JP2007205199A - 車両用内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリンダ部がその軸線を車両進行方向略前方に向けて配置された車両用内燃機関において、簡易な構成で走行風をプラグホールに導く。
【解決手段】ピストンを往復動可能に収容するシリンダ部22がその軸線Cを車両進行方向略前方に向けて配置されたエンジン20において、前記シリンダ部22のシリンダヘッド24の路面側に、第一プラグホール66に向けて走行風を導く第一導風板78が設けられると共に、前記シリンダ部22のヘッドカバー25の路面側に、前記第一導風板78に向けて走行風を導く第二導風板79が設けられる。
【選択図】図8

Description

この発明は、シリンダ部がその軸線を車両進行方向略前方に向けて配置された車両用内燃機関に関する。
従来、車両用内燃機関において、シリンダ部のヘッドカバーに走行風を導く導風板を設けたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
実開昭58−6624号公報
ところで、上記内燃機関は、シリンダ部がその軸線を略上方に向けて配置されたものであり、ヘッドカバーの直ぐ上方を通過する走行風の流速を高めてプラグホールの冷却性を向上させたものである。一方、シリンダ部がその軸線を略前方に向けて配置された内燃機関においては、走行風がシリンダ部のヘッドカバー前端に当たった後にプラグホールを避けて後方へ流れることがあるため、このような点の改善が要望されている。
この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、シリンダ部がその軸線を車両進行方向略前方に向けて配置された車両用内燃機関において、簡易な構成で走行風をプラグホールに導くことを目的とする。
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、ピストン(例えば実施例のピストン40)を往復動可能に収容するシリンダ部(例えば実施例のシリンダ部22)がその軸線(例えば実施例の軸線C)を車両進行方向略前方に向けて配置された車両用内燃機関(例えば実施例のエンジン20)において、前記シリンダ部のシリンダヘッド(例えば実施例のシリンダヘッド24)の路面側に、プラグホール(例えば実施例の第一プラグホール66)に向けて走行風を導く第一導風板(例えば実施例の第一導風板78)が設けられると共に、前記シリンダ部のヘッドカバー(例えば実施例のヘッドカバー25)の路面側に、前記第一導風板に向けて走行風を導く第二導風板(例えば実施例の第二導風板79)が設けられることを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、前記ヘッドカバーに、前記第二導風板に向けて走行風を導く案内形状部(例えば実施例の上傾斜突部81、下円弧状部82)が形成されることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、前記ヘッドカバーを前記シリンダヘッドに固定するボルト(例えば実施例の締結ボルト83)が、前記案内形状部を避けるべくオフセットして設けられることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、前記ヘッドカバーと第二導風板とが一体構造であることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、前記シリンダヘッドと第一導風板とが一体構造であることを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、前記シリンダヘッドには、二つのプラグ(例えば実施例の各プラグ64,65)が取り付けられると共にプラグホール周りを冷却するエアジャケット(例えば実施例のエアジャケット69)が設けられ、該エアジャケット内に前記走行風が導かれることを特徴とする。
