JP2007197795A - 電子部材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】衝突により変形して堆積された粉末同士の結合を高めると共に、熱膨張性を適度に維持しつつ部材そのものの熱伝導性及び電気伝導性を向上させることができる電子部材の製造方法を提供する。
【解決手段】固相状態の金属粉末を圧縮ガスと共に、基材21の表面に吹き付けて、金属粉末から被膜22を基材21表面に形成する電子部材20の製造方法であって、前記圧縮ガスは、少なくとも酸素ガスを含んでなる。
【選択図】図1

Description

固相状態の金属粉末をガス圧縮と共に基材表面に吹き付けて、前記金属粉末の組成を含む被膜を形成する電子部材の製造方法であって、特に、部材の熱伝導性及び電気伝導性を向上することができる電子部材の製造方法に関する。
従来から、車両のインバータなどに使用されるパワーモジュール90は、図12に示すように、様々な電子部品から構成されており、一般的には、シリコン素子からなるパワー素子91と、ろう付け部92を介してパワー素子91を固定した窒化アルミニウムからなる絶縁基板93と、アルミニウム合金からなるヒートシンク部材94と、を主に備えている。そして、このようなパワーモジュール90には、パワー素子91から発熱した熱を絶縁基板93を介してヒートシンク部材94に伝達し放熱すると共に絶縁基板93とヒートシンク部材94との熱膨張さを緩和するために、銅−モリブデン(Cu−Mo)からなる緩衝部材95がさらに配設されている。また、この緩衝部材95を固定するために、絶縁基板93と緩衝部材95との間には、ろう付け部96が設けられ、緩衝部材95とヒートシンク部材94との間には、シリコングリース97が設けられている。
このように構成されたパワーモジュール90は、特に緩衝部材95を固定するシリコングリース97の熱伝導性が高くないため、このシリコングリース97はパワー素子91の熱をヒートシンク部材94に伝える障害となっている。このことを回避するには、ヒートシンク部材94の表面に、直接的に溶射などにより緩衝部材95を被膜として形成した部材(電子部材)を製造することが考えられる。
一方、近年コールドスプレー法と呼ばれる被膜形成法が提案されている。このコールドスプレー法は、被膜の材料の融点又は軟化温度よりも低い温度に加熱したガスを、先細末広がり(ラバル)ノズルにより流速を高め、このガス流れの中に被膜の材料となる粉末を投入して加速させ、固相状態のまま基材に高速で衝突させて被膜を形成する方法である。このようなコールドスプレー法の一例として、膨張性の高いヘリウムガス、又は窒素ガスを圧縮し、該圧縮したガスと共に粉末を固相状態のまま、基材の表面に吹き付けて、粉末の組成を含む被膜を形成する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2004−76157号公報
しかし、溶射により被膜を形成する場合には、燃焼ガスやプラズマ熱により、材料粉末(Cu,Cu−Moなど)を溶融させて、大気中で飛行させるので、粉末の酸化が激しく、形成される被膜の熱伝導率は、たとえ緻密に被膜を形成しても純銅の30%未満となる。したがって、減圧度の高いチャンバー内においてこの溶射を行う必要があり、被膜形成にコストを要する。さらに、この溶融させた材料粉末の熱により基材も加熱されるため、このような被膜が形成された電子部材を冷却する必要があり、さらにはこの熱により製造時における電子部材の特性にバラつきが生じる可能性がある。
また、特許文献1に記載の如きコールドスプレー法によれば、溶融を伴う溶射で形成された銅系被膜に比べて、酸化が抑制され熱伝導性が高いものである。しかし、このような方法により得られた被膜は、衝突時における粉末の変形により、該変形した粉末を堆積させた被膜であるので、この変形して堆積された粉末(粒子)同士は、完全な金属結合とはならず、粒子同士に粒界が観察される場合があった。このため粒子同士の結合をさらに高めるためには、基材に衝突する粉末の衝突エネルギを増加させる必要があり、結果として、粒子を衝突させるための圧縮ガスのガス圧力を高くする必要があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、衝突により変形して堆積された粉末同士の結合を高めると共に、熱膨張性を適度に維持しつつ部材そのものの熱伝導性及び電気伝導性をさらに向上させることができる電子部材の製造方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、粉末を固相状態で吹き付けて被膜を形成する場合において、粉末と共に基板に吹き付ける圧縮ガスに酸素ガスを含有させることにより、粉末が基材に衝突する際に発生する衝突エネルギ(粉末の運動エネルギに相当)の他に、衝突時にこの粉末のうち金属粉末の表面が圧縮ガス中の酸素ガスと酸化発熱反応し、発熱を誘発し、発熱エネルギが発生すると考えた。