JP2007209874A - 溶存塩素捕捉剤及びそれを含有する洗浄剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶存塩素に対する捕捉効果が高く、繊維に施された修飾効果を低下させることがなく、風合を改良できる溶存塩素捕捉剤、それを含む洗浄剤組成物及び洗浄方法の提供。
【解決手段】溶存塩素捕捉剤の主成分として、下記一般式(1)のN−アシルペプチド化合物を用いる。
Figure 2007209874

1−CO:C10−C22の脂肪酸残基、−NH−CH(R2)−CO−:シルク蛋白質のペプチド残基、R2:側鎖、m:2.1以上の正数、M1:Na,K、アルカノールアミン残基
【選択図】なし

Description

本発明は、遊離塩素と呼ばれている酸化活性の強い塩素を含有している物質に接触又は混合することにより、前記塩素を捕捉する、塩素捕捉剤及びそれを含む洗浄剤組成物に関する。
本発明の塩素捕捉剤及び洗浄剤組成物は、溶存塩素により変質する非洗浄物を水道水等の塩素含有水中で安定に洗浄する能力に優れ、特に繊維をカチオン化処理した後、吸着物質を添加して繊維に吸着させて得られる修飾繊維の洗浄に用いた場合、吸着物質の洗浄落ちを少なく洗浄する特性を有し、特に止痒、鎮痒、消炎効果を有する金属フタロシアニン誘導体を担持した繊維・布の洗浄に有効である。
水道法では残留塩素の濃度の下限値は「末端の蛇口」において、平時で0.1ppm以上であり、水系病原菌汚染の存在が疑われる場合には0.2ppm以上と規定されている。しかしその上限値は規定されていない。その為、細菌の繁殖しやすい時期には、上水道水中に更に多量の残留塩素が含まれることがある。
一方繊維を第4級アンモニウム塩でカチオン化した後これに、吸着物質を吸着させて、繊維を修飾する事は従来より行われてきたが、このような修飾繊維を溶存塩素含有水中で洗浄等を施すと、溶存塩素による酸化作用によって吸着物質が酸化を受け変性することがある。また、前述の様な繊維に対する修飾物質は、一般的に繊維に弱く結合しているので、汚れは除去するが、修飾物質は保持することができる程度に洗浄することが求められ、更に通常の洗浄剤中に、柔軟剤として用いられる第4級アンモニウム塩型カチオンが含まれていると、吸着している修飾物質が剥落するという問題点があり、これらの問題の解決が求められていた。
金属フタロシアニンは染料、顔料として古くから使われてきたが、近年、それが止痒、鎮痒、消炎効果を有することが報告されている。
特許文献1には、特定の金属フタロシアニン誘導体には、この金属フタロシアニン誘導体を繊維に0.001〜5重量%程度担持することにより、人体に対し止痒、鎮痒、消炎効果を有する繊維・布が得られることが開示された。
しかしながら特許文献1に記載の方法で製造された特定の金属フタロシアニン誘導体担持繊維・布は、溶存塩素の影響を受けるだけではなく、市販の衣料用洗浄剤を用いて連続洗浄した場合、繊維に担持されたフタロシアニン誘導体が繊維から剥離し、止痒、鎮痒、消炎効果が極端に低下するか或いは消失することが判明した。また、繊維・布に柔軟効果を付与するためにカチオン性を有する界面活性剤の存在下、金属フタロシアニン誘導体担持繊維・布を洗浄すると、色落ちが激しくなることが認められており、このため、金属フタロシアニン誘導体担持繊維・布に対する有効な柔軟効果を併せ持つ洗浄剤組成物の開発が望まれていた。
溶存塩素含有水に塩素捕捉剤としてタウリンを使用する技術が特許文献2に記載されているが、タウリン処理した水道水を準備することには困難がある。
一方、N−アシルシルクペプチドは保湿効果や低刺激性の界面活性剤として特に身体洗浄剤の成分として古くより良く用いられ特許文献3には、アシルペプチドを含有する衣料用洗浄剤の記載はあるが、溶存塩素水中における修飾繊維、とりわけフタロシアニン担持繊維に対する洗浄効果を教示する文献は見当らない。
特公平07−68128号公報 特開2002−320981号公報 特開昭58−101200号公報
本発明が解決しようとする課題は、遊離塩素と呼ばれている酸化活性の強い塩素を含有する物質に接触、又は混合することにより前記塩素を捕捉除去して、溶存塩素の影響を防止する溶存塩素捕捉剤及びそれを含む洗浄剤組成物を提供することにある。
