JP2007196598A - 偽造防止用印刷記録用紙およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 支持体上にインクジェットプリンタを用いて、「透かし」に近似した視認が可能な透かし様模様を容易にかつ低コストで形成し、かつその支持体表面に印刷記録層を形成した偽造防止用印刷記録用紙を提供すること、また、その製造方法を提供すること。
【解決手段】 インクジェットプリンタで印刷された透かし様模様32を有する支持体30の表面に、印刷記録層31が支持されている偽造防止用印刷記録用紙3である。透かし様模様32が、印刷記録層31を介して目視した際に、支持体30と識別可能であり、かつ透明な液体のインクで印刷されている。また、支持体30の表面にインクジェットプリンタヘッド20を用いて、支持体30と識別可能であり、かつ透明な液体のインクジェットプリンタ用インクで、透かし様模様を印刷し、さらにこの透かし様模様を有する支持体30の表面に、印刷記録層31を塗工する偽造防止用印刷記録用紙3の製造方法。
【選択図】 図3

Description

本発明は、あらゆる印刷記録が可能であり、かつ偽造が困難な偽造防止用印刷記録用紙およびその製造方法に関する。
近年、各種計測機器のプリンタやレコーダ、ラベル用プリンタ、POS用プリンタ、および乗車券や入場券等の自動販売機等の広範囲の分野の印刷表示に用いられる用紙には、偽造防止が必要であるものが多くなってきている。
このような広範囲の分野で用いられるこれらの表示は、パソコン、プリンタ、および印字フォント等の発達により、インクジェット、電子写真、昇華転写、溶融熱転写等の方式を用いて簡単に同じ印字を行うことができるため、金券と同様に偽造防止が必要な乗車券等において、容易に偽造しやすくなっているという問題がある。
また、商品に取付けるラベルやタグあるいは値札には、心要に応じて表面に印字ができる記録体であるばかりではなく、いわゆるブランド品、メーカー品のように、商品の出所や品質を保証する機能を付することが要求されるものもある。
さらに、商品券、通行券あるいはチケット等の有価証券的なものは、表面への印字が可能な記録体であると共に、真正なものである保証がなされていることが重要である。
このため、従来からも紙幣、株券、商品券などの有価証券には、種々の偽造防止対策が採られており、その一つとして用紙自体が入手困難である「透かし」入り用紙が用いられてきた。
「透かし」は、材質的な光透過度の差を利用して紙幣や商品券に、文字、ロゴマーク、記号等の特別な模様を抄き込む方法であり、この透かしを抄き込む方法は、特殊な抄紙技術を心要とするので、一般には入手が困難で、そのことが偽造の防止となっていた。
また、「透かし」は、特殊技術故、小量ではコストが割高であり、また、細かい文字やロゴマークあるいは記号を鮮明に表現するのは困難であった。
近年になって、商品券、金券、通行券あるいはチケット等の有価証券的な印刷物はますます増えるとともに多岐にわたって利用される傾向にある。このような用途は、少量多品種のものも多く、高価な「透かし」入り用紙は利用し難かった。
したがって、このように少量多品種の用途に利用できる記録体であって、「透かし」同様に偽造の防止の効果があり、しかも、安価であるとともに細かな情報も表示できるものが強く求められていた。
この問題を解決するために、「透かし」より容易かつ安価に製造できて、「透かし」同様な効果を有する方法として、紙基材とその上に塗工される印刷記録層からなるインクジェット記録用紙において、透かし様模様を紙基材と印刷記録層との間の紙基材上に形成する記録用紙が提案されている。
この記録用紙は、紙基材上に有色インクを用いて、平板、凸版、凹版、フレキソ、スクリーン等の印刷方法で文字、ロゴマーク、記号等の特別な模様を印刷し、その上に印刷記録層を形成することのより、透かし様模様を紙の中間部に形成している。
この記録用紙では、文字情報を印刷した後、この用紙を上方より目視すると、有色インクの透かし様模様と、上記文字情報とは、直接干渉せずに印刷記録層を介して干渉するので、両者には鮮明度に明らかな相違があり、印刷した文字情報の視認には、ほとんど支障にならない。また、このように特殊な用紙になっているので入手が困難であり、偽造防止に有効である(特許文献1)。
しかしながら、この記録用紙では、この用紙製作中に透かし様模様を有色インクを用いて、平板、凸版、凹版、フレキソ、スクリーン等の印刷方法で印刷するので、紙基材を作製後、紙製造ラインから外して、印刷ラインで紙基材に透かし様模様を印刷した後、ふたたび印刷記録層製造ラインに設置して、印刷記録層を作製しなければならなかった。
このため製造ラインが複雑になり、かつ製造コストが高くなるという問題があった。
このような問題が解決され、透かし様模様を紙基材と印刷記録層との間の紙基材上に形成した記録用紙も知られている。
この記録用紙は、平板、凸版、凹版、フレキソ、スクリーン等の印刷方法に代えて、インクジェットプリンタで透かし様模様を紙基材上に印刷している。
このインクジェットプリンタは、プリンタノズルから液体インクを噴射して文字等を印刷するので、連続した紙製造ラインにおいて、製造された紙基材の乾燥域で、紙基材上にこのプリンタを設置しておけば、製造ライン上を紙基材が連続的に移動している状態で透かし様模様を印刷することができ、複数の製造ラインを必要せず、製造コストを低くすることができる(特許文献2)。
しかしながら、この記録用紙では、上記液体インクが、着色蛍光物質、ホトクロミック材、特定波長光と反応する蛍光顔料、特定薬品と反応する特殊物質、金属顔料等特殊な物質を用いるものであり、このインクコストが高く、かつこのインクに反応する特殊な判別装置が必要であったりして、この透かし様模様は本来の「透かし」とは、かなり異なるものであった。
特開2002−67488号公報 特開平6−108399号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明者は、上記問題を解決するた
めに鋭意検討した結果、彩色インクや特殊なインクを用いずに、本来の「透かし」に近似
した視認が可能な透かし様模様を形成する方法を見出して本発明に至った。
本発明が解決しようとする技術課題は、支持体上にインクジェットプリンタを用いて、「透かし」に近似した視認が可能な透かし様模様を容易にかつ低コストで形成し、かつその支持体表面に印刷記録層を形成した偽造防止用印刷記録用紙を提供することであり、また、その製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の偽造防止用印刷記録用紙は、インクジェットプリンタで印刷された透かし様模様を有する支持体の表面に、印刷記録層が支持されている偽造防止用印刷記録用紙において、上記透かし様模様が、上記印刷記録層を介して目視した際に、上記支持体と識別可能であり、かつ透明な液体のインクジェットプリンタ用インクで印刷されていることを特徴とする。
本発明の好ましい構成態様によれば、上記インクが、多価アルコールから選ばれた少なくとも1種を含んでいる。
この多価アルコールは、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびグリセリンのいずれかであることが好ましい。
本発明の他の好ましい構成態様によれば、上記記録用紙は、その王研式透気度が7000秒以下である。
本発明の他の好ましい構成態様によれば、上記印刷記録層が、インクジェットプリンタ用インクを定着する顔料およびバインダを含有する。
上記課題を解決するための本発明の偽造防止用印刷記録用紙の製造方法は、支持体の表面に、支持体の表面に、この支持体の製造工程においてインクジェットプリンタへッドを用いて、上記支持体と識別可能、かつ透明な液体のインクジェットプリンタ用インクで、透かし様模様を印刷し、ついで、この透かし様模様を有する支持体の表面に、印刷記録層を塗工することを特徴とする。
本発明の偽造防止用印刷記録用紙は、本来の「透かし」に近似した視認が可能な透かし様模様を容易にかつ低コストで形成することができ、かつその支持体表面に印刷記録層に種々の印刷を施すことができる。
また、偽造防止用印刷記録用紙を、「透かし」のように特殊な技術を必要とせず、かつ製紙工程の一ライン上で簡易に製造できる。
本発明に係る偽造防止用印刷記録用紙を、以下に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜3は本発明に係る偽造防止用印刷記録用紙の一実施の形態における図面であり、図1は、長網抄紙機1の模式概要図、図2は、インクジェットプリンタ20で透かし様模様32が印刷された製造中の紙基材30を示す模式平面図、図3は、透かし様模様32が印刷された偽造防止用印刷記録用紙の模式断面図である。
図3に示す本実施の形態の偽造防止用印刷記録用紙3は、インクジェットプリンタ20(図2参照)で印刷された透かし様模様32を有する支持体30に、印刷記録層31が支持されている用紙であり、上記透かし様模様32は、それを上記印刷記録層31を介して目視した際に、上記支持体30との識別が可能である。
そして、この透かし様模様32は、透明な液体のインクジェットプリンタ用インクで印刷されている。
ここで「透かし様模様」とは、繊維密度に差を設けて材質的に光透過度に差をつけた「透かし」とは構造的には異なるが、支持体と印刷記録層との間の支持体上または支持体中に形成されていて、印刷記録層を介して目視した際に、上記支持体と識別可能であって、「透かし」同様な偽造防止効果を有するものをいう。
<支持体>
本発明の記録用紙に用いられる支持体は、インクジェットプリンタで印刷可能であって、かつ用紙に光を照射した場合に、印刷記録層を透過した光によって、真贋判定の為の特定の文字、図形等からなる透かし様模様が容易に視認できるように、透かし様模様と支持体との間に鮮明な濃淡が形成されるものであればよい。
すなわち、上記支持体としては特に限定されるものではないが、紙、各種不織布、織布、これらにポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン等の合成樹脂フィルムをラミネートしたラミネート紙、合成紙等が挙げられる。
特に上記ラミネート紙、あるいは各種基材を組み合わせた複合シートが、上記濃淡を消失させ難いので好ましいが、種々の目的に応じて適切な材質を任意に用いることができる。
しかしながら、記録用紙としての取り扱い易さ、ならびに、廃棄の容易さ等を考慮した場合、これらの中では紙基材が最も好ましい。
上記支持体として最も好ましい紙基材の概要を説明する。
〔紙基材〕
上記支持体としての紙基材は、本発明の効果を損なわない範囲で、通常使用される公知の紙基材を用いることができ、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、クラフト紙、バライタ紙、板紙、含浸紙、蒸着紙、一般の塗工紙等に使用される酸性紙、中性紙等が適宜用いられる。
紙基材は、木材パルプを主成分とし、必要に応じて填料、各種助剤等が添加される。
また、木材パルプ以外に、藁、エスパト、バガス、ケナフ等の草類繊維、麻、楮、雁皮、三椏等の靭皮繊維、綿等より製造した非木材パルプを用いることもできる。
さらに、パルプは単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
(木材パルプ)
上記木材パルプは、通常製紙用に使用されるパルプであればいずれも使用可能である。すなわち、針葉樹および広葉樹のクラフトパルプ、あるいはこれらを漂白した晒クラフ
トパルプ(NBKP、LBKPと称す)、針葉樹および広葉樹のサルファイトパルプ等の晒ケミカルパルプ、古紙を原料とする再生パルプ等が挙げられる。また、白色度が高いメカニカルパルプであってもよい。
とりわけ、これらのパルプにおいて、その漂白工程で塩素の影響を取り除いた塩素フリーパルプ、例えば、パルプ漂白に塩素そのものを使わずに塩素化合物を使うECF(Elemental Chlorine Free)パルプ、パルプ漂白に塩素元素が一切入っていない漂白剤を用いるTCF(Total Chlorine Free)パルプ等を用いることは好ましい。
これらのパルプは抄紙適性、強度、平滑性、地合の均一性等の紙の諸特性を向上させるため、ダブルディスクリファイナ等の叩解機により叩解度を調整することができ、その叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、250〜550ml(CSF:JIS−P−8121)が好ましい。
叩解されたパルプスラリーは、手抄き、または、抄紙機により抄紙される。
この際、パルプスラリーには、通常抄紙に際して用いられる分散助剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、填料、サイズ剤、定着剤等の諸添加物が必要に応じて添加される。
また、必要に応じてPH調節剤、染料、有色顔料、蛍光増白剤等も添加することができる。
紙基材に添加される填料は、例えば、炭酸カルシウム(重質および軽質)、焼成カオリン、シリカ、酸化チタン等が好ましく用いられる。
特にインクジェット記録用紙では、中でも炭酸カルシウムを用いると白色度が高い紙基材が得られ、光沢感も高まるので好ましく、紙基材中の填料の含有率(灰分)は、1〜30質量%程度が好ましい。この範囲であれば、平滑度、透気度、紙力および剛性のバランスがとれ、光沢度や写像性、剛性のバランスに優れた記録用紙が得られやすい。
紙基材の厚さは、この基材に形成される透かし様模様が視認できればよく、特に限定されないが、用途に応じて20μm〜500μmの範囲で選択される。
この紙基材は、例えば図1に示す長網抄紙機1により製造される。
この長網抄紙機1は、公知のものなので、その詳細な説明は省略するが、上記パルプがスラリー状で貯留されているヘッドボックス10から、パルプスラリーが長網ワイヤ11上に供給され、この長網ワイヤ11上で走行される間に吸引脱水されて含水率約80%の紙基材30が形成される。この紙基材30は、プレス部12およびドライヤ部13を経て最終的に含水率10%以下まで脱水された後、カレンダスタック14で平滑化されるとともに厚さ調整されてリール15に巻き取られる。
<インクジェットプリンタ>
図2に示すように、上記透過光によって容易に視認できる特定の文字、図形等からなる透かし様模様32は、紙基材30にインクジェットプリンタ20で印刷される。
インクジェットプリンタ20は、図1に示すように、長網ワイヤ11の後端部分に設けられて紙面を滑らかにするダンディロール16の下流に隣接して設置されており、半乾燥状態の紙基材30に透かし様模様32を印刷する。