そして、この発熱エネルギが衝突エネルギに加味されることにより、たとえ低圧の圧縮ガスであっても、堆積された粉末(粒子)同士の結合をさらに高め、金属結合の割合が増大するとの新たな知見を得た。そして、金属粉末の表面が酸化することにより生成される被膜中の酸化物は、大気中で溶射を行った場合に生成される被膜中の酸化物に比べてその量は少ない。このようにして得られた被膜は、酸化物そのものが溶射に比べて少なく、金属結合の割合も多いため、被膜を含む電子部材の熱伝導性率及び電気伝導率が、向上するとの新たな知見も得た。
本発明は、発明者が得た新たな知見に基づくものであり、本発明に係る電子部材の製造方法は、固相状態の金属粉末を圧縮ガスと共に、基材表面に吹き付けて、前記金属粉末から被膜を前記基材表面に形成する電子部材の製造方法であって、前記圧縮ガスは、少なくとも酸素ガスを含むことを特徴としている。
このような電子部材の製造方法は、この圧縮ガスと共に基材表面に衝突する粉末の衝突エネルギと、この衝突時に酸素ガスと粉末との酸化発熱反応により発生する発熱エネルギとにより、粉末を変形させて基材表面に堆積させて被膜を形成することができ、さらには、圧縮ガスのガス圧力を0.7MPa以下の低い圧力状態で成膜することが可能となり、設備及び基材への負担を低減することができる。尚、この圧縮ガスのガス圧力は、0.5〜3MPaの圧力であっても被膜を充分に形成することができ、より好ましくは、0.5〜1MPaの圧力である。
そして、この被膜は、発熱エネルギが新たに得られるため、圧縮ガスに窒素ガス、ヘリウムガスなどの不活性ガスのみを用いた場合に比べて堆積した粉末同士の金属結合の割合が多くなる。また、固相状態で堆積して被膜を形成するため、溶射により被膜を形成した場合に比べて被膜中に生成された酸化物の割合も少ない。この結果として、熱伝導性及び電気伝導性の高い被膜を有した電子部材を得ることができる。このような圧縮ガスとしては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガスなどの圧縮性の高いガスに酸素ガスを混合することが好ましく、ガスの生成コスト等を考慮すると、より好ましい圧縮ガスは、エア(大気)である。
また、本発明に係る電子部材の製造方法は、前記基材表面の吹き付けを、前記金属粉末に、該金属粉末よりも硬質の硬質粉末をさらに含めた粉末により行うことがより好ましい。この硬質粉末をさらに含むことにより、すでに衝突して、堆積された粉末(粒子)の表面に形成される酸化膜に研磨作用を与えることができ、被膜中の酸化膜は低減されて金属粒子同士の金属結合の割合も増加し、熱伝導性及び電気伝導性を向上させることができる。また、この硬質粉末の材質及びその量を調整することにより、低熱膨張率の被膜を形成することも可能である。そして、この粉末は、金属粉末と硬質粉末とを予め混合した粉末をホッパーなどの容器に投入し、スプレーガンを用いてこの投入した混合粉末を基材の表面に吹き付けてもよく、より好ましくは、金属粉末と硬質粉末を別個の容器に投入して、それぞれの粉末の送り量を調整し、スプレーガン内でこれらの粉末を混合し、基材表面に吹き付ける。このように容器を別個にして吹きつけることにより、成膜中の被膜に介在する硬質粉末の割合を調整することができるばかりでなく、研磨材として硬質粉末のみを用いて基材表面にブラスト処理を行うことが好適にできる。
また、この硬質粉末は、熱伝導率が10W/mK以上、硬度がHv500以上の粉末であることが好ましく、特に金属粉末と硬質粉末との好ましい組み合わせとしては、金属粉末は銅系材料からなる粉末であって、前記硬質粉末は、酸化アルミニウムの粉末、炭化ケイ素の粉末、又は、窒化アルミニウムの粉末、のいずれかの粉末からなることが好ましく、また、これらの組み合わせた硬質粉末であってもよい。
このような熱伝導率及び硬度を有した硬質粉末は汎用性があり、銅系の材料を被膜として形成する場合には、このような硬度を有する硬質粉末が、成膜時に生成される酸化銅膜を研磨して成膜中の被膜表面に酸化膜の少ない新生面を形成し、被膜中の酸化物の割合を減少させることができ、被膜中の銅系材料の金属結合の割合を増やすことが可能となる。この結果、たとえ、硬質粉末として酸化アルミニウムの粉末、炭化ケイ素の粉末、窒化アルミニウムの粉末などが、粒子として、被膜中に混在したとしても、これらの硬質粉末を用いないものに比べて、熱伝導率及び電気伝導率を高めることができる。また、この硬質粉末としては、例えば、安価なインバー合金や、モリブデン、タングステン、鋳鉄などの硬質の低熱膨張性の金属であってもよい。