本発明は、また、溶存塩素を含有する水中においても、被洗浄物の溶存塩素による変質を防止し、また修飾物質により修飾された繊維材料についても、修飾物質の溶存塩素による脱落を防止乃至低減することのできる塩素捕捉剤又はそれを含む洗浄剤組成物を提供しようとするものである。
本発明者らは、まず溶存塩素捕捉効果のある物質を検索し、それらの溶存塩素捕捉能力評価を行うことにより、重合度2.1以上のアシル加水分解シルクペプチドはそれ自体が溶存塩素捕捉機能を有していることを発見した。
更に本件発明溶存塩素含有水用洗浄剤組成物は、色素化合物が繊維材料を修飾している被洗浄物の洗浄において優れた色落ち防止作用を有し、繊維材料の洗浄においては柔軟剤を用いることなく、実用上優れた柔軟効果を与えることを見出しこの知見に基いて本発明を完成した。
本発明の溶存塩素捕捉剤は、下記一般式(1):
Figure 2007209874
〔但し、上記式(1)中、R1−COは10〜22個の炭素原子を含む脂肪酸の残基を表し、−NH−CH(R2)−CO−は、シルク蛋白質のペプチド残基を表し、R2は、シルク蛋白質の側鎖を表し、mは2.1以上の正数を表し、M1はナトリウム原子、カリウム原子、アルカノールアミン残基又は、塩基性アミノ酸残基を表す〕
により表されるN−アシルペプチド化合物を含むことを特徴とするものである。
本発明の溶存塩素捕捉性洗浄剤組成物は、前記本発明の溶存塩素捕捉剤を含む塩素捕捉成分と、少なくとも1種の洗浄剤を含む洗浄成分とを含むものである。
本発明の修飾繊維材料の洗浄方法は、繊維材料を水中においてカチオン化剤を用いて処理し、このカチオン化繊維材料に、繊維材料用修飾物質を吸着させて製造された修飾繊維材料を、溶存塩素を含有する水中において洗浄するに際し、洗浄剤として、前記本発明の溶存塩素捕捉性洗浄剤組成物を用い、それによって、洗浄水中の溶存塩素を捕捉除去し、修飾繊維材料中の吸着物質の変質及び脱落を防止することを含むものである。
本発明の洗浄方法の一実施態様において、前記繊維材料を修飾する修飾物質が、下記一般式(2):
Figure 2007209874
〔但し、上記式(2)において、R3〜R6は、それぞれ、互いに独立に、カルボキシル基、スルホン酸基及びこれらの酸基を有する炭化水素基から選ばれた置換基を表し、n1〜n4は、それぞれ互に独立に、0〜4の整数を表し、MはFe,Co,Mn,Ti,V,Ni,Cu,Zn,W及びOsから選ばれた金属原子を表す。〕
により表されるフタロシアニン化合物である。
本発明の溶存塩素捕捉剤は、各種材料、例えば繊維材料に対して、洗浄効果及び柔軟性付与効果を有しており、本発明塩素捕捉剤を含有する塩素含有水用洗浄剤組成物は、繊維をカチオン化した後、これを修飾物質接触させて得られる修飾繊維の前記修飾物質を溶存塩素による酸化反応から保護して、その剥離を防止乃至低減し、かつ修飾繊維に対して優れた洗浄性能を有している。
更に本発明溶存塩素含有水用洗浄剤組成物は、すすぎ時の泡切れ性に優れ、例えば洗浄後のフタロシアニン担持繊維布に対して優れた柔軟効果を有し、かつ低刺激性であって、手洗い使用時の手荒れを防止することができる。
水中の溶存塩素は、たとえばDPD法等により遊離塩素量、結合塩素量およびこれらの合計値により表される総塩素量を計測することが可能である。
ここで遊離塩素量とは、溶存ガス(Cl2)、次亜塩素酸(HOCl)、および次亜塩素酸イオン(OCl−)として水中に溶存する残留塩素の濃度として定義され、遊離塩素量が多い程酸化力が強くなり、毛髪損傷に大きく影響も高くなる。
結合塩素量とは、天然の水、及び汚染した水中に存在するアンモニアあるいは有機アミンと化学的に結合して水中に存在する塩素の量と定義される。例えばタウリンによる溶存塩素の捕捉とは、遊離塩素とタウリンが反応してクロラミン様物質を形成し、この物質中に塩素が結合塩素として捕捉されていると考えられる。すなわち塩素捕捉剤は、溶存塩素のうち遊離塩素を結合塩素に変換し、無害化する機能を有する化合物を含有するものと考えることができる。
