JP2007197139A - 作業機械の警報装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価な装置構成で、所要の警報精度を得ることのできる作業機械の警報装置を提供する。
【解決手段】ブーム5を俯仰させるブーム油圧シリンダ7のシリンダ圧を検出する圧力センサ15、ブーム5の俯仰位置が所定ブーム角以上の上方位置にあることを検出する位置検出近接スイッチ16と、圧力センサ15の出力信号を受けてブーム油圧シリンダ7のシリンダ圧が設定圧以上になったときに過負荷信号を出力するデジタルメータリレー18と、デジタルメータリレー18の出力信号を受けて警報を発する警報器19とを備え、デジタルメータリレー18は、シリンダ圧の設定圧として、ブーム5の俯仰位置が所定ブーム角未満の下方位置にあるときの設定値である第1設定圧と、この第1設定圧よりも大きな値であってブーム5の俯仰位置が所定ブーム角以上の上方位置にあるときの設定値である第2設定圧との2つの設定圧が設定できるようにされている。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両本体に俯仰可能に設けられるブームと、このブームの先端部に回動可能に設けられるアームとを備える作業機械の警報装置に関するものである。
従来、油圧ショベルのような作業機械においては、アーム先端のアタッチメントで荷を吊る際の車体の転倒防止のために、過負荷警報装置が備えられている。この過負荷警報装置は、図6に示されるように、ブームシリンダのボトム側圧力を検出することにより吊り荷重を検出する圧力センサ51と、ブーム角度(ブーム姿勢)およびアーム角度(アーム姿勢)をそれぞれ検出するポテンショメータよりなるブーム角度検出センサ52およびアーム角度検出センサ53とを備え、各センサ51,52,53からの検出データを専用コントローラ54に取り込み、この専用コントローラ54にてアーム先端位置に対応する吊り荷重を演算するようにし、この吊り荷重が予め設定される許容荷重を越えたときに警報器55に警報信号を出力し、警報を発するように構成されている(特許文献1,2,3参照)。
特開平5−321302号公報 特開平7−285787号公報 特開平7−259141号公報
しかしながら、上記従来の過負荷警報装置では、吊り荷重を正確に演算し高精度であるという利点はあるものの、専用コントローラが必要であるほか、ポテンショメータで構成される2個の角度センサが必要であるために、コスト高であるとともに、複雑な構成とならざるを得ず、信頼性を確保することが大変であるという問題点がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、安価な装置構成で、所要の警報精度を得ることのできる作業機械の警報装置を提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するために、本発明による作業機械の警報装置は、
車両本体に俯仰可能に設けられるブームと、このブームの先端部に回動可能に設けられるアームとを備える作業機械の警報装置であって、
前記ブームを俯仰させるブーム油圧シリンダのシリンダ圧を検出する圧力センサと、
前記ブームの俯仰位置が所定ブーム角以上の上方位置にあるか否かを検出する位置検出スイッチと、
前記圧力センサの出力信号を受けて前記ブーム油圧シリンダのシリンダ圧が設定圧以上になったときに過負荷信号を出力するデジタルメータリレーと、
前記デジタルメータリレーの出力信号を受けて警報を発する警報器とを備え、
前記デジタルメータリレーは、前記シリンダ圧の設定圧として、前記ブームの俯仰位置が前記所定ブーム角未満の下方位置にあるときの設定値である第1設定圧と、この第1設定圧よりも大きな値であって前記ブームの俯仰位置が前記所定ブーム角以上の上方位置にあるときの設定値である第2設定圧との2つの設定圧が設定できるようにされている
ことを特徴とするものである。
