JP2007210861A - SiC基板の製造方法及びSiC基板並びに半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイクロパイプだけでなく基底面内転位も低減することができるSiC基板の製造方法及びこれにより作製されたSiC基板並びに半導体装置を提供する。
【解決手段】マイクロパイプを有するSiC単結晶基板上に、マイクロパイプを閉塞させるSiCエピタキシャル成長層を化学的気相成長させるSiC基板の製造方法であって、前記SiCエピタキシャル成長層の成長工程中に、前記マイクロパイプの閉塞が不完全な状態で前記SiCエピタキシャル成長層の成長を途中で一旦中断し、1400℃以上1800℃以下の雰囲気中に一時的に保持する保持工程を行う。
【選択図】図2
【解決手段】マイクロパイプを有するSiC単結晶基板上に、マイクロパイプを閉塞させるSiCエピタキシャル成長層を化学的気相成長させるSiC基板の製造方法であって、前記SiCエピタキシャル成長層の成長工程中に、前記マイクロパイプの閉塞が不完全な状態で前記SiCエピタキシャル成長層の成長を途中で一旦中断し、1400℃以上1800℃以下の雰囲気中に一時的に保持する保持工程を行う。
【選択図】図2
Description
本発明は、パワーデバイス等の形成用基板に好適なSiC基板の製造方法及びSiC基板並びに半導体装置に関する。
近年、電力制御用のパワーデバイスや高周波デバイス等の形成用基板として、シリコンよりも大きなバンドギャップ、高い飽和ドリフト速度、高い熱伝導度、大きい絶縁破壊電界強度等を有するSiC(炭化珪素)が注目されている。例えば、このSiCを用いたパワーデバイスでは、低損失化、高性能化及び小型化が可能であり、電源電力変換の省エネルギー化、電気自動車の性能向上等に大いに寄与するものと考えられている。
パワーデバイスに用いられるSiC単結晶基板は、種基板を用いた昇華成長技術であるいわゆる改良レーリー法によって成長させた単結晶SiCインゴットから作製されるものが知られている。
パワーデバイス等をSiCを用いて作製する場合、SiC単結晶基板上にデバイス形成領域としてSiCエピタキシャル成長層を成長するが、バルク移動度が高い4H−SiC等のα−SiCの市販基板には、結晶のc軸に沿ってマイクロパイプと呼ばれる中空の貫通欠陥が多数存在し、その基板上に成長したSiCエピタキシャル成長層にも、欠陥が生じてしまっていた。作製したパワーデバイスの電極を付けた場所に、一つでもこのマイクロパイプが存在すると、大幅な素子特性の低下が生じてしまう不都合があった。
パワーデバイス等をSiCを用いて作製する場合、SiC単結晶基板上にデバイス形成領域としてSiCエピタキシャル成長層を成長するが、バルク移動度が高い4H−SiC等のα−SiCの市販基板には、結晶のc軸に沿ってマイクロパイプと呼ばれる中空の貫通欠陥が多数存在し、その基板上に成長したSiCエピタキシャル成長層にも、欠陥が生じてしまっていた。作製したパワーデバイスの電極を付けた場所に、一つでもこのマイクロパイプが存在すると、大幅な素子特性の低下が生じてしまう不都合があった。
従来、例えば特許文献1には、マイクロパイプを閉塞する方法として液相成長法(LPE)でSiCエピタキシャル成長層を成長する方法が提案されている。
また、特許文献2には、炭化珪素単結晶の表面を被覆し、炭化珪素蒸気種で飽和状態にした雰囲気で、熱処理工程を昇温、降温を繰り返し行うことによりマイクロパイプを閉塞する方法が提案されている。
また、特許文献2には、炭化珪素単結晶の表面を被覆し、炭化珪素蒸気種で飽和状態にした雰囲気で、熱処理工程を昇温、降温を繰り返し行うことによりマイクロパイプを閉塞する方法が提案されている。
さらに、特許文献3には、CVD(化学的気相成長)炉により、マイクロパイプを閉塞する方法として、C(炭素)原料とSi(珪素)原料との供給比C/Siを炭素供給律速の条件でSiCエピタキシャル成長層(マイクロパイプ閉塞層)の成長を行うことで、マイクロパイプの100%近くが閉塞されたことが記載されている。この方法によれば、同一炉を用いて、マイクロパイプの閉塞層とデバイス活性層とを連続して作製することが可能になる。
また、特許文献4には、面方位(11−20)方向に結晶成長させることにより、マイクロパイプを結晶表面に継承しない方法が提案されている。
また、特許文献4には、面方位(11−20)方向に結晶成長させることにより、マイクロパイプを結晶表面に継承しない方法が提案されている。