透かし様模様32は、図2に示す一実施の形態においては、「OJIPAPER」の文字を印刷したものである。
インクジェットプリンタ20での印刷は、単一模様から小量多種類模様まで自由に印刷することができ、かつ低コストが可能である。また、この印刷で形成された透かし様模様32は、高画質で解像度が高いため、視認による真贋判定の精度、ならびに偽造の困難さにおいて優れている。
上記インクジェットプリンタ20の設置位置は、上記位置に換えてドライヤ13の下流に隣接した破線で示した位置でも良い。
〔プリンタ〕
このインクジェットプリンタ20は、インクを微細なノズルより液滴として吐出して、その液滴を記録媒体に付着させて印刷する印刷機であり、その記録方式には大別して、連続的に吐出しているインクを選択的に紙面に着弾させるコンティニュアス方式と、選択的にインクを吐出させるドロップオンディマンド方式がある。
これらの方式に分類されるもののそれぞれには、第一〜第四の方法がある。
第一の方法は、静電吸引方式と呼ばれ、この方式はノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させものであり、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に、印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する方式、あるいはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式がある。
第二の方法は、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方式である。噴射したインク滴は噴射と同時に帯電され、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する。
第三の方法は、圧電素子を用いる方式であり、インク液に圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インク滴を噴射・記録させる方式である。
第四の方式は、熱エネルギーの作用によりインク液を急激に体積膨張させる方式であり、インク液を印刷情報信号に従って微小電極で加熱発泡させ、インク滴を噴射・記録させる方式である。
本実施の形態では、透かし様模様32を上記のいずれのインクジェット方式でも印刷することができる。
具体的な態様としては、図1に示す長網抄紙機1で長網ワイヤ11のワイヤ幅方向にインクジェットプリンタ20のノズル21(図2参照)をライン状に並べ、紙基材30における透かし様模様32としての絵柄や文字等を印刷する部分にインクを吐出してこれらを形成する。
透かし様模様32の解像度は、目的とする偽造防止のレベルによってノズル21を自由に調製して決めることが可能である。実際の透かし様模様32は、そのパターンが特に制限されることはなく、インクの付着量及び付着範囲をノズル21により調製して、自由に形成することができる。
この透かし様模様32は、上記印刷記録層31の上方より照射される光で観察した際に、印刷記録層31を透過した光により、紙基材30上に設けられたその固有のパターンが明度の差として紙基材素面と容易に識別できるパターン及び画像密度であれば良い。画像密度は、一般的には100〜2400dpi(dots per inch) が好ましく、インクの液滴量は、解像度に影響されるが200pl(pico liter)以下が再現性等において良好である。
〔インク〕
本実施の形態では、印刷インクには、インクジェットプリンタ20に使用可能な透明なインクが用いられる。
ここで透明なインクとは、このインクで紙基材に印刷した際に、紙基材に含浸して紙基材の透明性を高め紙基材の非印刷部分とに明度差を生じさせる様な、いわば、紙基材にパラフィンを含浸させると透明化する作用と同様な作用をするインクをいう。
純粋に無色透明なものが好ましいが、これに限られるわけではなく、このインクで透かし様模様を印刷したものを、印刷記録層を介して目視した際に、紙基材と区別できる明度差を生じさせるものであれば使用可能である。
すなわち、わずかに白色〜灰色を有するインクも用いることができる。
ただし、この印刷インクには彩色材は添加されていない。
この印刷インクは、具体的には、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、グルシトール等の多価アルコールから選ばれた少なくとも1種を主体としたもの、あるいは2種以上を併用したもの、さらにこれらに一価の低級アルコール化合物等を添加したもの等が用いられる。上記低級アルコール化合物としては、トリプロパノールアミンなどが挙げられる。
印刷インクの物性としては、ノズルからの吐出が良好で詰まり等が発生しないように、その粘度は100mPa(milli Pascal)以下が好ましい。
この粘度は、水を添加して調整する。
この印刷インクをさらに詳細に説明する。
このインクには、界面活性剤または高分子材料等の添加剤を添加することができる。
上記界面活性剤としては、具体的には、高級脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、脂肪族アミン塩、ホスフォニウム塩等のカチオン界面活性剤、ポリオキシエチレン化合物の脂肪酸エステル等のノニオン界面活性剤等の水溶性界面活性剤が挙げられる。
上記高分子材料としては、具体的には、(イ)ゼラチン、カゼイン等のたんぱく質、(ロ)アラビアゴム等の天然ゴム、(ハ)サボニン等のグルコキシド、(ニ)メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、(ホ)リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、(ヘ)ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物塩、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合物塩、スチレン−マレイン酸共重合物塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩等の高分子塩、(ト)ポリリン酸等のアニオン性高分子、(チ)ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等のノニオン性高分子等が挙げられる。
これらの添加剤は、1種を単独に、または2種以上を併用して用いることができる。
上記インクの添加剤成分は溶解性の観点から、その質量平均分子量が100〜50000の範囲であることが好ましく、200〜40000の範囲であることがより好ましい。この分子量が100未満では印字ムラが発生する虞があり、また50000よりも大きいとインク粘度が大きくなり吐出安定性が劣化する等の不具合が生じる虞があり好ましくない。
上記添加剤成分のインク中の総量は、好ましくは0.01〜20質量%であり、より好ましくは0.5〜10質量%の範囲である。
含有量が0.01質量%未満ではインクの溶液安定性が十分でない虞があり、また20質量%よりも大きいと粘性が大きくなり吐出安定性が低化する等の不具合が生じる虞があり好ましくない。
