JP2007197603A - ノルボルネン系付加共重合体、付加共重合体の製造方法およびその用途 - Google Patents

ノルボルネン系付加共重合体、付加共重合体の製造方法およびその用途 Download PDF

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昇 大嶋
Yoichiro Maruyama
洋一郎 丸山
Kenzo Okita
健三 大喜多
Takashi Tsubouchi
孝史 坪内
Takashi Imamura
孝 今村
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Abstract

【解決手段】本発明のノルボルネン系付加共重合体は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンから誘導される構造単位と、炭素数6以上のアルキル置換基を有するビシクロ[
2.2.1]ヘプタ−2−エンから誘導される構造単位とを特定割合で有し、広角X線散
乱(WAXS)の散乱図において、測定される2つのピークのうち、低角位のピークの2θが10°以上であることを特徴としている。
【効果】本発明によれば、高い耐熱性を有し、透明性に優れ、溶融成形法で靭性のあるフィルムまたはシートへ成形可能な、光学材料に好適なノルボルネン系付加共重合体、ノルボルネン系付加共重合体の製造方法、および、ノルボルネン系付加共重合体から得られる光学透明材料に好適なフィルムまたはシートを提供できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ノルボルネン系付加共重合体およびその製造方法に関する。詳しくは、本発明は、透明性、耐熱性に優れ、溶融成形可能なノルボルネン系付加共重合体、該ノルボルネン系付加共重合体を特定のパラジウム系触媒を用いて製造する製造方法、および、該ノルボルネン系付加共重合体から得られる、光学透明材料として好適なフィルムまたはシートに関する。
最近、光学および電子材料の用途においてハンダリフロー工程や、ITOなど金属あるいは金属酸化物薄膜などを積層させる工程、ベーク工程などを適用するに必要な高い耐熱性を有する透明樹脂が切望されており、その際に必要なガラス転移温度は時には200℃を超えることがある。このような耐熱性を有する樹脂としてはポリイミド、ポリエーテルスルホンなどが知られているが、これらは透明性において充分ではなかった。
透明性と耐熱性とに優れた付加重合体として、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(ノルボルネン)およびその誘導体を付加重合して得られる環状オレフィン系付加重合体が知られている。ここで、材料の形状としては取り扱いが容易なフィルムまたはシートであることが望まれているが、当該材料はガラス転移温度が高いため、フィルムまたはシートなどへの成形加工は溶液流延法(キャスト法)をとることが一般的であった。しかしながら、キャスト法での成形は、適切な溶媒へ溶解することが必須である上、溶媒の回収工程が必要であるため、溶融押出法に比べて高コストかつ低生産性であるなどの工業的な問題点がある。これを解決する方法として、特許文献1には溶融成形で加工できるように、ガラス転移温度が140〜210℃の範囲のビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンと5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンとの付加共重合体が提案されている。しかしながらこれに記載の付加共重合体において、180℃を超えるガラス転移温度を示すものは溶融成形、特に溶融押出法によって加工するには分子量が高すぎ、一方、180℃以下のものは用途によっては耐熱性が不充分であった。
特許文献2の実施例2には、ニッケル触媒を用いて得られ、275℃のガラス転移温度を有するビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンと5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンとの付加共重合体が提案されている。しかしながらこの付加共重合体は数平均分子量が230,000と高く、溶融粘度が非常に高くなるため溶融成形は不可能であり、フィルムへの成形法もキャスト法を採っている。このように、ガラス転移温度が200℃を超える耐熱性と、フィルムまたはシートの形状への溶融成形加工性との両者を満足できるノルボルネン系の付加重合体は得られていなかった。また、特許文献1および2には、付加共重合体の立体規則性の差異と物性との関連や、用いる重合触媒の影響については何ら示唆されていない。
ところで、付加重合体における分子のパッキング状態および立体規則性を推し量る指標として固体状態における広角X線散乱(WAXS)が報告されており、非特許文献1および非特許文献2にはノルボルネン付加重合体についてが、非特許文献3には5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン付加重合体についてがそれぞれ記載されている。当該文献においてはWAXSにおいて観測される2ピークの内、低角位のピークは分子間の距離を反映しており、分子間距離が近いと2θ値が大きくなることが報告されている。しかしながらこれらに記載の付加重合体はいずれもガラス転移温度が高すぎるため熱溶融成形が困難であったり、溶媒に不溶なため工業的な生産が実質的に不可能であったりした。また、長鎖アルキル基を置換基に有する環状オレフィンの付加共重合体においては、置
換基が大きいため分子のパッキングに与える影響が大きいと予想される。長鎖アルキル基を置換基に有する環状オレフィンの付加共重合体のパッキング状態や、付加重合体の製造方法や物性との関連については、これらの先行文献には記載も示唆もされていない。
特開平8−198919号公報 特開2002−12624号公報 Polymer, Vol. 41, 2455 (2001) Macromol.Chem.Phys.Vol.204,868,(2003) J.Polymer Sci.B Vol.41,2185,(2003)
本発明は、優れた耐熱性を有するとともに、透明性および靭性に優れ、溶融成形が可能で光学材料としての用途に好適なノルボルネン系付加共重合体、付加共重合体の製造方法、該付加共重合体を成形してなるフィルムまたはシートを提供することを課題としている。
本発明のノルボルネン系付加共重合体は、
下記式(1)で表される構造単位(1)50〜95モル%、および、下記式(2)で表される構造単位(2)で表される構造単位(2)5〜50モル%を有し、
CuKα線を用いた広角X線散乱(WAXS)の散乱図において、測定された2つのピークのうち、低角位のピークの2θが10°以上であり、
数平均分子量(Mn)が20,000〜48,000であることを特徴としている。
Figure 2007197603
Figure 2007197603
(式(2)中、Aは炭素数6以上のアルキル基を示す。)
本発明のノルボルネン系付加共重合体は、ガラス転移温度が180〜260℃であることが好ましい。
本発明のノルボルネン系付加共重合体は、前記構造単位(1)を60〜85モル%、前記構造単位(2)を15〜40モル%有することが好ましい。
本発明のノルボルネン系付加共重合体は、前記構造単位(2)が、5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−
エン、5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンからなる群より選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位であることが好ましい。
本発明のノルボルネン系付加共重合体の製造方法は、単量体組成物100モル%中、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン50〜95モル%と、炭素数6以上のアルキル基を有する5−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン5〜50モル%とを含む単量体組成物を、下記(a)、(b)および(c)を含む触媒を用いて付加共重合することを特徴としている;
(a)パラジウムの有機酸塩またはパラジウムのβ−ジケトネート化合物、
(b)下記式(b)で表される化合物から選ばれるホスフィン化合物、
P(R12(R2) …(b)
[式(b)中、Pはリン原子、R1は炭素数5〜12未置換またはアルキル置換のシク
ロペンチル基またはシクロヘキシル基であり、R2は炭素数3〜10の炭化水素基を表す
。]
(c)イオン性のホウ素化合物またはイオン性のアルミニウム化合物。
このような本発明のノルボルネン系付加共重合体の製造方法では、触媒成分(b)がトリシクロペンチルホスフィンまたはトリシクロヘキシルホスフィンであることが好ましい。
