JP2007201158A - コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】 所望する容量値を精度よく得ることができ、かつ高周波帯域での特性が良好なコンデンサを提供する。
【解決手段】 下部電極層2、誘電体層3、上部電極層4の各層を支持基板1にかけて覆うとともに上部電極層4の上面を露出させる開口部6が形成されている絶縁層5と、開口部6内の上部電極層4の上面から絶縁層5上にかけて容量形成部の外側に形成された引出し電極層7とを含むコンデンサであって、絶縁層5は、引出し電極層7が形成されている領域の上面の凹凸が、開口部6内の上部電極層4の上面の凹凸よりも大きいコンデンサである。
【選択図】 図1
【解決手段】 下部電極層2、誘電体層3、上部電極層4の各層を支持基板1にかけて覆うとともに上部電極層4の上面を露出させる開口部6が形成されている絶縁層5と、開口部6内の上部電極層4の上面から絶縁層5上にかけて容量形成部の外側に形成された引出し電極層7とを含むコンデンサであって、絶縁層5は、引出し電極層7が形成されている領域の上面の凹凸が、開口部6内の上部電極層4の上面の凹凸よりも大きいコンデンサである。
【選択図】 図1
Description
本発明は、高周波帯域においても誘電損失が小さく、良好にかつ安定に動作することができるコンデンサに関するものであり、特に所望する容量値を精度良く実現できる構造を有するコンデンサに関するものである。
従来より、基板上に下部電極層,誘電体層および上部電極層を順次被着してなるコンデンサにおいては、コンデンサを外部回路と接続するために、下部電極層および上部電極層と外部回路への接続部との間に配線を設ける必要がある。この配線を設ける方法の一つとして、下部電極層,誘電体層および上部電極層が順次被着形成されたコンデンサに対して、それらを覆うように絶縁膜を形成し、この絶縁膜に上部電極が露出するような開口部を設け、この開口部と外部接続回路との間に配線を設ける方法がある。
図6に、このような方法で外部回路と接続するための配線を設けた、一般的な構成のコンデンサの例を断面図で示す(例えば、特許文献1を参照)。支持基板上61に、下部電極層63、誘電体層64および上部電極層65がこの順に積層されており、下部電極層63および上部電極層65がそれぞれスパッタリング法や真空蒸着法等で形成されており、誘電体層64はスパッタリング法やゾルゲル法等で形成されている。また通常、各層を所望の形状となるように、以下に述べるようなフォトリソグラフィの手法が用いられる。
まず、支持基板61の上面全体に下部電極層となる導体層を形成した後、必要部のみをフォトリソグラフィによってパターニングしたフォトレジストで覆い、その後、ウェットエッチングまたはドライエッチングで不要部を除去して、所定形状の下部電極層63を形成する。なお、支持基板61と下部電極層63との間の密着性を確保するために、下部電極層となる導体層を形成する前に、密着層62を形成することもある。この密着層62は通常、下部電極層63と同一の形状に加工される。次に、この支持基板61上に誘電体層となる層を全面に形成し、下部電極層63と同様に、不要部を除去して所定形状の誘電体層64を形成する。そして、更にこの上に、上部電極層となる導体層を全面に形成し、不要部を除去して所定形状の上部電極層65を形成する。
以上のように形成された下部電極層63と誘電体層64と上部電極層65とが上面視で重なる領域が容量形成部となる。
次に、絶縁膜をこの支持基板61上全面に形成し、下部電極層63,誘電体層64,および上部電極層65を覆うように絶縁層66を形成する。この時、容量形成部以外の下部電極層63の一部および上部電極層65の一部を露出する開口部67を形成し、外部回路との接続部への引出し電極層68を絶縁層66上に形成する。
特開2004−56097号公報
前記従来の一般的な構造において、外部回路との接続部への引出し電極層68を絶縁層66上に形成する際に、絶縁層66には、既に形成されている密着層62,下部電極層63,誘電体層64および上部電極層65の形状を反映した段差があるため、絶縁層66あるいは引出し電極層68にかかる応力が不均一となり、引出し電極層68と絶縁層66との界面で剥離が起きやすくなる。従って、引出し電極層68の材料や形成条件によっては、剥離が頻発し、特性不良が発生するという問題点がある。
さらに、近年の電子部品の高機能化・小型化の要求を満たすために、下部電極層63,誘電体層64および上部電極層65とから構成される容量形成部の構造が複雑かつ微細になると、この剥離による歩留り低下という問題は、ますます大きなものとなる。
また、容量形成部への外部からの水分の進入を防いで耐湿性を向上させるために、絶縁層66の材料としては、水分の透過係数が小さい無機材料や、作製プロセスが簡便な有機材料などの樹脂等が例として挙げられる。
無機材料の代表例としては、二酸化ケイ素や窒化ケイ素などのケイ素化合物が多く用いられ、これらは、化学気相堆積法(CVD)により形成されるのが一般的である。
また、有機材料などの樹脂の代表例としては、ポリイミドやベンゾシクロブテン(BCB)樹脂などの耐熱性の高い熱硬化性樹脂が挙げられる。
一方、外部回路との接続部への引出し電極層68の材料としては、引出し電極層68による抵抗を低減させ、特に高周波帯域での特性を向上させる目的で、金,白金,銅などの金属が一般的に用いられる。ただし、引出し電極層68を形成した後にさらに別の工程を加える場合には、銅は酸化されやすいので、引出し電極層68の材料としては不適であるため、金,白金が好適に用いられる。
