JP2007198504A - 一方向クラッチ及び一方向クラッチ内蔵型プーリ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】弾性部材の組み込み性がよく、かつ、保持器の加工性のよい一方向クラッチ及び一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を提供する。
【解決手段】一方向クラッチ13は、保持器23の柱部26に半径方向内方に延びるばね中央支持部26aとばね背面支持部26bを有し、保持器23の内径側には、ばね保持用の溝26cが形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、一方向クラッチ及び一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に関するものであり、特に、エンジンのクランク軸の動力によって駆動されるオルタネータ等の補機類の入力軸や、逆に、エンジンのクランク軸に動力を与えるスタータモータの出力軸に使用される一方向クラッチ及び一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に関するものである。
一般に、オルタネータ等、自動車補機の回転軸の端部には従動プーリが固定されており、エンジンのクランク軸の端部に固定されたクランクプーリとの間に無端ベルトが掛け渡され、補機を駆動するために利用されている。また、従動プーリとしては、無端ベルトの走行速度が一定もしくは上昇傾向にある場合に、無端ベルトから回転軸への動力の伝達を自在とし、無端ベルトの走行速度が低下傾向にある場合に、従動プーリと回転軸との相対回転を自在とするよう、一方向クラッチを内蔵したプーリ装置が知られている。このようなプーリ装置に組み込まれる一方向クラッチとしては、種々のものが考案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
例えば、図7に示すような従来の一方向クラッチ100は、内周面に円筒面101aを有する外輪101と、外周面に円周方向に所定の間隔で凹状のランプ面102aを有する内輪102と、円筒面101aと各ランプ面102aとの間に配置される複数のころ103と、複数のころ103を保持する保持器104と、保持器104に固定されてころ103をロック方向に付勢するばね105と、を備える。保持器104は、一対の円環部106の内周側に形成された凸部106aを内輪102のランプ面102aに支持させることで内輪102に案内固定されている。また、ばね105は、保持器104の柱部107に形成された中央のばね中央支持部107aと両端のばね両側支持部107bで挟まれて、保持器104に固定されている。
図8に示すように、保持器104のばね中央支持部107aは、半径方向外側に円周方向に突出する爪部107cを有しており、ばね105は、爪部107cを回避しつつ、矢印Aで示す半径方向外側から保持器104に組み付けられる。このようにして保持器104に組み付けられたばね105には、一方向クラッチ100の作動によって遠心力が作用して矢印B方向に移動しようとするが、ばね105は、爪部107cによって半径方向外側に移動するのを防止される。
また、図9に示す特許文献2に記載の一方向クラッチ200では、外輪201がころ202が転接する軌道面201a、ころ202を保持するポケット201b、及び、ころ202を押圧するばね203を支持するばね支持部201cを構成している。外輪201のポケット201bは、軸方向一端側において開口しており、内径側に形成されたばね支持部201cは、その突起部201dにより一端が開口した保持溝を形成し、ばね203が突起部201dの表裏面を囲うようにしてばね203を支持している。
特開2002−295522号公報 実開昭63−125227号公報
ところで、図7及び図8に記載の一方向クラッチ100では、ばね105はばね中央支持部107aの爪部107cを回避するように変形させながら保持器104に組み込む必要があり、組み込み性の向上が求められている。また、保持器104は、ばね中央支持部107aに爪部107cを形成する必要があるため、保持器104の加工性を向上することも求められている。
図9に記載の一方向クラッチ200では、保持器を有しない構成であり、また、ばね203は自由端がポケット201aの開口側に位置する構成であるため、均一にころ202を押圧することが難しい。
