JP2007205271A - 回転式流体機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブッシュとブッシュの表面が対面する摺動部材との摺動性及び耐摩耗性を向上させることである。
【解決手段】スイング圧縮機(1)の圧縮機構(20)は、シリンダ室(25)を備えるシリンダ(21)と揺動ピストン(28)とを備えている。揺動ピストン(28)は、ピストン本体(28a)とブレード(27)とを備え、シリンダ室(25)に収納されてシリンダ室(25)内を偏心回転する。シリンダ(21)はブッシュ孔(26)を備え、ブッシュ孔(26)には、ブッシュ(51)が収容されている。ブッシュ(51)はブレード(27)を進退可能に挟むと共に、ブレード(27)と一体にブッシュ孔(26)内を揺動する。ブッシュ(51)の表面には、ダイヤモンドライクカーボンのコート層(52)が形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、回転式流体機械に関するものである。
従来より、シリンダ室を備えたシリンダと、該シリンダ室に収納されたピストンとが相対的に偏心回転を行う回転式流体機械が知られている(例えば、特許文献1及び2)。
特許文献1に記載の回転式流体機械は、スイング式圧縮機であって、シリンダ室を有するシリンンダと該シリンダに対して偏心してシリンダ室に収納されたピストンと該ピストンと一体形成されてシリンダ室を2室に区画するためのブレードとを備えている。このブレードはシリンダ内のブッシュ孔に設けられた断面略半円形状の一対のブッシュに挟まれて、該ブッシュの間の進退移動すると共に、該ブッシュは、ブレードを挟んだ状態でブッシュ孔内を揺動する。これにより、シリンダ室内でピストンが偏心回転する。
また、特許文献2に記載の回転式流体機械は、切り欠き円形ポンプであって、円形溝のシリンダ室を有するケーシング(シリンダ)と、該シリンダ室に偏心して設けられた円形環のピストンとを備えている。このケーシングは、シリンダ室内の隔壁(ブレード)を備える一方、ピストンは円弧状の切欠部を備えている。該切欠部には、スリットを有した関節ピン(ブッシュ)が収容され、該スリットに上記隔壁が挟みこまれている。そして、円形環内の切欠部を関節ピンが揺動すると共に、関節ピンのスリットと隔壁とが相対的に往復運動を行うことにより、円形環は、円形溝内を偏心回転する。
特開2004−293558号公報 実公昭51−23371号公報
ところで、上記特許文献1及び2に記載の回転式流体機械において、ピストンとシリンダとは、ブッシュを介して相対的に偏心回転を行うことにより、流体の圧縮等を行うので、ブッシュとピストン及びブッシュとシリンダとの摺動部分において、優れた摺動性及び耐摩耗性が要求される。しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の回転式流体機械では、この摺動部分おいて、摺動性を向上させるための処理が何ら施されていなかったために、摺動性及び耐摩耗性が十分ではないという問題点があった。
また、従来は、上記摺動部分を構成する部材の材料として、主として鉄系材料が用いられてきたが、近年、上記摺動部分を構成するピストンやシリンダの材料として、アルミニウム系の材料を用いることが検討されている。これは、ピストンやシリンダは、ブッシュとの隙間を最小化するために高精度な加工が要求されるが、このような加工を行うために、高硬度である鉄系材料は切削加工と研磨工程とが必要である一方、アルミニウム系の材料では切削加工のみで高精度加工が可能となり、加工費のコストダウンを図ることができるからである。さらに、鉄系材料からアルミニウム系の材料に変更すると、部材の軽量化を図ることができる。しかしながら、アルミニウム系材料からなる部材と鉄系材料からなるブッシュとが摺動すると、従来の鉄系材料からなる部材同士が摺動する場合と比べて、摺動性や耐摩耗性が著しく劣るという問題点があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、ブッシュと該ブッシュの表面が対面する摺動部材との摺動性及び耐摩耗性を向上させて信頼性を向上させることを目的とする。
第1の発明は、シリンダ室(25)を有するシリンダ(21)と、該シリンダ(21)に対して偏心してシリンダ室(25)に収納されたピストン(28)と、上記シリンダ室(25)を2室に区画するためのブレード(27)と、該ブレード(27)に摺接して上記シリンダ(21)とピストン(28)との間で相対的な偏心回転を行わせるためのブッシュ(51)とを備えた回転式流体機械であって、上記ブッシュ(51)の表面(51c,51d)が対面する摺動部材(21,27,28)とブッシュ(51)との間には、ダイヤモンドライクカーボンのコート層(52)が形成されている。
この第1の発明では、上記摺動部材(21,27,28)とブッシュ(51)との間には、ダイヤモンドライクカーボンのコート層(52)が形成されているので、上記摺動部材(21,27,28)とブッシュ(51)との摺動性と耐摩耗性とが向上する。これにより、シリンダ(21)とピストン(28)との相対的な偏心回転動作が円滑に行われる。
第2の発明は、第1の発明において、上記コート層(52)は、ブッシュ(51)の表面(51c,51d)に形成されている。