上記インクは水が主溶媒であり、この水としてはイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水を用いることが好ましい。また、これらの水を紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理することは、カビやバクテリアの発生を防止してインクの長期保存を可能にするので好ましい。
インク中に含有される水は、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%の範囲である。
さらに水溶媒に必要に応じて水溶性有機溶剤を添加することができる。
この水溶性有機溶剤としては、例えば、(イ)メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の1価のアルコール類、(ロ)アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類、(ハ)テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、(ニ)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレンまたはオキシポリプロピレン付加重合体、(ニ)エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類、(ホ)1,2,6−ヘキサントリオール等のトリオール類、(へ)チオジグリコール、(ト)ビスヒドロキシエチルスルホン、(チ)グリセリン、(リ)エチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、(ヌ)トリエチレングリコールジメチル(またはエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類、(ル)スルホラン、(オ)N−メチル−2−ピロリドン、(ワ)2−ピロリドン、(カ)1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
このインクジェット用インクには、必要に応じて、保湿剤、pH調整剤、pH緩衝剤、定着剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐・防カビ剤等を添加することができる。
保湿剤は、インクの吐出安定性の付与、ノズルの目詰まり防止等を目的に添加するものであり、一般に水性インク組成物に用いられる有機溶剤や水溶性固体を用いることができる。
この保湿剤としては、具体的には、(イ)1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、グリセリン等のポリオール類、(ロ)エタノール、プロパノール等の低級アルコール類、(ハ)尿素、チオ尿素、エチレン尿素、1,3−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類、(ニ)マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等の糖類等が挙げられる。
pH調整剤は、pHを特定の範囲内に設定する目的で添加するもので、従来の水性インク組成物に用いられているものを用いることができる。
このpH調整剤としては、具体的には、(イ)水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、(ロ)アンモニア、(ハ)トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類等が挙げられる。
pH緩衝剤は、pHを特定の範囲内に維持する目的で添加するもので、従来の水性インク組成物に用いられているものを用いることができる。
このpH緩衝剤としては、具体的には、コリジン、イミダゾール、燐酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ほう酸等が挙げられる。
定着剤は、上記インクの粘度を調整するとともに、インクの紙基材への付着性を付与する目的で添加するものである。
定着剤としては、水溶性樹脂類の水溶液、水性エマルジョン、水性ポリマー微粒子の分散液等としてインク中に添加する。
水溶性樹脂類としては、水溶性ロジン類、アルギン酸類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース
、メチルセルロース、スチレン−アクリル酸樹脂、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−マレイン酸半エステル樹脂、アクリル酸−アクリル酸エステル樹脂、イソブチレン−マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムスターチ、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
水性エマルジョンや水性ポリマー微粒子としては、スチレン−アクリル酸エマルジョン、アクリル酸エマルジョン等が挙げられる。
酸化防止剤・紫外線吸収剤としては、アロハネート、メチルアロハネート等のアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレット等のビウレット類、L−アスコルビン酸およびその塩、ベンゾトリアゾール、あるいはランタニドの酸化物等が挙げられる。
防腐剤・防かび剤としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)等が挙げられる。
<印刷記録層>
本実施の形態では、透かし様模様32が形成された紙基材30には、少なくとも片面に印刷記録層31が設けられている。
この印刷記録層31は、従来公知のインクジェット記録用紙、軽量コート紙、キャストコート紙などに塗工されている印刷記録層と同様に、顔料とこれを保持するバインダを主成分としている。
(―上質タイプ記録用紙―)
両面に印刷記録層31を設ける1つの態様として、一般の表面サイズ剤と同様な水溶性高分子添加剤、カチオン性樹脂からなるインク定着剤、その他各種の添加剤とを含有する塗工液で、タブサイズ加工、もしくはサイズプレス加工を行って、片面塗工量(固形分量)が4g/m以下の上質タイプの偽造防止用印刷記録用紙3が作製される。
また、この記録層31は、各種ブレードコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドブレードコータ、カーテンコータ、ショートドウェルコータ、サイズプレス等の各種公知公用の塗工装置のいずれかを使用してオンマシンあるいはオフマシンで塗工することにより形成されていても良い。また、塗工後に、マシンカレンダ、スーパーカレンダ、ソフトカレンダ等のいずれかのカレンダ装置を用いて平坦化仕上げがなされていてもよい。
さらに、この記録層31に、加熱したキャストドラムを用いて光沢化処理をすることもできる。
〔水溶性高分子〕