また、この硬質粒子の大きさは、金属粉末の大きさと同程度の大きさもしくは、それ以下の大きさであることが好ましい。硬質粉末の大きさが金属粉末の大きさよりも大きくなると、金属粉末の結合が硬質粉末によって阻害されるおそれがあるからである。すなわち、このような大きな硬質粉末は、ブラスチング効果が大きいため、基材に付着した金属粉末を削り、脱落させてしまおそれがあるからである。
さらに好ましくは、前記粉末は、前記被膜中の硬質粉末からなる粒子の割合が10〜70体積%となるように、前記硬質粉末を含んでいる。硬質粉末からなる粒子(硬質粒子)をこのような割合で被膜中に含むことにより、被膜の低熱膨張性を確保しつつ、熱伝導性及び電気伝導性を確保することができる。この被膜中の硬質粉末からなる粒子が10体積%よりも小さい場合には、硬質粉末により成膜時の堆積された金属粉末表面の酸化膜を効果的に研磨することができず、被膜の熱伝導率及び電気伝導率はあまり向上することはない。さらに70体積%よりも大きい場合には、硬質粒子の割合が大きいため金属粉末の結合を阻害してしまい被膜が形成されない。また、被膜中の硬質粒子を20〜50体積%含有していることがさらに望ましい。この範囲の含有量であれば、適度な熱膨張率を確保しつつ、熱伝導性及び電気伝導性を向上させることができる。すなわち、硬質粉末が20体積%よりも小さい場合には、硬質粒子による効果的な研磨作用を得ることができず、被膜の熱伝導率及び電気伝導率は低下してしまい、さらに、硬質粉末が、50体積%より大きい場合には、被膜中に介在する硬質粒子も増加することにより、硬質粒子を構成する材料の熱伝導率の影響を受けるため被膜の熱伝導率及び電気伝導率は低下してしまう。
本発明に係る電子部材の製造方法の前記被膜の形成は、前記基材の表面からの前記被膜の厚み方向に向って、被膜に含有する前記硬質粉末からなる粒子の割合が増加するように行うことがより好ましい。このように、被膜の厚さが増すにつれて傾斜的に硬質粉末の割合が増加し、被膜表面近傍は、金属粉末からなる粒子の割合が多く含まれた被膜が形成されるため、たとえこの電子部材に熱負荷されたとしても、厚さ方向の被膜の熱膨張率を変化させることが可能となり、被膜の表面側には、介在する硬質粒子が増加するので低熱膨張率の特性を得ることができる。そして、被膜上に設置される例えば絶縁基材との熱膨張差を低減することができ、基材と被膜との密着性をさらに向上させることができる。
より好ましくは、本発明に係る製造方法は、50℃以上の粉末が前記基材の表面に吹き付けられるように、前記粉末を加熱する工程をさらに含む。このように、基材に吹き付けられる粉末の温度すなわち基材に衝突する直前の粉末の温度を50℃以上となるように、この粉末を加熱し、固相状態のまま(融点未満の温度条件で)粉末を被膜として形成するので、この形成された被膜の熱伝導性及び電気伝導性をさらに向上させることができる。さらに、この粉末の温度は50℃〜300℃の範囲であることが好ましく、このような粉末の温度にするためには、粉末そのものを容器に入れて加熱するとこれらの粉末が凝着するおそれもあるため、圧縮ガス温度を250℃〜550℃に加熱して、この加熱した圧縮ガスと共にこの粉末を基材に吹き付けることが好ましい。
被膜を形成する前工程として、前記圧縮ガスと共に前記硬質粉末を前記基材表面に吹き付けて、基材の表面処理を行うことがより好ましい。このように、成膜用の圧縮ガスを用いて、前工程として、硬質粉末により基材表面にブラスト処理などの表面処理を行い、被膜の密着性を高めることができるので、この方法によれば、新たに表面処理装置を設ける必要がなく、装置構成を簡略化することができる。
本発明は、このような製造方法により製造された電子部材として、さらに好適な電子部材をも開示する。基材の表面に被膜が形成された電子部材であって、前記被膜は、金属被膜中に該金属被膜よりも硬い硬質粒子が介在した被膜であることを特徴とする。さらに好ましくは本発明に係る電子部材の前記硬質粒子は、熱伝導率が10W/mK以上、硬度がHv500以上の粒子である。具体的には、本発明に係る電子部材の前記金属被膜は銅系材料からなり、硬質粒子は、酸化アルミニウムの粒子、炭化ケイ素の粒子、又は窒化アルミニウムの粒子のいずれかの粒子からなることが好ましい。さらに好ましくは、本発明に係る電子部材の硬質粒子は、前記被膜中に10〜70体積%含有している。さらに好ましくは、本発明に係る電子部材の硬質粒子は、基材表面から被膜表面に向って、含有量が増加している。このような硬質粒子を用いることにより、熱伝導性及び電気伝導性に優れた電子部材を得ることができる。