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、従来の特許文献1に記載の技術では、マイクロパイプが閉塞される代わりに試料表面の凹凸が非常に大きくなってしまう問題があった。そのため、基板をさらに平坦化してから、他の気相成長装置等に試料を移してデバイス作製のための活性層となるSiCエピタキシャル成長層を形成する等、さらなる工程が必要となり、高コストとなってしまう。
また、特許文献2に記載の技術では、被覆工程及び熱処理工程等の追加の工程が必要になり、工程数の増加に伴い作製時間及びコストの増大を招いてしまう。
さらに、特許文献3に記載の技術では、供給比C/Siを炭素供給律速とする条件でCVD法により成膜を行うが、T.Ohno等、J.Crys.Growth 271(2004)1-7.によれば、基底面内転位が結晶表面に多く残留する問題が指摘されている。この転位中には、炭素供給律速の雰囲気で多く発生するエピタキシャル成長中欠陥である基底面内転位−貫通刃状転位ペアが発生したことによる基底面内転位が含まれている。このような基底面内転位もまた、デバイスの電気特性に悪影響を及ぼす不都合があった。
また、特許文献4に記載の技術では、マイクロパイプを低減させることができるが、新たに積層欠陥を形成し易いという問題がある。このような積層欠陥もデバイスの電気特性に悪影響を及ぼす不都合があった。
すなわち、従来の特許文献1に記載の技術では、マイクロパイプが閉塞される代わりに試料表面の凹凸が非常に大きくなってしまう問題があった。そのため、基板をさらに平坦化してから、他の気相成長装置等に試料を移してデバイス作製のための活性層となるSiCエピタキシャル成長層を形成する等、さらなる工程が必要となり、高コストとなってしまう。
また、特許文献2に記載の技術では、被覆工程及び熱処理工程等の追加の工程が必要になり、工程数の増加に伴い作製時間及びコストの増大を招いてしまう。
さらに、特許文献3に記載の技術では、供給比C/Siを炭素供給律速とする条件でCVD法により成膜を行うが、T.Ohno等、J.Crys.Growth 271(2004)1-7.によれば、基底面内転位が結晶表面に多く残留する問題が指摘されている。この転位中には、炭素供給律速の雰囲気で多く発生するエピタキシャル成長中欠陥である基底面内転位−貫通刃状転位ペアが発生したことによる基底面内転位が含まれている。このような基底面内転位もまた、デバイスの電気特性に悪影響を及ぼす不都合があった。
また、特許文献4に記載の技術では、マイクロパイプを低減させることができるが、新たに積層欠陥を形成し易いという問題がある。このような積層欠陥もデバイスの電気特性に悪影響を及ぼす不都合があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、マイクロパイプだけでなく基底面内転位も低減することができるSiC基板の製造方法及びこれにより作製されたSiC基板並びに半導体装置を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明のSiC基板の製造方法は、マイクロパイプを有するSiC単結晶基板上に、マイクロパイプを閉塞させるSiCエピタキシャル成長層を化学的気相成長させるSiC基板の製造方法であって、前記SiCエピタキシャル成長層の成長工程中に、前記マイクロパイプの閉塞が不完全な状態で前記SiCエピタキシャル成長層の成長を途中で一旦中断し、1400℃以上1800℃以下の雰囲気中に一時的に保持する保持工程を行うことを特徴とする。
このSiC基板の製造方法では、マイクロパイプの閉塞が不完全な状態でSiCエピタキシャル成長層の成長を途中で中断し、1400℃以上1800℃以下の雰囲気中に一時的に保持することにより、マイクロパイプが閉塞過程にある結晶領域にかかるストレスを軽減し、その後に成長したSiCエピタキシャル成長層において、マイクロパイプの閉塞が行われると共にストレスに起因した基底面内転位の発生が低減される。また、1400℃以上1800℃以下の雰囲気中に一時的に保持されるので、転位の方向性が変わって異なる種類の転位に変換され、その後に成長したSiCエピタキシャル成長層において、基底面内転位をデバイスの電気特性に悪影響を及ぼし難い転位に変更することができる。