上記水溶性高分子添加剤には、通常の記録用紙の表面サイズ剤に用いる公知の接着剤を用いることができ、例えば、(イ)澱粉、カチオン化澱粉等の天然高分子、(ロ)ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、セルロースサルフェート等の合成高分子、(ハ)ゼラチン、カゼイン等のたんぱく質、(ニ)ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム、ポリスチレンスルフォン酸ナトリウム等の合成高分子重合体の塩が挙げられる。
その他の添加剤の一つとしてサイズ剤を添加することができ、このサイズ剤としては、(イ)石油樹脂エマルション、アルキルケテンダイマーエマルション等のエマルション、(ロ)スチレン−無水マレイン酸共重合体アルキルエステルのアンモニウム塩等の水溶化物、(ハ)スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデンのディスパーション等が挙げられる。
〔インク定着剤〕
また、印刷記録層31中には、種々のカチオン性樹脂からなるインク定着剤が添加されており、印刷インクを記録層31に定着している。
例えば、水性インクジェット印刷用インクの染料分である水溶性直接染料や水溶性酸性染料中のスルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等と不溶な塩を形成してこれらの染料を定着する2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム塩を有するカチオン性染料定着剤を配合すると、インク受容層にて染料が捕捉されるために色彩性が向上し、また、水に不溶な塩が形成されることにより、用紙面への水の滴下や吸湿によるインクの流れ出しや滲み出しが抑制される。
その他の使用可能なカチオン性樹脂として、例えば、(イ)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、(ロ)第2級または第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、またはそれらのアクリルアミドの共重合体、(ハ)ポリビニルアミンおよびポリビニルアミジン類、(ニ)ジシアンジアミド−ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン性化合物、(ホ)ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合体に代表されるポリアミン系カチオン性化合物、(ヘ)エピクロルヒドリン−ジメチルアミン共重合体、(ト)ジアリルジメチルアンモニウム−SO重縮合体、(チ)ジアリルアミン塩−SO重縮合体、(リ)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、(ヌ)アリルアミン塩の共重合体、(ル)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合体、(オ)アクリルアミド−ジアリルアミン共重合体、(ワ)5員環アミジン構造を有するカチオン性物質等が挙げられる。
これらの定着剤は、単独で用いられるか、あるいは2種以上併用して用いられる。
〔顔料〕
その他の添加剤の一つとして顔料を添加することができる。
この顔料としては、通常の記録用紙の塗工層に用いる公知の顔料を用いることができ、例えば、クレー、カオリン、タルク、ホワイトカーボン、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、硫酸バリウム、酸化チタン等が挙げられる。
これらは、1種を単独に、あるいは2種以上を併用して用いられる。
その他の添加剤としては、帯電防止剤として、(イ)塩化ナトリウム、塩化カルシウム、ボウ硝等の金属塩からなる無機電解質、(ロ)塩酸、苛性ソーダ、炭酸ソーダ等の無機電解質を用いることができ、界面活性剤として、グリセリン、ポリエチレングリコール等を用いることができる。その他染料、蛍光増白剤等の各種添加剤を組み合わせて用いることも可能である。
(―塗工タイプ記録用紙―)
両面に印刷記録層を設ける他の実施の形態として、紙基材30への片面塗工量が4g/m(固形分量)を超える印刷記録層31を設けた塗工タイプの偽造防止用印刷記録用紙3を形成することもでき、この印刷記録用紙3は、従来公知のアート紙、コート紙、軽量コート紙、キャストコート紙など塗工量が多い用紙に分類される。
この印刷記録用紙3は、従来のこれらの印刷記録層と同様の顔料とこれを保持するバインダを主成分としている。
〔顔料〕
上記顔料としては、通常の記録用紙の塗工層に用いる公知の顔料を用いることができ、例えば、(イ)無機顔料では、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等、(ロ)有機顔料では、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
これらは、1種を単独に、あるいは2種以上を併用して用いられる。
〔バインダ〕
上記バインダは主として接着剤からなり、この接着剤としては、例えば、(イ)酸化澱粉、エステル化澱粉、冷水可溶性澱粉等の各種澱粉類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコールやその変性品等の水溶性接着剤、(ロ)スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス等のラテックス系接着剤が挙げられる。
このバインダは、水溶性接着剤とラテックス系接着剤とのいずれかから選ばれる1種を単独に、または水溶性接着剤および/またはラテックス系接着剤から選ばれる2種以上を併用して用いることができる。
バインダの配合量としては、顔料100質量部に対して、3〜70質量部、好ましくは、5〜50質量部である。
この配合量が、3質量部未満では記録層の塗膜強度が不足する虞があり、70質量部を越えるとインク吸収性が低下する虞があり好ましくない。
〔インク定着剤〕
この記録層には、インク定着剤として、上述した上質タイプ記録用紙の場合と同様な理由で、同様な種々のカチオン樹脂が添加される。
この記録層には、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜添加することができる。
この記録層の塗工量は、目的に応じて適宜調節でき、各記録用紙のタイプ別に、目標品質に応じた塗工量が調整されることが好ましい。
この記録層を塗工する方法は、各種ブレードコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドブレードコータ、カーテンコータ、ショートドウェルコータ、サイズプレス等の各種公知公用の塗工装置のいずれかを使用してオンマシンあるいはオフマシンで塗工するものである。
また、塗工後に、上記上質タイプの記録用紙と同様に公知のカレンダ装置を用いて平滑化仕上げすることができる。
さらに、加熱したキャストドラムを用いて光沢化処理をすることもできる。
このように作製されたこれら上質タイプ記録用紙および塗工タイプ記録用紙には、電子写真方式、インクジェット方式、オフセット方式等の各記録方式を、それぞれの記録用紙3の得失に合わせて選択的に実施することができる。
<透かし様模様の作製>
上述したそれぞれの印刷記録用紙3は、図3に示すように、支持体としての紙基材30上にインクジェットプリンタヘッド20を用いて上記インクで透かし様模様32が印刷され、さらにそれを覆ってインク記録層31が塗工されて偽造防止用印刷記録用紙3となっている。