本発明においては、アームの先端に許容の吊り荷重を吊った時のブーム油圧シリンダのシリンダ圧を警報圧力(設定圧)とし、実測されるシリンダ圧が前記警報圧力以上になったときにデジタルメータリレーから警報器に過負荷信号が出力され警報が発せられる。ここで、ブームおよびアームを倒伏状態から上方に起立させていくほど、ブームの支持点を中心とするモーメントは小さくなって、より大きな荷重を吊れるようになるが、ブーム油圧シリンダが上向きになるためシリンダ圧は逆に大きくなる。このため、ブームの俯仰位置を位置検出スイッチにより検出し、この俯仰位置が所定ブーム角未満の下方位置にあるときの警報圧力(第1設定圧)と、前記俯仰位置が所定ブーム角以上の上方位置にあるときの警報圧力(第2設定圧)とを切り換えるようにして警報精度の向上が図られている。
本発明によれば、市販のデジタルメータリレーを用いるという安価かつ簡易な構成で、作業機械の転倒防止のための精度の良い警報装置を提供することができる。
次に、本発明による作業機械の警報装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る過負荷警報装置のシステム構成図が示されている。本実施形態は、クレーン機能付き油圧ショベルに適用された例を示すものである。
本実施形態の油圧ショベル1は、下部走行体2とその下部走行体2の上方に旋回自在に設けられた上部旋回体3とを備える車両本体4と、この車両本体4の前部にブーム5がブームフートピン6周りに俯仰可能に枢着されて構成されている。車両本体4の前部であってブームフートピン6の斜め下方にはブーム油圧シリンダ(以下、「ブームシリンダ」という。)7の基端部が枢支ピン8にて枢支され、このブームシリンダ7のロッド先端部はブーム5の長手方向の略中央部に枢着されている。また、ブーム5の先端部にはアーム9がアームシリンダ10により回動可能に枢着され、さらにアーム9の先端部にはバケット11がバケットシリンダ12によりリンク機構13を介して回動可能に枢着されている。また、バケット11の近傍にはクレーン作業を行うための吊り具14が配置され、この吊り具14に吊り荷W(吊り荷重WL)が吊り下げられる。
本実施形態では、吊り荷Wによりブーム5に加わる負荷を検出するために、ブームシリンダ7のボトム側室の圧力(シリンダ圧)を検出する圧力センサ15が設けられるとともに、ブーム5の俯仰位置を検出する位置検出近接スイッチ(以下、「ブーム位置検出スイッチ」という。)16が設けられている。
一方、前記車両本体4の運転室17内には、デジタルメータリレー18が設けられるとともに、このデジタルメータリレー18からの出力信号を受けて警報を発する警報器(警報ブザーおよび警報ランプ)19が設けられている。前記デジタルメータリレー18は、前記圧力センサ15からの出力信号(直流電圧信号)を受けてその信号をデジタル処理し、任意の設定値と比較判定を行うデジタルメータ(例えばオムロン(株)製、「小型デジタルパネルメータK3GN−NDT1」)18aと、前記ブーム位置検出スイッチ16からの検出信号および前記デジタルメータ18aからの出力信号を受けて警報信号を前記警報器19に出力するリレー回路18bを備えている。ここで、前記デジタルメータ18aにて設定されるブームシリンダ7のシリンダ圧(ブーム圧)、言い換えれば警報圧力値は、235kgf/cmと275kgf/cmの2段階とされている。
次に、前記ブーム位置検出スイッチ16の詳細構造について説明する。図2に示されるように、ブーム5の基端部をブームフートピン6を介して支持する一対のブームフートブラケット20,20の一側部には、ブームフートピン6の側方に位置して取付ブラケット21が固着され、この取付ブラケット21にブームフートピン6と略平行になるようにブーム位置検出スイッチ16が取り付けられている。このブーム位置検出スイッチ16は、静電容量形近接スイッチであり、物体に無接触で物体の有無を検出するタイプの位置センサである。一方、ブーム位置検出スイッチ16の検出部に対向する側のブーム5の外側面には検出プレート22が貼着されている。この検出プレート22は、環状板の一部を扇形に切り取った形状であって、ブーム位置検出スイッチ16の対向位置に来たときにそのブーム位置検出スイッチ16がON作動するように構成されている。そして、この検出プレート22は、ブーム角度がマックスリーチ姿勢(図3(a)参照)における角度θa(後述する)から警報値切換え角度θc(後述する)に達するまではブーム位置検出スイッチ16がOFF状態にあり、ブーム角度が切換え角度θc以上になったときにはブーム位置検出スイッチ16がON作動するようにその大きさ・形状が定められている。