さらにこの製造方法により製造された電子部材はパワーモジュールに用いられることが好ましく、このパワーモジュールは、基材の表面に被膜が形成された電子部材を備えたパワーモジュールであって、前記電子部材の基材が、前記パワーモジュールを構成するヒートシンク部材であって、前記パワーモジュールを構成するパワー素子と前記ヒートシンク部材との間に前記被膜が形成されていることが好ましい。
このような被膜が形成されたヒートシンク部材は、ヒートシンク部材の表面に直接被膜を形成するので、熱伝導を阻害するシリコングリースを設ける必要がなく、発熱したパワー素子の熱をヒートシンク部材に好適に伝えることができる。
さらに、このようなパワーモジュールは、機器に高い信頼性が要求される車両用インバータに用いられることが好ましい。
また、この製造方法により製造された電子部材は熱伝導性が良いため、このような電子部材の被膜を、例えば、ピストンヘッド、ピストンやシリンダヘッドと共に燃焼室を形成するシリンダヘッド下面などのエンジン部品に用いることが好ましい。
本発明によれば、衝突により変形して堆積された粉末同士の結合を高めると共に、熱膨張性を適度に維持しつつ部材そのものの熱伝導性及び電気伝導性をさらに向上させる電子部材を得ることができる。
本発明を以下の実施例により説明する。
(実施例1)
酸素を含むガスとしてエア(大気)を圧縮し、粉末粒度5〜53μmの銅からなる固相状態の金属粉末をこの圧縮したエア(圧縮ガス)と共に、大きさ30mm×20mm×厚さ5mmのアルミニウム合金(JIS規格:A6063S−T1)からなるヒートシンク部材(基材)の表面に吹き付けて、銅粉末からなる被膜がヒートシンク部材の表面に形成された、電子部材を製作した。
具体的には、図1(a)に示すように、マスキング用の30mm×20mmの開口部を有した鉄板11を介して、ヒートシンク部材21の上方に30mmの位置に吹き付け用のノズル12を配置し、ホッパー13に粉末粒度5〜53μmの銅粉末を投入するとともに、この銅粉末を20g/minでノズル12に供給した。一方、0.7MPaに圧縮したエア(圧縮ガス)をノズル12に導入すると共に、この圧縮ガスをノズル12内のヒータ(図示せず)によって加熱し、この加熱したガスにこの銅粉末を供給し、ヒートシンク部材21の表面において、エア温度450℃、飛行中の銅粉末の温度90℃、ガス流速650m/sec、銅粉末の速度300m/secとなるようにして、ヒートシンク部材に、固相状態の銅粉末を圧縮ガスと共に吹きつけた。そして、図1(b)に示すように、パスピッチ1mmにして、ノズル12を所定速度(3mm/sec)で往復運動させて、ヒートシンク部材21の表面に3.2mmの被膜22を形成し、この被膜表面を研磨し、被膜厚み3.0mmを有する電子部材20を製作した。そして、この電子部材20を被膜22の厚さ方向に切断し、被膜20の断面を、光学顕微鏡観察を用いて観察した。この結果を図2(a)に示す。
(実施例2)
実施例1と同じヒートシンク部材21を準備して、このヒートシンク部材21の表面に被膜を形成した。実施例1と異なる点は、ホッパー14に銅材料よりも硬い硬質粉末である炭化ケイ素の粉末(粉末粒度5−53μm)を投入し、この被膜中に含まれる炭化ケイ素の粉末の割合が、20体積%となるように、銅粉末と炭化ケイ素粉末とをノズル12に供給した点である。そして、実施例1と同じ方法で電子部材を切断し被膜の断面を、光学顕微鏡観察を用いて観察した。この結果を図2(b)に示す。
(比較例1)
実施例1と同じヒートシンク部材21を準備して、このヒートシンク部材21の表面に被膜を形成した。実施例1と異なる点は圧縮ガスにヘリウムガスを用いた点である。そして、実施例1と同じ方法で、この電子部材を切断し被膜の断面を、光学顕微鏡観察を用いて観察した。この結果を図2(c)に示す。
(結果1)
図2(a)〜(c)に示すように、実施例1の電子部材の被膜断面から、銅粉末が堆積して得られた粒界が一部確認でき、この被膜は、比較例1よりも粒界の金属結合が多かった。また、実施例2の電子部材の被膜断面には、粒界がほとんど無く、この被膜は実施例1よりも粒界の金属結合がかなり多かった。比較例1の電子部材の被膜断面には、その粒界は鮮明に確認され、その粒界の金属結合はほとんどなかった。
(考察1)
結果1の断面組織の観察結果から、実施例1の如くエアを圧縮ガスに用いた場合には、この圧縮ガスと共にヒートシンク部材21の表面に衝突する粉末の衝突エネルギと、この衝突時に酸素ガスと銅粉末22aとの酸化発熱反応により発生する発熱エネルギとにより被膜が形成されたため、図2(d)に示すように、これらの変形した粉末同士の界面には、やや厚い酸化膜22cが形成されるものの、金属結合の割合は、図2(f)に示す如き比較例1のものに比べて多くなったと考えられ、この結果、熱伝導性及び電気伝導性の高い被膜を形成することができると考えられる。