この偽造防止用印刷記録用紙3は、上述の材料、ならびに塗工方法、平滑化処理、および塗工量を、上記それぞれの記録方式に適したものにすることにより、そのそれぞれの記録方式に選択的に適した特性を有する記録用紙として製造される。
各種オンディマンド印刷方式、例えば、(a)電子写真方式に対応するためには、得られた記録用紙は、用紙中の水分蒸発によるペーパブリスタ(火ぶくれ状シワ)や、トナー中の空気によるトナーブリスタ(クレータ状突起)を防ぐために、記録用紙の王研式透気度が7000秒以下、好ましくは4000秒以下に調整されることが好ましい。
また、トナー定着性は印刷記録層の強度も強くなければならないため、材料、バインダの配合量、塗工方法および平滑化処理を適宜調整する必要がある。
5〜7μm程度のトナー粒子によって画像が形成される電子写真方式では、上述の記録用紙を用いることによって極めて高品位な画像を得ることができる。
例えば、ISO−13660ドラフトスタンダード・QEA(Quality Engineering Assosiates,Inc.)に準拠した方法に基づいて、電子写真方式プリンタを用いて画像を形成し、評価すると、タイルサイズ40μmにおけるモトル(不均一度)が、10GSV(Grey Scale Value)以下、ラインのラジェドネス(ギザギザ度)が10μm以下、ブラリネス(ぼやけ度)が11μm以下であり、極めて良好な画像であることがわかる。
他のオンディマンド印刷方式、例えば、(b)インクジェット方式に対応するためには、印刷記録層のインク吸収性、印字部の耐水性、およびにじみ防止性が十分であるように、その印刷記録層には、インクジェットプリンタ用インクを定着する顔料およびバインダを含有していることが好ましい。
すなわち、インク定着剤には、目的に応じたカチオン樹脂を配合しており、また片面塗工量(固形分量)が4g/mを超える印刷記録層では、インク吸収性を高めるためにシリカを選択的に配合するなど、材料、塗工方法を適宜調整する必要がある。
これらの記録用紙に上記各方式で印刷した印刷物を、上方から目視した場合、上記記録層を介して透かし様模様が、本来の「透かし」に近似した形に視認できる。
すなわち、この偽造防止用印刷記録用紙は、図3に示すように、紙基材30上に透かし様模様32を上記透明なインクで印刷しているので、このインクは紙基材30の印字部に含浸するとともにインク中のインク定着剤の作用によりその部分に定着される。これにより、紙基材30にあたかもパラフィンを含浸させたのと同様にこの部分での光散乱がほとんどなくなって透明化するので、この透かし様模様を上方から目視した場合、紙基材30の未印字素面との間に明度差が生じて本来の「透かし」と同様に「OJIPAPER」からなる透かし様模様32が視認される。
しかも、透かし様模様32は無色であり、かつ上記記録層を介して目視するので、記録用紙上の印字とは鮮明度に明らかな相違があり、印刷した文字情報の視認にはほとんど支障にならない。また、このように特殊な用紙になっているので入手が困難である。
したがって、この偽造防止用印刷記録用紙は、特別な光源等を必要とせず、単に透過光によって観察するのみで真贋の判定が可能であり、偽造防止性に優れた実用性の高い記録用紙となっている。
その上、この偽造防止用印刷記録用紙は、透かし様模様32を、連続した紙製造ラインで製造される紙基材の脱水域においてインクジェットプリンタヘッドで印刷しているので、製造ライン上を紙基材が連続的に移動している状態で透かし様模様を印刷することができ、複数の製造ラインを必要とせずに、製紙工程の一ライン上で簡易に製造でき、かつ製造コストを低くすることができる。
また、この偽造防止用印刷記録用紙は、容易かつ安価に製造できるので、電子写真方式やインクジェット方式などにより多品種少量の印刷を行う記録用紙として、特に有効である。
以下実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、以下に示す「%」、「部」は、それぞれ「質量%」、「質量部」である。
<実施例1>
木材パルプとしてのLBKP(フリーネス(CSF)=450ml)90部、同NBKP(フリーネス(CSF)=450ml)10部のパルプスラリーに、填料としての軽質炭酸カルシウム(商品名:PC、白石カルシウム社製)5部を添加し、対パルプ100部当りサイズ剤としての澱粉1.5部、同アルケニル無水コハク酸(商品名:ファイブラン−81 王子ナショナル社製)0.1部、および同硫酸バンド0.6部を添加した紙料を調製し、長網抄紙機で抄紙するとともに、以下の要領で設けたインクジェットのノズルから以下の要領で調整したインクを噴射して、透かし様模様としての「OJIPAPER」の文字を印刷し、坪量61.5g/mの紙基材を作製した。
〔インクジェットノズルの設置〕
ピエゾ振動子によってインクを噴射させるドロップデマンド方式ノズル (解像度360dpi、インク吐出量40pl)を上記抄紙機のワイヤの幅方向にライン状に並べて設けた。
〔インクの調製〕
インクの調製は、多価アルコールのグリセリン5部、同トリエチレングリコール5部および1価のアルコール化合物のトリプロパノールアミン1部にイオン交換水を89部加え、2時間攪拌した後、5μm径のメンブランフィルタを用いて2kg/cmの圧力で加圧濾過することによって行った。
ついで、上記紙基材に下記ようにして印刷記録層を設け、坪量が64g/mの偽造防止用印刷記録用紙を得た。
〔印刷記録層用塗工液の調製〕
サイズ剤として酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)87部、同スチレンアクリル系表面サイズ剤(商品名:PM1308s 荒川化学工業社製)3部、帯電防止剤としての亡硝10部を添加した混合液を約7%濃度に調製した印刷記録層用塗工液を作製した。
〔印刷記録層の形成〕
上記透かし様模様を形成した紙基材の両面に、上記塗工液を片面乾燥質量が1.25g/mとなるように2ロールサイズプレス装置で塗工し、乾燥させて印刷記録層を形成し、マシンカレンダ処理(線圧50kg/cm、通紙速度5m/分)を施した。
<実施例2>
実施例1と同様にして透かし様模様入りの紙基材を作成し、下記ようにして印刷記録層を設け、坪量が64g/mの偽造防止用印刷記録用紙を得た。
〔印刷記録層用塗工液の調製〕
サイズ剤としてアルキルアミン・エピハロヒドリン重縮合物(商品名:パルセットJK−173、質量平均分子量15000、明城化学社製)50部、同酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)50部を添加した混合液を、8%の濃度に調製した印刷記録層用塗工液を作製した。
〔印刷記録層の形成〕
実施例1と同様にして上記塗工液を塗工して印刷記録層を形成し、マシンカレンダ処理を施した。
<実施例3>
