JP2007208589A - 周波数分周器 - Google Patents

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Abstract

【課題】n分周ハーモニック周波数分周器を簡単に構成する。ここで、nは2以上の整数である。
【解決手段】ハーモニック周波数分周器30は、ハーモニックミキサ32と共振回路34とバッファ36とを備えている。ハーモニックミキサ32は、3逓倍器38と乗算器40とを備えている。ハーモニックミキサ32は、単一のFETで構成されており、このFETが乗算器40の機能も果たす。このFETのソース・ドレイン間に出力信号を印加すると、非線形性によって、ドレイン電流はソース・ドレイン電圧の奇関数となり、3次高調波が発生する。その結果3倍の周波数の信号を得ることができる。また、ゲート端子に入力信号を印加することによって、出力信号を3逓倍した信号と入力信号を乗算した結果をドレイン電流に出ることができる。この結果、簡易な構成でハーモニック周波数分周器30を実現することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、所定の周波数の信号を分周する周波数分周器に関する。特に、60GHz〜70GHz近傍の周波数信号を分周することが可能な周波数分周器に関する。
近年、ミリ波帯(30GHz〜300GHz)の電波の利用が種々提案されている。このミリ波帯の電波は、波長が短いので光のように直進する性質が強い。したがって、ミリ波帯の電波同士は互いに干渉しにくく、隣接する通信機器同士で同一の周波数帯域を使用することも現実的に可能である。したがって、通信機器の個数が増えても、通信速度の低下を招くことが少ないと考えられている。
このようにミリ波帯の通信は、近接通信の用途には大変好ましい性質を有しており、その利用が種々提案されている。
従来の技術の例
たとえば、下記特許文献1には、ミリ波帯のPLL発振器が開示されている。特に、多周波数の発振器において、ロックアップ時間の短縮を図ったPLL発振器及びそれを用いた多周波CWレーダが開示されている。
また、不要サイドバンド波成分も、位相同期ループ動作させることによって、不要サイドバンド波の低減を図ったミリ波位相同期発振器が下記特許文献2に記載されている。
また、基準発振器と、位相検出器と、リング発振器と、分周器と、を含む高周波発振器が下記特許文献3に記載されている。ここに記載の高周波発振器は、そのリング発振器が2つの遅延セル増幅器を有する対象型の遅延セル発振器を採用することを特徴とする。この結果、十分な位相ノイズを有すると供に、IC上でコスト効率が良くなると記載されている。
また、特許文献4には、周波数の安定したPLLモジュールによって3GHz以上の高周波の発振を行う構成が開示されている。
また、特許文献5には、ミリ波帯の超高周波でも動作可能なモノリシック可変分周器が開示されている。
特開2004−056172号公報 特開2003−243983号公報 特開2002−064377号公報 特開平11−330953号公報 特開平08−172316号公報(特許861844号)
さて、ミリ波帯のような60GHz−70GHz程度の通信を行おうとする場合、60GHz−70GHzの高周波信号を発生させる必要がある。
高周波信号を発生させるための高周波発振器が、既に述べたように特許文献1−5に記載されている。
PLLを用いた典型的な高周波発振器10のブロック図が図9に示されている。この図9に示すように、高周波発振器10は、基準となる周波数の入力信号と可変分周器12との位相を検知する位相検出器14を備えている。位相検出器14の出力信号は、チャージポンプ16及びループフィルタ18を経てVCO(電圧制御発振器)20に供給される。VCO20は、供給された電圧に応じた周波数で発信し、外部に高周波が取り出される。この高周波信号は、プリスケーラー22及び可変分周器12によって分周され、入力信号と共に位相検出器14に供給され、PLLを構成する。
プリスケーラー22は、固定の分周比を備えている。一方、可変分周器12の分周比は可変であり、この分周比を調整することによって、出力信号の周波数を変更することができる。このような回路によって、60GHz−70GHz程度の周波数の信号が得られている。
ところで、このプリスケーラー22は、ミリ波帯の場合、LC共振回路を用いる必要があった。この様子が図10に示されている。図10(1)には、60GHzの出力信号を4分周するプリスケーラー22の例が示されている。このプリスケーラー22は、60GHzを4分周して15GHzに変換し、この15GHzの信号を可変分周器12に供給する。このような周波数帯においては、一般にLC共振回路を用いる必要があり、図10の例においては、LC共振回路を用いた2分周回路22aと22bとを縦属接続して、全体として4分周のプリスケーラー22を構成している。