本発明者らは、一定濃度の溶存塩素を有する水に、各種アニオン界面活性剤或いはアミノ基含有物質を加えてDPD法で遊離塩素量、結合塩素量、総塩素量を比色定量したところ、ペプチド重合度2.1以上のアシル加水分解シルクペプチドに溶存塩素捕捉機能があることを見出した。
前記ペプチド重合度2.1以上のアシル加水分解シルクペプチドは、前記一般式(1)で示されるものであって、本発明の溶存塩素捕捉剤の主成分をなすものである。
一般式(1)において、mは加水分解されたシルクのペプチド残基の平均重合度を表し、その数値は2.1以上であることが重要であり、mの好ましい値は2.1〜5.0である。
mが5.0より大きい場合、温度、洗浄水の硬度などの条件により、加水分解されたシルクのペプチドが水不溶物として析出する場合があり好ましくない。
一般式(1)において、R2は加水分解シルクアミノ酸の側鎖を表すが、加水分解シルクアミノ酸の構成は表1に記載の通りであり、R2は具体的には、水素原子、メチル基、ヒドロキシアルキル基、及びカルボキシメチル基等を包含する。
Figure 2007209874
本発明におけるペプチド重合度2.1以上のアシル加水分解シルクペプチドが溶存塩素捕捉機能を有する理由は不明であるが、ペプチド結合を構成するNH基に対して溶存塩素(この場合は主に遊離塩素)がクロラミン(−NCl−)様に反応結合するためと推定している。この効果により遊離塩素を捕捉し、繊維に吸着している物質に対する溶存塩素の酸化反応を阻止して本発明の効果が発現していると推定される。
また、本発明の溶存塩素捕捉剤の主成分をなす式(1)の化合物を塩素捕捉成分として含有する洗浄剤組成物は、繊維類を洗浄すると繊維に柔軟効果を与えることが実験的に確認された。
本発明の洗浄剤組成物において、式(1)の化合物が5.0〜30重量%の含有量で含まれることが好ましい。
式(1)の化合物の好適例としては、ラウリン酸アシル加水分解シルクペプチドナトリウム塩(平均重合度m=2.5)、ラウリン酸アシル加水分解シルクペプチドカリウム塩(平均重合度m=2.5)、ラウリン酸アシル加水分解シルクペプチドトリエタノールアミン塩(平均重合度m=2.5)、ラウリン酸アシル加水分解シルクペプチドナトリウム塩(平均重合度m=5.0)、ミリスチン酸アシル加水分解シルクペプチドカリウム塩(平均重合度m=2.1)、やし脂肪酸アシル加水分解シルクペプチド(平均重合度m=2.5)ナトリウム塩等が挙げられる。
本発明の塩素捕捉性洗浄剤組成物に含まれる洗浄成分は、少なくとも1種の洗浄剤を含むもので、洗浄剤としては、
(1)脂肪酸セッケン、高級アルキル硫酸エステル塩、POEアルキルエーテル硫酸エステル塩、N−アシルアミノ酸塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、リン酸エステル塩、スルホコハク酸塩、高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、
(2)アミドアミン系両性界面活性剤、アミド酢酸ベタイン型両性界面活性剤、アルキル酢酸ベタイン型界面活性剤等の両性界面活性剤、
(3)アルキルスルホベタイン型界面活性剤、アミドスルホベタイン型界面活性剤等の双性界面活性剤、
(4)アルキルアミンオキシド、アミドアミンオキシド等の半極性界面活性剤、並びに
(5)グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、脂肪酸アルカノールアミド類、ポリオキシエチレンアルカノールアミド類、アセチレングリコール類等のノニオン性界面活性剤など
が好ましく用いられる。
また従来より知られている溶存塩素捕捉剤を本発明の塩素捕捉剤に併用することによりより効果的に溶存塩素の影響を抑えて洗浄することが可能である。
従来より知られている溶存塩素捕捉剤の好適例としては、タウリン、グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸等が包含される。
本発明溶存塩素含有水用洗浄剤組成物にはその発明の効果を妨げない限り、通常化粧料に使用される成分を含有することができる。