本発明のノルボルネン系付加共重合体の製造方法は、また、単量体組成物100モル%中、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン50〜95モル%と、炭素数6以上のアルキル基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン5〜50モル%とを含む単量体組成物を、
(c)イオン性のホウ素化合物またはイオン性のアルミニウム化合物、および、
(d)下記式(d)で表される、パラジウムとホスフィン化合物との錯体
を含む触媒を用いて付加共重合することも好ましい。
Pd[P(R12(R2)]k2 …(d)
[式(d)中、R1は炭素数5〜12の未置換またはアルキル置換のシクロペンチル基ま
たはシクロヘキシル基であり、R2は炭素数3〜10の炭化水素基であり、Xは有機酸ア
ニオンおよびβ−ジケトネートアニオンから選ばれたアニオンであり、kは1または2である。]。
このような本発明のノルボルネン系付加共重合体の製造方法では、前記錯体(d)におけるホスフィン化合物がトリシクロペンチルホスフィンまたはトリシクロヘキシルホスフィンであることが好ましい。
本発明のノルボルネン系付加共重合体の製造方法では、触媒成分(c)のカチオンがカルベニウムカチオンであり、アニオンがテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンまたはテトラキス(パーフルオロアルキルフェニル)ボレートアニオンであるイオン性ホウ素化合物であることが好ましい。
本発明のノルボルネン系付加共重合体の製造方法では、得られるノルボルネン系付加共重合体が、
前記式(1)で表される構造単位(1)50〜95モル%、および、前記式(2)で表される構造単位(2)で表される構造単位(2)5〜50モル%を有し、
CuKα線を用いた広角X線散乱(WAXS)の散乱図において、測定される2つのピークのうち、低角位のピークの2θが10°以上であることが望ましい。
本発明のノルボルネン系付加共重合体の製造方法では、得られるノルボルネン系付加共重合体の数平均分子量(Mn)が20,000〜48,000であることが好ましい。
本発明のフィルムまたはシートは、前記本発明のノルボルネン系付加共重合体から得られることを特徴としており、好ましくは、前記本発明のノルボルネン系付加共重合体を溶融成形して得られる。本発明のフィルムまたはシートは、厚さ200μmのフィルムにおける全光線透過率が85%以上であることが好ましい。
本発明によれば耐熱性、透明性および機械強度に優れ、溶融成形法でフィルムまたはシートへ成形可能な光学材料に好適なノルボルネン系付加共重合体、その製造方法、および、当該ノルボルネン系付加共重合体から得られる光学透明材料に好適なフィルムまたはシートを提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
<ノルボルネン系付加共重合体>
本発明のノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン)系付加共重合体は、下記式(1)で表される構造単位(1)と、下記式(2)で表される構造単位(2)とを有する。
Figure 2007197603
Figure 2007197603
(式(2)中、Aは炭素数6以上のアルキル基を示す。)
本発明に係るノルボルネン系付加共重合体は、全構造単位中に、構造単位(1)50〜95モル%と、構造単位(2)5〜50モル%とを有し、好ましくは構造単位(1)60〜85モル%と、構造単位(2)15〜40モル%とを有する。ここで、構造単位(1)と構造単位(2)との合計は、全構造単位中の90モル%以上であることが好ましく、100モル%であることも好ましい。
このようなノルボルネン系付加共重合体では、構造単位(1)の割合が多くなるにしたがって、ノルボルネン系付加共重合体から得られるフィルムやシートなどの機械的特性および靭性が向上する。一方、構造単位(2)の割合が多くなるにしたがい、得られるフィルムやシートなどの柔軟性が増し、ガラス転移温度は低下する。構造単位(1)の割合が50モル%未満となるか、あるいは構造単位(2)の割合が50モル%を超えた場合には
、ノルボルネン系付加共重合体から成形して得られるフィルムまたはシートの機械的強度およびガラス転移温度が低くなりすぎることがある。
また、構造単位(1)の割合が95モル%を超え、構造単位(2)の割合が5モル%未満となった場合には、ノルボルネン系付加共重合体のガラス転移温度が高くなりすぎ、溶融成形するに必要な温度において熱劣化に伴う着色や強度の低下が起こりやすくなるほか、一般的な溶媒に対する溶解度が低下するため製造プロセス上に支障をきたすことがあるという問題がある。
構造単位(2)における置換基Aは、炭素数6以上のアルキル基であり、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜10のアルキル基である。構造単位(2)における置換基Aが炭素数6未満のアルキル基であると、ノルボルネン系付加共重合体のガラス転移温度が260℃を超え、溶融成形が困難となることがある。
本発明に係るノルボルネン系付加共重合体の構造単位(1)は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(ノルボルネン)を付加重合することに形成され、構造単位(2)は、炭素数6以上のアルキル基を置換基に有するビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを付加重合することにより形成される。
構造単位(2)を形成する、炭素数6以上のアルキル基を置換基に有するビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンの具体例としては、
5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(2−ヘキシル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(4−メチルペンチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(3−メチルペンチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(2−メチルペンチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(2−エチルブチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ヘプチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(2−エチルヘキシル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ドデシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−テトラデシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
などが挙げられる。
これらの単量体の中でも、5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンが、得られるノルボルネン系付加共重合体のガラス転移温度を適切な範囲に制御することができ、付加共重合体から成形されたフィルムまたはシートが靱性の高いものとなり、機械的強度に優れたものになるため特に好ましい。
本発明のノルボルネン系付加共重合体は、接着性付与、架橋部位の導入などの目的で、前記構造単位(1)および(2)以外に官能基を有する環状オレフィン由来の構造単位(3)を全構造単位中に10モル%以下の割合で含んでもよい。
構造単位(3)は、官能基を有する環状オレフィンを付加共重合することにより形成される。当該官能基としては、具体的には、アルコキシカルボニル基、トリアルキルシロキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、酸無水物基、オキセタニル基、加水分解性シリル基から選ばれた基が挙げられる。構造単位(3)を形成する、官能基を有する環状オレフィンの具体例としては、たとえば、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸メチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸メチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸t−ブチル、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、
4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸t−ブチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸トリメチルシリル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸ジメチルブチルシリル、