50GHz帯においては、LC共振回路を用いなくても分周器を構成できるので、可変分周器12はLCを用いずに構成することができる。
このように60GHz帯又はそれ以上の周波数帯においては周波数分周器としては、一般的にLC共振を利用した周波数分周器を用いる必要がある。
しかしながら、このLC共振を利用した周波数分周器は動作周波数範囲が小さいことが欠点として知られている。特に、LC共振を利用した周波数分周器を図10のように縦続接続する場合、動作マージンが著しく減少することが知られている。
一方、広い動作周波数を実現できるインダクタを用いない周波数分周器も知られているが、この分周器は、およそ50GHz未満の周波数帯域でしか動作は行えないと考えられている。
したがって、ミリ波帯において、広い動作周波数を実現するためには、LC共振を利用した周波数分周器の出力周波数を50GHz未満の周波数帯域まで一旦落とし、その後、広い動作周波数を実現できるインダクタを用いない周波数分周器でさらに必要な分周を行うという構成が一般的であった。
本発明は、以上のような背景に鑑みてなされたものである。
まず、本願発明者らは、LC共振を利用した周波数分周器の出力周波数を下げればLC積を大きくすることができ、キャパシタによる動作周波数の調整により周波数分周器の動作マージンを広げることができると考えた。すなわち、図10(1)のような2分周の分周器22a、22bを2段縦続するのではなく、図10(2)のように1段で4分周回路22cを実現するのである。
そして、このような目的のためには周波数をn分周するハーモニック周波数分周器が有利であると本願発明者らは考えた。ここで、nは2以上の正の整数である。
しかしながら、このようなn分周ハーモニック周波数分周器を簡単に構成する回路は未だ知られていない。
そこで、本願発明者らは、ハーモニック周波数分周器について検討を重ね、単体のMOSFETで実現された3次のハーモニックミキサを開発するに至った。そして、それを用いて70GHzの入力周波数を直接1/4にする周波数4分周器を実現し、本願発明を完成させるに至ったものである。
(1)本発明は、上記課題を解決するために、入力信号と、逓倍信号とを乗算する乗算器と、前記乗算器の出力信号から所定の周波数の信号を取り出し出力する共振回路と、前記共振回路の出力する出力信号をn逓倍し、前記逓倍信号を出力する逓倍器と、を含み、前記入力信号を1/(n+1)に分周した前記出力信号を得る周波数分周器において、前記逓倍器は、奇関数の伝達関数を有する素子に前記出力信号を印加し、奇数高調波を得て、奇数倍の逓倍を行うことを特徴とする周波数分周器である。ここで、ここで前記nは2以上の整数である。
このような構成によって、周波数分周器は、入力信号の1/nの周波数の信号である出力信号を得ることができる。特に、後述する実施の形態に記載のように、奇関数の伝達関数となるようにバイアス電圧を調整した素子を用いているので、奇数倍の逓倍を容易に行うことが可能である。
(2)また、本発明は、(1)記載の周波数分周器において、前記奇関数の伝達関数を有する素子は、ソース端子・ドレイン端子間に前記出力信号が印加されるトランジスタであって、前記出力信号の周波数をn逓倍したドレイン電流が流れるトランジスタであることを特徴とする周波数分周器である。
このような構成で、n倍の周波数の信号を得ることができる。
(3)また、本発明は、(2)記載の周波数分周器において、前記逓倍器の前記トランジスタのゲート端子には前記入力信号が印加され、前記入力信号と前記出力信号とを乗算した値のドレイン電流が前記トランジスタに流れ、前記トランジスタは、前記逓倍器として動作すると共に、前記乗算器としても動作することを特徴とする周波数分周器である。
これによって、単一のトランジスタで逓倍器と乗算器とを実現できる。
(4)また、本発明は、(3)記載の周波数分周器において、前記トランジスタのゲート端子に印加される入力信号平均電位は、前記トランジスタのソース端子及びドレイン端子の平均電位よりVrボルト高く、前記Vrボルトは、0ボルト以上、前記トランジスタのしきい値電圧Vth未満であることを特徴とする周波数分周器である。
このような構成によって、乗算器として逓倍器としても動作できる。
(5)また、本発明は、(3)記載の周波数分周器において、前記トランジスタは、MOSFETであることを特徴とする周波数分周器である。