本発明の溶存塩素捕捉性洗浄剤組成物は、修飾繊維材料の洗浄方法に用いることができる。すなわち、繊維材料を水中においてカチオン化剤を用いて処理し、このカチオン化繊維材料を繊維材料用修飾物質により修飾して製造された修飾繊維材料を、溶存塩素を含有する水中において洗浄するに際し、洗浄剤として、前記本発明の溶存塩素捕捉性洗浄剤組成物を用い、それによって、洗浄水中の溶存塩素を捕捉除去し、修飾繊維材料中の修飾物質の変質及び脱落を防止することができる。
前記修飾物質としては繊維材料を着色するための色素材料、アレルゲン等を吸着するための吸着材料及び痒みを鎮静化するための止痒、鎮痒、消炎剤等が用いられ、これらの修飾物質は、繊維材料により、その質量に対して0.0000001〜10重量%の修飾濃度で吸着又は収着され固定される。例えば、修飾物質が、前記一般式(2)により表されるフタロシアニン化合物を含む場合、本発明の塩素捕捉性洗浄剤組成物は、フタロシアニン化合物により修飾された繊維材料から、フタロシアニン化合物を、剥離除去することなく繊維材料を洗浄し、かつ、繊維材料に柔軟効果を、付与することができる。このとき、繊維材料は、一般に綿、羊毛、羽毛、ナイロンなどの繊維を含むものであることが好ましい。
本発明の溶存塩素捕捉剤、それを含む洗浄剤組成物及び洗浄方法を下記実施例によりさらに説明する。
下記実施例及び比較例において、塩素含有水溶液中の遊離塩素含有濃度、全塩素含有濃度は下記の方法により測定した。
実施例1及び比較例1〜4
実施例1及び比較例1〜4の各々において、前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液中に、塩素捕捉剤として、表1に記載の化合物を、1.00gの固形純分添加量で添加し、上記の測定を行った。測定結果を表2に示す。
Figure 2007209874
表2から、一般式(1)、m=2.5で示されるラウロイル加水分解シルク型界面活性剤(実施例1)は遊離塩素を捕捉する能力がきわめて高いことがわかる。またシルクペプチドを完全加水分解したラウロイルシルクアミノ酸(比較例2)には、遊離塩素を捕捉する能力がないことがわかる。その他のアニオン化合物に関しても同様に試験を行ったが、カウンターイオンがアルカリ金属である界面活性剤で遊離塩素捕捉能力を有しているアニオン性界面活性剤は、一般式(1)で示されるラウロイル加水分解シルク型界面活性剤のみであった。
実施例2及び比較例5〜11
実施例2及び比較例5〜11のそれぞれにおいて、特公平07−68128号公報、〔0029〕に記載の方法により製造されたフタロシアニン色素により着色された、木綿繊維布帛を、表3に記載の物質純分1.0質量%蒸留水溶液の試験液(但し比較例5及び6はそれぞれ蒸留水、水道水のみの試験液)に25℃において24時間浸漬し、取り出して60度恒温器で3時間乾燥した。処理前及び処理後の着色布帛の色差(ΔE)を測定した。
実施例2においては、実施例1に記載のものと同一のラウロイル加水分解シルクナトリウム1%(質量)の水道水溶液を用い、比較例5においては、蒸留水のみを用い、比較例6においては、水道水のみを用いた。比較例7〜11のそれぞれにおいては、表3に記載の化合物の1質量%水道水溶液を用いた。ΔE測定結果を表3に示す。
別に、実施例2、比較例5〜9のそれぞれにおいて、Terg−O−Tometerによる湿式人工汚染布による洗浄力試験を行った。測定条件は、表3に記載の物質の純分0.5%の蒸留水溶液(但し比較例5及び6においては、それぞれ蒸留水及び水道水のみからなる試験液を用いた。)、浴比40、40度、100rpm、10分の条件下で洗浄し、100rpm2分×2のすすぎを行い、洗浄前(RS)と洗浄後(RW)の反射率を測定し、汚染前の白布の反射率(RO)との間に以下の計算式により洗浄率を算出した。
洗浄率(%)=〔(RW−RS)/(RO−RS)〕×100
但し、式中ROは、汚染前の白布の反射率を表し、RSは洗浄前の汚染布の反射率を表し、RWは洗浄後の汚染布の反射率を表す。測定結果を表3に示す。
Figure 2007209874