さらに実施例2の如く硬質粉末22bを用いた場合には、図2(e)に示すように、硬質粉末22bが、衝突して堆積された粉末(粒子)の表面に形成される酸化膜22cに研磨作用を与えることができるので、被膜中の酸化膜22cは低減して粒子同士の金属結合の割合がさらに増加したと考えられる。
(実施例3)
実施例1と同じようにして電子部材を製作した。実施例1と異なる点は、被膜を成膜する際の飛行中の粉末の温度(基材衝突前の粉末の温度)を50℃以上の図3に示すような温度条件で、被膜を形成した点である。これらの電子部材の被膜について常法(レーザフラッシュ法)により熱膨張率を測定した。また、この被膜についての熱伝導率も常法により測定した。その結果を図3に示す。
(実施例4)
実施例2と同じようにして電子部材を製作した。実施例1と異なる点は、被膜を成膜する際の飛行中の粉末の温度を50℃以上の図3に示すような温度条件で、被膜を形成した点である。これらの被膜について常法により熱膨張率と熱伝導率を測定した。その結果を図3に示す。
(比較例2,3)
比較例2,3は、それぞれ実施例3,4と同じようにして電子部材を製作した。実施例3,4と異なる点は、50℃以下の図3に示すような温度条件で、被膜を形成した点である。
(結果2)
図3に示すように、実施例3,4の熱伝導率は、比較例2,3のものに比べて高く、50℃以上のいずれの温度で成膜した被膜も熱伝導率は安定していた。
(考察2)
このように、安定した熱伝導率を得るためには、基材衝突前の粉末の温度を50℃以上にすることが好ましいと考えられる。そして、被膜の熱伝導率が向上したのは、被膜中の金属結合の割合が増加したからであると考えられ、この金属結合の増加は、粉末の加熱により、被膜形成時におけるエネルギが増加したことによるものであると考えられる。
(実施例5〜7)
実施例2と同じヒートシンク部材を準備して、このヒートシンク部材の表面に被膜を形成して、電子部材を製作した。実施例2と異なる点は、実施例5〜7は、下記の表1に示すように、順次、被膜中に含まれる炭化ケイ素(粒子)の割合を20体積%にした点、硬質粉末に窒化アルミニウム粉末を用いて、被膜中に含まれる窒化アルミニウム(粒子)の割合を30体積%にした点、硬質粉末である酸化アルミニウム粉末を用いて、被膜中に含まれる酸化アルミニウム(粒子)の割合を30体積%にした点である。そして、これら電子部材に対して、常法により熱膨張率と熱伝導率を測定した。その結果を図4に示す。
(比較例4,5)
また、比較例4,5は、それぞれ比較例1,実施例1と同じ条件で電子部材を製作し、実施例5〜7と同じように熱膨張率及び熱伝導率を測定した。その結果を図4に示す。
(比較例6〜8)
比較例6〜8は、下記の表1に示すように、順次、銅、アルミニウム、銅−モリブデン合金からなる電子部材を製作した。そして、これらの部材に対して、実施例5〜7と同じように熱膨張率及び熱伝導率を測定した。その結果を図4に示す。
(参考例1〜3)
参考例1〜3として、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムの熱膨張率及び熱伝導率を図4に示した。
Figure 2007197795
(結果3)
実施例5〜7熱伝導率は、比較例4,5,7,8(比較例6を除く)の熱伝導率よりも高かった。また、実施例5〜7の熱膨張率は、比較例6の熱膨張率よりも低かった。
また、参考例1〜3の熱伝導率は、比較例4に示すエアを用いて銅粉末により成膜した被膜の熱伝導率よりも低いにもかかわらず、実施例5〜7の銅粉末にこのような硬質粒子を含む被膜の熱伝導率は、比較例4の硬質粒子を含まない被膜の熱伝導率よりも高くなっていた。
(考察3)
結果3より、実施例5〜7の如き被膜は、これまでに放熱性を向上させるために電子部材の一部に使用されていた銅−モリブデン合金材(比較例8)よりも熱伝導性に優れ、さらに、これらの熱膨張率は、銅材(比較例6)の熱膨張率を抑制すべくモリブデンが添加された銅−モリブデン合金材(比較例8)の熱膨張率と同程度のものであることから、実施例5〜7に示す電子部材は、パワーモジュールなどの電子機器の部品として好適であると考えられる。さらに、このように、被膜の熱伝導率が向上したことから、この被膜の電気伝導率も向上していると考えられ、これらの電子部材は電気製品の部品として用いるには好適であると考えられる。
尚、硬質粒子を含む被膜(実施例5〜7)の熱伝導率が、硬質粒子を含まない被膜(比較例4)の熱伝導率よりも高くなった理由としては、先の考察1に示すように、この硬質粉末が衝突して、堆積された粉末(粒子)の表面に形成される酸化膜に研磨作用を与えることができ、この結果、被膜中の酸化膜は低減されて、粒子同士の金属結合の割合が増加したからであると考えられる。
(実施例8〜10)