請求項1に記載した発明によれば、ヘッドカバー前端に当たった走行風が第一導風板を避けて後方に流れることを抑制し、各導風板の協働により走行風をプラグホールへ良好に導くことが可能となるため、プラグホール周りの冷却性を向上させることができる。
請求項2に記載した発明によれば、ヘッドカバー前端に当たった走行風が第二導風板へ良好に導かれてプラグホールへ供給されるため、プラグホール周りの冷却性をさらに向上させることができる。
請求項3に記載した発明によれば、案内形状部に沿って流れる走行風がヘッドカバー固定用のボルトに妨げられることなく第二導風板へ良好に導かれるため、プラグホール周りの冷却性をさらに向上させることができる。
請求項4に記載した発明によれば、ヘッドカバーと第二導風板とをアルミ鋳造等により一体形成することが可能となり、部品点数削減によるコストダウンを図ることができる。
請求項5に記載した発明によれば、シリンダヘッドと第一導風板とをアルミ鋳造等により一体形成することが可能となり、部品点数削減によるコストダウンを図ることができる。
請求項6に記載した発明によれば、二つのプラグを有するエンジンのシリンダヘッドを効果的に冷却して該エンジンの動作を安定させることができる。
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。また、図中矢印FRは車両前方を、矢印LHは車両左方を、矢印UPは車両上方をそれぞれ示す。
図1に示す自動二輪車(車両)1において、車体フレーム2の前端部に位置するヘッドパイプ3には、前輪4を軸支する左右のフロントフォーク5がステアリングステム6を介して操向可能に枢支される。ステアリングステム6の上部には、転舵用のバーハンドル7が取り付けられる。
車体フレーム2は、ヘッドパイプ3から斜め下後方に一本のメインチューブ8を延ばし、ヘッドパイプ3と乗員用のシート9との間を低部として跨り易さを向上させた所謂バックボーン型とされる。メインチューブ8の後端部には左右のピボットプレート10が接合され、該左右ピボットプレート10には後輪11を軸支するスイングアーム12の前端部が揺動可能に枢支される。
メインチューブ8の後部には、斜め上後方へ延びる左右のシートフレーム13の前端部が接合され、該左右シートフレーム13の前後中間部とスイングアーム12の左右アーム後端部との間には、それぞれ左右のリアクッション14が配置される。左右シートフレーム13の上方には、運転者用及び後部同乗者用の座面を前後に有する前記シート9が配置される。なお、図中符号15は運転者用のステップを、符号16は後部同乗者用のステップをそれぞれ示す。
車体フレーム2の中央下部内側(前記低部内側)には、自動二輪車1の原動機であるエンジン(内燃機関)20が配置される。エンジン20は、クランク回転軸線を車幅方向(左右方向)に沿わせた空冷単気筒エンジンであり、そのクランクケース21の前端部から車両前方に向けてシリンダ部22を立設した基本構成を有する。エンジン20は、クランクケース21の後部上下が左右ピボットプレート10に支持されると共に、クランクケース21の上部がエンジンハンガ8aを介してメインチューブ8の前後中間部に支持されることで、車体フレーム2に搭載される。
シリンダ部22先端側(前端側)のシリンダヘッドには、その上方からスロットルボディ26の下流側が接続されると共に、その下方から排気管27の基端側が接続される。スロットルボディ26の上流側には、メインチューブ8前部下側に支持されたエアクリーナケース26aが接続される。
図2を併せて参照し、排気管27は、シリンダヘッド下方で一端前方に屈曲して延び、シリンダ部22前端よりもやや前方にて左後方に折り返してシリンダ部22の斜め下左方をこれと略平行に後方に延びた後、クランクケース21下方で車幅方向略中央に変化し、エンジン20後方に位置するサイレンサ27aの前端部(基端部)に接続される。排気管27におけるシリンダ部22の斜め下左方に位置する部位には、排ガス浄化用の触媒コンバータ(以下、単に触媒ということがある)28が設けられる(図5参照)。サイレンサ27aは、エンジン20後端と後輪11前端との間に位置する基端部から後輪11よりも右方に延出し、該延出部から後輪11前部と側面視で重なるように後方へ延びることで、上面視略L字状に形成される。