しかしながら通常、引出し電極層68として用いられる金,白金は、絶縁層66として用いられる二酸化ケイ素や窒化ケイ素などの無機材料,あるいはポリイミドやBCB樹脂などの有機材料との密着性が低いために、絶縁層66と引出し電極層68との界面で剥離が起きやすくなっていた。
このような剥離を低減するための手法として、引出し電極層68と絶縁層66との間に密着層を形成する場合がある。しかしながら、このような密着層の形成により引出し電極層68の抵抗が大きくなる場合があり、特に高周波帯域で使用されるコンデンサにおいては、Q値が低下し、特性が劣化するという問題点がある。
本発明は以上のような従来の技術における問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、絶縁層と、外部回路との接続部への引出し電極層との密着性を向上させることにより、コンデンサの特性不良を低減し、かつ、高周波帯域において良好な特性を有するコンデンサを得ることにある。
本発明のコンデンサは、1)支持基板上に形成された、下部電極層と、この下部電極層上の誘電体層と、この誘電体層上の上部電極層とを含む容量形成部と、これら各層を前記支持基板にかけて覆うとともに前記上部電極層の上面を露出させる開口部が形成されている絶縁層と、前記開口部内の前記上部電極層の上面から前記絶縁層上にかけて前記容量形成部の外側に形成された引出し電極層とを含むコンデンサであって、前記絶縁層は、前記引出し電極層が形成されている領域の上面の凹凸が、前記開口部内の前記上部電極層の上面の凹凸よりも大きいことを特徴とするものである。
また、本発明のコンデンサは、2)上記1)の構成において、前記上部電極層は、前記誘電体層の上面内に形成されており、前記開口部の下側の開口端は前記上部電極層の上面内に形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明のコンデンサは、3)上記1)または2)の構成において、前記容量形成部が、複数個直列に接続されていることを特徴とするものである。
本発明のコンデンサによれば、上記1)のように構成したことから、上部電極層と引出し電極層とは金属同士なので凹凸が小さくても密着性が良く、かつ上部電極層と引出し電極層とが接続される界面が滑らかであるため、界面における接触抵抗を低下させることができるとともに、絶縁層と引出し電極層とは密着性が劣るので、絶縁層と引出し電極層とが接する面において、引出し電極層が絶縁層表面の微小な凹凸に入り込むことにより、通常のファンデアワールス力に加えてアンカー作用が生じるので、引出し電極層と絶縁層との密着性が大幅に向上し、引出し電極層と絶縁層との界面における剥離が低減されるため、コンデンサの特性不良の発生を低減させることができる。また、引出し電極層として、絶縁層と化学的な結合をほとんど形成しない材料を用いても、アンカー作用により、引出し電極層と絶縁層との界面における剥離を低減することができるため、引出し電極層に用いる材料の幅を広げることができ、例えば、金などの低抵抗で化学的に不活性な材料を用いることができ、その結果、引出し電極層の抵抗を小さくすることができる。このため、本発明のコンデンサの高周波帯域における特性、特にQ値を向上させることができる。
さらに、上部電極層と引出し電極層とが接続される界面が滑らかであるので、界面準位や表面準位の密度が低減され、良好な接合界面が形成され、その結果、両電極層間の接触抵抗が低減し、本発明のコンデンサの高周波帯における特性、特にQ値を向上させることができる。
また、本発明のコンデンサによれば、上記2)のように構成したことから、上部電極層と下部電極層との絶縁性を確保するために、下部電極層の外縁部を超えて誘電体層を形成する必要がなくなる。このため、容量形成部において、誘電体層に段差が無くなるので、電界の集中する箇所がほとんどなく、リーク特性を向上させることができる。
さらに、開口部の下側の開口端を上部電極層の上面内に形成していることにより、引出し電極層は、引出し電極層との密着性が悪い誘電体層とは接触せずに、上部電極層および絶縁層のみと接合する。ここで、引出し電極層と絶縁層とは、絶縁層の上面の凹凸が大きいことから密着性が高くなり、引出し電極層と上部電極層とは、金属同士の結合となるので密着性が高くなるため、引出し電極層の剥離をより一層抑制することができ、特性不良の発生をより一層低減させることができる。
また、本発明のコンデンサによれば、上記3)のように構成したことから、各容量形成部の容量値が等しい場合には、直列に接続した容量形成部の容量値は、各容量形成部の容量形成部の容量値に容量形成部の個数を乗じた値となるので、同容量のコンデンサを得るために、1つの容量形成部により1ヶ所で容量を形成する場合に比べ電極面積を大きくすることができる。このため、例えコンデンサに対する要求特性が低容量であっても製造が簡易となり、上部電極層の加工精度が向上するとともに、再現性も向上する。また、各容量形成部を直列に接続しているので、高周波電圧が各容量形成部に分圧されるため、各々の容量形成部に印加される高周波電圧は小さくなる。このため、例えば本発明のコンデンサの損失抵抗による単位面積当たりの発熱量を小さくでき、耐電力性を向上させることができる。