この第2の発明では、上記ブッシュ(51)の表面(51c,51d)は、ブレード(27)と対面すると共に、上記ブッシュ(51)を保持するピストン(27)又はシリンダ(21)とも対面するので、1部材であるブッシュ(51)の表面(51c,51d)にコート層(52)を設けることで、2箇所の摺動部分の摺動性と耐摩耗性との向上を図る。
第3の発明は、第1の発明において、上記ピストン(28)は、ブレード(27)が一体に形成されてシリンダ(21)に対して揺動するように構成される一方、上記ブッシュ(51)は、シリンダ(21)に形成されたブレード(27)の挿入溝(26)に設けられている。
この第3の発明は、第1の発明の具体例であって、上記ブッシュ(51)の表面(51)は、ブレード(27)と対面すると共に、シリンダ(21)に形成されたブレード(27)の挿入溝(26)と対面するので、これらの摺動部分における摺動性及び耐摩耗性の向上を図る。
第4の発明は、第1の発明において、上記シリンダ(21)は、ブレード(27)が一体に形成され、該シリンダ(21)とピストン(28)とは、相対的に揺動するように構成される一方、上記ブッシュ(51)は、ピストン(28)に形成されたブレード(27)の挿入溝(26)に設けられている。
この第4の発明は、第1の発明の具体例であって、上記ブッシュ(51)の表面(51c,51d)は、ブレード(27)と対面すると共に、ピストン(28)に形成されたブレード(27)の挿入孔(26)と対面するので、これらの摺動部分における摺動性及び耐摩耗性の向上を図る。
第5の発明は、第1の発明において、上記シリンダ(21)及び上記ピストン(28)及び上記ブッシュ(51)の少なくとも何れか一つは、主成分をアルミニウムとする材料で構成されている。
この第5の発明では、上記シリンダ(21)及び上記ピストン(28)及び上記ブッシュ(51)の少なくとも何れか一つは、主成分がアルミニウムであるので、加工費のコストダウンを図ると共に、部材の軽量化を図る。また、ブッシュ(51)が鉄材からなる場合であっても、ダイヤモンドライクカーボンのコート層(52)を備えているので、アルミニウムからなる部材(21,27,28)との摺動性及び耐摩耗性が低下することがない。
本発明によれば、上記摺動部材(21,27,28)とブッシュ(51)との間に、ダイヤモンドライクカーボンのコート層(52)を形成したために、上記ブッシュ(51)と上記摺動部材(21,27,28)との摺動性と耐摩耗性とが向上する。これにより、シリンダ(21)とピストン(28)との相対的な偏心回転動作を円滑に行うことができるので、回転式流体機械の機器としての信頼性が向上する。
また、上記第2の発明によれば、上記ブッシュ(51)の表面(51c,51d)は、ブレード(27)と対面すると共に、上記ブッシュ(51)を保持するピストン(27)又はシリンダ(21)とも対面するので、ブッシュ(51)の表面(51c,51d)にコート層(52)を設けることで、2箇所の摺動部分の摺動性と耐摩耗性との向上を図ることができる。これにより、上記ブッシュ(51)にコート層(52)を設けずに、ブレード(27)及びブッシュ(51)を保持するシリンダ(21)又はピストン(27)の2部材にコート層を設ける場合と同等な効果が得られるので、加工の簡素化とコストの削減を図ることができる。
また、上記第3の発明によれば、上記ブッシュ(51)の表面(51c,51d)は、ブレード(27)と対面すると共に、シリンダ(21)に形成されたブレード(27)の挿入溝(26)と対面するので、これらの摺動部分における摺動性及び耐摩耗性の向上を図ることができる。
また、上記第4の発明によれば、上記ブッシュ(51)の表面(51c,51d)は、ブレード(27)と対面すると共に、ピストン(28)に形成されたブレード(27)の挿入孔(26)と対面するので、これらの摺動部分における摺動性及び耐摩耗性の向上を図ることができる。
また、上記第5の発明によれば、シリンダ(21)及びピストン(28)及びブレード(27)の少なくとも一つは、主成分をアルミニウムとする材料で構成したために、該主成分をアルミニウムとする材料で構成した部材(21,27,28)の加工費のコストダウンを図ることができる。また、該部材(21,27,28)の軽量化を図ることができるので、機器全体としての軽量化を図ることができる。
また、ブッシュ(51)が鉄材からなる場合であっても、ダイヤモンドライクカーボンのコート層(52)を備えているので、アルミニウムからなる部材(21,27,28)との摺動性及び耐摩耗性が低下することがない。これにより、機器としての信頼性が、さらに向上する。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1は、図1及び図2に示すように、揺動ピストン型のスイング圧縮機(1)である。上記スイング圧縮機(1)は、冷凍装置の冷媒回路に設けられ、流体であるガス冷媒を圧縮するために用いられる。このスイング圧縮機(1)は、ドーム型のケーシング(10)内に、圧縮機構(20)と電動機(30)とが収納され、全密閉型に構成されている。
上記ケーシング(10)は、円筒状の胴部(11)と、該胴部(11)の上下にそれぞれ設けられた上部鏡板(12)及び下部鏡板(13)とを備えている。上記胴部(11)の下部には、吸入管(41)が設けられ、上部鏡板(12)には、吐出管(15)と、電動機(30)に電力を供給するターミナル(16)とが設けられている。