エンジン20からの回転動力は、クランクケース21内に収容された後述の各クラッチ及び変速機31(図4参照)を介して、クランクケース21後部左側のドライブスプロケット32に出力され、該ドライブスプロケット32からドライブチェーン33を介して後輪11左側のドリブンスプロケット34に伝達される。
車体フレーム2の前部、エンジン20のシリンダ部22、スロットルボディ26、及びエアクリーナケース26a等は、合成樹脂製の前部車体カバー35により覆われる。前部車体カバー35は、運転者の脚部を前方からの風圧等から保護するレッグシールドも兼ねる。また、車体フレーム2の後部は、同じく合成樹脂製の後部車体カバー36により覆われる。この後部車体カバー36は、左右シートフレーム13と共にシート9を支持する。後部車体フレーム2内には、シート9下に位置する物品収納箱37が配置されると共に、該物品収納箱37の前部下側には、左右シートフレーム13の前部に支持される燃料タンク38が配置される。
図3に示すように、エンジン20のシリンダ部22は、その軸線Cを地面に対して略水平(詳細にはやや前上がり)にしてクランクケース21前端部から前方(車両進行方向)に突出するもので、クランクケース21前端部に取り付けられるシリンダ本体23と、該シリンダ本体23の前端部に取り付けられる前記シリンダヘッド24と、該シリンダヘッド24の前端部に取り付けられるヘッドカバー25とを主としてなる。以下、シリンダ部22における前記軸線C(シリンダ軸線)と平行な前後方向をシリンダ前後方向、前記軸線Cと直交する上下方向をシリンダ上下方向ということがある。
図4を併せて参照し、シリンダ本体23は、その内部に前記軸線Cに沿うシリンダボア39が形成され、該シリンダボア39内にピストン40が往復動可能に嵌装される。ピストン40には、左右方向に沿うピストンピンを介してコンロッド41の小端部が揺動自在に連結され、該コンロッド41の大端部は左右方向に沿うクランクピンを介してクランクシャフト42に回転自在に連結される。クランクシャフト42は、左右方向に沿う左右軸部間に左右クランクウェブを介してクランクピンを支持してなる。
クランクシャフト42の右端部には遠心クラッチ29が同軸配置され、該遠心クラッチ29を介してクランクシャフト42の回転動力がその回転速度に応じてプライマリドライブギヤ43に伝達される。プライマリドライブギヤ43はクランクシャフト42の右軸部上に同軸配置されており、該プライマリドライブギヤ43がクランクシャフト42後方のメインシャフト45の右側部上に同軸配置されたプライマリドリブンギヤ44に噛み合う。メインシャフト45はクランクシャフト42の後方にその左右軸部と平行に配置されるもので、その右端部には運転者の操作により動力伝達を断続可能な多板クラッチ30が同軸配置され、該多板クラッチ30を介してプライマリドリブンギヤ44に入力された回転動力がメインシャフト45に伝達される。
メインシャフト45は、その後方に平行配置されたカウンタシャフト46と共に変速ギヤ群(図4では、互いに嵌合する一組の変速ギヤ対のみ示す)47を支持する。これらメインシャフト45、カウンタシャフト46、および変速ギヤ群47を主に変速機31を構成し、運転者の操作により不図示のチェンジ機構を介して前記変速ギヤ群47の減速比を多段階に変化させる。カウンタシャフト46の左端部はクランクケース21外に突出し、該左端部に前記ドライブスプロケット32が取り付けられる。
シリンダヘッド24は、シリンダボア39の前端開口を閉塞して上死点にあるピストン40と共に所謂ペントルーフ型の燃焼室を形成する。この実施例におけるエンジン20はOHC二バルブであり、前記燃焼室のルーフ形成部48における二つの傾斜上面にはそれぞれ吸気ポート49又は排気ポート50における単一の燃焼室側開口が形成され、これら各燃焼室側開口がそれぞれ吸気バルブ51又は排気バルブ52により開閉される。
