JPH11228804A - 光学的立体造形用樹脂組成物および光学的立体造形方法 - Google Patents

光学的立体造形用樹脂組成物および光学的立体造形方法

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JPH11228804A
JPH11228804A JP10032519A JP3251998A JPH11228804A JP H11228804 A JPH11228804 A JP H11228804A JP 10032519 A JP10032519 A JP 10032519A JP 3251998 A JP3251998 A JP 3251998A JP H11228804 A JPH11228804 A JP H11228804A
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resin composition
optical
energy ray
dimensional
meth
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JP10032519A
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English (en)
Inventor
Kazuo Okawa
和夫 大川
Satoyuki Chikaoka
里行 近岡
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Adeka Corp
Original Assignee
Asahi Denka Kogyo KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素による硬化阻害が起こらず、変形も硬化
時の収縮も小さく、所望の寸法の造形物を得ることが容
易であり、しかも得られた造形物の耐熱性が良好である
光学的造形用樹脂組成物及び光学的立体造形方法を提供
する。 【解決手段】 必須の構成成分として、(A)下記一般
で表されるカチオン重合性有機物質と、(B)エネルギ
ー線感受性カチオン重合開始剤と、必要に応じて、
(C)(A)以外のカチオン重合性有機物質と、(D)
ラジカル重合性有機化合物と、(E)エネルギー線感受
性ラジカル重合開始剤とを含有する光学的立体造形用樹
脂組成物及びこれを用いて得た造形物に加熱等の後処理
を施すことを含む光学的立体造形方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学的立体造形用
樹脂組成物及びこれを用いた光学的立体造形方法に関
し、詳しくは耐熱性の良好な光学的立体造形用樹脂組成
物及びこれを用いた光学的立体造形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光学的立体造形とは、特開昭60−24
7515号公報に記載されている様に、光硬化性を有す
る各種樹脂を容器に入れ、上方からアルゴンレーザ、ヘ
リウムカドミウムレーザ、半導体レーザ等のビームを該
樹脂の任意の部位に照射し、照射を連続的に行うことに
よって、樹脂の上記ビーム照射部位を硬化させ、これに
より目的とする平面を創生して硬化層を形成する。続い
て、該硬化層上に前述の光硬化性を有する樹脂をさらに
1層分供給して、これを上記と同様にして硬化し、前述
の硬化層と連続した硬化層を得る積層操作を行い、この
操作を繰り返すことによって目的とする三次元の立体物
を得る方法である。
【0003】従来、上記光学的立体造形に用いられてい
た樹脂としては、まずラジカル重合性樹脂組成物があ
り、例えば特開平2−228312号公報や特開平5−
279436号公報には、(メタ)アクリル樹脂を中心
とした立体造形用樹脂組成物が開示されている。また、
特開平2−145616号公報には、変形の低減を目的
として、液状樹脂と見かけ上比重差が0.2未満である
微小粒子を含む光学的立体造形用樹脂が開示されてい
る。さらに、造形物の精度向上のために特開平3−15
520号公報にはエチレン系不飽和モノマー、光開始剤
及び不溶性潜在放射線偏光物質からなる組成物の報告
が、また特開平3−41126号公報にはエチレン系不
飽和モノマー、光開始剤及び可溶性潜在放射線偏光物質
からなる組成物の報告が、夫々なされている。さらにま
た、特開平4−85314号公報にはシリコーンウレタ
ンアクリレート、多官能エチレン性不飽和結合を有する
化合物及び重合開始剤を含む樹脂組成物が開示されてい
る。
【0004】また、他の光学的立体造形用樹脂として
は、カチオン重合性樹脂組成物が知られている。例え
ば、特開平1−213304号公報には、エネルギー線
硬化型カチオン重合性有機化合物とエネルギー線感受性
カチオン重合開始剤とを含有することを特徴とする発明
が記載されている。また、特開平2−28261号公報
には、エネルギー線硬化型カチオン重合性有機化合物に
一部エネルギー線硬化型ラジカル重合性有機化合物を配
合した低収縮率、高解像度の樹脂が開示されている。さ
らに、特開平2−80423号公報には、エポキシ樹脂
にビニルエーテル樹脂と、エネルギー線感受性カチオン
重合開始剤と、ラジカル硬化性樹脂と、エネルギー線感
受性ラジカル重合開始剤とを配合した樹脂組成物が開示
されている。さらにまた、特開平2−75618号公報
には、エネルギー線硬化性カチオン重合性有機化合物、
エネルギー線感受性カチオン重合開始剤、エネルギー線
硬化性ラジカル重合性有機化合物、エネルギー線感受性
ラジカル重合開始剤及び水酸基含有ポリエステルを含有
することを特徴とする光学的造形用樹脂組成物が開示さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ラジカ
ル重合性樹脂やそれを主成分とした光学的立体造形用樹
脂組成物は、ラジカル重合を用いているため、何れの樹
脂(組成物)を用いた場合でも酸素による硬化阻害が起
こり、また、これらの樹脂は硬化時の収縮も大きく、所
望の寸法の造形物を得ることが困難であった。
【0006】また、特開平1−213304号公報、特
開平2−28261号公報、特開平2−75618号公
報記載のようなカチオン硬化型光学的立体造形用樹脂
は、酸素による硬化阻害が起こらず、樹脂中の活性子に
より光遮断後も硬化が進行することから、後硬化処理が
不要であり、変形が少ないという優れた特徴を有し、ま
た硬化時の収縮も小さく、所望の寸法の造形物を得るこ
とができるが、得られた造形物の耐熱性が十分ではない
という欠点があった。
【0007】そこで本発明の目的は、酸素による硬化阻
害が起こらず、変形が少ないという優れた特徴を有し、
また硬化時の収縮も小さく、所望の寸法の造形物を得る
ことが容易であり、しかも得られた造形物の耐熱性が良
好である光学的造形用樹脂組成物及びこれを用いた光学
的立体造形方法ならびに後処理方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、必須の構成
成分として、(A)下記一般式 (式中、Rは分子中に1から6個の活性水素を含有する
有機化合物の残基を示し、mは1から6の数であり、n
は分子内及び分子間を問わず同一でも異なっていてもよ
く、組成物中の全nの平均値は1〜30である。)で表
されるカチオン重合性有機物質と、(B)エネルギー線
感受性カチオン重合開始剤と、を含有することを特徴と
する光学的立体造形用樹脂組成物である。
【0009】また、本発明は、上記光学的立体造形用樹
脂組成物にさらに、(C)(A)以外のカチオン重合性
有機物質を含有することを特徴とする光学的立体造形用
樹脂組成物である。
【0010】さらに、本発明は、上記光学的立体造形用