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、弾性部材の組み込み性がよく、かつ、保持器の加工性のよい一方向クラッチ及び一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 外周面に第1の軌道面を有する内輪部材と、
内周面に第2の軌道面を有する外輪部材と、
第1及び第2の軌道面間に配置される複数の係合子と、
外輪部材と前記内輪部材のいずれかに案内され、係合子を保持する保持器と、
保持器に保持され、係合子をロック方向に付勢する弾性部材と、
を備える一方向クラッチであって、
保持器の内径側には、ばね保持用の溝が形成されることを特徴とする一方向クラッチ。
(2) 自動車補機の軸に取り付け可能で、自動車補機とクランクプーリとの間で動力を伝達し、且つ、(1)に記載の一方向クラッチを備えることを特徴とする一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。
本発明の一方向クラッチ及び一方向クラッチ内蔵型プーリ装置によれば、保持器の内径側には、ばね保持用の溝が形成されるので、弾性部材の組み込み性がよく、かつ、保持器の加工性のよいものとなる。
以下、本発明の各実施形態に係る一方向クラッチ及び一方向クラッチ内蔵型プーリ装置について図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の自動車補機用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を説明するための縦断面図である。本実施形態の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置10は、オルタネータ等の自動車補機とエンジンのクランク軸の端部に固定されたクランクプーリとの間で動力を伝達する。図1に示されるように、プーリ装置10は、不図示の自動車補機の軸が内嵌されるスリーブ11を有する。スリーブ11の周囲には、外周面にベルト溝12aが形成されたプーリ12がスリーブ11と同心に配置されている。また、スリーブ11の外周面とプーリ12の内周面との間で、この間に形成される環状空間の軸方向中間部には、一方向クラッチ13が配置されており、上記環状空間の軸方向両端部、即ち、一方向クラッチ13の軸方向両側には、例えば、深溝玉軸受等の玉軸受である一対のサポート軸受14が配設されている。なお、ベルト溝12aの形状は、V溝、ポリV溝、歯型溝等の任意の形状に設計可能である。
一方向クラッチ13は、プーリ12がスリーブ11に対して所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみプーリ12からスリーブ11への回転力を伝達する。また、一対のサポート軸受14は、プーリ12に加わるラジアル荷重を支承しつつ、スリーブ11とプーリ12との相対回転を可能とする。
各サポート軸受14は、スリーブ11の外周面に外嵌される軸受内輪15と、プーリ12の内周面に内嵌される軸受外輪16と、軸受内輪15と軸受外輪16の両軌道面間に配置された転動体である複数の玉17と、玉17を転動自在に保持する軸受保持器18と、外部からの異物の浸入や内部からのグリース等の潤滑剤の漏洩を防止するシール部材19を有している。
図1及び図2に示すように、一方向クラッチ13は、プーリ12の内周面に圧入固定される外輪(外輪部材)20と、スリーブ11の大径部の外周面に圧入固定される内輪(内輪部材)21と、外輪20と内輪21との間に回動自在に配設された係合子である複数のころ22とを備えている。内輪21の外周面は、ローラ22が転接する複数の凹状のランプ面21aが円周方向に所定の間隔で設けられたカム面を形成する。ローラ22は、各ランプ面21aと外輪20の内周面に形成された円筒面20aとから構成される楔空間に回転自在に保持されている。
また、一方向クラッチ13は、各ローラ22を個別に保持する複数のポケットを有する保持器23と、各ローラ22を内輪21の外周面及び外輪20の内周面に対して係合する方向に弾性的に押圧する弾性部材であるばね24とを備えている。
図2に示すように、保持器23は、軸方向両端部に形成される一対の円環部25と、円周方向に所定の間隔で配置され、一対の円環部25を連結する所定の幅を持った複数の柱部26とを備える。一対の円環部23aの内周面には、円周方向に所定の間隔で複数の突部25aが径方向内方に向けて形成されており、複数の突部25aを内輪21のランプ面21aと嵌合させることで、保持器23は内輪21に固定される。各柱部26の外周面は、一対の円環部25の外周面と連続して形成されており、また、柱部26の円周方向一端側では、その中央部分に半径方向内方に延びるばね中央支持部26aが形成されており、柱部26の円周方向他端側では、柱部26の軸方向全域に亘って半径方向内方に延びるばね背面支持部26bが形成されている。