以下、本発明のコンデンサについて、実施の形態の例を模式的に示す図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明のコンデンサの実施の形態の一例を示す断面図である。図1において、1は支持基板であり、2は下部電極層であり、3は誘電体層であり、4は上部電極層であり、5は絶縁層であり、6は絶縁層5に形成された開口部であり、7は引出し電極層であり、81,82は外部回路との接続部である。
図1において、支持基板1上に下部電極層2が形成され、この下部電極層2の上面の一部に誘電体層3が形成され、この誘電体層3の上面の一部に上部電極層4が形成されている。また、支持基板1上に下部電極層2と離間した位置に電極層を形成している。ここで、下部電極層2,誘電体層3,上部電極層4が上面視で重なっている領域を容量形成部という。また、これらの各層2,3,4および電極層を覆うように支持基板1にかけて絶縁層5が形成されている。絶縁層5は、上部電極層4の上面を露出させる開口部6を有するとともに、下部電極層2の容量形成部の外側に位置する部位および電極層において、それぞれの上面を一部露出させる非形成部を有する。この非形成部が外部回路との接続部81,82となる。
支持基板1は、耐熱性が高く、また上面が平坦なものであれば特に限定はなく、アルミナセラミックス等のセラミック基板やサファイア等の単結晶基板を用いればよい。
そして、支持基板1上に下部電極層2,誘電体層3および上部電極層4を、順次支持基板1の上面のほぼ全面に成膜する。これら各層の成膜終了後、上部電極層4,誘電体層3および下部電極層2を、上に位置する層から順次、所定の形状にエッチングする。
なお、下部電極層2,誘電体層3および上部電極層4の成膜に際しては、下部電極層2と誘電体層3との間、ならびに誘電体層3と上部電極層4との間に、パーティクル等のコンデンサの特性を劣化させる要因になりうる不純物の混入を最低限に抑制することが望ましい。従って、これら下部電極層2,誘電体層3および上部電極層4の成膜は、同じ成膜装置で、成膜室を大気開放せず、連続して行なうことが望ましい。以上のことより、具体的に成膜方法としては、スパッタリング法が好適である。
下部電極層2は、誘電体層3の形成時に高温下での処理が必要となる場合があるため、高融点の材料を用いることが望ましい。さらに、誘電体層3が金属酸化物より成る場合には、酸化されにくい金属であることが望ましい。以上のことから、下部電極層2に好適な材料として、白金,パラジウムを例示することができる。
さらに、下部電極層2は、スパッタリングによる成膜終了後、誘電体層3の形成温度まで加熱され、誘電体層3のスパッタ開始まで一定時間保持されることにより、平坦な膜となる。
下部電極層2の厚みは、外部回路との接続部81と容量形成部との間の抵抗成分、および下部電極層2の連続性を考慮した場合は、厚い方が望ましいが、支持基板1との密着性を考慮した場合は、相対的に薄いほうが望ましく、両方を考慮して決定される。具体的には、0.1μm〜10μmである。これは、0.1μmよりも薄くすると、下部電極層2自身の抵抗が大きくなるほか、電極の連続性が確保できなくなる可能性があるからであり、一方、10μmより厚くすると、支持基板1との密着性が低下したり、支持基板1の反りを生じたりするおそれがあるからである。
誘電体層3は、Ba,Sr,Tiを含有するペロブスカイト型酸化物結晶粒子からなる高誘電率の誘電体層であることが好ましい。中でも、チタン酸バリウムストロンチウムを用いることにより、低損失で高誘電率の誘電体層3とすることができるので好ましい。
誘電体層3は、ペロブスカイト型酸化物結晶粒子が得られる誘電体材料をターゲットとして、下部電極層2のスパッタリング後、成膜室を大気開放することなく下部電極層2に引き続いて所望の厚みになる時間までスパッタリングを行なうことにより成膜される。その際、基板温度を高く、例えば800℃としてスパッタリングを行なうことにより、スパッタリング後の熱処理を行なうことなく、低損失で高誘電率の誘電体層3が得られる。
また、上部電極層4としては、酸化されにくい材料が好ましく、白金を好適に用いることができる。チタン酸バリウムストロンチウムより成る誘電体層3に対して、白金より成る上部電極層4を用いることにより、誘電体層3と上部電極層4との密着性を向上させることができる。また、上部電極層4として反応性に乏しい白金を用いることにより、後述の開口部6の形成の際に、上部電極層4がエッチングされることを有効に防止することができる。
また、開口部6内における上部電極層4の上面の凹凸は、後述する絶縁層5の、引出し電極層7が形成されている領域の上面に比べ小さくする。上部電極層4の上面側の凹凸を小さくするためには、例えば、上部電極層4より下側に位置する誘電体層3,下部電極層2を平坦な層とし、その上に形成することで上部電極層4の上面の凹凸を小さくしたり、上部電極層4を形成した後に高温で一定時間保持することで上部電極層4の上面の凹凸を小さくしたりすればよい。ここで、凹凸の大きさは、本発明のような薄膜型のコンデンサにおいては、断面から観察したときに、カットオフ値を2μmとし、その範囲における凸部と凹部とで形成される振幅の値の最大値で判断するものとする。
このように、上部電極層4の開口部6内における凹凸を小さくすることにより、この上に接触して形成される引出し電極層7との間に界面準位が発生することを抑えることができるため電気抵抗が小さくなり、損失の少ないコンデンサとすることができる。