各ポート49,50は、前記燃焼室とシリンダヘッド24上部のスロットルボディ取り付け部53又はシリンダヘッド24下部の排気管取り付け部54とを連通する流通路であり、燃焼室側開口から前記傾斜上面と略直交するように斜め前方に延びた後、上方又は下方に湾曲してスロットルボディ取り付け部53又は排気管取り付け部54に至る。スロットルボディ取り付け部53及び排気管取り付け部54は、シリンダ上下方向と略直交する平面を形成し、該各平面にスロットルボディ26のインシュレータ又は排気管27の結合フランジが当接してこれらが締結される。
各バルブ51,52のステムは、前記傾斜上面と略直交するように斜め前方に延びて吸排気ポート49,50の内壁を貫通した後、その先端部にそれぞれ吸気側又は排気側ロッカーアーム55,56の先端部を係合させる。各ロッカーアーム55,56の他端部は、単一のカムシャフト57に形成された二つのカム山にそれぞれ摺接し、該カムシャフト57の駆動により各バルブ51,52がそのステムに沿って往復動して各ポート49,50の燃焼室側開口を開閉させる。各バルブ51,52のステム、各ロッカーアーム55,56、及びカムシャフト57等はシリンダヘッド24の前部内側に支持され、これらがシリンダヘッド24前部及びこれを閉塞するカップ状のヘッドカバー25で形成される動弁室内に収容される。
カムシャフト57の左端部には被動スプロケット58が同軸固定され、該被動スプロケット58とクランクシャフト42の左端部に同軸固定された駆動スプロケット59とに無端状のカムチェーン60が巻き掛けられる。これにより、カムシャフト57がクランクシャフト42と連係駆動して各バルブ51,52を開閉させる。なお、クランクシャフト42の左端部には不図示のジェネレータが同軸配置される。
図5を併せて参照し、シリンダ部22の外周には、多数の冷却フィン61a,61bが一体形成される。詳細には、シリンダ本体23及びシリンダヘッド24の右側部には、シリンダ軸線Cと略直交するように複数の側部冷却フィン61aが形成され、シリンダ本体23の上下には、シリンダ軸線Cと略平行に複数の上下冷却フィン61bが形成される。
シリンダ部22の左側部内には、前記カムチェーン60を収容するカムチェーン室62が形成される。カムチェーン室62は、シリンダヘッド24内に送給されたエンジンオイルのクランクケース21内への戻り通路としても機能し、このカムチェーン室62内に検出部を臨ませるように、エンジンオイル温度を検出する油温センサ63が設けられる。油温センサ63は、シリンダ本体23における左下側かつクランクケース21近傍に位置し(図8参照)、シリンダ本体23にその左方から差し込まれるように取り付けられる。なお、図中符号60aはカムチェーン60に所定の張力を付与するカムチェーンテンショナを示す。また、カムチェーン室62の下方(シリンダ部22の斜め下左方)には前記触媒28が位置している。
図6を併せて参照し、カムチェーン室62は、シリンダ本体23及びシリンダヘッド24の左側部内に左右幅を抑えた扁平状の空間を形成するもので、シリンダ内壁と一体の内壁部62a及びその上方に連なる上部内壁部73の外側を断面コ字状の外壁部62bで囲ってなる。すなわち、カムチェーン室62の外壁部62bにはシリンダボア39内の燃焼による熱が直接伝達されず、したがって外壁部62b(シリンダ部22の左側部)には冷却フィンが形成されていない。
ここで、図6,7に示すように、エンジン20は、燃焼性能を高めて出力向上及び低燃費化を図るべくツインプラグ化されており、そのシリンダヘッド24の下部には、斜め前下方から第一の点火プラグ64が取り付けられ、シリンダヘッド24の左側部には、斜め前右方から第二の点火プラグ65が取り付けられる。シリンダヘッド24の下部及び左側部には、その内側の前記ルーフ形成部48に各プラグ64,65を到達させるための第一及び第二プラグホール66,67がそれぞれ形成される。各プラグ64,65は、対応するプラグホール66,67を通じてルーフ形成部48に形成された雌ネジ孔に螺着され、その先端電極部を燃焼室内に臨ませた状態でシリンダヘッド24に固定される
