JP2008115379A - 環状オレフィン系付加重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【効果】本発明によれば、分子量分布が狭く、分子量が制御され、加工性と機械的強度のバランスに優れた均質な環状オレフィン系付加重合体を、高い重合転化率で製造することができ、温度制御性に優れ、工業生産性に優れた環状オレフィン系付加重合体の製造方法を提供することができる。
【選択図】なし
Description
下記式(1)で表される環状オレフィン系化合物を含む単量体を、ニッケル化合物またはパラジウム化合物を含む触媒を用いて、分子量調節剤の存在下に付加重合する方法であって、
単量体の総量の、80重量%以下の量の単量体を使用して重合反応を開始させる工程と、
その重合反応中に単量体の残余を反応系に供給する工程と
を含むことを特徴としている。
また、本発明の環状オレフィン系付加重合体の製造方法では、重合反応が連続重合法により行われ、重合転化率が97%以上であることが好ましい。
本発明の環状オレフィン系付加重合体の製造方法では、単量体が、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンおよび炭素数1〜12のアルキル基を有する5−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンよりなる群より選ばれる1種以上を合計90モル%以上含むことが好ましい。また、本発明の環状オレフィン系重合体の製造方法では、単量体が、5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、および、5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンよりなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
(b)下記式(b)で表されるホスフィン化合物、
P(R1)2(R2) …(b)
(式(b)中、R1はシクロペンチル基、シクロヘキシル基、イソプロピル基より選ばれる置換基であり、R2は炭素数3〜10の炭化水素基を表す。)
(c)下記式(c)で表される2価パラジウムのホスフィン錯体、
Pd[P(R1)2(R2)]nX2 …(c)
(式(c)中、R1はシクロペンチル基、シクロヘキシル基、イソプロピル基より選ばれる置換基であり、R2は炭素数3〜10の炭化水素基を表し、Xは有機酸アニオンあるいはβ−ジケトネートアニオンであり、nは1または2を示す。)
(d)イオン性のホウ素化合物
本発明の環状オレフィン系付加重合体の製造方法では、前記ホスフィン化合物(b)が、トリシクロペンチルホスフィンまたはトリシクロヘキシルホスフィンであることが好ましい。
本発明において、重合とは、重合あるいは共重合を表し、また、単量体とは、一種の化合物からなる単量体あるいは複数の化合物からなる単量体組成物を表す。
本発明の環状オレフィン系付加重合体の製造方法において用いられる単量体は、上記式(1)で表される化合物を少なくとも1種含む。上記式(1)で表される環状オレフィン化合物の具体例としては以下のものを挙げることができる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ドデシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチル−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ベンジルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−インダニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ビニリデンビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(1−ブテニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、
3−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン、
5,6−ベンゾビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−プロピルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−ブチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン
など。
5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸メチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸メチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸エチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸エチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸イソプロピル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸ブチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸t−ブチル、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、
4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸エチル、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9エン−4−カルボン酸t−ブチル、
4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9エン−4−カルボン酸t−ブチル。
酢酸[ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル]、
酢酸[ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−メチル−2−イル]、
プロピオン酸[ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル]、