すなわち、上部電極層4の上面の凹凸が小さく、引出し電極層7と接続される界面が滑らかであれば、界面準位や表面準位の密度が低減され、良好な接合界面が形成され、その結果、両電極層4,7間の接触抵抗が低減し、本発明のコンデンサの高周波帯における特性、特にQ値を向上させることができる。
一方、上部電極層4の凹凸が大きい場合には、界面準位や表面準位の密度が増加し接合界面が良好でなくなると予想される。その結果、両電極層4,7間の接触抵抗が増加し、コンデンサの高周波帯における特性、特にQ値が低下する恐れがある。
なお、絶縁層5の開口部6内に露出する上部電極層4の凹凸が小さくても、上部電極層4と引出し電極層7とは金属同士であるため、結合強度は実用上問題ない程度に大きい。
上部電極層4は、上述の誘電体層3のスパッタリング後、成膜室を大気開放することなく引き続いてスパッタリングにより成膜される。その際、上部電極層4の厚みを誘電体層3の厚み以下とすることにより、上部電極層4をエッチングにより加工するときのエッチャントにより、誘電体層3もエッチングされる場合でも、上部電極層4のエッチング完了前に誘電体層3は少なくとも消失することはなく、後の上部電極層4のエッチングの際の誘電体層3への影響を少なくすることができる。また、エッチングによるパターニング精度が向上するため、所望する容量値を精度良く得ることができる。
上述のように成膜した後、上部電極層4,誘電体層3および下部電極層2を、順次、所定の形状にエッチングする。エッチングは、レジストをスピンコーティング法等により全面に均一に塗布し、フォトリソグラフィ法によりレジストを所定の形状にパターニングした後、ウェットエッチングもしくはドライエッチングにより行なう。コンデンサの容量値は上部電極層4の面積により決定されるため、上部電極層4のエッチングでは、より精度の高いドライエッチングを用いることが望ましい。さらに、白金より成る上部電極層4をウェットエッチングによりエッチングする際に、一般的には王水が用いられるが、王水を用いると誘電体層3もエッチングされる。このことからも、上部電極層4のエッチングはドライエッチングにより行なうことが望ましい。
ドライエッチングは、例えば電子サイクロトロン共鳴装置(ECR装置)を用い、アルゴンプラズマをエッチャントとして行なうことができる。
なお、誘電体層3のエッチングはウェットエッチングおよびドライエッチングのどちらにより行なってもよい。また、下部電極層2のエッチングは、ウェットエッチングおよびドライエッチングのどちらを用いてもよいが、下部電極層2の厚みが厚い場合には、パターニング精度の観点から、上部電極層4と同様にドライエッチングにより行なうことが望ましい。
以上のような上部電極層4,誘電体層3および下部電極層2のエッチングにおいては、図1に示すように、誘電体層3の下面は下部電極層2の上面より小さく、上部電極層4の下面は誘電体層3の上面よりも小さくなるようにエッチングされることが望ましい。これにより、誘電体層3に段差がなくなり、段差がある場合に見られる、段差部分での誘電体の結晶や配向の乱れが生じず、かつ電界が集中しやすい下部電極層2の外延部に誘電体層3がないので、誘電体層3において電界の集中する箇所がほとんどなくなり、リーク特性が向上する。
次に、下部電極層2,誘電体層3,上部電極層4を支持基板1にかけて覆うように絶縁層5を形成する。絶縁層5は、引出し電極層7と下部電極層2との絶縁を確保するほか、誘電体層3を覆うことにより、コンデンサの耐湿性を向上させる目的で形成する。
さらに、絶縁層5は、その熱膨張係数が引出し電極層7よりも小さな材料から成ることが好ましい。これにより、絶縁層5の温度による体積変化は、引出し電極層7の温度による体積変化よりも小さくなるので、絶縁層5と引出し電極層7との熱膨張差によって発生する上部電極層4と誘電体層3との剥離、および引出し電極層7の断線を効果的に抑制することができる。
絶縁層5としては、一般的には、樹脂等から成る絶縁物よりも、無機物から成る絶縁物を用いることが好ましい。厚みは耐湿性を考慮すると厚い方が好ましいが、応力による割れを考慮した場合には薄い方が好ましく、両方を考慮して決定される。具体的には、0.3μm〜5μmである。絶縁物材料の具体例としては、二酸化ケイ素や窒化ケイ素を挙げることができる。絶縁層5を比較的厚く形成する必要がある場合には、応力による割れが相対的に起こりにくい二酸化ケイ素が用いられる。また、絶縁層5は、段差部の被覆性を考慮して、化学気相堆積(CVD)法等により成膜することが望ましい。また、CVD法により成膜された二酸化ケイ素はアモルファス状態であることが多いため、熱膨張係数が低くなり、絶縁層5に好適である。
絶縁層5は、下部電極層2,誘電体層3,上部電極層4の各層を支持基板1にかけて覆うような形状に形成される。これにより、絶縁層5の一部は、支持基板1上に直接形成されることになるので、絶縁層5として特に二酸化ケイ素や窒化ケイ素を用いた場合には、これら材料とアルミナセラミックス等のセラミック基板やサファイア等の単結晶基板からなる支持基板1との密着性が高いので、絶縁層5の支持基板1からの剥離が抑制されるため好ましい。