ばね中央支持部26aとばね背面支持部26bとは、円周方向に所定の間隔を持って形成されており、ばね背面支持部26bは、ばね24の背面を支持する直線形状の支持面を備える。このように構成された柱部26の内径側は、ばね24を保持するばね保持用の溝26cを構成する。
これにより、図3及び図4に示すように、ばね24は変形させることなく、保持器23の半径方向内側から柱部26のばね保持用の溝26c内に嵌め込まれて、保持器23に組み付けられる。このように組み付けられたばね24は、一方向クラッチ13の作動により遠心力が作用して、矢印B方向に移動しようとしても柱部26の内周面によって移動が規制される。即ち、本実施形態では、ばね24の組み付け方向Aとばね24が遠心力により移動しようとする方向Bとが一致するように、ばね24と保持器23とが組み付けられる。
また、ばね24が組み付けられた保持器23が外内輪20,21間に配置された状態では、ばね中央支持部26aとばね背面支持部26bの内周面が内輪21の外周面と近接して対向配置されるので、ばね23の下側が内輪21の外周面と接触して、ばね23の径方向内側への移動も規制されている。
上記のように構成される一方向クラッチ内蔵型プーリ装置10では、プーリ12の回転角速度が、例えば自動車補機の回転軸の回転角速度より速い場合には、一方向クラッチ13のころ22がくさび作用によって内輪21のランプ面21aと外輪20の円筒面20aとの間に噛み込まれて、プーリ12とスリーブ11とが相対回転不能(ロック状態)となり、エンジンの回転力が自動車補機の回転軸に伝達される。一方、プーリ12の回転角速度が自動車補機の回転角速度より遅い場合には、ころ22の噛み込みが解除されて、プーリ12とスリーブ11との相対回転が自在(オーバーラン状態)となる。
従って、本実施形態の一方向クラッチ13及び一方向クラッチ内蔵型プーリ装置10によれば、保持器23の内径側には、ばね保持用の溝26cが形成されるので、ばね24は変形せずに保持器23に組み付けることができ、スピーディーな組み立てが可能で、また、機械による自動化も容易に行うことができる。さらに、組み込みの際に従来のような爪部を破損したり、ばね24の変形によって特性を変化させたりすることがなく、安定した品質の一方向クラッチ13となる。
また、保持器23の柱部26は、遠心力によるばね24の移動をも規制できるため、従来の爪部に比べて支持面積や支持剛性が向上し、遠心力によるばね24の移動に対してより信頼性を高めることができる。
さらに、保持器23のばね中央支持部26aには、従来の爪部のような精密な形状が不要となるため、保持器23は加工性のよいものとなる。
加えて、ばね背面支持部26bは、柱部26の軸方向全域に亘って直線形状に形成されているので、ばね24が先端方向からころ22によって押された場合であっても、ばね24の背面が撓むことなく安定して反力を支持することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る一方向クラッチ及び一方向クラッチ内蔵型プーリ装置について図5を参照して説明する。なお、本実施形態は、保持器の柱部の構成において第1実施形態と異なるのみであるため、その他の構成について同一符号を付して説明を省略或いは簡略化する。
図5(a)は、保持器23´の断面図であり、図5(b)は、(a)のV方向から見た上面図であり、図5(c)は、(a)のV´方向から見た下面図である。本実施形態の一方向クラッチ13では、保持器23の柱部26は、ばね中央支持部26aと、柱部26の軸方向両端側に形成された一対のばね背面支持部26b´とを備える。即ち、一対のばね背面支持部26b´は、柱部26の中間部分において分割されている点において、第1実施形態のばね背面支持部26bと異なる。
このように構成される保持器23´に対して、ばね24は、第1実施形態と同様、保持器23´の半径方向内側(矢印A)から組み付けられるが、ばね24の背面は柱部26の両側のみで支持されるため、図中Cのような空間が形成される。これにより、ばね24をピンセットや自動組立機の先端で保持したまま、ばね24は保持器23´と緩衝することなくばね保持用の溝26cまで押し込むことができ、組み立てが容易となる。
従って、本実施形態の一方向クラッチ13及び一方向クラッチ内蔵型プーリ装置10によれば、保持器23´の柱部26は、その軸方向両側に形成された一対のばね背面支持部26b´を有するので、ばね24の組み立てをより容易に行うことができる。