また、本発明のSiC基板の製造方法は、前記保持工程を、前記SiCエピタキシャル成長層の成長工程中に複数回繰り返すことを特徴とする。すなわち、このSiC基板の製造方法では、保持工程をSiCエピタキシャル成長層の成長工程中に複数回繰り返すことのより、結晶のストレス低減効果及び転位方向性変更効果が繰り返し得られ、基底面内転位の低減をさらに図ることができる。
また、本発明のSiC基板の製造方法は、前記保持工程が、エピタキシャル成長を伴わないアニール工程であることを特徴とする。すなわち、このSiC基板の製造方法では、保持工程がエピタキシャル成長を伴わないアニール工程であるので、アニールによって結晶のストレスが緩和されると共に転位の方向が変わり、基底面内転位の低減を図ることができる。
本発明のSiC基板は、上記本発明のいずれかのSiC基板の製造方法によって作製されたことを特徴とする。すなわち、このSiC基板では、上記本発明のいずれかのSiC基板の製造方法によって作製されているので、SiCエピタキシャル成長層の上層部が、マイクロパイプ密度が10%以下の低マイクロパイプ領域となると共に、低マイクロパイプ領域が基底面内転位が全転位の3%以下、又は基底面内転位密度がSiC単結晶基板近傍の下層部における基底面内転位密度の50%以下となる良好な結晶性を有することができる。
本発明のSiC基板は、マイクロパイプを有するSiC単結晶基板と、前記SiC単結晶基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層と、を備えたSiC基板であって、前記SiCエピタキシャル成長層が、その上層部にマイクロパイプ密度が前記SiC単結晶基板のマイクロパイプ密度の10%以下である低マイクロパイプ領域を有し、前記低マイクロパイプ領域の基底面内転位が、全転位の3%以下であることを特徴とする。
本発明のSiC基板は、マイクロパイプを有するSiC単結晶基板と、前記SiC単結晶基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層と、を備えたSiC基板であって、前記SiCエピタキシャル成長層が、その上層部にマイクロパイプの密度が前記SiC単結晶基板のマイクロパイプの密度の10%以下である低マイクロパイプ領域を有し、前記低マイクロパイプ領域の基底面内転位密度が、前記SiC単結晶基板近傍の下層部における基底面内転位密度の50%以下であることを特徴とする。
本発明の半導体装置は、上記本発明のいずれかSiC基板又はSiC基板上に成長された半導体層に半導体素子が形成されていることを特徴とする。すなわち、この半導体装置では、基底面内転位が少なく良好な結晶性のSiC基板又はその上に成長された半導体層に半導体素子が形成されているので、デバイスの良好な電気特性を得ることができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るSiC基板の製造方法によれば、マイクロパイプの閉塞が不完全な状態でSiCエピタキシャル成長層の成長を途中で中断し、上記所定温度範囲内の雰囲気中に一時的に保持することにより、結晶のストレスを軽減すると共に転位の方向性を変え、その後に成長したSiCエピタキシャル成長層において、マイクロパイプの閉塞が行われると共に基底面内転位が低減される。したがって、これにより作製された本発明のSiC基板によれば、マイクロパイプの閉塞と基底面内転位の低減とが両立した良好な最表面を得ることができる。
また、本発明に係るSiC基板によれば、SiCエピタキシャル成長層の上層部が、マイクロパイプ密度が10%以下の低マイクロパイプ領域であると共に、低マイクロパイプ領域が、基底面内転位が全転位の3%以下、又は基底面内転位密度がSiC単結晶基板近傍の下層部における基底面内転位密度の50%以下であるので、デバイスの電気特性に悪影響を及ぼす転位が少ない良好な結晶面を有し、パワーデバイス等の半導体装置の形成基板に好適である。
したがって、これらのSiC基板を用いて形成した半導体装置では、デバイスの良好な電気特性を得ることができ、特性劣化が少なく優れた信頼性を得ることができる。
すなわち、本発明に係るSiC基板の製造方法によれば、マイクロパイプの閉塞が不完全な状態でSiCエピタキシャル成長層の成長を途中で中断し、上記所定温度範囲内の雰囲気中に一時的に保持することにより、結晶のストレスを軽減すると共に転位の方向性を変え、その後に成長したSiCエピタキシャル成長層において、マイクロパイプの閉塞が行われると共に基底面内転位が低減される。したがって、これにより作製された本発明のSiC基板によれば、マイクロパイプの閉塞と基底面内転位の低減とが両立した良好な最表面を得ることができる。