第一プラグ64は、左右方向と略直交する平面内でシリンダ上下方向に対して傾斜し、かつその中心軸線がシリンダ軸線方向視(シリンダ軸線Cに沿う矢視)で吸排気ポート49,50の延出方向と概ね平行となるように(上下方向と略平行となるように)配置される。一方、第二プラグ65は、シリンダ上下方向と略直交する平面内で左右方向に対して傾斜し、かつその中心軸線がシリンダ軸線方向視で吸排気ポート49,50の延出方向と概ね直交するように(左右方向と略平行となるように)配置される。換言すれば、各プラグ64,65は、シリンダ軸線方向視で略L字状をなすように配置される。また、第一プラグ64は、その中心軸線がシリンダ軸線Cよりも左方に位置するようにオフセットして設けられ、第二プラグ65は、その中心軸線がシリンダ軸線Cよりも上方に位置するようにオフセットして設けられる。
吸気ポート49は、その燃焼室側開口がルーフ形成部48の上部かつシリンダ軸線Cよりも左側に位置し、該開口から概ね上方に向けて(詳細にはやや右側に傾斜して)延びてシリンダ軸線Cのほぼ直上に位置するスロットルボディ取り付け部53に至る。一方、排気ポート50は、その燃焼室側開口がルーフ形成部48の下部かつシリンダ軸線Cよりも右側に位置し、該開口から概ね下方に向けて(詳細にはやや右側に傾斜して)延びてシリンダ軸線Cよりも右側に位置する排気管取り付け部54に至る。排気管取り付け部54が右側にオフセットすると共に走行風導入口75の開口面積を大きくしている。
排気ポート50には、排気ガスの酸素濃度に基づく吸気の目標空燃比を設定可能とするべく排気ガスセンサ(酸素濃度センサ)68が設けられる。排気ガスセンサ68は、白金等のゲート(触媒)を用いてなり、この排気ガスセンサ68の検出部がシリンダヘッド24の排気ポート50内に臨むように配置されることで、前記ゲートが所定の動作温度に加熱され易くなり、暖機運転時(冷間運転時)における検出感度が高まる。
排気ガスセンサ68は、シリンダヘッド24の下部右側(排気ポート50の右側)に右方から差し込まれるように取り付けられる。シリンダヘッド24における排気ポート50を挟んで排気ガスセンサ68と反対側(左側)には前記第一プラグ64が位置し、排気ガスセンサ68と同側(右側)には前記第二プラグ65が位置する。また、排気ガスセンサ68はシリンダ軸線Cよりも下方に離間し、かつその中心軸線が左右方向と略平行になるように配置される。すなわち、排気ガスセンサ68は、シリンダ軸線方向視で第一プラグ64と略直交し、第二プラグ65とは略平行となるように配置される。
またここで、エンジン20は、とりわけ熱的負荷が大きいシリンダヘッド24(特に各プラグホール66,67周り)を効果的に冷却可能とするべく、該シリンダヘッド24内部に冷却風(走行風)を流通させるエアジャケット(冷却風流通路)69を備える。エアジャケット69は、各プラグホール66,67同士を連通するべく、シリンダヘッド24後部におけるルーフ形成部48と動弁室の底部70との間に形成される空間であり、吸排気ポート形成部71,72、カムチェーン室62の上部内壁部73、シリンダ本体23とクランクケース21との締結ボルトの挿通部74等を残すように形成される。このエアジャケット69により、各プラグホール66,67周りを冷却風(走行風)が良好に流通し、かつシリンダヘッド24の内側まで冷却風(走行風)を導入可能となって、シリンダヘッド24の冷却性が向上する。
エアジャケット69は、後に詳述する二つの導風板78,79の作用により、シリンダヘッド24下部において下方に開放する第一プラグホール66周辺を走行風導入口75とし、かつシリンダヘッド24右側部において右方に開放する第二プラグホール67周辺を走行風排出口(排風口)76とするように構成される。換言すれば、エアジャケット69は、走行風導入口75から排風口76に至るまで、シリンダ軸線方向視で略L字状に屈曲するように形成される。