なお、その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。
本実施形態では、ばね保持用の溝26cは柱部26にのみ形成されているが、図6に示すように、柱部26と連続するように一対の円環部25を部分的に切り欠いて構成し、ばね24の軸方向寸法を大きくしてもよい。
本発明の一方向クラッチは、スリーブとプーリとの間で回転力を伝達するものであればよく、本実施形態のように、プーリがスリーブに対して所定の方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、回転力を伝達する一方向クラッチでもよいし、内輪の外周面を円筒面と、外輪の内周面を複数のランプ面を有するカム面とし、スリーブがプーリに対して所定の方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、回転力を伝達する一方向クラッチでもよい。
また、本発明の一方向クラッチは、本実施形態のようなローラクラッチであってもよく、カムクラッチやスプラグクラッチであってもよい。また、一方向クラッチの外輪或いは内輪は、本実施形態のようにプーリ或いはスリーブと別体であってもよく、プーリ或いはスリーブと一体、即ち、プーリの内周面或いはスリーブの外周面によって構成されてもよい。
さらに、本発明の一対のサポート軸受は、深溝玉軸受以外の形式であってもよく、ころ軸受や、玉軸受ところ軸受の組合せであってもよい。また、サポート軸受の内輪或いは外輪も、プーリ或いはスリーブと一体、即ち、プーリの内周面或いはスリーブの外周面によって構成されてもよい。
本発明の第1実施形態に係る一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の縦断面図である。 (a)は図1の一方向クラッチの断面図であり、(b)は(a)の外輪を取り外した状態でII方向から見た上面図であり、(c)は(a)の内輪を取り外した状態でII´方向から見た下面図である。 保持器へのばねの組み付け状態を示す全体図である。 図3の部分拡大図である。 (a)は本発明の第2実施形態に係る一方向クラッチの保持器及びばねの断面図であり、(b)は(a)のV方向から見た保持器の上面図であり、(c)は(a)のV´方向から見た保持器の下面図である。 本発明の変形例に係る一方向クラッチの保持器及びばねの斜視図である。 (a)は従来の一方向クラッチの断面図であり、(b)は(a)の外輪を取り外した状態での上面図である。 図7の一方向クラッチの保持器へのばねの組み付け状態を示す図である。 従来の他の一方向クラッチを内輪側から見た下面図である。
符号の説明
10 一方向クラッチ内蔵型プーリ装置
11 スリーブ
12 プーリ
13 一方向クラッチ
14 サポート軸受
20 外輪
21 内輪
22 ころ(係合子)
23 保持器
24 板ばね(弾性部材)
25 円環部
26 柱部
26c ばね保持用の溝

Claims (2)

  1. 外周面に第1の軌道面を有する内輪部材と、
    内周面に第2の軌道面を有する外輪部材と、
    前記第1及び第2の軌道面間に配置される複数の係合子と、
    前記外輪部材と前記内輪部材のいずれかに案内され、該係合子を保持する保持器と、
    前記保持器に保持され、前記係合子をロック方向に付勢する弾性部材と、
    を備える一方向クラッチであって、
    前記保持器の内径側には、ばね保持用の溝が形成されることを特徴とする一方向クラッチ。
  2. 自動車補機の軸に取り付け可能で、前記自動車補機とクランクプーリとの間で動力を伝達し、且つ、請求項1に記載の一方向クラッチを備えることを特徴とする一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。
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JP2009008262A (ja) * 2007-06-27 2009-01-15 Thai Dieng Industry Co Ltd ころ軸受け
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CN113915314A (zh) * 2021-10-22 2022-01-11 瑞安市悦华汽车单向器有限公司 一种改良型汽车发电机单向耦合皮带轮

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