樹脂組成物にさらに、(D)ラジカル重合性有機化合物
と、(E)エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤と、
を含有することを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成
物である。
【0011】さらにまた、本発明はエネルギー線硬化性
樹脂組成物の任意の表面に、エネルギー線を照射し、該
樹脂組成物のエネルギー照射表面を硬化させて所望の厚
さの硬化層を形成し、該硬化層上に前述のエネルギー線
硬化性樹脂組成物をさらに供給して、これを同様に硬化
させ前述の硬化層と連続した硬化物を得る積層操作を行
い、この操作を繰り返すことによって三次元の立体物を
得る光学的立体造形法において、上記エネルギー線硬化
性樹脂組成物が、上記の光学的立体造形用樹脂組成物で
あることを特徴とする光学的立体造形方法である。
【0012】さらにまた、本発明は上記で得られた三次
元の立体物をさらに加熱し、及び/又はエネルギー線を
照射することを特徴とする光学的立体造形方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に使用される、(A)下記
一般式 (式中、Rは分子中に1から6個の活性水素を含有する
有機化合物の残基を示し、mは1から6の数であり、n
は分子内及び分子間を問わず同一でも異なっていてもよ
く、組成物中の全nの平均値は1〜30である。)で表
されるカチオン重合性有機物質は、公知の方法によって
合成することができる。すなわち、本発明の上記一般式
(1)で表されるカチオン重合性有機物質において、R
は分子中に1から6個の活性水素を含有する有機化合物
の残基であるが、その前駆体の有機化合物であるアルコ
ール類、フェノール類、カルボン酸類、チオール類等を
開始末端にして4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサ
イドなどを開環重合することによって得られるポリシク
ロヘキセンオキサイド重合体を過酸などの酸化剤でエポ
キシ化することによって製造することができる。
【0014】上記のアルコール類としては、例えばメタ
ノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペン
タノール、ヘキサノール、オクタノール、3−シクロヘ
キセンメタノール、ベンジルアルコール、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチ
ロールプロパン、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)−
1−ブタノール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリ
スリトール等がある。
【0015】フェノール類としては、フェノール、クレ
ゾール、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどがあ
る。
【0016】カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピ
オン酸、マレイン酸、フタル酸、シュウ酸、マロン酸、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸、テレフタル酸等がある。
【0017】チオール類としては、メチルメルカプタ
ン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、チオ
フェノール等が挙げられる。
【0018】また、これら前駆体の有機化合物である活
性水素を有する化合物はその骨格中に不飽和2重結合を
有していても良く、例としてはアリルアルコール、アク
リル酸、メタクリル酸、3−シクロヘキセンメタノール
等がある。これらの化合物の不飽和2重結合はさらにそ
れがエポキシ化された構造でもさしつかえない。
【0019】なお、本発明では、上記一般式(1)で表
される化合物の2種またはそれ以上を併用することがで
きる。
【0020】本発明に使用される(B)エネルギー線感
受性カチオン重合開始剤とは、エネルギー線照射により
カチオン重合を開始させる物質を放出させることが可能
な化合物であり、特に好ましいのは、照射によってルイ
ス酸を放出するオニウム塩である複塩、またはその誘導
体である。かかる化合物の代表的なものとしては、一般
式 [A]m+[B]m− で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができ
る。
【0021】ここで陽イオン[A]m+はオニウムであ
るのが好ましく、その構造は、例えば、 [(RQ]m+ で表すことができる。
【0022】更にここで、Rは炭素数が1〜60であ
り、炭素原子以外の原子をいくつ含んでもよい有機の基
である。aは1〜5なる整数である。a個のRは各々
独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくと
も1つは、芳香環を有する上記の如き有機の基であるこ
とが好ましい。QはS,N,Se,Te,P,As,S
b,Bi,O,I,Br,Cl,F,N=Nからなる群
から選ばれる原子あるいは原子団である。また、陽イオ
ン[A]m+中のQの原子価をqとしたとき、m=a−
qなる関係が成り立つことが必要である(但し、N=N
は原子価0として扱う)。
【0023】また、陰イオン[B]m−は、ハロゲン化
物錯体であるのが好ましく、その構造は例えば、 [LXm− で表すことができる。
【0024】更にここで、Lはハロゲン化物錯体の中心
原子である金属または半金属(Metalloid)で
あり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、
Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co
等である。Xはハロゲン原子である。bは3〜7なる整
数である。また、陰イオン[B]m−中のLの原子価を
pとしたとき、m=b−pなる関係が成り立つことが必
要である。
【0025】上記一般式の陰イオン[LXm−の具
体例としてはテトラフルオロボレート(BF、ヘ
キサフルオロフォスフェート(PF、ヘキサフル
オロアンチモネート(SbF、ヘキサフルオロア
ルセネート(AsF、ヘキサクロロアンチモネー
ト(SbCl等が挙げられる。
【0026】また、陰イオン[B]m−は、 [LXb−1 (OH)]m− で表される構造のものも好ましく用いることができる。
L、X、bは上記と同様である。また、その他用いるこ
とができる陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO
、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO
、フルオロスルホン酸イオン(FSO、ト
ルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホ
ン酸陰イオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)
ボレート等が挙げられる。
【0027】本発明では、この様なオニウム塩の中で
も、下記のイ)〜ハ)の芳香族オニウム塩を使用するの
が特に有効である。これらの中から、その1種を単独
で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0028】イ)フェニルジアゾニウムヘキサフルオロ
ホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキ
サフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾ
ニウムヘキサフルオロホスフェートなどのアリールジア
ゾニウム塩
【0029】ロ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオ
ロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニ
ウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−tert−
ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェ
ート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフ
ルオロフェニル)ボレートなどのジアリールヨードニウ
ム塩
【0030】ハ)トリフェニルスルホニウムヘキサフル
オロアンチモネート、トリス(4−メトキシフェニル)
スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル
−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフル
オロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシ
フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
4,4’−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルス
ルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,
4’−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフ
ィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4,4’−
ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニ
オ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチ
モネート、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキ
シ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−
ヘキサフルオロホスフェート、4−[4’−(ベンゾイ
ル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェ
ニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4
−[4’−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ
−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオ
ロホスフェートなどのトリアリールスルホニウム塩等が
好ましい。
【0031】また、その他好ましいものとしては、(η
−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1,
2,3,4,5,6,−η)−(1−メチルエチル)ベ
ンゼン〕−アイアン−ヘキサフルオロホスフェート等の
鉄−アレーン錯体や、トリス(アセチルアセトナト)ア
ルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アル
ミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウ
ムなどのアルミニウム錯体とトリフェニルシラノールな
どのシラノール類との混合物なども挙げられる。これら
の中でも実用面と光感度の観点から芳香族ヨードニウム
塩、芳香族スルホニウム塩、鉄−アレーン錯体を用いる
ことが好ましい。
【0032】本発明に使用する、(C)(A)以外のカ
チオン重合性有機物質とは、エネルギー線照射により活
性化したエネルギー線感受性カチオン重合開始剤により
高分子化または架橋反応を起こす化合物であって、上記
(A)以外の物質をいう。
【0033】例えば、エポキシ化合物、オキセタン環を
有する化合物以外の環状エーテル化合物、環状ラクトン
化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合
物、スピロオルトエステル化合物、ビニル化合物などで
あり、これらの1種または2種以上を使用することがで
きる。中でも入手するのが容易であり、取り扱いに便利
なエポキシ化合物が適している。該エポキシ化合物とし
ては、芳香族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物、
脂肪族エポキシ化合物などが適している。
【0034】前記芳香族エポシ樹脂の具体例としては、
少なくとも1個の芳香族環を有する多価フェノールまた
は、そのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジル
エーテル、例えばビスフェノールA、ビスフェノール
F、またはこれらに更にアルキレンオキサイドを付加さ
せた化合物のグリシジルエーテルやエポキシノボラック
樹脂などがあげられる。
【0035】また、前記脂環族エポキシ樹脂の具体例と
しては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコ
ールのポリグリシジルエーテルまたはシクロヘキセンや
シクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化する
ことによって得られるシクロヘキサンオキサイドやシク
ロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。例え
ば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポ
キシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキ
シ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1
−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、6−メチル
−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル
−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−
3、4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキ
シレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシ
ルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサ
ンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘ
キシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘ
キサン−メタジオキサン、ビス(3,4−エポキシシク
ロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセン
ジオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビ
ス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチ
ル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロ
ヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エ
ポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポ
キサイド、エチレングリコールジ(3,4−エポキシシ
クロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4
−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキ
シヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒ
ドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等が挙げられる。
【0036】また前記脂肪族エポキシ樹脂の具体例とし
ては、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキ
サイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多
塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレ
ートまたはグリシジルメタクリレートのビニル重合によ
り合成したホモポリマー、グリシジルアクリレートまた
はグリシジルメタクリレートとその他のビニルモノマー
とのビニル重合により合成したコポリマー等が挙げられ
る。代表的な化合物として、1,4−ブタンジオールジ
グリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリ
シジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテ
ル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテ
ル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペン
タエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエ
チレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピ
レングリコールのジグリシジルエーテルなどの多価アル
コールのグリシジルエーテル、またプロピレングリコー
ル、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多
価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサ
イドを付加することによって得られるポリエーテルポリ
オールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸
のジグリシジルエステルが挙げられる。さらに、脂肪族
高級アルコールのモノグリシジルエーテルやフェノー
ル、クレゾール、ブチルフェノール、また、これらにア
ルキレンオキサイドを付加することによって得られるポ
リエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級
脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポ
キシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチ
ル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエン等
が挙げられる。
【0037】本発明で用いることができる(A)以外の
カチオン重合性有機物質のエポキシ化合物以外の具体例
としては、テトラヒドロフラン、2,3−ジメチルテト
ラヒドロフラン等のトリオキサン、1,3−ジオキソラ
ン、1,3,6−トリオキサシクロオクタン等の環状エ
ーテル化合物、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラク
トン、ε−カプロラクトン等の環状ラクトン化合物、エ
チレンスルフィド等のチイラン化合物、トリメチレンス
ルフィド、3,3−ジメチルチエタン等のチエタン化合
物、テトラヒドロチオフェン誘導体等の環状チオエーテ
ル化合物、エポキシ化合物とラクトンとの反応によって
得られるスピロオルトエステル化合物、スピロオルトカ
ーボナート化合物、環状カーボナート化合物、エチレン
グリコールジビニルエーテル、アルキルビニルエーテ
ル、3,4−ジヒドロピラン−2−メチル(3,4−ジ
ヒドロピラン−2−カルボキシレート)、トリエチレン
グリコールジビニルエーテル等のビニルエーテル化合
物、スチレン、ビニルシクロヘキセン、イソブチレン、
ポリブタジエン等のエチレン性不飽和化合物及び上記誘
導体等が挙げられる。
【0038】また、上記の(C)(A)以外のカチオン
重合性有機物質の中では分子中にシクロヘキセンオキシ
ド構造を有するエポキシ化合物を(C)(A)以外のカ
チオン重合性有機物質全量に対して50重量部以上用い
るのが特に好ましい。残りの50重量部未満の成分は、
その他のエポキシ樹脂やその他のカチオン重合性有機物
質であってよい。
【0039】また、(B)エネルギー線感受性カチオン
重合開始剤の配合量は、(A)及び(C)の総量に対し
て0.05〜10重量部であり、好ましくは0.5〜1
0重量部である。上記量に満たなければ該樹脂組成物が
十分硬化せず、上記量より多ければ、十分な強度を有す
る樹脂が得られない。
【0040】本発明に使用する(D)ラジカル重合性有
機化合物とは、エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤
の存在下、エネルギー線照射により高分子化または架橋
反応するラジカル重合性有機化合物で、好ましくは1分
子中に少なくとも1個以上の不飽和二重結合を有する化
合物である。
【0041】かかる化合物としては、例えばアクリレー
ト化合物、メタクリレート化合物、アリルウレタン化合
物、不飽和ポリエステル化合物、スチレン系化合物等が
挙げられる。
【0042】かかるラジカル重合性有機化合物の中でも
メタ(アクリル)基を有する化合物は、合成、入手が容
易で、かつ取り扱いも容易であり、好ましい。例えば、
エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アク
リレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエ
ーテル(メタ)アクリレート、アルコール類の(メタ)
アクリル酸エステルが挙げられる。
【0043】ここで、エポキシ(メタ)アクリレートと
は、例えば、従来公知の芳香族エポキシ樹脂、脂環式エ
ポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などと、(メタ)アク
リル酸とを反応させて得られるアクリレートである。こ
れらのエポキシアクリレートのうち、特に好ましいもの
は、芳香族エポキシ樹脂のアクリレートであり、少なく
とも1個の芳香核を有する多価フェノールまたはそのア
ルキレンオキサイド付加体のポリグリシジルエーテル
を、(メタ)アクリル酸と反応させて得られる(メタ)