プロピオン酸[ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−メチル−2−イル]、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9エン−4,5−ジカルボン酸無水物、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−N−シクロヘキシル−2,3−カルボンイミド、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−N−フェニル−2,3−カルボンイミド、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−スピロ−N−シクロヘキシルスクシンイミド、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−スピロ−N−フェニルスクシンイミド。
5−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[(3−オキセタニル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[(3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチル
など。
5−トリメチルシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−トリエチルシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−トリイソプロピルシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
など。
2−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、
2−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、
2−メチルジメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、
2−メチルジエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、
2−メチルジクロロシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、
4−トリメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン、4−トリエトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン、4−メチルジメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン、
2−[1’ −メチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、
2−[1’,3’,4’−トリメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、
2−[1’,4’,4’−トリメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン
など。
上記の単量体の中でも、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンおよび炭素数1〜12のアルキル基を有する5−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンからなる群より選ばれる1種以上(以下「特定単量体(1)」とする)を用いることで、得られる環状オレフィン系重合体のガラス転移温度、柔軟性などを目的に応じて制御できる。また、全単量体に対する特定単量体(1)の割合を高くすることで、重合活性が向上され、その結果、脱灰工程や未反応単量体の除去工程を必ずしも必要としなくすることが可能であるため好ましく、90モル%以上とすることが特に好ましい。
本発明で用いられる重合触媒は、上記単量体を付加共重合し得るものであれば特に限定されるものではないが、ニッケル化合物またはパラジウム化合物を含むことが好ましい。
酢酸ニッケル、プロピオン酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、3,5,5−トリメチルヘキサン酸ニッケル、オクタン酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、ネオデカン酸ニッケル、ニッケル(アセテート)(ヘキサフルオロアンチモネート)、ニッケル(プロピオネート)(ヘキサフルオロアンチモネート)、ニッケル(2−エチルヘキサノエート)(ヘキサフルオロアンチモネート)、ニッケル(オクタノエート)(ヘキサフルオロアンチモネート)、ニッケル(ネオデカノエート)(ヘキサフルオロアンチモネート)、酢酸パラジウム、クロロ酢酸パラジウム、フルオロ酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸パラジウム、酪酸パラジウム、3−メチル酪酸パラジウム、ペンタン酸パラジウム、ヘキサン酸パラジウム、2−エチルヘキサン酸パラジウム、オクタン酸パラジウム、ドデカン酸パラジウム、ナフテン酸パラジウム、ネオデカン酸パラジウム、シクロヘキサンカルボン酸パラジウム、安息香酸パラジウム、2−メチル安息香酸パラジウム、4−メチル安息香酸パラジウム、ナフタレンカルボン酸パラジウムなどのカルボン酸塩;
メタンスルホン酸ニッケル、トリフルオロメタンスルホン酸ニッケル、p−トルエンスルホン酸ニッケル、ベンゼンスルホン酸ニッケル、ドデシルベンゼンスルホン酸ニッケル、メタンスルホン酸パラジウム、トリフルオロメタンスルホン酸パラジウム、p−トルエンスルホン酸パラジウム、ベンゼンスルホン酸パラジウム、ナフタレンスルホン酸パラジウム、ドデシルベンゼンスルホン酸パラジウムなどの炭素数1〜20の有機スルホン酸塩;
ニッケルビス(アセチルアセトネート)、ニッケルビス(ヘキサフルオロアセチルアセトネート、パラジウムビス(アセチルアセトネート)、パラジウムビス(ヘキサフルオロアセチルアセトネートなどの炭素数5〜15のβ−ジケトネート化合物が挙げられる。
Pd[P(R1)2(R2)]nX2 …(c)
(式(c)中、R1はシクロペンチル基、シクロヘキシル基、イソプロピル基より選ばれる置換基であり、R2は炭素数3〜10の炭化水素基を表し、Xは有機酸アニオンあるいはβ−ジケトネートアニオンであり、nは1または2を示す。)