酢酸(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル)、
酢酸(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−メチル−2−イル)、
酢酸(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−イル)、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2、3−無水カルボン酸、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−スピロ−3’−exo−無水スクシン酸、
5−[(3−エチル−3−オキタセニル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[(3−オキセタニル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチル、
5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
等が挙げられる。
本発明のノルボルネン系付加共重合体は、CuKα線を用いた広角X線散乱(WAXS)の散乱図において、測定される2つのピークのうち、低角位のピークの2θが10°以上であるものである。
このような散乱図を示す炭素数6以上のアルキル基を置換基に有するノルボルネン系付加共重合体は、構造単位の分子の立体規則性およびパッキング性が高く、その結果、得られる成形体が機械的強度に優れたものとなる。低角位のピークの2θが10°未満である付加共重合体は立体規則性およびパッキング性が低いため、同等の組成および分子量であっても、成型体の機械的強度が低く、割れやすいものとなることがある。WAXSにおける散乱図は使用する重合触媒の影響を強く受けるが、本発明に記載の特定のパラジウム系触媒を用いて付加共重合を行うことにより得ることができる。一方、その他のパラジウム系触媒やニッケル系触媒などの存在下で炭素数6以上のアルキル基を置換基に有するノルボルネンを付加共重合して得られるものの場合、低角位のピークの2θが10°未満となることがある。
本発明に係るノルボルネン系付加共重合体のガラス転移温度(Tg)は、動的粘弾性で測定される貯蔵弾性率(E’)および損失弾性率(E”)から導かれるTanδ=E”/E’の温度分散ピーク温度から求められ、好ましくは180〜260℃、より好ましくは220〜250℃である。このガラス転移温度が180℃未満の場合、フィルムまたはシート等の成形品が高温を経る工程、例えばハンダリフロー工程やITOなど無機薄膜を積層する工程などにおいて変形するなど、耐熱性が不充分となることがある。これらの工程は、温度を低くすると得られる加工品が充分な性能を示さない場合があり、例えば、ITOは製膜温度が低いと導電性が低下することが知られている。また、ガラス転移温度が260℃を超える場合には、溶融成形に必要な温度が高くなりすぎるため、熱劣化による成形体の着色や強度低下などの問題が生じることがある。ガラス転移温度は、付加共重合体
の組成により容易に調節することができる。例えば、構造単位(2)のアルキル基としてより鎖の長いものを選択したり、構造単位(2)の割合を増加させることで、ガラス転移温度を低下させることができる。また、本発明に記載の特定のパラジウム触媒を用いて得られる付加共重合体は、ニッケル系触媒で得られるものと比較して、同等の組成であってもガラス転移温度が30〜50℃程度低くなる傾向があり、より溶融成形に適したものとなる。
本発明のノルボルネン系付加共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)で測定されるポリスチレン換算の分子量で、数平均分子量(Mn)が20,000〜48,000、重量平均分子量(Mw)が50,000〜300,000、好ましくは数平均分子量(Mn)が30,000〜47,000、重量平均分子量(Mw)が100,000〜200,000であるのが望ましい。本発明のノルボルネン系付加共重合体の数平均分子量(Mn)が20,000未満では、成形したフィルムまたはシートの機械的強度が低下し、割れ易いものとなる場合がある。一方、その数平均分子量(Mn)が48,000を超えると溶液粘度が高くなりすぎるため、溶融押し出し法によりフィルムまたはシートの成形が困難になり、あるいは成形体の平坦性が損なわれることが多い。ノルボルネン系付加共重合体の分子量は、適切な分子量調節剤の存在下で重合を行うことによって調節することができる。
本発明のノルボルネン系付加共重合体は、透明性に優れ、膜厚200μmのフィルムで測定される全光線透過率が通常85%以上、好ましくは88%以上であり、ヘイズ値は通常1.0%未満、好ましくは0.6%以下である。
<ノルボルネン系付加共重合体の製造方法>
本発明のノルボルネン系付加共重合体の製造方法においては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、炭素数6以上のアルキル基を有する5−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、および必要に応じて官能基を有し構造単位(3)を形成する環状オレフィンとを含む単量体組成物を付加重合する。各単量体の割合は、全単量体に対して、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンが50〜95モル%、好ましくは60〜85モル%、さらに好ましくは65〜80モル%であり、5−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンが5〜50モル%であり、好ましくは15〜40モル%であり、さらに好ましくは20〜35モル%である。また、構造単位(3)を形成する環状オレフィンは、10モル%以下の範囲で用いられる。
本発明の製造方法においては、上記の単量体組成物を下記(a)、(b)および(c)を含むパラジウム系触媒を用いて付加共重合する。
(a)パラジウムの有機酸塩またはパラジウムのβ−ジケトネート化合物、
(b)下記式(b)で表される化合物から選ばれるホスフィン化合物、
P(R12(R2) …(b)
[式(b)中、Pはリン原子、R1は炭素数5〜12の未置換またはアルキル置換のシ
クロペンチル基またはシクロヘキシル基であり、R2は炭素数3〜10の炭化水素基を表
す。]
(c)イオン性のホウ素化合物またはイオン性のアルミニウム化合物。
本発明の製造方法においてはまた、上記の単量体組成物を下記式(d)で表される、パラジウムとホスフィン化合物との錯体(d)、および前記(c)イオン性のホウ素化合物またはイオン性のアルミニウム化合物を含む触媒を用いて付加共重合してもよい。
Pd[P(R12(R2)]k2・・・・・(d)
[式(d)中、R1は炭素数5〜12の未置換またはアルキル置換のシクロペンチル基ま
たはシクロヘキシル基であり、R2は炭素数3〜10の炭化水素基であり、Xは有機酸ア
ニオンおよびβ−ジケトネートアニオンから選ばれたアニオンであり、kは1または2で
ある。]
上記触媒成分(a)、(b)、(c)を含むパラジウム系触媒、あるいは(d)、(c)を含むパラジウム系触媒を用いることにより、得られるノルボルネン系付加共重合体が高い立体規則性および分子のパッキング性を示すものとなり、機械的強度に優れた成型体を得ることができるようになるとともに、ニッケル系触媒で得られるものと比較して、同等の組成であってもガラス転移温度が30〜50℃低くなる傾向があり、より溶融成形に適したものとなる。また、分子量が容易に好ましい範囲に制御される。さらには非常に高い重合活性を示すため、極端に少ないパラジウム化合物を用いるのみにて高い転化率で付加共重合体を製造することができるとともに、得られる付加共重合体中の触媒残渣量を充分に低く抑制できる。が全単量体に対して1%未満となる程に、付加重合体へ転化することができる。
(a)パラジウムの有機酸塩またはβ−ジケトネート化合物
本発明で用いる(a)パラジウムの有機酸塩またはβ−ジケトネート化合物は、好ましくは、2価パラジウムの炭素数1〜20のカルボン酸塩、炭素数1〜20のスルホン酸塩、炭素数2〜30のリン酸エステル塩、炭素数5〜15のβ−ジケトネート化合物であり、次式で表される。
Pd(X)2
(Xは有機酸のアニオンまたはβ−ジケトネート化合物のアニオンを示す。)
具体的には、
1)酢酸パラジウム、クロロ酢酸パラジウム、フルオロ酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸パラジウム、酪酸パラジウム、3−メチル酪酸パラジウム、ペンタン酸パラジウム、ヘキサン酸パラジウム、2−エチルヘキサン酸パラジウム、オクタン酸パラジウム、ドデカン酸パラジウム、プロペン酸パラジウム、2−メチルプロペン酸パラジウム、オクタデカ−9−エン酸パラジウム、シクロヘキサンカルボン酸パラジウム、安息香酸パラジウム、2−メチル安息香酸パラジウム、4−メチル安息香酸パラジウム、ナフタレンカルボン酸パラジウムなどの炭素数1〜15の有機モノカルボン酸塩。