アクリレートである。例えば、ビスフェノールA、また
はそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロロヒドリ
ンとの反応によって得られるグリシジルエーテルを、
(メタ)アクリル酸と反応させて得られる(メタ)アク
リレート、エポキシノボラック樹脂と(メタ)アクリル
酸を反応して得られる(メタ)アクリレート等が挙げら
れる。ウレタン(メタ)アクリレートとして好ましいも
のは、1種または2種以上の水酸基含有ポリエステルや
水酸基含有ポリエーテルに水酸基含有(メタ)アクリル
酸エステルとイソシアネート類を反応させて得られる
(メタ)アクリレートや、水酸基含有(メタ)アクリル
酸エステルとイソシアネート類を反応させて得られる
(メタ)アクリレート等である。
【0044】ここで使用する水酸基含有ポリエステルと
して好ましいものは、1種または2種以上の多価アルコ
ールと、1種または2種以上の多塩基酸との反応によっ
て得られる水酸基含有ポリエステルであって、脂肪族多
価アルコールとしては、例えば1,3−ブタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ト
リメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリト
ール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。多塩
基酸としては、例えば、アジピン酸、テレフタル酸、無
水フタル酸、トリメリット酸などが挙げられる。
【0045】水酸基含有ポリエーテルとして好ましいも
のは、多価アルコールに1種または2種以上のアルキレ
ンオキサイドを付加することによって得られる水酸基含
有ポリエーテルであって、多価アルコールとしては、前
述した化合物と同様のものが例示できる。アルキレンオ
キサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロ
ピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられる。
【0046】水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと
して好ましいものは、多価アルコールと(メタ)アクリ
ル酸のエステル化反応によって得られる水酸基含有(メ
タ)アクリル酸エステルであって、多価アルコールとし
ては、前述した化合物と同様のものが例示できる。
【0047】かかる水酸基含有(メタ)アクリル酸のう
ち、二価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル
化反応によって得られる水酸基含有(メタ)アクリル酸
エステルは特に好ましく、例えば2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0048】イソシアネート類としては、分子中に少な
くとも1個以上のイソシアネート基を持つ化合物が好ま
しく、トリレンジイソシアネートや、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの2
価のイソシアネート化合物が特に好ましい。
【0049】ポリエステル(メタ)アクリレートとして
好ましいものは、水酸基含有ポリエステルと(メタ)ア
クリル酸とを反応させて得られるポリエステル(メタ)
アクリレートである。ここで使用する水酸基含有ポリエ
ステルとして好ましいものは、1種または2種以上の多
価アルコールと、1種または2種以上の1塩基酸、多塩
基酸とのエステル化反応によって得られる水酸基含有ポ
リエステルであって、多価アルコールとしては、前述し
た化合物と同様のものが例示できる。1塩基酸として
は、例えばギ酸、酢酸、酪酸、安息香酸が挙げられる。
多塩基酸としては、例えばアジピン酸、テレフタル酸、
無水フタル酸、トリメリット酸が挙げられる。
【0050】ポリエーテル(メタ)アクリレートとして
好ましいものは、水酸基含有ポリエーテルと、メタ(ア
クリル)酸とを反応させて得られるポリエーテル(メ
タ)アクリレートである。ここで使用する水酸基含有ポ
リエーテルとして好ましいものは、多価アルコールに1
種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加するこ
とによって得られる水酸基含有ポリエーテルであって、
多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のもの
が例示できる。アルキレンオキサイドとしては、例え
ば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチ
レンオキサイドが挙げられる。
【0051】アルコール類の(メタ)アクリル酸エステ
ルとして好ましいものは、分子中に少なくとも1個の水
酸基を持つ芳香族または脂肪族アルコール、及びそのア
ルキレンオキサイド付加体と(メタ)アクリル酸とを反
応させて得られる(メタ)アクリレートであり、例え
ば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)ア
クリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリ
ル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリ
レート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレー
ト、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)
アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アク
リレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリ
レート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロ
ールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキ
サイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロ
パントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール
テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール
ヘキサ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが
挙げられる。
【0052】ラジカル重合性有機化合物100重量部の
うち50重量部以上が、分子中に(メタ)アクリル基を
有する化合物であることが好ましい。
【0053】本発明における(D)ラジカル重合性有機
化合物の配合は、カチオン重合性有機物質100重量部
に対して200重量部以下であることが好ましく、15
0重量部以下であることが特に好ましい。
【0054】(D)ラジカル重合性有機化合物を配合し
た本発明の樹脂組成物は、これらを配合しない場合に比
べて、光学的立体造形を行った際の硬化速度が更に上昇
し、光学的立体造形用樹脂組成物として好ましいものと
なる。
【0055】本発明に使用する(E)エネルギー線感受
性ラジカル重合開始剤は、エネルギー照射によってラジ
カル重合を開始させることが可能な化合物であり、アセ
トフェノン系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノ
ン系化合物、チオキサントン系化合物などのケトン系化
合物が好ましい。
【0056】アセトフェノン系化合物としては、例え
ば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−
メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソ
プロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノ
ン、2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオフェノ
ン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−
1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−タ
ーシャリブチルジクロロアセトフェノン、p−ターシャ
リブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザ
ルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェ
ニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フ
ェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベン
ジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフ
ェニル)−ブタノン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチ
ルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイ
ソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテ
ル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
【0057】ベンジル系化合物としては、ベンジル、ア
ニシル等が挙げられる。
【0058】ベンゾフェノン系化合物としては、例えば
ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒ
ラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェ
ノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾ
イル−4’−メチルジフェニルスルフィドなどが挙げら
れる。
【0059】チオキサントン系化合物としては、チオキ
サントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオ
キサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロ
ピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン
等が挙げられる。
【0060】これらの(E)エネルギー線感受性ラジカ
ル重合開始剤は、1種あるいは2種以上のものを所望の
性能に応じて配合して使用することができる。
【0061】これら(E)エネルギー線感受性ラジカル
重合開始剤を配合した本発明の樹脂組成物は、これらを
配合しない場合に比べて、光学的立体造形を行った際の
硬化速度が更に上昇し、光学的立体造形用樹脂組成物と
して好ましいものとなる。
【0062】以上のような(E)エネルギー感受性ラジ
カル重合開始剤は、(D)ラジカル重合性有機化合物に
対して、0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜1
0重量%配合される。この範囲を上回ると十分な強度を
有する硬化物が得られず、下回ると樹脂が十分硬化しな
い。
【0063】本発明の光学的立体造形用樹脂組成物に
は、必須ではないが必要に応じて光増感剤などを配合す
ることができる。例えば、アントラセン誘導体、ピレン
誘導体等の光増感剤を併用することにより、これらを配
合しない場合に比べて光造形を行った際の硬化速度がさ
らに向上し、樹脂組成物として好ましいものになる。
【0064】また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成
物には、必須ではないが必要に応じて1分子中に2個以
上の水酸基を有する有機化合物を配合することができ
る。例えば、多価アルコール、水酸基含有ポリエーテ
ル、水酸基含有ポリエステル、多価フェノールなどの1
分子中に2個以上の水酸基を有する有機化合物を配合す
ることによって、造形物の機械強度を高めることができ
る。
【0065】多価アルコールの例としては、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエ
リスリトール、ジペンタエリスルトール、1,3−ブタ
ンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオールなどが挙げられる。
【0066】水酸基含有ポリエーテルとは、1種または
2種以上の多価アルコールまたは多価フェノールに1種
または2種以上のアルキレンオキサイドを付加して得ら
れる化合物である。これに用いられる多価アルコールの
例としては、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパ
ン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリ
スルトール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられ
る。多価フェノールの例としてはビスフェノールA、ビ
スフェノールF、フェノールノボラック樹脂、クレゾー
ルノボラック樹脂などが挙げられる。またアルキレンオ
キサイドの例としては、ブチレンオキサイド、プロピレ
ンオキサイド、エチレンオキサイド等が挙げられる。
【0067】水酸基含有ポリエステルとは、1種または
2種以上の多価アルコールや多価フェノールと1種また
は2種以上の1塩基酸や多塩基酸とのエステル化反応に
よって得られる水酸基含有ポリエステル、及び1種また
は2種以上の多価アルコールや多価フェノールと1種ま
たは2種以上のラクトン類とのエステル化反応によって
得られる水酸基含有ポリエステルである。多価アルコー
ルや多価フェノールの例としては前述のものと同様のも
のが挙げられる。1塩基酸としては例えば、ギ酸、酢
酸、酪酸、安息香酸などが挙げられる。多塩基酸として
は、例えば、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット
酸などが挙げられる。ラクトン類としてはβープロピオ
ラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンな
どが挙げられる。
【0068】多価フェノールとは、芳香環に直接結合し
た水酸基を1分子中に2個以上含有する化合物であり、
前述のものと同様のものが挙げられる。
【0069】また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成
物には、必須ではないが必要に応じて熱可塑性高分子化
合物を配合することができる。熱可塑性高分子化合物
は、室温において液体または固体であり、室温において
樹脂組成物と均一に混和する高分子化合物である。
【0070】かかる熱可塑性高分子化合物の代表的なも