上記圧縮機構(20)は、ケーシング(10)内の下部に配置され、シリンダ(21)と該シリンダ(21)のシリンダ室(25)に収納された揺動ピストン(28)とを備えている。
上記シリンダ(21)は、アルミニウム合金を円筒形に形成したものである。該シリンダ(21)の上部及び下部には、フロントヘッド(22)及びリヤヘッド(23)とが設けられている。このようにして、該フロントヘッド(22)及びリヤヘッド(23)は、シリンダ(21)の上下を閉塞することにより、上記シリンダ(21)の円筒内部がシリンダ室(25)を構成している。
上記電動機(30)は、固定子(31)と回転子(32)とを備えている。該固定子(31)は、圧縮機構(20)の上方でケーシング(10)の胴部(11)に固定され、回転子(32)は駆動軸(33)が連結されている。
上記駆動軸(33)は、シリンダ室(25)を上下方向に貫通し、フロントヘッド(22)とリヤヘッド(23)には、駆動軸(33)を支持するための主軸受部(22a)と副軸受部(23a)とがそれぞれ形成されている。また、上記駆動軸(33)の下端部には、油ポンプ(36)が設けられている。そして、上記ケーシング(10)内の底部に貯留されている油は、油ポンプ(36)によって給油路(図示省略)を流通し、圧縮機構(20)のシリンダ室(25)などに供給される。
上記駆動軸(33)には、シリンダ室(25)の中央部分に偏心部(33a)が形成されている。この偏心部(33a)は、駆動軸(33)よりも大径に形成されている。
上記揺動ピストン(28)は、上記シリンダ(21)と同様に、アルミニウム合金からなり、ピストン本体(28a)と、該ピストン本体(28a)に一体に形成され且つピストン本体(28a)から突出する仕切り部材であるブレード(27)とを備えている。該ピストン本体(28a)は円筒形に形成され、その円筒内部に上記偏心部(33a)が挿入されている。このようにして、駆動軸(33)が回転すると、ピストン(28)が、シリンダ(21)のシリンダ室(25)内を偏心回転するように構成されている。
上記シリンダ(21)には、ブッシュ孔(26)が形成されている。該ブッシュ孔(26)には、一対のブッシュ(51)が挿入されている。該一対のブッシュ(51)は、鉄系材料かなり、それぞれ、断面が略半円形状に構成され、フラット面(51c)と円弧状の外周面(51d)とを備えている。そして、該一対のブッシュ(51)は、互いのフラット面(51c)同士が対向するように配置され、この対向したフラット面(51c)の間がブレード溝(29)を構成している。該ブレード溝(29)には、上記ブレード(27)が挿入されている。このように、上記ピストン(28)のブレード(28)は、表面(27a)がブッシュ(51)のフラット面(51c)と対面し、上記シリンダ(21)は、ブッシュ孔(26)の表面(26a)がブッシュ(51)対面し、上記ピストン(28)及びシリンダ(21)は、摺動部材に構成されている。また、ブッシュ孔(26)には、ブレード(27)がブッシュ(51)を介して挿入され、該ブッシュ孔(26)は、ブレード(27)の挿入孔に構成されている。上記シリンダ(21)には、ブレード(27)の先端を収容するためのブッシュ背部室(50)が、ブッシュ孔(26)の外側に形成されている。
そして、上記一対のブッシュ(51)は、ブレード(27)を挟んだ状態で、ブレード(27)がブレード溝(29)を進退するように構成されると共に、ブレード(27)と一体的にブッシュ孔(26)の中で揺動するように構成されている。
そこで、本発明の特徴として、上記ブッシュ(51)の表面(51c,51d)には、ダイヤモンドライクカーボン(以下、DLCという)のコート層(52)が形成されている。具体的に、本実施形態では、上記ブッシュ(51)の表面に、DLCのコート層(52)が、厚さ3μmとなるように形成されている。
また、上記ブレード(27)は、シリンダ室(25)を吸入側空間(25a)と圧縮側空間(25b)とに区画している。上記シリンダ(21)には、上記吸入側空間(25a)と連通する吸入口(14)が形成されている。該吸入口(14)には、吸入管(41)が接続されている。また、上記フロントヘッド(22)には吐出口(42)が形成されている。さらに、シリンダ(21)の内周面には、吐出路(43)が、吐出口(42)に連通して形成されている。尚、上記フロントヘッド(22)の上面には、凹部(45)が形成されている。該凹部(45)には、吐出口(15)を開閉する吐出弁(46)が設けられている。
−運転動作−
次に、上記スイング圧縮機(1)の運転動作について説明する。
冷凍装置の冷媒回路では、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。その際、上記スイング圧縮機(1)は、蒸発器から低圧のガス冷媒を吸入して圧縮し、圧縮後の高圧のガス冷媒を凝縮器へ送り出す。