また、絶縁層5には、引出し電極層7と上部電極層4との接続を確保するため、上部電極層4の上面を露出させる開口部6が形成される。この開口部6は、引出し電極層7と下部電極層2との電気的な絶縁を保つことができるように、少なくとも下部電極層2を露出させなければ、その形状,大きさ等は適宜自由に設計することができるが、開口部6の下側の開口端を上部電極層4の上面に位置するように形成し、上部電極層4の上面の一部のみ露出させるように形成することが好ましい。このような構成とすることにより、外部からの誘電体層3への水分の浸入を防ぐことができるので、耐湿性に優れたものとなり、信頼性の高いコンデンサとすることができる。また、引出し電極層7が、引出し電極層7との密着性が悪い誘電体層3とは接触せずに、上部電極層4および絶縁層5のみと接合する。ここで、引出し電極層7と絶縁層5とは後述の通り絶縁層5の上面の凹凸が大きいことから密着性が高くなり、引出し電極層7と上部電極層4とは金属同士の結合となるので密着性が高くなるため、引出し電極層7の剥離をより一層抑制することができ、特性不良の発生をより一層低減することができるので好ましい。
開口部6は、例えばエッチングにより形成すれば良く、寸法精度の観点からドライエッチングにより行なうことが望ましい。絶縁層5に二酸化ケイ素もしくは窒化ケイ素を用いた場合には、反応性イオンエッチング(RIE)により簡便に形成することができる。
ここで、開口部6を形成するために絶縁層5をRIEにより加工する際に、前述のフォトリソグラフィの手法によりパターニングされた絶縁層5上のフォトレジストも絶縁層5と同時にエッチングされるため、絶縁層5のエッチングの進行とともに、フォトレジストの膜厚が薄くなり、やがてほぼ消失する。絶縁層5のエッチング速度が、フォトレジストのエッチング速度より遅く、絶縁層5のエッチングが完了する前にフォトレジストが消失するような場合、通常は、フォトレジストが消失する前にエッチングを一旦中断し、改めてフォトレジストを形成して再度エッチングを行う。
また、外部回路との接続部81,82となる位置においても開口部6を形成するのと同様の手法で、絶縁層5の非形成部を形成する。
このような絶縁層5の上面には引出し電極層7が形成される。ここで、絶縁層5は、引出し電極層7が形成されている領域の上面の凹凸を、開口部6内の上部電極層4の上面の凹凸さより大きくする。絶縁層5の上面の内、引出し電極層7が形成される部分のみ凹凸を大きくしてもよいし、絶縁層5の上面全体の凹凸を大きくしてもよい。
具体的に絶縁層5の上面の凹凸を大きくするには、絶縁層5を形成した後にその上面に凹凸を形成すればよく、凹凸形状に特に制限はない。また、凹凸を大きくするためには、アルゴンなどの不活性ガスによるスパッタリング法やRIE法などによるドライエッチング法,サンドブラスト法,ウエットエッチング法等を用いればよい。凹凸は、引出し電極層7の絶縁層5と接していない側の面(引出し電極層7の上面)の表面が荒れない程度で、かつ引出し電極層7と絶縁層5との間にアンカー作用が働く程度に設定する。
ここで、CVD法、特にテトラエトキシシラン(TEOS)のような有機ケイ素化合物を原料とするCVD法により形成された絶縁層5においては、RIEによりエッチングされる表面に凹凸が形成され、凹凸が大きくなる。これは、絶縁層5中には原料に起因する炭素成分が含まれており、RIEによるエッチングの際、この炭素成分と二酸化ケイ素とではエッチングされる速度が異なるためである。
そこで、本発明においては上記の現象を利用し、絶縁層5を所望の厚みより厚く形成しておき、所定の厚みとなるまでRIEによるエッチングを行なえば簡易に絶縁層5の上面の凹凸を大きくすることができる。例えば、上述の開口部6を形成するためのエッチング工程において、絶縁層5上のフォトレジストが消失した後もエッチングを続け、絶縁層5を所定の膜厚とすることにより、絶縁層5の上面の凹凸を大きくすることができるので、新たに工程を加えることなく、凹凸を大きくすることができる。また、フォトレジスト消失後のエッチング時間を調整することにより、凹凸の程度を制御することができる。これにより、次に絶縁層5上に形成される引出し電極層7と絶縁層5との密着性がアンカー作用により向上する。
さらに、開口部6の下側の開口端は上部電極層4の上面よりも小さくなるように形成することにより、絶縁層5のドライエッチングの際に誘電体層3がエッチャント(例えば、CF4,C2H6,O2)に暴露されなくなるので、エッチングによる誘電体層3の特性変化がほとんど起こることがなく、コンデンサの特性が安定する。
次に、開口部6内の上部電極層4の上面から絶縁層5上にかけて容量形成部の外側に引出し電極層7を成膜する。具体的には、図1に示す例では、開口部6内の上部電極層4の上面から電極層上の絶縁層5非形成部である外部回路との接続部82まで形成する。また、これと同時に、下部電極層2の上面に形成された絶縁層5非形成部である外部回路との接続部81上にも、引出し電極層7と同様の材料からなる層を形成する。成膜方法としては、スパッタリング法や蒸着法が用いられ、成膜温度は特に限定されないが、コンデンサへの熱的なダメージを低減するためには、室温程度の温度がよい。一方、引出し電極層7と絶縁層5との密着性を考慮すると高温がよく、両方を考慮して決定される。例えばスパッタリング法による成膜では、150℃〜250℃にて成膜が行なわれる。
引出し電極層7には、抵抗が低く、かつ引出し電極層7の形成後に更に別の工程を設ける場合に酸化などの影響を受けにくい、化学的に安定な材料が用いられる。具体例としては、金が好適に用いられる。従来までは、Auが不活性なため、Auと絶縁層5との密着性を十分に確保できなかったので、引出し電極層7としてAuを用いることはできなかったが、本発明によれば導電性が高く、かつ化学的に安定なAuを用いることができるため、損失が少なく信頼性の高いコンデンサとすることができる。