また、本発明に係るSiC基板によれば、SiCエピタキシャル成長層の上層部が、マイクロパイプ密度が10%以下の低マイクロパイプ領域であると共に、低マイクロパイプ領域が、基底面内転位が全転位の3%以下、又は基底面内転位密度がSiC単結晶基板近傍の下層部における基底面内転位密度の50%以下であるので、デバイスの電気特性に悪影響を及ぼす転位が少ない良好な結晶面を有し、パワーデバイス等の半導体装置の形成基板に好適である。
したがって、これらのSiC基板を用いて形成した半導体装置では、デバイスの良好な電気特性を得ることができ、特性劣化が少なく優れた信頼性を得ることができる。
以下、本発明に係るSiC基板の製造方法及びSiC基板並びに半導体装置の一実施形態を、図1から図4を参照しながら説明する。
本実施形態のSiC基板の製造方法は、電力制御用のパワーデバイスや高周波デバイス等の形成用基板を作製する方法であって、図1に示すように、マイクロパイプ(図示略)を有するSiC単結晶基板1上に、マイクロパイプを閉塞させるSiCエピタキシャル成長層2を化学的気相成長させるSiC基板の製造方法である。このSiC基板の製造方法では、SiC単結晶基板1として、4H−SiCの<0001>軸が<11−20>方向に8°傾いたオフ角を有するSi面鏡面基板を用いる。
このSiC単結晶基板1上に、横型減圧HW−CVD(ホットウォール化学的気相成長)炉によりマイクロパイプ閉塞層であるSiCエピタキシャル成長層2を形成する。例えば、成膜条件は、温度T=1585℃、水素(キャリアガス)流量45slm、圧力P=100mbar、SiH4=7.2sccm、供給比C/Si=1.2に設定し、SiCエピタキシャル成長層2を8.2μmの層厚で成膜する。
なお、この成膜の始めに供給比C/Si=5の条件で、SiH4=0.3sccmでSiH4ガスを15秒間流し、初期アニールを15秒間のセットで5回繰り返してからガスを増量してSiCエピタキシャル成長層2の上記成膜条件とし、成膜を行っている。SiCエピタキシャル成長層2の上記成膜条件では、閉塞されるマイクロパイプの大きさと膜厚との関係は、およそ1:1である。例えば、内径5μmのマイクロパイプは、SiCエピタキシャル成長層2を5μm成膜することで、ほぼ閉塞させることができる条件である。
このSiCエピタキシャル成長層2の成長工程中、マイクロパイプの閉塞が不完全な状態でSiCエピタキシャル成長層2の成長を途中で一旦中断し、1400℃以上1800℃以下の雰囲気中(本実施形態では温度T=1585℃の雰囲気中)に一時的に保持する保持工程を繰り返し行う。すなわち、本実施形態では、保持工程として、図2に示すように、例えばSiCエピタキシャル成長層2の膜厚が約1.4μmとなる度にSiH4ガスの供給を止め、エピタキシャル成長を伴わないアニール工程(A)を行い、これを計6回繰り返して全体として8.2μmまで成長して、SiC基板を作製する。
保持工程においては、高温での処理のため、条件によっては結晶表面がエッチングされる。このエッチングの効果に相当する程度以下の成長レートが得られるSi原料ガスをC原料ガスとともに流しても良い。
保持工程においては、高温での処理のため、条件によっては結晶表面がエッチングされる。このエッチングの効果に相当する程度以下の成長レートが得られるSi原料ガスをC原料ガスとともに流しても良い。
なお、比較例として、図3に示すように、上記初期アニール後に8.2μmまで一定の上記成膜条件でSiCエピタキシャル成長層2を成膜した従来の製法による試料も作製した。
また、使用したSiC単結晶基板1は、いずれも表面に400個ほどのマイクロパイプが存在し、最大で内径5μmの大きさのマイクロパイプを有しているが、上記成膜後、いずれの基板においても、全てのマイクロパイプの閉塞が観測された。
また、使用したSiC単結晶基板1は、いずれも表面に400個ほどのマイクロパイプが存在し、最大で内径5μmの大きさのマイクロパイプを有しているが、上記成膜後、いずれの基板においても、全てのマイクロパイプの閉塞が観測された。