2)パラジウムのモノリン酸エステル塩、あるいはジリン酸エステル塩など。
3);たとえば、メタンスルホン酸パラジウム、トリフルオロメタンスルホン酸パラジウム、p−トルエンスルホン酸パラジウム、ベンゼンスルホン酸パラジウム、ナフタレンスルホン酸パラジウム、ドデシルベンゼンスルホン酸パラジウムなどの炭素数1〜20の有機スルホン酸塩。
4)パラジウムの2,4−ペンタジオン(アセチルアセトネート)、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ヘキサフルオロアセチルアセトンなどのβ−ジケトン化合物との塩など
が好ましく挙げられる。
(b)ホスフィン化合物
本発明で用いる(b)ホスフィン化合物の具体例としては、
トリシクロペンチルホスフィン、
ジシクロペンチル(シクロヘキシル)ホスフィン、
ジシクロペンチル(3−メチルシクロヘキシル)ホスフィン、
ジシクロペンチル(イソプロピル)ホスフィン、
ジシクロペンチル(s−ブチル)ホスフィン、
ジシクロペンチル(t−ブチル)ホスフィン、
ジシクロペンチル(2−メチルフェニル)ホスフィン、
トリシクロヘキシルホスフィン、
ジシクロヘキシル(シクロペンチル)ホスフィン、
ジシクロヘキシル(3−メチルシクロヘキシル)ホスフィン、
ジシクロヘキシル(イソプロピル)ホスフィン、
ジシクロヘキシル(2−メチルフェニル)ホスフィン
などが挙げられる。
(c)イオン性のホウ素化合物またはイオン性のアルミニウム化合物
本発明の製造方法において用いられる触媒成分(c)イオン性ホウ素化合物またはイオン性アルミニウム化合物としては、下記式(c)で表される化合物が用いられる。
〔R3+〔M(R44- …(c)
〔式(c)中、R3はカルベニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、アンモニウムカ
チオンまたはアニリニウムカチオンから選ばれた炭素数4〜25の有機カチオンを示し、Mはホウ素原子あるいはアルミニウム原子を示し、R4はフッ素原子置換またはフッ化ア
ルキル置換のフェニル基を示す。〕
具体例としては、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリ(p−トリル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス〔3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕ボレート、
トリ(p−トリル)カルベニウムテトラキス〔3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミナート、
トリ(p−トリル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミナート、トリフェニルカルベニウムテトラキス〔3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕アルミナート、
トリ(p−トリル)カルベニウムテトラキス〔3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕アルミナート、
トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミナート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミナート、
N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミナート、
などを挙げることができる。これらの中でもカチオンがカルベニウムカチオンであり、アニオンがテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンまたはテトラキス(パーフルオロアルキルフェニル)ボレートアニオンであるイオン性ホウ素化合物が好ましい。
(d)パラジウムとホスフィン化合物との錯体
本発明の製造方法においては、前記(a)、(b)に替えて、触媒として下記式(d)で表される、パラジウムとホスフィン化合物との錯体(d)を用いることもでき、より重合活性に優れたものとなるため望ましい。
Pd〔P(R12(R2)〕k2 …(d)
〔式(d)中、Xは有機酸アニオンまたはβ−ジケトネートアニオンを示し、P(R12(R2)は前記式(b)で表されるホスフィン化合物を示し、kは1または2である。〕
パラジウムとホスフィン化合物との錯体(d)は、より良好な炭化水素溶媒への溶解性を示すため、溶液重合プロセスにおいて有利である。また、パラジウム化合物とホスフィン化合物とを重合系中で反応させたのでは共に濃度が低すぎるため、活性種の生成効率が低下したり誘導期間が生じることがあるのに対し、パラジウムのホスフィン錯体を用いることで非常に少量の触媒成分の使用量であっても効率的に活性種が生成するものと推定さ
れるが、これらの考えに縛られるものではない。
式(d)で表されるパラジウムのホスフィン錯体としては、下記の具体例が挙げられる。
(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムジ(アセテート)、
〔ビス(トリシクロペンチルホスフィン)〕パラジウムジ(アセテート)、
〔ジシクロペンチル(t−ブチル)ホスフィン〕パラジウムジ(アセテート)、
〔ジシクロペンチル(シクロヘキシル)ホスフィン〕パラジウムジ(アセテート)、
〔ジシクロペンチル(2−メチルフェニル)ホスフィン〕パラジウムジ(アセテート)、(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムビス(トリフルオロアセテート)、
ビス(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムビス(トリフルオロアセテート)、
〔ジシクロペンチル(シクロヘキシル)ホスフィン〕パラジウムビス(トリフルオロアセテート)、
(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムジ(プロピオネート)、
ビス(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムジ(プロピオネート)、
(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムビス(2−エチルヘキサノエート)、
ビス(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムビス(2−エチルヘキサノエート)、
(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムビス(アセチルアセトネート)、
ビス(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムビス(アセチルアセトネート)、
〔ジシクロペンチル(シクロヘキシル)ホスフィン〕パラジウムビス(アセチルアセトネート)、
(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムビス(トリフルオロメタンスルホネート)、
ビス(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムビス(トリフルオロメタンスルホネート)。
これらの錯体の合成には、公知の方法を適宜もちいてよく、たとえば適切なパラジウム化合物と触媒成分b)のホスフィン化合物とを、芳香族炭化水素溶媒またはハロゲン化炭化水素溶媒中で、0〜70℃の温度範囲で反応させることにより合成してもよい。
(e)有機アルミニウム化合物
本発明の製造方法においては、触媒成分(a)、(b)、(c)あるいは(c)、(d)以外に、必要に応じて(e)有機アルミニウム化合物を触媒成分として含むこともできる。この触媒成分(e)は、助触媒成分として作用したり、あるいは系中の重合阻害物質を除去することができ、その結果、重合活性をさらに向上させることがある。有機アルミニウム化合物の具体例としては、
メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサンなどのアルキルアルミノキサン化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムフルオライド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのアルミニウム原子に対し少なくとも2つ以上のアルキル基を有するアルキルアルミニウム化合物などが挙げられる。
触媒成分(a)あるいは(d)は、単量体1モル当たり、パラジウム原子として0.0005〜0.02ミリモル、好ましくは0.001〜0.01ミリモル、さらに好ましくは0.002〜0.005ミリモルの範囲で用いられる。
上記触媒成分(b)のホスフィン化合物は、触媒成分(a)に含まれるパラジウム原子1モルに対して、通常0.1〜5モル、好ましくは0.5〜2モルの範囲で使用される。