走行風導入口75(第一プラグホール66)は、排気ポート形成部72と左下の締結ボルト挿通部74との間に形成され、排風口76(第二プラグホール67)は、右上及び右下の締結ボルト挿通部74との間に形成される。走行風導入口75は、排風口76と比べてシリンダ軸線方向視での幅が狭く、第一プラグ64は排気ポート形成部72と締結ボルト挿通部74とに挟まれるように配置される。排気ポート形成部72(排気ポート50)と走行風導入口75及び第一プラグ64とは、概ね左右に並ぶように配置される。また、シリンダヘッド24における排気ポート形成部72(排気ポート50)を挟んで第一プラグ64及び走行風導入口75と反対側には、前記排気ガスセンサ68が配置される。この配置により、排気ガスセンサ68が走行風導入口75を遮ることがなくなる。
エアジャケット69内には、シリンダ軸線方向視で該シリンダ軸線C近傍を左右に横断するセンタフィン77が設けられる。センタフィン77は、エアジャケット69の上下壁に渡る板状のもので、吸排気ポート形成部71,72間に位置し、その左端部が下方(走行風導入口75側)に向けて傾斜して設けられる。このセンタフィン77により、走行風導入口75からエアジャケット69内に導入された走行風が排風口76に向けてスムーズに導かれると共に、該走行風の接触面積が増加してシリンダヘッド24の冷却性が向上する。
図8,9に示すように、シリンダヘッド24の下部(路面側)には、エアジャケット69の走行風導入口75(第一プラグホール66)に向けて走行風(図8中鎖線矢印で示す)を導く第一導風板78が設けられる。第一導風板78は、走行風導入口75から下方に離間する左右方向と略平行な平板状の導風板本体78aと、該導風板本体78aの左右両端部を支持する一対の脚部78bとを有してなり、シリンダ軸線方向視で上方に開放する略コ字状をなして前後に貫通する走行風流通路を形成する。
導風板本体78aは後上がりに傾斜し、かつその後部が上方に緩やかに屈曲してシリンダヘッド24の下面に連なる後壁部78cを形成することで、第一導風板78を前方に開放する袋状に形成し、該第一導風板78内に進入した走行風をその上方すなわち走行風導入口75に向けて良好に案内する。後壁部78c左側には横長の底孔78dが形成されており、第一導風板78内に進入した走行風の一部を後方へ通過させる。このような第一導風板78が、シリンダヘッド24の下部右側にオフセットした排気管取り付け部54の左側に隣接するように(換言すればシリンダヘッド24の下部左側にオフセットするように)配置され、シリンダヘッド24の下部にアルミダイカスト成形等により一体形成されている。
第一導風板78の後方(下流側)には前記油温センサ63が位置しており、該油温センサ63の直ぐ前方には、油温センサ63への風当たりを抑えるべく、ストッパ壁80が下方に向けて立設される。ストッパ壁80は軸線Cと略直交する板状のもので、シリンダヘッド24の下部にアルミダイカスト成形等により一体形成され、油温センサ63への路面からの障害物の接触をも軽減する。
また、ヘッドカバー25の下部(路面側)には、第一導風板78内に向けて走行風を導く第二導風板79が設けられる。第二導風板79は、ヘッドカバー25下部から下方に離間する左右方向と略平行な平板状の導風板本体79aと、該導風板本体79aの左右両端部を支持する一対の脚部79bとを有してなり、シリンダ軸線方向視で上方に開放する略コ字状をなし、かつシリンダ軸線方向視で第一導風板78外側を取り囲むべく比較的大型に設けられて、前後に貫通する走行風流通路を形成する。
導風板本体79aはシリンダ軸線Cと略平行(詳細にはシリンダ軸線Cに対してやや後上がりに傾斜して)設けられ、かつその前端がヘッドカバー25の前端近傍に位置することで、ヘッドカバー25前端に当たった直後の走行風を取り込み易くし、かつその後方の第一導風板78内へ走行風を案内し易くしている。このような第二導風板79が、ヘッドカバー25の下部左側にオフセットするように配置され、ヘッドカバー25の下部にアルミダイカスト成形等により一体形成されている。