圧縮機モータ(30)を起動して回転子(32)が回転すると、該回転子(32)の回転が駆動軸(33)を介して圧縮機構(20)の揺動ピストン(28)に伝達される。これによって、揺動ピストン(28)のブレード(27)がブッシュ(51)に対して往復直線運動の摺動を行い、且つブッシュ(51)が上記ブッシュ孔(26)内で往復回転運動を行うことで、揺動ピストン(8)はブレード(27)がブッシュ孔(26)を中心として揺動しながらピストン本体(28a)がシリンダ室(25)内で駆動軸(33)を中心として公転し、圧縮機構(20)が所定の圧縮動作を行う。この際、ブッシュ(51)は、フラット面(51c)に形成されたコート層(52)が、ブレード(27)の表面(27a)と摺接し、外周面(51d)に形成されたコート層(52)がシリンダ(21)のブッシュ孔(26)の表面(26a)と摺接する。
具体的に、図2に示すように、シリンダ室(25)は、該シリンダ室(25)の内周面と揺動ピストン(28)の外周面とが接する接点位置(60)とブレード(27)とによって、図2の右側と左側の部屋とに分けられる。そして、右側の部屋が、吸入口(14)に連通した吸入室(25a)となり、左側の部屋が、吐出口(42)と連通した圧縮室(25b)となる。
上記揺動ピストン(28)は、図の右回りに公転し、吸入室(25a)の容積が徐々に拡大し、該吸入室(25a)に低圧の冷媒ガスが吸入口(14)を介して吸入される一方、圧縮室(25b)の容積が減少し、該圧縮室(25b)では冷媒が圧縮される。圧縮室(25b)の圧力が所定値となって圧縮機構(20)の外側空間との差圧が設定値に達すると、圧縮室(25b)の高圧冷媒によって吐出弁(46)が開き、高圧冷媒が圧縮からケーシング(10)の内部に吐出される。この動作が繰り返される。なお、ピストン本体(28a)とシリンダ室(25)の内周面との接点位置(60)には、薄い油膜が形成される程のわずかな隙間が形成されている。
−耐摩耗性及び摺動性の評価試験−
次に、上記スイング圧縮機(1)の耐摩耗性及び摺動性の評価試験結果について説明する。耐摩耗性は、上記スイング圧縮機(1)を用いて評価し、摺動性は、テストピースを用いた耐焼付き試験により評価した。
〈耐摩耗性の評価試験〉
上記スイング圧縮機(1)を圧縮機Aとし、スイング圧縮機(1)とブッシュ(51)の構成のみ異なり、ブッシュ(51)にDLCのコート層(52)を設けない圧縮機を圧縮機Bとして、耐摩耗性の比較評価試験を行った。つまり、圧縮機A及びBは、共に、シリンダ(21)及び揺動ピストン(28)が、アルミニウム合金からなり、ブッシュ(51)が鉄系材料からなり、圧縮機Aのブッシュ(51)にのみDLCのコート層(52)が設けられている。
本試験では、図3に示すように、ブッシュ(51)と揺動ピストン(28)のブレード(27)とシリンダ(21)のブッシュ孔(26)とからなるブッシュ部と、ピストン本体(28)の外周部とシリンダ(21)のシリンダ室(25)の内周面とからなるピストン本体(28)摺接部と、フロントヘッド(22)の主軸受部(22a)と駆動軸(33)とが摺動する主軸部と、リヤヘッド(23)の副軸受部(23a)と駆動軸(33)とが摺動する副軸部との耐摩耗性の評価を行った。なお、図3の表において、摩耗量は、互いに摺動する部材の何れか一方の摩耗量ではなく、摩耗によって発生した部材間のクリアランスを示している。
また、本試験で用いた材料は、シリンダ(21)及びピストン(28)のアルミニウム合金が、昭和電工株式会社の高シリコンアルミニウム合金A390(引張り強度42.3kgf/mm2、硬度HRB(JIS2245−2005による)88)(以下、高Siアルミという)であり、ブッシュ(51)の鉄系材料が、SKH51(JIS G4403−2000による)である。また、フロントヘッド(22)及びリアヘッド(23)は、住友電気工業株式会社の鉄系焼結材料SMF4020であり、駆動軸はFC280(強度280N/mm2に調整した片状黒鉛鋳鉄)を用いた。
試験条件は、上記圧縮機A及びBが圧縮する冷媒にR410Aを用い、潤滑油としてエーテル油を用い、上述した運転動作を、駆動軸(30)の回転速度75rps、吸入圧力0.5MPa、吐出圧力3MPa、吐出温度100℃で行った。なお、圧縮機の摺動部には、潤滑油であるエーテル油80〜90%に対して冷媒R410A10〜20%の比で混合された状態で供給される。そして、この運転動作を200時間継続した後、上記4つの摺動部分についての摩耗量を測定した。
主軸部と副軸部とにおける摩耗量は、圧縮機A及び圧縮機Bともに、1μm以下であり、異常摩耗が見られなかった。また、ピストン本体(28a)摺接部は、揺動ピストン(28)がシリンダ(21)の内周面と摺接する摺動面であり、摩耗量が1μm以下であり、異常摩耗が見られなかった。そして、ブッシュ部においては、圧縮機Bにおいて10μmであったのに対し、圧縮機Aでは、1μm以下であった。
このように、本試験では、ブッシュ(51)にDLCのコート層を設けることにより、耐摩耗性が向上することがわかった。
〈耐焼付き評価試験〉
次に、上記シリンダ(21)のブッシュ孔(26)及び揺動ピストン(28)のブレード(27)とブッシュ(51)との摺動性の評価のために行った耐焼付き評価試験について説明する。
本試験は、図4(A)に示すリング/ディスク試験片を用いて行った。この試験では、リングが上記スイング圧縮機(1)のブッシュ(51)に対応し、ディスクが揺動ピストン(28)のブレード(27)及びシリンダ(21)に対応している。