表3より明らかなようにフタロシアニン色素による着色布は、水道水に長期に浸漬するだけでも溶存塩素により、退色が確認されたが、一般式(1)m=2.3で示されるラウロイル加水分解シルクナトリウムを含む処理液(実施例2)では退色が認められなかった。これは溶存塩素捕捉機能が効果的に作用したためと推定される。
また比較例7〜11の界面活性剤含有処理液は、フタロシアニン色素により着色された布帛の色は、水道水(比較例6)以上に退色している事が認められた。また、実施例2の湿式人工汚染布による洗浄力試験の結果は、比較例7〜11の界面活性剤とほぼ同等であって人工汚垢に対する洗浄力は十分に高いことが確認された。
実施例3及び比較例12
実施例3及び比較例12のそれぞれにおいて、表4に記載の組成を有する洗浄剤組成物を調製し、実施例2と同様にして、フタロシアニン色素により着色された。木綿繊維布帛及び人工湿式汚染布を用いてΔE、洗浄力、柔軟性を測定した。但し、柔軟性の評価は、5名のモニターにより、供試布帛の処理前及び処理後の柔軟性を官能評価し、5名のうち、柔軟性向上効果ありと判定した者の数を、数えた。結果を表4に示す。
Figure 2007209874
表4から明らかなように、実施例3の洗浄液は、比較例12に匹敵する洗浄力を有し、かつフタロシアニン色素を、安定に繊維布帛上に保持し、脱色は微少であった。
また、実施例3の洗浄液により、洗浄された布帛の柔軟性は、洗浄前よりも増大していたと判定した人数は5名中3名であった。しかし、比較例12においては洗浄による柔軟性の向上は全く認められなかった。
実施例3
下記の組成を有する粉末洗浄剤組成物を調製した。
粉末洗浄剤組成物 質量%
ラウロイルサルコシンナトリウム(100%) 10.0
ラウロイル加水分解シルクナトリウム(20%溶液)
(一般式(1)、m=2.3) 10.0
粉末石けん 10.0
炭酸ナトリウム 25.0
(ラウリル/ミリスチル)グリコール
ヒドロキシプロピルエーテル 1.5
硫酸ナトリウム to 100
上記粉末洗浄剤組成物を用いて、実施例3と同様のフタロシアニン色素による着色布帛の洗浄、湿式人工汚染布に対する洗浄力試験及び洗浄による柔軟性向上効果を測定した。その結果は実施例3とほぼ同様にフタロシアニン色素による着色布帛の色素脱落は少なく、湿式人工汚染布に対する洗浄力は、実用上十分であり、かつ洗浄による柔軟性の向上が認められた。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 2007209874
    〔但し、上記式(1)中、R1−COは10〜22個の炭素原子を含む脂肪酸の残基を表し、−NH−CH(R2)−CO−は、シルク蛋白質のペプチド残基を表し、R2は、シルク蛋白質の側鎖を表し、mは2.1以上の正数を表し、M1はナトリウム原子、カリウム原子、アルカノールアミン残基又は、塩基性アミノ酸残基を表す〕
    により表されるN−アシルペプチド化合物を含む溶存塩素捕捉剤。
  2. 請求項1に記載の溶存塩素捕捉剤を含む塩素捕捉成分と、少なくとも1種の洗浄剤を含む洗浄成分とを含む溶存塩素捕捉性洗浄剤組成物。
  3. 繊維材料を水中においてカチオン化剤を用いて処理し、このカチオン化繊維材料を繊維材料用修飾物質により修飾して製造された修飾繊維材料を、溶存塩素を含有する水中において洗浄するに際し、洗浄剤として、請求項2に記載の溶存塩素捕捉性洗浄剤組成物を用い、それによって、洗浄水中の溶存塩素を捕捉除去し、修飾繊維材料中の修飾物質の変質及び脱落を防止する修飾繊維材料の洗浄方法。
  4. 前記繊維材料を修飾している修飾物質が、下記一般式(2):
    Figure 2007209874
    〔但し、上記式(2)において、R3〜R6は、それぞれ、互いに独立に、カルボキシル基、スルホン酸基及びこれらの酸基を有する炭化水素基から選ばれた置換基を表し、n1〜n4は、それぞれ互に独立に、0〜4の整数を表し、MはFe,Co,Mn,Ti,V,Ni,Cu,Zn,W及びOsから選ばれた金属原子を表す。〕
    により表されるフタロシアニン化合物である、請求項3に記載の洗浄方法。
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