ヘッドカバー25の前端左側の上部及び下部には、第二導風板79内に向けて走行風を案内するための上傾斜突部81及び下円弧状部82がそれぞれ形成される。上傾斜突部81は、ヘッドカバー25前壁における概ねシリンダ軸線Cよりも上方となる範囲をその上縁部を頂点とすうように前方へ突出させてなり、シリンダ軸線Cと直交する平面に対して上側ほど前方に位置するように傾斜した平面又は湾曲面を形成することで、前方からの走行風を下方へ良好に案内する。
下円弧状部82は、ヘッドカバー25前壁における概ねシリンダ軸線Cよりも下方となる範囲を側面視で比較的大径の円弧状に面取りしてなり、下側ほど後方に位置する湾曲面を形成することで、前方からの走行風をヘッドカバー25下部に沿わせて滑らかに後方へ流す。これら上傾斜突部81及び下円弧状部82の協働により、ヘッドカバー25前端左側に当った走行風が第二導風板79内に向けて良好に導かれる。
ヘッドカバー25は、その前壁の上下略中央を前方から貫通する一対の締結ボルト83によりシリンダヘッド24に固定される。各締結ボルト83の一方はヘッドカバー25の右端部を貫通するように配置され、他方はヘッドカバー25の左右中間部であって上傾斜突部81及び下円弧状部82の右端部を貫通するように配置される。換言すれば、各締結ボルト83は、上傾斜突部81及び下円弧状部82を避けるべくヘッドカバー25右側にオフセットして配置されており、その頭部が第二導風板79に向けて導かれる走行風の流れを妨げることはない。
ここで、図3,5に示すように、前記触媒コンバータ28は、白金等の触媒を付着させた例えばハニカム状の構造体(モノリス)を排気管27より大径の円筒状のケース内に収容してなるもので、シリンダ部22の斜め下左方にオフセットした位置にて排気管27途中にこれと略同軸に設けられ、この触媒28が所定の反応促進温度に加熱された状態でこれを通過するエンジン20からの排気ガスが適宜浄化される。触媒28は、シリンダ部22の斜め下左方すなわちカムチェーン室62の下方に位置しており、加熱状態となった触媒28の熱がシリンダ内壁に直接伝わることはない。また、触媒28は、前記エアジャケット69の走行風導入口75から左方にオフセットして配置されており、触媒28の熱がエアジャケット69内へ侵入し難くなっている。
以上説明したように、上記実施例におけるエンジン20は、ピストン40を往復動可能に収容するシリンダ部22がその軸線Cを車両進行方向略前方に向けて配置されたものであって、前記シリンダ部22のシリンダヘッド24の路面側に、第一プラグホール66に向けて走行風を導く第一導風板78が設けられると共に、前記シリンダ部22のヘッドカバー25の路面側に、前記第一導風板78に向けて走行風を導く第二導風板79が設けられるものである。
この構成によれば、ヘッドカバー25前端に当たった走行風が第一導風板78を避けて後方に流れることを抑制し、各導風板78,79の協働により走行風をエアジャケット69へ良好に導くことが可能となるため、各プラグホール周りの冷却性を向上させることができる。
また、上記エンジン20においては、前記ヘッドカバー25に、前記第二導風板79に向けて走行風を導く上傾斜突部81及び下円弧状部82が形成されることで、ヘッドカバー25前端に当たった走行風が第二導風板79へ良好に導かれて第一プラグホール66へ供給されるため、プラグホール周りの冷却性をさらに向上させることができる。
さらに、上記エンジン20においては、前記ヘッドカバー25を前記シリンダヘッド24に固定する締結ボルト83が、前記上傾斜突部81及び下円弧状部82を避けるべくオフセットして設けられることで、上傾斜突部81及び下円弧状部82に沿って流れる走行風がヘッドカバー25固定用の締結ボルト83に妨げられることなく第二導風板79へ良好に導かれるため、プラグホール周りの冷却性をさらに向上させることができる。
さらにまた、上記エンジン20においては、前記ヘッドカバー25と第二導風板79とが一体構造であることで、ヘッドカバー25と第二導風板79とをアルミ鋳造等により一体形成することが可能となり、部品点数削減によるコストダウンを図ることができる。
しかも、上記エンジン20においては、前記シリンダヘッド24と第一導風板78とが一体構造であることで、シリンダヘッド24と第一導風板78とをアルミ鋳造等により一体形成することが可能となり、部品点数削減によるコストダウンを図ることができる。