MOSFETによれば、よりよい高周波特性を実現できる。一般にpMOSよりnMOSの方が特性が良いので、後述する実施の形態では、nMOSFETの例を示している。もちろん、原理的にはpMOSで実現することも可能である。
(6)また、本発明は、(3)記載の周波数分周器において、前記共振器は、前記トランジスタのソース端子とドレイン端子間に接続されるインダクタと、前記トランジスタのソース端子とドレイン端子間に接続されるキャパシタと、を含むことを特徴とする周波数分周器である。
このような共振器を用いれば、より簡単な回路で周波数分周器を構成することができる。
以上述べたように、本発明によれば、奇数倍の逓倍器を用いた分周器を構成することができた。その結果、特に60GHz−70GHz帯でも利用可能な分周器を構成することができた。
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づき説明する。
1.ハーモニック周波数分周器
本実施の形態におけるハーモニック周波数分周器(高調波周波数分周器)30の構成ブロック図が図1に示されている。この図に示すように、ハーモニック周波数分周器30は、ハーモニックミキサ32と、共振回路34と、バッファ36と、を含んでいる。また、ハーモニックミキサ32は、機能の点から見れば、3逓倍器(tripler)38と、乗算器40と、から構成されている。しかし、この3逓倍器(tripler)38と、乗算器(multiplier)40とは一体の回路構成をなしている場合も多い。
なお、本実施の形態では4分周となるハーモニック周波数分周器30の例を示すので、3逓倍器38を用いているが、他の分周率の場合は、他の逓倍の倍率を適宜選択すれば良い。
さて、砒化ガリウムのpHEMTを用いたMMICで作成された60GHz帯ハーモニック周波数分周器が従来から知られている。この従来型の60GHz帯ハーモニック周波数分周器30は、伝送線路とカスケード接続されたトランジスタでハーモニックミキサ32を構成しつつ、発振回路としても動作させている。
この発振回路は3逓倍器38の役割を果たす。すなわち、ハーモニックミキサ32の性能を向上させるために、自己発振しているカスケード接続されたこのトランジスタは基本波だけでなく3次高調波も発生させる。
このような回路の場合、基本波と3次高調波を発生させるために複数の伝送線路が必要であり、大きな面積を占有するという問題点がある。
そこで、従来と異なり、伝送線路を用いずにCMOSプロセスを用いて、ハーモニック周波数分周器30を実現し、占有面積の小さなハーモニック周波数分周器30を実現できれば好ましいが、未だ実現されてはいない。
特に、CMOSプロセスを採用して上記の構成を実現しようとした場合、LC共振回路34は伝送線路よりも占有面積が小さいため、ハーモニックミキサ32と、3逓倍器38を実現するための発振器を別々に実現して占有面積を小さくする必要があると考えられる。しかしながら、具体的な実現手法は未だ知られていない。
本願発明者らは、既存のMOSプロセスを用いて、伝送線路を利用しない単体のMOSFETで3次高調波を効果的に発生させる回路を構成することを実現することを目的とし、鋭意研究を続け、本特許の発明をなすに至った。
2.ハーモニック周波数分周器の動作
さて、本特許で提案するハーモニック周波数分周器30(図1)は、周波数4分周器であり、そのハーモニックミキサ32は、3次ハーモニックミキサである。このような3次のハーモニックミキサ32を含むネガティブフィードバックループによってハーモニック周波数分周器30が構成されている。
図1に示すように、入力周波数をfin、出力周波数をfoutとすると、
fin − 3fout = fout (式1)
∴fout = (1/4)fin (式2)
となり、周波数4分周器として動作する。
本実施の形態において特徴的な事項の一つは、3次のハーモニックミキサ32を、単一のFETで構成したことである。単一のFETで3逓倍器38及び乗算器40の機能を実現している。
まず、本実施の形態における3次のハーモニックミキサ32の動作を理解するために、単体のMOSFETのドレイン・ソース間電圧とドレイン電流の関係について説明する。
なお、本願発明者らは実際にCMOSプロセスを用いてICを作製しているが、3次のハーモニックミキサ32は、単一のnMOSFETを用いて構成しており、pMOSFETは使用していない。これは、単にnMOSFETの方が高周波特性が良いからであり、原理的には、性能さえ良ければpMOSFETを用いることも可能である。
単体のMOSFETのDC特性