上記本実施形態で作製した実施例及び比較例の試料について、それぞれSiCエピタキシャル成長層2をドライエッチングにより膜厚5μmまで薄膜化し、評価した全欠陥に対する基底面内転位の割合を、表1に示す。なお、上記ドライエッチングは、CF4ガスとO2ガスとの雰囲気中でのICP−RIE法を用いている。また、ドライエッチングした試料を溶融KOHに浸して異方性エッチングを行い、生じたエッチピット観察により欠陥評価を行った。
また、上記ドライエッチングで薄膜化した試料で、その表面での基底面内転位の密度(個/cm2)について調べた結果を、表2に示す。
上記表1からわかるように、SiC単結晶基板1の表面に存在していた基底面内転位の割合は36%であり、従来の比較例では4.2%までしか削減できていないのに対し、本実施形態では1.0%と大幅に削減されている。
さらに、上記表2からわかるように、SiC単結晶基板1の表面に存在していた基底面内転位の密度は2.5×104個/cm2であり、従来の比較例では3.8×103個/cm2までしか低減できていないのに対し、本実施形態では6.8×102個/cm2と大幅に低減されている。
さらに、上記表2からわかるように、SiC単結晶基板1の表面に存在していた基底面内転位の密度は2.5×104個/cm2であり、従来の比較例では3.8×103個/cm2までしか低減できていないのに対し、本実施形態では6.8×102個/cm2と大幅に低減されている。
また、ドライエッチングした上記両試料を、さらにCMPによって研磨し、SiCエピタキシャル成長層2を1μmのみ残してから、KOHエッチングにより欠陥評価を行った。この結果、両試料とも、全転位に対する基底面内転位の割合は4.5%であった。すなわち、本実施形態では、アニール工程(保持工程)前における初期のSiCエピタキシャル成長層2の下層部において比較例と同様の基底面内転位の割合であり、その後のアニール工程を介して成膜したSiCエピタキシャル成長層2によって大幅に基底面内転位の割合が減少したことがわかる。
このように、SiCエピタキシャル成長層2の上層部が、マイクロパイプ密度が10%以下の低マイクロパイプ領域となると共に、低マイクロパイプ領域が基底面内転位が全転位の3%以下、又は基底面内転位密度がSiC単結晶基板近傍の下層部における基底面内転位密度の50%以下となる。
上述したように、本実施形態では、マイクロパイプの閉塞が不完全な状態でSiCエピタキシャル成長層2の成長を途中で中断し、1400℃以上1800℃以下の雰囲気中に一時的に保持し、アニールすることにより、マイクロパイプが閉塞過程にある結晶領域にかかるストレスを軽減し、その後に成長したSiCエピタキシャル成長層2において、マイクロパイプの閉塞が行われると共にストレスに起因した基底面内転位の発生が低減される。また、1400℃以上1800℃以下の雰囲気中に一時的に保持されることで、転位の方向性が変わって異なる種類の転位に変換され、その後に成長したSiCエピタキシャル成長層2において、基底面内転位をデバイスの電気特性に悪影響を及ぼし難い転位に変更することができる。
また、保持工程をSiCエピタキシャル成長層2の成長工程中に複数回繰り返すことにより、結晶のストレス低減効果及び転位方向性変更効果が繰り返し得られ、基底面内転位の低減をさらに図ることができる。
また、本実施形態の製法で作製されたSiC基板では、SiCエピタキシャル成長層2の上層部が、マイクロパイプ密度が10%以下の低マイクロパイプ領域であると共に、低マイクロパイプ領域が基底面内転位が全転位の3%以下、又は基底面内転位密度がSiC単結晶基板近傍の下層部における基底面内転位密度の50%以下となり、最表面で良好な結晶状態を得ることができる。
次に、本実施形態で作製したSiC基板を用いた半導体装置について、図4を参照して説明する。
まず、本実施形態のSiC基板を作製する際、SiCエピタキシャル成長層2の成膜時に窒素添加を行っておき、SiCエピタキシャル成長層2をドナー密度1×1018cm−3で膜厚8.2μmのバッファ層とする。なお、上記比較例として従来の製法で作製したSiC基板についても、同様の窒素添加及び膜厚で成膜した。
次に、SiCエピタキシャル成長層2上に、窒素添加量を調整してドナー密度3×1015cm−3で膜厚20μmのn型層3を形成する。さらに、このn型層3上に、窒素に代わってトリメチルアルミ(TMA)を添加することによって、アクセプタ密度5×1018cm−3で膜厚0.5μmのp型層4を形成して、pn接合部(半導体素子)6aを形成する。なお、上記n型層3及びp型層4の成膜条件は、温度T=1585℃、水素(キャリアガス)流量45slm、圧力P=100mbar、SiH4=7.2sccm、供給比C/Si=1.8と設定した。