このような2価パラジウムのホスフィン錯体(c)の具体例としては、
(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムジ(アセテート)、
[ビス(トリシクロペンチルホスフィン)]パラジウムジ(アセテート)、
[ジシクロペンチル(t−ブチル)ホスフィン]パラジウムジ(アセテート)、
[ジシクロペンチル(シクロヘキシル)ホスフィン]パラジウムジ(アセテート)、
[ジシクロペンチル(2−メチルフェニル)ホスフィン]パラジウムジ(アセテート)、(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムビス(トリフルオロアセテート)、
ビス(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムビス(トリフルオロアセテート)、
[ジシクロペンチル(シクロヘキシル)ホスフィン]パラジウムビス(トリフルオロアセテート)、
(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムジ(プロピオネート)、
ビス(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムジ(プロピオネート)、
(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムビス(2−エチルヘキサノエート)、
ビス(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムビス(2−エチルヘキサノエート)、(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムビス(アセチルアセトネート)、
ビス(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムビス(アセチルアセトネート)、
[ジシクロペンチル(シクロヘキシル)ホスフィン]パラジウムビス(アセチルアセトネート)、
(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムビス(トリフルオロメタンスルホネート)、
ビス(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムビス(トリフルオロメタンスルホネート)、
(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムジ(アセテート)、
[ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)]パラジウムジ(アセテート)、
[ジシクロヘキシル(t−ブチル)ホスフィン]パラジウムジ(アセテート)、
[ジシクロヘキシル(シクロペンチル)ホスフィン]パラジウムジ(アセテート)、
[ジシクロヘキシル(2−メチルフェニル)ホスフィン]パラジウムジ(アセテート)、(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムビス(トリフルオロアセテート)、
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムビス(トリフルオロアセテート)、
[ジシクロヘキシル(シクロペンチル)ホスフィン]パラジウムビス(トリフルオロアセテート)、
(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムジ(プロピオネート)、
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムジ(プロピオネート)、
(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムビス(2−エチルヘキサノエート)、
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムビス(2−エチルヘキサノエート)、(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムビス(アセチルアセトネート)、
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムビス(アセチルアセトネート)、
[ジシクロヘキシル(シクロペンチル)ホスフィン]パラジウムビス(アセチルアセトネート)、
(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムビス(トリフルオロメタンスルホネート)、
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムビス(トリフルオロメタンスルホネート)などを挙げることができる。
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロライド、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジブロマイド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケルジクロライド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケルジブロマイド、ビス(トリシクロペンチルホスフィン)ニッケルジクロライド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロライド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムジクロライド、ビス(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムジクロライド、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケルジクロライド、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウムジクロライド、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウムメチルクロライドなどのハロゲン化物塩のホスフィン錯体;
[テトラキス(アセトニトリル)パラジウム]テトラフルオロボレート、テトラキス(ベンゾニトリル)パラジウムヘキサフルオロアンチモネートなどのニトリル化合物との錯体;