実施例8〜10は、順次、実施例5〜7と同じようにして電子部材を製作した。実施例8〜10が、この対応する実施例5〜7と相違する点は、被膜中に含まれる硬質粉末からなる粒子(硬質粒子)の割合を10堆積%〜70体積%の範囲の図5に示すような割合の条件で電子部材を製造した点である。これらの被膜について、実施例5〜7に示す方法と同じ方法で熱伝導率及び熱膨張率を測定した。それぞれの結果を図5(a),(b)に示す。
(比較例9〜11)
比較例9〜11は、順次、実施例8〜10と同じようにして電子部材を製作した。比較例9〜11が、この対応する実施例8〜10と相違する点は、被膜中に含まれる硬質粉末からなる粒子(硬質粒子)の割合を0体積%,5体積%で電子部材を製造した点である。これらの被膜について、実施例8〜10に示す方法と同じ方法で熱伝導率及び熱膨張率を測定した。それぞれの結果を図5(a),(b)に示す。
(比較例12〜14)
比較例12〜14は、順次、比較例9〜11と同じようにして電子部材の製作を行った。比較例12〜14が、この対応する比較例9〜11と相違する点は、被膜中に含まれる硬質粉末からなる粒子の割合を70体積%よりも大きくなるように電子部材を製造した点である。
(結果4)
図5(a)に示すように実施例8〜10のうち少なくとも硬質粒子の割合が10〜50体積%の被膜の熱伝導率は、これに対応する比較例9〜11の熱伝導率よりも高かった。実施例8〜10の被膜の熱伝導率は、硬質粒子の割合が10〜20体積%までは、硬質粒子の割合の増加に伴って高くなり、さらに硬質粒子の割合が40体積%〜70体積%までは、硬質粒子の割合の増加に伴って低くなった。
また、図5(b)に示すように、実施例8〜10の熱膨張率は、これに対応する比較例9〜11の熱膨張率に比べ低く、さらに粒子の割合が増加するに従って、その熱膨張率は低下した。なお、比較例12〜14は、いずれも基材の表面に被膜を形成することができなかった。
(考察4)
結果4より、比較例9〜11の熱伝導性が低かった理由としては、被膜中の硬質粉末からなる粒子が10体積%よりも小さい場合には、硬質粉末により成膜時の堆積された銅の酸化膜を効果的に研磨することができなかったためであると考えられる。また、硬質粒子が、50体積%より大きい場合には、被膜中に介在する硬質粒子の増加により、この硬質粒子を構成する材料の熱伝導率の影響を受けたため被膜の熱伝導率は低下したと考えられる。さらに、70体積%よりも大きいには、硬質粒子の割合が大きいため、銅粉末の結合を阻害してしまい被膜が形成されなかったと考えられる。また、硬質粒子の増加に伴い熱膨張率が低くなったのは、硬質粒子を構成する材料の熱膨張率の影響を受けたためであると考えられる。
このような結果から、基材に吹き付ける粉末は、被膜中の硬質粒子の割合が10〜70体積%となるように、硬質粉末を含むことが好ましく、より好ましくは、この熱伝導率の曲線のピーク近傍であり、かつ熱膨張率の低下が安定している20〜50体積%となるように、この硬質粉末を含むことが好ましい。
(実施例11)
実施例2と同じようにして、電子部材を製作した。実施例2と相違する点は、図1に示すホッパー14に炭化ケイ素の粉末を投入し、ホッパー13に、この被膜中に含まれる炭化ケイ素の粉末の割合が、粉末全体の40体積%となるように投入し、まず、ホッパー14に投入した炭化ケイ素の粉末を用いてヒートシンク部材21の表面をブラスト処理し、その後、実施例2と同じ条件で、この炭化ケイ素と銅の混合粉末を用いて、ヒートシンク部材21の表面に被膜を形成した点である。このようにして、図6(a)に示すように、ヒートシンク部材31の表面に銅材料32に均一に炭化ケイ素粒子33が介在した被膜34aを備えた電子部材30aを得た。
<伝熱評価試験>
図7に示すように、この電子部材30aの被膜34aの表面を研磨し、この研磨面に絶縁基板として窒化アルミニウム材41をろう材(Sn−Cu−Ni−P)42により固定し、さらにヒートシンク部材31の表面を冷却水Wに浸し、窒化アルミニウム材41の表面から伝熱線51の入力電圧を一定としてこの電子部材30aを加熱した。そして、この窒化アルミニウム材41の表面の温度上昇を熱電対52により測定した。この結果を図8に示す。
<耐熱信頼性評価試験>
図7に示す伝熱評価試験と同じように電子部材30aを配置し、室温から先の加熱条件まで電子部材を加熱し(6.5秒間)、さらにこの加熱条件に加熱された電子部材の表面を冷却し(3.5秒間)、これを一サイクルとして、連続して50000サイクル行った。なお、この50000サイクルのうち10000サイクルごとに、伝熱評価試験と同じ条件で電子部材を加熱し、絶縁板である窒化アルミニウム材の表面の温度を熱電対により測定した。この結果を図9に示す。また、50000サイクル後の窒化アルミニウム材41と被膜34aとのろう付材の状態を観察した。これらの結果を図9及び以下の表2に示す。
(実施例12)