上記触媒成分(c)イオン性のホウ素化合物またはイオン性のアルミニウム化合物は、
触媒成分(a)に含まれるパラジウム原子1モルに対して、通常0.5〜10モル、好ましくは0.7〜5.0モル、さらに好ましくは1.0〜2.0モルの範囲で用いられる。
上記触媒成分(e)の有機アルミニウム化合物は、触媒成分(a)あるいは(d)に含まれるパラジウム原子1モルに対して、通常200モル以下の範囲で用いられる。
る。
本発明においては、上記(a)〜(d)、および必要に応じて(e)の各成分に関し、各触媒の添加順序等の調整法や使用法に特に制限はなく、本発明で重合反応に供される単量体と溶媒との混合物へ同時に、または逐次的に添加してもよい。
本発明の製造方法は、上記パラジウム系触媒を用いて得られるノルボルネン系付加共重合体がノルボルネンに由来する構造単位(1)50〜95モル%、および、炭素数6以上のアルキル基を有する5−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンに由来する構造単位(2)で表される構造単位(2)5〜50モル%を有し、CuKα線を用いた広角X線散乱(WAXS)の散乱図において、測定される2つのピークのうち、低角位のピークの2θが10°以上であることが望ましい。
<分子量調節剤>
本発明の製造方法においては、得られるノルボルネン系付加共重合体の分子量を適切に調節するために分子量調節剤を用いることができる。分子量調節剤としては、例えば以下の1)、2)および3)が挙げられる。
1)炭素数5〜15のシクロペンテン化合物
例えば、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、3−エチルシクロペンテン、3−イソプロピルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、4−エチルシクロペンテン、4−イソプロピルシクロペンテンなどが挙げられ、好ましくはシクロペンテンである。2)炭素数2〜12のα−オレフィン化合物。
例えばエテン、プロペン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、スチレン、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシランなどが挙げられ、好ましくはエテンである。
3)炭素数6〜15のシクロアルカジエン化合物。
例えばシクロオクタ−1,5−ジエン、シクロヘキサ−1,3−ジエン、シキロヘキサ−1,4−ジエンなどが挙げられる。
これらの分子量調節剤は、ノルボルネン系付加共重合体の分子量、分子量調節剤の選択、パラジウム化合物の選択、重合温度などの条件の選択などによって変わるため一概には言えないが、通常、単量体1モル当たり、0.001〜5モル、このましくは0.005〜1モルの範囲で用いることができる。これにより、得られるノルボルネン系付加共重合体の数平均分子量(Mn)を、20,000〜48,000の範囲に制御することができる。
<重合条件>
本発明において、重合方式はバッチ式であっても連続式であってもよく、例えば適切な単量体の供給口を装備した管型連続反応器を使用することもできる。重合反応は、必要なら窒素またはアルゴン雰囲気下にて行なわれるが、空気中であってもよい。反応温度は0〜150℃、より好ましくは20〜120℃、より好ましくは40〜100℃の範囲にて行なわれる。用いられる溶媒は特に限定されないが、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエチレン、1,1−ジクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロべンゼンなどのハロゲン化
炭化水素溶媒を1種単独で、または2種以上を組み合わせることができる。これらのうちでも脂環式炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒が好ましい。これらの溶媒は、全単量体100重量部に対し、通常、0~2,000重量部の範囲で用いられる。
本発明の製造方法において、用いる単量体の重合反応性に差がある場合、生成するノルボルネン系付加共重合体の組成に著しい分布が生じ、機械強度や透明性が損なわれることがある。これを防ぐため、用いる単量体の一部を分割して、あるいは連続的に重合系に導入してもよい。最適な導入量および導入タイミングは、両者の反応性の比をFineman−Rossの方法などによって反応性比(r1,r2)として求め、その値を元に選択することもできる。重合系中での単量体の組成は、適宜サンプリングした重合反応溶液を分析し、未反応の各単量体の濃度、各単量体の転化率、1H−NMRにより測定される共重
合体の組成などを追跡することにより確認できる。係る方法をとることでさらに透明性や機械強度に優れたノルボルネン系付加共重合体を得ることができる。
本発明のノルボルネン系付加共重合の製造方法で用いるパラジウム系重合触媒は、非常に高活性であるため、少量の触媒を用いるのみであっても単量体から付加共重合体への転化率を98%以上、好ましくは99.5%以上とすることができる。その結果、残留する単量体や触媒残さの除去工程を必ずしも必要としない。
必要に応じて触媒残さの除去を行う場合は公知の方法を適宜用いてよく、例えば、重合反応溶液を乳酸、グリコール酸、オキシプロピオン酸、オキシ酪酸などのオキシカルボン酸やトリエタノールアミン、ジアルキルエタノールアミン、エチレンジアミンテトラ酢酸塩などの水溶液、メタノール溶液およびエタノール溶液から選ばれた溶液を用いて抽出・分離処理するか、珪藻土、シリカ、アルミナ、活性炭、セライトなどの吸着剤を用いて吸着およびフィルターでのろ過分離の処理を行うことができる。
あるいは、重合反応溶液を、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類やアセトン、メチルエチルケトンなどのケトンを用いて凝固し、次いで乾燥したりすることもできる。
本発明に係るノルボルネン系付加共重合体に含まれる触媒残さは、Pd原子として好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下にすることができる。
<付加共重合体の単離>
重合反応溶液からのノルボルネン系付加共重合体の単離方法は、特には限定されないが、例えば溶液を減圧下にて加熱濃縮したり、スチームを導入するなどして溶媒を除去してよく、さらに、押出機などを用いて乾燥、ペレット化してもよい。また付加重合体を単離することなしに、重合反応溶液をそのまま、あるいは必要に応じて添加剤を配合し、キャストすることでフィルムに成型してもよい。
<添加剤>
本発明のノルボルネン系付加共重合体には、必要に応じて種々の添加剤を配合することができる。例えば、酸化安定性を向上させ着色や劣化を防ぐため、フェノール系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤およびチオエーテル系酸化防止剤から選ばれた酸化防止剤を配合できる。該酸化防止剤には、該共重合体100重量部当たり0.001〜5重量部の割合で配合することができる。該酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3
−メチル−フェニル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,
2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアレート、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネートなどのフェノール系酸化防
止剤またはヒドロキノン系酸化防止剤;
ビス (2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフ
ァイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイトなどのリン系2次酸化防止剤;
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどのイオウ系2次酸化防止剤などを挙げることができる。
また本発明のノルボルネン系付加共重合体には難燃剤を配合することもできる。難燃剤としては公知のものを使用することができ、例えばハロゲン系難燃剤、アンチモン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、金属水酸化物などを挙げることができる。これらの中でも少量の配合で効果を示し、吸水性、低誘電性、透明性の悪化を最小限にできるリン酸エステル系難燃剤が好ましく、1,3−ビス(フェニルホスホリル)ベンゼン、1,3−ビス(ジフェニルホスホリル)ベンゼン、1,3−ビス[ジ(アルキルフェニル)ホスホリル]ベンゼン、1,3−ビス[ジ(2’,6'−ジメチルフェニル)ホスホリル]ベンゼン
、1,3−ビス[ジ(2’,6'−ジエチルフェニル)ホスホリル]ベンゼン、1,3−