[(η3-クロチル)(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[(η3-クロチル)(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム]テトラフルオロボレート、[(η3-アリル)(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム]トリフルオロアセテート、[(η3-アリル)(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム]テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、(メチル)(1,5−シクロオクタジエン)(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムクロライド、[(メチル)(1,5−シクロオクタジエン)(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム]テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、[(η3-クロチル)(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[(η3-クロチル)(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル]テトラフルオロボレート、(η6−ベンゼン)ビス(ペンタフルオロフェニル)ニッケル、(η6−トルエン)ビス(ペンタフルオロフェニル)ニッケル、(η6−ベンゼン)ビス(トリクロロシリル)ニッケル、(η6−トルエン)ビス(トリクロロシリル)ニッケル、[6−メトキシノルボルネン−2−イル−5−パラジウム(シクロオクタジエン)]ヘキサフルオロホスフェートなど、炭素とのσ−あるいはπ−結合を有する錯体;などを挙げることもできる。
(b)下記式(b)で表されるホスフィン化合物、
P(R1)2(R2) …(b)
(式(b)中、R1はシクロペンチル基、シクロヘキシル基、イソプロピル基より選ばれる置換基であり、R2は炭素数3〜10の炭化水素基を表す。)
(c)下記式(c)で表される2価パラジウムのホスフィン錯体、
Pd[P(R1)2(R2)]nX2 …(c)
(式(c)中、R1はシクロペンチル基、シクロヘキシル基、イソプロピル基より選ばれる置換基であり、R2は炭素数3〜10の炭化水素基を表し、Xは有機酸アニオンあるいはβ−ジケトネートアニオンであり、nは1または2を示す。)
(d)イオン性のホウ素化合物。
(式(d)中、R3はカルベニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、アンモニウムカチオンまたはアニリニウムカチオンから選ばれた炭素数4〜25の有機カチオンを示し、Mはホウ素原子あるいはアルミニウム原子を示し、R4はフッ素原子置換またはフッ化アルキル置換のフェニル基を示す。)
このようなイオン性のホウ素化合物(d)としては、具体的には、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリ(p−トリル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス〔3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕ボレート、
トリ(p−トリル)カルベニウムテトラキス〔3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
などを挙げることができる。
<分子量調節剤>
本発明の環状オレフィン系付加重合体の製造方法においては、得られる付加重合体の用途に応じて分子量を制御する目的で、分子量調節剤の存在下にて付加重合を行うことが好ましい。分子量調節剤としては、好ましくはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、トリメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシランなどの1−アルケン化合物または置換1−アルケン化合物、シクロペンテンなどの単環モノオレフィン化合物、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物などが用いられる。これらの分子量調節剤のうちでも、1−アルケン化合物を用いることが好ましく、中でもエチレンが最も好ましい。分子量調節剤の使用量は、環状オレフィン系付加共重合体の目標とする分子量、触媒成分の選択、重合温度条件の選択などによって変わるため一概には言えないが、全単量体に対しモル比で0.001〜0.5倍の量を用いることが好ましい。また、これらの分子量調節剤は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
従来の重合方法では、環状オレフィン系付加重合体を製造する際に、低分子量の成分が多く生成し機械強度や耐熱性の低下を招く事があった。係る低分子量成分の生成は、環状オレフィン化合物と分子量調節剤との反応性の差に起因することが明らかとなった。すなわち分子量調節剤が単量体に比して極端に遅い反応速度を示し、その結果、重合後期において系中に過剰に存在することとなるため、特に高転化率において低分子量成分を生成する。かかる現象を抑制する手段の一つとして低い転化率で重合を停止することが挙げられるが、経済性および生産性の点から望ましくない。
本発明で得られる環状オレフィン系付加重合体は、好ましくは、その分子量が、ゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)で20,000〜200,000、より好ましくは30,000〜100,000、さらに好ましくは30,000〜50,000である。数平均分子量が20,000未満では、成形体の機械強度が低下し、脆いものとなる場合がある。一方、その数平均分子量が200,000を超えると溶融粘度が高くなりすぎるため成形が困難になり、あるいは成形体の平坦性が損なわれることが多い。
本発明の方法で得られる環状オレフィン系付加重合体には、必要に応じて種々の添加剤を配合することができる。例えば、酸化安定性を向上させ着色や劣化を防ぐため、フェノール系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤から選ばれた酸化防止剤を該付加重合体100重量部当たり0.001〜5重量部の割合で配合することができる。酸化防止剤の具体例としては、