まず、単体のn型MOSFETのDC特性を説明する。ドレイン・ソース間に差動信号を入力した場合の特性を説明する。ドレイン電圧Vdを0Vから1Vに変化させたときにソース電圧Vsを1Vから0Vに変化させ、それに伴うドレイン電流Idの変化を説明する。つまり、ドレイン電圧Vdとソース電圧Vsの平均電圧は0.5Vである。また、このときのゲート電圧Vgは0.6Vに設定した。ドレインとソースとの間に差動信号を入力し、その際のドレイン電流Idの変化を説明する。
測定回路図が図2(1)に示されており、測定結果を示すグラフが図2(2)に示されている。このグラフの横軸は、ドレイン−ソース間電圧(Vd−Vs)(単位:V)である。また、縦軸は、ドレイン電流Idの絶対値である(単位:mA)。
このグラフに示すように、Vd−Vsの絶対値が0.5V未満程度の場合、ほとんどドレイン電流Idは流れない(図2(2)の非線形領域)。これは、ゲートソース間電圧VgsがこのMOSFETのしきい値電圧Vthより小さいからである。Vd−Vsの絶対値が0.5V以上になると、ドレイン電流Idが流れ出す。この結果、図2(2)のグラフに示すように、ドレイン−ソース間電圧(Vd−Vs)の変化に対するドレイン電流Idの変化は奇関数となる。したがって、ドレイン−ソース間に正弦波を印加することによって、奇数次の高調波のみが発生する。
なお、ゲート電圧Vgの大きさを大きくすれば、しきい値電圧Vthを越えやすくなるので、非線形領域(図2(2)参照)は狭くなる。ゲート電圧Vgが非常に大きくなれば、MOSFETは常にON状態になり、図2(2)のグラフは原点を通過する直線に近くなる。
一方、ゲート電圧Vgの大きさを小さくすれば、しきい値電圧Vthを越えにくくなるので、非線形領域(図2(2)参照)は広くなる。
なお、本実施の形態では、後述するようにこのような動作によって3次高調波歪みを取り出して3逓倍器を実現している。そのため、使用する信号の振幅に合わせて、ゲート電圧Vgを適切な電圧に調整することが好ましい。本実施の形態では、電源電圧等の関係から、ゲート電圧Vgとして0.6Vを採用した。
単体のMOSFETのAC特性
次に、単体のn型MOSFETのAC特性を説明する。このAC特性を求める際には、ドレイン電圧Vdとソース電圧VsのDC電圧として0.5Vを印加し、ゲート電圧VgのDC電圧を0.6Vとする。この測定の回路図が図3(1)に示されている。
図3(2)には、印加したドレイン・ソース間電圧(AC電圧)と、ドレイン電流Idとの関係についてのグラフが示されている。このグラフにおいて、横軸は、ドレイン・ソース間電圧の振幅|Vds|(単位:V)を表す。また、縦軸は、ドレイン電流の絶対値の値(単位:A)を取っている。
このグラフにおいては、ドレイン電流の内、基本波、2次高調波、3次高調波のそれぞれの周波数成分における値の絶対値を表しており、どの程度高調波が発生しているかをグラフ上表している。
この図3(2)のグラフから理解されるように、|Vds|を大きくすることによって3次の高調波が効率良く発生している。ここで、2次の高調波も発生しているが、これはゲート容量Cgs、Cgdによってドレイン・ソースからゲートに流れる電流の影響だと考えられる。このゲート容量Cgs、Cgdが図3(1)に示されている。
しかし、このゲート容量Cgs、Cgdによる2次高調波の値は、|Vds|をある程度大きくすれば3次高調波よりもはるかに小さくできるので、3逓倍器38としての動作は十分に可能であると考える。
乗算器としての動作
このように、単独のMOSFETを用いて3次高調波を発生させ、3逓倍器38として動作させることができるが、このMOSFETのゲートに正弦波をさらに印加した場合、ドレイン・ソース間電圧の3次高調波とゲート電圧を乗算したものがドレイン電流として現れることになる。
このような動作をさせることによって、単独のMOSFETを用いて、3逓倍器38及び乗算器40の動作を行わせることが可能である。換言すれば、単独のMOSFETだけで、ハーモニックミキサ32を実現することができるのである。この様子が図4に示されている。この図4に示すように、ドレイン−ソース間電圧Vdsを3倍した信号と、ゲート電圧Vgとを乗算した信号が、ドレイン電流Idとして得られる。
このドレイン電流Idによって周波数4分周器として動作するためには、ドレイン電流に存在する様々な高調波成分から最終的に得たい信号の基本波のみを取り出す必要がある。このため、LC共振回路により基本波以外のフィルタリングを行い、さらに負性コンダクタにより基本波を増幅する。このようなハーモニック周波数分周器130の回路図が図5に示されている。このハーモニック周波数分周器130は、70GHzの入力信号を、4分周し、17.5GHzの周波数の信号を出力するように設計されている。