のとしては、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化
ビニル、ポリブタジエン、ポリカーボナート、ポリスチ
レン、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポ
リアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブテ
ン、スチレンブタジエンブロックコポリマー水添物など
が挙げられる。また、これらの熱可塑性高分子化合物に
水酸基、カルボキシル基、ビニル基、エポキシ基などの
官能基を導入した物を用いることもできる。かかる熱可
塑性高分子化合物について本発明に対して望ましい数平
均分子量は1000〜500000であり、さらに好ま
しい数平均分子量は5000〜100000である。こ
の範囲外であっても使用できないわけではないが、あま
り低分子量であると強度を改善するという効果が十分得
られず、あまり高分子量であっては樹脂組成物の粘度が
高くなり、光学的立体造形用樹脂組成物として好ましい
ものとは言えなくなる。
【0071】熱可塑性高分子化合物を配合した本発明の
樹脂組成物は、これらを配合しない場合に比べて、光学
的立体造形を行った際の硬化物の機械物性が更に上昇
し、光学的立体造形用樹脂組成物として好ましいものと
なる。
【0072】また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成
物には、必須ではないが必要に応じて充填剤を配合する
ことができる。充填剤は無機および有機の粉末状、フレ
ーク状、繊維状物質のことである。
【0073】無機の充填剤の例としては、ガラス粉末、
マイカ粉末、シリカまたは石英粉末、炭素粉末、炭酸カ
ルシウム粉末、アルミナ粉末、水酸化アルミニウム粉
末、ケイ酸アルミニウム粉末、ケイ酸ジルコニウム粉
末、酸化鉄粉末、硫酸バリウム粉末、カオリン、ドロマ
イト、金属粉末、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト、
金属ホイスカー、炭酸カルシウムホイスカー、中空ガラ
スバルーンあるいはこれらの表面をカップリング剤で処
理し、表面に有機基をつけたものなどが挙げられる。
【0074】有機の充填剤の例としては、パルプ粉末、
ナイロン粉末、ポリエチレン粉末、架橋ポリスチレン粉
末、架橋アクリル樹脂粉末、架橋フェノール樹脂粉末、
架橋尿素樹脂粉末、架橋メラミン樹脂粉末、架橋エポキ
シ樹脂粉末、ゴム粉末あるいはこれらの表面にエポキシ
基、アクリル基、水酸基などの反応性の基をつけたもの
などが挙げられる。
【0075】また、本発明の硬化を損なわない限り熱感
応性カチオン重合開始剤、顔料、染料などの着色剤、レ
ベリング剤、消泡剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、安
定剤等の各種樹脂添加物等を添加することができる。上
記熱感応性カチオン重合開始剤としては、例えば特開昭
57−49613号、特開昭58−37004号公報記
載の脂肪族オニウム塩類が挙げられる。
【0076】本発明においては、本発明の効果を阻害し
ない範囲で所望により、上記のような1分子中に2個以
上の水酸基を含有する化合物、熱可塑性高分子化合物、
充填剤、熱感応性カチオン重合開始剤、顔料、染料、着
色剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、難燃剤、酸化防
止剤、安定剤等の各種樹脂添加物等を通常の使用の範囲
で併用することができるが、造形物の歪みの点で、本発
明の光造形用樹脂組成物の総量に対して200重量%以
下とするのが好ましい。
【0077】本発明の樹脂組成物を硬化させる活性エネ
ルギー線としては、紫外線、電子線、X線、放射線、高
周波等があり、紫外線が経済的にもっとも好ましい。紫
外線の光源としては、紫外線レーザ、水銀ランプ 、キ
セノンランプ、ナトリウムランプ、アルカリ金属ランプ
等があるが、集光性が良好なことからレーザ光線が特に
好ましい。
【0078】次に、本発明の光学的立体造形法について
詳述する。まず、必須の構成成分として、(A)下記一
般式 (式中、Rは分子中に1から6個の活性水素を含有する
有機化合物の残基を示し、mは1から6の数であり、n
は分子内及び分子間を問わず同一でも異なっていてもよ
く、組成物中の全nの平均値は1〜30である。)で表
されるカチオン重合性有機物質と、(B)エネルギー線
感受性カチオン重合開始剤と、必要に応じて、(C)
(A)以外のカチオン重合性有機物質と、(D)ラジカ
ル重合性有機化合物と、(E)エネルギー線感受性ラジ
カル重合開始剤、及びその他の材料とから光学的立体造
形用樹脂組成物を得る。
【0079】この工程は周知の工程によるのがよいが、
例えば、これらの材料を十分混合する。具体的な混合方
法としては、例えばプロペラの回転に伴う撹拌力を利用
する撹拌法やロール練り込み法などが挙げられる。上記
(A)〜(E)の好ましい配合比、また必要に応じて配
合される添加剤の種類及びその配合比は、本発明の光学
的立体造形用樹脂組成物について述べたものと同じ範囲
または種類を使用することができる。このようにして得
られた光学的立体造形用樹脂組成物は概ね常温で液状で
ある。
【0080】次に、上記樹脂組成物の任意の表面に、エ
ネルギー線を照射し、該樹脂組成物のエネルギー線照射
表面を硬化させて所望の厚さの硬化層を形成し、該硬化
層上に前述のエネルギー線硬化性樹脂組成物をさらに供
給して、これを同様に硬化させて前述の硬化層と連続し
た硬化層を得る積層操作を行い、この操作を繰り返すこ
とによって三次元の立体物を得る。
【0081】本発明の光学的立体造形法に使用する活性
エネルギー線の種類は、本発明の樹脂組成物を硬化させ
る活性エネルギー線と同じである。すなわち、紫外線、
電子線、X線、放射線、高周波等があり、紫外線か経済
的にもっとも好ましい。紫外線の光源としては、紫外線
レーザ、水銀ランプ、キセノンランプ、ナトリウムラン
プ、アルカリ金属ランプ等があるが、集光性が良好なこ
とからレーザ光線が特に好ましい。
【0082】さらに得られた三次元の立体物は必要に応
じてさらに加熱またはエネルギー線を照射することによ
って後硬化を施すことにより耐熱性を向上させることが
できる。 加熱の方法は、恒温槽、熱硬化炉などを用い
るのが好ましく、加熱温度は60〜250℃の範囲が好
ましい。
【0083】エネルギー線としては紫外線、電子線、X
線、放射線、高周波等があり、紫外線がもっとも好まし
い。紫外線の光源としては、水銀ランプ、蛍光ランプ、
キセノンランプ、アルカリ金属ランプ等が挙げられる。
【0084】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により具
体的に説明する。 実施例1〜11及び比較例1〜2 表1及び表2に示す配合で樹脂を十分混合して、各光学
的立体造形用樹脂組成物を得た。(なお、表1及び表2
に示す配合量は重量部を示す)。次に、得られた樹脂組
成物入り容器、容器内を上下動するNCテーブル、紫外
Arイオンレーザ(波長333,351,364nmの
マルチライン、出力100mW)と、光学系および制御
用コンピュータを中心とした制御部からなる光学的立体
造形システムを用いて、この樹脂組成物からCADデー
タを元に、0.1mmピッチで積層して高さ12.7m
m、幅6.4mm、長さ127mmの試験片を作成し
た。操作を図を参照して説明する。図1に示すように、
NCテーブル2を樹脂5中に位置させ、テーブル2上に
上記ピッチに相当する深度の未硬化樹脂層を形成する。
次にCADデータを元に制御部1からの信号に従って光
学系3を制御してレーザー4からのレーザー光線6を未