引出し電極層7の厚みは、外部回路との接続部82から上部電極層4までの抵抗を考慮すると厚い方が好ましく、一方、応力によるコンデンサへのダメージを考慮すると薄い方が好ましく、両者を考慮して決定する。具体的には0.5μm〜5μmである。
以上のようにして得られるコンデンサは、引出し電極層7と絶縁層8との密着性が大きく向上し、引出し電極層7の絶縁層8からの剥離が抑制され、特性不良の発生が低減される。
また、引出し電極層7と絶縁層8との密着性の向上により、引出し電極層7の材料として、低抵抗かつその他の工程による化学変化をほとんど受けない金を用いることができる。その結果、引出し電極層7の抵抗を低く抑えることができ、特性の安定した、高周波帯域であってもQ値が高い、良好な特性を有するコンデンサとなる。
さらに、電界の集中しやすい下部電極層2の外縁部分に誘電体層3が存在しないので、誘電体層3において電界の集中する箇所がほとんどないので、リーク特性が良好で、所望する容量値を精度良く有するコンデンサとなる。また、コンデンサの容量値は、精度良く加工することが可能な上部電極層4の面積により決定されるので、所望する容量値を精度良く有するコンデンサとなる。
また、以上のようにして得られたコンデンサにおいて、外部回路との接続部81,82に半田端子等を形成することにより、容易に外部回路と接続させることができる。
なお、図1では、誘電体層3の下面は下部電極層2の上面より小さく、かつ下部電極層2の内側に位置しており、上部電極層4の下面は誘電体層3の上面より小さく、かつ誘電体層3の内側に位置している例について示したが、誘電体層3を下部電極層2の外延部を一部覆って支持基板1上まで延ばして形成し、上部電極層4を下部電極層2上に形成された誘電体層3の上から誘電体層3上を介して支持基板1上まで延ばして形成してもよい。このような構成とすることで、下部電極層2と上部電極層4との電気的な絶縁を保ちつつ、支持基板1上に下部電極層2と上部電極層4とを形成させることができるので外部回路と接続が容易となる。
次に、本発明のコンデンサの実施の形態の他の例を示す断面図を図2に示す。図2において、図1同様の箇所には同じ符号を付してあり、それらについての重複する説明は省略する。
図2に示すコンデンサにおいては、誘電体層3上に、下部電極層2と対向する2つの上部電極層4a,4bが離間して形成されており、それぞれに対して、絶縁層5の開口部6と、引出し電極層7とが、独立に形成され、それぞれ外部回路との接続部81,82に接続されている。2つの上部電極層4a,4bは、その間の絶縁層5上で電気的に分断されている。また、図1に示すコンデンサにおいては、容量形成部から外に延びた下部電極層2の上面に外部回路との接続部81を、下部電極層2と離間して形成された電極層に外部回路との接続部82をそれぞれ設けたが、図2に示すコンデンサにおいては、支持基板1上に下部電極層2と離間して、下部電極層2を挟んで両側に配置された2つの電極層を設け、これらを外部回路との接続部81,82とした。
ここで、外部回路との接続部81から引出し電極層7を介して上部電極層4aに接続され、上部電極層4aと下部電極層2とが誘電体層3を挟んで対向する第1の容量形成部と、下部電極層2と上部電極層4bとが誘電体層3を挟んで対向する第2の容量形成部とが下部電極層2を共通とすることにより直列に接続され、上部電極層4bから引出し電極層7を介し外部回路との接続部82に接続されている。第1の容量形成部と第2の容量形成部とを直列に接続することにより、各容量形成部の容量値が等しい場合には、直列に接続したコンデンサの容量値は、各容量形成部の容量値に容量形成部の個数を乗じた値となるので、同容量のコンデンサを得るために、1つの容量形成部により1ヶ所で容量を形成する場合に比べ電極面積を大きくすることができる。このため、例えコンデンサに対する要求特性が低容量であっても製造が簡易となり、上部電極層4の加工精度が向上するとともに、再現性も向上する。また、各容量形成部を直列に接続しているので、高周波電圧が各容量形成部に分圧されるため、各々の容量形成部に印加される高周波電圧は小さくなる。このため、本発明のコンデンサの損失抵抗による単位面積当たりの発熱量を小さくでき、耐電性を向上させることができる。
図2に示す例のコンデンサは、図1に示した例のコンデンサの各層のエッチングに用いるパターンを変更することにより、まったく同様の方法で作製することができる。
図2に示すようなコンデンサとすることにより、外部回路とは引出し電極層7のみによって接続されることとなる。一方、引出し電極層7は、図1の場合と同様、低抵抗で、かつ化学的に安定な材料から成っているので、引出し電極層7の抵抗を低く抑えることができる。従って、より高周波帯域での応答が良好なコンデンサを得ることができる。
次に、図3は本発明のコンデンサの実施の形態のさらに他の例を示す断面図である。図3においても、図1,図2と同様の箇所には同じ符号を付してあり、それらについての重複する説明は省略する。