1)2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチル−フェニル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアレート、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネートなどのフェノール系酸化防止剤またはヒドロキノン系酸化防止剤、
2)ビス (2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイトなどのリン系2次酸化防止剤
3)ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどのイオウ系2次酸化防止剤などを挙げることができる。
<成形体>
本発明の方法によって得られる環状オレフィン系付加重合体は射出成形法、押出成形法、圧縮成形法などの方法で成形することができる。また、適当な溶媒に溶解し、キャストすることでフィルム、シートなどの形状に成形することもできる。
本発明の方法によって得られる環状オレフィン系付加重合体は、優れた透明性および耐熱性、低い吸水性と誘電率を有し、光学材料、電気・電子部品、医療用器材などに好適に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、環状オレフィン系付加共重合体の分子量、ガラス転移温度、フィルムの透明性、強度などの各種性状は、下記の方法で求めた。
東ソー製Hタイプカラムを装備したウォーターズ製150C型ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)を用い、o−ジクロロベンゼンを溶媒として120℃で測定した。得られた分子量は標準ポリスチレン換算値である。
重合反応溶液の一部を採取し、過剰のイソプロパノールで重合体を凝固した上澄みをキャピラリーカラム(膜厚1μm、内径0.25mm、長さ60m)を装備したガスクロマトグラム(島津製作所製GC−14B)装置にて残留単量体を定量することで組成を算出した。
膜厚100μmのフィルムについて、Haze−Gard plus (BYK−Gardner製)を用いASTM−D1003に準じて全光線透過率を、JIS K7105に準じてヘイズ値を測定した。
JIS K7113に準じて試験片を引っ張り速度3mm/minで測定した。
[実施例1]
ジャケットを装備した容量20Lのステンレス製オートクレーブを充分に窒素で置換し、トルエンを8.9kg、トルエン溶液としたビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを875g(9.30mol)、5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを1.07kg(7.13mol)を仕込み、0.05MPaとなるまで窒素で加圧した。撹拌しながらエチレンを0.0065MPaの分圧となるまで導入し、50℃に加熱した。
ジャケットを装備した容量20Lのステンレス製オートクレーブを充分に窒素で置換し、トルエンを8.9kg、トルエン溶液としたビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを1.46kg(15.5mol)、5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを1.43kg(9.50mol)を仕込み、0.05MPaとなるまで窒素で加圧した。撹拌しながらエチレンを0.0090MPaの分圧となるまで導入し、50℃に加熱した。
ジャケットを装備した容量20Lのステンレス製オートクレーブを充分に窒素で置換し、トルエンを8.9kg、トルエン溶液としたビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを1220g(13.0mol)、5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを1427g(9.51mol)を仕込み、0.05MPaとなるまで窒素で加圧した。撹拌しながらエチレンを0.0085MPaの分圧となるまで導入し、50℃に加熱した。
ジャケットを装備した容量20Lのステンレス製オートクレーブを充分に窒素で置換し、トルエンを8.7kg、トルエン溶液としたビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを902g(9.59mol)、5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを600g(3.99mol)を仕込み、0.05MPaとなるまで窒素で加圧した。撹拌しながらエチレンを0.0085MPaの分圧となるまで導入し、50℃に加熱した。
ジャケットを装備した容量20Lのステンレス製オートクレーブを充分に窒素で置換し、トルエンを8.9kg、トルエン溶液としたビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを1.88kg(20.0mol)、5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを1.00kg(6.65mol)を仕込み、0.05MPaとなるまで窒素で加圧した。撹拌しながらエチレンを0.0110MPaの分圧となるまで導入し、50℃に加熱した。
[実施例3]
ジャケットを装備した容量20Lのステンレス製オートクレーブを充分に窒素で置換し、トルエンを8.7kg、トルエン溶液としたビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを915g(9.72mol)、5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを527g(3.51mol)、2−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エンを83.3g(0.39mol)を仕込み、0.05MPaとなるまで窒素で加圧した。撹拌しながらエチレンを0.0085MPaの分圧となるまで導入し、50℃に加熱した。