木材パルプとしてのLBKP(フリーネス(CSF)=450ml)90部、同NBKP(フリーネス(CSF)=450ml)10部のパルプスラリーに、填料としての軽質炭酸カルシウム(商品名:PC、白石カルシウム社製)5部を添加し、対パルプ100部当りサイズ剤としての澱粉1.5部、同アルケニル無水コハク酸(商品名:ファイブラン−81、王子ナショナル社製)0.1部、および同硫酸バンド0.6部を添加した紙料を調製し、長網抄紙機で抄紙して坪量61.5g/mの紙基材中間体を作製した。ついで、紙基材中間体の両面に、サイズ剤としての酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)100部を約7%濃度に調製した液を2ロールサイズプレスで片面乾燥質量が1.25g/mとなるように塗布し、乾燥させた後に、実施例1と同様に透かし様模様としての「OJIPAPER」の文字を印刷した坪量64g/mの紙基材を作製した。
ついで、上記紙基材の両面に、下記ようにして印刷記録層を設け、坪量が84g/mの偽造防止用印刷記録用紙を得た。
〔印刷記録層用塗工液の調製〕
顔料としてのカオリン(商品名:ミラグロス91、エンゲルハード社製)100部、分散剤のアロンA−9(商品名)(東亞合成社製)0.01部に水を加え、コーレス分散機にて分散し、固形分72%のカオリン分散液を調製した。この顔料スラリーにバインダとしてのカルボキシメチルセルロース(商品名;AGガムHENo.2、第一工業製薬社製)0.3部、同スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス(以下SBRラテックスと記す)のP−5555(商品名)(Tg(ガラス転移点):36℃、日本A&L社製)10部、およびSBRラテックスの0640(商品名)(Tg:55℃、JSR社製)25部を添加・撹拌し、さらに水を加えて調製して固形分濃度が55%の塗工液を作製した。
〔印刷記録層の形成〕
紙基材の両面に上記塗工液を、片面乾燥質量が10g/mとなるようにブレードコータを用いて塗工し、160℃で熱風乾燥して印刷記録層を形成し、ス−パーカレンダ(線圧50kg/cm、通紙速度5m/分)に通紙し、白紙光沢が65%となるように処理した。
<実施例4>
実施例3と同様にして透かし様模様入りの紙基材を作製し、下記ようにしてインクジェット印刷適正のみを有する印刷記録層を設け、坪量が84g/mの偽造防止用印刷記録用紙を得た。
〔印刷記録層用塗工液の調製〕
バインダとしてのシリル変性ポリビニルアルコール(商品名:クラレポバールR−1130、重合度1800、鹸化度98%以上、クラレ社製)10%水溶液250部中に、顔料としての無定形シリカ(商品名:ファインシールX−45、トクヤマ社製)100部を、攪拌しながら加えて分散し、次にインク定着剤としてのジアリル・ジメチル・アンモニウム・クロライド(商品名:ユニセンスCP103、カチオン性樹脂、センカ社製)15部を添加して、濃度18%の印刷記録層用塗工液を作製した。
〔印刷記録層の形成〕
紙基材の両面に上記塗工液を、片面乾燥質量が10g/mとなるようにマイヤ・バーを用いて塗工し、乾燥して印刷記録層を形成し、スーパーカレンダ(線圧50kg/cm、通紙速度5m/分)に通紙し、白紙光沢が15%となるように処理した。
<比較例1>
紙基材に「OJIPAPER」の透かし様模様を入れなかった以外は、実施例1と同様にして印刷記録用紙を得た。
<評価方法および評価基準>
実施例および比較例で得られた偽造防止用印刷記録用紙について、透かし様模様部の偽造防止効果、印刷適性、および印刷記録用紙の品質を下記方法により評価した。
なお、評価を客観的に把握できるようにするためにこれらの用紙のそれぞれの坪量を記載する。
(偽造防止効果および用紙の品質)
〔視認性〕
記録用紙の偽造防止効果を確認するため、用紙上へ照射光をあて、印刷記録層を透過した透過光により「OJIPAPER」からなる透かし様模様部の視認性を下記の評価基準で評価した。評価結果は、表1に示した。
◎:透かし様模様部分が良く見えている。
○:透かし様模様部分が若干暗く見え難いが、実用上問題がない。
△:透かし様模様部分がやや暗くて見え難く、実用上問題がある。
×:透かし様模様部分が暗くて見えず、実用困難である。
〔密度〕
記録用紙の密度を、ISO534:1988の規定に従って測定した。測定結果は、表1に示した。
〔透気度〕
記録用紙の透気度を、王研式透気度測定器によって測定した。測定結果は、表1に示した。
〔光沢度〕
記録用紙の光沢度を、入射角と受光角が75度の条件で測定した。測定器:グロス・メータ・モデル(商品名:GM−26D、村上色彩研究所社製)。測定結果は、表1に示した。
Figure 2007196598
比較例1は、透かし様模様としての「OJIPAPER」の印刷を入れてないので、当然のことながらその視認性はなく、また、「OJIPAPER」の印刷を入れなかった以外は、実施例1と同様なので、その他の用紙品質は実施例1と一致している。
実施例3および4は、実施例1および2に比較して印刷記録層が厚く坪量が大きくなっているので、視認性がわずかに落ちるが、実用上問題がない。
実施例1〜4は、いずれも偽造防止用印刷記録用紙として使用することができる。
つぎに、実施例1〜4および比較例1について、各種印刷方式における印刷適性を判断するために、オフセット印刷、電子写真印刷、およびインクジェット印刷を施して、その特性を確認した。
(記録用紙の印刷適性1−オフセット印刷適性)
オフセット方式の印刷機4E−4(商品名)(三菱ダイヤ社製)を用い、印刷速度:8000枚/時間で印刷を行い、下記のオフセット印刷適性を評価した。
使用インキは、GEOS−G・Sタイプ(商品名)(大日本インキ化学工業社製、インキタック:8)。
4色印刷順は、墨→藍→赤→黄。
実施例および比較例で得られた記録用紙のオフセット印刷適性として、インク受理性、インク乾燥性、およびブランケット汚れを評価した。評価結果は、表2に示した。
〔印刷インク受理性〕
インクの網点(ドット)を下記の評価基準で評価した。
◎:網点の抜け、欠けが観られず、実用上問題なく、品質も優れている。
○:網点の抜け、欠けがやや観られるが、実用上問題ない。
△:網点の抜け、欠けが頻繁に観られ、実用上問題ある。
×:網点の抜け、欠けが著しく観られ、実用困難である。
〔インク乾燥性〕
印刷の1時間後に印刷面に上質紙をあててインクの転写状態を下記の評価基準で評価した。
◎:インク転写が観られず、実用上問題なく、優れている。
○:インク転写がやや観られるが、実用上問題ない。
△:インク転写が頻繁に観られ、実用上問題ある。
×:インク転写が著しく観られ、実用困難である。
〔ブランケット汚れ〕
印刷後のブランケットの汚れを、下記の評価基準で評価した。
◎:汚れが観られず、実用上問題なく、品質も優れている。
○:汚れがやや観られるが、実用上問題ない。
△:汚れが頻繁に観られ、実用上問題ある。
×:汚れが著しく観られ、実用困難である。
Figure 2007196598
実施例4は、オフセット印刷においてブランケット汚れが著しく観られ、オフセット印刷には適していない偽造防止用印刷記録用紙であることがわかる。
(記録用紙の印刷適性2−電子写真印刷適性)
電子写真方式の印刷機イプシオCX3000(商品名)(リコー社製)を用い、ISO環境(23℃−50%RH)で印刷を行い、下記の電子写真印刷適性を評価した。
なお、電子写真印刷(=コピー)原稿は、シアン色、マゼンタ色、イエロー色の3色の網点面積率100%のものを用い、片面プリント時と両面プリント時の画像が用紙の表裏の同じ位置になるようにして電子写真印刷(=コピー)を行った。
また、記録用紙の給紙サンプルは、包装開封直後、片面プリントを行い、1分間放置後他面プリントを実施する両面プリントを行ったものである。