実施例11と同じようにして、電子部材を製作した。実施例11と相違する点は、図1に示すホッパー13に、被膜中に含まれる炭化ケイ素の粉末の割合が、20体積%となるような粉末を投入し、この粉末をヒートシンク部材に吹き付けて被膜厚み1.5mmの被膜を形成し、ホッパー13からこの粉末を取り出し、さらにこのホッパー13に被膜中に含まれる炭化ケイ素の粉末の割合が、40体積%となるような粉末を投入し、被膜厚みが3.2mmになるように成膜し、この被膜表面を研磨し、被膜厚み3.0mmを有する電子部材を製作した点である。このようにして、図6(b)に示すように、ヒートシンク部材31の表面に銅材料32に含む炭化ケイ素粒子(硬質粒子)33の割合の異なる二層の被膜34bを備えた電子部材30bを得た。そして、実施例11と同じ条件で、伝熱評価試験及び耐熱信頼性評価試験を行った。この結果を、図8、9及び表2に示す。
(実施例13)
実施例11と同じようにして電子部材を製作した。実施例11と相違する点は、図1に示すホッパー14に、炭化ケイ素の粉末を投入し、ホッパー13に銅粉末を投入し、被膜中に含まれる炭化ケイ素の粉末の割合が20%となるように、銅粉末と炭化ケイ素粉末とをノズルに供給した。そして、この粉末をヒートシンク部材に吹き付けると共に、成膜中に炭化ケイ素の粉末の割合が増加するように(銅粉末の割合が減少するように)調整しながら成膜を行った。このようにして、図6(c)に示すように、ヒートシンク部材の表面からの被膜の厚み方向に向って、被膜34cに含有する炭化ケイ素粒子(硬質粒子)33の割合が増加するように形成された被膜34cを備えた電子部材30cを得た。そして、実施例11と同じ条件で、この電子部材30cの伝熱評価試験及び耐熱信頼性評価試験を行った。この結果を、図8、9及び表2に示す。
(比較例15)
図10に示すように、実施例11〜13の被膜の代わりに銅−モリブデン合金ならなる板材98を用いて、この板材98をシリコングリース99を介して実施例11と同等のヒートシンク部材31に接着した電子部材を準備した。そして、図10に示すように、この板材98の表面を研磨し、さらにこの研磨面に絶縁基板として窒化アルミニウム材41をろう材42(Sn−Cu−Ni−P)により固定し、ヒートシンク部材31の表面を冷却水に浸した。そして、実施例11と同じ条件で、伝熱評価試験及び耐熱信頼性評価試験を行った。この結果を、図8、9及び表2に示す。
(比較例16)
比較例15と同じようにして銅からなる板材98をシリコングリース99を介して実施例11と同等のヒートシンク部材31に接着した電子部材を作成した。そして、実施例11と同じ条件で、耐熱信頼性評価試験を行った。この結果を、図9及び表2に示す。
Figure 2007197795
(結果5)
図8に示すように、実施例11〜13の計測された温度は、比較例15の計測された温度よりも小さかった。また、図9に示すように、実施例11〜13の計測された温度は、サイクル負荷の増加にかかわらず変化しなかった。一方、比較例16の温度は、サイクル負荷の増加に伴い上昇した。また、表2に示すように、比較例16のみがろう材に微小クラックを観察することができた。
(考察5)
実施例11〜13の計測温度は、比較例15の計測された温度よりも小さかったことから、実施例11〜13の如き方法により製造した電子部材は放熱性が高いと考えられる。これは、考察3に示したように、実施例11〜13の電子部材の被膜の熱伝導率が高いことによると考えられる。
また、比較例16の温度は、サイクル負荷の増加に伴い上昇したのは、サイクルごとに銅板に繰り返しの熱応力が作用し、その結果クラックが発生し、熱の流れが悪化したことによると考えられ、実施例11〜13の如き電子部材は、パワーモジュールに組み込まれたとしても、伝熱特性及び耐熱特性に優れた状態を維持することができると考えられる。
本発明の製造方法により製造された電子部材は、車両用インバータのパワーモジュール用のベース基板又はパワーディバイス用応力緩和材に用いることが好適であり、例えば、この電子部材をパワーモジュールに用いた場合には、図11に示すように、電子部材70の基材がパワーモジュール60を構成するヒートシンク部材61であって、パワーモジュール60を構成するパワー素子62とヒートシンク部材61との間に電子部材70の被膜64を形成することにより、パワー素子62の熱を、ろう付け部63と絶縁基板65を介して、電子部材70から好適に放熱することができる。また、このような電子部材70は、電気伝導性にも優れているので、この特性が要求される電子機器の部品に使用することも好ましい。
さらに、この製造方法により製造された電子部材は熱伝導性が良いため、このような電子部材の被膜を、例えば、ピストンヘッド、ピストンやシリンダヘッドと共に燃焼室を形成するシリンダヘッド下面などのエンジン部品に利用してもよい。