まず、リングを3m/sの一定速度で回転させ、該リングにその回転軸方向に沿ってディスクを押し付けた。これにより、図4(A)において、リングの上部とディスクの下部とが摺動する。そして、このディスクを押し付ける荷重を、0.2MPaずつ一定時間毎に段階的に上昇させながら、各荷重におけるリングとディスクとの摺動面における摩擦係数を測定し、摩擦係数が急上昇したときの荷重を焼付き面圧とした。そして、焼付き面圧が高い場合は、比較的大きな荷重がかかっても、摺動し続けるということなので、この焼付き面圧が高いほど、摺動性が優れていると評価する。なお、本試験は、冷媒R410Aと潤滑油であるエーテル油とを65:35に混合した雰囲気中で行った。
評価サンプルは、図4(B)に示すように、3つのサンプルを用いた。サンプルAは、上記スイング圧縮機(1)である圧縮機Aに対応し、リングに、SKH51からなる基材表面にDLCのコート層を3μmの厚さで形成したものを用い、ディスクに、高Siアルミを用いた。また、サンプルBは、上記圧縮機Bに対応し、リングにSKH51を用い、ディスクに高Siアルミを用いた。また、サンプルCは、本願発明者らが従来使用していた圧縮機に対応し、リングにSKH51を用い、ディスクにFC250(JIS G5501−1995による)を用いた。
試験結果は、図4(B)に示すように、サンプルAが5.4MPa、サンプルBが3.4MPa、サンプルCが4.0MPaとなった。つまり、従来の圧縮機に対応するサンプルCは、4.0MPaであったのに対し、圧縮機Bに対応するサンプルBは、3.4MPaと低下し、鉄系材料からなる部材とアルミニウム合金からなる部材との摺動性は、ともに鉄系材料からなる部材同士の摺動性より劣ることがわかった。しかしながら、サンプルAの結果に示すように、鉄系材料からなる部材とアルミニウム合金からなる部材とが摺動する場合であっても、DLCのコート層を設けることにより、従来のDLCのコート層を設けない鉄系材料同士の摺動性よりも優れていることがわかった。
このように、本試験により、ブッシュ(51)にDLCのコート層を設けることにより、摺動性が向上することがわかった。
−実施形態1の効果−
上記スイング圧縮機(1)は、上記ブッシュ(51)の表面(51c,51d)に、DLCのコート層(52)が形成されているので、該ブッシュ(51)とブレード(27)とが摺動する摺動部分と、ブッシュ(51)とシリンダ(21)のブッシュ孔(26)とが摺動する摺動部分における摺動性及び耐摩耗性とが向上する。これにより、揺動ピストン(28)がシリンダ室(25)内で、円滑に偏心回転することができるので、スイング圧縮機(1)の機器としての信頼性が向上する。
また、本実施形態では、ブレード(28)及びシリンダー(21)と摺動するブッシュ(51)にDLCのコート層(52)を設けることにより、上記ブッシュ(51)にコート層(52)を設けずに、ブレード(27)の表面(27a)とシリンダ(21)のブッシュ孔(26)の表面(26a)とにコート層を設けるのと同様の効果が得られる。つまり、1つの部材(51)にコート層(52)を設けることにより、2つの部材(21,28)にコート層を設けた場合と同様の効果が得られ、加工の簡素化とコストの削減を図ることができる。
また、従来は、シリンダ(21)及び揺動ピストン(28)をアルミニウム合金すると、このアルミニウム合金からなるシリンダ(21)とピストン(28)のブレード(27)と、鉄系材料からなるブッシュ(51)との摺動性及び耐摩耗性が著しく劣るという問題点があったが、DLCのコート層(52)を設けたことにより、この問題点を解決した上で、加工費のコストダウンを図ることができると共に、部材の軽量化を図ることができる。これにより、機器全体としての軽量化をも図ることができる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2は、図5及び図6に示すように、上記実施形態1のスイング圧縮機(1)と異なり、円環状のシリンダ室(25)を備えたシリンダ(21)と、該シリンダ室(25)に収納された環状ピストン(20)とが、相対的に偏心回転運動を行う回転式圧縮機(100)である。
本実施形態の回転式圧縮機(100)は、上記実施形態1のスイング圧縮機(1)と同様、冷凍装置の冷媒回路に設けられ、流体であるガス冷媒を圧縮するために用いられる。
上記回転式圧縮機(100)は、ケーシング(10)の上部鏡板(12)に、該鏡板(12)を貫通する吸入管(41)を備え、胴部(11)に、該胴部(11)を貫通する吐出管(15)を備えている。また、圧縮機構(20)の下方に電動機(30)が設けられている。
上記圧縮機構(20)は、ケーシング(10)に固定された上部ハウジング(18)と下部ハウジング(17)との間に構成され、シリンダ(21)と環状ピストン(28)とブレード(27)とを備えている。
上記シリンダ(21)は、円筒状の外側シリンダ(21a)と、該外側シリンダ(21a)より小さい円筒状の内側シリンダ(21b)と、上記外側及び内側シリンダ(21a,21b)を下端部で一体的に連結する鏡板(21c)とを備えている。また、該外側シリンダ(21a)の内周面と内側シリンダ(21b)の外周面は、互いに同一中心上に配置された円筒面であり、その間に上記シリンダ室(25)が形成されている。上記ブレード(27)は、シリンダ室(25)の径方向線上に、外側及び内側シリンダ(21a,21b)の間に固定されて形成され、シリンダ(21)と一体形成されている。また、上記シリンダ(21)は、アルミニウム合金から構成されている。
