン2を15部、(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤(以下「カチオン開始剤」と略す)として4,4’ビス−(ジフェニルスルホニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネートを3部を用い、これらを十分混合して光学的立体造形用樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物は、淡黄色透明の液体であった。
次に、得られた樹脂組成物を入れる容器を載せた3次元NC(数値制御)テーブル、紫外Arイオンレーザ(波長333、351、364nmのマルチライン、出力100mW)と、光学系及び制御用コンピュータを中心とした制御部とからなる立体造形実験システムを用いて、この樹脂組成物からCADデータを元に、0.1mmピッチで積層して高さ10cm、直径4cmの中空円柱状モデルを作製した。このモデルを作製するのに要した時間は60分であった。また、設計寸法に対する精度は、高さ方向で0.051%、半径方向で0.022%であった。
以下、下記の表1に示す樹脂の組成にて実施例2〜7の光学的立体造形用樹脂組成物を調製し、これら組成物についても実施例1と同様の操作で試験を行った。試験結果を表1に併記する。また、比較例として、下記の表2に示す樹脂の組成にて組成物を調製し(比較例1〜4)、実施例と同様の要領で試験を行った。試験結果を表2に併記する。
なお、各実施例および比較例で用いた化合物は以下の通りである。
オキセタンとしては、下記のオキセタン1〜4を用いた。
オキセタン1:
Figure 2007211247
オキセタン2:
Figure 2007211247
オキセタン3:
Figure 2007211247
オキセタン4:
Figure 2007211247
カチオン開始剤としては、下記のカチオン開始剤1〜3を用いた。
カチオン開始剤1:4,4’ビス−(ジフェニルスルホニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート
[R’R”S][B]
Figure 2007211247
B=SbF
カチオン開始剤2:4,4’ビス−[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート
[R’R”S][B]
Figure 2007211247
B=SbF
カチオン開始剤3:4−[4’−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート
[R’R”S][B]
Figure 2007211247
B=SbF
(3)分子中にオキセタン環を有する化合物以外のカチオン重合性有機物質(以下「カチオン樹脂」と略す)としては、下記のカチオン樹脂1〜3を用いた。
カチオン樹脂1:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
カチオン樹脂2:1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル
カチオン樹脂3:ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート
(4)ラジカル重合性有機物質(以下「ラジカル樹脂」と略す)としては、下記のラジカル樹脂1〜3を用いた。
ラジカル樹脂1:ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート
ラジカル樹脂2:トリメチロールプロパントリアクリレート
ラジカル樹脂3:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(5)エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤(以下「ラジカル開始剤」と略す)としては下記のラジカル開始剤1、2を用いた。
ラジカル開始剤1:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
ラジカル開始剤2:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルメタン−1−オン
Figure 2007211247
Figure 2007211247

Claims (6)

  1. 必須の構成成分として、
    (1)下記一般式(I)、
    Figure 2007211247
    (式中、mは1、2、3または4であり、
    mが1の場合、R1は低級アルキル基、R2は水素原子、ブチル基またはベンジル基、Zは酸素原子であり、
    mが2、3または4の場合、R1は低級アルキル基、R2は下記一般式(IV)、
    Figure 2007211247
    で表される多価基であって、式中のR7が水素原子である基、またはヘキサメチレン基、Zは酸素原子である)で表されるオキセタン環含有カチオン重合性有機物質、
    および/または下記一般式(IX)、
    Figure 2007211247
    で表されるオキセタン環含有カチオン重合性有機物質と、
    (2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤と、
    を含有することを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の光学的立体造形用樹脂組成物にさらに、
    (3)分子中にオキセタン環を有する化合物以外のカチオン重合性有機物質
    を含有することを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物。
  3. 請求項1または2記載の光学的立体造形用樹脂組成物において、前記(1)のオキセタン環含有カチオン重合性有機物質100重量部のうち50重量部以上が1分子中に2個以上のオキセタン環を有することを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物。
  4. 請求項1ないし3のうちいずれか一項記載の光学的立体造形用樹脂組成物にさらに、
    (4)ラジカル重合性有機化合物と、
    (5)エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤と、
    を含有することを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物。
  5. 請求項4記載の光学的立体造形用樹脂組成物において、前記(4)ラジカル重合性有機化合物100重量部のうち50重量部以上が、分子中に(メタ)アクリル基を有する化合物であることを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物。
  6. エネルギー線硬化性樹脂組成物の任意の表面に、エネルギー線を照射し、該樹脂組成物のエネルギー線照射表面を硬化させて所望の厚さの硬化層を形成し、該硬化層上に前述のエネルギー線硬化性樹脂組成物をさらに供給して、これを同様に硬化させ前述の硬化層と連続した硬化物を得る積層操作を行い、この操作を繰り返すことによって三次元の立体物を得る光学的立体造形法において、上記エネルギー線硬化性樹脂組成物が、請求項1ないし5のうちいずれか一項記載の光学的立体造形用樹脂組成物であることを特徴とする光学的立体造形方法。
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