この種の油圧ショベル1においては、図3(a)に示されるように、ブーム5に対してアーム9が最大限に伸び切っており、かつブームフートピン6と吊り具14の支持点(荷重点)14aとを結ぶ直線が水平となった作業機姿勢(「マックスリーチ姿勢」という。)を採ったときが、ブームフートピン6周りのモーメントが最大になることから、機体の安定性が最も低い。このときのブーム角度(水平面からのブーム5の起立角度)をθaとする。また、このマックスリーチ姿勢から、作業機姿勢を維持したままブームシリンダ7を伸長させていき、ブーム角度が略鉛直上方を向く図3(b)に示される作業機姿勢に移行させていくと、吊り荷重WLが同じでもブームシリンダ7が上向きになっていくため、このブームシリンダ7のシリンダ圧は徐々に高くなっていく。これに対してブームフートピン6周りのモーメントは小さくなっていくので、機体の安定性は良くなっていくことになる。この図3(b)に示される作業機姿勢は、ブームシリンダ7のシリンダ圧が最大になる姿勢であるので、最大圧力姿勢と呼び、このときのブーム角度をθbとする。なお、車両重量が20tクラスの油圧ショベルの場合、マックスリーチ姿勢でのブームフートピン6と荷重点14aとの水平距離L1は約9m、最大圧力姿勢でのブームフートピン6と荷重点14aとの水平距離L1は約5mである。
また、上述のように、ブーム角度θが大きくなるにしたがってブームシリンダ7のシリンダ圧(ブーム圧)Pが変化していくことから、所定の安定限界荷重を吊り下げた場合において、マックスリーチ姿勢から作業機姿勢を維持したままブーム5を上げていったときの、ブーム圧Pとブーム角度θとの関係は図4に実線で示される特性曲線Cのようになる。ここで、安定限界荷重とは、後述の警報ブーム圧設定のために決められた荷重で、機体の安定性を考慮して転倒防止の観点から設定される定格荷重より小さい荷重である。定格荷重を吊り下げた場合のブーム圧Pとブーム角度θとの関係は図4で一点鎖線で示される特性曲線Dのようになる。
そこで、本実施形態では、図3(a)に示されるマックスリーチ姿勢(ブーム角度θa)での過負荷警報ブーム圧Paと、図3(b)に示される最大圧力姿勢(ブーム角度θb)での過負荷警報ブーム圧Pbとを設定するとともに、これら2つの警報ブーム圧Pa,Pbの中間圧力Pcとなるブーム角度θcを警報値の切換え角度に設定している。すなわち、ブーム5の俯仰位置がブーム角度θcより下方位置にあるときには、警報ブーム圧をPaに設定し、俯仰位置がブーム角度θcより上方位置にあるときには、警報ブーム圧をPbに設定し、これによって警報精度の向上が図られている。これにより、図4においては、ハッチングが付された領域が警報領域となる。マックスリーチ姿勢より高いブーム角度の領域で、定格負荷吊り下げの特性曲線Dはすべて警報領域内に入る。本実施形態において前記中間圧力Pcは、Pc=(Pa+Pb)/2とされる。なお、一例として、上述の20tクラスの油圧ショベルの場合、θc=30°、Pa=235kgf/cm、Pb=275kgf/cmとするのが好ましい。
次に、本実施形態における過負荷警報装置の作動態様を図5に示されるフローチャートにしたがって説明する。
S1:まず、ブーム5が警報値切換え角度θcに達しているか否かを判断するために、ブーム位置検出スイッチ16がON作動しているか否かを判定する。そして、この判定の結果、ブーム位置検出スイッチ16がOFF状態にあるときにはステップS2へ進み、ブーム位置検出スイッチ16がON作動したときにはステップS4へ進む。
S2〜S3:ブーム位置検出スイッチ16がOFF状態にあるときには、次にシリンダ圧(ブーム圧)Pが第1設定値Pa以上(P≧Pa)であるか否かを判定する。そして、この判定の結果、ブーム圧Pが第1設定値Pa未満(P<Pa)であるときには、図4に示される警報領域に入っていないので、警報器(警報ブザーおよび警報ランプ)19をOFF状態に維持する。一方、ブーム圧Pが第1設定値Pa以上(P≧Pa)であるときにはステップS5へ進んで、警報器(警報ブザーおよび警報ランプ)19をON作動させる。