ビス[ジ(2’,6’−ジイソプロピルフェニル)ホスホリル]ベンゼン、1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジブチルフェニル)ホスホリル]ベンゼン、1,3−ビス[ジ(2’−t−ブチルフェニル)ホスフホリル]ベンゼン、1,3−ビス[ジ(2’−イソプロピルフェニル)ホスホリル]ベンゼン1,3−ビス[ジ(2’−メチルフェニル)ホスホリル]ベンゼン、1,4−ビス(ジフェニルホスホリル)ベンゼン、1,4−ビス[ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスホリル]ベンゼン、1,4−ビス[ジ(2’,6’−ジエチルフェニル)ホスホリル]ベンゼン、1,4−ビス[ジ(2’,6’−ジイソプロピルフェニル)ホスホリル]ベンゼン、1,4−ビス[ジ(2’−t−ブチルフェニル)ホスホリル]ベンゼン、1,4−ビス[ジ(2’−イソプロピルフェニル)ホスホリル]ベンゼン、1,4−ビス[ジ(2’−メチルフェニル)ホスホリル]ベンゼン、4,4’−ビス[ジ(2”,6”−ジメチルフェニル)ホスホリルフェニル]ジメチルメタンなどの縮合型リン酸エステル系難燃剤がさらに好ましい。配合量は難燃剤の選択や要求される難燃性の程度によって決まるが、環状オレフィン共重合体100重量部に対し0.5〜40重量部が好ましく、2〜30重量部がさらに好ましく、4〜20重量部が最も好ましい。0.5重量部より少ない場合には効果が不充分であり、一方、40重量部を超えて使用すると透明性が損なわれたり、誘電率などの電気特性が悪化したり、吸水率が増大したり、耐熱性が悪化する場合がある。
本発明のノルボルネン系付加共重合体には、さらに必要に応じて公知の滑剤、紫外線吸収剤等、レベリング剤、染料などを配合することもできる。
<成形体の製造>
本発明のノルボルネン系付加共重合体は熱溶融成型に適したガラス転移温度を示し、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法などの方法で成型することができる。また、適当な溶媒に溶解し、キャストすることでフィルム、シートなどの形状に成型することもできる。特には熱溶融成型が溶媒を必要とせず経済的には有利であるため好ましい。
また、本発明のノルボルネン系付加共重合体の成型体には、必要に応じてITO、ポリチオフェン、ポリアニリンなどの導電性膜、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウムなどのバリアー膜、その他公知のハードコート層、反射防止層、防汚層、赤外線フィルター層、紫外線フィルター層、粘着剤層などを形成してもよい。これらの形成の手段とし
ては塗布による方法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法など挙げられる。
<用途>
本発明のノルボルネン系付加共重合体は優れた透明性および耐熱性、低い吸水性と誘電率を有し、光学材料、電気・電子部品、医療用器材などに好適に用いることができる。
光学材料としては、液晶表示素子、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子、プラズマディスプレイおよび電子ペーパー、ディスプレイ用カラーフィルター基板、ナノインプリント基板、ITOや導電性樹脂層を積層した透明導電フィルムおよび透明導電膜、タッチパネル、導光板、保護フィルム、偏向フィルム、位相差フィルム、近赤外フィルム、カメラレンズ、ピックアップレンズ、F−θレンズなどの光学レンズおよびプリズム類、MD、CD、DVDなどの光学記録基板などに用いることができる。
医療用器材としては薬品用パッケージ材料、滅菌容器、シリンジ、パイプ、チューブ、アンプルなどに用いられる。
電子・電気部品としては容器、トレイ、キャリアテープ、セパレーションフィルム、OA機器の絶縁材料、プリント基板用材料などに用いられる。
実施例
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、ノルボルネン系付加共重合体の分子量、ガラス転移温度、組成およびフィルムの透明性などの各種性状は、下記の方法で求めた。
(1)分子量
ウォーターズ製150C型ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)装置で、東ソー製Hタイプカラムを用い、o−ジクロロベンゼンを溶媒として120℃で測定した。得られた分子量は標準ポリスチレン換算値である。
(2)ガラス転移温度
レオバイブロンDDV−01FP(オリエンテック製)を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が4℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が2.5μmの条件で測定される、貯蔵弾性率(E')および損失弾性率(E")から導かれるTanδ(=E"/E')のピーク温度を付加共重合体のガラス転移温度とした。
(3)共重合体の組成解析
重合反応溶液の一部を採取し、標準物質としてテトラリンを添加し、過剰のイソプロパノールで重合体を凝固した。その上澄み溶液をガスクロマトグラム(島津製作所製GC−14B)装置、キャピラリーカラム(膜厚1μm、内径0.25mm、長さ60m)にて残留する単量体を定量し、求めた。
(4)透明性(全光線透過率、ヘイズ)
膜厚200μmのフィルムについて、可視UVスペクトロメーターU-2010(日立
製作所製)により、ASTM−D1003に準じて全光線透過率を測定した。またヘイズ値はJIS K7105に準じ、Haze−Gard plus (BYK−Gardner製)を用いJIS K7105に準じて測定した。
(5)破断強度および伸び
膜厚200μm、幅5cmのフィルムを用い、JIS K7113に準じて試験片を引っ張り速度3mm/min.で測定した。
(6)吸水率
23℃の水中にフィルムを24時間浸漬し、浸漬前後の重量変化より吸水率を求めた。(7)広角X線散乱(WAXS)測定
キャスト法で製膜した膜厚100μm、2cm角のフィルムを用い、X線源としてCu
Kα(λ=1.54Å)を用い、X線回折装置MXP18(ブルカーエイエックスエス(株)製)にて室温で2θが3°〜30°の範囲を5°/min.で走査して測定した。
300mlの耐圧反応器に窒素雰囲気下で水分10ppmのトルエン47ml、単量体の
5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン30mmol、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン60mmolを仕込み、分子量調節剤としてエテン0.6mmolを仕込んだ。次にトルエン溶液として調製した(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムジ(アセテート)を2.5×10-4mmol仕込み、さらに1分後、触媒成分(c)のトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート2.5×10-4mmolを仕込んで、付加重合を50℃で行った。重合開始0.5時間後、および2時間後にビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンをそれぞれ5mmol添加し、重合を計7時間行い、99.8%の転化率で付加共重合体−1の溶液を得た。この付加共重合体−1の5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンに由来する構造単位の割合は30モル%であった。
次いで、付加共重合体−1の溶液に酸化防止剤ペンタエリスリチルテトキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、およびトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトをそれぞれ付加重合体100重量部当たり、0.3重量部添加し、セライトのフィルターを通し、さらに口径10μmのテフロン(登録商標)フィルターを通した後、イソプロパノール1Lにて凝固し、回収した。この付加共重合体−1を真空下、90℃で17時間乾燥した。付加共重合体−1の数平均分子量(Mn)は45,000、重量平均分子量(Mw)は165,000で、そのガラス転移温度は225℃であった。
WAXSの散乱図を図1に、低角位ピークの2θ値を表1に示す。また、プレス成型機を用い、窒素下、290℃で成形したフィルムの全光線透過率、ヘイズ、破断物性を表1に示す。
溶媒としてトルエン20mlおよびシクロヘキサン30mlを用い、単量体の5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを15mmol、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン75mmolを仕込んだ以外は、実施例1と同様の操作を行い、99.9%の転化率で付加共重合体−2を得た。