さらに、上記エンジン20においては、前記シリンダヘッド24には、二つのプラグ64,65が取り付けられると共にプラグホール周りを冷却するエアジャケット69が設けられ、該エアジャケット69内に前記走行風が導かれることで、二つのプラグ64,65を有する空冷エンジン20のシリンダヘッド24を効果的に冷却して該エンジン20の動作を安定させることができる。
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、例えば、ツインプラグではなく単一の点火プラグを有するエンジンや、シリンダヘッドに吸排気用の二本のカムシャフトを有するDOHCエンジン、ロッカーアームを用いずカムシャフトで直接バルブを駆動する直押し式エンジン、及び吸排気バルブの少なくとも一方を複数有するエンジン、並びに複数気筒エンジンや水冷エンジンにも適用可能である。
そして、上記実施例における構成はこの発明の一例であり、スクータ型車両等の様々な車両にも適用できることはもちろん、該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
この発明の実施例における自動二輪車の左側面図である。 上記自動二輪車のエンジン及び排気管等の配置を示す上面図である。 上記エンジン及び排気管の右側面図である。 上記エンジンの展開断面図である。 上記エンジンのシリンダ本体の軸線に直交する断面図である。 上記エンジンのシリンダヘッドの軸線に直交する断面図である。 上記エンジンの点火プラグの配置を示す図3に相当する右側面図である。 上記エンジンのシリンダ部を左側から見た説明図である。 上記エンジンのシリンダヘッドを前側から見た軸線に沿う矢視図である。
符号の説明
1 自動二輪車(車両)
20 エンジン(内燃機関)
22 シリンダ部
24 シリンダヘッド
25 ヘッドカバー
40 ピストン
64 第一プラグ(プラグ)
65 第二プラグ(プラグ)
66 第一プラグホール(プラグホール)
67 第二プラグホール(プラグホール)
69 エアジャケット
78 第一導風板
79 第二導風板
81 上傾斜突部(案内形状部)
82 下円弧状部(案内形状部)
83 締結ボルト(ボルト)
C 軸線

Claims (6)

  1. ピストンを往復動可能に収容するシリンダ部がその軸線を車両進行方向略前方に向けて配置された車両用内燃機関において、前記シリンダ部のシリンダヘッドの路面側に、プラグホールに向けて走行風を導く第一導風板が設けられると共に、前記シリンダ部のヘッドカバーの路面側に、前記第一導風板に向けて走行風を導く第二導風板が設けられることを特徴とする車両用内燃機関。
  2. 前記ヘッドカバーに、前記第二導風板に向けて走行風を導く案内形状部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用内燃機関。
  3. 前記ヘッドカバーを前記シリンダヘッドに固定するボルトが、前記案内形状部を避けるべくオフセットして設けられることを特徴とする請求項2に記載の車両用内燃機関。
  4. 前記ヘッドカバーと第二導風板とが一体構造であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の車両用内燃機関。
  5. 前記シリンダヘッドと第一導風板とが一体構造であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の車両用内燃機関。
  6. 前記シリンダヘッドには、二つのプラグが取り付けられると共にプラグホール周りを冷却するエアジャケットが設けられ、該エアジャケット内に前記走行風が導かれることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の車両用内燃機関。

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