S4〜S5:ステップS1の判定において、ブーム位置検出スイッチ16がON作動したときには、ブーム5が警報値切換え角度θc以上に達しているということであるので、警報ブーム圧を第2設定値Pbに切り換え、ブーム圧Pが第2設定値Pb以上(P≧Pb)であるか否かを判定する。そして、この判定の結果、第2設定値Pb未満(P<Pb)であるときには、図4に示される警報領域に入っていないので、警報器(警報ブザーおよび警報ランプ)19をOFFにする。一方、ブーム圧Pが第2設定値Pb以上(P≧Pb)であるときには、デジタルメータリレー18から警報器19に過負荷信号が出力されてその警報器(警報ブザーおよび警報ランプ)19がON作動される。こうして、図4に示される警報領域において警報器19が作動され、オペレータに報知する。この報知によりオペレータは、過負荷状態を脱するような適切な操作を行えば車両の転倒防止を図ることができる。
以上のように、本実施形態の過負荷警報装置によれば、従来のように専用のコントローラが必要ないばかりか、高価な角度センサも必要なく、市販のデジタルメータリレーを用いるという安価かつ簡易な構成で、油圧ショベルの作業中における転倒防止のための過負荷検出を精度良く行うことができる。また、前記デジタルメータ18aにて設定されるブーム圧は容易に変更することができるので、この過負荷警報装置は、重量の異なる他の機種との間でも共用化することができ、従来のような専用のプログラムにて設定値を決定する方式に比べて利用価値が極めて大きいと言える。
本実施形態では、警報値を2段に切り換える例について説明したが、デジタルメータ18aとして3段以上に切り換えることのできるものを採用すれば、より警報精度を向上させることができる。また、本実施形態においては、第2設定値Pbをより小さな値とすることで、警報領域をより広げることができる。
本実施形態では、クレーン機能付き油圧ショベルに適用した例について説明したが、本発明は、吊り具の代わりに電磁リフティングマグネットを取り付けたハンドリング仕様の油圧ショベルに対しても適用することができ、また同様の機能を有する油圧ショベル以外の他の作業機械に対しても適用することができる。
本発明の一実施形態に係る過負荷警報装置のシステム構成図 ブーム位置検出スイッチの詳細構造を示す図 作業機姿勢説明図 警報領域説明図 過負荷警報装置の作動態様を示すフローチャート 従来の過負荷警報装置のブロック図
符号の説明
1 油圧ショベル
4 車両本体
5 ブーム
6 ブームフートピン
7 ブーム油圧シリンダ
14 吊り具
15 圧力センサ
16 位置検出近接スイッチ
18 デジタルメータリレー
18a デジタルメータ
18b リレー回路
19 警報器
22 検出プレート

Claims (1)

  1. 車両本体に俯仰可能に設けられるブームと、このブームの先端部に回動可能に設けられるアームとを備える作業機械の警報装置であって、
    前記ブームを俯仰させるブーム油圧シリンダのシリンダ圧を検出する圧力センサと、
    前記ブームの俯仰位置が所定ブーム角以上の上方位置にあるか否かを検出する位置検出スイッチと、
    前記圧力センサの出力信号を受けて前記ブーム油圧シリンダのシリンダ圧が設定圧以上になったときに過負荷信号を出力するデジタルメータリレーと、
    前記デジタルメータリレーの出力信号を受けて警報を発する警報器とを備え、
    前記デジタルメータリレーは、前記シリンダ圧の設定圧として、前記ブームの俯仰位置が前記所定ブーム角未満の下方位置にあるときの設定値である第1設定圧と、この第1設定圧よりも大きな値であって前記ブームの俯仰位置が前記所定ブーム角以上の上方位置にあるときの設定値である第2設定圧との2つの設定圧が設定できるようにされている
    ことを特徴とする作業機械の警報装置。
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