付加共重合体−2における5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は15モル%、数平均分子量(Mn)は43,000、重量平均分子量(Mw)は175,000で、そのガラス転移温度は230℃であった。得られた付加共重合体−2のフィルムのWAXS散乱図を図2に、WAXS散乱図における低角位ピークの2θ値を表1に示す。
また、プレス成型機を用い、窒素下、295℃で成形したフィルムの全光線透過率、ヘイズ、破断物性を表1に示す。
溶媒としてシクロヘキサン50ml、単量体として5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン10mmol、およびビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン80mmolを仕込み、エテンの仕込み量を0.7mmolにしたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、99.9%の転化率で付加共重合体−3を得た。
付加共重合体−3における5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は9.9モル%、数平均分子量(Mn)は40,000、重量平均分子量(Mw)は170,000で、そのガラス転移温度は235℃であった。WAXS散乱図における低角位ピークの2θ値を表1に示す。
またプレス成型機を用い、窒素下、300℃で成形したフィルムの全光線透過率、ヘイズ、破断物性を表1に示す。
溶媒としてトルエン50ml、単量体として5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン10mmol、およびビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン80mmolを仕込み、実施例1と同様の操作を行い、99.8%の転化率で付加共重合体−4を得た。
付加共重合体−4における5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は9.9モル%、数平均分子量(Mn)は41,000、重量平均分子量(Mw)は173,000で、そのガラス転移温度は220℃であった。WAXS散乱図における低角位ピークの2θ値を表1に示す。
またプレス成型機を用い、窒素下、290℃で成形したフィルムの全光線透過率、ヘイズ、破断物性を表1に示す。
溶媒としてトルエン50ml、単量体として5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを35mmol、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン52mmol、および5−トリメトキシシリル[2.2.1]ヘプタ−2−エン3mmolを仕込み、エテンに変えて27mmolのシクロペンテンを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、99.9%の転化率で付加共重合体−5を得た。付加共重合体−5の5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は34.9モル%、5−トリメトキシシリル[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は3.0モル%、数平均分子量(Mn)は39,000、重量平均分子量(Mw)は157,000で、そのガラス転移温度は230℃であった。WAXS散乱図における低角位ピークの2θ値を表1に示す。
またプレス成型機を用い、窒素下、300℃で成形したフィルムの全光線透過率、ヘイズ、破断物性を表1に示す。このフィルムは加熱により架橋され、シクロヘキサンおよびトルエンに不溶となった。
分子量調節剤エテンの仕込み量を0.65mmolとしたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、99.9%の転化率で付加共重合体−6を得た。付加共重合体−6の付加共重合体−5の5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は30モル%、数平均分子量(Mn)は35,000、重量平均分子量(Mw)は137,000で、そのガラス転移温度は225℃であった。WAXS散乱図における低角位ピークの2θ値を表1に示す。
またプレス成型機を用い、窒素下、290℃で成形したフィルムの全光線透過率、ヘイズ、破断物性を表1に示す。
比較例1
溶媒としてトルエン50ml、単量体として5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプ
タ−2−エン50mmol、およびビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン40mmolを仕込み、エテンの仕込み量を0.4mmolにする以外、実施例1と同様の操作を行い、99.7%の転化率で付加共重合体−H1を得た。付加共重合体−H1における5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は49.6モル%、数平均分子量(Mn)は42,000、重量平均分子量(Mw)は170,000で、そのガラス転移温度は190℃であった。WAXS散乱図における低角位ピークの2θ値を表1に示す。
またプレス成型機を用い、窒素下、260℃で成形したフィルムの全光線透過率、ヘイズ、破断物性を表1に示す。このフィルムはヘイズ値が高く、強度が低いものであった。
比較例2
溶媒としてシクロヘキサン50ml、単量体として5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン4mmol、およびビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン86mmolを仕込み、エテンの仕込み量を0.7mmolとする以外、実施例1と同様の操作を行い、99.9%の転化率で付加共重合体−H2を得た。付加共重合体−H2の5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は4.0モル%、数平均分子量(Mn)は46,000、重量平均分子量(Mw)は182,000で、そのガラス転移温度は290℃であった。WAXS散乱図における低角位ピークの2θ値を表1に示す。
またプレス成型機を用い、窒素下、360℃で成形したフィルムの全光線透過率、ヘイズ、破断物性を表1に示す。得られたフィルムは高温によりやや黄色く変色していたうえ、成型時の溶融が不充分であったため表面の平坦性が悪く、透明性に劣るものであった。
比較例3
単量体として5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン30mmolの代わりに5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン30mmolを用いる以外は実施例1と同様の操作を行い、99.9%の転化率で付加共重合体−H3を得た。この付加共重合体−H3の5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は30モル%、数平均分子量(Mn)は46,000、重量平均分子量(Mw)は173,000で、そのガラス転移温度は270℃であった。WAXS散乱図における低角位ピークの2θ値を表1に示す。
またプレス成型機を用い、窒素下、340℃で成形したフィルムの全光線透過率、ヘイズ、破断物性を表1に示す。得られたフィルムは高温によりやや黄色く変色していたうえ、成型時の溶融が不充分であったため表面の平坦性が悪く、透明性に劣るものであった。
比較例4
実施例1において、分子量調節剤の仕込みエテン量を0.4mmolにしたことする以外は実施例1と同様の操作を行い、付加共重合体−H4を得た。付加共重合体−H4の5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は30モル%、数平均分子量(Mn)は63,000、重量平均分子量(Mw)は235,000で、そのガラス転移温度は235℃であった。WAXS散乱図における低角位ピークの2θ値を表1に示す。
またプレス成型機を用い、窒素下、300℃で成形したフィルムの全光線透過率、ヘイズ、破断物性を表1に示す。得られたフィルムは表面の平坦性に劣るものであった。
比較例5
実施例1において、分子量調節剤の仕込みエテン量を1.5mmolにしたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、付加共重合体−H5を得た。付加共重合体−H5の5−ヘ
キシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は30モル%、数平均分子量(Mn)は19,000、重量平均分子量(Mw)は75,000で、そのガラス転移温度は210℃であった。WAXS散乱図における低角位ピークの2θ値を表1に示す。