この図において、ハーモニックミキサ32は、これまで述べたように単独のMOSFET:M1から構成されている。また、上述したLC共振回路は、インダクタンス40と、バラクタダイオード42とから構成される。MOSバラクタ42は、可変キャパシタであり、印加するVCTRLの電圧によって、容量が変化し、LC共振回路の共振周波数が変化する。図5に示す例においては、このLC共振回路の共振周波数は、出力したい周波数である17.5GHzである。LC共振回路は基本波(17.5GHz)以外の周波数の信号をフィルタリングする。また、負性コンダクタ(M2、M3から構成される)によって、この基本波を増幅する(図5)。
このようなハーモニック周波数分周器130は、ハーモニックインジェクションロックトディバイダー(HILD)と呼ぶ。ゲート−ソース間電圧Vgsを、しきい値電圧Vthより小さくすることで、動作カーブが、非線形領域を通過するように設定する。これによって、3次高調波(17.5 × 3 = 52.5GHz)を効率良く発生させている。
特性
以上、本実施の形態で説明したハーモニック周波数分周器130が分周動作を行うために最低限必要な入力電力と、動作周波数との関係を表すグラフが図6に示されている。
この図6において、入力電力の値はシグナルジェネレータから出力される値そのものであり、本回路の入力端のインピーダンスは高いので、ほとんどの電力は反射され回路内部にはほとんど電力は入力されていない。また、電源電圧は0.5Vであり、消費電力は2.75mWであった。図6から理解されるように、最小動作周波数は62.9GHz、最大動作周波数は71.6GHzであり、この結果、周波数のロッキングレンジは、12%となる。MOSバラクタ42の制御電圧VCTRLを変化させることにより動作周波数は連続的に変化している。
比較
従来の注入同期型周波数分周器と、本実施の形態のハーモニック周波数分周器130との動作を比較する。従来の注入同期型周波数分周器は、従来用いられている周波数分周器の中では、高速動作・低消費電力が期待できる分周器である。
図7には、最大動作周波数(オペレーティングフリクェンシー:Operating Frequency)と、動作周波数範囲(ロッキングレンジ:Locking Range)との関係を示すグラフが示されている。横軸は、動作周波数(GHz)を表し、縦軸は、ロッキングレンジ(%)を表す。
このグラフ中、菱形「Compound」は、従来の注入同期型周波数分周器で知られている各種の例を表す。また、黒い四角「CMOS」は、本実施の形態と同様にCMOSプロセスを用いて作製した分周器であって、知られている例を表す。特に、大きな黒い四角は、本実施の形態に係るハーモニック周波数分周器130を表す。
このグラフから明らかなように、本実施の形態のハーモニック周波数分周器130は従来の技術に係る注入同期型周波数分周器と比較して動作周波数範囲(ロッキングレンジ)が広く、且つ、高い動作周波数を実現している。
また、図8には、最大動作周波数(オペレーティングフリクェンシー:Operating Frequency)と、電力消費(パワーコンサンプション:Power Consumption)との関係を示すグラフが示されている。横軸は、動作周波数(GHz)を表し、縦軸は、電力消費(mw)を表す。
このグラフ中、菱形「Compound」や、黒い四角「CMOS」は、図7と同様の意味である。大きな黒い四角は、本実施の形態に係るハーモニック周波数分周器130を表す。
このグラフから明らかなように、本実施の形態のハーモニック周波数分周器130は従来の技術に係る注入同期型周波数分周器、特に、砒化ガリウムを用いた最新の注入同期型周波数分周器と比較しても、ほぼ同じ動作周波数に対して1/3程度の消費電力を実現できていることが理解できる。
60GHz帯、70GHz帯のPLLへの利用
さて、これまで説明してきたように、本実施の形態で提案した回路は、4分周回路であるので、60GHzや70GHzに用いた場合、その出力周波数は15−17.5GHzである。このように、出力信号が20GHz以下となるので、LC共振を利用しない周波数分周器でも動作可能な周波数帯の信号に変換することができる。
したがって、提案するハーモニック周波数分周器130は60GHz−70GHz帯のPLLで用いられる周波数分周器として適していると言える。
まとめ
以上述べたように、本実施の形態によれば、60GHz−70GHz帯の周波数シンセサイザの実現に向けて、LC共振を利用した周波数分周器を縦続接続する必要が少なくなるハーモニック周波数分周器を提案した。