該内側シリンダ(24)には、駆動軸(33)が上下方向に貫通している。駆動軸(33)には、内側シリンダ(24)を貫通する位置に、偏心部(33a)が形成されている。そして、駆動軸(33)の偏心部(33a)に、上記内側シリンダ(21b)が摺動自在に嵌め込まれている。また、上記駆動軸(33)の下端部には、油ポンプ(36)が設けられている。
上記環状ピストン(28)は、上記シリンダ(21)と同様にアルミニウム合金からなり、外周面が外側シリンダ(21a)の内周面よりも小径で、内周面が内側シリンダ(21b)の外周面よりも大径に形成された円環状の一部分が分断されたC型形状に形成されている。該環状ピストン(28)は、上記外側及び内側シリンダ室(21a,21b)の間に配置されて、環状ピストン(28)と外側シリンダ(21a)との間に外側シリンダ室(C1)が形成される一方、環状ピストン(28)と内側シリンダ(21b)との間に内側シリンダ室(C2)が形成されている。また、上記環状ピストン(28)は、上部ハウジング(18)と一体的に形成されている。該上部ハウジング(18)と下部ハウジング(17)には、それぞれ、上記駆動軸(33)を支持するための軸受け部(18a,17a)が形成されている。
このように、本実施形態の回転式圧縮機(100)は、上記駆動軸(33)が上記シリンダ(21)を上下方向に貫通し、偏心部(33a)の軸方向両側部分が軸受け部(18a,17a)を介してケーシング(10)に保持される貫通軸構造となっている。また、本実施形態では、環状ピストン(28)が固定側となり、シリンダ(21)が可動側となり、シリンダ(21)が環状ピストン(28)に対して偏心回転するように構成されている。なお、上記外側シリンダ(21a)及び内側シリンダ(21b)は駆動軸(33)の周りを公転するが、自転はしないように構成されている。
また、環状ピストン(28)とシリンダ(21)は、環状ピストン(28)の外周面と外側シリンダ(21a)の内周面とが1点で接する状態において、その接点と位相が180°異なる位置で、環状ピストン(28)の内周面と内側シリンダ(21b)の外周面とが1点で実質的に接するようになっている。
上記環状ピストン(28)は、該環状ピストン(28)の分断箇所にブッシュ孔(26)を備えている。該ブッシュ孔(26)には、一対のブッシュ(51)が収容されている。上記一対のブッシュ(51)は、何れも鉄系材料を断面形状が略半円形で同一形状に形成したものであり、フラット面(51c)同士が対向するように配置されている。そして、両ブッシュ(51)のフラット面(51c)の間のスペースがブレード溝(29)を構成し、上記ブレード(27)が挿入されている。このようにして、上記ブッシュ孔(26)は、ブレード(27)の挿入孔に構成されいてる。
また、上記ブレード(27)は、内側及び外側シリンダ室(C1,C2)を、それぞれ第1室である高圧室(圧縮室)(C1-Hp,C2-Hp)と第2室である低圧室(吸入室)(C1-Lp,C2-Lp)とに区画している。上記一対のブッシュ(51)は、一方が、ブレード(27)に対して高圧室(C1-Hp,C2-Hp)側に配置され、他方が、ブレード(27)に対して低圧室(C1-Lp,C2-Lp)側に配置されている。
上記シリンダ(21)のブレード(27)は、上記ブッシュ(51)のブレード溝(29)に挟まれた状態で、ブッシュ(51)のフラット面(51c)と対面しながら進退する同時に、上記環状ピストン(28)は、ブッシュ孔(26)内で、ブッシュ(51)が、該ブッシュ(51)の表面(51d)がブッシュ孔(26)の表面(26a)と対面しながら揺動し、上記ピストン(28)及びシリンダ(21)は、摺動部材に構成されている。そして、これにより、上記ブッシュ(51)は、該ブッシュ(51)の中心点を揺動中心として上記ブレード(27)と環状ピストン(28)とが相対的に揺動可能となり、かつ上記ブレード(27)が環状ピストン(28)に対して該ブレード(27)の面方向へ進退可能となるように構成されている。
そこで、本実施形態では、上記ブッシュ(51)の表面(51c,51d)に、DLCのコート層(26)を厚さ3μmとなるように形成した。
上部ハウジング(18)には、吸入管(41)の下方の位置に吸入口(14)が形成されている。この吸入口(14)は、内側シリンダ室(C2)から、外側シリンダ(21a)の外周に形成されている吸入空間(40)に跨って、長穴状に形成されている。該吸入口(14)は、上部ハウジング(18)をその軸方向に貫通し、シリンダ室(C1,C2)の低圧室(C1-Lp,C2-Lp)及び吸入空間(40)と上部ハウジング(18)の上方の低圧空間(S1)とを連通している。また、外側シリンダ(21a)には、上記吸入空間(40)と外側シリンダ室(C1)の低圧室(C1-Lp)とを連通する貫通孔(61)が形成され、環状ピストン(28)には、外側シリンダ室(C1)の低圧室(C1-Lp)と内側シリンダ室(C2)の低圧室(C2-Lp)とを連通する貫通孔(62)が形成されている。また、上記外側シリンダ(21a)と環状ピストン(28)とが、上記吸入口(14)に対応した箇所の上端部が、図5の破線で示すようにくさび形に形成されて低圧室(C1-Lp,C2-Lp)への冷媒の吸入を効率を向上させている。