次に、SiC単結晶基板1裏面とp型層4表面に、それぞれNi(ニッケル)を蒸着し、熱処理を行ってオーミック電極5を形成して、pnダイオード(半導体装置)6を作製する。なお、p型層4表面側のオーミック電極5は、100μm角で形成した。
このように作製したpnダイオード6に順方向電流を電流密度100A/cm2で1時間通電し、耐久試験を行った。この結果、通電後に素子抵抗が上昇した割合は、比較例が48%であったのに対し、本実施形態のpnダイオード6では8%となり、本実施形態ではデバイスの電気特性の経時変化が非常に少ないことがわかる。
このように作製したpnダイオード6に順方向電流を電流密度100A/cm2で1時間通電し、耐久試験を行った。この結果、通電後に素子抵抗が上昇した割合は、比較例が48%であったのに対し、本実施形態のpnダイオード6では8%となり、本実施形態ではデバイスの電気特性の経時変化が非常に少ないことがわかる。
このように本実施形態のSiC基板を用いて作製されたpnダイオード6では、基底面内転位が少なく良好な結晶性のSiC基板上に成長されたn型層3及びp型層4に、pn接合部6aが形成されているので、デバイスの良好な電気特性を得ることができ、特性劣化が少なく優れた信頼性を得ることができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1…SiC単結晶基板、2…SiCエピタキシャル成長層、3…n型層、4…p型層、5…オーミック電極、6…pnダイオード(半導体装置)、6a…pn接合部(半導体素子)
Claims (7)
- マイクロパイプを有するSiC単結晶基板上に、マイクロパイプを閉塞させるSiCエピタキシャル成長層を化学的気相成長させるSiC基板の製造方法であって、
前記SiCエピタキシャル成長層の成長工程中に、前記マイクロパイプの閉塞が不完全な状態で前記SiCエピタキシャル成長層の成長を途中で一旦中断し、1400℃以上1800℃以下の雰囲気中に一時的に保持する保持工程を行うことを特徴とするSiC基板の製造方法。 - 請求項1に記載のSiC基板の製造方法において、
前記保持工程を、前記SiCエピタキシャル成長層の成長工程中に複数回繰り返すことを特徴とするSiC基板の製造方法。 - 請求項1又は2に記載のSiC基板の製造方法において、
前記保持工程が、エピタキシャル成長を伴わないアニール工程であることを特徴とするSiC基板の製造方法。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載のSiC基板の製造方法によって作製されたことを特徴とするSiC基板。
- マイクロパイプを有するSiC単結晶基板と、
前記SiC単結晶基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層と、を備えたSiC基板であって、
前記SiCエピタキシャル成長層が、その上層部にマイクロパイプ密度が前記SiC単結晶基板のマイクロパイプ密度の10%以下である低マイクロパイプ領域を有し、
前記低マイクロパイプ領域の基底面内転位が、全転位の3%以下であることを特徴とするSiC基板。 - マイクロパイプを有するSiC単結晶基板と、
前記SiC単結晶基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層と、を備えたSiC基板であって、
前記SiCエピタキシャル成長層が、その上層部にマイクロパイプの密度が前記SiC単結晶基板のマイクロパイプの密度の10%以下である低マイクロパイプ領域を有し、
前記低マイクロパイプ領域の基底面内転位密度が、前記SiC単結晶基板近傍の下層部における基底面内転位密度の50%以下であることを特徴とするSiC基板。 - 請求項4から7のいずれか一項に記載のSiC基板又は前記SiC基板上に成長された半導体層に半導体素子が形成されていることを特徴とする半導体装置。
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- 2006-02-10 JP JP2006034553A patent/JP2007210861A/ja not_active Withdrawn
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