撹拌翼およびジャケットを装備した内容積20リットルのステンレス製槽型反応容器を直列に2基接続し、第1反応器にビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンのトルエン溶液(75重量%)を毎時0.81L、5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを毎時0.47L、トルエンを毎時3.47L、エチレンを毎時0.90NL、(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウムジ(アセテート)のトルエン溶液(0.001mol/L)を毎時18ミリリットル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.001mol/L)を毎時18ミリリットルでそれぞれ連続的に供給し、第2反応器にビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンのトルエン溶液(75重量%)を毎時0.10Lで供給した。両容器内温度を50℃に保持し、共重合を行った。安定するまで充分に反応を続行した後、第2反応容器より連続的に排出される重合溶液の一部(転化率97〜98%)をガラスフラスコに採取し、50℃で2時間静置したところ、転化率99.8%で共重合体Gの溶液を得た。共重合体GにおけるMnは80,000、Mwは202,000であった。
当該光学材料としては、液晶表示素子、有機EL素子、プラズマディスプレイおよび電子ペーパー、ディスプレイ用カラーフィルター基板、ナノインプリント基板、ITOや導電性樹脂層を積層した透明導電フィルムおよび透明導電膜、タッチパネル、導光板、保護フィルム、偏向フィルム、位相差フィルム、近赤外線カットフィルム、光拡散フィルム、反射防止フィルム、高反射フィルム、半透過半反射フィルム、NDフィルター、ダイクロイックフィルター、電磁波シールドフィルム、ビームスプリッター、光通信用フィルター、カメラレンズ、ピックアップレンズ、F−θレンズなどの光学レンズおよびプリズム類、MD、CD、DVDなどの光学記録基板などに用いることができる。医療用器材としては薬品用パッケージ材料、滅菌容器、シリンジ、パイプ、チューブ、アンプルなどに用いられる。電子・電気部品としては容器、トレイ、キャリアテープ、セパレーションフィルム、OA機器の絶縁材料、フレキシブルプリント基板の絶縁層材料などに用いることができる。
Claims (10)
- 下記式(1)で表される環状オレフィン系化合物を含む単量体を、ニッケル化合物またはパラジウム化合物を含む触媒を用いて、分子量調節剤の存在下に付加重合する方法であって、
単量体の総量の、80重量%以下の量の単量体を使用して重合反応を開始させる工程と、
その重合反応中に単量体の残余を反応系に供給する工程と
を含むことを特徴とする環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
- 重合反応が連続重合法により行われ、重合転化率が97%以上であることを特徴とする請求項1に記載の環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
- 分子量調節剤が1−アルケン化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
- 単量体が、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンおよび炭素数1〜12のアルキル基を有する5−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンよりなる群より選ばれる1種以上を合計90モル%以上含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の環状オレフィン系重合体の製造方法。
- 単量体が、5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、および、5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンよりなる群より選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の環状オレフィン系重合体の製造方法。
- 触媒が、下記(a)、(b)および(d)を用いて得られる触媒、あるいは、下記(c)および(d)を用いて得られる触媒であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の環状オレフィン系重合体の製造方法;
(a)パラジウムの有機酸塩またはパラジウムのβ−ジケトネート化合物、
(b)下記式(b)で表されるホスフィン化合物、
P(R1)2(R2) …(b)
(式(b)中、R1はシクロペンチル基、シクロヘキシル基、イソプロピル基より選ば
れる置換基であり、R2は炭素数3〜10の炭化水素基を表す。)
(c)下記式(c)で表される2価パラジウムのホスフィン錯体、
Pd[P(R1)2(R2)]nX2 …(c)
(式(c)中、R1はシクロペンチル基、シクロヘキシル基、イソプロピル基より選ば
れる置換基であり、R2は炭素数3〜10の炭化水素基を表し、Xは有機酸アニオンある
いはβ−ジケトネートアニオンであり、nは1または2を示す。)
(d)イオン性のホウ素化合物。 - 前記ホスフィン化合物(b)が、トリシクロペンチルホスフィンまたはトリシクロヘキシルホスフィンであることを特徴とする請求項6に記載の環状オレフィン系付加共重合体の製造方法。
- 前記2価パラジウムのホスフィン錯体(c)が、パラジウムとトリシクロペンチルホスフィンとの錯体、あるいはパラジウムとトリシクロヘキシルホスフィンとの錯体であることを特徴とする請求項6または7に記載の環状オレフィン系付加共重合体の製造方法。
- 前記イオン性のホウ素化合物(d)が、カチオンがカルベニウムカチオンであり、アニオンがテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンまたはテトラキス(パーフルオロアルキルフェニル)ボレートアニオンである、イオン性のホウ素化合物であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
- 全単量体に対して20重量%以上の割合で用いられる全ての単量体成分を、重合反応を開始させる工程と、残余をその重合反応中に供給する工程とに振り分けて供給することを特長とする請求項1〜9のいずれかに記載の環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
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