上部ハウジング(18)には吐出口(42a,42b)が形成されている。これらの吐出口(42a,42b)は、それぞれ、上部ハウジング(18)をその軸方向に貫通している。吐出口(42a)の下端は外側シリンダ室(C1)の高圧室(C1-Hp)に臨むように開口し、吐出口(42b)の下端は内側シリンダ室(C2)の高圧室(C2-Hp)に臨むように開口している。一方、これらの吐出口(42a,42b)の上端は、該吐出口(42a,42b)を開閉する吐出弁(リード弁)(46a,46b)を介して吐出空間(49)に連通している。
この吐出空間(49)は、上部ハウジング(18)とカバープレート(63)との間に形成されている。上部ハウジング(18)及び下部ハウジング(17)には、吐出空間(49)から下部ハウジング(17)の下方の高圧空間(S2)に連通する吐出通路(49a)が形成されている。
また、上記下部ハウジング(17)には、環状溝(17b)が設けられ、該環状溝(17b)に、シールリング(69)が装填されている。シリンダ(21)の鏡板(21c)の下面に圧接している。また、シリンダ(21)と下部ハウジング(17)の接触面には、シールリング(69)の径方向内側部分に高圧の潤滑油が導入される構成されている。
−運転動作−
次に、この回転式圧縮機(100)の運転動作について説明する。
電動機(30)を起動すると、回転子(32)の回転が駆動軸(33)を介して圧縮機構(20)の外側シリンダ(21a)及び内側シリンダ(21b)に伝達される。これにより、ブレード(27)がブッシュ(51)の間で往復運動(進退動作)を行い、かつ、ブレード(27)とブッシュ(51)が一体的になって、環状ピストン(28)に対して揺動動作を行う。この際、上記ブッシュ(51)は、フラット面(51c)に形成されたコート層(52)が、ブレード(27)の表面(27a)と摺接し、外周面(51d)に形成されたコート層(52)が、環状ピストン(28)のブッシュ孔(26)の表面(26a)と摺接する。そして、駆動軸の回転(33)とともに、外側シリンダ(21a)及び内側シリンダ(21b)が環状ピストン(28)に対して揺動しながら公転し、圧縮機構(20)が所定の圧縮動作を行う。
具体的に、外側シリンダ室(C1)では、図2(D)の状態で低圧室(C1-Lp)の容積がほぼ最小であり、駆動軸(33)が図の右回りに回転して図2(A)、(B)、(C)の状態へ変化するのに伴って該低圧室(C1-Lp)の容積が増大し、冷媒が、吸入管(41)、低圧空間(S1)及び吸入口(14)を通って該低圧室(C1-Lp)に吸入される。そして、駆動軸(33)が一回転して再び図2(D)の状態になると、上記低圧室(C1-Lp)への冷媒の吸入が完了し、当該低圧室(C1-Lp)は冷媒が圧縮される高圧室(C1-Hp)となり、ブレード(27)を隔てて新たな低圧室(C1-Lp)が形成される。駆動軸(33)がさらに回転すると、該高圧室(C1-Hp)の容積が減少して、該高圧室(C1-Hp)内の冷媒が圧縮される。そして、高圧室(C1-Hp)の圧力が所定値となると吐出弁(47)が開き、高圧冷媒が吐出空間(49)から吐出通路(49a)を通って高圧空間(S2)へ流出する。
一方、内側シリンダ室(C2)では、図2(B)の状態で低圧室(C2-Lp)の容積がほぼ最小であり、駆動軸(33)が図の右回りに回転して図2(21)、図2(C)、(D)、(A)の状態へ変化するのに伴って該低圧室(C2-Lp)の容積が増大し、冷媒がに吸入される。駆動軸(33)が一回転して再び図2(B)の状態になると、上記低圧室(C2-Lp)への冷媒の吸入が完了し、当該低圧室(C2-Lp)は冷媒が圧縮される高圧室(C2-Hp)となり、ブレード(27)を隔てて新たな低圧室(C2-Lp)が形成される。駆動軸(33)がさらに回転すると、高圧室(C2-Hp)の容積が減少し、該高圧室(C2-Hp)で冷媒が圧縮され、圧縮された冷媒は、吐出通路(49a)を通って高圧空間(S2)へ流出する。
このようにして、外側シリンダ室(C1)と内側シリンダ室(C2)とで圧縮されて高圧空間(S2)へ流出した高圧の冷媒は吐出管(15)から吐出される。
−実施形態2の効果−
上記回転式圧縮機(100)は、上記ブッシュ(51)の表面に、DLCのコート層(52)が形成されているので、該ブッシュ(51)とシリンダ(21)のブレード(27)とが摺動する摺動部分と、ブッシュ(51)と環状ピストン(28)のブッシュ孔(26)とが摺動する摺動部分における摺動性と耐摩耗性とが向上する。これにより、シリンダ(21)が環状ピストン(28)に対して、円滑に偏心回転することができるので、回転式圧縮機(100)の機器としての信頼性が向上する。
また、本実施形態では、2つの部材(21,28)と摺動するブッシュ(51)にDLCのコート層(52)を設けたことにより、加工の簡素化とコストの削減を図ることができる。
また、シリンダ(21)及び環状ピストン(28)をアルミニウム合金で構成したことにより、加工費のコストダウン及び部材の軽量化を図ることができる。
その他の構成、作用及び効果は、実施形態1と同じである。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記各実施形態の圧縮機(1,100)の構成は特に限定されず、例えば、シリンダ室(25)が複数個上下に配置された圧縮機であってもよい。また、上記実施形態2では、シリンダ(21)が可動側であり、環状ピストン(28)が固定側であったが、シリンダ(21)が固定側で、環状ピストン(28)が可動する回転式圧縮機であってもよい。