図3に示すコンデンサは、図2に示した第1の容量形成部と第2の容量形成部が下部電極層2を共通とすること直列に接続された部分(以下、直列容量形成部という。)が3個,引出し電極層7を介して接続された構成となっており、下部電極層2および上部電極層4と、これらに挟持された誘電体層3とより成る6個の容量形成部が直列に接続されている。具体的には、3個の直列容量形成部の内、中央に配置された直列容量形成部の上部電極4aと一方側に配置された直列容量形成部の上部電極層4bとの間および中央に配置された直列容量形成部の上部電極層4bと他方側に配置された直列容量形成部の上部電極層4aとの間をそれぞれ引出し電極層7で接続している。外部回路との接続部81,82となる電極層は、これら3つの直列容量形成部を挟んだ両側にそれぞれ配置され、一方側に配置された直列容量形成部の上部電極層4aおよび他方側に配置された直列容量形成部の上部電極層4bにそれぞれ引出し電極層7を介して接続されている。
図3に示す例のコンデンサも、図1もしくは図2に示したコンデンサの各層のエッチングに用いるパターンを変更することにより、まったく同様の方法で作製することができる。
図3に示す例のコンデンサでは、容量形成部が6つあり、それらが直列に接続されているので、同じ容量値を得るために、1箇所で容量を形成する場合と比較して上部電極層4の面積を大きくすることができる。例えば、誘電体層3が、比誘電率600の高誘電率材料から成り、その膜厚を0.3μmとするとき、容量形成部が1箇所の場合では、2pFの容量値を得るための上部電極層4の面積は約113μm2となるが、図3に示すように直列に接続された6つの容量形成部から成る場合には、約678μm2と6倍の面積となり、微細なパターニングが不要となり、所望の容量を得ることができる。また、上部電極層4の面積を大きくできることから、絶縁層5に形成される開口部6の面積も大きくできるので、絶縁層5の加工がより容易となる。さらには、高周波電圧を印加した場合に、高周波電圧が各容量形成部に分圧されるので、耐電力性が向上する。
以上のような本発明の直列に接続されたコンデンサによれば、所望する容量値を精度良く得ることができるとともに、耐電力性が向上したコンデンサとなる。
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることは何ら差し支えない。例えば、図3に例示したコンデンサでは、図2に示したコンデンサの直列容量形成部を複数個接続した例について示したが、図1に示すような、1つの下部電極層2で1箇所のみ容量形成部を形成する容量形成部を複数個配置し、引出し電極層7で上部電極層3と隣接する容量形成部の下部電極層7とを接続するようにして、各容量形成部を直列に接続してもよい。これにより、外部回路との接続部81,82の間において、容量形成部を直列に接続するための電極の長さのうち、より低抵抗な引出し電極層7の占める割合が増加し、結果的にコンデンサの電極抵抗が低下するため、高周波帯域における特性がより向上したコンデンサとなる。
また、下部電極層2と支持基板1との間に、密着層を形成してもよく、これにより、支持基板1と下部電極層2との間の密着性が向上し、より特性不良の発生が低減されたコンデンサとなる。
次に、本発明をより具体化した実施例について説明する。実施例として、図3に示すコンデンサを例に取り説明する。
サファイアのR基板からなる支持基板1上に、下部電極層2としてPtを、基板温度500℃でスパッタリング法にて成膜した。次に、誘電体層3として(Ba0.2Sr0.8)TiO3からなるターゲットを用い、基板温度は800℃,成膜時間は15分で、下部電極層2と同一バッチでスパッタリング法にて成膜した。このとき、誘電体層3の成膜開始前に、Ptからなる下部電極層2の平坦化のためのアニールとして800℃で15分間保持した。次に、誘電体層3の上に上部電極層4としてPtを誘電体層3と同一バッチでスパッタリング法にて成膜した。
次に、フォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィの手法によりこのフォトレジストを所定の形状に加工した後、ECR装置により上部電極層4をエッチングして所望の形状に加工した。その後、同様に誘電体層3,下部電極層2をエッチングして所望の形状に加工した。
次に、絶縁層5として、SiO2膜をTEOSガスを原料とするCVD装置により成膜し、その上にレジストを所定の形状に形成した後、RIE装置によりエッチングを行なった。この際、絶縁層5を、レジストがほぼ消失した後もそのままエッチングを続け、絶縁層5の表面の凹凸が大きくなるようにするとともに、開口部6を有する所望の形状に加工した。
次に、引出し電極層7として、Auをスパッタリング法にて成膜し、その上にレジストを所定の形状に形成した後、RIE装置によりエッチングを行ない、所望の形状に加工した。
このようにして得られた本発明のコンデンサの断面をFIB(Focused Ion Beam)装置で作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察を行い、絶縁層5の上面部と、開口部6内の上部電極層4の上面部との凹凸の大きさを比較した。具体的には、コンデンサの断面において、絶縁層5の上面部と、開口部6内の上部電極層4の上面部とを、平均的な凹凸を有する部位について、5万倍の倍率でそれぞれ5箇所ずつ観察し、カットオフ値は2μmとして凹凸の振幅の最大値を測定し、その平均を算出した。その結果、引出し電極層7の形成されている領域での絶縁層5の上面の凹凸は平均0.1μmと見積もられた。一方、開口部6内の上部電極層4の上面の凹凸はTEM像からは推測不可能であるほど小さかった。