実施例および比較例で得られた記録用紙の電子写真適性として、ペーパブリスタ、トナーブリスタ、トナー層の定着性および走行性を評価した。評価結果は、表3に示した。
〔ペーパブリスタ〕
印字サンプルを下記の評価基準で評価した。
◎:ペーパブリスタが全く認められない
○:ペーパブリスタが若干発生しているが、実用上問題がない。
△:ペーパブリスタが発生しており、実用上問題がある。
×:ペーパブリスタが著しく発生しており、実用困難である。
〔トナーブリスタ〕
印字サンプルを240倍のルーペで観察し、下記の評価基準で評価した。
◎:トナーブリスタが全く認められない
○:トナーブリスタが若干発生しているが、実用上問題がない。
△:トナーブリスタが発生しており、実用上問題がある。
×:トナーブリスタが著しく発生しており、実用困難である。
〔トナー層の定着性〕
印字サンプルの印字部分を内側にして折り曲げ、1kgの重さのローラーで3往復し後、このサンプルを開いて折り部をウエスで擦ったのち、トナー層の割れの発生状況を観察し、トナー層の定着性を下記の評価基準で評価した。
◎:トナー割れが全く認められない
○:トナー割れが若干発生しているが、実用上問題がない。
△:トナー割れが発生しており、実用上問題がある。
×:トナー割れが著しく発生しており、実用困難である。
〔走行性〕
電子写真印刷(=コピー)原稿は、シアン色、マゼンタ色、イエロー色の3色の網点面積率100%のものを用いた。記録用紙をカセットトレイにセットし、片面プリント (A4縦目サイズ)を5000枚印字し、重送、ミスフィード、転写部や定着部ジャム等の走行トラブルの発生回数を確認し、走行性を下記の評価基準で評価した。
◎:走行トラブルが0回で優れている。
○:走行トラブルが10回未満であり、実用上問題がない。
△:走行トラブルが10〜20回であり、実用上問題がある。
×:走行トラブルが20回以上あり、実用困難である。
Figure 2007196598
実施例1、実施例2、および用紙性状が実施例1と同一の比較例1は、電子写真に適した密度と坪量とを有するので、上記全ての評価項目について優れた性状を有する。
実施例3は、実施例1および2に比較すると、ペーパブリスタ、トナーブリスタおよび走行性においてわずかに劣るが、電子写真印刷において実用上問題ないことがわかる。
なお、実施例4については、評価試験を行わなかった。
(記録用紙の印刷適性3−インクジェット印刷適性)
インクジェット方式の印刷機PM950C(商品名)(エプソン社製)を用いて、印刷を行い、下記のインクジェット印刷適性を評価した。
実施例および比較例で得られた記録用紙のインクジェット印刷適性として、印字のにじみ、インク乾燥性、および耐水性を評価した。評価結果は、表4に示した。
〔インク乾燥性〕
上記インクジェットプリンタでシアンインクとマゼンタインクの2色混合のベタ印字印刷を行ない、ベタ印字部を指で触れたときの印字の状態変化を観察し、インク乾燥性を下記の評価基準で評価した。
◎:印字直後に指で触れてもまったく汚れず、優れている。
○:印字直後に指で触れると若干汚れるが、実用上問題がない。
△:印字直後に指で触れるとやや汚れ、実用上問題がある。
×:印字直後に指で触れると汚れが著しく、実用困難である。
〔印字のにじみ性〕
上記インクジェットプリンタで、混色黒(濃度80%)の印字を行ない、印字部分の境界から印字のにじみを目視で観察し、印字のにじみ性を下記の評価基準で評価した。
◎:印字のにじみは全く認められず、優れている。
○:印字のにじみが若干あるが、実用上問題がない。
△:印字のにじみがややあり、実用上問題がある。
×:印字のにじみが著しく、実用困難である。
〔印字部の耐水性〕
上記インクジェットプリンタで、混色黒(濃度80%)の印字を行い、印字部分を水に1分間浸漬した後のインクの流れを目視で観察し、印字部の耐水性を下記の評価基準で評価した。
◎:印字からインクの流れは全く認められず、優れている。
○:印字からインクの流れが若干あるが、実用上問題がない。
△:印字からインクの流れがややあり、実用上問題がある。
×:印字からインクの流れが著しく、実用困難である。
Figure 2007196598
実施例4は、用紙性状が通常のインクジェット記録用紙と同様なので、全ての評価項目について優れていた。
実施例2は、実施例4に比較して、にじみ性においてわずかに劣るが、インクジェット印刷において実用上問題ないことがわかった。
実施例1は、耐水性に問題があり、実施例3は、耐水性において実用困難であるとともに乾燥性およびにじみ性にも問題があることがわかった。
実施例1〜4および比較例1について、上記各種印刷方式における印刷適性を判断すると、当然のことながら、本偽造防止用印刷記録用紙は、それぞれの印刷方式に適合した印刷記録層を設けた記録用紙でなければ、最適な印刷を得ることができないが、透かし様模様を設けたことにより、記録用紙の印刷適性が影響されることはないことがわかった。
本発明の一実施の形態における紙基材製造装置の一部を省略した模式側面図である。 同装置において透かし様模様が印刷された製造中の紙基材を示す模式平面図。 本発明の一実施の形態における偽造防止用印刷記録用紙の模式断面図。
符号の説明
1 長網抄紙機
3 偽造防止用印刷記録用紙
11 長網ワイヤ
20 インクジェットプリンタヘッド
21 ノズル
30 紙基材(支持体)
31 インク記録層
32 透かし様模様

Claims (6)

  1. インクジェットプリンタで印刷された透かし様模様を有する支持体の表面に、印刷記録層が支持されている偽造防止用印刷記録用紙において、
    上記透かし様模様が、上記印刷記録層を介して目視した際に、上記支持体と識別可能であり、かつ透明な液体のインクジェットプリンタ用インクで印刷されている、
    ことを特徴とする偽造防止用印刷記録用紙。
  2. 上記インクが、多価アルコールから選ばれた少なくとも1種を含む、
    ことを特徴とする請求項2に記載の偽造防止用印刷記録用紙。
  3. 上記多価アルコールが、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびグリセリンのいずれかである、
    ことを特徴とする請求項2に記載の偽造防止用印刷記録用紙。
  4. 上記記録用紙は、その王研式透気度が7000秒以下である、
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の偽造防止用印刷記録用紙。
  5. 上記印刷記録層が、インクジェットプリンタ用インクを定着する顔料およびバインダを含有する、
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の偽造防止用印刷記録用紙。
  6. 請求項1に記載の偽造防止用印刷記録用紙の製造方法であって、
    支持体の表面に、この支持体の製造工程においてインクジェットプリンタへッドを用いて、上記支持体と識別可能であり、かつ透明な液体のインクジェットプリンタ用インクで、透かし様模様を印刷し、
    ついで、この透かし様模様を有する支持体の表面に、印刷記録層を塗工する、
    ことを特徴とする偽造防止用印刷記録用紙の製造方法。

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