またプレス成型機を用い、窒素下、280℃で成形したフィルムの全光線透過率、ヘイズ、破断物性を表1に示す。得られたフィルムは靭性がなく割れやすいものであった。
比較例6
窒素で置換した100mlのガラス製耐圧ビンへ、単量体として5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン30mmol、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン70mmol、溶媒トルエン40ml、塩化メチレン10ml、分子量調節剤の1−ヘキセンを0.75mmol仕込み、ゴムシール付き穴あき王冠で封止した。さらに触媒としてヘキサフルオロアンチモン酸(HSbF6)で変性した2−エチルヘキサン酸ニッケ
ル(HSbF6/Ni=1モル比)を0.04mmol、三フッ化ホウ素ジエチルエーテ
ル錯体0.12mmol、およびトリエチルアルミニウム0.4mmolを添加し、30℃で3時間重合を行った。単量体の転化率は98%であった。乳酸0.5gを加えて撹拌し、精製水50mlで2度洗浄した後、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、およびトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトをそれぞれ付加重合体100重量部当たり、0.3重量部添加した。さらにメタノール1Lで凝固し、乾燥して付加共重合
体−H6を得た。付加共重合体−H6における5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は29.5モル%であった。この付加共重合体−H6の数平均分子量(Mn)は48,300、重量平均分子量(Mw)は123,000であった。また、ガラス転移温度は280℃であり、実施例で得られた付加共重合体−1と比較して高いものであった。WAXS散乱図における低角位ピークの2θ値を表1に示す。
またプレス成型機を用い、窒素下、350℃で成形したフィルムの全光線透過率、ヘイズ、破断物性を表1に示す。得られたフィルムは黄色に着色した。
Figure 2007197603
本発明のビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン系付加共重合体は光学材料、電気・電子部品、医療用器材などに好適に使用することができる。
光学材料としては、液晶表示素子、有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)、プラズマディスプレイおよび電子ペーパー用などの基板材料、ディスプレイ用カラーフィルター基板、ナノインプリント基板、ITOや導電性樹脂層を積層した透明導電フィルムおよび透明導電膜、タッチパネル、導光板、保護フィルム、偏向フィルム、位相差フィルム、近赤外フィルム、カメラレンズ、ピックアップレンズ、F−θレンズなどの光学レンズおよびプリズム類、MD、CD、DVDなどの光学記録基板などに用いられる。
医療用器材としては薬品容器、滅菌容器、シリンジ、パイプ、チューブ、アンプルなどに用いられる。
電子・電気部品としては容器、トレイ、キャリアテープ、セパレーションフィルム、OA機器の絶縁材料、フレキシブルプリント基板の絶縁層材料などに用いられる。
図1は、実施例1で得た付加共重合体−1について測定した広角X線散乱図を示す。 図2は、実施例2で得た付加共重合体−2について測定した広角X線散乱図を示す。

Claims (14)

  1. 下記式(1)で表される構造単位(1)50〜95モル%、および、下記式(2)で表される構造単位(2)5〜50モル%を有し、
    CuKα線を用いた広角X線散乱(WAXS)の散乱図において、測定された2つのピークのうち、低角位のピークの2θが10°以上であり、
    数平均分子量(Mn)が20,000〜48,000であることを特徴とするノルボルネン系付加共重合体。
    Figure 2007197603
    Figure 2007197603
    (式(2)中、Aは炭素数6以上のアルキル基を示す。)
  2. ガラス転移温度が180〜260℃であることを特徴とする請求項1に記載のノルボルネン系付加共重合体。
  3. 前記構造単位(1)を60〜85モル%、前記構造単位(2)を15〜40モル%有することを特徴とする請求項1または2に記載のノルボルネン系付加共重合体。
  4. 前記構造単位(2)が、5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンからなる群より選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のノルボルネン系付加共重合体。
  5. 全単量体中、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン50〜95モル%と、炭素数6以上のアルキル基を有する5−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン5〜50モル%とを含む単量体組成物を、
    下記(a)、(b)および(c)を含む触媒を用いて付加共重合することを特徴とするノルボルネン系付加共重合体の製造方法;
    (a)パラジウムの有機酸塩またはパラジウムのβ−ジケトネート化合物、
    (b)下記式(b)で表される化合物から選ばれるホスフィン化合物、
    P(R12(R2) …(b)
    [式(b)中、Pはリン原子、R1は炭素数5〜12の未置換またはアルキル置換のシ
    クロペンチル基またはシクロヘキシル基であり、R2は炭素数3〜10の炭化水素基を表
    す。]
    (c)イオン性のホウ素化合物またはイオン性のアルミニウム化合物。
  6. 触媒成分(b)がトリシクロペンチルホスフィンまたはトリシクロヘキシルホスフィンであることを特徴とする請求項5に記載のノルボルネン系付加共重合体の製造方法。
  7. 単量体組成物100モル%中、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン50〜95モル%と、炭素数6以上のアルキル基を有する5−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン5〜50モル%とを含む単量体組成物を、
    (c)イオン性のホウ素化合物またはイオン性のアルミニウム化合物、および、
    (d)下記式(d)で表される、パラジウムとホスフィン化合物との錯体
    を含む触媒を用いて付加共重合することを特徴とするノルボルネン系付加共重合体の製造方法;
    Pd[P(R12(R2)]k2 …(d)
    [式(d)中、R1は炭素数5〜12の未置換またはアルキル置換のシクロペンチル基ま
    たはシクロヘキシル基であり、R2は炭素数3〜10の炭化水素基であり、Xは有機酸ア
    ニオンおよびβ−ジケトネートアニオンから選ばれたアニオンであり、kは1または2である。]。
  8. 前記錯体(d)を形成するホスフィン化合物がトリシクロペンチルホスフィンあるいはトリシクロヘキシルホスフィンであることを特徴とする請求項7に記載のノルボルネン系付加共重合体の製造方法。
  9. 触媒成分(c)のカチオンがカルベニウムカチオンであり、アニオンがテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンまたはテトラキス(パーフルオロアルキルフェニル)ボレートアニオンであるイオン性ホウ素化合物であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のノルボルネン系付加共重合体の製造方法。
  10. 得られるノルボルネン系付加共重合体が、
    前記式(1)で表される構造単位(1)50〜95モル%、および、前記式(2)で表される構造単位(2)で表される構造単位(2)5〜50モル%を有し、
    CuKα線を用いた広角X線散乱(WAXS)の散乱図において、測定される2つのピークのうち、低角位のピークの2θが10°以上であることを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載のノルボルネン系付加共重合体の製造方法。
  11. 得られるノルボルネン系付加共重合体の数平均分子量(Mn)が20,000〜48,000であることを特徴とする請求項6〜10に記載のノルボルネン系付加共重合体の製造方法。
  12. 請求項1〜4のいずれかに記載のノルボルネン系付加共重合体から得られることを特徴とするフィルムまたはシート。
  13. 請求項1〜4のいずれかに記載のノルボルネン系付加共重合体を溶融成形して得られることを特徴とする請求項12に記載のフィルムまたはシート。
  14. 厚さ200μmのフィルムにおける全光線透過率が85%以上であること特徴とする、請求項12または13に記載のフィルムまたはシート。
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