また、本発明のコンデンサの電気特性をインピーダンスアナライザ(アジレント社製、型番E4991A)により測定した結果を図4に線図で示す。図4において、横軸は周波数(Frequency、単位:Hz)を、縦軸は左側がインピーダンス(Z、単位:Ω)を、右側が位相(phase、単位:deg)を表わしている。なお、図4中の1.0E+06とは、106すなわち1Mを表わす。
図4により、測定周波数領域において正常なインピーダンス特性を有するコンデンサとなっていることが確認できた。
上記の測定結果より、容量値およびQ値の周波数依存性を求めた結果を図5に示す。図5において、横軸は周波数(Frequency、単位:Hz)を、縦軸は左側が容量値(Cap、単位:pF)を、右側がQ値(Q、単位:−)を表わしている。なお、図5中の1.0E+06とは、106すなわち1Mを表わす。
図5より、容量値は高周波帯域において一定であり、またQ値は1.8GHzにおいても約130と高い値となり高周波帯域においても良好な特性を示した。
また、参考例のコンデンサを形成した。具体的には、上述の本発明のコンデンサの実施例と同一材料・同一工程で、支持基板1上に下部電極層2,誘電体層3,上部電極層4,絶縁層5を形成し、絶縁層5に開口部6を形成する際に、上部電極層4の上面が露出する前に、レジストの除去と再形成を繰り返すことによってレジストが消失しないようにしてエッチングを進めた。このため、絶縁層5の上面の凹凸は実施例のコンデンサに比べて小さく、実施例の開口部6内の上部電極層4の上面と同程度となった。この後、実施例と同一材料・同一工程で、引出し電極7を形成して、参考例のコンデンサを作製した。
このようにして作製した参考例と実施例との外観検査を行なったところ、実施例においては外観不良となるものはなかったが、参考例においては、引出し電極層7が部分的に絶縁層5より剥離しているコンデンサがあった。その結果、参考例においては引出し電極層7の剥離がなく外観状態の良好なコンデンサの歩留りが低下し、またその歩留りはばらついていた。さらに、外観上問題のなかったコンデンサについて特性を測定した結果、参考例のコンデンサは実施例のコンデンサに比べてQ値等の値のばらつきが大きかった。
さらに、実施例および参考例のコンデンサについて−30℃〜85℃の温度サイクル試験を行なったところ、実施例では100サイクル行なっても故障が発生しなかったが、参考例にておいては、外観上問題の無いコンデンサにおいても100サイクルまでに故障するコンデンサがあった。
以上のように、本発明のコンデンサによれば、絶縁層5の上面の内、引出し電極7が形成される領域の凹凸が、開口部6内の上部電極層4の上面の凹凸に比べ大きくしたことから、引出し電極層7と絶縁層5との密着性が良好となり、信頼性の高いものとなった。また、引出し電極層7と絶縁層5との密着性を良好なものとしたことから、引出し電極層7の材料を電気抵抗の観点から最適なものから選択することができることから、高周波帯域においてもインピーダンス特性が良好で、Q値の高いものとなった。
1・・・支持基板
2・・・下部電極層
3・・・誘電体層
4、4a、4b・・・上部電極層
5・・・絶縁層
6・・・開口部
7・・・引出し電極層
81、82・・・外部回路との接続部
2・・・下部電極層
3・・・誘電体層
4、4a、4b・・・上部電極層
5・・・絶縁層
6・・・開口部
7・・・引出し電極層
81、82・・・外部回路との接続部
Claims (3)
- 支持基板上に形成された、下部電極層と、該下部電極層上の誘電体層と、該誘電体層上の上部電極層とを含む容量形成部と、
これら各層を前記支持基板にかけて覆うとともに前記上部電極層の上面を露出させる開口部が形成されている絶縁層と、
前記開口部内の前記上部電極層の上面から前記絶縁層上にかけて前記容量形成部の外側に形成された引出し電極層とを含むコンデンサであって、
前記絶縁層は、前記引出し電極層が形成されている領域の上面の凹凸が、前記開口部内の前記上部電極層の上面の凹凸よりも大きいことを特徴とするコンデンサ。 - 前記上部電極層は、前記誘電体層の上面内に形成されており、前記開口部の下側の開口端は前記上部電極層の上面内に形成されていることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ。
- 前記容量形成部が、複数個直列に接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンデンサ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011521457A (ja) * | 2008-05-15 | 2011-07-21 | コヴィオ インコーポレイテッド | 複数コンデンサを有する監視デバイス |
US8912890B2 (en) | 2012-10-01 | 2014-12-16 | Thin Film Electronics Asa | Surveillance devices with multiple capacitors |
CN109923630A (zh) * | 2016-11-02 | 2019-06-21 | 株式会社村田制作所 | 电容器 |
-
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- 2006-01-26 JP JP2006017753A patent/JP2007201158A/ja active Pending
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