本実施形態に係る電子部材の製造方法を説明するための図であり、(a)は、その製造方法に係る装置の説明図であり、(b)は、その装置を構成するノズルの動作の説明図。 (a)〜(c)は実施例1,2及び比較例1に係る被膜の断面写真図であり、(d)〜(f)は、実施例1,2及び比較例1の被膜の形成過程を説明するための図。 実施例3,4及び比較例2,3に係る基材衝突前の粉末の温度と被膜の熱伝導率を説明するための図。 実施例5〜7,比較例4〜8,及び参考例1〜3の熱伝導率と熱膨張率を示した図。 (a)は実施例8〜10,及び比較例9〜11に係る被膜の熱伝導率であり、(b)は、その熱膨張率を示した図。 (a)は、実施例11に係る電子部材の模式図であり、(b)は、実施例12に係る電子部材の模式図であり、(c)は、実施例13に係る電子部材の模式図。 実施例11〜13の伝熱評価試験を説明するための図。 実施例11〜13及び比較例15の熱伝導評価試験の試験結果図。 実施例11〜13及び比較例15,16の耐熱信頼性評価試験の試験結果図。 比較例15,16の伝熱評価試験を説明するための図。 本発明に係る電子部材をパワーモジュールに用いた模式図。 従来のパワーモジュールを説明するための図。
符号の説明
12:ノズル,13,14:ホッパー,20:電子部材,21:ヒートシンク部材(基材),22:被膜,22a:銅粉末,22b:硬質粉末,22c:酸化膜,30a〜30c:電子部材,32:銅材料,33:硬質粒子,34a〜34c:被膜

Claims (13)

  1. 固相状態の金属粉末を圧縮ガスと共に、基材表面に吹き付けて、前記金属粉末から被膜を前記基材表面に形成する電子部材の製造方法であって、
    前記圧縮ガスは、少なくとも酸素ガスを含むことを特徴とする電子部材の製造方法。
  2. 前記基材表面の吹き付けを、前記金属粉末に、該金属粉末よりも硬質の硬質粉末をさらに含めた粉末により行うことを特徴とする請求項1に記載の電子部材の製造方法。
  3. 前記硬質粉末は、熱伝導率が10W/mK以上、硬度がHv500以上の粉末であることを特徴とする請求項2に記載の電子部材の製造方法。
  4. 前記金属粉末は銅系材料からなる粉末であって、前記硬質粉末は、酸化アルミニウムの粉末、炭化ケイ素の粉末、又は窒化アルミニウムの粉末のいずれかの粉末からなることを特徴とする請求項2又は3に記載の電子部材の製造方法。
  5. 前記圧縮ガスの圧力は、0.7MPa以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子部材の製造方法。
  6. 前記粉末は、前記被膜中の硬質粉末からなる粒子の割合が10〜70体積%となるように、前記硬質粉末を含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の電子部材の製造方法。
  7. 前記被膜の形成は、前記基材の表面からの前記被膜の厚み方向に向って、被膜に含有する前記硬質粉末からなる粒子の割合が増加するように行うことを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の電子部材の製造方法。
  8. 前記製造方法は、50℃以上の粉末が前記基材の表面に吹き付けられるように、前記粉末を加熱する工程をさらに含むことを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の電子部材の製造方法。
  9. 前記被膜を形成する前工程として、前記圧縮ガスと共に前記硬質粉末を前記基材表面に吹き付けて、基材の表面処理を行うことを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の電子部材の製造方法。
  10. 基材の表面に被膜が形成された電子部材であって、
    前記被膜は、金属被膜中に該金属被膜よりも硬い硬質粒子が介在した被膜であることを特徴とする電子部材。
  11. 前記請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法により製造された電子部材。
  12. 前記請求項10又は11に記載の基材の表面に被膜が形成された電子部材を備えたパワーモジュールであって、前記電子部材の基材が、前記パワーモジュールを構成するヒートシンク部材であって、前記パワーモジュールを構成するパワー素子と前記ヒートシンク部材との間に前記被膜が形成されていることを特徴とするパワーモジュール。
  13. 前記請求項12に記載のパワーモジュールを備えた車両用インバータ。
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