硬化樹脂表面に走査照射して第1硬化層7を得る(図2
参照)。次に制御部1からの信号に従ってNCテーブル
2を下降させ、第1硬化層7上にさらに上記ピッチに相
当する深度の未硬化樹脂層を形成する(図3参照)。同
様にレーザー光線6を走査照射して第2硬化層8を得る
(図4参照)。以下同様にして積層する。
【0085】得られた試験片は、表1及び表2に示す条
件で熱処理をした後に、又はせずにJIS−K6911
にしたがって荷重18.2kgf/cmで荷重たわみ
温度を測定した。また、同一の条件で、設計寸法縦15
0mm、横150mm、高さ20mmの試験片を作成
し、この試験片の縦横各10個所ずつ長さを測定して、
設計寸法からの測定値ずれの平均値を寸法誤差とした。
結果を表1及び表2に示す。尚、各実施例及び比較例で
使用した化合物は以下の通りである。
【0086】(A)一般式(1)で表されるカチオン重
合性有機物質としては以下を使用した。一般式(1)に
おいて、 (A)−1 : R=トリメチロールプロパン残基、n
の平均値=5、m=3 (A)−2 : R=アリルアルコール残基、m=1で
あるものと、R=エポキシ化アリルアルコール残基、m
=1であるものの混合物であり、全体としてnの平均値
=12 (A)−3 : R=2,2−ビス(ヒドロキシエチ
ル)−1−ブタノール残基、nの平均値=5、m=3 (A)−4 : R=メタノール残基、nの平均値=
3、m=1
【0087】エネルギー線感受性カチオン重合開始剤と
しては、下記の(B)−1〜3を用いた。 (B)−1:4,4’ビス−(ジフェニルスルホニオ)
フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネ
ート [R’R”S][B]B=SbF
【0088】(B)−2:4,4’ビス−[ジ(β−ヒ
ドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスル
フィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート [R’R”S][B]B=SbF
【0089】(B)−3:4−[4’−(ベンゾイル)
フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニ
ル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート [R’R”S][B]B=SbF
【0090】(C)(A)以外のカチオン重合性有機物
質としては、下記の(C)−1〜3を用いた。 (C)−1:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−
3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート (C)−2:1,4−ブタンジオールジグリシジルエー
テル (C)−3:ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメ
チル)アジペート
【0091】(D)ラジカル重合性有機化合物として
は、下記の(D)−1〜3を用いた。 (D)−1:ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ
アクリレート (D)−2:トリメチロールプロパントリアクリレート (D)−3:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレー
【0092】(E)エネルギー線感受性ラジカル重合開
始剤としては下記の(E)−1、2を用いた。 (E)−1:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニ
ル−ケトン (E)−2:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニル
メタン−1−オン
【0093】表1 *1) キセノンランプ(5mW/cm)の光を、試
験片を回転させながら均一に30分照射 *2) *1)の処理の後に150℃x1時間処理
【0094】表2
【0095】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明の光学的
造形用樹脂組成物においては、酸素による硬化阻害が起
こらず、変形が少なく、硬化時の収縮も小さいため、所
望の寸法の造形物を得ることが容易であり、しかも加熱
等の後処理によって耐熱性が極めて良好な造形物を得る
ことができる。よって、光学的立体造形方法に好適に用
いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学的立体造形システムにおいて、未硬化樹脂
層を形成する工程を示す説明図である。
【図2】光学的立体造形システムにおいて、第1硬化層
を得る工程を示す説明図である。
【図3】光学的立体造形システムにおいて、第1硬化層
上にさらに未硬化樹脂を形成する工程を示す説明図であ
る。
【図4】光学的立体造形システムにおいて、第2硬化層
を得る工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1 制御部 2 NCテーブル 3 光学系 4 レーザー 5 樹脂 6 レーザー光線 7 第1硬化層 8 第2硬化層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 必須の構成成分として、(A)下記一般
    (式中、Rは分子中に1から6個の活性水素を含有する
    有機化合物の残基を示し、mは1から6の数であり、n
    は分子内及び分子間を問わず同一でも異なっていてもよ
    く、組成物中の全nの平均値は1〜30である。)で表
    されるカチオン重合性有機物質と、(B)エネルギー線
    感受性カチオン重合開始剤と、を含有することを特徴と
    する光学的立体造形用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光学的立体造形用樹脂組
    成物にさらに、(C)(A)以外のカチオン重合性有機
    物質を含有することを特徴とする光学的立体造形用樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の光学的立体造形
    用樹脂組成物にさらに、(D)ラジカル重合性有機化合
    物と、(E)エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤
    と、を含有することを特徴とする光学的立体造形用樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】 エネルギー線硬化性樹脂組成物の任意の
    表面に、エネルギー線を照射し、該樹脂組成物のエネル
    ギー線照射表面を硬化させて所望の厚さの硬化層を形成
    し、該硬化層上に前述のエネルギー線硬化性樹脂組成物
    をさらに供給して、これを同様に硬化させ前述の硬化層
    と連続した硬化物を得る積層操作を行い、この操作を繰
    り返すことによって三次元の立体物を得る光学的立体造
    形法において、上記エネルギー線硬化性樹脂組成物が、
    請求項1ないし3のうちいずれか一項記載の光学的立体
    造形用樹脂組成物であることを特徴とする光学的立体造
    形方法。
  5. 【請求項5】 請求項4の方法で得られた三次元の立体
    物をさらに加熱及び/又はエネルギー線を照射すること
    を特徴とする光学的立体造形方法。
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