このようなハーモニック周波数分周器を実現するために、本実施の形態においては、単体のMOSFETの動作について考察し、単体のMOSFETを3次ハーモニックミキサとして利用することを提案した。
3次ハーモニックミキサを利用するため、本実施の形態の回路は、入力周波数を1/4にする周波数4分周器として動作する。
本願発明者らは、本実施の形態のハーモニック周波数分周器を、90nm、7層メタルのCMOSプロセスで試作をし、実際に評価を行った。評価を行った結果、電源電圧0.5 V、消費電力2.75 mWのときに最大動作周波数71.6 GHz、最小動作周波数62.9 GHzを実現した。
従来から提案されてきた他の注入同期型周波数分周器と動作周波数範囲・消費電力と最大動作周波数に関して比較を行った結果、他の注入同期型周波数分周器と比較して優れた値を示していることが確認された。
また、砒化ガリウムを用いた最新の注入同期型周波数分周器と比較しても、ほぼ同じ動作周波数に対して1/3程度の消費電力を実現できていることを確認した。
このように、本実施の形態で提案するハーモニック周波数分周器は60GHz−70GHz帯の周波数シンセサイザで用いられる周波数分周器として適していると言える。
ハーモニック周波数分周器(高調波周波数分周器)30の構成ブロック図である。 MOSFETのDC特性を測定するための測定回路図である。 MOSFETのAC特性を測定するための測定回路図である。 単独のMOSFETを用いて、3逓倍器及び乗算器の動作を行わせる回路図である。 実際のハーモニック周波数分周器の回路図である。 ハーモニック周波数分周器が分周動作を行うために最低限必要な入力電力と、動作周波数との関係を表すグラフである。 最大動作周波数と、動作周波数範囲との関係を示すグラフである。 最大動作周波数と、電力消費との関係を示すグラフである。 PLLを用いた典型的な高周波発振器のブロック図である。 LC共振回路を用いたプリスケーラーの例を説明する説明図である。
符号の説明
10 高周波発振器
12 可変分周器
14 位相検出器
16 チャージポンプ
18 ループフィルタ
20 VCO
22 プリスケーラー
22a、22b 2分周回路
22c 4分周回路
30 ハーモニック周波数分周器
32 ハーモニックミキサ
34 共振回路
36 バッファ
38 3逓倍器
40 乗算器
130 ハーモニック周波数分周器

Claims (6)

  1. 入力信号と、逓倍信号とを乗算する乗算器と、
    前記乗算器の出力信号から所定の周波数の信号を取り出し出力する共振回路と、
    前記共振回路の出力する出力信号をn逓倍し、前記逓倍信号を出力する逓倍器と、
    を含み、前記入力信号を1/(n+1)に分周した前記出力信号を得る周波数分周器において、
    前記逓倍器は、奇関数の伝達関数を有する素子に前記出力信号を印加し、奇数高調波を得て、奇数倍の逓倍を行うことを特徴とする周波数分周器。ここで、ここで前記nは2以上の整数である。
  2. 請求項1記載の周波数分周器において、
    前記奇関数の伝達関数を有する素子は、ソース端子・ドレイン端子間に前記出力信号が印加されるトランジスタであって、前記出力信号の周波数をn逓倍したドレイン電流が流れるトランジスタであることを特徴とする周波数分周器。
  3. 請求項2記載の周波数分周器において、
    前記逓倍器の前記トランジスタのゲート端子には前記入力信号が印加され、前記入力信号と前記出力信号とを乗算した値のドレイン電流が前記トランジスタに流れ、前記トランジスタは、前記逓倍器として動作すると共に、前記乗算器としても動作することを特徴とする周波数分周器。
  4. 請求項3記載の周波数分周器において、
    前記トランジスタのゲート端子に印加される入力信号平均電位は、前記トランジスタのソース端子及びドレイン端子の平均電位よりVrボルト高く、前記Vrボルトは、0ボルト以上、前記トランジスタのしきい値電圧Vth未満であることを特徴とする周波数分周器。
  5. 請求項3記載の周波数分周器において、前記トランジスタは、MOSFETであることを特徴とする周波数分周器。
  6. 請求項3記載の周波数分周器において、前記共振器は、
    前記トランジスタのソース端子とドレイン端子間に接続されるインダクタと、
    前記トランジスタのソース端子とドレイン端子間に接続されるキャパシタと、
    を含むことを特徴とする周波数分周器。

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