さらに、上記各実施形態の圧縮機(1,100)は、共に冷媒回路に用いられ、冷媒を圧縮する流体機械であったが、回転式流体機械は、圧縮機に限られない。例えば、回転式流体機械は、流体を搬送するためのポンプや流体を膨張させる膨張機であってもよい。
また、上記各実施形態において、部材を構成する材料は、試験に用いたアルミニウム合金、鉄系材料に限定されない。例えば、主成分をアルミニウムとする材料としては、高Siアルミの他に、ADC10(JIS H2118−2000による)、AC8C(JIS H2211−1999による)等を用いることができる。さらに、上記各実施形態では、ピストン(28)及びシリンダ(21)として、アルミニウム合金を用いたが、鉄系材料を用いてもよく、このような場合においても、DLCのコート層(52)を形成することにより摺動性及び耐摩耗性を向上させることができる。また、DLCのコート層(52)の厚みは、3μmに限定されない。
また、上記各実施形態では、ブッシュ(51)にDLCのコート層(52)を設けることにより、ブッシュ(51)とブレード(27)及びブッシュ孔(26)を有するピストン(28)又はシリンダ(21)との摺動性及び耐摩耗性を向上させたが、ブッシュ(51)の表面ではなく、ブレード(27)の表面(27a)及びシリンダ(21)又はピストン(28)のブッシュ孔(26)の表面(26a)にDLCのコート層(52)を設けてもよい。さらに、ブッシュ(51)にコート層(52)を設ける場合は、ブッシュ(51)の表面全体に設けてもよいし、フラット面(51c)と外周面(51d)のみに設けてもよい。
また、上記実施形態1では、ブレード(27)が揺動ピストン(28)と一体形成されていたが、ピストン本体(28a)に別部材のブレード(27)を取り付けて固定してもよい。また、同様に、上記実施形態2では、シリンダ(21)に別部材のブレード(27)を取り付けてもよい。
また、上記各実施形態において、一対のブッシュは(51)を別体に構成されていたが、両ブッシュ(51)が、一部で連結することにより一体構造としてもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、回転式流体機械について有用である。
実施形態1に係るスイング圧縮機の縦断面図である。 実施形態1に係るスイング圧縮機の圧縮機構の構造を示す横断面図である。 実施形態1に係るスイング圧縮機の耐摩耗性評価試験の結果を示す表である。 (A)は、耐焼付き評価試験の方法を示す概略図であり、(B)は耐焼付き評価試験の結果を示す表である。 実施形態2に係る回転式圧縮機の縦断面図である。 実施形態2に係る回転式圧縮機の圧縮機構の構造及び動作を示す横断面図である。
符号の説明
1 スイング圧縮機(回転式流体機械)
21 シリンダ
25 シリンダ室
26 ブッシュ孔(挿入孔)
27 ブレード
28 揺動ピストン、環状ピストン(ピストン)
51 ブッシュ
51c フラット面(ブッシュの表面)
51d 外周面(ブッシュの表面)
52 コート層
100 回転式圧縮機(回転式流体機械)

Claims (5)

  1. シリンダ室(25)を有するシリンダ(21)と、該シリンダ(21)に対して偏心してシリンダ室(25)に収納されたピストン(28)と、上記シリンダ室(25)を2室に区画するためのブレード(27)と、該ブレード(27)に摺接して上記シリンダ(21)とピストン(28)との間で相対的な偏心回転を行わせるためのブッシュ(51)とを備えた回転式流体機械であって、
    上記ブッシュ(51)の表面(51c,51d)が対面する摺動部材(21,27,28)とブッシュ(51)との間には、ダイヤモンドライクカーボンのコート層(52)が形成されている
    ことを特徴とする回転式流体機械。
  2. 請求項1において、
    上記コート層(52)は、ブッシュ(51)の表面(51c,51d)に形成されている
    ことを特徴とする回転式流体機械。
  3. 請求項1において、
    上記ピストン(28)は、ブレード(27)が一体に形成されてシリンダ(21)に対して揺動するように構成される一方、
    上記ブッシュ(51)は、シリンダ(21)に形成されたブレード(27)の挿入溝(26)に設けられている
    ことを特徴とする回転式流体機械。
  4. 請求項1において、
    上記シリンダ(21)は、ブレード(27)が一体に形成され、該シリンダ(21)とピストン(28)とは、相対的に揺動するように構成される一方、
    上記ブッシュ(51)は、ピストン(28)に形成されたブレード(27)の挿入溝(26)に設けられている
    ことを特徴とする回転式流体機械。
  5. 請求項1において、
    上記シリンダ(21)及び上記ピストン(28)及び上記ブッシュ(51)の少なくとも何れか一つは、主成分をアルミニウムとする材料で構成されている
    ことを特徴とする回転式流体機械。
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